JPH09194743A - 制振性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

制振性熱可塑性樹脂組成物

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JPH09194743A
JPH09194743A JP466496A JP466496A JPH09194743A JP H09194743 A JPH09194743 A JP H09194743A JP 466496 A JP466496 A JP 466496A JP 466496 A JP466496 A JP 466496A JP H09194743 A JPH09194743 A JP H09194743A
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彰 寶田
Takio Tasaka
多希雄 田坂
Akiyoshi Kawaguchi
明義 河口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、室温における損失係数が0.03
以上という優れた制振性能と、曲げ弾性率30000k
gf/cm2以上という高い機械的強度とを兼備する制
振性熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、(a)熱可塑性
樹脂40〜90重量%、(b)イソフタル酸及び/又は
フタル酸を主たる酸成分とし、炭素数6〜12の脂肪族
α,ω−ジオールを主たるグリコール成分とするポリエ
ステルソフトセグメント(b−1)と、芳香族ジカルボ
ン酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜4の脂肪族α,ω
−ジオール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを主たるグリコール成分とするポリエステルハード
セグメント(b−2)とからなるポリエステルエラスト
マー3〜20重量%並びに(c)平均繊維径が0.05
〜4μm、平均繊維長が5〜500μmであり且つアス
ペクト比が7以上のウィスカ7〜40重量%を含有する
ことを特徴とする制振性熱可塑性樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制振性熱可塑性樹
脂組成物に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、家電製品、OA
機器、自動車等の材料として、機器使用時の振動を抑制
し、更に振動による発生する騒音を低下させる材料(以
下、「制振材料」という)が切望されている。これらの
製品の部品材料として多用されるプラスチックは、一般
に金属より良好な制振性能を有するため、プラスチック
部品自体の振動による騒音は比較的小さい。しかしなが
ら、プラスチックは比重が小さいため、空気透過音が大
きくなり、有効な騒音低減効果を得るためには更に高い
制振効果が要求される。
【0003】従来、制振材料としては、例えば、特開平
3−287651号公報に、(1)数平均分子量が25
00〜40000のビニル芳香族モノマーからなる重合
体ブロックA、並びにイソプレン又はイソプレン−ブタ
ジエン混合物からなり、数平均分子量が10000〜2
00000、3,4位結合及び1,2位結合が40%で
あり0℃以上にtanδの主分散ピークを有する重合体
ブロックBからなり、ブロック構造が一般式 A(B
A)n(式中nは1以上の整数を示す。)で表される、
分子量30000〜300000のブロック共重合体
と、(2)雲母粉末等の無機粉体を含有する制振材料が
開示されている。しかし、この材料は機械的強度が著し
く低いため単品での各種機器類の部品材料としての使用
には適さない。
【0004】また、特開平6−23904号公報には、
ポリカーボネートとポリエステルエラストマーからなる
制振材料について報告されている。この材料は、制振性
に優れるものの、剛性が低いため単独で部品材料として
用いるのには適さない。
【0005】一方、剛性を有する制振材料としては、特
開平3−263457号公報に結晶性熱可塑性ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエステルエラストマー及び扁
平な断面形状を有するガラス繊維からなる制振性ポリエ
ステル樹脂組成物が記載されている。しかしながら、補
強材としてガラス繊維を用いた場合には、制振性の低下
が著しいため十分に満足できる制振性能を得ることは不
可能である。
【0006】更に、摺動性、耐摩耗性及び寸法安定性に
優れるため機械部品として有用性の高いポリアセタール
は、一般に他材料との相溶性が悪いため、該樹脂の優れ
た特性を生かした制振材料は得られていない。
【0007】
【課題を解決する手段】本発明者等は、前記従来技術の
課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、熱
可塑性樹脂に特定構造のポリエステルエラストマー及び
特定形状のウィスカを同時に配合することにより、ウィ
スカが制振性能を実質的に低下させることなく機械的強
度を向上させることができ、高い機械的強度及び極めて
良好な制振性能を兼備する所望の制振材料が得られるこ
とを見い出した。本発明は斯かる知見に基づき完成され
たものである。
【0008】即ち、本発明は、(a)熱可塑性樹脂40
〜90重量%、(b)イソフタル酸及び/又はフタル酸
を主たる酸成分とし、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−
ジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルソ
フトセグメント(b−1)と、芳香族ジカルボン酸を主
たる酸成分とし、炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオー
ル及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールを主
たるグリコール成分とするポリエステルハードセグメン
ト(b−2)とからなるポリエステルエラストマー3〜
20重量%並びに(c)平均繊維径が0.05〜4μ
m、平均繊維長が5〜500μmであり且つアスペクト
比が7以上のウィスカ7〜40重量%を含有することを
特徴とする熱可塑性樹脂組成物に係る。
【0009】本発明によれば、室温における損失係数が
0.03以上という優れた制振性能と、曲げ弾性率30
000kgf/cm2以上という高い機械的強度とを兼
備する制振性樹脂組成物が提供される。この制振性樹脂
組成物は、各種機器の部品材料として好適に使用でき、
振動を抑制して騒音の発生を顕著に防止できる制振材料
とすることができる。
【0010】また、本発明では、摺動性、耐摩耗性及び
寸法安定性に優れるため機械部品として有用性の高いポ
リアセタールは他材料((b)成分や(c)成分)との
相溶性乃至分散性が良好であるため、本発明においては
ポリアセタールを熱可塑性樹脂として使用することがで
き、それ故ポリアセタールの優れた特性を生かした制振
材料とすることができる。
【0011】本発明は、現在市販されている実質的に全
ての熱可塑性樹脂について、機械的強度及び制振性能の
両方を実用上十分満足できる程度に向上させるものであ
り、極めて応用範囲が広い。
【0012】本発明の制振性樹脂組成物を成形して得ら
れる成形品を用いれば、振動及び振動により発生する騒
音の低減が可能であり、且つ、振動や騒音の他への伝播
防止に非常に有用である。従って、振動や騒音を発生す
る機器類の部品材料として好適に使用できる。具体的な
用途としては、例えば、歯車、カム、プーリー、モータ
ー等の駆動部品あるいは、モーターのような高速回転体
を搭載するシャーシ及びハウジング材料等を挙げること
ができる。本発明によれば、従来の制振材料のように金
属のような強度を有する材料に貼り付けて用いる複合型
の部品としてではなく、単独の材料で成形部品を得るこ
とができるので、生産の合理化、経済性が極めて高い。
【0013】
【発明の実施の形態】(a)成分として用いることので
きる熱可塑性樹脂としては、従来公知のものを広く例示
でき、例えば、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテ
ル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステ
ル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセター
ル等の樹脂や樹脂アロイを挙げることができる。スチレ
ン系樹脂としては、具体的にはポリスチレン、ハイイン
パクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重
合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
等が挙げられる。また変性ポリフェニレンエーテルとし
ては、具体的にはポリフェニレンエーテルをハイインパ
クトポリスチレンで変性した変性ポリフェニレンエーテ
ル等が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、具体的に
は、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6、
ナイロン−6,6、ナイロン−MXD6等が挙げられ
る。
【0014】上記熱可塑性樹脂の中でも、ポリアセター
ルを用いれば摺動性、耐摩耗性、機械的強度、寸法安定
性に優れる材料を得ることができ、ポリフェニレンエー
テルを用いると寸法安定性、機械的強度に優れる材料を
得ることができるため、特に好ましい。またポリカーボ
ネートも好ましく用いることができる。
【0015】本発明において、(a)成分である熱可塑
性樹脂組成物の配合量は、通常、組成物全量の40〜9
0重量%、好ましくは50〜80重量%とする。40重
量%を下回ると、成形加工性が悪くなると共に、機械的
物性の悪化、殊に脆さが目立つようになり、不適当であ
る。一方、90重量%を超えると、所望の曲げ弾性率
(30000kgf/cm2以上)が得られず、不都合
である。
【0016】(b)成分であるポリエステルエラストマ
ーは、特開平4−33919号公報等に記載される公知
化合物であり、イソフタル酸及び/又はフタル酸を主た
る酸成分とし、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオー
ルを主たるグリコール成分とするポリエステルソフトセ
グメント(b−1)と、芳香族ジカルボン酸を主たる酸
成分とし、炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオール及び
/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールを主たるグ
リコール成分とするポリエステルハードセグメント(b
−2)とからなるブロック共重合体である。
【0017】ポリエステルソフトセグメント(b−1)
を構成する炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールと
しては、特に炭素数8〜12のジオール化合物が制振性
向上効果が高く好ましい。
【0018】ポリエステルハードセグメント(b−2)
に用いることのできる芳香族ジカルボン酸としては、テ
レフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルカルボン酸等を例示できる。炭素数2
〜4の脂肪族α,ω−ジオールとしては、エチレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コール等を例示できる。
【0019】(b)成分であるポリエステルエラストマ
ー中のポリエステルソフトセグメント(b−1)とポリ
エステルハードセグメント(b−2)の配合割合として
は、特に限定されるものではないが、通常(b−1)が
全体の60〜90モル%程度、好ましくは(b−1)が
全体の60〜80モル%のものを用いるのがよい。(b
−1)成分と(b−2)成分が上記の範囲内にあれば、
組成物により一層良好な制振性及びより一層優れた機械
的物性を付与することができる。
【0020】本発明においては、(b)成分であるポリ
エステルエラストマーは、組成物全量の3〜20重量
%、好ましくは5〜15重量%を配合する。3重量%を
下回ると目的とする十分な制振性能が得られず、一方、
20重量%を上回ると機械強度や熱変形温度が低下する
ため、不適当である。
【0021】(b)成分であるポリエステルエラストマ
ーは、前記のソフトセグメントとハードセグメントを構
成する単独のポリエステルを、例えばチタン触媒の存在
下、溶融混合してエステル交換反応させる等の方法によ
り容易に得ることができ、また市販品をそのまま用いる
こともできる。
【0022】本発明で(c)成分として用いる特定のウ
ィスカは、プラスチックの強化材として知られている
が、本発明者は、該ウィスカがプラスチックの機械的強
度を向上させる際に、ウィスカ以外の繊維状強化材(例
えばガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等)のよう
に、機械的強度の向上に相反して制振性能を低下させる
という欠点がなく、条件によっては制振性能をも向上さ
せ得ることを見い出した。
【0023】本発明のウィスカは、平均繊維径が0.0
5〜4μm(好ましくは0.1〜3μm)、平均繊維長
が5〜500μm(好ましくは7〜300μm)であ
り、且つアスペクト比が7以上(好ましくは10以上)
のものである。斯かる平均繊維径、平均繊維長及びアス
ペクト比を備えている限り、従来公知のウィスカを広く
使用することができるが、その好ましい具体例として
は、珪酸カルシウムウィスカ(CaO・SiO2、天然
に産出するワラストナイトやその分級品、表面処理品、
ゾノトライト等であってもよい)、塩基性硫酸マグネシ
ウムウィスカ(マグネシウムオキシサルフェートウィス
カ)、酸化亜鉛ウィスカ(ZnO)、酸化マグネシウム
ウィスカ(MgO)、炭化ケイ素ウィスカ(SiC)、
チタン酸カリウムウィスカ(K2O・nTiO、2≦n
≦12)、ホウ酸アルミニウムウィスカ(9Al23
2B23等)、ホウ酸マグネシウムウィスカ(2MgO
・B23)、チタン酸アルミン酸カリウムウィスカ、黒
鉛ウィスカ等を挙げることができる。また、中心核から
ウィスカが成長した形態のもの、例えばテトラポット状
酸化亜鉛ウィスカ等も用いることができる。
【0024】これらのウィスカの中でも、樹脂との混練
性、濡れ性、得られる組成物の制振性能、機械的強度等
を考慮すると、チタン酸カリウムウィスカ、珪酸カルシ
ウムウィスカ、テトラポット状酸化亜鉛ウィスカ等が特
に好ましい。
【0025】本発明では、これらウィスカは一種を単独
で又は2種以上を混合して使用してもよい。ウィスカの
配合量は、通常、組成物全量の7〜40重量%、好まし
くは10〜35重量%である。7%未満では、所定の曲
げ弾性率(30000kgf/cm2)を得難く、40
重量%を越えて配合すると脆性が高まるため、いずれも
不都合である。
【0026】(c)成分として使用されるウィスカは、
チタネート系、アミノシラン系、エポキシシラン系等の
シラン系等の各種カップリング剤を用いて表面処理され
たものであってもよい。
【0027】本発明の樹脂組成物には、更に必要に応じ
て、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン(例
えば高密度ポリエチレンの微粉末)等の摺動性付与材、
染料、顔料等の着色剤、滑剤、その他充填材、結晶核
剤、熱安定剤、難燃剤、光安定剤、発泡剤、樹脂相溶化
剤(特に(a)成分として2種以上の樹脂を用いる場
合)等の添加剤を適宜配合してもよい。更に、本発明の
効果を損なわない範囲で、ガラス繊維、炭素繊維、アラ
ミド繊維等の繊維状強化剤を配合してもよい。
【0028】本発明の樹脂組成物は、例えば、(a)熱
可塑性樹脂及び(b)ポリエステルエラストマー(必要
に応じて顔料等の添加剤をタンブラーミキサー等を用い
て混合したもの)を溶融混練し、これに(c)ウィスカ
を添加して混練押出しペレット化する等の方法で製造す
ることができる。
【0029】本発明の樹脂組成物は、射出成形、押出成
形、吹込成形その他の方法に従い、各種の成形体に成形
され得る。
【0030】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具
体的に説明する。尚、以下において「部」とあるのは、
重量部を意味する。
【0031】実施例1 下記の原料を表1に示す割合(部)で混合し、得られた
混合物を押出混練し、本発明の樹脂組成物のペレットを
製造した。押出混練には、2軸押出機(商品名:「PC
M45−30」、株式会社池貝製)を用い、シリンダー
温度は280℃とした。
【0032】変性ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、
「m−PPE」とする。);商品名:「ザイロン300
H」、旭化成工業株式会社製。
【0033】ポリエステルエラストマー1;イソフタル
酸/1,6−ヘキサメチレングリコールをソフトセグメ
ント(約70モル%)とし、テレフタル酸/テトラメチ
レングリコールをハードセグメント(約30モル%)と
する。商品名:「ヌーベランP4110AN」、帝人株
式会社製。
【0034】チタン酸カリウムウィスカー;平均繊維径
0.4μm、平均繊維長15μm、アスペクト比37.
5、商品名:「ティスモD−102」、大塚化学株式会
社製。
【0035】得られた樹脂組成物を、射出成形機(商品
名:「J75SSIIA」、株式会社日本製鋼所製)にて
シリンダー温度280℃、射出圧力600kgf/cm
2、金型温度90℃にて射出成形し、ASTM試験片を
製造した。1日間、室温にて放置後、この試験片につい
て機械的強度及び制振性能(損失係数)を調べた。
【0036】(i)機械的強度:曲げ強度及び曲げ弾性
率をASTM D790に準じて測定した。
【0037】(ii)制振性能(損失係数):ASTM
試験片を切削加工して長さ200mm、幅12mm、厚
さ3mmの短冊状試験片を得、これを複素弾性測定装置
(ブリュエル&ケア社製、デンマーク)にかけ、ISO
10112に準じて室温で片持ち梁法により損失係数
を測定した。
【0038】これらの結果を表1に併せて示す。
【0039】比較例1 実施例1に使用した変性ポリフェニレンエーテル樹脂の
みについて、実施例1と同様に試験片を製造し試験を行
った。結果を表1に示す。
【0040】比較例2 ポリエステルエラストマー1に代えてポリエステルエラ
ストマー2(ε−カプロラクトンをソフトセグメント
(50モル%)とし、テレフタル酸/テトラメチレング
リコールをハードセグメント(50モル%)とするも
の。商品名:「ペルプレンS1001」、東洋紡績株式
会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂
組成物を製造し、実施例1と同様に試験片を製造し試験
を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1から、本発明の樹脂組成物(実施例
1)は、損失係数が約0.05と大きく、曲げ弾性率約
50000kgf/cm2の優れた制振性能と高い機械
的強度を兼備する制振材料であることがわかる。
【0043】比較例1によれば、ベース樹脂であるm−
PPEは損失係数0.01及び曲げ弾性率約20000
kgf/cm2であり、単品では制振性能及び機械的強
度の両方が不十分であるが、これに本発明の構成に従っ
てポリエステルエラストマー1及びウィスカを配合する
ことにより、両方の性質が顕著に向上することがわか
る。また、比較例2では従来より靴底や自動車部品等に
よく使用されている一般的なポリエステルエラストマー
を用いているが、同じポリエステルエラストマーであっ
ても本発明に用いる特定のポリエステルエラストマーで
なければ、制振性能を付与することができないことがわ
かる。
【0044】実施例2〜4 チタン酸カリウムウィスカや珪酸カルシウムウィスカ
(商品名:「NYGLOS I−10013、NYCO
社製、米国)を表2に記載の配合割合(部)で配合した
各材料を用い、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレ
ットを製造し、性能試験に供した。結果を表2に示す。
【0045】比較例3 チタン酸カリウムウィスカに代えてガラス繊維を用いた
他は、実施例2〜4と同様にして樹脂組成物のペレット
を製造し、性能試験に供した。結果を表2に併記する。
【0046】
【表2】
【0047】実施例3及び実施例4の結果から、珪酸カ
ルシウムウィスカ及び珪酸カルシウムウィスカ/チタン
酸カリウムウィスカ併用系も制振性能の向上効果が大き
いことがわかる。また、比較例3の結果から、本発明で
用いる特定のポリエステルエラストマーを用いてもガラ
ス繊維で補強すると組成物の制振性を著しく損なうこと
がわかる。
【0048】実施例5 m−PPEに代えてポリアセタール樹脂(以下「PO
M」という。商品名:「ジュラコンM90−44」、ポ
リプラスチック株式会社製)を用い、シリンダー温度1
90℃で混練、射出成形する以外は、実施例1と同様に
して本発明樹脂組成物のペレットを製造し、性能試験に
供した。結果を表3に示す。
【0049】比較例4及び5 ポリエステルエラストマー1に代えてポリエステルエラ
ストマー2又はスチレン−イソプレン−スチレンブロッ
ク共重合体(以下「SIS」という。商品名:「ハイブ
ラーVS−1」、クラレ株式会社製)を用いる以外は、
実施例5と同様にして本発明樹脂組成物のペレットを製
造し、性能試験に供した。結果を表3に示す。
【0050】比較例6 チタン酸カリウムウィスカを配合しない以外は、実施例
5と同様にして本発明樹脂組成物のペレットを製造し、
性能試験に供した。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】実施例5の結果から、熱可塑性樹脂として
POMを用いても、混練性良好で、制振性付与に顕著な
効果が達成されることがわかる。また、比較例4の結果
から、ポリエステルエラストマー2を用いた場合には、
制振性の向上効果が不十分である。また、従来、制振性
付与材として用いられているSISは、POMとの相溶
性に乏しく、混練性が悪いため製造困難である(比較例
5)。更にチタン酸カリウムウィスカを配合しない場合
には、曲げ弾性率が20300kgf/cm2であり、
機械的強度が不十分であることがわかる(比較例6)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 LPR C08L 69/00 LPR 71/12 LQP 71/12 LQP 77/00 LQU 77/00 LQU

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)熱可塑性樹脂40〜90重量%、
    (b)イソフタル酸及び/又はフタル酸を主たる酸成分
    とし、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールを主た
    るグリコール成分とするポリエステルソフトセグメント
    (b−1)と、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分と
    し、炭素数2〜4の脂肪族α,ω−ジオール及び/又は
    1,4−シクロヘキサンジメタノールを主たるグリコー
    ル成分とするポリエステルハードセグメント(b−2)
    とからなるポリエステルエラストマー3〜20重量%並
    びに(c)平均繊維径が0.05〜4μm、平均繊維長
    が5〜500μmであり且つアスペクト比が7以上のウ
    ィスカ7〜40重量%を含有することを特徴とする制振
    性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(a)成分である熱可塑性樹脂が、スチレ
    ン系樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレ
    ンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート及び
    ポリアセタールから選ばれる少なくとも一種である請求
    項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(a)成分である熱可塑性樹脂が、ポリフ
    ェニレンエーテル、ポリカーボネート及びポリアセター
    ルから選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】(c)成分であるウィスカが、珪酸カルシ
    ウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、塩基性硫酸
    マグネシウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、酸化マグネ
    シウムウィスカ、炭化珪素ウィスカ、黒鉛ウィスカ、ホ
    ウ酸アルミニウムウィスカ及びホウ酸マグネシウムウィ
    スカから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載
    の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(c)成分であるウィスカが、珪酸カルシ
    ウムウィスカ及びチタン酸カリウムウィスカから選ばれ
    る少なくとも一種である請求項1に記載の樹脂組成物。
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