JPH0919810A - 工具保持装置 - Google Patents

工具保持装置

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JPH0919810A
JPH0919810A JP16739095A JP16739095A JPH0919810A JP H0919810 A JPH0919810 A JP H0919810A JP 16739095 A JP16739095 A JP 16739095A JP 16739095 A JP16739095 A JP 16739095A JP H0919810 A JPH0919810 A JP H0919810A
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JP16739095A
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English (en)
Inventor
Hajime Mizutani
肇 水谷
Kazuo Nomoto
和男 野本
Masaki Shimonosono
勝紀 下之薗
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Toyota Motor Corp
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Co Ltd
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドリルホルダのスリーブへの着脱の容易さを
損なうことなく、取付状態におけるドリルホルダのスリ
ーブへの引付け力を大きくする。 【解決手段】 ドリルホルダ36のスリーブ10への嵌
合時に、ドリルホルダ36の後端面により可動スリーブ
200をスプリング220の付勢力に抗して押し戻し、
スプリング220の付勢力が鋼球178を介して係合部
材180に伝達されないようにして、ドリルホルダ36
の第一角度の回転に伴う係合部材180との係合を容易
にする。ドリルホルダ36のさらに第二角度の回転に伴
い、ドリルホルダ36のカム切欠262により可動スリ
ーブ200の前進を許容して、スプリング220の付勢
力が可動スリーブ200および鋼球178を介して方向
変換および倍力されつつ係合部材180に伝達される状
態とし、係合部材180によるドリルホルダ36のスリ
ーブ10への引付け力を増大させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は工作機械に加工工具
を取り付けるための工具保持装置に関するものであり、
特に、加工工具を迅速に着脱可能な工具保持装置の改良
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の工具保持装置の一つが実公昭6
3−17601号公報に記載されている。この工具保持
装置は、 (1)工作機械側に設けられる第一部材と、 (2)
加工工具を保持する加工工具保持部を備え、第一部材に
その第一部材の先端側から基端側に向かって嵌合される
ことにより第一部材に取り付けられる第二部材と、 (3)
第一部材と第二部材との間に設けられ、第二部材の第一
部材への嵌合限度を規定する嵌合限度規定装置と、 (4)
第一部材に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に取
り付けられ、第一係合部を有する係合部材と、 (5)第二
部材に設けられ、非係合位相においては前記第一係合部
と軸方向に嵌合,離脱可能であり、軸方向に嵌合された
状態で非係合位相から第一角度相対回転させられること
により第一係合部と軸方向に離脱不能に係合し、その係
合状態のままさらに第二角度相対回転して係合位相に到
る第二係合部と、 (6)第一部材と第二部材との間に設け
られ、係合位相において第一部材と第二部材との相対回
転を阻止するとともに、その相対回転阻止状態を解除可
能な相対回転阻止装置と、 (7)係合部材を第一部材の先
端側から基端側に向かって付勢する付勢手段とを含むよ
うに構成されている。また、第一係合部と第二係合部と
は第二部材が非係合位相から第一角度だけ相対回転させ
られる間、付勢手段の付勢力に抗して係合部材を移動さ
せることが可能な形状とされている。
【0003】この工具保持装置においては、第二部材が
非係合位相において第一部材に、嵌合限度規定装置によ
り規定される嵌合限度まで嵌合させられると、係合部材
の第一係合部と第二部材の第二係合部とが軸方向に嵌合
する。その状態で、第二部材と第一部材とが係合位相に
相対回転させられれば、第一係合部と第二係合部とが、
付勢手段の付勢力に抗して係合部材を第一部材の基端側
から先端側に向かって移動させつつ係合し、離脱不能に
なる。そのため、付勢手段の付勢力が係合部材を介して
第二部材に、第二部材を第一部材に引き付ける向きに作
用することとなり、第二部材が上記嵌合限度位置に向か
って付勢され、第一部材と第二部材との軸方向の隙間が
除去される。
【0004】また、係合位相においては、第一部材と第
二部材との相対回転も相対回転阻止装置により阻止され
るため、第一部材と第二部材とは一体的に結合されるこ
ととなる。第一部材の取外しが必要になった場合には、
相対回転阻止装置の相対回転阻止状態を解除し、第一部
材と第二部材とを非係合位置へ相対回転させれば、第一
係合部と第二係合部との係合が解除されて離脱可能とな
るため、第二部材を第一部材から取り外すことができ
る。
【0005】したがって、第二部材の加工工具保持部に
加工工具を保持させておけば、第二部材とともに工作機
械に対して迅速に着脱することができる。しかも、第一
部材と第二部材との間の軸方向の隙間が除去されている
ため、第二部材が第一部材に対して軸方向に移動するこ
とがない。第二部材が第一部材に対して軸方向に移動可
能であれば、加工工具と被加工物との接触状態、特に加
工開始時における接触状態が不安定となり、加工工具が
欠損したり、加工精度が低下したりするのであるが、こ
のような不都合が回避されるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この工
具保持装置においては、第一部材と第二部材とを非係合
位相から係合位相へ相対回転させる際に、第一係合部と
第二係合部とが付勢手段の付勢力に抗しつつ係合するた
め相対回転の抵抗になり、付勢手段の付勢力を強くする
と所要相対回転モーメントが大きくなって相対回転が困
難になる。これを回避するために、付勢手段の付勢力を
弱くすると、第二部材を嵌合限度位置に付勢する力が小
さくなって、第一部材と第二部材との軸方向の相対移動
を防止する機能が低下する。加工中は切削抵抗が第二部
材を嵌合限度位置に付勢する向きに作用するのが普通で
あるが、接触開始当初は第二部材を第一部材から引き離
す向きの力が加工工具に作用することもあり、第二部材
を嵌合限度位置に付勢する力がこの引き離す向きの力よ
り小さければ、第一部材に対して相対移動してしまうこ
とになるのである。
【0007】請求項1の発明は、加工工具を迅速に着脱
可能な上記工具保持装置において、第一部材と第二部材
との相対回転が困難になることを回避しつつ、第一部材
を嵌合限度位置に付勢する力を大きくすることを課題と
してなされたものである。また、請求項2の発明の課題
は、請求項1の発明に係る工具保持装置における引付け
装置の引付け力の緩和を、第一部材の第二部材との嵌合
時の運動を利用して行い得るようにすることである。請
求項3の発明の課題は、請求項1の発明に係る工具保持
装置における引付け装置の引付け力の緩和を、第一部材
の第二部材との嵌合時の運動を利用して行い得るように
するとともに、二つの傾斜面と伝達子との係合を利用し
た力変換装置の採用によって、引付け装置の引付け力の
緩和を比較的小さい力で行い得るようにすることであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
課題を解決するために、前記 (1)第一部材, (2)第二部
材, (3)嵌合限度規定装置, (4)係合部材, (5)第二係
合部, (6)相対回転阻止装置および (7)付勢手段を含む
工具保持装置において、 (7)付勢手段を、第一部材と前
記第二部材との間に設けられ、係合位相においては係合
部材に第一部材の先端側から基端側に向かう向きの引付
け力を付与し、少なくとも非係合位相から係合位相に向
かう第一角度の間はその引付け力を緩和する引付け装置
に変更したことを特徴とするものである。
【0009】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
の引付け装置を、第一部材に軸方向に相対移動可能に
保持された可動部材と、その可動部材を第一部材の基
端側から先端側に向かって付勢する付勢手段と、その
付勢手段により可動部材に与えられる付勢力を倍力しつ
つ前記係合部材の引付け力に変換する力変換装置と、
第二部材と可動部材との間に設けられ、第二部材が少な
くとも非係合位相から係合位相に向かう第一角度の間に
ある状態では可動部材を前記付勢手段の付勢力に抗して
移動させ、第二部材が係合位相にある状態では可動部材
の付勢手段の付勢力による移動を許容する可動部材制御
装置とを含むものとしたことを特徴とするものである。
【0010】請求項3の発明は、請求項1の発明の引付
け装置を、第一部材に対して相対移動不能に設けられ
た筒状部材と、その筒状部材の周壁にその周壁を貫通
して形成された貫通穴内にその貫通穴の中心線に平行な
方向に移動可能に保持された伝達子と、筒状部材の外
周面と内周面とのいずれか一方に軸方向に相対移動可能
かつ相対回転不能に嵌合されるとともに、筒状部材側の
面に伝達子と係合可能な第一傾斜面を備えた可動部材
と、係合部材の筒状部材の外周面と内周面とのうち可
動部材が嵌合されていない側の周面に軸方向に相対移動
可能に嵌合された部分に形成され、伝達子と係合可能な
第二傾斜面と、可動部材を第一部材の基端側から先端
側に向かって付勢する付勢手段と、第二部材と可動部
材との間に設けられ、第二部材が少なくとも非係合位相
から係合位相に向かう第一角度の間にある状態では可動
部材を付勢手段の付勢力に抗して移動させることにより
第一傾斜面を伝達子と非係合状態とし、第二部材が係合
位相にある状態では可動部材の付勢手段の付勢力による
移動を許容して第一傾斜面を伝達子に係合させる可動部
材制御装置とを含むものとするとともに、第一傾斜面と
第二傾斜面との傾斜の向きおよび傾斜角度を、付勢手段
により可動部材に与えられる付勢力を倍力しつつ引付け
力に変換する向きおよび傾斜角度に決定したことを特徴
とするものである。
【0011】
【作用】請求項1の発明に係る工具保持装置において
は、第二部材が第一部材に取り付けられ、あるいは第一
部材から取り外される際の作動は、前記従来の工具保持
装置における作動とほぼ同じである。しかし、引付け装
置は、従来の工具保持装置における付勢手段のように常
に一定の力で係合部材を第一部材の先端側から基端側へ
付勢するものではなく、係合位相においては係合部材の
引付け力を付与するが、少なくとも非係合位相から係合
位相に向かう第一角度の間は引付け力を緩和するもので
ある。そのため、第一係合部と第二係合部とを係合させ
ることが容易であり、第一部材と第二部材との第一角度
の相対回転が容易である。引付け装置は、第一部材と第
二部材とがさらに第二角度相対回転させられる間に、係
合部材に第二部材の第一部材に対する軸方向の相対移動
を防止するに十分な引付け力を付与する状態となるが、
第一係合部と第二係合部とはすでに係合を完了してお
り、その係合状態を保って相対回転させられるのみであ
るため、係合部材に大きな引付け力が付与されても、第
二角度の相対回転は比較的小さい力で生じさせることが
できる。
【0012】請求項2の発明に係る工具保持装置におい
ては、可動部材が付勢手段により第一部材の基端側から
先端側に向かって付勢され、その付勢力が力変換装置に
より倍力されるとともに係合部材の引付け力に変換され
る。そのために、係合部材には十分に大きな引付け力が
付与され、その大きな引付け力によって第二部材が第一
部材への嵌合限度位置に付勢される。一方、第一部材と
第二部材とが、少なくとも非係合位相から係合位相に向
かう第一角度相対回転させられる間は、可動部材が可動
部材制御装置により付勢手段の付勢力に抗して移動させ
られるため、係合部材には大きな引付け力が付与される
ことはない。したがって、第一係合部と第二係合部とを
係合させるための第一部材と第二部材との第一角度の相
対回転を容易に生じさせることができる。
【0013】請求項3の発明に係る工具保持装置におい
ては、請求項2の発明と同様な作用が得られる上、請求
項2の発明における力変換装置が、2つの傾斜面と伝達
子との組み合わせにより実現される。可動部材が付勢手
段の付勢力により、第一部材の基端側から先端側に向か
って付勢されると、その軸方向の付勢力が第一傾斜面の
作用により伝達子を第二傾斜面側へ付勢するほぼ半径方
向の付勢力に変換され、さらにそのほぼ半径方向の付勢
力が第二傾斜面の作用により、係合部材を第一部材の先
端側から基端側に向かって付勢する軸方向の付勢力に変
換される。付勢手段の軸方向の付勢力が、同じく軸方向
の付勢力ではあるが向きが逆の付勢力に変換されるので
ある。それと同時に、第一傾斜面と第二傾斜面との傾斜
角度が、付勢手段の付勢力を倍力して係合部材に伝達す
る大きさに決定されているため、係合部材には付勢手段
の付勢力より大きい引付け力が付与される。一方、この
係合部材への比較的大きな付勢力を除去するためには、
可動部材を付勢手段の比較的小さい付勢力に抗して移動
させればよいため、第二部材の第一部材への嵌合が困難
になることもない。
【0014】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1の発明によれば、第二部材を第一部材の嵌合限度位置
に大きな力で付勢し、第二部材が第一部材に対して軸方
向に相対移動することを良好に防止し得、しかも第二部
材を第一部材に取り付ける際の所要相対回転モーメント
が大きくなることを回避して第二部材の第一部材への取
付けを容易とすることができる。また、請求項2の発明
によれば、可動部材,付勢手段,力変換装置および可動
部材制御装置の採用により、請求項1の発明における引
付け装置の引付け力の緩和を、第二部材の第一部材との
嵌合時の運動を利用して、簡単な構成で実現することが
できる。請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同
様な効果が得られる上、2つの傾斜面と伝達子との組合
わせの採用により、請求項2の発明における力変換装置
を簡単な構成で実現することができる。
【0015】
【発明の補助説明】本発明は以下の態様によっても実施
可能である。 (1)前記第二部材と前記可動部材との、第二部材が前
記嵌合限度まで嵌合された状態で互いに当接する部分に
それぞれカム部が形成され、それらカム部の形状が、前
記非係合位相においては可動部材を前記付勢手段の付勢
力に抗して前記第一部材の基端側に移動させ、前記係合
位相においては付勢手段の付勢力により第一部材の先端
側へ移動することを許容するとともに、第一部材と第二
部材との係合位相から非係合位相に向かう向きの相対回
転を可動部材の第一部材の基端側への運動に変換する形
状とされた請求項2または3に記載の工具保持装置。上
記カム部の存在により、第二部材と第一部材との嵌合限
度位置までの嵌合に基づいて引付け装置の引付け力が緩
和されるとともに、第一部材と第二部材との係合位相か
ら非係合位相への相対回転に基づいても引付け力が緩和
される。 (2)前記カム部の、前記第一部材と第二部材との係合
位相から非係合位相に向かう向きの相対回転を可動部材
の第一部材の基端側への運動に変換する部分が、軸方向
に対して45度より大きい角度傾斜した傾斜面を含む態
様1に記載の工具保持装置。軸方向に対して45度より
大きい角度傾斜した傾斜面によれば、カム部に倍力装置
の役割をも果たさせて、比較的小さい相対回転モーメン
トにより可動部材を第一部材の基端側へ移動させて、引
付け力を緩和することができる。 (3)前記カム部の一方が前記可動部材から軸方向に延
び出すカム突起であり、他方が前記第二部材の端面とそ
の端面に形成されてカム突起の嵌入を許容するカム切欠
を含み、それらカム突起とカム切欠との前記第一部材と
第二部材との係合位相から非係合位相への相対回転時に
互いに係合する部分の少なくとも一方に軸方向に対して
45度より大きい角度傾斜した傾斜面が形成された態様
1に記載の工具保持装置。このように、カム部をカム突
起とカム切欠との組合わせとすれば、カム突起およびカ
ム切欠を等角度間隔に複数組設けて可動部材の軸方向の
軽快な移動を保証することが容易となる。なお、第二部
材にカム突起を、可動部材にカム切欠をそれぞれ形成す
ることも可能であるが、本態様によれば、次の態様4に
おけるように、カム突起に相対回転防止装置の一構成要
素を兼ねさせることができる。 (4)前記筒状部材が円筒状部材であり、前記カム突起
が、その円筒状部材の外周面と内周面とのいずれか一方
から半径方向に延び出たフランジ部を軸方向に貫通して
形成された軸方向溝に軸方向に相対移動可能かつ周方向
には相対移動不能に嵌合され、それらフランジ部とカム
突起とにより、可動部材の円筒状部材に対する相対回転
を防止する相対回転防止装置を構成している態様3に記
載の工具保持装置。本態様において、可動部材のカム突
起が突設された端面をフランジ部に当接させれば、付勢
手段の付勢力による可動部材の移動限度を規定する可動
部材移動限度規定装置とすることができる。 (5)前記筒状部材に前記可動部材,前記係合部材およ
び力変換装置が組み付けられてサブアッセンブリを構成
しており、前記第一部材が前記第二部材の嵌入を許容す
る有底の嵌合穴を有し、その嵌合穴の底面に前記筒状部
材が取外し可能な固定装置により固定されることによっ
て、前記サブアッセンブリが前記第一部材に取り付けら
れた請求項2,態様1〜4のいずれか1つに記載の工具
保持装置。本態様によれば、有底穴の外でサブアッセン
ブリを組み立て、後に有底穴の底面に固定することがで
きるため、筒状部材,可動部材,係合部材および力変換
装置等をそれぞれ有底穴内に組み付ける場合に比較し
て、組立作業を容易に行い得る効果が得られる。 (6)前記筒状部材が、前記第一部材の基端側から先端
側に向かって開口した有底穴を有し、前記係合部材がそ
の有底穴に軸方向に摺動可能に嵌合されるとともに、筒
状部材と係合部材との間に設けられた付勢手段により有
底穴の底面に向かって付勢されている態様5に記載の工
具保持装置。本態様によれば、係合部材が筒状部材に対
して軸方向に摺動可能でありながら、筒状部材から離脱
することが防止され、また、第二部材との係合が解除さ
れれば必ず筒状部材の有底穴の底面に当接する原位置に
復帰することが保証される。つまり、引付け装置の作動
が安定する効果が得られるのである。 (7)前記固定装置が、前記筒状部材の中央部を貫通し
て前記第一部材に螺合され、頭部において筒状部材を第
一部材に向かって押圧する雄ねじ部材と、筒状部材と前
記第一部材の有底穴の底面とのいずれか一方の、有底穴
の中心から偏心した位置に設けられた偏心突起と、筒状
部材と有底穴の底面との他方に偏心突起と嵌合可能に形
成された偏心穴とを含む態様5または6に記載の工具保
持装置。本態様によれば、筒状部材と第一部材とが必ず
予め定められた相対位相で組み付けられることが保証さ
れ、かつ、筒状部材の第一部材に対する相対回転が確実
に防止される。 (8)前記第一部材,前記第二部材および前記係合部材
を貫通して切削液供給通路が形成された請求項1〜3,
態様1〜7のいずれか1つに記載の工具保持装置。本態
様において、切削液供給通路に加圧した切削液を供給す
れば、液圧に基づいて第一部材と第二部材とを軸方向に
離間させようとする力が作用するが、引付け装置の引付
け力を離間させようとする力より大きく設定しておけ
ば、第一部材と第二部材とが離間させられることがな
い。したがって、本願発明は、切削液通路を備えた工具
保持装置、中でも切削液が高圧で供給される工具保持装
置に特に有効なものである。 (9)前記第一部材が、工作機械の主軸に取外し可能に
着脱するための取付部を有する請求項1〜3,態様1〜
8のいずれか1つに記載の工具保持装置。 (10)前記筒状部材の周壁に形成された貫通穴がその
周壁の厚さより大きい直径を有し、かつ、前記伝達子が
周壁の厚さより大きい直径の球体である請求項3,態様
1〜9のいずれか1つに記載の工具保持装置。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1において、10は第一
部材たるスリーブである。スリーブ10は半径方向外向
きのフランジ部12を備えている。また、スリーブ10
には、先端部(図1において左端部)から基端部(図1
において右端部)に向かって延び、端面16に開口する
有底の嵌合穴18が形成されている。
【0017】一方、フランジ部12の端面22側には、
取付け部24が形成されている。取付け部24はフラン
ジ部12から遠ざかるほど径の小さいテーパ外周面26
を有している。また、取付け部24の端面28には軸方
向穴30が形成されている。軸方向穴30の端面28側
の部分は雌ねじ部32とされており、図示しないプルス
タッドの雄ねじ部が螺合されるようになっている。さら
に、フランジ部12には切欠34が形成されており、工
作機械側の係合突部と係合させられるようになってい
る。
【0018】図示は省略するが、工作機械のスピンドル
穴は取付け部24のテーパ外周面26に対応するテーパ
内周面を有しており、スリーブ10の取付け部24が上
記係合突部と切欠34との位相が合致した状態でスピン
ドル穴に嵌合され、スピンドル穴内の把持部材によりプ
ルスタッドが把持されてスピンドル穴内に引き込まれる
ことにより、フランジ部12の切欠34に係合突部が係
合させられるとともに、取付け部24のテーパ外周面2
6とスピンドル穴のテーパ内周面とが締まり嵌合し、ス
リーブ10が工作機械のスピンドルに軸方向に相対移動
不能かつ相対回転不能に取り付けられるようになってい
る。
【0019】スリーブ10の嵌合穴18には、第二部材
たる工具ホルダとしてのドリルホルダ36が着脱可能に
嵌合されるようになっている。図5に拡大して示すよう
に、ドリルホルダ36は、嵌合軸部38と、その先端部
(図5において左端部)に加工工具たるドリル40(図
5に二点鎖線で示す)を保持する工具保持部42とを備
え、嵌合軸部42の後端側(図5において右端側)から
スリーブ10の嵌合穴18に嵌合されるようになってい
るのである。
【0020】ドリルホルダ36のホルダ本体44は概し
て円筒状を成しており、軸方向に延びる工具挿入穴46
を有している。工具挿入穴46の軸方向の中央部は雌ね
じ穴48とされており、内部にはねじ部材たるアジャス
トナット50が螺合されている。アジャストナット50
には、工具挿入穴46の後端側の端部に六角穴51が形
成されており、工具挿入穴46の後端部側から六角棒ス
パナ等の工具を挿入してアジャストナット50を回転操
作することにより、アジャストナット50を軸方向に移
動させることができる。
【0021】雌ねじ穴48にはまた、工具駆動部材たる
ドライバ52が軸方向に移動可能に嵌合されている。ド
ライバ52は端面54においてアジャストナット50に
当接させられる一方、端面54とは反対側の端面に工具
係合溝56を備えており、ドリル40のタングと相対回
転不能に係合するとともに軸方向において互いに当接す
るようになっている。
【0022】ドライバ52の外周面には、断面形状がほ
ぼ半円形の軸方向溝が一対(図5には一方のみ示す)形
成されており、それら軸方向溝に一対の円柱状部材であ
るピン62(図5には一方のみ示す)が嵌合されてい
る。各ピン62は、ドライバ52に嵌合させられた状態
で、ほぼ半分の部分がドライバ52の外周面から半径方
向外向きに突出させられている。一方、雌ねじ穴48の
内周面には、軸方向に延び、ほぼ半円形の断面形状を有
する一対の案内溝64が形成されており、これら案内溝
64に各ピン62の突出部がそれぞれ係合させられるこ
とにより、ドライバ52の軸方向の案内が行われる。ま
た、一対のピン62がドライバ52の雌ねじ穴48内で
の回転を阻止する回転阻止突起として機能している。
【0023】したがって、ホルダ本体44に加えられる
回転トルクが、ピン62およびドライバ52を介してド
リル40に伝達される。また、ドリル40の軸方向の位
置は、アジャストナット50の位置を変更することによ
り調整される。アジャストナット50を移動させてドラ
イバ52の位置を変更することにより、ドリル40のホ
ルダ本体44からの突出長さを変え得るのである。
【0024】さらに、アジャストナット50およびドラ
イバ52には、軸方向に貫通する貫通穴66,68がそ
れぞれ形成されて、アジャストナット50およびドライ
バ52の両側のホルダ本体内空間を連通状態に保つ切削
液通路を構成している。また、ドリル40にも図示は省
略するが、軸方向に貫通する液通路が形成されている。
したがって、ドライバ52とドリル40とが係合させら
れた状態では、これら貫通穴66,68がドリル40の
液通路と連通状態を保つこととなり、ホルダ本体44に
供給された切削液がアジャストナット50およびドライ
バ52内を通過してドリル40の液通路へ流入するよう
になっている。
【0025】工具挿入穴46の軸方向の前端部はテーパ
穴70とされており、コレット72が嵌合されている。
コレット72は、概して円筒状の部材に両端面から交互
に軸方向の複数本ずつのすり割り溝が、反対側の端面ま
では達しない長さで形成されたものであり、軸方向のあ
らゆる部分において縮径が可能である。テーパ穴70は
先端側ほど径が大きくされており、コレット72は、テ
ーパ穴70の内周面に対応して形成されたテーパ外周面
74においてテーパ穴70に嵌合される一方、軸方向に
平行に形成された内周面76において、ドリル40のシ
ャンク部の外周面に密着してこれを把持し、切削時にド
リル40が受ける軸方向力を受けるようになっている。
コレット72の外周面にはさらに、テーパ外周面74が
形成された部分に隣接して矩形断面の環状溝80が形成
されるとともに、環状溝80を挟んでテーパ外周面74
が形成された部分とは反対側の外周面には、先端側ほど
径の小さいテーパ面82が形成されている。
【0026】コレット72の先端部にはコレットキャッ
プ84が被せられている。コレットキャップ84の内周
面には、環状溝80に嵌入可能な環状突起86と、コレ
ット72のテーパ面82に対応するテーパ面88とが形
成されており、コレット72を縮径させつつ、コレット
キャップ84の環状突起86をコレット72の環状溝8
0内に嵌入させた後、コレット72を自然状態に戻せ
ば、コレットキャップ84が軸方向に移動不能な状態で
コレット72に被せられる。この状態では、テーパ面8
8がテーパ面82に密着し、コレットキャップ84がコ
レット72に相対移動および相対回転不能に取り付けら
れる。
【0027】なお、環状突起86の厚さは環状溝80の
幅よりやや小さくされており、環状突起86は環状溝8
0内でコレット72の軸方向に一定距離移動可能であ
る。また、コレットキャップ84とホルダ本体44の工
具保持部42の先端面92との間には、コレットキャッ
プ84がコレット72と共に軸方向移動可能な大きさの
隙間が設けられている。さらに、ホルダ本体44のテー
パ穴70を形成する部分には半径方向の貫通穴が形成さ
れ、この貫通穴に圧入されたピンの先端部がテーパ穴7
0内に突入し、コレット72の後端面から形成されたす
り割り溝に嵌入させられており、それによってコレット
72のホルダ本体44に対する相対回転が防止されてい
る。ピンが回転防止突起を構成しているのである。
【0028】工具保持部42の外周面には、雄ねじ部9
8が形成されており、この雄ねじ部98には回転操作部
材としてのねじ部材であるクランプナット100がホル
ダ本体44と同軸に螺合されている。クランプナット1
00はホルダ本体44から突出した部分においてコレッ
トキャップ84に嵌合されており、これらクランプナッ
ト100とコレットキャップ84とは、両者の間に介在
する多数のボール102によって互いに相対回転可能、
かつ軸方向移動不能とされている。クランプナット10
0の内周面とコレットキャップ84の外周面との互いに
対応する部分には、それぞれ半円形断面の環状溝が形成
されており、それら環状溝によって形成される円形断面
の環状空間に、クランプナット100に形成された図示
しない半径方向の貫通穴から多数のボール102が供給
された後、貫通穴がプラグによって閉塞されているので
ある。
【0029】したがって、クランプナット100が雄ね
じ部98に締め込まれる方向に回転操作された場合に
は、コレットキャップ84がホルダ本体44に向かって
移動させられるとともに、コレットキャップ84のテー
パ面88によってコレット72のテーパ面82が押さ
れ、コレット72がテーパ穴70内へ押し込まれて、弾
性的に縮径させられる。それにより、コレット72の内
周面76にドリル40のシャンク部が把持されるととも
に、把持状態においては、ホルダ本体44に対するコレ
ット72の相対回転が、前記回転防止突起としてのピン
の他に、摩擦力によっても防止される状態となる。
【0030】なお、104は、クランプナット100を
回転させる締付け用工具を係合させるための工具係合溝
であり、図6に示すように、クランプナット100の外
周面に等角度間隔に複数個(図示の例では6個)形成さ
れている。また、コレット72の両端面から形成された
すり割り溝は、それぞれテーパ穴70内において終わっ
ており、そのためにコレット72はホルダ本体44とド
リル40との間の液密を保持し得るものとされている。
【0031】ホルダ本体44のスリーブ10からの突出
端部となる部分の外周面には、カラー110が嵌合され
ている。カラー110の後端面、すなわちスリーブ10
に対向する側の面には、直径方向に隔たった2ヵ所にそ
れぞれ係合突起112が形成されている(図5には一方
のみ示す)。ホルダ本体44には、雄ねじ部98の後端
部にスプリングリテーナ114が取り付けられており、
このスプリングリテーナ114との間に配設された圧縮
コイルスプリング116により、カラー110がホルダ
本体44に形成された半径方向外向きのフランジ部11
8に当接する向きに付勢されている。
【0032】図7に示すように、フランジ部118には
カラー110の一対の係合突起112がそれぞれ係合可
能な一対の係合切欠120が形成されている。係合突起
112は、スプリング116の付勢力によりフランジ部
118の係合切欠120に嵌入させられるとともに、そ
の先端部がさらにフランジ部118の端面122側へ突
出する長さとされている。また、嵌合軸部38のフラン
ジ部118の端面122の近傍において、ホルダ本体4
4の外周面には嵌合軸部38の他の部分より大径のテー
パ面124が形成されている。テーパ面124は嵌合軸
部38の先端側ほど大径とされている。
【0033】一方、図8に拡大して示すように、スリー
ブ10の端面16には、軸方向に延び、カラー110の
一対の係合突起112とそれぞれ係合可能な一対の係合
切欠128が形成されている。また、嵌合穴18の開口
端部の内周面には、ホルダ本体44のテーパ面(テーパ
外周面)124に対応するテーパ内周面130が形成さ
れている。
【0034】したがって、スリーブ10の嵌合穴18に
ドリルホルダ36の嵌合軸部38が後端側から嵌合さ
れ、カラー110の各係合突起112がフランジ部11
8の係合切欠120およびスリーブ10の係合切欠12
8に係合する係合位相で嵌合軸部38が嵌合穴18内に
引き込まれれば、スプリング116の付勢力により係合
突起112が係合切欠120および係合切欠128に係
合してドリルホルダ36とスリーブ10との相対回転を
阻止する状態となる。また、ホルダ本体44のテーパ面
124と嵌合穴18のテーパ内周面130とが密着して
ドリルホルダ36とスリーブ10とが締まり嵌合するた
め、半径方向のがたつきが防止されて嵌合精度が高くな
る。
【0035】一方、カラー110をスプリング116の
付勢力に抗してクランプナット100側へ前進させて、
係合突起112がスリーブ10の係合切欠128に係合
しない非作用位置に位置させれば、ドリルホルダ36と
スリーブ10との相対回転が許容され、相対回転阻止状
態が解除される。本実施形態においては、カラー11
0,係合突起112,圧縮コイルスプリング116,係
合切欠120および係合切欠128がスリーブ10とド
リルホルダ36との相対回転を阻止する相対回転阻止装
置を構成しているのである。
【0036】図8に示すように、スリーブ10の嵌合穴
18の底面140の中心には、雌ねじ穴142が形成さ
れている。雌ねじ穴142は、図1に示すように取付け
部24に形成された軸方向穴30に連通している。ま
た、底面140には、雌ねじ穴142の中心から偏心し
た位置に偏心穴144が形成されている。偏心穴144
は半径方向に長い長穴とされている。
【0037】嵌合穴18の底部には、筒状部材たるスリ
ーブ148が着脱可能に嵌合されている。スリーブ14
8は、スリーブ10の基端側から先端側に向かって開口
した有底穴150を有する有底円筒状を成している。有
底穴150の底面の中央部には段付きの貫通穴154が
形成されており、雄ねじ部材156が挿通されている。
図9に拡大して示すように、雄ねじ部材156は大径の
頭部158と小径の雄ねじ部160とを備えており、雄
ねじ部160が貫通穴154を貫通させられて雌ねじ穴
142に締め込まれるようになっている。頭部158の
先端部には、六角レンチ等の回転操作工具を係合させる
べき工具係合部としての六角穴162が形成されるとと
もに、六角穴162の中央部から雄ねじ部160の先端
部へ貫通する液通路164が形成されている。
【0038】スリーブ148の底面170には、有底穴
150の中心から偏心した位置に偏心突起たるピン17
2が圧入されている。ピン172は、嵌合穴18の底面
140に形成された長穴である偏心穴144の幅より僅
かに小さい直径を有しており、このピン172の偏心穴
144への嵌入によりスリーブ148のスリーブ10に
対する相対回転が実質的に防止される。
【0039】スリーブ148の周壁には、等角度間隔の
複数か所(図示の例では3か所)に貫通穴176が形成
されている。貫通穴176の直径はスリーブ148の周
壁の厚さより大きくされており、内部にはそれぞれ伝達
子としての球体たる鋼球178が移動可能に保持されて
いる。
【0040】スリーブ148の有底穴150には係合部
材180が嵌合されている。係合部材180は、有底穴
180内に保持された大径部181と大径部181の先
端面から有底穴180の開口側へ軸方向に延びる小径部
とから成っている。大径部181の後端面の中央部には
嵌合穴182が形成されており、雄ねじ部材156の頭
部158が嵌合されるようになっている。大径部181
の外周面には、図示は省略するが軸方向に長い長穴が係
合凹部として形成されており、この長穴にスリーブ14
8の周壁に立設された回転防止突起としてのピンが嵌入
させられることにより、係合部材180のスリーブ14
8に対する相対回転が防止されている。
【0041】スリーブ148および係合部材180は、
雄ねじ部材156が雌ねじ穴142に締め込まれること
により、スリーブ10の嵌合穴18の底面140に取り
付けられている。雄ねじ部材156の頭部158がスリ
ーブ148の貫通穴154の肩面に密着させられ、スリ
ーブ148が嵌合穴18の底面に押し付けられるため、
スリーブ148がスリーブ10に相対移動不能に取り付
けられ、また、スリーブ148を介して、係合部材18
0がスリーブ10に軸方向の相対移動可能かつ相対回転
不能に取り付けられるのである。
【0042】スリーブ148の内周面には、有底穴15
0の開口端部近傍において、止め輪から成るスプリング
リテーナ184が嵌装されており、係合部材180の大
径部181の先端面との間に付勢手段としての弾性部材
たる圧縮コイルスプリング186が配設されている。そ
のため、常には係合部材180がスプリング186によ
って有底穴150の底面に向かって付勢されており、大
径部181の後端面が有底穴150の底面に当接する原
位置に位置決めされている。
【0043】係合部材180の小径部には第一係合部1
88が形成されている。第一係合部188は、小径部の
直径方向に隔たった2か所から半径方向外向きに延び出
す一対の係合突起189から成っている。各係合突起1
89の大径部181に対向する側の面の両側部には面取
り部190が形成されている。この面取り部190の機
能は後述する。係合部材180には、小径部の先端から
嵌合穴182へ軸方向に延びる貫通穴191が形成され
ている。貫通穴191の内径は雄ねじ部材156の頭部
158に形成された六角穴162の外径よりやや大きく
されている。
【0044】なお、貫通穴191は液通路としても機能
するようになっており、雄ねじ部材156の液通路16
4および嵌合穴182を経て切削液の流入が許容されて
いる。192,194はそれぞれ切削液の漏れを防止す
るためのシール部材たるOリングである。
【0045】スリーブ148の外周面には可動部材とし
ての可動スリーブ200が嵌合されている。図10およ
び図11に示すように、可動スリーブ200は円筒状を
成し、端面202からスリーブ10の先端側に向かって
軸方向に延び出す一対のカム突起204を備えている。
カム突起204はそれぞれ両肩部に面取りが施され、先
端面が中高で中央部が軸方向に直角なカム面206とさ
れている。
【0046】スリーブ148の開口側端部の外周面に
は、半径方向外向きに延びるフランジ部208が形成さ
れており、このフランジ部208の直径方向に隔たった
2か所に、軸方向に貫通する軸方向溝210が形成され
ている。軸方向溝210はカム突起204の軸方向の相
対移動は許容するが、周方向の相対移動を阻止する大き
さとされている。したがって、可動スリーブ200の一
対のカム突起204がそれぞれ軸方向溝210に嵌合さ
れることにより、可動スリーブ200がスリーブ148
に対して軸方向には相対移動可能であるが相対回転は不
能となる。
【0047】スリーブ148の外周面の後端部近傍には
止め輪から成るスプリングリテーナ216が固定されて
おり、可動スリーブ200のカム突起204側とは反対
側の端部との間に付勢手段たる弾性部材として圧縮コイ
ルスプリング220が配設されている。したがって、ス
プリング220によって可動スリーブ200が有底穴1
50の開口端側に向かって、すなわち、スリーブ10の
基端側から先端側に向かって付勢されるが、可動スリー
ブ200の端面202がスリーブ148のフランジ部2
08に当接することにより、可動スリーブ200の軸方
向の移動限度が規定される。本実施形態においては、フ
ランジ部208が可動部材移動限度規定装置を構成して
いるのである。
【0048】可動スリーブ200の内周面には、カム部
として環状のカム溝228が形成されている。カム溝2
28は、スリーブ148の貫通穴176に保持された鋼
球178に係合可能な第一傾斜面230を備えている。
第一傾斜面230はスリーブ148の軸方向に対して、
スリーブ148の開口端側ほど半径方向外方となる向き
に傾斜している。
【0049】一方、係合部材180の大径部181の外
周面にもカム部として環状のカム溝234が形成されて
おり、カム溝234には、鋼球178に係合可能な第二
傾斜面236が形成されている。第二傾斜面236もス
リーブ148の軸方向に対して傾斜しているが傾斜方向
が第一傾斜面230とは逆にされているとともに、傾斜
角度が大きくされている。本実施形態においては、第一
傾斜面230の傾斜角度が45度より小さい15度とさ
れているのに対し、第二傾斜面236の傾斜角度は45
度とされている。第二傾斜面236の傾斜角度は、下記
の倍力機能の観点からは45度以上であることが望まし
い。
【0050】常には、スプリング220により可動スリ
ーブ200が、端面202がフランジ部208と当接す
る移動限度位置に向かって付勢されており、カム溝22
8の第一傾斜面230が鋼球178に係合させられる。
その結果、スプリング220の軸方向の付勢力が、カム
溝228の第一傾斜面230の作用により、鋼球178
を半径方向内向きに付勢する力に変換される。この付勢
力により鋼球178がカム溝234の第二傾斜面236
に係合させられ、第二傾斜面236の作用により係合部
材180をスリーブ10の先端側から基端側に向かって
付勢する軸方向の付勢力に変換される。すなわち、スプ
リング220の軸方向の付勢力が、軸方向の逆向きの付
勢力に変換されるのである。それと同時に、第一傾斜面
230の軸方向の傾斜角度が第二傾斜面236の軸方向
の傾斜角度より小さくされていることにより、スプリン
グ220の付勢力が倍力され、係合部材180にはスプ
リング220の付勢力より大きい引付け力が付与され
る。
【0051】それに対して、可動スリーブ200がスプ
リング220の付勢力に抗してスリーブ10の基端側へ
移動させられれば、第一傾斜面230と鋼球178との
係合が解除され、鋼球178がカム溝228側へ移動可
能となり、鋼球178と第二傾斜面236との係合も解
除されるため、係合部材180の引付け力はスプリング
186の付勢力のみに低減する。本実施形態において
は、スリーブ148,鋼球178,第一傾斜面230お
よび第二傾斜面236により力変換装置240が構成さ
れているのである。
【0052】図5および図7に示すように、ドリルホル
ダ36の嵌合軸部38の後端面244には、工具挿入穴
46に連通する軸方向穴246が形成されている。軸方
向穴246はスリーブ10に対向する開口端部が小径穴
部250とされ、その奥に大径穴部252が形成されて
いる。図7に示すように、後端面244には直径方向に
延び、軸方向穴246の小径穴部250と直交する切欠
254が形成されており、その切欠254を間に挟んだ
両側に一対の第二係合部258が形成されている。
【0053】第二係合部258は、嵌合軸部38がスリ
ーブ10の嵌合穴18内に嵌合された状態で、係合部材
180の第一係合部188と切欠254との位相が合致
した非係合位相においては、第一係合部188と軸方向
に嵌合,離脱可能である。第一係合部188は切欠25
4に嵌合されるのみでは、大半が軸方向穴246の大径
穴部252へ入り込むものの全体は入り込まない。しか
し、ドリルホルダ36が非係合位相から第一角度相対回
転させられることによって、第一係合部188の面取り
部190と第二係合部258とのカム作用により、係合
部材180がスプリング186の付勢力に抗して可動ス
リーブ200の開口端側へ移動させられ、第一係合部1
88が第二係合部258と軸方向に離脱不能に係合し、
その係合状態のままさらにドリルホルダ36が第二角度
相対回転させられることにより、第一係合部188との
係合位相に到達する。
【0054】図7から明らかなように、嵌合軸部38の
後端面244にはカム部たるカム切欠262が形成され
ている。カム切欠262は、嵌合軸部38の後端面24
4の外周縁に沿って形成されており、可動スリーブ20
0に形成された前記カム突起204との係合により可動
スリーブ200の軸方向の移動を制御するようにされて
いる。カム切欠262は、切欠254の両側にそれぞ
れ、互いに向き合う状態で形成された一対の傾斜面であ
る第一傾斜面264および第二傾斜面266を備えてい
る。両傾斜面264,266は軸方向に対して45度よ
り大きい角度(図示の例では75度)傾斜している。
【0055】第一係合部188と第二係合部258とが
非係合位相にある状態で嵌合軸部38が嵌合穴18に嵌
合されることによって、後端面244がカム突起204
に当接し、それにより可動スリーブ200がスプリング
220の付勢力に抗してスリーブ10の基端側へ移動さ
せられる。したがって、係合部材180の引付け力は前
述のようにスプリング186の付勢力のみに低減し、第
一係合部188と第二係合部258とが非係合位相から
前記第一角度相対回転させられる間に、面取り部190
のカム作用により容易に係合する。
【0056】ドリルホルダ36がさらに回転させられて
第一係合部188と第二係合部258とが係合位相とな
るとき、カム突起204とカム切欠262との合致によ
り可動スリーブ200がスプリング220の付勢力によ
りスリーブ10の先端側へ移動することが許容される。
そのため、スプリング220の付勢力が力変換装置24
0により係合部材180の引付け力に変換され、係合部
材180と係合しているドリルホルダ36が大きな力で
スリーブ10内に引き込まれ、フランジ部118がスリ
ーブ10の端面16に強く引き付けられる。
【0057】一方、第一係合部188と第二係合部25
8とが係合位相にある状態からドリルホルダ36が回転
させられて非係合位相とされるときには、カム突起20
4が第一傾斜面264または第二傾斜面266(いずれ
に係合するかはドリルホルダ36の回転方向によって決
まる)と係合するため、可動スリーブ200をスプリン
グ220の付勢力に抗してスリーブ10の基端側へ移動
させられる。両傾斜面264,266の傾斜角度および
方向が、ドリルホルダ36のスリーブ10に対する係合
位相から非係合位相へ向かう向きの回転が可動スリーブ
200のスリーブ10の基端側への運動に変換されるよ
うに決められているのである。しかも、カム切欠262
の第一,第二傾斜面264,266の傾斜角度が倍力作
用が生じる大きさに決定されているため、比較的小さい
相対回転モーメントにより可動スリーブ200をスプリ
ング220の付勢力に抗してスリーブ10の基端側へ移
動させることができる。
【0058】本実施形態においては、カム突起204お
よびカム切欠262により可動部材制御装置が構成され
ているのである。また、この可動部材制御装置が、可動
部材220,スプリング220および力変換装置240
と共同して係合部材180の引付け装置を構成してい
る。
【0059】以上のように構成された工具保持装置によ
り、ドリル40を工作機械のスピンドルに取り付ける場
合について説明する。まず、スリーブ10内に引付け装
置を取り付ける。本実施形態においては、スリーブ14
8に係合部材180,可動スリーブ200および力変換
装置240等を組み付けることにより、図9に示すサブ
アッセンブリとすることができる。したがって、まず、
サブアッセンブリを組み立てておき、それをスリーブ1
0の嵌合穴18に嵌合して、底面140に形成された雌
ねじ穴142に雄ねじ部材156の雄ねじ部160を挿
入するとともに、偏心穴144にピン172を嵌合さ
せ、係合部材180の貫通穴191から工具を挿入し
て、雄ねじ部材156の六角穴162に係合させて締め
込むことにより、図8に示すように、サブアッセンブリ
をスリーブ10に固定することができる。このように、
スリーブ10の外でサブアッセンブリを組み立てて、後
に嵌合穴18の底面140に固定することができるた
め、スリーブ148,可動スリーブ200,係合部材1
80および力変換装置240等をそれぞれ個々にスリー
ブ10内に組み付ける場合に比較して、組立作業を容易
に行うことができる。
【0060】また、本実施形態においては、ピン172
が偏心穴144に嵌合する特定位置において、スリーブ
148がスリーブ10に取り付けられるようになってい
るため、サブアッセンブリとスリーブ10とを必ず予め
定められた相対位相で組み付けることができる。また、
ピン172が偏心穴144に嵌合させられることによ
り、スリーブ148のスリーブ10に対する相対回転が
確実に防止される。なお、偏心突起がピン142により
構成されていたが、スリーブ148の底面170に一体
の突起を形成することも可能である。また、スリーブ1
48に偏心穴を形成し、スリーブ10の底面140に偏
心突起を設けて、両者を嵌合するようにしてもよい。
【0061】上記のように引付け装置が取り付けられた
スリーブ10を工作機械のスピンドルに取り付ける。上
記のように、スリーブ10の取付け部24を、スピンド
ル側の係合部とフランジ部12の切欠34との位相を合
わせた状態でスピンドル穴に嵌合すれば、スピンドル穴
内の引込み装置によりプルスタッドが把持されてスピン
ドル穴内に引き込まれることにより、フランジ部12の
切欠34に係合部が係合させられるとともに、取付け部
24のテーパ外周面26とスピンドル穴のテーパ内周面
とが締まり嵌合し、スリーブ10がスピンドルに相対移
動不能かつ相対回転不能に取り付けられるのである。
【0062】次に、ドリルホルダ36にドリル40を保
持させる。まず、工具挿入穴46内にドリル40のシャ
ンクを挿入し、ドライバ52の工具係合溝56にタング
を係合させる。そして、アジャストナット50の六角穴
51に工具を係合させて回転させ、ドライバ52を任意
の量だけ軸方向に移動させてドリル40の工具挿入穴4
6への挿入深さを調節する。ドリル40の適宜の挿入深
さが決まれば、クランプナット100の工具係合溝10
4に工具を係合させて回転させ、コレットキャップ84
を介してコレット72を締め付ければ、コレット72が
テーパ穴70内へ押し込まれつつ縮径させられ、ドリル
40がコレット72に締め付けられて保持される。
【0063】続いて、ドリルホルダ36をスリーブ10
に取り付ける。まず、図1に示すように、ドリルホルダ
36の切欠254に第一係合部188が嵌入可能な状
態、すなわち第二係合部258と第一係合部188とを
非係合位相とした状態で、嵌合軸部38を嵌合穴18に
挿入する。ドリルホルダ36が取り付けられていない状
態では、係合部材180が有底穴150の底面に当接す
る原位置にあり、力変換装置240の鋼球178がカム
溝234の最も深い部分内に位置し、可動スリーブ20
0は第一傾斜面230において鋼球178に係合するこ
となく、端面202がフランジ部208に当接する移動
限度位置に保たれている。
【0064】しかし、図2に示すように、フランジ部1
18が端面16に当接するまで嵌合軸部38をスリーブ
10の基端側へ挿入すれば、嵌合軸部38の後端面24
4がカム突起204に当接し、可動スリーブ200をス
プリング220の付勢力に抗してスリーブ10の基端側
へ移動させる。それにより、カム溝228が鋼球178
に対向する位置へ移動し、鋼球178が半径方向外方へ
自由に移動できる状態となる。なお、ドリルホルダ36
はフランジ部118が端面16に当接する位置以上に深
くスリーブ10に嵌合されることはなく、本実施形態に
おいては、フランジ部118と端面16とが嵌合限度規
定装置を構成している。また、フランジ部118の端面
122がスリーブ10の端面16に当接する以前に、カ
ラー110の係合突起112が端面16に当接するが、
スプリング116の付勢力は小さく設定されているた
め、カラー110がドリルホルダ36に対して容易に前
進させられ、フランジ部118は支障なく端面16に当
接させ得る。
【0065】この状態でドリルホルダ36を第一角度回
転させ、図3に示すように、第二係合部258と第一係
合部188とを軸方向に離脱不能に係合させる。このと
き、第一係合部188の面取り部190と第二係合部2
58とのカム作用により係合部材180がスリーブ14
8から少し引き出されることになるが、ドリルホルダ3
6が第一角度回転させられる間はスプリング220の付
勢力に基づく引付け力が係合部材180に加えられてい
ないため、すなわち引付け力が緩和されているため、第
一係合部188と第二係合部258とを容易に係合させ
ることができる。ただし、係合部材180はスプリング
186の付勢力によりスリーブ148の底面側へ付勢さ
れているため、自由に軸方向に移動することはなく、第
一係合部188と第二係合部258とは安定して係合す
る。
【0066】第一係合部188と第二係合部258との
係合に伴って係合部材180がスリーブ148の底面か
ら離間し、第二傾斜面236が鋼球178に係合してこ
れを半径方向外方へ、第一傾斜面230に係合可能な位
置まで押し出す。しかし、この時点では未だ可動スリー
ブ200が後退させられているため、第一傾斜面230
が実際に鋼球178に係合することはない。係合部材1
80の引付け力は緩和されたままなのである。
【0067】上記のようにして、第一係合部188と第
二係合部258とを係合させた後、さらにドリルホルダ
36を第二角度回転させ、図4に示すように、第二係合
部258を第一係合部188との係合位相に到達させ
る。このドリルホルダ36の第二角度の回転によって、
カム突起204がカム切欠262と合致するため、可動
スリーブ200がスプリング220の付勢力により移動
限度位置に向かって移動させられる。この移動に伴っ
て、第一傾斜面230が鋼球178に係合し、半径方向
内方に移動させて第二傾斜面236に係合させるため、
スプリング220の付勢力が倍力されて係合部材180
に付与される。そのため、ドリルホルダ36がスリーブ
10の基端側へ強く引き込まれ、フランジ部118が端
面16に強く押し付けられる。
【0068】なお、第一係合部188と第二係合部25
8とが係合した状態でドリルホルダ36を第二角度回転
させるうちに、力変換装置240による係合部材180
の引付け力が強くなるが、第一係合部188と第二係合
部258とは既に軸方向に直角な面で係合しており、ド
リルホルダ36は主として両係合部188,258間お
よびフランジ部118,端面16間の摩擦力に打ち勝っ
て回転させればよいため、比較的小さい力で係合位相ま
で回転させることができる。
【0069】ドリルホルダ36を第二角度回転させるこ
とにより、カラー110の一対の係合突起112とスリ
ーブ10の係合切欠128との位相が合致し、図4に示
すように、スプリング116の付勢力により係合突起1
12がフランジ部118の係合切欠120から突出させ
られて係合切欠128に嵌入させられる。また、ドリル
ホルダ36が嵌合穴18内に引き込まれることにより、
ドリルホルダ36のテーパ面124と嵌合穴18の内周
テーパ面130とがほぼ隙間なく嵌合させられる。した
がって、ドリルホルダ36がスリーブ10に相対回転不
能かつ軸方向および半径方向に相対移動不能に取り付け
られる。
【0070】このようにして、ドリル40を保持したド
リルホルダ36をスリーブ10を介して工作機械のスピ
ンドルに迅速かつ容易に取り付けることができる。切削
加工が開始されれば、スピンドルの回転トルクがスリー
ブ10,係合切欠128,カラー110の係合突起11
2およびフランジ部118を経てドリルホルダ36に伝
達され、ドリル40が回転させられる。
【0071】本実施形態においては、切削加工時に、ド
リル40の先端から切削液を噴出させることができる。
切削液はプルスタッドに設けられた切削液供給穴から供
給され、スリーブ10の取付け部24の軸方向穴30,
雌ねじ穴142,雄ねじ部材156の液通路164およ
び係合部材180の貫通穴191を経てドリルホルダ3
6へ流入させられる。そして、アジャストナット50,
ドライバ52の貫通穴66,68を経て、切削液がドリ
ル40の液通路へ流入し、その先端から噴出させられ
る。本実施形態においては、軸方向穴30,雌ねじ穴1
42,液通路164,貫通穴191,66,68等によ
り切削液供給通路が構成されているのである。
【0072】この切削液供給通路に加圧した切削液を供
給すれば、液圧に基づいてスリーブ10とドリルホルダ
36とを軸方向に離間させようとする力が作用するが、
本実施形態においては、引付け装置の引付け力がこの離
間させようという力より大きく設定されているため、ス
リーブ10とドリルホルダ36とが離間させられること
がない。本実施形態の装置は切削液が高圧で供給される
場合に特に有効なのである。
【0073】ドリルホルダ36をスリーブ10から取り
外す場合には、スプリング116の付勢力に抗してカラ
ー110を非作用位置へ移動させ、一対の係合突起11
2をスリーブ10の係合切欠128から離脱させる。そ
れにより、ドリルホルダ36とスリーブ10との相対回
転が可能となる。この状態で、ドリルホルダ36を第二
係合部258が第一係合部188と非係合位相となるま
で回転させる。このとき、可動スリーブ200のカム突
起204がカム切欠262の第一,第二傾斜面264,
266のいずれかと係合させられるため、可動スリーブ
200がスプリング220の付勢力に抗してスリーブ1
0の基端側へ移動させられる。そのため、鋼球178と
第一傾斜面230および第二傾斜面236との係合が解
かれ、係合部材180の引付け力が緩和されて、第一係
合部188と第二係合部258とを容易に非係合位相と
することができる。
【0074】この非係合位相においては、第一係合部1
88と第二係合部258との係合離脱により係合部材1
80が原位置に復帰し、かつ、ドリルホルダ36が可動
スリーブ200を介してスプリング220によりスリー
ブ10から押し出される。したがって、ドリルホルダ3
6をスリーブ10から容易に抜き出すことができ、新品
のドリルホルダを取り付けることができる。
【0075】なお、本実施形態においては、可動部材制
御装置として、可動スリーブ200にカム突起204が
設けられるとともにドリルホルダ36にカム切欠262
が設けられているため、カム突起204に、スリーブ1
48のフランジ部208と共同して可動スリーブ200
のスリーブ148に対する相対回転防止装置を構成させ
ることができ、部品点数を減少させ得、好都合である。
しかし、ドリルホルダにカム突起を設け、可動部材にカ
ム切欠を設けて両者を係合させることも可能である。
【0076】また、本実施形態においては、スリーブ1
48の外周面に可動部材としての可動スリーブ200が
嵌合され、内周面に係合部材180が嵌合されるように
なっていたが、可動部材と係合部材とのスリーブ148
に対する嵌合を内外逆にすることも可能である。
【0077】さらに、本実施形態においては、ドリルホ
ルダ36のスリーブ10への着脱時には引付け装置によ
る係合部材180の引付け力を緩和してスリーブ10に
対する相対回転を容易とし、迅速な着脱ができるように
する一方、ドリルホルダ36のスリーブ10への取付け
後は係合部材180に強い引付け力が付与され、ドリル
ホルダ36がスリーブ10内に強く引き込まれるように
なっている。したがって、例えば、ドリルホルダ36に
代えてタップホルダがスリーブ10に取り付けられた場
合においては、切削開始当初にタップにタップホルダを
スリーブ10から引き出す向きの力が作用することがあ
るが、本実施形態の引付け装置においては、そのような
場合にもタップホルダがスリーブ10から実際に引き出
されることを確実に防止することができる。
【0078】また、本実施形態においては、第一部材た
るスリーブ10が工作機械の主軸に容易に着脱可能とさ
れており、この第一部材の着脱および第一部材への第二
部材の着脱をすべて自動で行うことが可能である。例え
ば、それぞれに工具を保持させた複数の工具ホルダを用
意し、それらを自動で工作機械の主軸に取り付けられた
スリーブに着するとともに、スリーブの交換をも自動で
行うのである。勿論、いずれか一方のみの着脱を自動で
行うようにしてもよく、すべての着脱を作業者の手によ
って行うようにしてもよい。第一部材の着脱を作業者の
手によって行う場合は、図12に示すスリーブ300の
ように、取付け部302をボルト304等の締結具によ
り工作機械の取付部に固定的に取り付けるようにするこ
とも可能である。
【0079】さらに、本実施形態においては、伝達子と
して市販の鋼球178が使用されており、力変換装置2
40を安価に製造し得る利点があるが、例えば、円柱体
の両端に半球部を形成した伝達ピンを伝達子として使用
することも可能である。筒状部材の周壁に形成した貫通
穴に伝達ピンを摺動可能に嵌合し、両端の半球部の少な
くとも一部ずつが周壁の外周面と内周面との両方から同
時に突出可能とするのであり、このようにすれば、球体
を伝達子として使用する場合に比較して、係合部材18
0の第二傾斜面236の傾斜角度を大きくすることが容
易となる。球体のを使用する場合には、球体の球心が貫
通穴内に位置する状態を保ちつつ球体の一部を第二傾斜
面に係合させることが必要であり、第二傾斜面の傾斜角
度が自ずから制限されるのに対して、伝達ピンを使用す
る場合にはそのような制限を受けないからである。以
上、本発明の実施の形態について説明したが、この他、
当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様
で、本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である工具保持装置の第二
部材の第一部材への嵌合開始状態を示す正面断面図であ
る。
【図2】上記装置の第二部材を図1の状態からさらに第
一部材に嵌合した状態を示す図である。
【図3】上記装置の第二部材を図2の状態から第一角度
回転させた状態を示す図である。
【図4】上記装置の第二部材を図3の状態から第二角度
回転させて第一部材に取り付けた状態を示す図である。
【図5】上記装置の第二部材を拡大して示す一部正面断
面図である。
【図6】図5の左側面図である。
【図7】図5の右側面図である。
【図8】上記装置の引付け装置が第一部材に取り付けら
れた状態を示す拡大正面断面図である。
【図9】上記引付け装置を取り出して示す拡大正面断面
図である。
【図10】上記装置の可動スリーブのカム突起周辺を示
す正面図である。
【図11】上記装置の可動スリーブの平面図である。
【図12】本発明の別の実施形態である工具保持装置の
第一部材を示す正面断面図である。
【符号の説明】 10 スリーブ 18 嵌合穴 36 ドリルホルダ 42 工具保持部 112 係合突起 118 フランジ部 120 係合切欠 128 係合切欠 148 スリーブ 178 鋼球 180 係合部材 188 第一係合部 200 可動スリーブ 204 カム突起 220 圧縮コイルスプリング 230 第一傾斜面 236 第二傾斜面 240 力変換装置 258 第二係合部 262 カム切欠 300 スリーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下之薗 勝紀 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械側に設けられる第一部材と、 加工工具を保持する加工工具保持部を備え、前記第一部
    材にその第一部材の先端側から基端側に向かって嵌合さ
    れることにより第一部材に取り付けられる第二部材と、 前記第一部材と前記第二部材との間に設けられ、第二部
    材の第一部材への嵌合限度を規定する嵌合限度規定装置
    と、 前記第一部材に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能
    に取り付けられ、第一係合部を有する係合部材と、 前記第二部材に設けられ、非係合位相においては前記第
    一係合部と軸方向に嵌合,離脱可能であり、軸方向に嵌
    合された状態で非係合位相から第一角度相対回転させら
    れることにより第一係合部と軸方向に離脱不能に係合
    し、その係合状態のままさらに第二角度相対回転して係
    合位相に到る第二係合部と、 前記第一部材と前記第二部材との間に設けられ、前記係
    合位相において第一部材と第二部材との相対回転を阻止
    するとともに、その相対回転阻止状態を解除可能な相対
    回転阻止装置と、 前記第一部材と前記第二部材との間に設けられ、前記係
    合位相においては前記係合部材に前記第一部材の先端側
    から基端側に向かう向きの引付け力を付与し、少なくと
    も前記非係合位相から前記係合位相に向かう前記第一角
    度の間はその引付け力を緩和する引付け装置とを含むこ
    とを特徴とする工具保持装置。
  2. 【請求項2】 前記引付け装置が、 前記第一部材に軸方向に相対移動可能に保持された可動
    部材と、 その可動部材を前記第一部材の基端側から先端側に向か
    って付勢する付勢手段と、 その付勢手段により可動部材に与えられる付勢力を倍力
    しつつ前記係合部材の引付け力に変換する力変換装置
    と、 前記第二部材と前記可動部材との間に設けられ、第二部
    材が少なくとも前記非係合位相から前記係合位相に向か
    う前記第一角度の間にある状態では前記可動部材を前記
    付勢手段の付勢力に抗して移動させ、第二部材が係合位
    相にある状態では可動部材の付勢手段の付勢力による移
    動を許容する可動部材制御装置とを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の工具保持装置。
  3. 【請求項3】 前記引付け装置が、 前記第一部材に対して相対移動不能に設けられた筒状部
    材と、 その筒状部材の周壁にその周壁を貫通して形成された貫
    通穴内にその貫通穴の中心線に平行な方向に移動可能に
    保持された伝達子と、 前記筒状部材の外周面と内周面とのいずれか一方に軸方
    向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合されるととも
    に、筒状部材側の面に前記伝達子と係合可能な第一傾斜
    面を備えた可動部材と、 前記係合部材の前記筒状部材の外周面と内周面とのうち
    可動部材が嵌合されていない側の周面に軸方向に相対移
    動可能に嵌合された部分に形成され、前記伝達子と係合
    可能な第二傾斜面と、 前記可動部材を前記第一部材の基端側から先端側に向か
    って付勢する付勢手段と、 前記第二部材と前記可動部材との間に設けられ、第二部
    材が少なくとも前記非係合位相から前記係合位相に向か
    う前記第一角度の間にある状態では前記可動部材を前記
    付勢手段の付勢力に抗して移動させることにより前記第
    一傾斜面を前記伝達子と非係合状態とし、第二部材が係
    合位相にある状態では可動部材の付勢手段の付勢力によ
    る移動を許容して第一傾斜面を伝達子と係合させる可動
    部材制御装置とを含み、かつ、前記第一傾斜面と第二傾
    斜面との傾斜の向きおよび傾斜角度が、前記付勢手段に
    より前記可動部材に与えられる付勢力を倍力しつつ前記
    引付け力に変換する向きおよび傾斜角度に決定されたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の工具保持装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012502806A (ja) * 2008-09-16 2012-02-02 エスアーエールエル ファック 平板状切削工具および上記工具と関連する工具ホルダー

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012502806A (ja) * 2008-09-16 2012-02-02 エスアーエールエル ファック 平板状切削工具および上記工具と関連する工具ホルダー

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