JPH09193310A - プレコート紙を利用した化粧板 - Google Patents

プレコート紙を利用した化粧板

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JPH09193310A
JPH09193310A JP2049596A JP2049596A JPH09193310A JP H09193310 A JPH09193310 A JP H09193310A JP 2049596 A JP2049596 A JP 2049596A JP 2049596 A JP2049596 A JP 2049596A JP H09193310 A JPH09193310 A JP H09193310A
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resin
paper
layer
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decorative
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JP2049596A
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Kazuhiro Takahashi
一弘 高橋
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐摩耗性を有し、トップコート層と樹
脂含浸紙との間及び樹脂含浸紙と基板との間の層間強度
が高く、耐久性に優れ、しかも製造が容易であり安価な
プレコート化粧板を提供する。 【解決手段】 化粧紙原紙2に硬化性樹脂を含浸して含
浸樹脂層3を形成すると共に該含浸樹脂層3表面に過剰
の含浸樹脂からなるトップコート層6が設けられてなる
プレコート紙7を用い、該プレコート紙7の含浸樹脂層
3に接着剤層8を介して化粧板の基板9が積層一体化さ
れた化粧板であって、上記含浸樹脂層3及び接着剤層8
の樹脂が互いに反応する反応基を有する硬化性樹脂であ
り、上記プレコート紙7の含浸樹脂層3及びトップコー
ト層6は完全に硬化しない状態であり常温で非流動性且
つ非粘着性に形成され、上記プレコート紙7の含浸樹脂
層3を未硬化の接着剤層8と接触させた後、トップコー
ト層7、含浸樹脂層5及び接着剤層8を完全に硬化せし
めて、プレコート紙7と基板9とを積層一体化してプレ
コート紙7を用いた化粧板1を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性樹脂が含浸
された化粧紙の表面側に、耐摩耗性に優れたトップコー
ト層が設けられ、該化粧紙の裏面側が基板に積層されて
なり、床材や机表面等の耐摩耗性が要求される用途に利
用可能な化粧板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、建築物の内装や家具、キャビ
ネット等の表面の装飾用の材料として、メラミン化粧
板、ダップ化粧板、ポリエステル化粧板等の各種の化粧
板が用いられている。これらの化粧板は、表面に絵柄等
の模様を設けた紙に硬化性の樹脂を含浸させ、その裏面
側に接着剤等を介して化粧板の基材を積層し、全体を加
熱、加圧して一体化して形成される。
【0003】このような化粧板として例えば、特公平4
−11385号公報に開示されているように、パネル
(基板)の表面にフラットな表面を与えるのに充分な粘
度をもつ湿潤電子線硬化型接着剤層を塗布し、その外表
面に液体浸透性化粧層を積層し、その上面にトップコー
トとして、湿潤電子線硬化型低粘度液体ラッカーを塗布
し、前記化粧層上のトップコートに充分な滞留時間を与
えて、化粧層中にトップコートの液体ラッカーが浸透す
るようにした後で、電子線を照射して湿潤ラッカー及び
湿潤接着剤とを同時に硬化させて、トップコート層、化
粧層、接着剤層及びパネルを一体の永久構造物とする、
化粧層の積層方法が公知である。
【0004】上記の化粧板は、化粧紙(化粧層)やトッ
プコート層を全部積層した後に、各層の樹脂を硬化させ
て基板と一体にするものであり、トップコート層は通
常、化粧紙を基板に積層した後に塗工して形成されるた
め、アフコターコート化粧板とも呼ぶことができる。こ
の化粧板は、全体を硬化性樹脂により構成することがで
きるため、表面物性や層間強度等の点において優れてい
る。しかしながら、このアフターコート化粧板は、合板
等のパネルを用いることや、未硬化の樹脂を積層して一
度に硬化させる必要があることから、枚葉式で製造しな
ければならず、製造工程が複雑になり生産性が良くない
という欠点があった。
【0005】一方、上記のアフターコート化粧板の生産
性を改良したものとして、プレコート紙を化粧板の基板
に積層してなる化粧板が公知である。化粧板は、樹脂含
浸紙の表面にトップコート層を予め形成したプレコート
紙を準備して、該化粧紙を基板に積層して一体化したも
のであり、予め作られたプレコート紙を基板に貼り付け
るだけで容易に化粧板を製造することができるので、生
産性に優れる。
【0006】しかしながら、上記の硬化性樹脂が含浸硬
化されてなる樹脂含浸紙の表面にトップコート層を形成
した場合、トップコート層と含浸紙との間の層間強度が
劣るという欠点があった。即ち、樹脂含浸紙の表面は既
に硬化している樹脂で覆われた状態であり、トップコー
ト層を形成する樹脂と含浸紙の樹脂との間で架橋反応が
起こらないので、トップコート層が含浸紙の表面から剥
離し易い。特にトップコート層を構成する樹脂として電
離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化
性樹脂の表面が平滑に形成されやすいこと等ともあいま
って、トップコート層と含浸紙との間の層間強度が低
く、剥離し易く、耐摩耗性が不充分なものであった。
【0007】化粧板に於ける、トップコート層と含浸紙
との間の層間強度を改良する手段は、例えば特開昭60
−75697号公報に開示されている。この方法は、浸
透性良好な紙(あるいは印刷紙)に、分子中にエチレン
性二重結合を有する電子線硬化性混合物を主成分とする
含浸剤を含浸し、該含浸紙の表面に該含浸剤よりも高粘
度の電子線硬化性混合物を主成分とする塗工剤を塗工
し、しかる後に電子線を照射して含浸剤と塗工剤を同時
に硬化させて、含浸紙の表面に電子線硬化性樹脂からな
るトップコート層が形成されたプレコート紙を得るもの
である。
【0008】上記の方法では、含浸樹脂とトップコート
層の塗工物とを同時に硬化させるために、トップコート
層と含浸樹脂との間の密着性に優れたものが得られ、電
子線硬化型樹脂等のトップコート層が耐摩耗性に優れる
といった特徴がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(特開昭60−75697号公報)の方法は、含浸樹脂
が未硬化の状態でトップコート層の塗工剤を含浸紙に塗
工してから含浸樹脂をトップコートと同時に硬化させる
ため、含浸樹脂が浸透性良好な紙から垂れたり、浸透し
すぎて流れてしまい、含浸量が変動したり、又、樹脂含
浸から塗工剤を塗工して樹脂を硬化させるまでの間の化
粧紙の製造ラインが含浸紙から垂れた樹脂により汚染さ
れるという欠点があった。
【0010】また、上記方法では、トップコート層の樹
脂の粘度が高いため、含浸紙表面への均一な塗工が困難
になり易く、塗工時の温度が変化した際の塗工剤の粘度
変化が大きく、トップコート層の塗工物の含浸紙への浸
透量が変化し易く、トップコート層塗工の際の温度管理
等に非常に手間がかかるという問題があった。
【0011】尚、同公報には塗工剤が高粘度で平滑性を
得ることが困難な場合には、塗工後に離型性フィルムを
塗工面に抱き合わせて電子線照射し、塗工剤が硬化した
後で離型性フィルムを剥離する方法がよいといった記載
があるが、塗工剤をフィルムで保持して硬化させる方法
は、フィルムを使用することによりコストアップになっ
てしまい、製造も複雑になるという欠点があり、あまり
実用的ではなかった。
【0012】更に、上記のプレコート紙を接着剤層を介
して合板に積層する場合、プレコート紙と合板間の層間
強度の問題がある。例えば、接着剤に感熱接着剤を使用
したのでは、トップコート層自体に耐摩耗性の優れた材
料を使用しても、プレコート紙と合板との間で剥離し易
く、結果的に化粧板としては十分な耐摩耗性が得られな
いという欠点があった。
【0013】又、上記のプレコート紙を硬化性樹脂から
なる接着剤を用いて基板に積層した場合には、接着剤層
と基板との間の層間強度は熱可塑性樹脂を用いた場合よ
りも向上する。しかし、既に硬化されている含浸樹脂に
接着剤層が接触して硬化するため、接着剤層と含浸紙と
の間の層間強度が劣り、界面で剥離し易い。特に含浸樹
脂として電離放射線硬化性樹脂を使用した場合には、上
記のプレコート紙の含浸紙とトップコート層との間の層
間強度と同様に、更に層間強度が低下し易いという問題
があった。
【0014】又、水平面等に使用される化粧板は、耐摩
耗性が優れることが望まれる。上記の電子線硬化型樹脂
からなるトップコート層を有する化粧板において、電子
線硬化型樹脂を架橋密度等を上げてトップコート層を硬
くして耐摩耗性を改良することは、従来から行われてい
た。
【0015】しかしながら、プレコート紙を基板に積層
して化粧板を製造する際、トップコート層の架橋密度を
上げると化粧紙の柔軟性が低下して、ロールに巻き取る
際等に該層が割れたり、又、化粧板とした場合の衝撃等
で亀裂が発生する虞れが生じるため、樹脂の種類や架橋
密度等を変えて化粧板の耐摩耗性を改良するには限界が
あり、ある程度の柔軟性を有し且つ表面の耐摩耗性も優
れる化粧板が望まれている。
【0016】本発明は上記従来技術の欠点を解決するた
めになされたものであり、プレコート紙を利用した化粧
板において優れた耐摩耗性を有し、トップコート層と樹
脂含浸紙との間及び樹脂含浸紙と基板との間の層間強度
が高く、耐久性に優れ、しかも製造が容易でありコスト
的にも安価である化粧板を提供すること目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)化粧紙
原紙に硬化性樹脂を含浸して含浸樹脂層を形成すると共
に該含浸樹脂層表面に過剰の含浸樹脂からなるトップコ
ート層が設けられてなるプレコート紙を用い、該プレコ
ート紙の含浸樹脂層に接着剤層を介して化粧板の基板が
積層一体化された化粧板であって、上記含浸樹脂層及び
接着剤層の樹脂が互いに反応する反応基を有する硬化性
樹脂であり、上記プレコート紙の含浸樹脂層及びトップ
コート層は完全に硬化しない状態であり、常温で非流動
性且つ非粘着性に形成され、上記プレコート紙の含浸樹
脂層を未硬化の接着剤層と接触させた後、トップコート
層、含浸樹脂層及び接着剤層を完全に硬化せしめて、プ
レコート紙と基板とが積層一体化されているものである
ことを特徴とするプレコート紙を利用した化粧板、
(2)トップコート層に該層の硬化性樹脂よりも高硬度
の球状粒子が含有せしめられている上記(1)記載のプ
レコート紙を利用した化粧板、(3)トップコート層の
硬化性樹脂の平均架橋間分子量が100〜1000であ
る上記(1)又は(2)記載のプレコート紙を利用した
化粧板。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を説
明する。図1は本発明の化粧板の1例を示す縦断面図で
ある。図1に示す本発明の化粧板1は、化粧紙原紙2に
硬化性樹脂からなる含浸樹脂が含浸されてなる含浸樹脂
層3と、該含浸樹脂層3の表面に設けられている絵柄層
4とからなる樹脂含浸紙5と、該樹脂含浸紙5の表面に
設けられている含浸樹脂と同じ樹脂からなるトップコー
ト層6を有するプレコート紙7が、硬化性樹脂からなる
接着剤層8によって化粧板の基板9に積層されてなるも
のである。
【0019】上記プレコート紙7は図2(a)に示すよ
うに絵柄層4が設けられた化粧紙原紙2に、過剰の含浸
樹脂を含浸させて樹脂含浸紙5とすると共にトップコー
ト層が同図(b)に示すように得られるものであり、両
層は見掛け上は常温で非流動性であり且つ非粘着性に形
成されている。尚、本発明で上記プレコート紙7は基板
と積層一体化されるまでは、トップコート層と樹脂含浸
紙の樹脂はいずれも完全に硬化していない点で、従来の
樹脂が完全に硬化されているプレコート紙とは異なる
が、トップコート層が見かけ上層として形成されている
ことからプレコート紙と呼んでいる。
【0020】化粧紙原紙2に含浸樹脂3を含浸させると
同時にトップコート層を形成する手段としては、含浸樹
脂3を溶剤等に溶解した含浸樹脂組成物や、加熱して溶
融させた含浸樹脂組成物の中に化粧紙原紙2を浸漬した
後、表面に過剰の含浸樹脂が残っている状態とし、含浸
樹脂3が硬化しない条件で溶剤を揮発させて乾燥した
り、冷却する方法や、含浸樹脂3を溶剤等に溶解したり
又は加熱する等して(樹脂が硬化しない範囲で)流動状
態とした含浸樹脂組成物を化粧紙原紙2の表面に塗工し
て内部に浸透させると共に表面にも残るようにしたた
後、加熱(含浸樹脂が硬化しない範囲)して溶剤を乾燥
もしくは冷却して固体状とする含浸方法等がある。特に
好ましい含浸方法としては、含浸樹脂組成物を化粧紙原
紙2の表面又は裏面側から塗工して含浸させる方法であ
る。例えば含浸樹脂を原紙2の表面側から塗工した場合
には、含浸樹脂が原紙2の表面から裏面に向かって順次
浸透し、過剰の樹脂が表面に残りトップコート層が厚く
ても確実に形成される。
【0021】含浸樹脂の含浸量は、少なくとも原紙2を
十分に含浸し、且つ表面にトップコート層が形成される
量であればよい。また、トップコート層の厚みは(塗工
量)10〜50g/m2 に形成するのが好ましい。ま
た、特に図示しないが、原紙2の裏面側(トップコート
層と反対の面)の接着剤層側に過剰の含浸樹脂による層
が形成されるようにしてもよい。含浸樹脂を化粧紙原紙
2に塗工する場合は、含浸樹脂組成物の粘度、塗工する
場合の温度や、ラインの乾燥もしくは冷却スピード等を
適宜調整することで、表面に残るトップコート層の厚み
と原紙への含浸量を任意に調節できる。
【0022】化粧紙原紙2に含浸樹脂の組成物を塗工し
て含浸する場合の塗工方法は、グラビアコート、グラビ
アリバースコート、グラビアオフセットコート、スピン
ナーコート、ロールコート、リバースロールコート、ナ
イフコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコ
ート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバ
ーコート、フローコート、コンマコート、又かけ流しコ
ート、刷毛塗り、スプレーコート等が挙げられる。特に
好ましい塗工方法は、塗工し易さの点からディップコー
トである。
【0023】図2(b)のプレコート紙7はただちに基
板との積層工程に移し、化粧板としてもよいが、プレコ
ート紙の状態で一旦ロール状に巻き取り保存することも
可能である。そして、このロールを別の場所に移して、
基板9に積層一体化して化粧板を製造することができ
る。化粧板の製造は、図2(c)に示すように、トップ
コート層6と含浸樹脂層3が完全に硬化していない状態
のプレコート紙7を、該化粧紙7の裏面が接着剤層8と
接するようにして、該接着材層8を介して基板9に積層
して、含浸樹脂層3が完全に硬化していない状態の樹脂
含浸紙5と接着剤層8が接触する状態で、プレコート紙
7の含浸樹脂層3と硬化性樹脂からなる接着剤層8をと
もに硬化させてプレコート紙7と基板9とを一体化し
て、図1に示す如き化粧板1が得られる。
【0024】化粧紙原紙2は含浸樹脂が浸透可能なもの
であれば良く、具体的には薄葉紙、クラフト紙、チタン
紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビ
ニル樹脂をゾル塗工又はドライラミネートしたいわゆる
ビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、アート紙、硫酸
紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙
等が挙げられる。又、紙類似シートも含浸樹脂が浸透可
能であれば化粧紙原紙2として用いることができる。上
記の紙類似シートとは、硝子繊維、石綿、チタン酸カリ
ウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無
機質繊維、ポリエステル、ビニロン等の有機樹脂等を用
いた織布又は不織布等が挙げれる。化粧紙原紙2として
特に好ましくは、酸化チタンなどの隠蔽性顔料を混抄し
た「チタン紙」と呼ばれる紙が、樹脂液の含浸適性、及
びプレコート紙を貼り付ける化粧板基材(基板)の隠蔽
性に優れる点等から最適である。化粧紙原紙2は坪量が
20g/m2 〜120g/m2 が好ましい。
【0025】絵柄層4は、化粧紙原紙2の表面側に上記
樹脂含浸前に形成される。絵柄層4は、公知の絵柄形成
用印刷インキ等でグラビア印刷、オフセット印刷、又は
シルクスクリーン印刷等の既知の印刷手段を用いて設け
る。絵柄層4は、一部にパターン状(例えば木目、布
目、図形、文字等の絵柄模様)に設けても、また含浸樹
脂が含浸可能であれば全面に設けても良い。例えば絵柄
を部分的に設けるのは、絵柄の一部(例えば木目柄の照
り部分)を特に強調させたい場合等であり、全面的に設
けるのはベタ状の絵柄模様において全体的にパール感や
干渉的外観を現出させる場合等である。尚、特に図示し
ないが本発明では絵柄層4を形成せずに化粧紙原紙2自
体に着色や絵柄が形成されたものを用いてもよい。
【0026】本発明において、含浸樹脂層3及びトップ
コート層6の硬化性樹脂(以下、単に含浸樹脂というこ
ともある)は、接着剤層の樹脂と互いに反応する反応基
を有し、未硬化又は半硬化等の完全に硬化しない状態に
於いて、常温では固体であり、かつ熱可塑性、溶剤溶解
性を有していながら、塗工後の乾燥又は冷却によって、
見かけ上、又は手で触った時にも非流動性(指触乾燥
性)であり、かつ非粘着性である塗膜を与える樹脂(以
下、完全に硬化しない状態で常温で固体である樹脂とい
う)が用いられる。
【0027】上記の含浸樹脂は、例えば無溶剤の組成物
で、加熱により流動性を有し、冷却により常温で固体状
となるような硬化性を有する樹脂組成物や、溶剤を含む
組成物で、溶剤を含有した状態では流動性を有し溶剤を
揮発させると固体状となる硬化性を有する樹脂等が挙げ
られる。
【0028】本発明において含浸樹脂は、化粧紙原紙2
の強度を向上させるために硬化性樹脂が用いられ、好ま
しい含浸樹脂として、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性
樹脂が挙げられる。これらの樹脂は該樹脂の硬化前の状
態における分子量や分子構造等に基づいて融点や結晶性
等を調節することで、完全に硬化しない状態に於いて常
温で固体状の樹脂を得ることができる。含浸樹脂として
特に好ましいのは、固相反応型電離放射線硬化性樹脂で
あり、具体的には次の(イ)、(ロ)の2種類の樹脂が
挙げられる。
【0029】(イ)ガラス転移温度が0〜250℃のポ
リマー中にラジカル重合性不飽和基を有する樹脂。具体
的には以下の〜を重合もしくは共重合させたものに
対し、後述する(a)〜(d)の方法により、ラジカル
共重合性不飽和基を導入したものである。 水酸基を有する単量体:N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシ−3フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等、
カルボキシル基を有する単量体:(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネー
ト等、エポキシ基を有する単量体:グリシジル(メ
タ)アクリレート等、アジリジニル基を有する単量
体:2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2
−アジリジニルプロピオン酸アリル等、アミノ基を有
する単量体:(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン
(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等、スルフォン基を有する単量体:2−(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸
等、イソシアネート基を有する単量体:2,4−トル
エンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートの1モル対1モル付加物等のジイソシアネ
ートと活性水素を有するラジカル重合性単量体の付加物
等、更に、上記の共重合体のガラス転移点を調節した
り、含浸紙全体の物性を調節したりするために、上記の
化合物と、この化合物と共重合可能な以下のような単量
体とを共重合させることができる。上記〜の化合物
と共重合可能な単量体としては、例えば、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート等が挙げられる
【0030】上述のようにして得られた重合体にラジカ
ル重合性不飽和基を導入する方法は、(a)水酸基を有
する単量体の重合体または共重合体の場合には、(メ
タ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体等を
縮合反応させる、(b)カルボキシル基、スルフォン基
を有する単量体の重合体または共重合体の場合には、前
述の水酸基を有する単量体を縮合反応させる、(c)エ
ポキシ基、イソシアネート基あるいはアジリジニル基を
有する単量体の重合体または共重合体の場合には、前述
の水酸基を有する単量体もしくはカルボキシル基を有す
る単量体を付加させる、(d)水酸基あるいはカルボキ
シル基を有する単量体の重合体または共重合体の場合に
は、エポキシ基を有する単量体あるいはアジリジニル基
を有する単量体あるいはジイソシアネート化合物と水酸
基含有アクリル酸エステル単量体の1対1モルの付加物
を付加反応させる等の方法がある。
【0031】(ロ)融点が常温(20℃)〜250℃で
あり、ラジカル重合性不飽和基を有する化合物。具体的
にはステアリルアクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、トリアクリルイソシアヌレート、シクロヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、スピログリコールジ
アクリレート、スピログリコール(メタ)アクリレート
などが挙げられる。
【0032】また、前記(1)及び(2)の化合物を混
合して用いることもでき、さらにそれらに対してラジカ
ル重合性不飽和単量体を加えることもできる。このラジ
カル重合性不飽和単量体は電離放射線照射の際、架橋密
度を向上させ、耐熱性を向上させるものであって、前述
の単量体の他にエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコール
ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アク
リレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテル
ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
グリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビト
ールテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレ
ートなどを用いることができ、電離放射線線硬化性樹脂
100重量部に対して、0.1〜100重量部で用いる
ことが好ましい。
【0033】更に上記の組成物に増感剤としてベンゾキ
ノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベ
ンゾインエーテル類、ハロゲン化アセトフェノン類、ビ
アセチル類などの紫外線照射によりラジカルを発生する
ものを添加して、組成物を紫外線硬化性にすることもで
きる。また、完全に硬化しない状態に於いて常温で固体
の含浸樹脂としては、熱可塑性樹脂と反応性可塑剤を混
合し溶剤等で希釈した組成物を硬化性樹脂として用いる
こともできる。
【0034】未硬化の状態で常温で固体の含浸樹脂とし
て用いられる熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、尿素樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−
尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙
げられる。
【0035】また、含浸樹脂は上記したような未硬化の
状態に於いて固体状の硬化性樹脂以外にも、未硬化の状
態では流動性を有するが電離放射線の照射条件や加熱条
件を調節して一部硬化させた半硬化の状態では見掛け状
又は手で触ったときに非流動性であり非粘着性である塗
膜を与える樹脂が使用できる。
【0036】又、含浸樹脂は、熱硬化性樹脂と電離放射
線硬化性樹脂との混合樹脂を用いることができる。上記
の混合樹脂は、加熱又は電離放射線を照射して一方の樹
脂を硬化させることで、他の一方の樹脂が未硬化の状態
となり、完全に硬化しない状態に於いて常温又は冷却し
た状態で固体状であり且つ硬化性を有する樹脂となるも
のである。含浸樹脂には、硬化性樹脂及び球状粒子以外
に、染料や顔料等の着色剤、その他のCaCO3 、Ba
SO4 、ナイロン樹脂ビーズ等の公知の艶消調整剤や増
量剤といった充填剤、その他の添加剤を適宜、含有せし
めることができる。
【0037】本発明の化粧板1に用いられる基板9は、
従来公知の化粧板の基板として用いられるものが使用で
きる。基板9は例えば、木材単板、木材合板、パーチク
ルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏
板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石
綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメ
ント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメン
ト板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁
気、せっ器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄
板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工鋼板、ア
ルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂
板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等
の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不
飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキ
シ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化性樹脂板、フェノ
ール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、
その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわ
ゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。また、基板9と
して、上記各種基板の2種以上を接着剤、熱融着等の公
知の手段により積層した複合基板を用いてもよい。
【0038】接着剤層8は含浸樹脂と互いに反応する反
応基を有する樹脂が用いられ、含浸樹脂及び基板9の材
料に応じて、樹脂含浸紙5及び基板9とが接着可能であ
る樹脂が適宜用いられる。接着剤層8の硬化性樹脂とし
て、具体的には含浸樹脂の説明で例示した樹脂が用いら
れる。接着剤層8の樹脂として好ましい樹脂は、含浸樹
脂と反応して架橋可能な樹脂であり、例えば、尿素系、
2液ウレタン系等が挙げられる。また接着剤層8の厚み
(塗工量)は10〜100g/m2 が好ましい。
【0039】化粧板1を製造する場合、含浸樹脂又は接
着剤層の樹脂のいずれかに電離放射線硬化性樹脂を用い
た場合、電離放射線照射装置が用いられる。電離放射線
照射装置は、電離放射線として紫外線を照射する場合、
超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアー
ク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の
光源が用いられ、又、電子線を照射する場合には、コッ
クロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、
絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン
型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いる。尚、電
子線を照射する場合、通常100〜1000keV、好
ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子
を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射して硬化さ
せるのが化粧紙(原紙等)の劣化を防止する点から好ま
しい。
【0040】又、各層に熱硬化性樹脂を用いた場合の硬
化装置は、各種の加熱手段を備えた装置が用いられ、例
えば、赤外線照射、温風吹付、加熱ローラーからの熱伝
導等の公知の装置が上げられる。
【0041】プレコート紙7を基板9へ積層するには、
ロールラミネート、プレスラミネート等の方法が用いら
れる。好ましい積層方法は、より含浸する点からプレス
ラミネートである。
【0042】本発明のプレコート紙を利用した化粧板
は、トップコート層6に該層の硬化性樹脂よりも高硬度
の球状粒子10が含有されていることが好ましい。その
ためには含浸樹脂に該球状粒子を含有せしめればよい。
球状粒子10は、真球状、あるいは球を偏平にした楕円
球状ならびに該真球や楕円球状に近い形状等のように、
表面が滑らかな曲面で囲まれていればよい。球状粒子1
0は、特に粒子表面に突起や角のない、いわゆるカッテ
ィングエッジのない球状が好ましい。
【0043】球状粒子10を含浸樹脂の塗工組成物に含
有せしめる量は、球状粒子10が硬化後のトップコート
層において、硬化性樹脂からなるバインダー成分100
重量部に対し5〜20重量部となるように塗工組成物を
調整するのが好ましい。
【0044】球状粒子10の粒子径は、通常0.1〜1
00μm(平均粒径)のものが使用可能である。球状粒
子10の粒子径が小さくなると耐摩耗性は低下し、一
方、粒子径が大きくなると耐摩耗性が向上するが、粒子
径が大きくなりすぎると、塗工の際の均一な塗工が困難
になる。又、好ましい球状粒子10の粒子径はトップコ
ート層6の厚みによっても異なり、例えば、トップコー
ト層6の厚みを10〜30μmに形成する場合には、球
状粒子10の粒子径は10〜50μmの範囲が好まし
く、更に好ましくは10〜30μmである。
【0045】球状粒子10の材質は含浸樹脂に用いられ
る硬化性樹脂よりも高硬度であればよく、無機粒子及び
有機樹脂粒子のいずれも用いることができる。球状粒子
10の硬化性樹脂との硬度の差は、硬度はモース硬度、
ビッカース硬度等の方法で計測され、例えばモース硬度
で表した場合1以上あるのが好ましい。
【0046】球状粒子10の具体的な材質として、α−
アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモン
ド、黒鉛等の無機粒子、及び、架橋アクリル等の合成樹
脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。特に好ましい
球状粒子10として、非常に硬度が高く耐摩耗性に対す
る効果が大きいこと、及び球形状のものが比較的容易に
得やすい等の理由から、球形のα−アルミナを挙げるこ
とができる。
【0047】球形のα−アルミナは、特開平2−552
69号公報に記載されているように、アルミナ水和物、
ハロゲン化合物、硼素化合物等の鉱化剤あるいは結晶剤
を、電融アルミナあるいは焼結アルミナの粉砕品に少量
添加し、1400℃以上の温度で2時間以上熱処理する
ことで、アルミナ中のカッティングエッジが減少し同時
に形状が球形化したものが得られる。このような球形状
のアルミナは、昭和電工(株)より「球状アルミナ(S
pherical Alumina)AS−10、AS
−20、AS−30、AS−40、AS−50」として
各種の平均粒子径のものが市販されている。
【0048】球状粒子10は、その粒子表面を処理する
ことができる。例えばステアリン酸等の脂肪酸で処理す
ることで分散性が向上する。又、表面をシランカップリ
ング剤で処理することで、バインダーとして使用する硬
化性樹脂との間の密着性や塗工組成物中での粒子の分散
性が向上する。シランカップリング剤としては、分子中
にビニルやメタクリル等のラジカル重合性不飽和結合を
有するアルコキシシランや、分子中にエポキシ、アミ
ノ、メルカプト等の官能基を有するアルコキシシランが
挙げられる。シランカップリング剤は、球状粒子と共に
使用する硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択できる。
【0049】球状粒子10の表面を処理するシランカッ
プリング剤は、例えば含浸樹脂として(メタ)アクリレ
ート等の電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、ラジ
カル重合性不飽和結合を有するアルコキシシランを用い
る。又、含浸樹脂が二液硬化型のウレタン樹脂を用いた
場合には、エポキシ基やアミノ基を有するアルコキシシ
ランを用いる。このように、シランカップリング剤は、
の硬化性樹脂に応じてラジカル重合性不飽和結合や官能
基の種類等を選択することが好ましい。
【0050】ラジカル重合性不飽和結合を有するアルコ
キシシランとして具体的には、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
ジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
ジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシランなどの分子中にラジカル
重合性不飽和結合を有するアルコキシシランや、分子中
にエポキシ、アミノ、メルカプト等の官能基を有するア
ルコキシシラン等がある。
【0051】球状粒子10の表面をシランカップリング
剤で処理する方法は、特に制限はなく、公知の方法が使
用できる。例えば、乾式法として球状粒子10を激しく
かくはんしながら所定量のシランカップリング剤を吹き
つける方法や、湿式法としてトルエン等の溶剤中に球状
粒子10を分散させた後に、所定量のシランカップリン
グ剤を加え反応させる方法が挙げられる。
【0052】球状粒子に対するシランカップリング剤の
処理量(所要量)は、球状粒子の比表面積100に対し
てシランカップリング剤の最小被覆面積が10以上とな
る処理量が好ましい。球状粒子の最小被覆面積が球状粒
子の比表面積100に対して10未満の場合はあまり効
果がない。
【0053】含浸樹脂は、その架橋密度が高くなるほど
耐摩耗性は向上するが、柔軟性(可撓性)は低下する。
そのため硬化性樹脂の架橋密度は、化粧板の用途等によ
って耐摩耗性と柔軟性に応じて適宜選定するのが好まし
い。含浸樹脂に柔軟性を持たせることで、化粧板1とし
て成形された後に、表面の感触に優れ、表面に対する強
い衝撃等による割れを防止できる。含浸樹脂の架橋密度
は、硬化性樹脂が多成分のプレポリマー、オリゴマー、
モノマー等を混合して構成される場合、下記の数1に示
す平均架橋間分子量で表すことができる。
【0056】
【数1】 平均架橋間分子量=全体の分子量/架橋点の数・・・・・・・・・・〔1〕 但し、上記〔1〕式において、全体の分子量は、Σ(各
成分の配合モル数×各成分の分子量)であり、架橋点の
数は、Σ[{(各成分の官能基数−1)×2}×各成分
のモル数]である。
【0057】含浸樹脂に関して、平均架橋間分子量と塗
膜の耐摩耗性と可撓性の関係をみた実験例を下記の表1
に示した。表1は、硬化性樹脂をウレタンアクリレート
オリゴマーと2種類のアクリレートモノマーとの3成分
から構成し各成分の混合比を変えて平均架橋間分子量を
異ならしめ、塗布量25g/m2 として塗工したものを
硬化させた場合の耐摩耗性と可撓性を比較したものであ
る。
【0058】表1の耐摩耗性試験はJIS K6902
に準じて行い樹脂層の厚みが半分になるまでの回数を示
した。また可撓性は、硬化した硬化性樹脂が非常に柔軟
であるのを◎、良好を○、やや柔軟性が低いのを△、柔
軟性がかなり低いものを×で示した。
【0059】尚、上記の塗膜組成物中に、実験No.1
〜5は球状粒子としてA:平均粒径30μmの球状のα
−アルミナを硬化性樹脂100重量部に対し11重量部
添加し、実験No.6は球状粒子を用いずにB:平均粒
子径30μmの不定形のカドを有する従来型のα−アル
ミナを同量添加したものである。
【0060】
【表1】
【0061】表1の樹脂系では、平均架橋間分子量は1
00〜1000の範囲で用いることができるが、より好
ましくは100〜700である。トップコート層6に柔
軟性が要求される場合、平均架橋間分子量が300〜7
00のものを用いた場合には、柔軟性及び耐摩耗性とも
に良好なトップコート層6が得られる。
【0062】又、含浸樹脂の平均架橋間分子量が小さい
程(即ち、架橋密度が大きい)、バインダーとしての硬
化性樹脂が球状粒子10をしっかりと保持し、耐摩耗性
が更に向上することを示すものである。従って、可撓性
を損なわない範囲で硬化性樹脂の平均架橋間分子量を小
さく調節することで、更に耐摩耗性を向上させることが
できる。
【0063】〔参考例〕現在市販されている一般的な各
種化粧材について、上記実験例と同様にして耐摩耗性試
験を行った結果を、参考例として下記の表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】高硬度の球状粒子10を含浸樹脂に含有せ
しめることで、更に耐摩耗性が向上する。また、球状粒
子10は、不定形粒子と比較して、トップコート層の耐
摩耗性が向上するにも係わらず、それ自身は他の物を摩
耗させにくいため、含浸樹脂の塗工時のローラーやブレ
ード等を摩耗させず、トップコート層として硬化された
後に該層の表面と接触する物体を摩耗させないという利
点がある。また、球状粒子10の、耐摩耗性を大きく向
上させ、塗工装置を摩耗させず、硬化塗膜と接する他の
物を摩耗させないといった特徴は、カッティングエッジ
がない場合特に効果が大きい。これらの理由について以
下に述べる。
【0066】化粧材に限らず一般的に表面の樹脂層の耐
摩耗性を改良する手段として、硬い粒子を添加すること
は、従来から行われている。例えば特開昭60−234
62号公報には、従来からサンドブラスト法やブラシ研
磨法等の研磨剤として使用されていた平均粒子径が約1
〜50μmのSiO2 及びAl2 3 を主成分とする天
然ガラスの粉末を配合した塗料を用いて表面樹脂層を構
成することが開示されている。上記の塗料は優れた硬度
の被膜を形成し、摩擦や引っかき力等に対して優れた耐
久性を与えるとされている。
【0067】また、表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上さ
せる目的で、電離放射線硬化型樹脂に該樹脂100重量
部当たり10〜30重量部の粒径1〜5μmのα−アル
ミナ粉体を添加して構成した樹脂層を、転写シートの転
写後に被転写体の表面に位置する表面保護層として構成
した転写シートを本願出願人は先に出願している(特開
平3−76698号公報)。
【0068】しかしながら、上記のα−アルミナや天然
ガラスの粉末等の無機材料を添加した塗料を用いて化粧
材とした場合、化粧材の耐摩耗性は無機材料を添加しな
いものと比較して向上するものの、いまだ不十分なもの
である。特に、床面に使用される化粧材のように高い耐
摩耗性が要求される場合には、更に優れた耐摩耗性が望
まれている。
【0069】また、含浸樹脂の組成物を含浸する際、グ
ラビアロールコートを用いる場合にはグラビアロールや
ドクターブレードが上記塗料と直接接するが、α−アル
ミナは菱面晶系の結晶であり、塗料に研削材や研磨材等
として利用されるα−アルミナや天然ガラスの粉末等は
不定形、乃至は多角形状のカドの尖った形状の為、グラ
ビアロールやドクターブレードを摩耗させたり傷を付け
たりする。
【0070】また、球状のα−アルミナを用いずに不定
形のα−アルミナの様な粉末を添加した塗膜は、白濁し
て透明性が低下し化粧材の意匠が充分に生かせない。更
に、硬質で多角形状の粉末を添加した塗膜は、手触り感
が荒く、又、靴等のそれに隣する物体を摩耗させてしま
う欠点がある。
【0071】図3は本発明の化粧板の作用を説明するた
めの図であり、同図(a)は球状粒子を用いたトップコ
ート層の表面に応力が加わった場合の表面付近を拡大し
た状態を表し、また同図(b)は従来の不定形乃至多角
形状粒子を用いたトップコート層の表面に応力が加わっ
た場合の表面付近を拡大した状態を表している。
【0072】同図(a)に示すように球状粒子が添加さ
れたトップコート層を有する化粧板の表面に他の接触物
11により応力が加わった場合、トップコート層6の球
状粒子10は滑らかな表面を有するため、該粒子10の
表面を接触物11がすべり易く、応力が分散される。従
って、バインダーとしての硬化性樹脂から球状粒子10
が脱落したりする虞れがない。
【0073】そのため化粧板のトップコート層は滑りが
よく耐摩耗性が著しく向上する。これに対し、同図
(b)に示すように従来の不定形粒子12を使用した場
合には、該粒子12の表面の突起状に形成された部分に
接触物11が引っ掛かり応力が加わり易くなって、不定
形粒子12は硬化性樹脂から脱落し易い。
【0074】また、トップコート層6の球状粒子10は
不定形粒子11と比較してぞうきんがけ等の際に引っ掛
かる虞れがなく、他の接触物の表面を傷つけたり、摩耗
させたりすることがない。
【0075】又、熱可塑性樹脂のような非架橋性樹脂で
ある軟質の樹脂に、それより格段に硬い粒子を添加分散
させた場合は、粒子外力が加わった際に、樹脂が硬質粒
子により破壊されて脱落したり、或いは摩耗物に引きず
られて鍬が畑を耕す如く樹脂表面を傷つける作用をな
し、耐摩耗性は期待した程向上しない。
【0076】これに対し、バインダー樹脂として硬化性
樹脂を用いているため強度が高く此のような硬質粒子の
脱落、傷付けを起こさず、よって著しく塗膜の耐摩耗性
を向上させることができる。
【0077】更に、同図(b)に示すように、従来の不
定形粒子11を使用したトップコート層6は、不定形粒
子10の周囲に空隙13等が存在し易くなるが、球状粒
子の場合にはそのような空隙13は発生しにくい。従っ
て、トップコート層には空気の層ができにくく、表面が
白化しないので意匠性を低下させない。また、隙間がで
きないことはバインダーの硬化性樹脂との結合強度も強
まり上記の耐摩耗性の向上にも寄与している。
【0078】
〔塗工条件〕
・温度 150°C ・ラインスピード 10m/min ・塗工組成物の粘度 200cps
【0079】 〔組成A:含浸樹脂の組成〕 ・電子線硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー 20重量部 ・アクリルポリオール樹脂 20重量部 ・酢酸エチル 30重量部 ・トルエン 30重量部
【0080】得られた化粧板は、トップコート層と含浸
樹脂層との間及び、含浸樹脂層と接着剤層との間の層間
強度に優れたものであり、又、プレコート紙形成の際に
含浸樹脂が常温で固体状であるため、安定した含浸作業
を行うことができ作業性が良好であった。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明の化粧板は、
過剰の含浸樹脂からなるトップコート層が設けられてな
るプレコート紙を用い、該プレコート紙の含浸樹脂層に
接着剤層を介して化粧板に基板が積層一体化された化粧
板であって、上記含浸樹脂層及び接着剤層の樹脂が互い
に反応する反応基を有する硬化性樹脂であり、上記プレ
コート紙の含浸樹脂層及びトップコート層は完全に硬化
しない状態であり、常温で非流動性且つ非粘着性に形成
され、上記プレコート紙の含浸樹脂層が未硬化の接着剤
層と接触せしめられた後各層を完全に硬化させてプレコ
ート化粧紙と基板とが積層一体化されているものである
から、トップコート層と含浸樹脂層の界面は実質的に境
界はなく完全に一体に形成され、しかも含浸樹脂層と接
着剤層との界面は樹脂含浸紙の樹脂が完全に硬化しない
状態で樹脂含浸紙に接着剤層がよくなじんだ状態で硬化
しているため、層間強度の良好な化粧板が得られる。
【0083】更に、本発明化粧板は過剰の硬化性樹脂を
含浸させてトップコート層を形成させるため通常の樹脂
含浸と比較して含浸樹脂の含浸量が多いが、この含浸樹
脂として乾燥又は冷却後に指触乾燥性を有する樹脂を用
いたことにより、プレコート紙を製造する際に製造ライ
ンのガイドロール等を汚染する虞れはない。また、含浸
樹脂は、乾燥又は冷却後は固体状に形成されるため、含
浸樹脂の塗工組成物の粘度が多少低くても塗工組成物が
含浸紙の裏面から流落して含浸量やトップコート層の厚
みが不安定になる虞れがなく、品質の安定した化粧板を
容易に製造することができる。
【0084】更に、化粧板の製造の際に、特殊な製造装
置や含浸樹脂を保持するためのフィルム等が不要であ
り、製造する際に幅広い製造方法に対応することができ
る。又、プレコート紙を製造する工程と、該プレコート
紙を基板に積層する工程とを別々のラインに分けて行う
ことができ、またプレコート化粧紙をまとめて製造して
おいて保存することも可能であり、生産ラインを自由に
設計することがてきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の1例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の化粧板の製造方法の1例を示す工程図
である。
【図3】本発明の化粧板の作用を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 プレコート紙を利用した化粧板 2 化粧紙原紙 3 含浸樹脂層 5 樹脂含浸紙 6 トップコート層 7 プレコート紙 8 接着剤層 9 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 5/24 CEY C08J 5/24 CEY E04F 13/18 8913−2E E04F 13/18 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化粧紙原紙に硬化性樹脂を含浸して含浸
    樹脂層を形成すると共に該含浸樹脂層表面に過剰の含浸
    樹脂からなるトップコート層が設けられてなるプレコー
    ト紙を用い、該プレコート紙の含浸樹脂層に接着剤層を
    介して化粧板の基板が積層一体化された化粧板であっ
    て、上記含浸樹脂層及び接着剤層の樹脂が互いに反応す
    る反応基を有する硬化性樹脂であり、上記プレコート紙
    の含浸樹脂層及びトップコート層は完全に硬化しない状
    態であり、常温で非流動性且つ非粘着性に形成され、上
    記プレコート紙の含浸樹脂層を未硬化の接着剤層と接触
    させた後、トップコート層、含浸樹脂層及び接着剤層を
    完全に硬化せしめて、プレコート紙と基板とが積層一体
    化されているものであることを特徴とするプレコート紙
    を利用した化粧板。
  2. 【請求項2】 トップコート層に該層の硬化性樹脂より
    も高硬度の球状粒子が含有せしめられている請求項1記
    載のプレコート紙を利用した化粧板。
  3. 【請求項3】 トップコート層の硬化性樹脂の平均架橋
    間分子量が100〜1000である請求項1又は2記載
    のプレコート紙を利用した化粧板。
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