JPH09208548A - 新規化合物a−76356 - Google Patents

新規化合物a−76356

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JPH09208548A
JPH09208548A JP1358996A JP1358996A JPH09208548A JP H09208548 A JPH09208548 A JP H09208548A JP 1358996 A JP1358996 A JP 1358996A JP 1358996 A JP1358996 A JP 1358996A JP H09208548 A JPH09208548 A JP H09208548A
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JP
Japan
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compound
salt
carboxyl group
acid
methanol
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Application number
JP1358996A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Inukai
正俊 犬飼
Michiko Takeuchi
道子 竹内
Hideji Takahashi
秀次 高橋
Ryuzo Enokida
竜三 榎田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、抗菌活性を有する化合物、その塩ま
たはそのカルボキシル基の保護された化合物を提供す
る。 【解決手段】 式 【化1】 を有するA−75356、その塩またはそのカルボキシ
ル基の保護された化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌感染症の予防
または治療効果を有する新規化合物A−76356、そ
の塩またはそのカルボキシル基の保護された化合物に関
する。
【0002】
【従来の技術】A−76356はOーメチルニトロン酸
型の化合物である。このようなOーメチルニトロン酸型
の化合物としては、例えばニトラシドマイシンA、B
(Nitrasidomycins A and B 、J. Antibiotics、42
巻、329頁(1989年))、エンテロマイシン(Ent
eromycin、Bull. Chem. Soc. Jpn. 、34巻、1633
頁(1961年)) などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、土壌か
ら分離したミクロモノスポラ(Micromonospora) 属に属
するSANK62395株が、グラム陽性菌、グラム陰
性菌に対して有効な新規化合物A−76356を生産す
ることを見出し、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 式
【0005】
【化2】
【0006】を有するA−76356、その塩またはそ
のカルボキシル基の保護された化合物、に関する。
【0007】また、本発明は、(2) ミクロモノスポ
ラ属に属するA−76356生産菌を培養し、その培養
液よりA−76356を採取することからなるA−76
356の製造法、に関する。
【0008】更に詳細には、本発明は、(3) ミクロ
モノスポラ属に属するA−76356生産菌がミクロモ
ノスポラ・エスピー(Micromonospora sp.) SANK6
2395株(FERM BP−5287)である(2)
に記載の製造法、に関する。
【0009】また、本発明は、(4) A−7635
6、その塩またはそのカルボキシル基の保護された化合
物からなる医薬、に関する。
【0010】更に詳細には、本発明は、(5) A−7
6356、その塩またはそのカルボキシル基の保護され
た化合物を有効成分とする細菌感染症の予防薬または治
療薬、に関する。
【0011】本発明の新規化合物A−76356は、下
記の理化学的性状を有する。 1)物質の性状:酸性、脂溶性 2)比旋光度:[α]25 D −27.1°(C 0.
7, メタノール) 3)分子式: C122226 (高分解能質量分析法
により測定) 4)分子量: 290(FAB−MS:[M+H]+
291) 5)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε) メタノール中で測定した紫外線吸収スペクトルは次に示
す通りである。252(11、200)。
【0012】6)赤外線吸収スペクトル: νmax cm
-1 臭化カリウム(KBr)錠中で測定した赤外線吸収スペ
クトルは、次に示す通りである。3335, 2958, 171
4, 1639, 1540, 1465, 1260, 1090,980,
949, 845, 633。
【0013】7) 1H−核磁気共鳴スペクトル:(δ:
ppm) 重クロロホルム中、内部基準にTMS(テトラメチルシ
ラン)を使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(400M
Hz)は次に示す通りである。0.95(3H,d), 0.96(3H,
d), 1.15(3H,d), 1.42(1H,m),1.55(1H,m), 1.60
(1H,m), 2.39(1H,m), 3.71(1H,d),3.85(3H,s),
4.26(1H,m), 6.87(1H,s) 。
【0014】8)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:
ppm) 重クロロホルム中、内部基準にTMS(テトラメチルシ
ラン)を使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(100M
Hz)は次に示す通りである。179.3(s), 161.6(s), 11
0.4(d), 75.0(d), 55.0(q), 49.2(d),45.2(d), 4
3.2(t), 25.9(d), 23.3(q), 22.8(q), 14.5(q)。
【0015】9)溶解性:水に不溶、メタノール、アセ
トン、酢酸エチルに可溶。ベンゼンに難溶。
【0016】10)呈色反応:ヨード、過マンガン酸カ
リウムに陽性。ニンヒドリンに陰性。
【0017】11)薄層クロマトグラフィー: Rf値:0.29 吸着剤:シリカゲル(メルク社製、Art.5715) 展開溶剤:ジクロルメタン:メタノール:蟻酸=90:
10:1。
【0018】13)高速液体クロマトグラフィー: カラム:コスモシル5C18−AR(サイズ、φ6x15
0mm、ナカライ科学(株)社製) 溶剤:アセトニトリル−水−トリエチルアミン=55:
44:1の混合液にリン酸を加えてpH4.0に調整し
た液 流速:0.5ml/分 保持時間:7.4分。
【0019】本発明の A−76356は、常法に従っ
て塩にすることができる。 A−76356の塩として
は、A−76356に比べて医学的に使用され、薬理上
受け入れられる、即ち活性を低下せしめない、毒性を増
加せしめない、ものであれば特に限定はない。なお、医
薬以外の用途、例えば中間体として使用する場合は、な
んら限定はない。その様な塩としては、好適にはナトリ
ウム塩、カリウム塩、リチウム塩、のようなアルカリ金
属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、のようなアルカ
リ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、
ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩;
t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリ
ン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエス
テル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン
塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミ
ン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジ
ルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイ
ン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチ
ルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニア
塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のよう
な有機塩等のアミン塩;を挙げることができる。好適に
は薬理上許容される塩である。
【0020】カルボキシル基の保護基とは、反応におけ
る保護基(いわゆる中間体として使用する場合)および
生体に投与する際のプロドラッグ化のための保護基等を
示し、例えば、 メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、
ヘキシルのような「低級アルキル基」: 2、2、2−トリクロロエチル、2−ブロモエチ
ル、2−クロロエチル、2−フルオロエチル、2、2−
ジブロモエチルのような「ハロゲノ低級アルキル基」: ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、α
- ナフチルメチル、β-ナフチルメチル、ジフェニルメ
チル、トリフェニルメチル、α- ナフチルジフェニルメ
チル、9−アンスリルメチルのような1乃至3個のアリ
−ルで置換された低級アルキル基;4−メチルベンジ
ル、2、4、6−トリメチルベンジル、3、4、5−ト
リメチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキ
シフェニルジフェニルメチル、2−ニトロベンジル、4
−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベ
ンジル、4−シアノベンジル、4−シアノベンジルジフ
ェニルメチル、ビス(2−ニトロフェニル) メチル、ピ
ペロニルのような低級アルキル、低級アルコキシ、ニト
ロ、ハロゲン、シアノでアリ−ル環が置換された1乃至
3個のアリ−ル基で置換された低級アルキル基;等の
「アラルキル基」: メトキシメチル、1、1−ジメチル−1−メトキシ
メチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロ
ポキシメチル、ブトキシメチル、t−ブトキシメチルの
ような低級アルコキシメチル基;2−メトキシエトキシ
メチルのような低級アルコキシ化低級アルコキシメチル
基;2、2、2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2
−クロロエトキシ)メチルのようなハロゲン化低級アル
コキシメチル基;等の「アルコキシメチル基」: 1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエ
チル、1−(イソプロポキシ)エチルのような低級アル
コキシ化エチル基;2、2、2−トリクロロエチルのよ
うなハロゲン化エチル基;2−(フェニルゼレニル)エ
チルのようなアリ−ルゼレニル化エチル基;等の「置換
エチル基」: アセトキシメチル、ジメチルアミノアセトキシメチ
ル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチ
ル、ピバロイルオキシメチル、1−アセトキシエチルの
ようなアシルオキシアルキル基; メトキシカルボニル
オキシメチル、エトキシカルボニルオキシメチル、プロ
ポキシカルボニルオキシメチル、イソプロポキシカルボ
ニルオキシメチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、
イソブトキシカルボニルオキシメチル、シクロヘキシル
オキシカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルオキシ
カルボニルオキシ(シクロヘキシル)メチル、1−(メ
トキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシカル
ボニルオキシ)エチル、1−(プロポキシカルボニルオ
キシ)エチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)エチ
ル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、1
−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シ
クロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(エトキシカルボニルオキシ)プロピルのようなアルコ
キシカルボニルオキシアルキル基; 4−メチル−オキ
ソジオキソレニルメチル、4−フェニルオキソジオキソ
レニルメチル、オキソジオキソレニルメチルのようなオ
キソジオキソレニルアルキル基;等の「カルボニルオキ
シアルキル基」: フタリジル、ジメチルフタリジル、ジメトキシフタ
リジルのような「フタリジル基」: フェニル、インダニルのような「アリール基」:を
あげることができる。
【0021】更に、本発明の A−76356は種々の
立体異性体を有する。本発明においては、これらの異性
体の等量および非等量混合物がすべて単一の式で示され
ている。従って、本発明においてはこれらの異性体およ
びこれらの異性体の混合物をもすべて含むものである。
【0022】更に本発明において、 A−76356が
溶剤和物(例えば水和物)を形成する場合には、これら
もすべて含むものである。
【0023】例えば、本発明の A−76356が、大
気中に放置されたり、または再結晶をすることにより、
水分を吸収し、吸着水が付着したり、水和物を形成する
場合がある。本発明にはこのような溶剤和物も含まれ
る。
【0024】更に本発明において、生体内において代謝
されて A−76356に変換される化合物、いわゆる
プロドラッグもすべて含むものである。
【0025】本発明のA−76356を生産する放線菌
SANK62395株の形態学的特徴、生理学的性質お
よび化学分類学的性質は以下に示す通りである。
【0026】1.形態学的特徴 SANK62395株はISP「インターナショナル・
ストレプトマイセス・プロジェクト(International St
reptomyces Project)」規定の培地上で28℃、14日
間の培養により次のような形態学的特徴を示した。光学
顕微鏡による観察ではSANK62395株の基生菌糸
は良好に伸長、分岐し気菌糸着生は観察されない。基生
菌糸上に1個の胞子を形成しその様式はモノポジアル
(Monopodial)型である。また、走査型電子顕微鏡によ
る観察では胞子の表面は突起状(Warty )を示す。胞子
の形状は球ないし亞球状でその大きさは0.7〜1μm
である。その他、胞子のう、気菌糸の車軸分岐、菌核な
どの特殊器官は認められない。
【0027】2.各種培養基上での培養性状 SANK62395株の各種寒天培地上での28℃、1
4日間培養後の培養性状は表1に示す通りである。
【0028】
【表1】 ─────────────────────────────────── 培地の種類 項目*1 SANK62395株の性状 ─────────────────────────────────── イーストエキス・ G : 非常に良好、平坦、暗いオリーブ灰(7.5Y 2/1)*2 麦芽エキス寒天 R : 緑味黒(7.5GY 2/1) (ISP 2) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── オートミール寒天 G : 非常に良好、平坦、暗いオリーブ灰(7.5Y 2/1) (ISP 3) R : オリーブ黒(2.5GY 2/1) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── 澱粉・無機塩寒天 G : 良好、平坦、暗いオリーブ灰(7.5Y 4/2) (ISP 4) R : 暗いオリーブ灰(10Y 3/1) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── グリセリン・ G : 良好、平坦、暗いオリーブ灰(2.5GY 3/1) アスパラギン寒天 R : オリーブ灰(2.5GY 4/1) (ISP 5) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── ペプトン・イースト G : 非常に良好、平坦、明るい茶(7.5YR 6/8) エキス・鉄寒天 R : 薄茶(7.5YR 7/6) (ISP 6) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── チロシン寒天 G : 良好、平坦、オリーブ灰(2.5GY 4/1) (ISP 7) R : オリーブ灰(2.5GY 5/1) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── シュクロース・ G : 良好、平坦、オリーブ灰(2.5GY 5/1) 硝酸塩寒天 R : オリーブ灰(2.5YR 6/1) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── グルコース・ G : 良好、平坦、薄茶(2.5Y 8/2) アスパラギン寒天 R : 薄茶(2.5Y 8/2) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── 栄養寒天 G : 非常に良好、平坦、黄味茶〜暗いオリーブ灰 (DIFCO) (2.5Y 6/4 〜5Y 3/2) R : 黄味茶〜暗いオリーブ灰(2.5Y 7/4 〜7.5Y 4/2)) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── ポテトエキス・ G : 非常に良好、平坦、暗いオリーブ灰(7.5Y 3/1) 人参エキス寒天 R : 暗いオリーブ灰(7.5Y 3/1) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── 水寒天 G : 余り良くない、平坦、オリーブ灰(7.5Y 4/1) R : オリーブ灰(7.5Y 4/1) SP: 産生せず ─────────────────────────────────── *1: G:生育、R:裏面、SP:可溶性色素 *2: マンセル方式に準拠した色調の表示。
【0029】3.生理学的性質 28℃で培養後、2ないし21日間に観察したSANK
62395株の生理学的性質は表2に示す通りである。
【0030】
【表2】 ─────────────────────────────────── 生理学的性質 SANK62395株 ─────────────────────────────────── 澱粉の水解 陽 性 ゼラチンの液化 陽 性 硝酸塩の還元 陽 性 ミルクの凝固 陽 性 ミルクのペプトン化 陽 性 ポテトスタブでの生育 弱く生育 メラニン様色素生産性 陰 性 基質分解性:カゼイン 陽 性 チロシン 陽 性 キサンチン 陰 性 生育温度範囲(培地1) 13〜38℃ 生育適正温度(培地1) 22〜35℃ 食塩存在下での生育(培地1) 3% ─────────────────────────────────── 培地1:イーストエキス・麦芽エキス寒天(ISP 2) 。
【0031】また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(I
SP 9) および0.1%のイーストエキスを添加したプリ
ドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP 9) を基礎培地として
使用して、28℃、14日間培養後に観察したSANK
62395株の炭素源の資化性は表3に示す通りであ
る。
【0032】
【表3】 ─────────────────────────────────── SANK62395株 炭素源 ISP−9 ISP−9+0.1%イーストエキス ─────────────────────────────────── D−グルコース + + L−アラビノース + + D−キシロース + + イノシトール − − D−マンニトール − − D−フルクトース − ± L−ラムノース + + シュクロース ± + ラフィノース − − α−メリビオース − − グリセリン − − D−リボース − − 対照 − − ─────────────────────────────────── +:資化する、 ±:弱く資化する、 −:資化しない。
【0033】4.化学分類学的性質 SANK62395株の細胞壁は長谷川らの方法(長谷
川ら、ザ・ジャーナル・オブ・ゼネラル・アンド・アプ
ライド・マイクロバイオロジー(The Journalof Genera
l and Applied Microbiology )、29巻、319−3
22頁(1983年))に従い検討した結果、メソ−ジ
アミノピメリン酸および3−ヒドロキシジアミノピメリ
ン酸が検出された。また、SANK62395株の全細
胞中の主要糖成分をエム・ピー・レシェバリエの方法
(M. P. Lechevalier 、ジャーナル・オブ・ラボラトリ
ー・アンド・クリニカル・メディシン(Journal of Lab
oratory and Clinical Medicine )、71巻、934−
944頁(1968年))に従い検討した結果、アラビ
ノースとキシロースが検出された。さらにSANK62
395株のメナキノンを「放線菌の同定実験法」(放線
菌学会編(1985年))記載の方法で調べたところ、
主要なメナキノンはMK−10(H4)であった。細胞
壁ペプチドグリカンのアシル基については内田らの方法
(内田ら、ザ・ジャーナル・オブ・ゼネラル・アンド・
アプライド・マイクロバイオロジー(The Journal of G
eneral and Applied Microbiology )、25巻、169
−183頁(1979年))に従い検討した結果、グリ
コリル型であった。ヘフトらの方法(S. T. Hecht ら、
ジャーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー
(Journal of Clinical Microbiology)、4巻、284
−287頁(1976年))に従いミコール酸について
検討した結果、検出されなかった。「放線菌の同定実験
法」(放線菌学会編(1985年))記載の方法に従っ
てリン脂質を検討したところ、フォスファチジルエタノ
ールアミンを検出したが、フォスファチジルコリンおよ
びフォスファチジルグリセロールは確認されなかった。
【0034】以上の菌学的性質からSANK62395
株は放線菌の中でもミクロモノスポラ(Micromonospor
a)属に属することが明らかになった。従ってSANK
62395株はミクロモノスポラ・エスピー(Micromon
ospora sp.)SANK62395と同定された。SAN
K62395株は工業技術院生命工学工業技術研究所に
FERM BP−5287 として寄託されている。
【0035】以上、A−76356の生産菌について説
明したが、放線菌の諸性質は一定したものでなく、自然
的、人工的に容易に変化することは周知の通りであり、
本発明で使用しうる菌株はミクロモノスポラ属に属する
A−76356を生産する全ての菌株を包含するもので
ある
【0036】
【発明の実施の形態】本発明における培養は一般放線菌
における培養方法に準じて行われる。
【0037】即ち、本発明の A−76356を得るた
め、これらの微生物の培養は他の発酵生成物を生産する
ために用いられるような培地中で行なわれる。このよう
な培地中には、微生物が資化出来る炭素源、窒素源およ
び無機塩を含有する。
【0038】一般に、炭素源としてはグルコース、フラ
クトース、マルトース、シュークロース、マンニトー
ル、グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、
トウモロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、
大豆油、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸などをあげる
ことができる。これらの炭素源は当該培地に単独で用い
てもよいし、同培地にいくつかの炭素源を組み合わせて
用いることもできる。
【0039】培地に用いる炭素源の正確な量は、培地中
の他の成分にもよるが、通常、培地量の 1−10重量
%で変量する。
【0040】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を発酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、カゼイン加水分解物、
ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプト
ン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキ
ス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム等である。いろいろの窒素源は、0.2−6重量%
の範囲の量で、単独にまたは組み合わせて用いることが
できる。
【0041】炭素源および窒素源は、一般に組み合わせ
て用いるが、純粋な形態である必要がない。微量の生育
因子、ビタミンおよび鉱物栄養を含むより純度の低いも
のをもちいてもよい。また、ナトリウム、カリウム、マ
グネシウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェー
ト、サルフェート、クロライド、カーボネート等のイオ
ンを得ることの出来る通常の塩類を培地中に加えてもよ
い。また、菌の資化しうる硫黄化合物を培地に添加する
と、目的物の生成量が増大する場合がある。例えば、硫
酸亜鉛、硫酸銅、硫酸第一鉄、硫酸アンモニウムのよう
な硫酸塩、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、
亜硫酸アンモニウムのような亜硫酸塩等の無機硫黄化合
物;シスチン、システィン、L−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸のような含硫アミノ酸、ヒポタウリン、グルタ
チオンのような含硫ペプチド等の有機硫黄化合物 硫酸
第一鉄、硫酸銅のような重金属類、ビタミンB1 、ビオ
チンのようなビタミン類、サイアミンのような菌体増殖
促進物質等も必要に応じて添加してもよい。また、マン
ガン、鉄、モリブデン、亜鉛、その他の微量金属が含ま
れる。更に必要ならば、特に、栄養培地がかなり泡立つ
ならば、シリコンオイル、ポリアルキレングリコールエ
ーテル、植物油、動物油、界面活性剤のような消泡剤を
培地に添加しても良い(特に、液体培養に際しては、好
適である)。ミクロモノスポラ・エスピー SANK6
2395株を培養し A−76356を生産する培地の
pHは、5.0−7.0に変化させることが出来る。
【0042】菌の生育温度は24℃から37℃までであ
るが、22℃から35℃の範囲が生育良好であり、更に
A−76356の生産には、28℃付近が好適であ
る。
【0043】培養方法としては、特に制限はなく、微生
物一般に用いられる培養法であればよく、撹拌培養法、
振とう培養法、通気培養法などを使用することができ
る。好適には、好気的な液体培養法である撹拌培養法、
振とう培養法、または通気培養法であり、更に好適に
は、振とう培養法である。なお、工業的には、通気撹拌
培養法が好適である。
【0044】小規模な培養においては、28℃で数日
間、振とう培養を行うのが良好である。 培養は、三角
フラスコ中で、1−2段階の種の発育工程により開始す
る。種の発育段階の培地は、炭素源および窒素源を併用
出来る。種フラスコは定温インキュベーター中で28
℃、7日間振とうするか、または充分に成長するまで振
とうする。成長した種は第二の種培地、または生産培地
に接種するのに用いる。中間の発育工程を用いる場合に
は、本質的に同様の方法で成長させ、生産培地に接種す
るためにそれを部分的に用いる。接種したフラスコを一
定温度で数日間振とうし、インキュベーションが終わっ
たらフラスコの含有物を遠心分離またはろ過する。
【0045】大量培養の場合には、撹拌機、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成出来る。栄養培
地を121℃まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は28
℃で通気撹拌して行う。この方法は、多量の化合物を得
るのに適している。
【0046】培養の経過に伴って生産される A−76
356の力価の経時変化は、プロテウス・ミラビリスS
ANK71873を被検菌とした菌の形態変化を指標と
した方法で測定することができる。通常は、120時間
から144時間の培養で A−76356の生産量は最
高値に達する。
【0047】培養終了後、培養液中の液体部分および菌
体内に存在する A−76356は、菌体、その他の固
形部分を珪藻土をろ過助剤とするろ過操作または遠心分
離によって分別し、そのろ液または上清中および菌体中
に存在する A−76356を、その物理化学的性状を
利用し抽出精製することにより得られる。例えば、ろ液
または上清中に存在する A−76356は、酸性pH
条件下で水と混和しない有機溶剤、例えば酢酸エチル、
クロロホルム、塩化エチレン、塩化メチレン−ブタノー
ルなどの単独または、それらの組み合わせにより抽出精
製することができる。あるいは吸着剤として、例えば活
性炭または吸着用樹脂であるアンバーライトXAD−
2、XAD−4(ローム・アンド・ハース社製)等や、
ダイアイオンHP−10、HP−20、CHP−20、
HP−50(三菱化成(株)社製)等が使用される。
A−76356を含む液を上記のごとき吸着剤の層を通
過させて不純物を吸着させて取り除くか、または A−
76356を吸着させた後、メタノール水、アセトン
水、ブタノール水などを用いて溶出させることにより得
られる。また、菌体内に存在する A−76356は、
50−90%の含水アセトンまたは含水メタノールのよ
うな親水性有機溶剤により抽出し、有機溶剤を除去した
後、ろ液と同様な抽出精製操作を行うことにより得られ
る。
【0048】このようにして得られた A−76356
は、更にシリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系のフ
ロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラ
フィー、セファデックスLH−20(ファルマシア社
製)などを用いた分配カラムクロマトグラフィー、コス
モシール140C18−OPN(商品名、ナカライテスク
(株)社製)などの逆相担体を用いたカラムクロマトグ
ラフィーおよび順相、逆相カラムを用いた高速液体グク
ロマトグラフィー等で精製することが出来る。
【0049】以上の分離、精製の手段を単独または適宜
組み合わせ反復用いることによりA−76356を分離
精製することができる。
【0050】前記 A−76356は、カルボキシル基
を有する。該カルボキシル基を保護する反応は、以下の
方法によって行われる。
【0051】1) カルボキシル基の保護基が「低級ア
ルキル基」、「ハロゲノ低級アルキル基」、「アラルキ
ル基」である場合、 1−1)反応はカルボキシル基を、相当するアルコール
を含有する溶剤中(好適には、エステル残基部分に相当
するアルコール自体を溶剤として使用する。)、酸触媒
と反応させ、加溶媒分解を行うことにより達成される。
使用される溶剤としては、反応を阻害せず、出発物質を
ある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適
には、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素
類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジ
クロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのよ
うなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエ−テル、ジイソ
プロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエー
テルのようなエ−テル類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキ
サノンのようなケトン類;アセトニトリル、イソブチロ
ニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N、N−
ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジ
ノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド
類をあげることができる。使用される酸触媒としては、
通常の反応において酸触媒として使用されるものであれ
ば特に限定はないが、好適には塩酸、臭化水素酸、硫
酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸、酢酸、蟻酸、蓚
酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリ
フルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような
有機酸等のブレンステッド酸;ボロントリクロリド、ボ
ロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイ
ス酸;または、酸性イオン交換樹脂をあげることがで
き、好適には有機酸であり、更に好適には有機強酸であ
る。反応温度は、0℃乃至使用される溶剤の沸点で行な
われるが、好適には、50℃乃至使用される溶剤の沸点
である。反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応
試薬または使用される溶剤の種類によって異なるが、通
常、10分間乃至6日間で、好適には、30分間乃至3
日間である。
【0052】1−2) または、反応はカルボキシル基
を、(i)ハロゲン化剤(例えば、五塩化リン、塩化チ
オニル、塩化オキザリル等)と室温付近で30分乃至5
時間処理し、相当する酸ハライド、または、(ii)ト
リエチルアミンのような有機塩基の存在下に、クロロ蟻
酸メチル、クロロ蟻酸エチルのようなクロロ蟻酸エステ
ル類と処理し、相当する酸無水物に変換した後、不活性
溶剤中(反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解する
ものであれば特に限定はないが、好適には、ベンゼン、
トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレ
ンクロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素
類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;エ
−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシ
エタンのようなエ−テル類またはアセトニトリルのよう
なニトリル類)、塩基(例えば、トリエチルアミン等)
の存在下、相当するアルコール体(t−ブチルエステル
を製造する際は、カリウム t−ブトキシドが望まし
い。)と、−10℃乃至150℃、好適には室温付近、
で10分乃至15時間、好適には30分乃至10時間、
反応させる方法によっても達成される。
【0053】1−3) または、反応はカルボキシル基
をジアゾメタン、ジアゾエタンのようなジアゾアルカン
(通常、ジアゾアルカンのエーテル溶液)と、室温付近
で(反応系の種類によっては必要に応じて加熱下で行な
ってもよい。)、接触させる方法によっても達成され
る。
【0054】反応終了後、本反応の目的化合物は常法に
従って、反応混合物から採取される。 例えば、酸触媒
として、酸性イオン交換樹脂を使用したときは、ろ別
し、ろ液より溶媒を留去することによって得られ、他の
酸触媒を使用した場合には、反応混合物を適宜中和し、
また、不溶物が存在する場合にはろ過により除去した
後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶剤を加
え、水洗後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫
酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによっ
て得られる。得られた目的化合物は必要ならば、常法、
例えば再結晶、再沈殿、または通常、有機化合物の分離
精製に慣用されている方法、例えば、セファデックスL
H−20(ファルマシア社製)、アンバーライトXAD
−11(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオン
HP−20(三菱化成(株)社製)ような担体を用いた
分配カラムクロマトグラフィー等の合成吸着剤を使用す
る方法、または、シリカゲル若しくはアルキル化シリカ
ゲルによる順相・逆相カラムクロマトグラフィー法(好
適には、高速液体クロマトグラフィーである。)を適宜
組合せ、適切な溶離剤で溶出することによって分離、精
製することができる。
【0055】2) カルボキシ基の保護基が「アルコキ
シメチル基」、「置換エチル基」、「カルボニルオキシ
アルキル基」、「フタリジル基」、「アリール基」であ
る場合、 2−1) 反応はカルボキシル基またはカルボキシル基
の水素原子がナトリウム、カリウムのような金属で置換
された基を、一般式 Ra −Xa を有する化合物と反応
させることによって達成される。
【0056】上記式中、Ra は、前述の「アルコキシメ
チル基」、「置換エチル基」、「カルボニルオキシアル
キル基」、「フタリジル基」、「アリール基」を示す。
【0057】Xa は、例えば、塩素、臭素、沃素のよう
なハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ、エタンスル
ホニルオキシのような低級アルカンスルホニルオキシ
基;トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ペンタフル
オロエタンスルホニルオキシのようなハロゲノ低級アル
カンスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、
p-トルエンスルホニルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホ
ニルオキシのようなアリ−ルスルホニルオキシ基等の、
求核残基として脱離する基を示す。
【0058】このような Ra −Xa を有する化合物と
しては、例えばアセトキシメチルクロライド、ピバロイ
ルオキシメチルブロマイド、ピバロイルオキシメチルク
ロライドのようなアシルオキシアルキルハライド類、エ
トキシカルボニルオキシメチルクロライド、イソプロポ
キシカルボニルオキシメチルクロライド、1−(エトキ
シカルボニルオキシ)エチルクロリド、1−(エトキシ
カルボニルオキシ)エチルヨーダイドのようなアルコキ
シカルボニルオキシアルキルハライド類、フタリジルハ
ライド類または(5−メチル−2−オキソ−5−メチル
−1、3−ジオキソレン−4−イル)メチルハライド類
を挙げることができる。
【0059】反応は、溶剤中で塩基の存在下で行われ
る。使用される溶剤としては、反応を阻害せず、出発物
質をある程度溶解するものであれば特に限定はなく、好
適にはヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素
類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジ
クロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのよ
うなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエ−テル、ジイソ
プロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエー
テルのようなエ−テル類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキ
サノンのようなケトン類;アセトニトリル、イソブチロ
ニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジ
ノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド
類を挙げることができる。
【0060】使用される塩基としては、通常の反応にお
いて塩基として使用されるものであれば、特に限定はな
く、好適には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リ
チウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなア
ルカリ金属炭酸水素塩類;水素化リチウム、水素化ナト
リウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物
類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウ
ム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;
弗化ナトリウム、弗化カリウムのようなアルカリ金属弗
化物類等の無機塩基類;ナトリウムメトキシド、ナトリ
ウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキ
シド、カリウム t−ブトキシド、リチウムメトキシド
のようなアルカリ金属アルコキシド類;メチルメルカプ
タンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウムのよう
なメルカプタンアルカリ金属類;N−メチルモルホリ
ン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチ
ルピペリジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピ
コリン、4−(N、N−ジメチルアミノ) ピリジン、
2、6−ジ(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノ
リン、N、N−ジメチルアニリン、N、N−ジエチルア
ニリン、1、5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−
5−エン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オク
タン(DABCO)、1、8−ジアザビシクロ[5.
4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のような有機塩
基類またはブチルリチウム、リチウムジイソプロピルア
ミド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのよ
うな有機金属塩基類を挙げることができる。通常、反応
は−20℃乃至120℃、好適には0乃至80℃、で
0.5乃至10時間反応させることによって達成され
る。
【0061】2−2) または、反応はカルボキシル基
またはカルボキシル基の水素原子がナトリウム、カリウ
ムのような金属で置換された基を、一般式 Ra −OH
を有する化合物と縮合剤および触媒量の塩基の存在下で
反応させることによって達成される。
【0062】(上記式中、Ra は前述したものと同意義
を示す。) 反応は溶剤の存在下で好適に行われる。使用される溶剤
としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解す
るものであれば特に限定はなく、好適にはヘキサン、ヘ
プタンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロ
リド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭
化水素類;蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢
酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチル
エ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテルのようなエ−テル類;アセトニト
リル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;ホルム
アミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメ
チルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−
メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミド
のようなアミド類を挙げることができる。使用される縮
合剤としては、例えば、N−ヒドロキシサクシイミド、
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−
5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミドのよう
なN−ヒドロキシ誘導体;2、2’−ジピリジルジサル
ファイドのようなジサルファイド化合物類;N、N’−
ジサクシンイミジルカ−ボネ−トのようなコハク酸化合
物類;N、N’−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジ
ニル)ホスフィニッククロライドのようなホスフィニッ
ククロライド化合物類;N、N’−ジサクシンイミジル
オキザレ−ト(DSO)、N、N’−ジフタ−ルイミド
オキザレ−ト(DPO)、N、N’−ビス(ノルボルネ
ニルサクシンイミジル)オキザレ−ト(BNO)、1、
1’−ビス(ベンゾトリアゾリル)オキザレ−ト(BB
TO)、1、1’−ビス(6−クロロベンゾトリアゾリ
ル)オキザレ−ト(BCTO)、1、1’−ビス(6−
トリフルオロメチルベンゾトリアゾリル)オキザレ−ト
(BTBO)のようなオキザレ−ト誘導体;トリフェニ
ルホスフィンのようなトリアリールホスフィン類、アゾ
ジカルボン酸ジエチル−トリフェニルホスフィンのよう
なアゾジカルボン酸ジ低級アルキル−トリアリールホス
フィン類等のトリアリールホスフィン類;N−エチル−
5−フェニルイソオキサゾリウム−3’−スルホナ−ト
のようなN−低級アルキル−5−アリールイソオキサゾ
リウム−3’−スルホナ−ト類;N’、N’−ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなN’、N’
−ジシクロアルキルカルボジイミド類、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(E
DAPC)等のカルボジイミド誘導体;ジ−2−ピリジ
ルジセレニドのようなジヘテロアリールジセレニド類;
p-ニトロベンゼンスルホニルトリアゾリドのようなアリ
ールスルホニルトリアゾリド類;2−クロル−1−メチ
ルピリジニウム ヨーダイドのような2−ハロ−1−低
級アルキルピリジニウム ハライド類;ジフェニルホス
ホリルアジド(DPPA)のようなジアリールホスホリ
ルアジド類;1、1’−オキザリルジイミダゾ−ル、
N、N’−カルボニルジイミダゾ−ルのようなイミダゾ
ール誘導体;1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HO
BT)のようなベンゾトリアゾール誘導体;N−ヒドロ
キシ−5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド
(HONB)のようなジカルボキシイミド誘導体;を挙
げることができるが、好適には、ジアリールホスホリル
アジド類である。使用される塩基としては、通常の反応
において塩基として使用されるものであれば、特に限定
はないが、好適には、N−メチルモルホリン、トリエチ
ルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジ
ン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4-
(N,N- ジメチルアミノ) ピリジン、2,6−ジ(t−ブ
チル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメ
チルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのような有機
塩基類を挙げることができる。なお、4−(N、N−ジ
メチルアミノ) ピリジン、4−ピロリジノピリジンは、
他の塩基と組み合わせて、触媒量を用いることもでき、
また、反応を効果的に行わせるために、ベンジルトリエ
チルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム
クロリドのような第4級アンモニウム塩類、ジベンゾ−
18−クラウン−6のようなクラウンエーテル類等を添
加することもできる。反応温度は、−20℃乃至80℃
で行なわれるが、好適には、0℃乃至室温である。反応
時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用
される溶剤の種類によって異なるが、通常10分間乃至
3日間で、好適には30分間乃至1日間である。
【0063】2−3) または、反応はカルボキシル基
またはカルボキシル基の水素原子がナトリウム、カリウ
ムのような金属で置換された基を、一般式 Ra −OH
を有する化合物と溶剤中、塩化燐酸ジエチルのようなハ
ロゲン化燐酸ジエステル類および塩基の存在下に反応さ
せることによって達成される。
【0064】(上記式中、Ra は前述したものと同意義
を示す。) 使用される溶剤としては、反応を阻害せず、出発物質を
ある程度溶解するものであれば特に限定はなく、好適に
はヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類;ベン
ゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;
メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロ
ロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのような
ハロゲン化炭化水素類;蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル
類;ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエ
チレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル
類;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニト
リル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−
ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホ
スホロトリアミドのようなアミド類を挙げることができ
る。使用される塩基としては、上記 2−1)において
記載したのと同様の塩基を使用することができる。反応
温度は、0℃乃至使用される溶剤の還流温度で行なわれ
るが、好適には、室温乃至50℃である。反応時間は、
主に反応温度、原料化合物、反応試薬または使用される
溶剤の種類によって異なるが、通常、10分間乃至3日
間で、好適には30分間乃至1日間である。
【0065】低級アルキル化の場合には、例えばジメチ
ル硫酸、ジエチル硫酸のようなジアルキル硫酸と、常法
に従って、反応させることによっても行われる。
【0066】反応終了後、本反応の目的化合物は常法に
従って、反応混合物から採取される。 例えば、反応混
合物を適宜中和し、また不溶物が存在する場合にはろ過
により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない
有機溶剤を加え、水洗後、目的化合物を含む有機層を分
離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去す
ることによって得られる。得られた目的化合物は必要な
らば、常法、例えば再結晶、再沈殿、または通常、有機
化合物の分離精製に慣用されている方法、例えば、シリ
カゲル、アルミナ、マグネシウムーシリカゲル系のフロ
リジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフ
ィー法;セファデックスLH−20(ファルマシア社
製)、アンバーライトXAD−11(ローム・アンド・
ハース社製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化成
(株)社製)ような担体を用いた分配カラムクロマトグ
ラフィー等の合成吸着剤を使用する方法、またはシリカ
ゲルもしくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆相カ
ラムクロマトグラフィー法(好適には、高速液体クロマ
トグラフィーである。)を適宜組合せ、適切な溶離剤で
溶出することによって分離、精製することができる。
【0067】本発明の A−76356は抗菌作用を有
し、細菌感染症の予防薬または治療薬として有用であ
る。
【0068】本発明の A−76356を細菌感染症の
予防薬または治療薬として用いる場合、種々の形態で投
与される。その投与形態としては特に限定はなく、各種
製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度
等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒
剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカ
プセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合
には単独であるいはぶどう糖、アミノ酸等の通常の補液
と混合して静脈内投与され、更には必要に応じて単独で
筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の
場合には直腸内投与される。
【0069】これらの各種製剤は、常法に従って主薬に
賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、溶解剤、矯味矯臭、
コーティング剤等既知の医薬製剤分野において通常使用
しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
【0070】錠剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ぶどう糖、尿素、澱粉、
炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ぶどう糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメ
チルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸
カリウム、ポリビニルピロリドン糖の結合剤、乾燥澱
粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン
末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナ
トリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等
の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加
油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル
硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の
保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、
硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示で
きる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、
例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコ
ーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができ
る。
【0071】丸剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
ぶどう糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリ
ン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント
末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカン
テン等の崩壊剤等が例示できる。坐剤の形態に成形する
に際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広
く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオ
脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼ
ラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
【0072】注射剤として調製される場合には、液剤お
よび懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ま
しく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形する
に際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されて
いるものを全て使用でき、例えば水、エチルアルコー
ル、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリル
アルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙
げることができる。なお、この場合、等張性の溶液を調
製するに十分な量の食塩、ぶどう糖、あるいはグリセリ
ンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解
補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0073】更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、
風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せしめてもよい。
【0074】上記医薬製剤中に含まれる有効成分化合物
の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通
常全組成物中1−70重量%、好ましくは1−30重量
%含まれる量とするのが適当である。
【0075】その投与量は症状、年齢、体重、投与方法
および剤形等によって異なるが通常は成人に対して1
日、上限として10、000mg(好ましくは1000
mg、更に好ましくは100mg)であり、下限として
0.1mg(好ましくは1mg、更に好ましくは10m
g)を投与することができる。
【0076】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0077】実施例1.A−76356 ミクロモノスポラ・エスピー SANK62395株を
A培地(グルコース3.0%、大豆粉 3.0%、生イ
ースト 1.0%、炭酸カルシウム 0.2%、硫酸マ
グネシウム・7水和物 0.4%、消泡剤 0.01
%)100mlを含む500ml容三角フラスコ2本に
一白金耳接種し、210rpmの回転振盪培養機により
28℃で144時間培養した。この培養液2mlをA培
地100mlを含む500ml容三角フラスコ23本に
接種して、210rpmの回転振盪培養機により、28
℃で96時間培養した。培養液 1.8リットルは吸引
ろ過し、ろ液1.5リットルを得た。得られたろ液はダ
イアイオンHP20(三菱化成(株)製)150mlに
吸着させ、750mlの脱イオン水で洗浄後、50%ア
セトン水750mlで溶出した。溶出液よりアセトンを
留去し、300mlまで濃縮した。次いで、これに1N
塩酸を加えてpH3.5に調製後、300mlの酢酸エ
チルで2回抽出した。得られた酢酸エチル抽出液 60
0mlを濃縮すると、オイルとして470mg得られ
た。次に得られた470mgを少量のメタノールに溶解
し、0.5gのシリカゲル粉末(メルク社製)にコーテ
ィングした後、メタノールを除去し、次いであらかじめ
ジクロルメタンで充填したシリカゲルカラム(30g)
に付した。ジクロルメタンを200ml流し、さらにジ
クロルメタン:メタノール溶液(98:2)で200m
l流した後、ジクロルメタン:メタノール溶液(95:
5)400mlで溶出した。得られた活性フラクション
を2mlまで濃縮し、分取用HPLC(カラム:ODS
−H−4251(サイズ、φ10x250mm、センシ
ュー科学(株)社製)、溶媒:40%アセトニトリル
水、流速:1.5ml/分、検出:250nm)で1
4.07分のピークを分取すると、A−76356の1
8.3mgが得られた。更に同条件でHPLC分取を繰
り返すことにより、純度95%のA−76356が 1
3mg得られた。
【0078】
【試験例】試験例1 A−76356の抗菌作用 一般グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌に対するA−
76356の最小阻止濃度(MIC)は、普通寒天培地
(栄研化学(株)社製)を用いた寒天培地希釈法によっ
て測定した。結果を表4に示す。
【0079】
【表4】 ─────────────────────────────────── 被検菌 最小阻止濃度MIC(μg/ml) ─────────────────────────────────── スタフィロコッカス アウレウス 209P JC-1 25 スタフィロコッカス アウレウス 56R 100 スタフィロコッカス アウレウス 535(MRSA) 50 バチルス ズブチリス ATCC 6633 50 エンテロコッカス フェカリス 681 25 クレブシエラ ニューモニアエ 806 50 ─────────────────────────────────── 表4から明かのごとく、A−76356はMRSAを含
むスタフィロコッカスアウレウス、またエンテロコッカ
ス フェカリスなどの一般グラム陽性菌、グラム陰性菌
に対して効果を示した。
【0080】
【製剤例】次に、製剤例をあげる。製剤例1 経口用カプセル剤
【0081】
【表5】 処方 A−76356 30 mg 乳糖 170 mg トウモロコシ澱粉 150 mg ステアリン酸マグネシウム 2 mg ─────────────────────────── 352 mg 上記処方の粉末を混合し、30メッシュのふるいを通し
た後、この粉末352mgをゼラチンカプセルに入れ、
カプセル剤とする。
【0082】
【発明の効果】本発明の新規化合物A−76356は抗
菌作用を示し、各種細菌感染症の予防薬または治療薬と
して有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎田 竜三 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 を有するA−76356、その塩またはそのカルボキシ
    ル基の保護された化合物。
  2. 【請求項2】以下の理化学的性状: 1)物質の性状:酸性、脂溶性 2)比旋光度:[α]25 D −27.1°(C 0.
    7, メタノール) 3)分子式: C122226 (高分解能質量分析法
    により測定) 4)分子量: 290(FAB−MS:[M+H]+
    291) 5)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε) メタノール中で測定した紫外線吸収スペクトルは次に示
    す通りである。252(11、200) 6)赤外線吸収スペクトル: νmax cm-1 臭化カリウム(KBr)錠中で測定した赤外線吸収スペ
    クトルは、次に示す通りである。3335, 2958, 171
    4, 1639, 1540, 1465, 1260, 1090,980,
    949, 845, 633 7) 1H−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm) 重クロロホルム中、内部基準にTMS(テトラメチルシ
    ラン)を使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(400M
    Hz)は次に示す通りである。0.95(3H,d), 0.96(3H,
    d), 1.15(3H,d), 1.42(1H,m),1.55(1H,m), 1.60
    (1H,m), 2.39(1H,m), 3.71(1H,d),3.85(3H,s),
    4.26(1H,m), 6.87(1H,s) 8)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm) 重クロロホルム中、内部基準にTMS(テトラメチルシ
    ラン)を使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(100M
    Hz)は次に示す通りである。179.3(s), 161.6(s), 11
    0.4(d), 75.0(d), 55.0(q), 49.2(d),45.2(d), 4
    3.2(t), 25.9(d), 23.3(q), 22.8(q), 14.5(q) 9)溶解性:水に不溶、メタノール、アセトン、酢酸エ
    チルに可溶。ベンゼンに難溶。 10)呈色反応:ヨード、過マンガン酸カリウムに陽
    性。ニンヒドリンに陰性。 11)薄層クロマトグラフィー: Rf値:0.29 吸着剤:シリカゲル(メルク社製、Art.5715) 展開溶剤:ジクロルメタン:メタノール:蟻酸=90:
    10:1 13)高速液体クロマトグラフィー: カラム:コスモシル5C18−AR(サイズ、φ6x15
    0mm、ナカライ科学(株)社製) 溶剤:アセトニトリル−水−トリエチルアミン=55:
    44:1の混合液にリン酸を加えてpH4.0に調整し
    た液 流速:0.5ml/分 保持時間:7.4分、 を有する抗生物質A−76356、その塩またはそのカ
    ルボキシル基の保護された化合物。
  3. 【請求項3】ミクロモノスポラ属に属するA−7635
    6生産菌を培養し、その培養液よりA−76356を採
    取することを特徴とするA−76356の製造法。
  4. 【請求項4】ミクロモノスポラ(Micromonospora)属に
    属するA−76356生産菌がミクロモノスポラ・エス
    ピー(Micromonospora sp. )SANK62395株で
    ある請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】A−76356、その塩またはそのカルボ
    キシル基の保護された化合物からなる医薬。
  6. 【請求項6】A−76356、その塩またはそのカルボ
    キシル基の保護された化合物を有効成分とする細菌感染
    症の予防薬または治療薬。
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