JPH11124368A - 生理活性物質、その製造法及び剤 - Google Patents

生理活性物質、その製造法及び剤

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JPH11124368A
JPH11124368A JP9289497A JP28949797A JPH11124368A JP H11124368 A JPH11124368 A JP H11124368A JP 9289497 A JP9289497 A JP 9289497A JP 28949797 A JP28949797 A JP 28949797A JP H11124368 A JPH11124368 A JP H11124368A
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JP
Japan
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group
compound
agent
helicobacter pylori
acid
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Withdrawn
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JP9289497A
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English (en)
Inventor
Kenichiro Miyagawa
権一郎 宮川
Shigetoshi Tsuboya
重利 坪谷
Masafumi Nakao
雅文 中尾
Yoshitaka Nakano
芳孝 中埜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヘリコバクター属菌に対して特異的に強い抗菌
性を示す抗ヘリコバクター・ピロリ剤を提供する。 【解決手段】一般式(I) 【化1】 〔式中、Rは置換されていてもよいアミノ基を示す〕で
表される化合物またはその塩、その製造法および医薬組
成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は胃、十二指腸潰瘍な
どの治療剤として有用な生理活性作用を有するHC−6
9関連化合物およびこれらを含んでなる抗ヘリコバクタ
ー・ピロリ(Helicobacter pylori)剤に関する。
【0002】
【従来の技術】潰瘍治療剤としては、制酸剤、抗コリン
剤、抗ガストリン剤、消化管ホルモン剤、抗ペプシン
剤、ヒスタミンH2 受容体拮抗剤、組織修復剤、粘膜保
護剤、微小循環改善剤、プロトンポンプ阻害剤等が開発
されてきた。特に、これら潰瘍治療剤の中で、強力な酸
分泌抑制作用を有しているヒスタミンH2 受容体拮抗剤
及びプロトンポンプ阻害剤の開発によって、潰瘍の治療
は容易になった。 しかしながら、これら潰瘍治療剤
は、潰瘍再発の抑制効果が充分とは言い難い。一方、ヘ
リコバクター・ピロリは、ヘリコバクター(Helicobact
er)属に属するグラム陰性の微好気性細菌であり、胃
炎、十二指腸潰瘍、胃潰瘍等の再発の大きな原因となる
可能性が示唆されている。多くの抗菌剤は、それぞれに
in vitro のヘリコバクター属に属する微生物の増殖を
容易に阻害するが、これらの抗菌剤は、invivo で単独
で投与された場合、ヒト及び動物実験での有効性は極め
て低い。このヘリコバクター・ピロリに起因する各種疾
患の治療には、現在ビスマス製剤と抗生物質の二剤併用
や、ビスマス製剤、メトロニダゾール(米国特許第2,
944,061号)、及びテトラサイクリン(例えば米
国特許第2,712,517号)若しくはアモキシシリン
(米国特許第3,192,198号)の三剤併用等による
化学療法が行われている。また、最近では、プロトンポ
ンプ阻害薬、アモキシシリン及びクラリスロマイシンの
三剤を併用することが有効であることが見出されている
(Gut 1995, 37巻 (supplment 1): A365)(Gastr
oenterology 1996 , 110巻 : A171 )。これらビス
マス製剤、メトロニダゾール、プロトンポンプ阻害薬、
及び抗生物質等は、内服の形で投与されている。又、臨
床試験では、この微生物を根絶すると、潰瘍が治り、再
発率が低下することが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】今後、より優れた抗ヘ
リコバクター・ピロリ剤(特に単剤として有効な医薬
品)の開発品が待たれている。そこで本発明は、単剤で
優れた抗菌活性、特にヘリコバクター・ピロリなどのヘ
リコバクター属菌に対する強い抗菌活性を有し、副作用
が少なく臨床上優れた予防治療効果を発揮する新しい医
薬を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、微生物培養液より単離
されたHC−69関連化合物がヘリコバクター・ピロリ
に代表されるヘリコバクター属細菌に対して極めて特異
的に、且つ優れた抗菌作用を有することを見い出し、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、 1)一般式(I)
【化2】 〔式中、Rは置換されていてもよいアミノ基を示す〕で
表される化合物またはその塩、 2)Rがアシルアミノ基である上記1)項記載の化合
物、 3)アシルアミノ基が1個ないし複数個連結したアミノ
酸残基で置換されたアミノ基である上記2)項記載の化
合物、 4)アミノ酸残基がα−アミノ酸残基である上記3)項
記載の化合物、 5)1個ないし複数個連結したアミノ酸残基で置換され
たアミノ基がアラニルアラニル基で置換されたアミノ基
である上記3)項記載の化合物、 6)上記1)項記載の化合物を含有してなる医薬、 7)上記1)項記載の化合物を含有することを特徴とす
る抗ヘリコバクター・ピロリ剤、 8)ヘリコバクター・ピロリ感染疾患予防治療剤である
上記7)項記載の抗ヘリコバクター・ピロリ剤、 9)ヘリコバクター・ピロリ感染疾患が胃もしくは十二
指腸潰瘍、胃炎または胃癌である上記8)項記載の抗ヘ
リコバクター・ピロリ剤、 10)上記1)項記載の化合物とそれ以外の抗菌剤とを
組み合わせてなる抗ヘリコバクター・ピロリ剤、 11)それ以外の抗菌剤がアモキシシリン、クラリスロ
マイシンおよびメトロニダゾールから選ばれた1種以上
である上記10)項記載の抗ヘリコバクター・ピロリ
剤、 12)上記1)項記載の化合物と潰瘍治療剤とを組み合
わせてなる抗ヘリコバクター・ピロリ剤、 13)潰瘍治療剤がプロトンポンプインヒビターである
上記12)項記載の抗ヘリコバクター・ピロリ剤、 14)プロトンポンプインヒビターがランソプラゾール
である上記13)項記載の抗ヘリコバクター・ピロリ
剤、 15)バチルス属に属し上記5)項記載の化合物を生産
する能力を有する微生物を培地に培養し、培養液中に該
化合物を生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴と
する上記5)項記載の化合物の製造法、 16)微生物がバチルス・レンタスである上記15)項
記載の製造法、 17)微生物がバチルス・レンタスHC−69株である
上記15)項記載の製造法、 18)上記5)項記載の化合物の生産能を有するバチル
ス・レンタス、および 19)上記5)項記載の化合物の生産能を有するバチル
ス・レンタスHC−69、に関する。
【0005】一般式(I)においてRで示される置換さ
れていてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、
アシルアミノ基等が用いられる。Rで表される「アシル
アミノ基」の「アシル基」としては、下記で述べるアミ
ノ酸残基が1個ないし複数個連結したものであってもよ
い以外に、例えば置換されていてもよいアルカノイル
基、置換されていてもよいアロイル基、置換されていて
もよい複素環カルボニル基、置換されていてもよいカル
バモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル
基、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換
されていてもよいアリールスルホニル基、置換されてい
てもよいスルファモイル基、置換されていてもよいアル
コキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオ
キシカルボニル基などが挙げられる。これらの中では、
例えば置換されていてもよいアルカノイル基、置換され
ていてもよいアロイル基、置換されていてもよい複素環
カルボニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、
置換されていてもよいチオカルバモイル基などが好まし
い。
【0006】該「置換されていてもよいアルカノイル
基」の「アルカノイル基」としては、例えばC1-20アル
カノイル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニ
ル、イソプロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキ
サノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、
ラウロイル、ウンデカノイル、ミリストイル、パルミト
イル、ステアロイルなど)などが挙げられ、特にC1-6
アルカノイル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピ
オニル、イソプロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、
ヘキサノイルなど)などが好ましい。該「置換されてい
てもよいアロイル基」の「アロイル基」としては、例え
ばC7-16アロイル基(例えば、ベンゾイル、1−ナフト
イル、2−ナフトイルなど)などが挙げられる。該「置
換されていてもよい複素環カルボニル基」の「複素環カ
ルボニル基」としては、炭素原子以外にヘテロ原子(例
えば、窒素、酸素、硫黄など)を1ないし4個含む5ま
たは6員複素環カルボニル基(例えば、3−ピロリルカ
ルボニル、2−イミダゾリルカルボニル、1−ピラゾリ
ルカルボニル、3−イソチアゾリルカルボニル、3−イ
ソオキサゾリルカルボニル、ピラジニルカルボニル、2
−ピリミジニルカルボニル、3−ピラジニルカルボニ
ル、2−インドリジニルカルボニル、2−イソインドリ
ルカルボニル、1−インドリルカルボニル、2−フロイ
ル、2−テノイル、ニコチニル、イソニコチニル、モル
ホリノカルボニル、ピペリジノカルボニル、ピペラジノ
カルボニルなど)などが挙げられる。
【0007】該「置換されていてもよいアルキルスルホ
ニル基」の「アルキルスルホニル基」としては、例えば
1-20アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニ
ル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロ
ピルスルホニルなど)などが挙げられ、特にC1-6アル
キルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチル
スルホニル、プロピルスルホニルなど)などが好まし
い。該「置換されていてもよいカルバモイル基」は、カ
ルバモイル基、モノ置換カルバモイル基、ジ置換カルバ
モイル基を含み、その置換基としては、例えばC1-6
ルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、イソブチルなど)、C6-14アリール基
(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルな
ど)、C7-16アラルキル基(例えば、ベンジルなど)、
1-6アルカノイル基(例えば、アセチル、プロピオニ
ル、イソプロピオニル、ブチリルなど)、C7-16アロイ
ル基(例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフ
トイルなど)、5または6員の複素環カルボニル基(例
えば、3−ピロリルカルボニル、2−イミダゾリルカル
ボニル、1−ピラゾリルカルボニル、3−イソチアゾリ
ルカルボニル、3−イソオキサゾリルカルボニル、ピラ
ジニルカルボニル、2−ピリミジニルカルボニル、3−
ピラジニルカルボニル、2−インドリジニルカルボニ
ル、2−イソインドリルカルボニル、1−インドリルカ
ルボニル、2−フロイル、2−テノイル、ニコチニル、
イソニコチニル、モルホリノカルボニル、ピペリジノカ
ルボニル、ピペラジノカルボニルなど)などが挙げられ
る。該「置換されていてもよいカルバモイル基」の好ま
しい例としては、例えばモノ−またはジ−C1-6アルカ
ノイル−カルバモイル基(例えば、アセチルカルバモイ
ルなど)などが挙げられる。
【0008】該「置換されていてもよいチオカルバモイ
ル基」は、チオカルバモイル基、モノ置換チオカルバモ
イル基、ジ置換チオカルバモイル基を含み、その置換基
としては、例えばC1-6アルキル基(例えば、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル
など)、C6-14アリール基(例えば、フェニル、1−ナ
フチル、2−ナフチルなど)、C7-16アラルキル基(例
えば、ベンジルなど)、C1-6アルカノイル基(例え
ば、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチ
リルなど)、C7-16アロイル基(例えば、ベンゾイル、
1−ナフトイル、2−ナフトイルなど)、5または6員
の複素環カルボニル基(例えば、3−ピロリルカルボニ
ル、2−イミダゾリルカルボニル、1−ピラゾリルカル
ボニル、3−イソチアゾリルカルボニル、3−イソオキ
サゾリルカルボニル、ピラジニルカルボニル、2−ピリ
ミジニルカルボニル、3−ピラジニルカルボニル、2−
インドリジニルカルボニル、2−イソインドリルカルボ
ニル、1−インドリルカルボニル、2−フロイル、2−
テノイル、ニコチニル、イソニコチニル、モルホリノカ
ルボニル、ピペリジノカルボニル、ピペラジノカルボニ
ルなど)などが挙げられる。該「置換されていてもよい
チオカルバモイル基」の好ましい例としては、例えばモ
ノ−またはジ−C1-6アルカノイル−チオカルバモイル
基(例えば、アセチルチオカルバモイルなど)などが挙
げられる。
【0009】該「置換されていてもよいアリールスルホ
ニル基」の「アリールスルホニル基」としては、例えば
6-14アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホ
ニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニ
ルなど)などが挙げられる。該「置換されていてもよい
スルファモイル基」の「スルファモイル基」は、スルフ
ァモイル基、モノ置換スルファモイル基、ジ置換スルフ
ァモイル基などを含み、その置換基としては、例えばC
1-6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチルなど)、C6-14アリ
ール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチ
ルなど)、C7-16アラルキル基(例えば、ベンジルな
ど)などが挙げられる。該「置換されていてもよいアル
コキシカルボニル基」の「アルコキシカルボニル基」と
しては、例えばC1-20アルコキシ−カルボニル基(例え
ば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポ
キシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシ
カルボニル、イソブトキシカルボニルなど)などが挙げ
られ、例えばC1-6アルコキシ−カルボニル基(例え
ば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポ
キシカルボニルなど)などが挙げられる。
【0010】該「置換されていてもよいアリールオキシ
カルボニル基」の「アリールオキシカルボニル基」と
は、C6-14アリールオキシ−カルボニル基(例えば、フ
ェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、
2−ナフチルオキシカルボニルなど)などを示す。
【0011】Rの「アシルアミノ基」の「アシル基」に
おいて「アルカノイル基、アロイル基、複素環カルボニ
ル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、アルキル
スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル
基、アウコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基」が有していてもよい置換基としては、本発明の目
的が達成される限り、特に限定されないが、例えばアミ
ノ基、モノ−またはジ−C1-6アルキルアミノ基(例え
ば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イ
ソプロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノな
ど)、モノ−またはジ−C6-10アリールアミノ基(例え
ば、フェニルアミノ、ジフェニルアミノなど)、モノ−
またはジ−C7-11アラルキルアミノ基(例えば、ベンジ
ルアミノ、ジベンジルアミノなど)、アジド基、ニトロ
基、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素な
ど)、ヒドロキシル基、C1-6アルコキシ基(例えば、
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブ
トキシなど)、C6-10アリールオキシ基(例えば、フェ
ノキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシな
ど)、C7-11アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオ
キシなど)、ホルミルオキシ基、C1-6アルキル−カル
ボニルオキシ基(例えば、アセトキシ、プロピオニルオ
キシなど)、C6-10アリール−カルボニルオキシ基(例
えば、ベンゾイルオキシなど)、C7-11アラルキル−カ
ルボニルオキシ基(例えば、ベンジルカルボニルオキシ
など)、スルホニルオキシ基、C1-6アルキルスルホニ
ルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシなど)、
メルカプト基、C1-6アルキルチオ基(例えば、メチル
チオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオな
ど)、C6-10アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、
1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオなど)、C7-11
ラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオなど)、ホスホ
ノオキシ基、シアノ基、カルバモイル基、モノ−または
ジ−C1-6アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカ
ルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイ
ル、ジエチルカルバモイルなど)、モノ−またはジ−C
6-10アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバ
モイル、ジフェニルカルバモイルなど)、モノ−または
ジ−C7-11アラルキルカルバモイル基(例えば、ベンジ
ルカルバモイル、ジベンジルカルバモイルなど)、カル
ボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基(例え
ば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、
6-10アリールオキシ−カルボニル基(例えば、フェノ
キシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、2−
ナフチルオキシカルボニルなど)、C7-11アラルキルオ
キシ−カルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニ
ルなど)、ホルミル基、C1-6アルキル−カルボニル基
(例えば、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニ
ル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイルなど)、C
6-10アリール−カルボニル基(例えば、ベンゾイル、1
−ナフトイル、2−ナフトイルなど)、C7-11アラルキ
ル−カルボニル基(例えば、ベンジルカルボニルな
ど)、スルホ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例え
ば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなど)、
6-10アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスル
フィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルス
ルフィニルなど)、C1-6アルキルスルホニル基(例え
ば、メチルスルホニル、エチルスルホニルなど)、C
6-10アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニ
ル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル
など)、C1-6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブ
チルなど)、C2-6アルケニル基(例えば、ビニル、アリ
ル、2−ブテニルなど)、C2-6アルキニル基(例えば、
エチニル、プロパルギルなど)、C3-6シクロアルキル
基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなど)、C3-6シクロアルケニ
ル基(例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シ
クロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなど)、C6-10
アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナ
フチルなど)、1ないし3環式複素環基(例えば、窒
素、酸素、硫黄から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個
含む5または6員環1ないし3個から形成される複素環
基:ピリジル、ピラジル、ピリミジル、キノリル、イソ
キノリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリ
ル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリ
ル、フリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニ
ル、ベンズイミダゾリル、キナゾリル、ピロリジニル、
ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラ
ゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニ
ル、インドリジル、イソインドリジル、モルホリニルな
ど)、1ないし3環式複素環チオ基(例えば、前記の複
素環基にチオ基が結合した基、具体的には、4−ピリジ
ルチオ、2−ピリミジルチオ、1,3,4−チアジアゾー
ル−2−イルチオ、5−テトラゾリルチオ、2−ベンゾ
チアゾリルチオ、8−キノリルチオなど)などが用いら
れる。これらの置換基は、前記「アルカノイル基、アロ
イル基、複素環カルボニル基、カルバモイル基、チオカ
ルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基」上に化学的に許容される
範囲において置換され、この置換基の数は1ないし5、
好ましくは1ないし3個である。ただし、置換基の数が
2個以上の場合は同一または異なっていてもよい。これ
らの置換基は、化学的に許されるならば、さらに、アミ
ノ基、モノ−またはジ−C1-6アルキルアミノ基、ニト
ロ基、ハロゲン、ヒドロキシル基、C1-6アルコキシ
基、C1-6アルキル−カルボニルオキシ基、スルホニル
オキシ基、C1-6アルキルスルホニルオキシ基、メルカ
プト基、C1-6アルキルチオ基、ホスホノオキシ基、シ
アノ基、カルバモイル基、モノ−またはジ−C1-6アル
キルカルバモイル基、カルボキシル基、C1-6アルコキ
シ−カルボニル基、ホルミル基、C1-6アルキル−カル
ボニル基、スルホ基、C1-6アルキルスルフィニル基な
どから選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていて
もよい。
【0012】Rは、また式Ra−Rb−RC−NH−〔Ra
は水素原子または置換されていてもよいアミノ酸残基
を、RbおよびRcは同一または異なって結合手、置換さ
れていてもよいアミノ酸残基またはY−Rd−(Rdは置
換されていてもよいアミノ酸残基からイミノ基を除いた
基を、Yは−O−、−S−または−NRe−(Reは水素
原子または低級アルキル基を示す)を示す)〕で表わさ
れる基で例示することもできる。ここで、Ra、Rbおよ
びRcで示される「アミノ酸残基」およびRdで示される
「アミノ酸残基からイミノ基を除いた基」におけるアミ
ノ酸とは、カルボン酸の母体構造の水素原子の少なくと
も1つがアミノ基に置換された基を総称するものであ
り、炭素数2ないし20の母体構造を有するα−、β
−、γ−またはδ−アミノ酸等が挙げられる。このよう
なアミノ酸の例としては、α−アミノ酸が好ましく、例
えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギ
ン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシ
ン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メ
チオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレ
オニン、トリプトファン、チロシン、バリン等のアミノ
酸やその他、ノルバリン、ノルロイシン、2−アミノア
ジピン酸、2−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、1−
アミノシクロプロパンカルボン酸、1−アミノシクロペ
ンタンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン
酸、チロニン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒド
ロキシリジン、(2−ナフチル)アラニン、アザグリシ
ン等のアミノ酸等が例示される。
【0013】また、ここにおけるアミノ酸としては環状
イミノ酸も含まれる。「環状イミノ酸」としては、シク
ロアルカンカルボン酸またはシクロアルケンカルボン酸
のメチレン基の少なくとも1つがイミノ基に置換された
ものが挙げられ、具体的にはプロリン、ヒドロキシプロ
リン、3,4−デヒドロプロリン、ピペコリン酸、アジ
リジンカルボン酸、2−アゼチジンカルボン酸等が挙げ
られ、例えばプロリン、ヒドロキシプロリンまたはピペ
コリン酸等が好ましい。そして、本明細書におけるアミ
ノ酸残基は、一般にペプチド化学で用いられているアミ
ノ酸残基であってよく、前記アミノ酸より導かれるもの
等が用いられる。
【0014】Rdで示される「アミノ酸残基からイミノ
基(−NH−)を除いた基」としては、前記したアミノ
酸残基よりイミノ基を除いたアシル基等が用いられ、例
えば直鎖状または分岐鎖状のC1-10アルキル基(例えば
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イ
ソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−エチ
ルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オク
チル、デシル等)、C2-10アルケニル基(例えばビニ
ル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メ
チル−1−プロペニル、1−、2−または3−ブテニ
ル、2−エチル−1−ブテニル、3−メチル−2−ブテ
ニル、1−、2−、3−または4−ペンテニル、4−メ
チル−3−ペンテニル、1−、2−、3−、4−または
5−ヘキセニル、その他特定の位置に二重結合を有する
ヘプテニル、オクテニル、デセニル等)、C7-20アラル
キル基(例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプ
ロピル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、9
−フルオレニルメチル等)、C3-7シクロアルキル(例
えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、C3-7シクロア
ルケニル(例えば2−シクロペンテン−1−イル、3−
シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−
イル、3−シクロヘキセン−1−イル等)、C6-15アリ
ール(例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナ
ントリル、アセナフチレニル、フルオレニル等)、C
3-20単環式もしくは縮合多環式複素環アラルキル基(例
えば4−イミダゾリルメチル、3−ピリジルメチル、4
−チアゾリルメチル、3−インドリルメチル、3−キノ
リルメチル等)等を母体構造として有するカルボン酸よ
り導かれるアシル基等が挙げられる。
【0015】これらのアミノ酸残基およびアミノ酸残基
からイミノ基を除いた基は、それぞれ適当な位置に置換
基を1個以上好ましくは1ないし3個有していてもよ
く、それらの置換基としては例えば、アミノ基、アシル
置換アミノ基、グアニジノ基、アシルグアニジノ基、ア
シルアミジノ基、アミジノ基、アシル基、カルバモイル
基、N−モノ−またはジ−低級アルキルカルバモイル
基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニルオキシ
基、ヒドロキシル基、アシルヒドロキシル基、低級アル
コキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アシルメルカ
プト基、低級アルキルチオ基、フェニルチオ基、スルホ
基、シアノ基、アジド基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロ
ゲン原子等が挙げられる。ここにおいてアシル置換アミ
ノ基、アシルグアニジノ基、アシルアミジノ基、アシル
ヒドロキシル基およびアシルメルカプト基における置換
基としての「アシル基」としては、前記したRの「アシ
ルアミノ基」の「アシル基」と同様なものが挙げられ
る。
【0016】「低級アルキルカルバモイル基」の低級ア
ルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチルなどのC1-6アルキ
ル基が挙げられる。「低級アルコキシカルボニルオキシ
基」としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ、エ
トキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキ
シ、イソプロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボ
ニルオキシ、イソブトキシカルボニルオキシ等のC1-6
アルコキシ−カルボニルオキシ基等が挙げられる。「低
級アルコキシ基」としては、例えばメトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブト
キシ等のC1-6アルコキシ基等が挙げられる。
【0017】「低級アルキルチオ基」としては例えば、
メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピル
チオ等のC1-6アルキルチオ基等が挙げられる。Reで示
される低級アルキル基としては、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキ
シルなどのC1-6アルキル基などが挙げられる。
【0018】本発明における化合物の製造法を以下に述
べる。一般式(I)においてRがアシル基で置換された
アミノ基である化合物またはその塩は、例えば一般式
(I)においてRがアミノ基である化合物またはその塩
とカルボン酸またはその塩あるいはその反応性誘導体と
を反応させることにより製造することができる。
【0019】上記反応におけるカルボン酸の反応性誘導
体は、例えば 酸ハロゲン化物法、アジド法、混合酸無
水物法(“他の酸”として塩化イソブチルオキシカルボ
ニルや塩化ピバル酸等が用いられる)、対称酸無水物
法、さらには縮合剤としてN,N'−カルボジイミダゾー
ル、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N'
−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−
エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロ
キノリン、ジエチル ホスホロシアニダート、ジフェニ
ル ホスホリルアジド、2−(1H−ベンゾトリアゾー
ル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウ
ム・テトラフルオロボレイト、2−(1H−ベンゾトリ
アゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウ
ロニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリア
ゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)
ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾト
リアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−
ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ブロモ−
トリス−ピロリジノ−ホスホニウム・ヘキサフルオロホ
スフェート、2−(5−ノルボルネン−2,3−ジカル
ボキシイミド)−テトラメチルウロニウム テトラフル
オロボレイト等を用いる方法、また4−ジメチルアミノ
ピリジン、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オ
キソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ
こはく酸イミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミド、1−ヒドロキシベンゾト
リアゾール等の存在下に上記縮合剤を作用させる方法、
もしくはこれらを用いた活性エステル法等を用いること
により、製造することができる。
【0020】上記反応は、通常、溶媒中で、一般式
(I)においてRがアミノ基である化合物またはその塩
に対してカルボン酸またはその塩あるいはその反応性誘
導体を0.5ないし10モル当量用いて行われる。溶媒
としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム
等のハロゲン化炭化水素類、例えばヘキサン、ヘプタ
ン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類、例えばジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類、例えばアセトニトリル等のニトリル類、例えば
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、例えばN,
N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、例えば酢酸
エチル等のエステル類等または水が用いられる。これら
の溶媒は単独で用いることもできるし、また必要に応じ
て二種またはそれ以上の多種類を適当な割合、例えば
1:1ないし1:10の割合で混合して用いてもよい。
反応温度は、通常−80ないし100℃、好ましくは−
50ないし50℃程度である。反応時間は、1ないし9
6時間、好ましくは1ないし72時間程度である。
【0021】式Ra−Rb−Rc−においてRa、Rb、Rc
の各ユニット間の結合がアミド結合あるいはエステル結
合のいずれの場合においても、他の官能基が適当な保護
基により保護されていてもよいRdのカルボン酸を活性
化し、これともう一方の適当な保護基により保護されて
いてもよいアミンあるいはアルコール化合物とを縮合す
る事ができる。縮合反応の後は必要ならば精製操作を経
て部分的に保護基を除去し、次の同様の縮合反応に付す
こともできるし、得られた縮合生成物が保護された最終
目的物の場合は全保護基を除去し、必要な場合は精製し
て純粋な目的物を得る事ができる。上記の一連の合成反
応で用いられる種々のアミノ基、カルボキシル基、ヒド
ロキシル基、カルボニル基等の保護基としては下記のよ
うなものを用いることができる。
【0022】アミノ基の保護基としては、例えばホルミ
ル、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、ト
リクロロアセチル、トリフルオロアセチル、アセトアセ
チル、o−ニトロフェニルアセチル等のアミドを形成す
るタイプの保護基;例えばtert−ブトキシカルボニル、
ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキ
シカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、
2−クロロベンジルオキシカルボニル、2,4−ジクロ
ロベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカ
ルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、
2−トリメチルシリルエトキシカルボニル、1−メチル
−1−(4−ビフェニリル)エトキシカルボニル、9−
フルオレニルメトキシカルボニル、9−アントリルメト
キシカルボニル、イソニコチニルオキシカルボニル、1
−アダマンチルオキシカルボニル等のカルバメートを形
成するタイプの保護基;ならびにトリチル、フタロイル
等が挙げられる。
【0023】水酸基の保護基としては、例えばメトキシ
メチル、ベンジルオキシメチル、tert−ブトキシメチ
ル、2−メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシ
リル)エトキシメチル、メチルチオメチル、2−テトラ
ヒドロピラニル、4−メトキシ−4−テトラヒドロピラ
ニル、2−テトラヒドロピラニル、ベンジル、p−メト
キシベンジル、p−ニトロベンジル、o−ニトロベンジ
ル、2,6−ジクロルベンジル、トリチル等のエーテル
を形成するタイプの保護基;例えばトリメチルシリル、
トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、イソプロ
ピルジメチルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、te
rt−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシ
リル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル、メチ
ルジフェニルシリル等のシリルエーテルを形成するタイ
プの保護基;例えばホルミル、アセチル、クロロアセチ
ル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、ピバロイ
ル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、2−ブロ
モベンジルオキシカルボニル等のエステルを形成するタ
イプの保護基等が挙げられる。カルボキシル基の保護基
の好適な例としては、例えばメチル、エチル、メトキシ
メチル、メトキシエトキシメチル、ベンジルオキシメチ
ル、tert−ブチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、
p−ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、ベンズヒド
リル、トリチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ト
リメチルシリルエチル、アリル、シクロヘキシル、シク
ロペンチル、フェナシル等のエステルを形成するタイプ
の保護基;例えばトリメチルシリル、トリエチルシリ
ル、tert−ブチルジメチルシリル、イソプロピルジメチ
ルシリル、ジメチルフェニルシリル等のシリルエステル
を形成するタイプの保護基等が挙げられる。
【0024】カルボニル基の保護基としては、例えばジ
メチル、ジエチル、ジベンジル、ジアセチル等のアセタ
ールやケタール、もしくはジチオアセタールやジチオケ
タールを形成するタイプの保護基;置換されていてもよ
い1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン類を形成す
るタイプや1,3−ジチアンや1,3−ジチオランを形成
するタイプ、さらには、N,N−ジメチル、2,4−ジニ
トロフェニル等の置換ヒドラゾンを形成するタイプの保
護基等が挙げられる。これらのアミノ基の保護基、水酸
基の保護基、カルボニル基の保護基およびカルボキシル
基の保護基を除去する方法としては、例えば酸による方
法、塩基による方法、還元による方法、紫外線による方
法、ヒドラジンによる方法、フェニルヒドラジンによる
方法、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウムにる方
法、テトラブチルアンモニウムフルオリドによる方法、
酢酸パラジウムによる方法、塩化水銀による方法、ルイ
ス酸による方法等が挙げられ、これら一般的な方法ある
いはその他の公知の手段を適宜選択して用いることがで
きる。ここで、酸による方法は、アミド、エステル、シ
リルエステル、シリルエーテル等を加水分解する一般的
な方法の一つであり、対応する保護基の脱離に適用され
る。例えばtert−ブトキシカルボニル、p−メトキシベ
ンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボ
ニル、9−アントリルメトキシカルボニル、1−メチル
−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル、ダマン
チルオキシカルボニル、トリチル等で保護されたアミノ
基;例えばメトキシメチル、tert−ブトキシメチル、2
−テトラヒドロピラニル、4−メトキシ−4−テトラヒ
ドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、トリチル等
で保護されたヒドロキシル基等の脱保護にも繁用され
る。使用される酸の好適な例としては、例えばギ酸、ト
リフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等の有機酸;例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸等
の無機酸等が挙げられる。
【0025】塩基による方法は、酸による方法と同様に
アミド、エステル等を加水分解する一般的な方法の一つ
であり、対応する保護基の脱離に適用される。例えば、
9−フルオレニルメトキシカルボニルで保護されたアミ
ノ基の脱保護には有機塩基類が有効に用いられる。使用
される塩基の好適な例としては、例えば水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アル
カリ金属、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の
水酸化アルカリ土類金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム等の炭酸アルカリ金属、炭酸マグネシウム、炭酸カル
シウム等の炭酸アルカリ土類金属、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属、酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸アルカリ金属、リン
酸カルシウム、リン酸マグネシウム等のリン酸アルカリ
土類金属、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリ
ウム等のリン酸水素アルカリ金属ならびにアンモニア水
等の無機塩基;例えばトリメチルアミン、トリエチルア
ミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリ
ン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピ
ペリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシ
クロ〔4.3.0〕ノン−5−エン、1,4−ジアザビシ
クロ〔2.2.2〕オクタン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕−7−ウンデセン等の有機塩基等が挙げら
れる。
【0026】還元による方法は、例えばトリクロロアセ
チル、トリフルオロアセチル、o−ニトロフェニルアセ
チル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ベン
ジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカル
ボニル、2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニル、
イソニコチニルオキシカルボニル、トリチル等で保護さ
れたアミノ基;例えばベンジル、p−ニトロベンジル等
で保護されたヒドロキシル基;例えばベンジルオキシメ
チル、ベンジル、p−ニトロベンジル、フェナシル、
2,2,2−トリクロルエチル、ベンズヒドリル等で保護
されたカルボキシル基等の脱保護に適用される。使用さ
れる還元法の好適な例としては、例えば水素化ホウ素ナ
トリウムによる還元、亜鉛/酢酸による還元、接触還元
等が挙げられる。紫外線による方法は、例えばo−ニト
ロベンジルで保護されたヒドロキシル基ならびにカルボ
キシル基の脱保護に用いられる。ヒドラジンによる方法
は、例えばフタロイルで保護されたアミノ基(例えばフ
タルイミド基等)の脱保護に用いられる。フェニルヒド
ラジンによる方法は、例えばアセトアセチルで保護され
たアミノ基の脱保護に用いられる。
【0027】N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム
による方法は、例えばクロロアセチルで保護されたアミ
ノ基ならびにヒドロキシル基の脱保護に用いられる。テ
トラブチルアンモニウムフルオリドによる方法は、例え
ば2−トリメチルシリルエチルカルバメート、シリルエ
ーテル類ならびにシリルエステル類から保護基を除去
し、それぞれアミノ基、ヒドロキシル基ならびにカルボ
キシル基を得る方法として用いられる。酢酸パラジウム
による方法は、例えばアリルエステルから保護基を除去
してカルボキシル基を得る方法として用いられる。塩化
水銀による方法は、例えばメチルチオメチルで保護され
たヒドロキシル基の脱保護に用いられる。ルイス酸によ
る方法は、例えば2−メトキシエトキシメチルで保護さ
れたヒドロキシル基の脱保護に用いられる。使用される
ルイス酸の好適な例としては、例えば臭化亜鉛、四塩化
チタン等が挙げられる。また上記した一連の反応で得ら
れる、中間体、生成物、最終生成物は、必要に応じて、
公知のあるいはそれに準ずる分離精製手段、例えば濃
縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマ
トグラフィー等により単離精製することができる。
【0028】また、本発明において、例えば一般式
(I)においてRがアシルアミノ基である化合物のうち
アミノ基がアラニルアラニル基で置換された化合物(以
下「HC−69類」と称することもある)は微生物を利
用する以下の方法で製造することができる。本製造法に
おいて用いられる微生物としては、例えばメキシコ国産
土壌から分離されたバチルス・レンタスHC−69が挙
げられる。HC−69株の分類学的性状について常法に
従って調べたところ、本菌は好気的に増殖するグラム陽
性の運動性桿菌で、細菌の大きさは幅が0.8μm、長
さが3.3〜5.9μmで、内生胞子を形成し、その形
状は楕円形であり形成部位は細胞の中央部、胞子嚢の膨
張は認められなかった。細胞壁ジアミノ酸としてはメソ
ージアミノピメリン酸を含み、キノン系はメナキノンー
7(MK−7)、DNAのG+Cの含量は34.7モル
%、主要な菌体脂肪酸はanteiso−C150、iso−C
150であった。その他の生理・生化学的性状を〔表
1〕に示した。 〔表1〕 HC−69株の形態学的および生理学的性状 グラム染色 + 運動性 + 胞子形成 + 胞子の形 楕円形 胞子嚢の膨張 − コロニーの色 黄橙色 酸素要求性 絶対好気性 澱粉分解能 − カゼイン分解能 + ゲラチン分解能 + 硝酸塩の還元能 + カタラーゼ産生 + pH4.5での増殖 − pH9.0での増殖 − フエニールアラニン脱アミノ反応 − 糖からの酸生成 グルコース ± キシロース − アラビノース − フラクトース ± ホゲス・プロスカウア・テスト − V−Pブロスでの 培養後のpH 6.64 チロシン分解能 + 食塩要求性 − 栄養要求性 + これらのデータをBergey's Manual of Systematic Bach
teriology Vol.2に記載の分類基準に照らした結果、H
C−69株はバチルス・レンタス(Bacillus lentus)
であると同定された。上記バチルス・レンタスHC−6
9株は財団法人発酵研究所に平成9年9月30日から寄
託番号IFO−16114として寄託されており、又本
微生物は、日本国通商産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所(NIBH,日本国茨城県つくば市谷田部町東
1丁目1番3号)に平成9年10月15日から寄託番号
FERM BP−6144として寄託されている。
【0029】バチルス属菌は、微生物の一般的性質とし
て自然的または変異剤によって変異を起こし得る。たと
えばX線、ガンマー線、紫外線等の放射線の照射、更に
は単胞子分離、種々の薬剤による処理または薬剤を含有
する培地上での培養、その他の手段で変異させて得られ
る多くの変異株、あるいは自然的に得られる突然変異株
であっても、化合物HC−69類を生産する性質を有す
るものはすべて本発明の方法に利用し得る。
【0030】本発明方法の培養に用いられる培地は用い
られる菌株が利用し得る栄養源を含むものなら、液状で
も固状でもよいが、大量に処理するときには液体培地を
用いるのがより適当である。培地には同化し得る栄養
源、消化し得る窒素源、無機物質、微量栄養素を適宜配
合される。炭素源としては、たとえばブドウ糖、乳糖、
ショ糖、麦芽糖、デキストリン、でん粉、グリセリン、
マンニトール、ソルビトール、油脂類(例、大豆油、オ
リーブ油、ヌカ油、ゴマ油、ラード油、チキン油な
ど)、窒素源としては、たとえば肉エキス、酵母エキ
ス、乾燥酵母、大豆粉、コーン・スチープ・リカー、ペ
プトン、綿実粉、廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類
(例、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アン
モニウム、酢酸アンモニウムなど)その他が用いられ
る。さらにナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネ
シウムなどを含む塩類、鉄、マンガン、亜鉛、コバル
ト、ニッケルなどの金属塩、りん酸、ホウ酸などの塩類
や酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類が適宜用いら
れる。その他、アミノ酸(例、グルタミン酸、アスパラ
ギン酸、アラニン、リジン、バリン、メチオニン、プロ
リン等)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチン酸、B
12、C等)、核酸類(例、プリン、ピリミジンおよびそ
の誘導体)等を含有させてもよい。もちろん培地の pH
を調節する目的で無機または有機の酸、アルカリ類、緩
衝剤等を加え、あるいは消泡の目的で油脂類、表面活性
剤等の適量を添加される。
【0031】培養の手段は静置培養も、振盪培養あるい
は通気撹拌培養等の適宜の手段を選択し得る。大量の処
理には、いわゆる深部通気撹拌培養によるのが望ましい
ことはいうまでもない。培養の条件は培地の状態、組
成、菌株の種類、培養の手段によって一定しないのは当
然であるが、それらは通常15℃〜37℃の温度で、初
発 pH約5〜9付近に選択するのがよい。とりわけ、培
養中期の温度は20℃〜30℃、また初発pHは約6〜
8の条件が望ましい。培養時期も前記の諸条件により一
定しないが、該目的化合物濃度が最大となるまで培養す
るのがよい。これに要する時間は液体培地を用いる振盪
培養または通気撹拌培養の場合は通常約1〜10日間程
度である。生成した化合物HC−69類は、その化学的
性質に従って培養物から抽出、精製することが可能であ
る。培養物から目的とする化合物HC−69類を採取す
るには、微生物の生産する代謝物をその微生物培養物か
ら採取するのに通常使用される分離手段が適宜利用され
る。例えばHC−69類は水溶性塩基性物質の性質を示
し、主として培養上清中に含まれるので、まず培養液か
らろ過あるいは遠心分離によって菌体を除去する。
【0032】得られた培養上清液をさらに精製し、純粋
なHC−69類を得るには周知の種々のクロマトグラフ
ィー法が有利に用いられる。クロマトグラフィーの担体
としては活性炭〔例、クロマト用活性炭または粒状白鷺
炭(武田薬品工業社製)等〕、吸着性樹脂〔例、ダイヤ
イオンHP−20またはHP−20S、セパビーズSP
−207またはSP−850(三菱化学社製)、アンバ
ーライトXAD−IまたはXAD−II(ローム・アンド
・ハース社製、米国)等〕、微結晶セルロース〔例、ア
ビセル(旭化成社製)、フナセル(フナコシ株式会社
製)等〕、シリカゲル〔例、キーゼルゲル60(メルク
社製、ドイツ)等〕など化合物の吸着性の差を利用する
もの、または陽イオン交換樹脂〔例、アンバーライトI
R−120、IRC−50またはCG−50(ローム・
アンド・ハース社製、米国)、ダウエックス50W(ダ
ウ・ケミカル社製,米国)、ダイヤイオンPK216
(三菱化学社製)、CNP−80(バイエル社製、ドイ
ツ)等〕、陰イオン交換樹脂〔例、アンバーライトIR
A−402、IRA−67またはIRA−68(ローム
・アンド・ハース社製,米国)、ダウエックス1(ダウ
・ケミカル社製、米国)、ダイヤイオンSA21A、P
A−406、PA−412またはWA−30(三菱化学
社製)等〕、イオン交換セルロース〔 CM−セルロー
ス(ファルマシア社製、スウェーデン)等〕、イオン交
換セファデックス〔例、QAE−セファデックスまたは
CM−セファデックス(ファルマシア社製、スウェーデ
ン)等〕など化合物の官能基の差を利用するもの、ある
いは分子ふるい性担体〔例、セファデックスG−10ま
たはLH−20(ファルマシア社製、スウェーデン)
等〕など化合物の分子量の差を利用するもの等が有利に
用いられる。クロマトグラフィーに用いる溶媒として
は、担体の種類、性質によって組み合わせが異なるが、
例えば水、アルカリ(例、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等)含有水溶
液、酸(例、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、リン酸等)含有
水溶液、塩類含有水溶液(例、食塩水、酢酸緩衝液、リ
ン酸緩衝液等)および水と混和し得る有機溶媒(例、メ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセ
トン、アセトニトリル等)などの単独あるいは適宜の割
合の混合溶媒が用いられる。
【0033】さらに、本発明においては目的化合物を精
製する場合に分取用高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)法も有利に用いられる。この方法を適用する場
合、担体としてはオクタデシルシラン(ODS)系、ポ
リマー系およびシリカゲル系のものが有利に用いられ
る。例えばODS系の場合、YMCゲル(ワイエムシイ
社製)あるいはTSKゲル(東ソー社製)などが、ポリ
マー系の場合、ポリマーにオクタデシル基を導入したO
DP(旭化成社製)あるいはポリマーにポリアミンを導
入したNH2P(旭化成社製)などが用いられる。移動
相としては水、酸含有水溶液、塩類含有水溶液、メタノ
ール、アセトニトリルなどの単独あるいは適宜の割合の
混合溶液が有利に用いられる。後述する実施例2で得ら
れた化合物1および化合物2の物理化学的性質を以下に
示す。
【0034】化合物1 1)外観:白色粉末 2)比旋光度:+27゜(c=0.57、水、25℃) 3)分子量:FAB−マススペクトル;m/z 586(M +
H)+ 4)元素分析値:(%)(水分2モルとして計算) 実測値;C, 37.79; H, 7.03; N, 20.98; Cl, 14.33 計算値;C, 37.79; H, 6.89; N, 21.07; Cl, 14.55 5)分子式:C2343117・3HCl 6)UVスペクトル:λmax(ε) 水中;230 nm (10,900、肩) 0.1N塩酸中;末端吸収 0.1N水酸化ナトリウム水中;235 nm (17,300、肩) 7)IRスペクトル:KBr錠剤中、主な吸収を示す
(波数、cm-1、図1)。 3370, 1740, 1660, 1540, 1390, 1330, 1260 8)13C−NMRスペクトル:重水中、主なシグナルを
示す。 (75 MHz、δppm 図2) 180.9, 176.7, 175.7, 173.4, 159.7, 69.5, 57.5, 56.
4, 55.8, 52.8,51.8, 51.3, 44.0, 42.6, 40.3, 31.7,
31.5, 26.9, 19.4, 19.4 9)アミノ酸分析:6N塩酸中、110℃で24時間加
水分解後、分析。 アラニン 10)呈色反応: 陽性;ニンヒドリン、坂口反応 陰性;エールリッヒ反応 11)溶解性: 可溶;水 難溶;ジエチルエーテル、アセトン 12)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): カラム;YMC‐Pack ODS‐A, A‐312, 150x6.0 mm(ワ
イエムシイ社製) 移動相;0.1Mリン酸緩衝液(pH7) 流 速;1.0ml/分 検出法;UV吸収、214nm 保持時間;6.8分 13)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担 体;微結晶セルロース、薄層クロマトグラフィー
用スポットフィルム(東京化成社製) 展開溶媒;アセトニトリル/水/25%アンモニア水
(20:10:0.6) Rf値;0.14
【0035】化合物2 1)外観:白色粉末 2)比旋光度:−20゜(c=0.64、水、24℃) 3)分子量:FAB−マススペクトル;m/z 586 (M+H)
+ 4)元素分析値:(%)(水分2モルとして計算) 実測値;C, 37.85; H, 7.01; N, 21.28; Cl, 13.68 計算値;C, 37.79; H, 6.89; N, 21.07; Cl, 14.55 5)分子式:C2343117・3HCl 6)UVスペクトル:λmax(ε) 水中;230 nm (12,000、肩) 0.1N塩酸中;末端吸収 0.1N水酸化ナトリウム水中;235 nm (16,900、肩) 7)IRスペクトル:KBr錠剤中、主な吸収を示す
(波数、cm-1、図3)。 3390, 1740, 1650, 1540, 1400, 1260 8)13C−NMRスペクトル:重水中、主なシグナルを
示す。 (75 MHz、δppm 図4) 180.9, 176.7, 175.4, 173.4, 159.7, 69.6, 57.4, 55.
8, 54.3, 52.8,51.8, 49.5, 43.8, 42.5, 40.3, 31.7,
31.4, 26.8, 19.4, 19.3, 16.8 9)アミノ酸分析:6N塩酸中、110℃で24時間加
水分解後、分析。 アラニン 10)呈色反応: 陽性;ニンヒドリン、坂口反応 陰性;エールリッヒ反応 11)溶解性: 可溶;水 難溶;ジエチルエーテル、アセトン 12)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): カラム;YMC‐Pack ODS‐A, A‐312, 150 x 6.0 mm(ワ
イエムシイ社製) 移動相;0.1Mリン酸緩衝液(pH7) 流 速;1.0ml/分 検出法; UV吸収、214nm 保持時間;8.6分 13)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担 体;微結晶セルロース、薄層クロマトグラフィー
用スポットフィルム(東京化成社製) 展開溶媒;アセトニトリル/水/25%アンモニア水 (20:10:0.6) Rf値;0.14
【0036】化合物1および化合物2は下記に示す同一
の平面構造式を有し、*の位置の立体構造が異なるジア
ステレオマーである。
【化3】 また、化合物1および化合物2は溶液中で下記に示す構
造も取り得る。
【化4】 本発明においては、上記のいずれの化合物も包含する。
一般式(I)においてRがアラニルアミノ、アミノ基で
ある化合物またはその塩は、例えば一般式(I)におい
てRがアラニルアラニルアミノ基である化合物またはそ
の塩を酵素と反応させることにより製造することができ
る。用いられる酵素としては、例えばエキソペプチダー
ゼ(例、ロイシンアミノペプチダーゼ等)、蛋白分解酵
素〔例、アクチナーゼE(科研製薬社製)等〕などが挙
げられる。 反応は、通常水溶液中で行われ、pHを調
整する目的で無機または有機の酸またはアルカリ類、緩
衝剤などを加えても差し支えない。反応温度は、酵素反
応が進行する限り特に限定されないが、通常約10℃な
いし50℃、好ましくは20℃ないし40℃で行われ
る。反応時間は、用いられる酵素の種類および量、反応
温度、溶液のpHなどにより異なるが,通常数分から数
十時間反応させる。この様にして得られるRがアラニル
アミノ基である化合物(化合物3)およびRがアミノ基
である化合物(化合物4)の構造式は下記の通りであ
る。
【化5】
【化6】 一般式(I)で表される化合物またはその塩は以下、化
合物(I)と称することもある。
【0037】本発明の化合物(I)の塩としては薬理学
的に許容しうる塩基付加塩または酸付加塩があげられ
る。塩基付加塩としては、例えばアルカリ金属(例、ナ
トリウム、カリウム等)との塩あるいはアルカリ土類金
属(例、カルシウム、マグネシウム等)との塩などが挙
げられる。酸付加塩としては、例えば無機酸(例、塩
酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸等)との塩あ
るいは有機酸(例、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク
酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アス
コルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエ
ンスルホン酸、ケイ皮酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ
酸等)との塩などが挙げられる。また、一般式(I)で
表される化合物またはその水和物および非水和物も本発
明の範囲に包含されるものである。
【0038】本発明の化合物(I)は、自体公知の手
段、例えば、溶媒抽出、液性変換、転溶、晶出、再結
晶、クロマトグラフィーなどによって単離、精製するこ
とができる。また、本発明の化合物(I)の原料化合物
またはその塩は、前記と同様の公知の手段などによって
単離、精製することができるが、単離することなくその
まま反応混合物として次の工程の原料として供されても
よい。本発明の化合物(I)が、光学異性体、立体異性
体、位置異性体または回転異性体を含有する場合には、
これらも本発明の化合物に包含されるとともに、自体公
知の合成手法、分離手法によりそれぞれ単品として得る
ことができる。例えば、本発明の化合物に光学異性体が
存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体
も本発明に包含される。光学異性体は自体公知の方法に
より製造することができる。具体的には、光学活性な合
成中間体を用いるかもしくは最終物のラセミ体の混合物
を常法に従って光学分割することにより光学異性体を得
る。光学分割法としては、自体公知の方法、例えば、下
記の分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー
法などが用いられる。
【0039】(1)分別再結晶法 ラセミ体と光学活性な化合物とで塩を形成させ、これを
分別再結晶法によって分離し、所望により、中和工程を
経てフリーの光学異性体を得る方法。 (2)キラルカラム法 ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラ
ルカラム)にかけて分離する方法。例えば、液体クロマ
トグラフィーの場合、ENANTIO-OVM(トーソー社製)な
どのキラルカラムに光学異性体の混合物を添加し、水、
種々の緩衝液(例、リン酸緩衝液など)、有機溶媒
(例、エタノール、メタノール、アセトニトリルなど)
を単独あるいは混合した溶液として展開させることによ
り、光学異性体を分離する。また、例えば、ガスクロマ
トグラフィーの場合、CP-Chirasil-DeXCB(ジーエルサ
イエンス社製)などのキラルカラムを使用して分離す
る。 (3)ジアステレオマー法 ラセミ体の混合物を光学活性な試薬と化学反応によって
ジアステレオマーの混合物とし、これを通常の分離手段
(例えば、分別再結晶、クロマトグラフィー法など)な
どを経て単一物質とした後、加水分解反応などの化学的
な処理により光学活性な試薬部位を切り離すことにより
光学異性体を得る方法。例えば、本発明の化合物が分子
内に水酸基または1ないし2級アミノ基を有する場合、
該化合物と光学活性な有機酸(例えば、MPTA[α−
メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニル酢
酸]、(−)−メントキシ酢酸など)などとを縮合反応
に付すことにより、それぞれエステル体またはアミド体
のジアステレオマーが得られる。一方、本発明の化合物
がカルボン酸を有する場合、該化合物と光学活性アミン
またはアルコール試薬とを縮合反応に付すことにより、
それぞれアミド体またはエステル体のジアステレオマー
が得られる。分離されたジアステレオマーは、酸加水分
解あるいは塩基性加水分解反応に付すことにより、もと
の化合物の光学異性体に変換される。
【0040】本発明の化合物(I)又はその塩は、新規
物質であり、その用途は抗ヘリコバクター・ピロリ薬に
限定されるものでないことは当然であるが、抗菌作用、
特にヘリコバクター・ピロリに代表されるヘリコバクタ
ー属菌に対する強い抗菌活性を有するために、抗菌剤と
して、上記のようなヘリコバクター・ピロリの感染に起
因する「十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃炎(慢性胃炎を含
む)、胃癌など」の予防又は治療に有効である。化合物
(I)又はその薬理学的に許容される塩を含有する本発
明製剤は、抗菌剤及び抗潰瘍剤として、ヒト等の哺乳動
物(例えば、人、犬、猫、サル、ラット、マウス、馬、
牛等)に経口的又は非経口的に投与することができ、一
般に、経口的な投与が好ましい。経口投与する場合の剤
形の例としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーテ
ィング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤
(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁
剤等があげられる。また、非経口投与する場合の剤形と
しては、例えば注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤等があげ
られる。
【0041】本発明製剤中の化合物(I)またはその塩
の含有量は、通常2〜85重量%、好ましくは5〜70
重量%である。化合物(I)又はその塩を上記の剤形に
製造する方法としては、当該分野で一般的に用いられて
いる公知の製造方法を適用することができる。また、上
記の剤形に製造する場合には、必要に応じて、その剤形
に製する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、
結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化
剤、乳化剤等を適宜、適量含有させて製造することがで
きる。例えば、化合物(I)又はその塩を錠剤に製する
場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含有さ
せて製造することができ、丸剤及び顆粒剤に製する場合
には、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有させて製造する
ことができる。また、散剤及びカプセル剤に製する場合
には、賦形剤等を、シロップ剤に製する場合には、甘味
剤等を、乳剤及び懸濁剤に製する場合には、懸濁化剤、
界面活性剤、乳化剤等を含有させて製造することができ
る。賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でん
ぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニト
ール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カ
ルシウム等があげられる。結合剤の例としては、5〜1
0重量%デンプンのり液、10〜20重量%アラビアゴ
ム液又はゼラチン液、1〜5重量%トラガント液、カル
ボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、
グリセリン等があげられる。崩壊剤の例としては、でん
ぷん、炭酸カルシウム等があげられる。滑沢剤の例とし
ては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステ
アリン酸カルシウム、精製タルク等があげられる。甘味
剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトー
ル、キシリトール、グリセリン、単シロップ等があげら
れる。界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステ
ル、ステアリン酸ポリオキシル40等があげられる。懸
濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリ
ウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチル
セルロース、ベントナイト等があげられる。乳化剤の例
としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリ
ソルベート80等があげられる。
【0042】更に、化合物(I)又はその塩を上記の剤
形に製造する場合には、所望により、製剤分野において
通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定
剤、粘稠剤等を適宜、適量添加することができる。化合
物(I)又はその医薬的に許容される塩を含有する本発
明製剤は、安定かつ低毒性で安全に使用することができ
る。その1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種
類、投与経路等によって異なるが、ヘリコバクター・ピ
ロリ感染に起因する胃潰瘍の患者に対して経口投与する
場合には、成人(体重約60kg)1日当たりの投与量は
有効成分(化合物(I)またはその塩)として1〜50
0mgであり、約10〜200mgが好ましい。
【0043】上記の投与量の範囲では、毒性は見られな
い。また、本発明製剤において化合物(I)又はその塩
は、他の抗菌剤及び抗潰瘍剤と併用して投与することも
できる。上記、化合物(I)またはその塩と併用するこ
とができる他の抗菌剤としては、例えば、ニトロイミダ
ゾール抗生物質(例えば、チニダゾール及びメトロニダ
ゾール)、テトラサイクリン類(例えば、テトラサイク
リン、ドキシサイクリン及びミノサイクリン)、ペニシ
リン類(例えば、アモキシシリン、アンピシリン及びメ
ズロシリン)、セファロスポリン類(例えば、セファク
ロル、セファドロキシル、セファドリン、セフロキシ
ム、セフロキシムアクセチル、セファレキシン、セフポ
ドキシムプロキセチル、セフタジジム及びセフトリアク
ソン)、カルバペネム類(例えば、イミペネム及びメロ
ペネム)、アミノグリコシド類(例えば、パロモマイシ
ン)、マクロリド抗生物質(例えば、エリスロマイシ
ン、クラリスロマイシン及びアジスロマイシン)、リン
コサミド抗生物質(例えば、クリンダマイシン)、リフ
ァマイシン類(例えば、リファンピシン)並びにニトロ
フラントインを挙げることができる。また、化合物
(I)またはその塩と併用することができる抗潰瘍剤と
しては、例えばプロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプ
ラゾール,ランソプラゾール)またはH2 アンタゴニス
ト(例えば、ラニチジン、シメチジン及びファモチジ
ン)などが挙げられる。上記他の抗菌剤および抗潰瘍剤
は二種以上組合せて用いることができる。この場合上記
他の抗菌剤の投与量は経口投与の場合成人1日当り1〜
500mg、好ましくは5〜200mgであり、上記抗潰瘍
剤の投与量は経口投与の場合成人1日当り0.5〜10
00mg、好ましくは1〜500mgである。
【0044】
【発明の実施の形態】以下に実施例、実験例、製剤例を
あげて本発明を更に詳しく説明するが、これによって本
発明が限定されるものではない。なお、パーセント
(%)は、特に断りの無い限り、重量/容量パーセント
を示す。また、溶媒の混合比率は、特に断りの無い限
り、容量比を示す。NMRスペクトルは、ブルカーAC
−300スペクトルメーターを用いて測定した。また、
本明細書中の記号は次のような意味を有する。d:ダブ
レット、t:トリプレット、dd:ダブルダブレット、
m:マルチプレット、br.:幅広い
【0045】
【実施例】
実施例1 グルコース0.1%,トリプトン0.5%,酵母エキス
0.25%,寒天1.5%からなる斜面培地上に予め十分
に生育したバチルス・レンタスーHC−69株の一白金
耳を、グルコース2.0%,可溶性澱粉3.0%,コーン
・スチープ・リカー0.3%,生大豆粉1.0%,ポペプ
トン0.5%,酵母エキス0.1%,オート・ミール・ア
ガー0.2%,塩化ナトリウム0.3%および沈降性炭酸
カルシウム0.5%からなる pH7.0の種培養培地50
0mlを分注滅菌した2L 容坂口フラスコに接種して、往
復振盪機上で28℃で1日間培養した。この培養液50
0mlをグルコース0.5%,デキストリン5.0%,脱脂
大豆粉3.5%,酵母エキス0.5%,沈降性炭酸カルシ
ウム0.7%,アクトコール0.05%及びシリコーン
0.05%からなる pH6.5の主培養培地120L を含
む200L容発酵槽に移植し、温度22℃、内圧1.0k
g/cm2, 通気120L/min, 撹拌120rpm の条件下で
42時間培養を行なった。この条件で培養を2バッチ行
った。
【0046】実施例2 実施例1で得られた培養液(120リットル)2バッチ
分を、ろ過補助剤(ラジオライト 600、昭和化学工
業社製)を用いてろ過した。ろ液(262リットル)を
pH7に補正後、CNP−80(NH4型、30リット
ル)のカラムクロマトグラフィーに付した。水(90リ
ットル)で洗浄後、2Nアンモニア水(90リットル)
で溶出した。溶出液を減圧下30リットルまで濃縮し、
IRA−67(OH型、3リットル)、SP−207
(10リットル)のカラムを順次通過させ、水(30リ
ットル)で洗浄した。SP−207のカラムから0.0
2N塩酸(50リットル)で溶出分画し、HC−69−
IおよびIIを含む画分を集めた。得られた溶液をpH4
に調整後、CM−Sephadex C−25(Na
型、400ml)のカラムクロマトグラフィーに付し
た。0.2M食塩水(2リットル)で洗浄後、0.2M
食塩水(2リットル)、0.3M食塩水(3リットル)
で順次溶出した。溶出液をpH3に調整後、粒状白鷺炭
(200ml)のカラムクロマトグラフィーに付し、水
(600ml)で洗浄後、50%(V/V)イソプロピ
ルアルコール水(600ml)で溶出した。溶出液を凍
結乾燥し、粗粉末(3.7g)を得た。得られた粗粉末
を3回に分けて分取HPLC〔カラム;YMC-Pack SH-36
3-15,ODS(ワイエムシイ社製)、移動相;0.1Mリン
酸緩衝液(pH7)、流速;12ml/分〕に付し、H
C−69−Iを含む画分とHC−69−IIを含む画分を
得た。HC−69−Iを含む画分はIRA−402(C
l型、150ml)のカラムを通過させ、水(150m
l)で洗浄した。通過液と水洗液を合わせ、pH5に調
整後、粒状白鷺炭(50ml)のカラムクロマトグラフ
ィーに付し、水洗(150ml)後、50%(V/V)
イソプロピルアルコール水(200ml)で溶出した。
溶出液を濃縮後、凍結乾燥してHC−69−I(化合物
1)の三塩酸塩を403mg得た。HC−69−IIを含
む画分も同様に処理してHC−69−II(化合物2)の
三塩酸塩を397mg得た。
【0047】実施例3 化合物2(171mg)を0.04Mリン酸緩衝液(p
H7,34ml)に溶解し、ロイシンアミノペプチダー
ゼ M(15ユニット,シグマ社製)を添加し、37℃
で1時間反応させた。反応液をpH5に調整後、粒状白
鷺炭(30ml)のカラムクロマトグラフィーに付し
た。水(90ml)で洗浄後、50%(v/v)イソプロピ
ルアルコール水(90ml)、0.05N塩酸/50%
(v/v)イソプロピルアルコール水(60ml)で順次溶
出し、溶出液を濃縮した。得られた濃縮液を分取HPL
C〔カラム;YMC-Pack SH-363-15, ODS(ワイエムシイ
社製)、移動相;0.1Mリン酸緩衝液(pH7)、流
速;9ml/分〕に付し、化合物3を含む画分と化合物
4を含む画分を得た。化合物3を含む画分はIRA−4
02(Cl型、30ml)のカラムを通過させ、水(3
0ml)で洗浄した。通過液と水洗液を合わせ、pH5
に調整後、粒状白鷺炭(5ml)のカラムクロマトグラ
フィーに付し、水洗(15ml)後、50%(V/V)
イソプロピルアルコール水(25ml)で溶出した。溶
出液を濃縮後、凍結乾燥して化合物3(28mg)を三
塩酸塩として得た。化合物4を含む画分も同様に処理し
て化合物4(43mg)を三塩酸塩として得た。 化合物31 H−NMR(D2O中、δppm) ;1.14-1.26 (3H, br.
d, J = 6.5 Hz), 1.56 (3H, d, J = 7.0 Hz), 1.60-2.1
7 (6H, m), 2.66 (1H, dd, J = 8.5, 15.0 Hz), 2.75
(1H, dd, J = 4.0, 15.0 Hz),3.28-3.46 (5H, m), 4.04
-4.27 (4H, m), 5.00-5.12 (1H, br.) SI−マススペクトル;m/z 515 (M + H)+ 化合物41 H−NMR(D2O中、δppm) ;1.10-1.25 (3H, b
r), 1.60-1.85 (2H, m), 1.85-2.18 (4H, m), 2.66 (1
H, dd,J = 8.5, 14.5 Hz), 2.75 (1H, dd, J = 4.0, 1
4.5 Hz), 3.24-3.48 (5H, m), 3.78 (1H, t, J = 6.0 H
z), 3.96-4.16 (1H, br.), 4.22 (1H, m), 4.85-5.05
(1H, br.) SI−マススペクトル;m/z 444 (M + H)+
【0048】実験例1 in vitro 抗菌試験:ヘリコバ
クター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対する in v
itro 抗菌活性試験 被験菌として、ヘリコバクター・ピロリ(NCTC 1
1637)菌を使用し、化合物1および化合物2の抗菌
活性は以下の方法[寒天希釈(Agar Dilution)法]に
よって測定した。化合物1、化合物2を各々ジメチルス
ルホキシドに溶解し、滅菌蒸留水で2倍ずつ段階的に希
釈することによって被験サンプルを調製した。培地とし
て7%馬血液加 Brucella agar を使用し、調製した被
験サンプル2ミリリットルを、各々7%馬血液加 Bruce
lla agar 18ミリリットルと混和することによって、
測定用平板を作製した。ヘリコバクター・ピロリ菌は、
2.5%牛胎児血清添加 Brucella broth 培地を使用し
て、CampyPakTM(BBLR Beckton Dickinson Microbio
logy Systems)を挿入したガスパックジャー中で、37
℃、20時間振盪培養して、種菌液とした。2.5%牛
胎児血清添加 Brucella broth 培地を用いて約106
FU/mlに調整した各種菌液5マイクロリットルを、各
々の測定用平板に接種し、CampyPakTMと水を含ませた脱
脂綿を挿入したガスパックジャー中で、37℃、4日間
培養した。培養後、菌株の発育を肉眼で観察し、菌株の
発育が観察されない最低濃度を該被験化合物のMIC値
(最小発育阻止濃度)とした。化合物1は0.78(μ
g/ml),化合物2は0.4(μg/ml)のMIC
値をそれぞれ示した。
【0049】実験例2 in vivo 抗菌活性試験:マウス
(Crj:ICR、雄、5週齢)を20時間絶食させた後、ヘリコ
バクター・ピロリTN2F4をマウス当たり107.54CFU
胃内に接種した。感染13日後から0.5%メチルセル
ロース水溶液に懸濁した被験化合物の50 mg/kgを
1日朝夕2回、2日間経口投与した。最終投与翌日に感
染マウスの胃を摘出して破砕し、その10倍希釈系列を活
性炭添加変法Skirrow培地に接種して微好気条件下37℃
で4日間培養を行い、菌の発育の有無をもとに除菌効果
を求めた。結果を〔表2〕に示す。なお、細菌数は平均
±標準誤差で表し、対照群に対してDunnett検定を行っ
た。〔表2〕において**はP<0.01を示す。 〔表2〕 検体 投与用量 除菌率 細菌検索 (mg/kg) (%) (LogCFU/胃壁)(注1) 対照(注2) 0 0/4(0) 4.60±0.14 化合物2 50 2/4(50) 1.48±0.18** (注1) 平均値±標準誤差 (注2) 0.5%メチルセルロース溶液 ** p<0.01 〔表2〕に示す通り、化合物2は50mg/kg使用で
で胃内菌数は極端に減少し、被検マウス4匹中2匹には
ヘリコバクターピロリは全く見出されなかった。(除菌
率50%)。従って、ヘリコバクター・ピロリ感染に起
因する胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌の予防および
治療に本発明製剤が有効であることが分かる。
【0050】製剤例 本発明の化合物2またはその塩を有効成分として含有し
てなる、ヘリコバクター・ピロリ感染症治療剤として使
用する場合、次のような処方によって製造することがで
きる。 (1)、(2)と(3)の全量及び(4)の1/2を混和した後、顆
粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカ
プセルに封入する。 (1)、(2)と(3)の全量及び(4)の2/3及び(5)の1/2
を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)及び(5)を
この顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
【0051】
【発明の効果】一般式(I)で表される化合物又はその
塩は、ヘリコバクター・ピロリに代表されるヘリコバク
ター属菌に対して極めて特異的な強い抗菌活性を有す
る。従って、一般式(I)で表される化合物又はその塩
を使用すれば、ヘリコバクター属菌(特にヘリコバクタ
ー・ピロリ)に対する従来の抗菌剤の有効量より非常に
少ない投与量で望ましい抗ヘリコバクター・ピロリ剤と
しての効果を得ることができる。一般式(I)で表され
る化合物又はその塩は、ヘリコバクター属菌に起因する
十二指腸潰瘍、胃潰瘍、慢性胃炎、胃癌等の各種の疾患
の予防又は治療に有効であり、ヘリコバクター・ピロリ
は潰瘍を再発させる大きな原因でもあるため、一般式
(I)で表される化合物又はその塩は、潰瘍の再発防止
にも有効である。また、一般式(I)で表される化合物
又はその塩は、スタフィロコッカス属またはバチルス属
等のグラム陽性菌、及びエシェリヒア属、シウドモナス
属、プロテウス属、クレビシエラ属、セラチア属、サル
モネラ属、シテロバクター属及びアルカリゲネス属など
のようなグラム陰性菌に対する抗菌作用を示さない。従
って、本発明の一般式(I)で表される化合物又はその
塩は、ヘリコバクター属細菌の疾患の予防又は治療に選
択的に有効であり、その他の細菌及び真菌類への影響が
極めて少なく、副作用のない安全な薬剤として使用しう
る。 一般式(I)で表される化合物又はその塩は、安
定かつ低毒性である。即ち、本発明は、副作用のない優
れた抗ヘリコバクター・ピロリ剤を提供するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた化合物1のIRスペクトル
を示す図である。
【図2】実施例2で得られた化合物1の 13C−NMR
スペクトルを示す図である。
【図3】実施例2で得られた化合物2のIRスペクトル
を示す図である。
【図4】実施例2で得られた化合物2の 13C−NMR
スペクトルを示す図である。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 〔式中、Rは置換されていてもよいアミノ基を示す〕で
    表される化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】Rがアシルアミノ基である請求項1記載の
    化合物。
  3. 【請求項3】アシルアミノ基が1個ないし複数個連結し
    たアミノ酸残基で置換されたアミノ基である請求項2記
    載の化合物。
  4. 【請求項4】アミノ酸残基がα−アミノ酸残基である請
    求項3記載の化合物。
  5. 【請求項5】1個ないし複数個連結したアミノ酸残基で
    置換されたアミノ基がアラニルアラニル基で置換された
    アミノ基である請求項3記載の化合物。
  6. 【請求項6】請求項1記載の化合物を含有してなる医
    薬。
  7. 【請求項7】請求項1記載の化合物を含有することを特
    徴とする抗ヘリコバクター・ピロリ剤。
  8. 【請求項8】ヘリコバクター・ピロリ感染疾患予防治療
    剤である請求項7記載の抗ヘリコバクター・ピロリ剤。
  9. 【請求項9】ヘリコバクター・ピロリ感染疾患が胃もし
    くは十二指腸潰瘍、胃炎または胃癌である請求項8記載
    の抗ヘリコバクター・ピロリ剤。
  10. 【請求項10】請求項1記載の化合物とそれ以外の抗菌
    剤とを組み合わせてなる抗ヘリコバクター・ピロリ剤。
  11. 【請求項11】それ以外の抗菌剤がアモキシシリン、ク
    ラリスロマイシンおよびメトロニダゾールから選ばれた
    1種以上である請求項10記載の抗ヘリコバクター・ピ
    ロリ剤。
  12. 【請求項12】請求項1記載の化合物と潰瘍治療剤とを
    組み合わせてなる抗ヘリコバクター・ピロリ剤。
  13. 【請求項13】潰瘍治療剤がプロトンポンプインヒビタ
    ーである請求項12記載の抗ヘリコバクター・ピロリ
    剤。
  14. 【請求項14】プロトンポンプインヒビターがランソプ
    ラゾールである請求項13記載の抗ヘリコバクター・ピ
    ロリ剤。
  15. 【請求項15】バチルス属に属し請求項5記載の化合物
    を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養液
    中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採取することを
    特徴とする請求項5記載の化合物の製造法。
  16. 【請求項16】微生物がバチルス・レンタスである請求
    項15記載の製造法。
  17. 【請求項17】微生物がバチルス・レンタスHC−69
    株である請求項15記載の製造法。
  18. 【請求項18】請求項5記載の化合物の生産能を有する
    バチルス・レンタス。
  19. 【請求項19】請求項5記載の化合物の生産能を有する
    バチルス・レンタスHC−69。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001035899A3 (en) * 1999-11-19 2001-12-13 Axxima Pharmaceuticals Ag Inhibitors of helicobacter pylori induced gastrointestinal diseases
US6849409B2 (en) 2000-10-16 2005-02-01 Axxima Pharmaceuticals Ag Cellular kinases involved in Cytomegalovirus infection and their inhibition

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