JPH09207533A - 能動型サスペンション - Google Patents

能動型サスペンション

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JPH09207533A
JPH09207533A JP1621296A JP1621296A JPH09207533A JP H09207533 A JPH09207533 A JP H09207533A JP 1621296 A JP1621296 A JP 1621296A JP 1621296 A JP1621296 A JP 1621296A JP H09207533 A JPH09207533 A JP H09207533A
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JP
Japan
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vibration
vehicle
value
lateral acceleration
detecting
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JP1621296A
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English (en)
Inventor
Takeshi Kimura
健 木村
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両の旋回に起因しない横加速度検出値や車両
の加減速に起因しない前後加速度検出値等が流体圧シリ
ンダの制御に与える影響を確実に小さくする。 【解決手段】横加速度検出値Gy に基づいて指令電流I
FL〜IRRを生成し出力するコントローラ30に、車両の
直進走行状態を検出する直進走行判断部54と、前輪バ
ネ下側振動の左右逆相成分φr を算出する左右逆相成分
算出部56と、後輪バネ下側振動の左右逆相成分φf
算出する左右逆相成分算出部58と、直進走行判断部5
4の判断結果及び左右逆相成分φf ,φr に基づいて補
正係数αを算出する補正係数算出部60と、を設ける。
補正係数算出部60は、旋回走行時には補正係数αを
“1”に設定し、直進走行時には補正係数αを“1”よ
りも小さい値に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車体及び車輪間
に介挿された流体圧シリンダの作動流体圧を、車体の横
加速度や前後加速度に応じて制御することにより、バネ
上の姿勢変化を低減するようにした能動型サスペンショ
ンに関し、特に、車両の旋回に起因しない横加速度検出
値や車両の加減速に起因しない前後加速度検出値等が流
体圧シリンダの制御に与える影響を確実に小さくし、も
ってバネ上姿勢の悪化をより低減できるようにしたもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来の能動型サスペンションとしては、
例えば本出願人が先に提案した特開昭62−29571
4号公報に開示されたものがある。この従来の能動型サ
スペンションにあっては、車体の横加速度又は前後加速
度を検出する加速度センサを有しており、その加速度セ
ンサが検出した加速度検出値に応じて、車体及び各車輪
間に介挿された流体圧シリンダの作動流体圧を制御し
て、車両のロール剛性やピッチ剛性を適宜変化させるよ
うになっていた。そして、かかる構成により、旋回時に
おける車両のロール運動や加減速時における車両のピッ
チ運動を低減できるから、安定したバネ上姿勢のまま走
行できる等の作用効果が得られた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述したよう
な従来の能動型サスペンションによれば、車両にロール
運動やピッチ運動を発生させ得る横加速度や前後加速度
に応じて、そのロールやピッチに対する抗力が発生する
ように流体圧シリンダの作動流体圧を制御しているか
ら、バネ上の姿勢変化を抑制することは可能である。
【0004】しかし、横加速度センサや前後加速度セン
サが、旋回時に発生する横加速度や加減速時に発生する
前後加速度のみを検出すれば特に問題はないのである
が、実際に車両に搭載される加速度センサは、加速度以
外の振動にも反応してしまうことがあり、その加速度以
外の振動成分によって流体圧シリンダの作動流体圧が変
化して逆にバネ上姿勢を悪化させて乗り心地を低下させ
る可能性がある。
【0005】このような不具合に対して、例えば特開平
3−243412号公報に開示された従来の技術は、ロ
ール角加速度と横加速度との方向が一致する場合と、ピ
ッチ角加速度と前後加速度との方向が一致する場合と
は、横加速度センサや前後加速度センサの出力は路面不
整や横風の影響で生じたものと判断して、能動型サスペ
ンションの制御を停止するようにしている。つまり、こ
の従来の技術で、横加速度の向き(車両旋回時に発生す
る横加速度は旋回方向内側向き)や前後加速度の向き
(加速時に発生する前後加速度は車両前向き、減速時に
発生する加速度は車両後ろ向き)に対してバネ上は逆方
向に傾くという認識の上になされたものであり、そのよ
うな認識に反する状態が検出された場合には、加速度セ
ンサに外乱が重畳されていると判断しているのである。
換言すれば、この従来の技術は、加速度センサの出力に
基づいて、その加速度センサの出力に外乱が重畳されて
いるか否かを判断するようになっていたのである。
【0006】しかしながら、実際には、加速度センサの
出力は車体の振動特性等の影響も受けてしまい、特に路
面からの入力に対する車体のロールの応答特性は周波数
によっても大きく異なるものであるため、横加速度検出
値とロール角加速度との向きや、前後加速度検出値とピ
ッチ角加速度との向きからだけでは、加速度センサの出
力に大量の外乱成分が含まれているか否かを判断するこ
とは困難であった。
【0007】このような問題点に対しては、例えば本出
願人が先に提案した特開昭62−2166号公報や特開
昭62−70766号公報に開示されるように、ロール
センタ位置に横加速度センサを配設することによっても
解決可能ではあるが、実際のロール中心は同じ車両であ
っても振動モードによって異なる。従って、ある振動モ
ードでは横加速度センサがロール中心にあったとして
も、他の振動モードでは横加速度センサがロール中心か
ら外れてしまうから、十分な解決策とはいえなかった。
【0008】一方、特開平4−169314号公報に開
示された従来の技術では、車体の上下方向の絶対速度を
検出し、その絶対速度に基づき車体変位を抑制する方向
に流体圧シリンダが抗力を発生させる能動型サスペンシ
ョンにおいて、急操舵,急制動,急加速等を検出した場
合に制御ゲイン(検出値に対する制御力のゲイン;制御
力/検出値)を増大させるようにしている。つまり、車
体に姿勢変化が生じ易い状況では、制御力を大きくして
姿勢変化に対する抑制力が大きくなるようにしている
が、これでは、例えば路面からの振動入力によって加速
度センサに外乱振動が入力されてしまうと、制御ゲイン
が大きくなった分、姿勢変化が大きくなる可能性さえあ
る。
【0009】また、本出願人が先に提案した特開平2−
37014号公報に開示された技術にあっては、車両の
前後に離隔した二位置にて横加速度を検出し、その二つ
の横加速度検出値に基づいて車両重心点より前方の所望
の算出位置における横加速度を算出し、その算出された
横加速度に応じて指令値を演算して流体圧シリンダを制
御するようにしており、かかる構成により、重心点の横
加速度の他に、ヨー角加速度と重心点・算出位置間の距
離との積値である横加速度成分が制御に用いられるか
ら、制御系の位相遅れが補償され、格段に優れたアンチ
ロール効果が得られて安定した車両姿勢が確保できると
いう利点がある。しかし、このような構成では、二つの
横加速度検出値の差に基づいてヨー角加速度分が演算さ
れることから、二つの横加速度検出値に完全に同じ大き
さの外乱が同じタイミングで重畳されているのであれば
差を演算する際に相殺されてしまうのに、二つの加速度
センサに多少でも大きさの異なる外乱振動が入力されて
しまうと外乱が相殺されず、逆に増幅されて制御に用い
られてしまい、上述したような流体圧シリンダの作動流
体圧が変化して逆にバネ上姿勢を悪化させて乗り心地を
低下させるという不具合が顕著になる可能性があった。
【0010】本発明は、このような従来の技術における
種々の未解決の課題に着目してなされたものであって、
車両の旋回に起因しない横加速度検出値や車両の加減速
に起因しない前後加速度検出値等が流体圧シリンダの制
御に与える影響を確実に小さくし、もってバネ上姿勢の
悪化をより低減できる能動型サスペンションを提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、車体及び車輪間に介挿され
た流体圧シリンダと、この流体圧シリンダの作動流体圧
を指令値のみに応じて制御する圧力制御弁と、車体の横
加速度を検出する横加速度検出手段と、この横加速度検
出手段が検出した横加速度検出値に応じて前記指令値を
生成し前記圧力制御弁に供給する制御手段と、を備えた
能動型サスペンションにおいて、車両の直進走行状態を
検出する走行状態検出手段と、前記横加速度検出値に外
乱として重畳される外乱振動を検出する外乱振動検出手
段と、前記走行状態検出手段が車両の直進走行状態を検
出した場合に前記外乱振動検出手段の検出結果に基づい
て前記横加速度検出値に対する前記指令値のゲインを前
記流体圧シリンダで発生する力が小さくなるように変更
するゲイン変更手段と、を備えた。
【0012】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である能動型サスペンションにおいて、前
記ゲイン変更手段は、前記走行状態検出手段が車両の直
進走行状態を検出した場合に、前記外乱振動の増大に応
じて前記ゲインを低下させるようにした。一方、上記目
的を達成するために、請求項3に係る発明は、車体及び
車輪間に介挿された流体圧シリンダと、この流体圧シリ
ンダの作動流体圧を指令値のみに応じて制御する圧力制
御弁と、車両の前後方向に離隔して配設され車体の横加
速度をそれぞれ検出する第1及び第2の横加速度センサ
と、これら第1及び第2の横加速度センサが検出した二
つの横加速度検出値に基づいて車両重心点よりも前方の
所望の算出位置の横加速度を算出する横加速度算出手段
と、この横加速度算出手段が算出した横加速度算出値に
応じて前記指令値を生成し前記圧力制御弁に供給する制
御手段と、を備えた能動型サスペンションにおいて、車
両の直進走行状態又は定常円旋回走行状態の少なくとも
一方を検出する走行状態検出手段と、前記横加速度検出
値に外乱として重畳される外乱振動を検出する外乱振動
検出手段と、前記走行状態検出手段が車両の直進走行状
態又は定常円旋回走行状態を検出した場合に前記外乱振
動検出手段の検出結果に基づいて前記横加速度算出値の
算出位置を前記流体圧シリンダで発生する力が小さくな
るように変更する算出位置変更手段と、を備えた。
【0013】また、請求項4に係る発明は、上記請求項
3に係る発明である能動型サスペンションにおいて、前
記算出位置変更手段は、前記走行状態検出手段が車両の
直進走行状態又は定常円旋回走行状態を検出した場合
に、前記外乱振動の増大に応じて前記算出位置を車両重
心点に近づけるようにした。そして、請求項5に係る発
明は、上記請求項1〜4に係る発明である能動型サスペ
ンションにおいて、前記外乱振動検出手段は、少なくと
も前後一方の左右輪それぞれのバネ下振動を検出するバ
ネ下振動検出手段と、このバネ下振動検出手段が検出し
た左右輪のバネ下振動検出値の差に基づいて左右逆相成
分を前記外乱振動として算出する左右逆相成分算出手段
と、を有するようにした。
【0014】さらに、請求項6に係る発明は、上記請求
項1〜4に係る発明である能動型サスペンションにおい
て、前記外乱振動検出手段は、エンジン共振周波数域に
おけるエンジン振動を前記外乱振動として検出するエン
ジン振動検出手段を有するようにした。また、請求項7
に係る発明は、上記請求項1に係る発明である能動型サ
スペンションにおいて、前記外乱振動検出手段は、変速
機の変速動作を前記外乱振動として検出する変速検出手
段を有し、前記ゲイン変更手段は、前記走行状態検出手
段が車両の直進走行状態を検出した場合に、前記変速検
出手段が前記外乱振動を検出すると前記ゲインを低下さ
せるようにした。
【0015】これに対し、請求項8に係る発明は、上記
請求項3に係る発明である能動型サスペンションにおい
て、前記外乱振動検出手段は、変速機の変速動作を前記
外乱振動として検出する変速検出手段を有し、前記算出
位置変更手段は、前記走行状態検出手段が車両の直進走
行状態又は定常円旋回走行状態を検出した場合に、前記
変速検出手段が前記外乱振動を検出すると前記算出位置
を車両重心点に近づけるようにした。
【0016】一方、上記目的を達成するために、請求項
9に係る発明は、車体及び車輪間に介挿された流体圧シ
リンダと、この流体圧シリンダの作動流体圧を指令値の
みに応じて制御する圧力制御弁と、車体の前後加速度を
検出する前後加速度検出手段と、この前後加速度検出手
段が検出した前後加速度検出値に応じて前記指令値を生
成し前記圧力制御弁に供給する制御手段と、を備えた能
動型サスペンションにおいて、車両の定速走行状態を検
出する走行状態検出手段と、前記前後加速度検出値に外
乱として重畳される外乱振動を検出する外乱振動検出手
段と、前記走行状態検出手段が車両の定速走行状態を検
出した場合に前記外乱振動検出手段の検出結果に基づい
て前記前後加速度検出値に対する前記指令値のゲインを
前記流体圧シリンダで発生する力が小さくなるように変
更するゲイン変更手段と、を備えた。
【0017】また、請求項10に係る発明は、上記請求
項9に係る発明である能動型サスペンションにおいて、
前記外乱振動検出手段は、前記前後加速度検出値に車両
後ろ向きのピーク値が発生したことを検出する第1のピ
ーク値検出手段と、バネ下振動を検出するバネ下振動検
出手段と、前記バネ下振動検出手段が検出したバネ下振
動検出値に車両上向きのピーク値が発生したことを検出
する第2のピーク値検出手段と、を有し、前記ゲイン変
更手段は、前記走行状態検出手段が車両の定速走行状態
を検出した場合に、前記第1及び第2のピーク値検出手
段が略同時に前記各ピーク値を検出すると前記ゲインを
低下させるようにした。
【0018】そして、請求項11に係る発明は、上記請
求項9に係る発明である能動型サスペンションにおい
て、前記外乱振動検出手段は、エンジン共振周波数域に
おけるエンジン振動を前記外乱振動として検出するエン
ジン振動検出手段を有し、前記ゲイン変更手段は、前記
走行状態検出手段が車両の定速走行状態を検出した場合
に、前記外乱振動の増大に応じて前記ゲインを低下させ
るようにした。
【0019】さらに、請求項12に係る発明は、上記請
求項6又は11に係る発明である能動型サスペンション
において、前記エンジン振動検出手段は、バネ下振動を
検出するバネ下振動検出手段と、このバネ下振動検出手
段が検出したバネ下振動検出値からエンジン共振周波数
成分を抽出するフィルタ手段と、を有するようにした。
【0020】またさらに、請求項13に係る発明は、上
記請求項6又は11に係る発明である能動型サスペンシ
ョンにおいて、前記エンジン振動検出手段は、エンジン
荷重変動を検出する荷重変動検出手段と、この荷重変動
検出手段が検出したエンジン荷重変動検出値からエンジ
ン共振周波数成分を抽出するフィルタ手段と、を有する
ようにした。
【0021】ここで、車両が直進走行状態であると、車
両には旋回に起因した横加速度は発生していないから、
横加速度検出手段の検出値は零のはずであり、流体圧シ
リンダには車体の姿勢変化を抑制する力は発生しない。
そして、この直進走行状態から車両が旋回走行に移行す
ると、車両には旋回に起因した横加速度が発生し、その
横加速度が横加速度検出手段によって検出され、制御手
段によって横加速度検出値に応じた指令値が生成されて
圧力制御弁に供給されるから、流体圧シリンダに車体の
ロールを抑制する力(アンチロール力)が発生し、車体
の姿勢変化が抑制される。これが、横加速度検出値に基
づいて流体圧シリンダが発生する力を制御する能動型サ
スペンションの基本的な作用である。
【0022】これに対し、請求項1に係る発明にあって
は、走行状態検出手段が車両の直進走行状態を検出した
状況では、外乱振動検出手段が外乱振動を検出しない限
り、ゲイン変更手段は横加速度検出値に対する指令値の
ゲイン(制御ゲイン)を変更しないから、上述した能動
型サスペンションの基本的な作用がそのまま発揮され
る。従って、直進走行状態から旋回走行に移行する際に
も、制御ゲインは元の大きさのままであるから、横加速
度検出値に応じた適切な大きさの指令値が直ちに圧力制
御弁に供給され、応答性良く適切なアンチロール力が発
生する。
【0023】しかし、走行状態検出手段が車両の直進走
行状態を検出した状況で、外乱振動検出手段が外乱振動
を検出すると、ゲイン変更手段は、その外乱振動検出手
段の検出結果に応じて、流体圧シリンダで発生する力が
小さくなるように制御ゲインを変更する。すると、横加
速度検出値と流体圧シリンダで発生する力との比(流体
圧シリンダで発生する力/横加速度検出値)が小さくな
り、横加速度検出値に外乱が重畳されていても、その外
乱の姿勢変化に対する影響が小さくなる。
【0024】例えば、請求項2に係る発明のように、ゲ
イン変更手段が外乱振動の増大に応じて制御ゲインを低
下させると、直進走行時には、外乱振動の増大に応じ
て、横加速度検出値に対する流体圧シリンダで発生する
力のゲインが小さくなるから、外乱振動が横加速度検出
値に外乱として重畳されても、車体姿勢が大きく悪化す
ることが防止される。この場合、外乱振動の増大に応じ
て制御ゲインを低下させる態様としては、外乱振動の増
大に応じて連続的に制御ゲインを低下させる態様や、外
乱振動の増大に応じて段階的に制御ゲインを低下させる
態様等が考えられる。
【0025】なお、直進走行状態のみを検出し、直進走
行時には制御ゲインを小さくし、旋回走行時には制御ゲ
インを大きくするという制御を実行すれば、請求項1や
請求項2に係る発明と同様に、旋回に起因しない横加速
度検出値の制御に対する影響を小さくすることはできる
が、これでは、直進走行から旋回走行に移行した直後に
旋回に起因して発生する外乱でない横加速度に対する制
御ゲインも小さいことになるから、その旋回に起因した
横加速度による姿勢変化の抑制作用が小さくなってしま
うという問題点がある。これに対し、本発明であれば、
直進走行状態だけではなく外乱振動の発生状況をも監視
しているから、そのような問題点は大幅に解決されてい
る。
【0026】また、請求項3に係る発明にあっては、横
加速度算出手段が、第1及び第2の横加速度センサが検
出した二つの横加速度検出値に基づいて、車両重心点よ
りも前方の所望の算出位置における横加速度を算出し、
制御手段が、その算出された横加速度算出値に応じて指
令値を生成し圧力制御弁に供給するから、上述した特開
平2−37014号公報に開示された能動型サスペンシ
ョンと同様に、重心点の横加速度の他に、ヨー角加速度
と重心点・算出位置間の距離との積値である横加速度成
分が制御に用いられるようになる。
【0027】そして、走行状態検出手段が、車両の直進
走行状態又は定常円旋回走行状態の少なくとも一方を検
出した状況では、車両にはヨー角加速度は発生してない
はずであるが、かかる状況で外乱振動検出手段が外乱振
動を検出すると、算出位置変更手段は、その外乱振動検
出手段の検出結果に応じて、流体圧シリンダで発生する
力が小さくなるように、横加速度算出値の算出位置を変
更する。すると、重心点・算出位置間の距離が変化し、
その距離とヨー角加速度との積値が変化し、ヨー角加速
度の流体圧シリンダで発生する力への影響が変化するこ
とになり、二つの横加速度検出値に異なる大きさの外乱
が重畳されていても、その外乱の姿勢変化に対する影響
が小さくなる。
【0028】例えば、請求項4に係る発明のように、算
出位置変更手段が外乱振動の増大に応じて算出位置を車
両重心点に近づければ、直進走行時又は定常円旋回走行
時には、外乱振動の増大に応じて、ヨー角加速度の流体
圧シリンダで発生する力に対する影響が小さくなるか
ら、二つの横加速度検出値に異なる大きさの外乱が重畳
されても、車体姿勢が大きく悪化することが防止され
る。この場合、外乱振動の増大に応じて算出位置を車両
重心点に近づける態様としては、外乱振動の増大に応じ
て連続的に算出位置を車両重心点に近づける態様や、外
乱振動の増大に応じて段階的に算出位置を車両重心点に
近づける対応等が考えられる。
【0029】さらに、車両の旋回に起因せずに横加速度
が検出される状況としては、路面上の轍等の不整部分を
通過する際に、左右輪に互いに逆方向の上下力が入力さ
れた場合、左右輪の一方のみに上下力が入力された場
合、左右輪に異なった大きさの上下力が入力された場合
等が考えられる。つまり、左右輪それぞれに異なった方
向或いは異なった大きさの上下力が入力されると、車両
がロール方向に加振されるから、横加速度検出手段の検
出位置ではそのロール方向の振動に伴い、 (ロール角加速度)×(ロール中心と横加速度センサの
距離) で表される横加速度が検出されてしまうのである。
【0030】これに対し、請求項5に係る発明にあって
は、バネ下振動検出手段によって前後少なくとも一方の
左右輪それぞれのバネ下振動が検出され、左右逆相成分
算出手段によって、バネ下振動検出手段が検出した左右
輪それぞれのバネ下振動検出値の差に基づいて左右逆相
成分が外乱振動として算出される。つまり、左右逆相成
分算出手段が算出した左右逆相成分が、上述したような
車両をロール方向に加振する力となるから、その左右逆
相成分を外乱振動として検出すれば、請求項1〜4に係
る発明の作用が確実に発揮されるのである。
【0031】また、車両の旋回に起因せずに横加速度が
発生する他の状況としては、車体に弾性支持されたエン
ジンが、例えば不整路を通過する際に加振された車体側
からの入力によって共振し、そのエンジン共振が逆に車
体に伝わって横加速度検出手段に横加速度として検出さ
れる場合が考えられる。つまり、エンジンマウントをバ
ネ、エンジンを質量としたマス・バネ系が車体に搭載さ
れているため、そのマス・バネ系の固有振動数若しくは
その近傍の周波数の振動入力が路面側から車体に入力さ
れると、マス・バネ系に共振が発生し、これが車体に作
用する結果、車両が直進走行状態であっても横加速度が
検出されてしまうのである。
【0032】これに対し、請求項6に係る発明にあって
は、外乱振動検出手段としてのエンジン振動検出手段に
よって、エンジン共振周波数域におけるエンジン振動が
外乱振動として検出されるから、その外乱振動に基づい
てゲイン変更手段や算出位置変更手段が制御ゲインの変
更や算出位置の変更を行えば、請求項1〜4に係る発明
の作用が確実に発揮されるのである。
【0033】さらに、車両の旋回に起因せずに横加速度
が発生する他の状況としては、自動変速機等の変速機が
変速する際に駆動系に振動が発生し、これが車体をロー
ル方向に加振することにより横加速度が検出される場合
が考えられる。これに対して、請求項7に係る発明は、
直進走行時に、変速検出手段によって変速機の変速動作
が外乱振動として検出されると、ゲイン変更手段によっ
て制御ゲインが低下させられるから、請求項1に係る発
明の作用が確実に発揮されるのである。
【0034】また、請求項8に係る発明にあっても、直
進走行時又は定常円旋回走行時に、変速検出手段によっ
て変速機の変速動作が外乱振動として検出されると、算
出位置変更手段によって算出位置が車両重心点に近づけ
られるから、請求項3に係る発明の作用が確実に発揮さ
れる。ここで、車両が定速走行状態であると、車両には
加減速に起因した前後加速度は発生していないから、前
後加速度検出手段の検出値は零のはずであり、流体圧シ
リンダには車体の姿勢変化を抑制する抗力は発生しな
い。そして、この定速走行状態から車両が加速又は減速
すると、車両には加減速に起因した前後加速度が発生
し、その前後加速度が前後加速度検出手段によって検出
され、制御手段によって前後加速度検出値に応じた指令
値が生成されて圧力制御弁に供給されるから、流体圧シ
リンダに車体のピッチを抑制する力が発生し、車体の姿
勢変化が抑制される。これが、前後加速度検出値に基づ
いて流体圧シリンダが発生する力を制御する能動型サス
ペンションの基本的な作用である。
【0035】これに対し、請求項9に係る発明にあって
は、走行状態検出手段が車両の定速走行状態を検出した
状況では、外乱振動検出手段が外乱振動を検出しない限
り、ゲイン変更手段は前後加速度検出値に対する指令値
のゲイン(制御ゲイン)を変更しないから、上述した能
動型サスペンションの基本的な作用がそのまま発揮され
る。従って、定速走行状態から加速走行又は減速走行に
移行する際にも、制御ゲインは元の大きさのままである
から、前後加速度検出値に応じた適切な大きさの指令値
が直ちに圧力制御弁に供給され、応答性良く適切な力が
流体圧シリンダに発生する。
【0036】しかし、走行状態検出手段が車両の定速走
行状態を検出した状況で、外乱振動検出手段が外乱振動
を検出すると、ゲイン変更手段は、その外乱振動検出手
段の検出結果に応じて、流体圧シリンダで発生する力が
小さくなるように、制御ゲインを変更する。すると、前
後加速度検出値と流体圧シリンダで発生する力との比
(流体圧シリンダで発生する力/前後加速度検出値)が
小さくなり、前後加速度検出値に外乱が重畳されていて
も、その外乱の姿勢変化に対する影響が小さくなる。
【0037】そして、車両の加減速に起因せずに前後加
速度が検出される状況としては、路面上の段差を乗り越
えて走行する際に車体が前後方向に加振されて、前後加
速度が検出される場合が考えられる。これに対して、請
求項10に係る発明にあっては、前後加速度検出値に車
両後ろ向きのピーク値が発生したか否かが第1のピーク
値検出手段によって検出され、バネ下振動検出手段が検
出したバネ下振動に車両上向きのピーク値が発生したか
否かが第2のピーク値検出手段によって検出される。そ
して、それら第1及び第2のピーク値検出手段が略同時
に各ピーク値を検出した場合に、前後加速度検出値に外
乱として重畳される外乱振動が発生したと判断できる。
つまり、路面上の段差を乗り越える瞬間にはバネ下には
上向きの力が入力されることになるが、その上向きの力
が入力されると略同時に、車体にはその前進を止めよう
とする力(車両後ろ向きの加速度)が入力されるから、
バネ下振動に車両上向きのピーク値が検出されたのと同
時に、前後加速度検出値に車両後ろ向きのピーク値が発
生した場合には、前後加速度検出値に外乱として重畳さ
れる外乱振動を検出したと判断することができるのであ
る。従って、定速走行時に、各ピーク値が略同時に検出
された場合にゲイン変更手段が制御ゲインを低下させれ
ば、外乱振動が前後加速度検出値に外乱として重畳され
ても、車体姿勢が大きく悪化することが防止される。こ
の場合、制御ゲインを低下させる態様としては、外乱振
動の増大に応じて連続的に制御ゲインを低下させる態様
や、外乱振動の増大に応じて段階的に制御ゲインを低下
させる態様等が考えられる。また、制御ゲインの低下の
度合いを決定するための外乱振動としては、前後加速度
検出値のピーク値を用いることができる。
【0038】また、車両の加減速に起因せずに前後加速
度が検出される他の状況としては、横加速度における場
合と同様に、車体に弾性支持されたエンジンが、例えば
不整路を通過する際に加振された車体側からの入力によ
って振動し、そのエンジン振動が逆に車体に伝わって前
後加速度検出手段に前後加速度として検出される場合が
考えられる。
【0039】これに対し、請求項11に係る発明にあっ
ては、外乱振動検出手段としてのエンジン振動検出手段
によって、エンジン共振周波数域におけるエンジン振動
が外乱振動として検出されるから、その外乱振動の増大
に応じてゲイン変更手段が制御ゲインを低下させれば、
外乱振動が前後加速度検出値に外乱として重畳されて
も、車体姿勢が大きく悪化することが防止される。この
場合、外乱振動の増大に応じて制御ゲインを低下させる
態様としては、外乱振動の増大に応じて連続的に制御ゲ
インを低下させる態様や、外乱振動の増大に応じて段階
的に制御ゲインを低下させる態様等が考えられる。
【0040】そして、請求項12に係る発明にあって
は、バネ下振動検出手段によって検出されたバネ下振動
検出値に含まれるエンジン共振周波数成分がフィルタ手
段によって抽出されるから、外乱振動としてのエンジン
共振周波数域におけるエンジン振動が求められ、請求項
6又は11に係る発明の作用が確実に発揮される。さら
に、請求項13に係る発明にあっては、荷重変動検出手
段によって検出されたエンジン荷重変動に含まれるエン
ジン共振周波数成分がフィルタ手段によって抽出される
から、外乱振動としてのエンジン共振周波数域における
エンジン振動が求められ、請求項6又は11に係る発明
の作用が確実に発揮される。
【0041】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、走行状態
検出手段が車両の直進走行状態を検出した状況で、外乱
振動検出手段が外乱振動を検出すると、ゲイン変更手段
がその外乱振動検出手段の検出結果に応じて、流体圧シ
リンダで発生する力が小さくなるように制御ゲインを変
更するようにしたため、横加速度検出値に外乱が重畳さ
れていても、その外乱の姿勢変化に対する影響を小さく
できるから、車体姿勢の悪化を低減することが可能とな
る。
【0042】特に、請求項2に係る発明のように、ゲイ
ン変更手段が外乱振動の増大に応じて制御ゲインを低下
させるようにすれば、外乱振動が横加速度検出値に外乱
として重畳されても、車体姿勢が大きく悪化することを
確実に防止し、車両乗り心地を従来よりも良好に保つこ
とができるという効果がある。また、請求項3に係る発
明であれば、走行状態検出手段が、車両の直進走行状態
又は定常円旋回走行状態の少なくとも一方を検出した状
況で、外乱振動検出手段が外乱振動を検出すると、算出
位置変更手段は、その外乱振動検出手段の検出結果に応
じて、流体圧シリンダで発生する力が小さくなるよう
に、横加速度算出値の算出位置を変更するようにしたた
め、ヨー角加速度の流体圧シリンダで発生する力への影
響が小さくなり、二つの横加速度検出値に異なる大きさ
の外乱が重畳されていても、その外乱の姿勢変化に対す
る影響を小さくできるから、車体姿勢の悪化を低減する
ことが可能となる。
【0043】特に、請求項4に係る発明のように、算出
位置変更手段が外乱振動の増大に応じて算出位置を車両
重心点に近づけるようにすれば、二つの横加速度検出値
に異なる大きさの外乱が重畳されても、車体姿勢が大き
く悪化することを確実に防止し、車両乗り心地を従来よ
りも良好に保つことができるという効果がある。そし
て、請求項5に係る発明であれば、左右輪に入力される
異なる方向又は異なる大きさの上下力に起因する横加速
度が外乱として認識され、その外乱が制御に与える影響
を小さくできるから、不整路面や轍路面等を走行する際
におけるロール方向の車体姿勢の悪化を防止するのに特
に効果がある。
【0044】また、請求項6に係る発明であれば、エン
ジン共振周波数域におけるエンジン振動に起因する横加
速度が制御に与える影響を小さくできるから、エンジン
が加振されることによるロール方向の車体姿勢の悪化を
防止するのに特に効果がある。さらに、請求項7又は8
に係る発明であれば、変速機の変速動作に起因する横加
速度が制御に与える影響を小さくできるから、変速機の
変速時におけるロール方向の車体姿勢の悪化を防止する
のに特に効果がある。
【0045】そして、請求項9に係る発明であれば、走
行状態検出手段が車両の定速走行状態を検出した状況
で、外乱振動検出手段が外乱振動を検出した場合に、ゲ
イン変更手段が外乱振動検出手段の検出結果に応じて、
流体圧シリンダで発生する力が小さくなるように制御ゲ
インを変更するようにしたため、前後加速度検出値に外
乱が重畳されていても、その外乱の姿勢変化に対する影
響を小さくできるから、車体姿勢の悪化を低減すること
が可能となる。
【0046】特に、請求項10に係る発明であれば、定
速走行時に車両が路面上の段差を乗り越える際に発生す
る前後加速度が外乱振動として認識され、その外乱が制
御に与える影響を小さくできるから、段差を乗り越える
際におけるピッチ方向の車体姿勢の悪化を防止するのに
特に効果がある。
【0047】また、請求項11に係る発明であれば、エ
ンジン共振周波数域におけるエンジン振動に起因する前
後加速度が制御に与える影響を小さくできるから、エン
ジンが加振されることによるピッチ方向の車体姿勢の悪
化を防止するのに特に効果がある。さらに、請求項12
又は13に係る発明であれば、外乱振動としてのエンジ
ン共振周波数域におけるエンジン振動が確実に求められ
るから、エンジンが加振されることによるロール方向や
ピッチ方向の車体姿勢の悪化を、確実に防止できるとい
う効果がある。特に、請求項13に係る発明であれば、
エンジン振動を直接検出しているため、より正確な制御
が可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図6は本発明の第1の
実施の形態を示す図である。先ず、構成を説明すると、
図1において、10FL〜10RRは前左〜後右車輪,12
は車輪側部材,14は車体側部材を各々示し、16は能
動型サスペンションを示す。
【0049】能動型サスペンション16は、車体側部材
14と各車輪側部材12との間に各別に装備された流体
圧シリンダとしての油圧シリンダ18FL〜18RRと、こ
の油圧シリンダ18FL〜18RRの作動油圧を各々調整す
る圧力制御弁20FL〜20RRと、本油圧系の油圧源22
と、この油圧源22及び圧力制御弁20FL〜20RR間に
介挿された蓄圧用のアキュムレータ24,24と、車体
の横方向に作用する横加速度を検出する横加速度センサ
26と、圧力制御弁20FL〜20RRの出力圧を個別に制
御するコントローラ30とを有している。また、この能
動型サスペンション16は、油圧シリンダ18FL〜18
RRに対して車輪側部材12及び車体部材14間に個別に
並列装備されたコイルスプリング36,…,36と、油
圧シリンダ18FL〜18RRの後述する圧力室Lに個別に
連通した絞り弁32及び振動吸収用のアキュムレータ3
4とを含む。ここで、各コイルスプリング36は、比較
的低いバネ定数であって車体の静荷重を支持するように
なっている。
【0050】油圧シリンダ18FL〜18RRの各々はシリ
ンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ18
aには、ピストン18cにより閉塞された下側の圧力室
Lが形成されている。そして、シリンダチューブ18a
の下端が車輪側部材12に取り付けられ、ピストンロッ
ド18bの上端が車体側部材14に取り付けられてい
る。
【0051】さらに、この能動型サスペンション16
は、各油圧シリンダ18FL〜18RRの取付位置における
バネ下振動を検出するための上下加速度センサ28FL〜
28RRと、舵角を検出する舵角センサ29とを有してい
る。また、圧力制御弁20FL〜20RRの各々は、円筒状
の挿通孔内に摺動可能に収容されたスプールを有する弁
ハウジングと、この弁ハウジングに一体に設けられた比
例ソレノイドとを有するパイロット操作形に形成されて
いる。この圧力制御弁20FL〜20RRの作動油に対する
供給ポート及び戻りポートが油圧配管38,39と、マ
ルチバルブユニット22Aとを介して油圧源22の作動
油供給側及び作動油戻り側に連通され、出力ポートが油
圧配管40を介して油圧シリンダ18FL〜18RRの圧力
室Lの各々に連通されている。なお、マルチバルブユニ
ット22Aは、ライン圧を設定するためのリリーフ弁
や、エンジン停止時に圧力制御弁20FL〜20RR側の油
圧配管38,39内の圧油を保持するための逆止弁等を
含んで構成されている。
【0052】そして、各圧力制御弁20FL〜20RRの比
例ソレノイドの励磁コイルに供給する指令値としての指
令電流I(IFL〜IRR)の値を制御することにより、こ
の指令電流Iによる推力と出力ポート側の出力圧に基づ
き形成されたパイロット圧とを平衡させて調圧し、結
局、指令電流Iに応じた制御圧力Pを出力ポートから油
圧シリンダ18FL(〜18RR)の圧力室Lに供給できる
ようになっている。
【0053】つまり、図2に示すように、指令電流Iと
制御圧力Pとは正比例の関係となっており、指令電流I
が零であるときに制御圧力Pは所定のオフセット圧P0
となり、この状態から指令電流Iが正方向に増加すると
制御圧力Pは所定の比例ゲインをもって増加し、ライン
圧に達すると飽和し、逆に指令電流Iが負方向に増加す
ると、これに比例して減少するようになっている。
【0054】一方、横加速度センサ26は、車両の重心
点近傍に配設されていて、その配設位置で車体に作用す
る横加速度を感知し、図3に示すように、感知した横加
速度に応じた電圧信号でなる横加速度検出値Gy をコン
トローラ30に供給するようになっている。ここで、直
進走行状態からステアリングを左切りしたときに車両左
向きに生じる横加速度の値を正,反対に右切りしたとき
に車両右向きに生じる横加速度の値を負に設定してい
る。
【0055】また、各上下加速度センサ28FL〜28RR
は、各バネ下位置における上下加速度を感知し、図4に
示すように、感知した上下加速度に応じた電圧信号でな
る上下加速度検出値XFL〜XRRをコントローラ30に供
給するようになっている。ここでは、上向き(車輪側部
材12を持ち上げる方向)に発生する上下加速度の値を
正、下向きに発生する上下加速度の値を負としている。
【0056】さらに、舵角センサ29は、ステアリング
ホイールの操舵角を検出し、その舵角の方向及び大きさ
に応じた舵角検出値θをコントローラ30に供給するよ
うになっている。そして、各検出値が供給されるコント
ローラ30は、実際にはマイクロコンピュータ、A/D
変換器,D/A変換器等のインタフェース回路、ドライ
バ回路等を含んで構成されており、その機能構成は、図
5に示すようになっている。
【0057】即ち、コントローラ30は、供給される横
加速度検出値Gy をゲインβf 又はβr 倍する増幅器5
0f,50rと、これら増幅器50f,50rの出力を
可変の補正係数α倍する増幅器51f,51rと、これ
ら増幅器51f,51rの出力を反転する符号反転器5
2f,52rと、を有していて、符号反転器52fの出
力が前左輪側の圧力制御弁20FLの指令電流IFLとして
出力され、増幅器51fの出力が前右輪側の圧力制御弁
20FRの指令電流IFRとして出力され、符号反転器52
rの出力が後左輪側の圧力制御弁20RLの指令電流IRL
として出力され、増幅器51rの出力が後右輪側の圧力
制御弁20RRの指令電流IRRとして出力されるようにな
っている。
【0058】つまり、横加速度検出値Gy が、α・βf
倍又はα・βr 倍され、横加速度の極性に応じて適宜方
向が調整されてから指令電流IFL〜IRRとして出力され
るようになっている。また、コントローラ30は、供給
される舵角検出値θの絶対値及びその微分値Δθがそれ
ぞれの所定のしきい値以下であるか否かを判定すること
により、車両の走行状態が直進走行状態であるか否かを
判断する直進走行判断部54と、前左輪側のバネ下振動
を表す上下加速度検出値XFL及び前右輪側のバネ下振動
を表す上下加速度検出値XFRの差の絶対値である前輪バ
ネ下側振動の左右逆相成分φr(=|XFL−XFR|)を
算出する左右逆相成分算出部56と、後左輪側のバネ下
振動を表す上下加速度検出値XRL及び後右輪側のバネ下
振動を表す上下加速度検出値XRRの差の絶対値である後
輪バネ下側振動の左右逆相成分φf (=|XRL−XRR
|)を算出する左右逆相成分算出部58と、直進走行判
断部54の判断結果及び左右逆相成分算出部56,58
で算出された左右逆相成分φf ,φr に基づいて増幅器
51f,51r用のゲインである補正係数αをその増幅
器51f,51rにおける演算に先駆けて算出する補正
係数算出部60と、を有している。
【0059】そして、補正係数算出部60は、直進走行
判断部54が車両は直進走行状態でない(つまり、旋回
走行状態である)と判断した場合には、左右逆相成分φ
f ,φr の値に関係なく補正係数αを“1”に設定する
一方、直進走行判断部54が車両は直進走行状態である
と判断した場合には、左右逆相成分φf ,φr の値に基
づいて、補正係数αを設定するようになっている。
【0060】具体的には、補正係数算出部60は、直進
走行判断部54が車両は直進走行状態であると判断した
場合、前輪側の左右逆相成分φf に基づき図6(a)に
示すようなテーブルを参照して前輪側補正係数αf を求
めるとともに、後輪側の左右逆相成分φr に基づき図6
(b)に示すようなテーブルを参照して後輪側補正係数
αr を求め、そして、前輪側補正係数αf と後輪側補正
係数αr とを掛け合わせた値を補正係数α(=αf ×α
r )として設定し、その補正係数αを増幅器51f,5
1rに供給するようになっている。
【0061】なお、左右逆相成分φf ,φr と前輪側補
正係数αf ,後輪側補正係数αr との関係は、図6
(a),(b)にそれぞれ示すように、左右逆相成分φ
f ,φrが“0”の場合には前輪側補正係数αf ,後輪
側補正係数αr は“1”であり、左右逆相成分φf ,φ
r が増加しても所定のしきい値に達するまでは前輪側補
正係数αf ,後輪側補正係数αr は“1”であり、左右
逆相成分φf ,φr が所定のしきい値を越えると、その
増加に従って前輪側補正係数αf ,後輪側補正係数αr
は徐々に小さくなるようになっている。
【0062】次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、車両が路面に轍等の大きな凹凸がない平坦な良路を
直進走行しているものとすると、車体には横加速度は発
生していないから、横加速度センサ26が出力する横加
速度検出値Gy は零となる。このため、コントローラ3
0における増幅器50f,50rの出力は零となり、増
幅器51f,51rの出力も零となって、各指令電流I
FL〜IRRは零となる。すると、図2に示した特性から、
各油圧シリンダ18FL〜18RRの制御圧力Pは所定のオ
フセット圧P0 となる。
【0063】そして、この状態では、路面から車輪10
FL〜10RRを介して入力される比較的低周波数の振動入
力は、圧力制御弁20FL〜20RRによる圧力室Lの圧力
調整によって吸収され、路面の細かな凹凸によるバネ下
共振周波数に対応する比較的高周波の振動入力は、絞り
弁32を通じての圧力室L及びアキュムレータ34間で
の作動油の往来によって吸収されるから、車体への振動
伝達率は十分に低減されて良好な乗り心地が確保され
る。
【0064】また、この状態では、舵角センサ29は直
進走行を表す舵角検出値θをコントローラ30に供給す
るから、直進走行判断部54はその舵角検出値θに基づ
いて車両が直視走行状態であることを判断する。従っ
て、補正係数算出部60は、左右逆相成分算出部56,
58が算出する左右逆相成分φf ,φr に基づいて補正
係数αを算出しようとするが、大きな凹凸のない平坦な
良路を走行している状況では、各上下加速度センサ28
FL〜28RRが検出する上下加速度は略零であるから、左
右逆相成分φf ,φr も略零となる。
【0065】すると、補正係数算出部60では、図6に
示した特性から前輪側補正係数αf及び後輪側補正係数
αr の両方が“1”となり、補正係数αは“1”とな
る。このため、増幅器50f及び51fの直列のゲイン
は、ゲインβf となり、増幅器50r及び51rの直列
のゲインは、ゲインβr となる。つまり、増幅器51
f,51rは存在しないことと等価になる。
【0066】この直進走行状態から例えばステアリング
ホイールを左切りして左旋回状態に移行すると、左向き
の横加速度が発生するから、車体右側が沈み込むロール
が発生しようとする。このとき、横加速度センサ26
は、図3に示した特性からも判るように正の横加速度検
出値Gy をコントローラ30に供給するとともに、舵角
センサ29はそのときの舵角に応じた舵角検出値θをコ
ントローラ30に供給する。すると、コントローラ30
では、直進走行判断部54が舵角検出値θに基づいて車
両が直進走行状態ではなく旋回走行状態であると判断す
るから、補正係数算出部60は補正係数αを“1”に設
定することになるが、直進走行時から既に補正係数αは
“1”に設定されているため、特に変化はない。
【0067】よって、コントローラ30に供給された横
加速度検出値Gy は、増幅器50f,50r,51r,
51rによって旋回開始時から直ちにβf 倍,βr 倍さ
れ、その出力は符号反転器52f,52rで符号を反転
されてから指令電流IFL,IRLとして出力され、また符
号を反転されずにそのまま指令電流IFR,IRRとして出
力される。この場合、横加速度検出値Gy は正の値であ
るから、指令電流IFL,IRLは負の値となり、指令電流
IFR,IRRは正の値となる。
【0068】すると、車体右側の油圧シリンダ18FR,
18RRの圧力室Lの内圧は直ぐさま上昇する一方、車体
左側の油圧シリンダ18FL,18RLの圧力室Lの内圧は
直ぐさま低下するから、車体右側が沈み込もうとするロ
ールを抑制する力が発生することになる。従って、増幅
器50f,50rのゲインβf ,βr を適宜設定してお
くことにより、車体のロールを的確に抑制することがで
きるから、旋回時における車体姿勢の変化をなくして良
好な乗り心地が確保される。なお、直進走行状態から逆
にステアリングホイールを右切りして右旋回状態に移行
した場合にも、左切りした場合とは逆の作用により、車
体左側が沈み込もうとするロールを抑制する力が発生す
るから、やはり旋回時における車体姿勢の変化をなくし
て良好な乗り心地が確保される。
【0069】次に、車両が路面に轍等の大きな凹凸があ
る悪路を直進走行しているものとすると、車体には旋回
に起因した横加速度は発生しないが、車輪10FL〜10
RRが上下方向に左右逆相に加振され、この振動が車輪側
部材12側から車体側部材14側に伝達され、車体をロ
ール方向に変位させる結果、横加速度センサ26は、
(ロール角加速度)×(ロール中心と横加速度センサの
距離)という大きさの横加速度を感知してしまい、その
感知した横加速度に応じた横加速度検出値Gy がコント
ローラ30に供給される。この場合、例えば路面からの
入力によって車両右側が持ち上がるロールが生じたとす
ると、車体に配設された横加速度センサ26は絶対空間
に対して静止しようとする結果、車体を固定して考えれ
ば横加速度センサ26は車体右側に向けて付勢されたこ
とと等価になって、横加速度センサ26は車両左旋回時
と同じ方向の横加速度検出値Gy をコントローラ30に
供給することになる。よって、その横加速度検出値Gy
に基づいて指令電流IFL〜IRRが生成され出力される
と、持ち上がろうとしている車体右側をさらに持ち上げ
るとともに、車体左側を沈み込ませようとする力が各油
圧シリンダ18FL〜18RRに生じてしまい、路面上の凹
凸により悪化した車体姿勢をさらに悪化させてしまうこ
とになる。
【0070】しかし、本実施の形態にあっては、車輪1
0FL〜10RRから車輪側部材12に振動が入力される
と、その振動が直ぐさま上下加速度センサ28FL〜28
RRによって感知され、それに応じた上下加速度検出値X
FL〜XRRがコントローラ30に供給される。そして、コ
ントローラ30では、供給される各上下加速度検出値X
FL〜XRRに基づき、左右逆相成分算出部56及び58
が、左右逆相成分φf 及びφr を算出する。この場合、
例えば、前左輪10FLと前右輪10FRとに同相の振動が
入力され、後左輪10RLと後右輪10RRとに同相の振動
が入力されていれば、左右逆相成分φf 及びφr は極小
さい値となり、補正係数算出部60が算出する補正係数
αは“1”となるが、このときは路面からの入力によっ
ては車体にはロールは生じない状況であるから、横加速
度検出値Gy の値自体が小さく、従って車体姿勢をさら
に悪化させるような力は各油圧シリンダ18FL〜18RR
には生じない。なお、このような場合にも補正係数αを
小さくして、横加速度検出値Gy に対する指令電流IFL
〜IRRのゲインを小さくすれば、車体姿勢のさらなる悪
化を防止することはできるが、特に必要もないのにゲイ
ンを小さくしておくと、旋回走行に移行した直後に、旋
回に起因した横加速度検出値Gy に応じて油圧シリンダ
18FL〜18RRで発生する力も小さくなり、ロールを効
果的に抑制できなくなるという欠点がある。
【0071】これに対し、例えば前左輪10FLが路面凸
部に乗り上げ、前右輪10FRが路面凹部に落ち込む等し
て、前輪10FL及び10FRに逆相の上下方向の振動が入
力されたとすると、左右逆相成分56が算出する左右逆
相成分φf が大きくなる。また、後輪10RL及び10RR
に逆相の上下方向の振動が入力されれば、左右逆相成分
58が算出する左右逆相成分φr が大きくなる。
【0072】すると、補正係数算出部60で求められる
前輪側補正係数αf ,後輪側補正係数αr の一方或いは
両方が“1”よりも小さくなり、それらの積算値である
補正係数αが“1”よりも小さくなる。そして、車輪側
部材12に入力された振動は、上述したように、車体側
部材14に伝達され、次いで車体にロールを発生させ横
加速度センサ26を加振した後に、横加速度検出値Gy
に外乱として重畳されるから、車輪10FL〜10RRに路
面の凹凸による振動が入力された時点から有限の時間を
経た後に外乱としての横加速度検出値Gy がコントロー
ラ30に供給される。従って、車輪側部材12に入力さ
れた振動を上下加速度センサ28FL〜28RRによって検
出し、その検出結果に応じてコントローラ30が直ぐさ
ま補正係数αを低下させてしまえば、横加速度センサ2
6から外乱が重畳された横加速度検出値Gy がコントロ
ーラ30に供給されても、通常の場合よりも小さい指令
信号IFL〜IRRが出力されるだけで済むから、油圧シリ
ンダ18FL〜18RRに発生する力は通常の場合よりも小
さくなり、車体姿勢のさらなる悪化を低減することがで
きる。
【0073】しかも、本実施の形態にあっては、補正係
数αを低下させるのは、直進走行時に、ある程度の大き
さの左右逆相成分が入力された直後としているから、旋
回走行時におけるロールは的確に抑制することができる
し、しかも直進走行時であっても左右逆相成分の小さい
通常の走行状態では補正係数αは“1”のままであるた
め、ほとんどの状況では横加速度検出値Gy に対する指
令電流IFL〜IRRのゲインはβf ,βr のままであり、
直進走行から旋回走行に移行した直後であっても通常と
同様にロールを抑制する的確な力を油圧シリンダ18FL
〜18RRに発生させることができる。つまり、車体姿勢
の悪化は最低限に抑えることができるのである。
【0074】ここで、本実施の形態では、横加速度セン
サ26が横加速度検出手段に対応し、コントローラ30
における増幅器50f,50r,51f,51r及び符
号反転器52f,52rが制御手段に対応し、舵角セン
サ29及び直進走行判断部54が走行状態検出手段に対
応し、上下加速度センサ28FL〜28RR及び左右逆相成
分算出部56,58が外乱振動検出手段に対応し、上下
加速度センサ28FL〜28RRがバネ下振動検出手段に対
応し、左右逆相成分算出部56,58が左右逆相成分算
出手段に対応し、補正係数算出部60がゲイン変更手段
に対応し、左右逆相成分φf 及びφr が外乱振動に対応
する。
【0075】図7乃至図9は本発明の第2の実施の形態
を示す図である。先ず、構成を説明するが、本実施の形
態の全体構成は、上記第1の実施の形態と略同様である
ため、その図示及び詳細な説明は省略する。また、上記
第1の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、
その重複する説明は省略する。即ち、本実施の形態で
は、バネ下振動に含まれるエンジン共振周波数成分を外
乱振動として検出し、その外乱振動に基づいて補正係数
αを設定することにより上記第1の実施の形態と同様の
作用効果を得るようにしている。
【0076】具体的には、コントローラ30の機能構成
を示すブロック図である図7に示すように、コントロー
ラ30には、上記第1の実施の形態と同様に、横加速度
検出値Gy 及び舵角検出値θが供給されるとともに、前
輪側に設けられた上下加速度センサ28FL及び28FR
(図1参照)から上下加速度検出値XFL及びXFRが供給
されるようになっている。つまり、本実施の形態の全体
構成は、後輪側の上下加速度センサ28RL及び28RR
(図1参照)が省略されたことを除いて、上記第1の実
施の形態と同様である。
【0077】そして、コントローラ30は、上下加速度
検出値XFL及びXFRそれぞれをフーリエ変換することに
よりパワースペクトル密度(PSD)ψFL及びψFRを算
出するパワースペクトル密度演算部62と、このパワー
スペクトル密度演算部62が演算したパワースペクトル
密度ψFL及びψFRからエンジン共振周波数域における振
動パワーAFL及びAFRを算出する振動パワー算出部64
と、を有しており、その振動パワー算出部64が算出し
た振動パワーAFL及びAFRが、補正係数算出部60に供
給されるようになっている。
【0078】補正係数算出部60は、直進走行判断部5
4が車両は直進走行状態でないと判断した場合には、上
記第1の実施の形態と同様に、補正係数αを“1”に設
定する一方、直進走行判断部54が車両は直進走行状態
であると判断した場合には、振動パワーAFL及びAFRに
基づいて補正係数αを設定するようになっている。具体
的には、補正係数算出部60は、直進走行判断部54が
車両は直進走行状態であると判断した場合、振動パワー
AFL及びAFRに基づき図8に示すようなテーブルを参照
して左輪側補正係数αL 及び右輪側補正係数αR 求め、
そして、各補正係数αL 及びαR を掛け合わせた値を補
正係数α(=αL ×αR )として設定し、その補正係数
αを増幅器51f,51rに供給するようになってい
る。
【0079】なお、振動パワーAFL,AFRと各補正係数
αL ,αR との関係は、図8に示すように、振動パワー
AFL,AFRが“0”の場合には補正係数αL ,αR
“1”であり、振動パワーAFL,AFRが増加しても所定
のしきい値に達するまでは補正係数αL ,αR は“1”
であり、振動パワーAFL,AFRが所定のしきい値を越え
ると、その増加に従って補正係数αL ,αR は徐々に小
さくなるようになっている。
【0080】次に、本実施の形態の動作を説明する。な
お、旋回時等における基本的な動作は上記第1の実施の
形態と同様であるため、重複する説明は省略し、本実施
の形態の特徴部分に関する動作だけ説明する。即ち、直
進走行時には、直進走行判断部54が車両は直進走行状
態であると判断するから、補正係数算出部60は、振動
パワーAFL及びAFRに基づいて補正係数αを設定するこ
とになる。
【0081】そして、路面側から前輪10FL,10FRに
入力された振動は、上下加速度センサ28FL,28FRに
よって感知され、それに応じた上下加速度検出値XFL,
XFRがコントローラ30に供給される。すると、コント
ローラ30では、各上下加速度検出値XFL,XFRに基づ
き、パワースペクトル密度演算部62がパワースペクト
ル密度ψFL,ψFRを算出する。ここで算出されるパワー
スペクトル密度ψFL,ψFRは、例えばうねり路等の低周
波成分を多く含む路面を走行している場合には、図9に
実線で示すような分布となるが、不整路面等のように比
較的高周波成分を多く含む路面を走行している場合に
は、図9に破線で示すような分布となる。
【0082】そして、振動パワー算出部64は、パワー
スペクトル密度ψFL,ψFRに基づいて振動パワーAFL,
AFRを算出するが、エンジン共振周波数は通常10Hz前
後にあるから、ここではエンジン共振周波数域を8〜1
5Hzとし、下記の(1)式に基づいて振動パワーA
i (i=FL,FR)を演算する。なお、下記の(1)式に
おける積分範囲は、8〜15である。
【0083】Ai =∫ψi df ……(1) ここで、パワースペクトル密度ψFL,ψFRが図9に実線
で示すような分布の場合には、振動パワーAFL,AFRは
比較的小さい値が算出されるから、図8に示す特性から
各補正係数αL ,αR は“1”に設定される。このた
め、補正係数算出部60は補正係数αを“1”に設定す
るから、横加速度検出値Gy をゲインβf,βr 倍した
値がそのまま或いは極性を反転されて指令電流IFL〜I
RRとなり、横加速度検出値Gy の大きさに応じた力が各
油圧シリンダ18FL〜18FRに発生する。この場合、路
面から車体に入力される振動はエンジン共振を発生させ
るような振動ではないため、エンジン共振に起因した外
乱振動が車体には発生しておらず、そのような外乱振動
が横加速度検出値Gy に重畳されてはいないから、横加
速度検出値Gy の指令電流IFL〜IRRに対するゲインが
βf ,βr のままであっても、特に車体姿勢の悪化は招
かない。
【0084】これに対し、パワースペクトル密度ψFL,
ψFRが図9に破線で示すような分布の場合には、振動パ
ワーAFL,AFRは比較的大きな値が算出されるから、図
8に示す特性から各補正係数αL ,αR の一方或いは両
方が“1”よりも小さくなり、それらの積算値である補
正係数αが“1”よりも小さくなる。このため、路面か
ら入力された振動によってエンジン共振が生じ、これが
車体側に伝達され、外乱が重畳された横加速度検出値G
y がコントローラ30に供給されても、通常の場合より
も小さい指令信号IFL〜IRRが出力されるだけで済むか
ら、油圧シリンダ18FL〜18RRに発生する力は通常の
場合よりも小さくなり、車体姿勢の悪化を低減すること
ができるのである。
【0085】ここで、本実施の形態では、上下加速度セ
ンサ28FL,28FR,パワースペクトル密度演算部62
及び振動パワー算出部64が外乱振動検出手段及びエン
ジン振動検出手段に対応し、上下加速度センサ28FL,
28FRがバネ下振動検出手段に対応し、パワースペクト
ル密度演算部62及び振動パワー算出部64がフィルタ
手段に対応し、振動パワーψFL,ψFRが外乱振動に対応
する。
【0086】図10は、本発明の第3の実施の形態を示
す図であって、コントローラ30の機能構成を示すブロ
ック図である。なお、本実施の形態の全体構成は、上記
第1の実施の形態と略同様であるため、その図示及び詳
細な説明は省略する。また、上記第1,第2の実施の形
態と同様の構成には、同じ符号を付し、その重複する説
明は省略する。
【0087】即ち、本実施の形態では、上下加速度セン
サ28FL〜28RR(図1参照)に代えてエンジンの支持
部分にそのエンジンの荷重を検出する荷重センサ66を
設けていて、その荷重センサ66が検出した荷重検出値
Wが、横加速度検出値Gy 及び舵角検出値θとともにコ
ントローラ30に供給されるようになっている。コント
ローラ30に供給された荷重検出値Wは、パワースペク
トル密度演算部62に供給され、そこで荷重検出値Wの
パワースペクトル密度ψW が演算され、そのパワースペ
クトル密度ψW が振動パワー算出部64に供給されるよ
うになっている。振動パワー算出部64は、パワースペ
クトル密度ψW に基づき上記(1)式に従って、振動パ
ワーAW を算出し、その振動パワーAW が補正係数算出
部60に供給されるようになっている。
【0088】そして、補正係数算出部60は、直進走行
時には、振動パワーAW に基づき、上記第2の実施の形
態における図8と同様の特性のテーブルを参照して、補
正係数αを設定し、これを増幅器51f,51rに供給
するようになっている。このような構成であれば、直進
走行時に、荷重センサ66が検出した荷重検出値Wの変
動分にエンジン共振周波数成分が多く含まれていれば、
補正係数算出部60は“1”よりも小さい補正係数αを
設定するから、上記第2の実施の形態と同様に、路面か
ら入力された振動によってエンジン共振が生じても、車
体姿勢の悪化を低減することができる。
【0089】しかも、本実施の形態であれば、エンジン
振動を直接検出するようになっているため、上記第2の
実施の形態よりも高精度の制御が行えるという利点があ
る。つまり、本実施の形態であれば、エンジン共振が発
生している状況を確実に検出できるから、補正係数αを
必要最低限の場合のみ低下させることができ、エンジン
共振が発生していない場合には制御ゲインを必要な大き
さのままとして良好な姿勢変化抑制制御が行えるのであ
る。
【0090】なお、旋回時等における基本的な動作や効
果は、上記第1の実施の形態と同様である。ここで、本
実施の形態では、荷重センサ66,パワースペクトル密
度演算部62及び振動パワー算出部64が外乱振動検出
手段及びエンジン振動検出手段に対応し、荷重センサ6
6が荷重変動検出手段に対応し、振動パワーAW が外乱
振動に対応する。
【0091】図11及び図12は本発明の第4の実施の
形態を示す図であって、図11はコントローラ30の機
能構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態の
全体構成は、上記第1の実施の形態と略同様であるた
め、その図示及び詳細な説明は省略する。また、上記第
1の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。
【0092】即ち、本実施の形態では、上下加速度セン
サ28FL〜28RR(図1参照)を省略し、それら上下加
速度センサ28FL〜28RRが検出した上下加速度検出値
XFL〜XRRに代えて、自動変速機68のコントローラ6
9から出力される変速信号Tを供給するようにしてい
る。ここで、変速信号Tは、自動変速機68が変速動作
を行った場合にコントローラ69が出力する図12
(a)に示すようなパルス信号である。コントローラ3
0に供給された変速信号Tは、補正係数算出部60に供
給されるようになっている。
【0093】そして、補正係数算出部60は、直進走行
時には、変速信号Tが入力されていない状況では補正係
数αを“1”に設定する一方、変速信号Tが入力された
場合には、図12(b)に示すように、変速信号Tが入
力されると同時に補正係数αを“0”に設定し、その状
態を所定時間だけ継続し、その後に再び補正係数αを
“1”に戻すようになっている。なお、補正係数αを
“0”に維持する所定時間は、自動変速機68の変速動
作によって車体に生じる振動が十分に減衰するのに必要
な時間とする。
【0094】つまり、自動変速機68が変速動作を行う
と、ギア同士の噛み合い変化に伴う振動(外乱振動)が
車体に伝達されるため、それが横加速度検出値Gy に外
乱として重畳されてしまい、油圧シリンダ18FL〜18
RRに不必要な力が発生して車体姿勢を悪化させる可能性
があるのである。しかし、本実施の形態であれば、自動
変速機68が変速動作を行うのと同時に補正係数αが
“0”に設定されるため、その変速動作による車体振動
が横加速度センサ26によって感知されても、油圧シリ
ンダ18FL〜18RRに不必要な力が発生することはな
く、車体姿勢の悪化を防止できるのである。
【0095】なお、旋回時等における基本的な動作や効
果は、上記第1の実施の形態と同様である。ここで、本
実施の形態では、コントローラ69が外乱振動検出手段
及び変速検出手段に対応する。図13は、本発明の第5
の実施の形態を示す図であって、コントローラ30の機
能構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態の
全体構成は、上記第1の実施の形態と略同様であるた
め、その図示及び詳細な説明は省略する。また、上記第
1の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。
【0096】即ち、本実施の形態では、車両の前後方向
に離隔して配設された第1の横加速度センサ26F及び
第2の横加速度センサ26Rを有していて、車両前側に
配設された第1の横加速度センサ26Fが検出した横加
速度検出値Gy1及び車両後側に配設された第2の横加速
度センサ26Rが検出した横加速度検出値Gy2の両方が
コントローラ30に供給されるようになっている。ま
た、本実施の形態では、車速を検出する車速センサ70
が設けられていて、その車速センサ70が検出した車速
に対応する車速検出値Vもコントローラ30に供給され
るようになっている。なお、上記第1の実施の形態と同
様に、コントローラ30には、舵角検出値θ及び上下加
速度検出値XFL〜XRRも供給されるようになっている。
【0097】そして、コントローラ30は、車両の直進
状態を判断する直進走行判断部の他に、舵角検出値θ及
び車速検出値Vに基づいて車両の定常円旋回走行を判断
する定常円旋回走行判断部72を有している。定常円旋
回走行判断部72は、舵角検出値θに基づいてその変化
率Δθを算出するとともに、車速検出値Vに基づいてそ
の変化率ΔVを算出し、それら変化率Δθ及びΔVの両
方が十分に小さい場合に、車両は定常円旋回走行状態で
あると判断するようになっている。
【0098】これら直進走行判断部54及び定常円旋回
走行判断部72の判断結果は、補正係数算出部60に供
給されるようになっており、補正係数算出部60は、そ
れら判断結果に基づき、車両の走行状態が直進走行及び
定常円旋回走行のいずれでもない場合には、補正係数α
を“1”に設定するようになっている。しかし、補正係
数演算部60は、車両の走行状態が直進走行又は定常円
旋回走行である場合には、上記第1の実施の形態と同様
の演算過程により補正係数αを設定するようになってい
る。
【0099】また、コントローラ30は、二つの横加速
度検出値Gy1,Gy2に基づいて、車両重心点より前方の
所望の算出位置における横加速度算出値Gyf,Gyrを算
出する横加速度算出部74を有している。なお、横加速
度算出部74には、第1の横加速度センサ26F及び車
両重心点間の距離L1 と、第2の横加速度センサ26R
及び車両重心点間の距離L2 と、横加速度算出値Gyf
yrの算出位置及び車両重心点間の距離Lf ,Lr とが
それぞれ記憶されているとともに、補正係数算出部60
から補正係数αが供給されるようになっている。
【0100】そして、横加速度算出部74は、下記の
(2)式及び(3)式に従って、前輪側の指令電流IF
L,IFR演算用の横加速度算出値Gyfと、後輪側の指令
電流IRL,IRR演算用の横加速度算出値Gyrとを算出す
る。なお、このように前輪用及び後輪用として二種類の
横加速度を算出するのは、前輪側の油圧シリンダ18F
L,18FRと後輪側の油圧シリンダ18RL,18RRとを
制御するための最適な横加速度算出位置が異なるため、
個別に算出した方がより高精度の制御が行えるからであ
る。
【0101】 Gyf=(L1 y2−L2 y1)/(L1 −L2 ) +αLf (Gy1−Gy2)/(L1 −L2 ) ……(2) Gyr=(L1 y2−L2 y1)/(L1 −L2 ) +αLr (Gy1−Gy2)/(L1 −L2 ) ……(3) これら(1)式及び(2)式において、右辺第1項は車
両重心点における横加速度Gy に相当し、右辺第2項は
各算出位置におけるヨー角加速度に相当するから、それ
らを加算することにより、各算出位置におけるヨー角加
速度まで含んでいる各横加速度算出値Gyf,Gyrが算出
されるのである。図14に、各横加速度センサ26F,
26Rの配設位置,各横加速度検出値Gy1,Gy2,横加
速度算出値Gyf,Gyr及び車両重心点の横加速度Gy
関係を概念的に示す。
【0102】そして、横加速度算出値Gyfが増幅器50
fに供給されてゲインβf 倍され、その結果がそのまま
或いは極性が反転されて前輪側の指令電流IFL,IFRと
して出力される一方、横加速度算出値Gyrが増幅器50
rに供給されてゲインβr 倍され、その結果がそのまま
或いは極性が反転されて後輪側の指令電流IRL,IRRと
して出力されれば、本出願人が先に提案した特開平2−
37014号公報に開示された能動型サスペンションと
同様に、重心点の横加速度の他に、ヨー角加速度と重心
点・算出位置間の距離との積値である横加速度成分が制
御に用いられることになるから、制御系の位相遅れが補
償され、格段に優れたアンチロール効果が得られて安定
した車両姿勢が確保できるようになる。
【0103】しかも、本実施の形態にあっては、上記
(2)式及び(3)式の右辺第2項からも明らかなよう
に、距離Lf ,Lr にさらに補正係数αを乗じているた
め、横加速度算出値Gyf,Gyrの算出位置である距離L
f ,Lr が、補正係数αによって可変となっている。そ
して、補正係数αは、上記第1の実施の形態と同様に、
路面側からの振動入力が車体にロールを生じさせるよう
な場合に“1”よりも低下するものであるから、横加速
度検出値Gy1及びGy2に外乱が重畳されるような状況で
は、横加速度算出値Gyf,Gyrの算出位置が車両重心点
に近づくのである。
【0104】すると、ヨー角加速度は車両重心点を通る
鉛直線周りの加速度であるから、算出位置が車両重心点
に近づくほど、ヨー角加速度成分が小さくなる(つま
り、上記(2)式及び(3)式の右辺第2項が小さくな
る)。よって、各横加速度検出値Gy1,Gy2に外乱が重
畳されるような状況では、横加速度算出値Gyf,Gyr
通常の場合よりも小さくなるから、指令信号IFL〜IRR
が小さくなって油圧シリンダ18FL〜18RRで発生する
力が小さくなる。この結果、上記第1の実施の形態と同
様に、車体姿勢の悪化を低減することができるのであ
る。
【0105】また、本実施の形態では、直進走行状態及
び定常円旋回走行状態を判断し、いずれか一方が検出さ
れた場合にのみ外乱振動に応じて“1”よりも小さい補
正係数αを設定するようにしているため、旋回走行に起
因する横加速度や実際のヨー角加速度が車体に発生して
いる状況では、距離Lf ,Lr は適切な長さのままとな
り、上述した制御系の位相遅れの補償を確実に行える。
しかも、直進走行状態及び定常円旋回走行状態であって
も、外乱振動が発生していない状況では補正係数αを
“1”に設定するため、旋回走行等に移行した直後であ
っても的確な大きさの力を油圧シリンダ18FL〜18RR
に発生させることができる。
【0106】ここで、本実施の形態では、横加速度算出
部74が横加速度算出手段に対応し、増幅器50f,5
0r及び符号反転器52f,52rが制御手段に対応
し、舵角センサ29,車速センサ70,直進走行判断部
54及び定常円旋回走行判断部72が走行状態検出手段
に対応し、上下加速度センサ28FL〜28RR及び左右逆
相成分算出部56,58が外乱振動検出手段に対応し、
上下加速度センサ28FL〜28RRがバネ下振動検出手段
に対応し、左右逆相成分算出部56,58が左右逆相成
分算出手段に対応し、補正係数演算部60が算出位置変
更手段に対応し、左右逆相成分φf 及びφr が外乱振動
に対応する。
【0107】図15乃至図17は本発明の第6の実施の
形態を示す図であって、図15はコントローラ30の機
能構成を示すブロック図である。先ず、構成を説明する
が、本実施の形態の全体構成は、上記第1の実施の形態
と略同様であるため、その図示及び詳細な説明は省略す
る。また、上記第1の実施の形態と同様の構成には、同
じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0108】即ち、本実施の形態では、第1の実施の形
態における横加速度センサ26の代わりに車両の前後方
向の加速度を検出する前後加速度センサ76が設けられ
ていて、その前後加速度センサ76が検出した前後加速
度検出値Gx がコントローラ30に供給されるようにな
っている。なお、前後加速度センサ76は、車両加速時
に発生する車両前向きの前後加速度を正の前後加速度検
出値Gx として出力し、車両後ろ向きの前後加速度を負
の前後加速度検出値Gx として出力するようになってい
る。なお、コントローラ30には、車速センサ70が検
出した車速検出値V及び上下加速度センサ28FL〜28
RR(図1参照)が検出した上下加速度検出値XFL〜XRR
も供給されるようになっている。
【0109】そして、コントローラ30は、前後加速度
検出値Gx をゲインγ倍する増幅器77と、その出力を
さらに可変の補正係数α倍する増幅器78と、その出力
の極性を反転する符号反転器79とを有していて、符号
反転器79の出力が前輪側の指令電流IFL,IFRとして
出力され、増幅器78の出力が後輪側の指令電流IRL,
IRRとして出力されるようになっている。
【0110】また、コントローラ30は、車速検出値V
からその変化率ΔVを求め、その変化率ΔVが十分に小
さい場合に車両が定速走行状態であると判断する定速走
行判断部80を有していて、この定速走行判断部80の
判断結果は補正係数算出部60に供給されるようになっ
ており、補正係数算出部60は、その判断結果に基づ
き、車両が定速走行状態でない場合(つまり、加速走行
時又は減速走行時)には、補正係数αを“1”に設定す
るようになっている。
【0111】さらに、コントローラ30は、前後加速度
検出値Gx に、所定のしきい値Gsよりも大きい車両後
ろ向きのピーク値が発生していることを検出する第1の
ピーク値検出部82と、各上下加速度検出値XFL〜XRR
に、所定のしきい値Xs より大きい車両上向きのピーク
値が発生していることを検出する第2のピーク値検出部
84と、を有している。そして、第1のピーク値検出部
82が前後加速度検出値Gx の上記のようなピーク値を
検出した場合には、その検出したという結果及び検出さ
れたピーク値Gp が補正係数算出部60に供給され、ま
た、第2のピーク値検出部84が上下加速度検出値XFL
〜XRRの上記のようなピーク値を検出した場合には、そ
の検出したという結果が補正係数算出部60に供給され
るようになっている。
【0112】なお、本実施の形態では、第1のピーク値
検出部82の検出結果は第2のピーク値検出部84にも
供給されるようになっていて、第2のピーク値検出部8
4は第1のピーク値検出部84が上記のようなピーク値
を検出した場合にのみ、上下加速度検出値XFL〜XRRの
上記のようなピーク値を検出するようになっている。こ
のため、第2のピーク値検出部84は、過去の所定時間
に渡る上下加速度検出値XFL〜XRRを記憶するようにな
っている。
【0113】そして、補正係数算出部60は、車両が定
速走行状態である場合には、第1のピーク値検出部82
及び第2のピーク値検出部84からの出力に基づき、各
ピーク値が略同時に発生しているか否かを判定し、各ピ
ーク値が略同時に発生している場合には、ピーク値Gp
に基づき図16に示すようなテーブルを参照して補正係
数αを設定し、その補正係数αを増幅器78に供給する
ようになっている。
【0114】次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、車両が良路を定速走行しているものとすると、この
状態では車体には前後加速度は生じていないため、前後
加速度センサ76が出力する前後加速度検出値Gx は略
零である。従って、各指令電流IFL〜IRRが零となって
各油圧シリンダ18FL〜18RRが発生する力はいずれも
オフセット圧P0 に対応した力となるから、車体には姿
勢変化は生じない。
【0115】この状態から例えば加速走行に移行する
と、車体には車両前向きの前後加速度が発生するから、
これが前後加速度センサ76によって検出され、正の前
後加速度検出値Gx がコントローラ30に供給される。
また、加速走行時には、定速走行判断部80は定速走行
状態でないと判断するから、補正係数算出部60は補正
係数αを“1”に設定する。よって、増幅器78は存在
しないことと等価になる。
【0116】そして、コントローラ30に供給された前
後加速度検出値Gx は増幅器77によってゲインγ倍さ
れ、その結果がそのまま後輪側の指令電流IRL,IRRと
して出力されるとともに、増幅器77の出力が符号反転
器79で反転されてから前輪側の指令電流IFL,IFRと
して出力される。すると、前後加速度検出値Gx の極性
が正であるから、前輪側の油圧シリンダ18FL,18FR
には車体を下降させる方向の力が発生し、後輪側の油圧
シリンダ18RL,18RRには車体を上昇させる方向の力
が発生するが、加速時の車体には前側が持ち上がり後側
が沈み込む方向のピッチが生じようとするから、各油圧
シリンダ18FL〜18RRで発生する力はそのピッチに抗
する力となる。よって、増幅器77のゲインγの大きさ
を適宜設定することにより、加速時における車体の姿勢
変化を抑制することができ、良好な乗り心地が確保され
る。なお、減速時には、負の前後加速度検出値Gx がコ
ントローラ30に供給されるから、加速時の場合とは逆
の作用によって車体前側が沈み込もうとするピッチに抗
する力が発生し、車体の姿勢変化が抑制されて良好な乗
り心地が確保される。
【0117】一方、車両が良路を定速走行している状態
では、定速走行判断部80は定速走行状態であると判断
するから、補正係数算出部60は、第1及び第2のピー
ク値検出部82,84の検出結果に応じて補正係数αを
設定するが、第1のピーク値検出部82がピーク値を検
出していない状況では、ピーク値Gp は“0”であるの
で、図16の特性から補正係数αは“1”に設定され
る。
【0118】このような状態から、車輪10FL〜10RR
の少なくとも一つが走行路面上の比較的大きな凸部を乗
り越えようとすると、その凸部を乗り越えようとする車
輪10FL〜10RRにはこれを持ち上げる方向の振動が入
力されるが、その振動入力と略同時に、車体にはその進
行を止めようとする力が入力され、これが車両後ろ向き
の前後加速度として前後加速度センサ76によって検出
される。
【0119】すると、そのときの前後加速度は、例えば
図17(a)に示すように、前後加速度検出値Gx に負
のピーク値として表れることになるから、その前後加速
度検出値Gx に応じて油圧シリンダ18FL〜18RRに力
が発生してしまうと、車体の姿勢変化の悪化を招いてし
まう。しかし、前後加速度検出値Gx のピーク値は、第
1のピーク値検出部82によって検出され、その検出結
果が、補正係数算出部60及び第2のピーク値検出部8
4に供給される。なお、第1のピーク値検出部82にお
いてピーク値を判断する手法としては、例えば、前後加
速度検出値Gx が負の方向にしきい値Gs を超えている
か否かを常時監視し、超えたと判定された場合には、図
17(a)に示すような最新の前後加速度検出値G
x (1)と、1サンプリング前の前後加速度検出値Gx
(2)と、2サンプリング前の前後加速度検出値G
x (3)とに基づいて、 Gx (1)>Gx (2) 且つ Gx (2)<G
x (3) という判定を行い、この判定が真の場合には1サンプリ
ング前の前後加速度検出値Gx (2)がピーク値であっ
たと判断する、という手法が考えられる。この場合に
は、その1サンプリング前の前後加速度検出値G
x (2)がピーク値Gp として記憶される。
【0120】そして、第1のピーク値検出部82がピー
ク値を検出すると、その結果を受けて第2のピーク値検
出部84がピーク値の発生を判断する。第2のピーク値
検出部84は、過去の所定時間に渡って記憶している上
下加速度検出値Xi (i=FL〜RR)を参照して、第1の
ピーク値検出部82がピーク値Gp を検出したのと略同
時に、それら上下加速度検出値Xi にしきい値Xs を超
える値が存在するか否かを先ず判定し、存在しない場合
にはピーク値は発生していないと判断する。この場合に
は、補正係数算出部60は、第1のピーク値検出部82
のみがピーク値を検出したことを認識するから、現在発
生している前後加速度は、車輪10FL〜10RRが路面上
の大きな凸部を乗り越えたことにより発生したものでは
なく、急制動により発生したものと推定でき、補正係数
αを“1”のままとする。
【0121】しかし、上下加速度検出値Xi にしきい値
s を超える値が存在する場合には、さらに第2のピー
ク値検出部84は、その超える値がピーク値であるか否
かを判定する。この場合の判定も、第1のピーク値検出
部82における判定と同様に行える。具体的には、図1
7(b)に示すように、しきい値Xs を超える上下加速
度検出値Xi のうち、任意の上下加速度検出値X
i (j)と、その1サンプリング前の上下加速度検出値
i (j−1)と、さらにその1サンプリング前の上下
加速度検出値Xi (j−2)とを選択し、それらに基づ
いて、 Xi (j)<Xi (j−1) 且つ Xi (j−1)>
i (j−2) という判定を行い、この判定が真となるケースが一つで
も確認された場合には、上下加速度検出値XFL〜XRRの
いずれかに上向きのピーク値が発生したと判断すればよ
い。
【0122】そして、補正係数算出部60は、第1のピ
ーク値検出部82及び第2のピーク値検出部84の両方
がピーク値を検出した場合には、第1のピーク値検出部
82から供給されるピーク値Gp に基づき図16に示す
ようなテーブルを参照して、補正係数αを設定し、これ
を増幅器78に供給する。この結果、車輪10FL〜10
RRが走行路面上の比較的大きな凸部を乗り越えた際に車
体に入力された外乱振動による前後加速度検出値Gx
コントローラ30に供給されても、コントローラ30に
おける演算速度さえ十分であれば、外乱が重畳された前
後加速度検出値Gx が指令電流IFL〜IRRに含まれてし
まう前に増幅器78における増幅度が小さくなるから、
油圧シリンダ18FL〜18RRで発生する力が小さくな
り、車体の姿勢変化の悪化を防止できるのである。
【0123】ここで、本実施の形態にあっては、前後加
速度センサ76が前後加速度検出手段に対応し、増幅器
77,78及び符号反転器79が制御手段に対応し、車
速センサ70及び定速走行判断部80が走行状態検出手
段に対応し、上下加速度センサ28FL〜28RR,第1の
ピーク値検出部82及び第2のピーク値検出部84が外
乱振動検出手段に対応し、補正係数算出部60がゲイン
変更手段に対応し、上下加速度センサ28FL〜28RRが
バネ下振動検出手段に対応し、第1のピーク値検出部8
2が第1のピーク値検出手段に対応し、第2のピーク値
検出部84が第2のピーク値検出手段に対応する。
【0124】図18は、本発明の第7の実施の形態を示
す図であって、コントローラ30の機能構成を示すブロ
ック図である。なお、本実施の形態の全体構成は、上記
第1の実施の形態と略同様であるため、その図示及び詳
細な説明は省略する。また、上記第1の実施の形態と同
様の構成には、同じ符号を付し、その重複する説明は省
略する。
【0125】即ち、本実施の形態では、コントローラ3
0には、横加速度センサ26が検出した横加速度検出値
y と、舵角センサ29が検出した舵角検出値θと、車
速センサ70が検出した車速検出値Vと、前輪側の上下
加速度センサ28FL,28FRが検出した上下加速度検出
値XFL,XFRとが供給されるようになっているが、上記
第1の実施の形態とは異なり、後輪側の上下加速度セン
サ28RL,28は省略されている。
【0126】そして、コントローラ30は、車速検出値
Vと車両のホイールベースとに応じた遅延時間が設定さ
れる遅延回路86を有している。この遅延回路86は、
左右逆相成分算出部56が算出した前輪側の左右逆相成
分φf を、車速検出値V及びホイールベースから判る前
輪及び後輪の走行路面上の任意の点の通過時間差に対応
する遅延時間(ホイールベース/V)だけ遅延させるこ
とにより、後輪側の左右逆相成分φr を求めるようにな
っている。つまり、補正係数算出部60において左右逆
相成分φf 及びφr が必要になるのは車両の直進走行時
であり、車両の直進走行時には前輪及び後輪の通過ライ
ンは同一と考えて差し支えないから、前輪側の左右逆相
成分φf を所定時間だけ遅らせれば、後輪側の左右逆相
成分φrを略正確に推定することができるのである。
【0127】よって、直進走行時に、補正係数算出部6
0が、それら左右逆相成分φf 及びφr に基づいて上記
第1の実施の形態と同様に補正係数αを設定すれば、上
記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られるのであ
る。しかも、車速センサVは通常の車両は有しているも
のであるから、後輪側の上下加速度センサ28RL,28
RRが省略できる分、コスト的に有利であるという利点が
ある。
【0128】ここで、本実施の形態では、上下加速度セ
ンサ28FL,28FR,左右逆相成分算出部56及び遅延
回路86が外乱振動検出手段に対応し、上下加速度セン
サ28FL,28FRがバネ下振動検出手段に対応し、左右
逆相成分算出部56及び遅延回路86が左右逆相成分算
出手段に対応する。なお、上記各実施の形態では、車両
の直進走行状態を舵角検出値θに基づいて検出するよう
にしているが、これに限定されるものではなく、例えば
横加速度検出値Gy が十分に小さい場合に直進走行状態
であると判断するようにしてもよいし、或いは、横加速
度検出値Gy 及びその微分値ΔGy を求め、それらがそ
れぞれの所定のしきい値よりも小さい場合に直進走行状
態であると判断するようにしてもよい。この場合には、
後者の方法であればより正確な判断が可能となる。
【0129】また、上記第5の実施の形態では、外乱振
動として左右逆相成分算出部56,58が算出した左右
逆相成分φf ,φr を用いるようにしているが、これに
限定されるものではなく、例えば上記第2,第3の実施
の形態のようにエンジン共振成分を外乱振動として用い
てもよいし、或いは、上記第4の実施の形態のように自
動変速機の変速動作を外乱振動として用いてもよいし、
上記第7の実施の形態のように後輪側の左右逆相成分φ
r は遅延回路で推定するようにしてもよい。さらに、こ
の第5の実施の形態では、直進走行状態及び定常円旋回
走行状態の両方を検出するようにしているが、その一方
だけを検出し、それに応じて補正係数αを設定するよう
にしてもよい。
【0130】そして、上記第1の実施の形態及び第5の
実施の形態では、前輪側及び後輪側の左右逆相成分
φf ,φr の両方を検出するようにしているが、その一
方のみを検出し、一方の左右逆相成分だけで補正係数α
を設定するようにしても、若干効果は低下するものの、
それら第1,第5の実施の形態と同等の作用効果が得ら
れる。
【0131】また、上記各実施の形態では、バネ下振動
を検出するために車輪側部材12に配設された上下加速
度センサを用いているが、これに限定されるものではな
く、例えば特開平5−319067号公報で公知のよう
にサスペンションストローク値やバネ上の上下加速度値
等から推定するようにしてもよい。また、上記第1の実
施の形態等では、左右逆相成分φf ,φr に基づいて前
輪側補正係数αf ,後輪側補正係数αr を求め、それら
補正係数αf ,αr を掛け合わせて補正係数αを算出す
るようにしているが、これに限定されるものではなく、
例えば、左右逆相成分φf ,φr と補正係数αとの関係
をテーブルや関係式に置き換えておけば、左右逆相成分
φf ,φr から直接補正係数αを求めるようにしてもよ
い。同様に、横加速度検出値Gy や前後加速度検出値G
x と基本的な指令電流IFL〜IRRとの関係を例えば図1
9に示すようなテーブルとして記憶しておき、そのテー
ブルを参照して指令電流IFL〜IRRを読み出し、その指
令電流IFL〜IRRに補正係数αを乗じてから各圧力制御
弁20FL〜20RRに出力するようにしてもよい。
【0132】さらに、上記第2,第3の実施の形態で
は、エンジン共振周波数域を8〜15Hzとしているが、
かかる数値は例示であって、エンジン重量やエンジン支
持剛性等に応じて車両毎に適宜求められるものである。
また、振動パワーAFL,AFRをフーリエ変換を利用して
演算するようにしているが、上下加速度検出値XFL,X
FRや荷重検出値Wを通過帯域をエンジン共振周波数域に
設定したバンドパス・フィルタで処理し、そのフィルタ
出力に基づいて振動パワーAFL,AFRを求めるようにし
てもよい。
【0133】また、上記第4の実施の形態では、変速機
として自動変速機を有する車両に本発明を適用している
が、手動変速機を有する車両であっても同様に適用可能
である。そして、上記第6の実施の形態では、前後加速
度検出値Gx に基づいて制御を行う能動型サスペンショ
ンにおいて、上述した各ピーク値の発生の有無に応じて
補正係数αを設定するようにしているが、これに限定さ
れるものではなく、例えば、上記第2,第3の実施の形
態と同様に、エンジン共振周波数域の振動に基づいて補
正係数αを設定するようにしてもよく、かかる構成とす
れば、エンジン共振に起因した外乱が前後加速度検出値
x に重畳されても、ピッチ方向の車体姿勢の悪化を防
止することができるようになる。
【0134】
【実施例】図20は、上記第1の実施の形態と同等の構
成を適用した車両を、直進→旋回→直進と走行させた状
況での検出値等の波形図であり、同(a)は横加速度検
出値Gy 、同(b)は左右逆相成分φf 、同(c)は比
較例として補正係数αを導入せずに制御ゲインをβf
βr に固定した場合の指令電流I、同(d)は実施例と
して補正係数αを第1の実施の形態と同様に左右逆相成
分に基づいて設定した場合の指令電流I、同(e)は同
(d)の場合の補正係数αを示している。
【0135】そして、同(a)に示すように、旋回状態
に移行する前の直進時には、直進時であるにも関わらず
比較的大きな横加速度が発生していることが確認できる
が、その原因は、同(b)の同時刻の波形から、路面か
ら左右輪に入力された左右逆相成分であることが判る。
これに対応して、同(e)に示すように、補正係数αが
“1”よりも小さい値に設定されるから、同(d)に示
すように、指令電流Iが小さくなり、油圧シリンダで発
生する力が小さくなって車体の姿勢変化の悪化を抑制で
きるのである。
【0136】これに対し、制御ゲインを固定してしまう
と、同(c)に示すように、比較的大きな指令電流Iが
流れてしまい、油圧シリンダで発生する力が大きくなっ
て車体姿勢の悪化を招いてしまうのである。また、直進
から旋回に移行すると、同(c)と(d)とを比較する
と、比較例と実施例とは同じ指令電流Iが出力されてい
ることが判る。つまり、本発明によっても、従来と同様
に旋回時のロールを的確に抑制することができる。そし
て、再び直進状態に移行すると、比較例の場合には、横
加速度に応じた大きさの指令電流Iが流れてしまい、不
必要な力が油圧シリンダで発生して車体姿勢の悪化を招
いてしまうのに対し、実施例の場合には、左右逆相成分
に応じて補正係数αが低下するから、適宜指令電流Iが
小さくなり、車体姿勢の悪化を抑制することができるの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の全体構成を示す概略構成図
である。
【図2】指令電流と制御圧力との関係を示すグラフであ
る。
【図3】横加速度と横加速度検出値との関係を示すグラ
フである。
【図4】上下加速度と上下加速度検出値との関係を示す
グラフである。
【図5】コントローラの機能構成を示すブロック図であ
る。
【図6】左右逆相成分と補正係数との関係を示すグラフ
である。
【図7】第2の実施の形態のコントローラの機能構成を
示すブロック図である。
【図8】振動パワーと補正係数との関係を示すグラフで
ある。
【図9】パワースペクトル密度を示す特性図である。
【図10】第3の実施の形態のコントローラの機能構成
を示すブロック図である。
【図11】第4の実施の形態のコントローラの機能構成
を示すブロック図である。
【図12】変速信号と補正係数との関係を示す波形図で
ある。
【図13】第5の実施の形態のコントローラの機能構成
を示すブロック図である。
【図14】横加速度検出値と横加速度算出値との関係の
説明図である。
【図15】第6の実施の形態のコントローラの機能構成
を示すブロック図である。
【図16】前後加速度検出値のピーク値と補正係数との
関係を示すグラフである。
【図17】前後加速度検出値及び上下加速度検出値にピ
ーク値が発生した場合の波形図である。
【図18】第7の実施の形態のコントローラの機能構成
を示すブロック図である。
【図19】横加速度検出値と指令電流との関係の一例を
示すグラフである。
【図20】本発明の実施例における各値の波形図であ
る。
【符号の説明】
10FL〜10RR 車輪 12 車輪側部材 14 車体側部材 16 能動型サスペンション 18FL〜18RR 油圧シリンダ(流体圧シリンダ) 20FL〜20RR 圧力制御弁 22 油圧源 26 横加速度センサ(横加速度検出手
段) 26F 第1の横加速度センサ 26R 第2の横加速度センサ 28FL〜28RR 上下加速度センサ(バネ下振動検
出手段) 29 舵角センサ 30 コントローラ 50f,50r 増幅器 51f,51r 増幅器 52f,52r 符号反転器 54 直進走行判断部 56,58 左右逆相成分算出部 60 補正係数算出部 62 パワースペクトル密度演算部 64 振動パワー算出部 66 荷重センサ 68 自動変速機 69 コントローラ 70 車速センサ 72 定常円旋回走行判断部 74 横加速度算出部 76 前後加速度センサ(前後加速度検
出手段) 77,78 増幅器 79 符号反転器 80 定速走行判断部 82 第1のピーク値検出部(第1のピ
ーク値検出手段) 84 第2のピーク値検出部(第2のピ
ーク値検出手段) 86 遅延回路

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体及び車輪間に介挿された流体圧シリ
    ンダと、この流体圧シリンダの作動流体圧を指令値のみ
    に応じて制御する圧力制御弁と、車体の横加速度を検出
    する横加速度検出手段と、この横加速度検出手段が検出
    した横加速度検出値に応じて前記指令値を生成し前記圧
    力制御弁に供給する制御手段と、を備えた能動型サスペ
    ンションにおいて、 車両の直進走行状態を検出する走行状態検出手段と、前
    記横加速度検出値に外乱として重畳される外乱振動を検
    出する外乱振動検出手段と、前記走行状態検出手段が車
    両の直進走行状態を検出した場合に前記外乱振動検出手
    段の検出結果に基づいて前記横加速度検出値に対する前
    記指令値のゲインを前記流体圧シリンダで発生する力が
    小さくなるように変更するゲイン変更手段と、を備えた
    ことを特徴とする能動型サスペンション。
  2. 【請求項2】 前記ゲイン変更手段は、前記走行状態検
    出手段が車両の直進走行状態を検出した場合に、前記外
    乱振動の増大に応じて前記ゲインを低下させる請求項1
    記載の能動型サスペンション。
  3. 【請求項3】 車体及び車輪間に介挿された流体圧シリ
    ンダと、この流体圧シリンダの作動流体圧を指令値のみ
    に応じて制御する圧力制御弁と、車両の前後方向に離隔
    して配設され車体の横加速度をそれぞれ検出する第1及
    び第2の横加速度センサと、これら第1及び第2の横加
    速度センサが検出した二つの横加速度検出値に基づいて
    車両重心点よりも前方の所望の算出位置の横加速度を算
    出する横加速度算出手段と、この横加速度算出手段が算
    出した横加速度算出値に応じて前記指令値を生成し前記
    圧力制御弁に供給する制御手段と、を備えた能動型サス
    ペンションにおいて、 車両の直進走行状態又は定常円旋回走行状態の少なくと
    も一方を検出する走行状態検出手段と、前記横加速度検
    出値に外乱として重畳される外乱振動を検出する外乱振
    動検出手段と、前記走行状態検出手段が車両の直進走行
    状態又は定常円旋回走行状態を検出した場合に前記外乱
    振動検出手段の検出結果に基づいて前記横加速度算出値
    の算出位置を前記流体圧シリンダで発生する力が小さく
    なるように変更する算出位置変更手段と、を備えたこと
    を特徴とする能動型サスペンション。
  4. 【請求項4】 前記算出位置変更手段は、前記走行状態
    検出手段が車両の直進走行状態又は定常円旋回走行状態
    を検出した場合に、前記外乱振動の増大に応じて前記算
    出位置を車両重心点に近づける請求項3記載の能動型サ
    スペンション。
  5. 【請求項5】 前記外乱振動検出手段は、少なくとも前
    後一方の左右輪それぞれのバネ下振動を検出するバネ下
    振動検出手段と、このバネ下振動検出手段が検出した左
    右輪のバネ下振動検出値の差に基づいて左右逆相成分を
    前記外乱振動として算出する左右逆相成分算出手段と、
    を有する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の能動
    型サスペンション。
  6. 【請求項6】 前記外乱振動検出手段は、エンジン共振
    周波数域におけるエンジン振動を前記外乱振動として検
    出するエンジン振動検出手段を有する請求項1乃至請求
    項4のいずれかに記載の能動型サスペンション。
  7. 【請求項7】 前記外乱振動検出手段は、変速機の変速
    動作を前記外乱振動として検出する変速検出手段を有
    し、前記ゲイン変更手段は、前記走行状態検出手段が車
    両の直進走行状態を検出した場合に、前記変速検出手段
    が前記外乱振動を検出すると前記ゲインを低下させる請
    求項1記載の能動型サスペンション。
  8. 【請求項8】 前記外乱振動検出手段は、変速機の変速
    動作を前記外乱振動として検出する変速検出手段を有
    し、前記算出位置変更手段は、前記走行状態検出手段が
    車両の直進走行状態又は定常円旋回走行状態を検出した
    場合に、前記変速検出手段が前記外乱振動を検出すると
    前記算出位置を車両重心点に近づける請求項3記載の能
    動型サスペンション。
  9. 【請求項9】 車体及び車輪間に介挿された流体圧シリ
    ンダと、この流体圧シリンダの作動流体圧を指令値のみ
    に応じて制御する圧力制御弁と、車体の前後加速度を検
    出する前後加速度検出手段と、この前後加速度検出手段
    が検出した前後加速度検出値に応じて前記指令値を生成
    し前記圧力制御弁に供給する制御手段と、を備えた能動
    型サスペンションにおいて、 車両の定速走行状態を検出する走行状態検出手段と、前
    記前後加速度検出値に外乱として重畳される外乱振動を
    検出する外乱振動検出手段と、前記走行状態検出手段が
    車両の定速走行状態を検出した場合に前記外乱振動検出
    手段の検出結果に基づいて前記前後加速度検出値に対す
    る前記指令値のゲインを前記流体圧シリンダで発生する
    力が小さくなるように変更するゲイン変更手段と、を備
    えたことを特徴とする能動型サスペンション。
  10. 【請求項10】 前記外乱振動検出手段は、前記前後加
    速度検出値に車両後ろ向きのピーク値が発生したことを
    検出する第1のピーク値検出手段と、バネ下振動を検出
    するバネ下振動検出手段と、前記バネ下振動検出手段が
    検出したバネ下振動検出値に車両上向きのピーク値が発
    生したことを検出する第2のピーク値検出手段と、を有
    し、前記ゲイン変更手段は、前記走行状態検出手段が車
    両の定速走行状態を検出した場合に、前記第1及び第2
    のピーク値検出手段が略同時に前記各ピーク値を検出す
    ると前記ゲインを低下させる請求項9記載の能動型サス
    ペンション。
  11. 【請求項11】 前記外乱振動検出手段は、エンジン共
    振周波数域におけるエンジン振動を前記外乱振動として
    検出するエンジン振動検出手段を有し、前記ゲイン変更
    手段は、前記走行状態検出手段が車両の定速走行状態を
    検出した場合に、前記外乱振動の増大に応じて前記ゲイ
    ンを低下させる請求項9記載の能動型サスペンション。
  12. 【請求項12】 前記エンジン振動検出手段は、バネ下
    振動を検出するバネ下振動検出手段と、このバネ下振動
    検出手段が検出したバネ下振動検出値からエンジン共振
    周波数成分を抽出するフィルタ手段と、を有する請求項
    6又は請求項11に記載の能動型サスペンション。
  13. 【請求項13】 前記エンジン振動検出手段は、エンジ
    ン荷重変動を検出する荷重変動検出手段と、この荷重変
    動検出手段が検出したエンジン荷重変動検出値からエン
    ジン共振周波数成分を抽出するフィルタ手段と、を有す
    る請求項6又は請求項11に記載の能動型サスペンショ
    ン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008137446A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Toyota Motor Corp 車両のロール剛性制御装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008137446A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Toyota Motor Corp 車両のロール剛性制御装置
JP4670800B2 (ja) * 2006-11-30 2011-04-13 トヨタ自動車株式会社 車両のロール剛性制御装置

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