JPH09184393A - 断面積の異なる地下構造物の施工方法 - Google Patents

断面積の異なる地下構造物の施工方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】必要とする用地を最小限に抑え、仮設工事に要
する時間や経費を大幅に低減できる、断面積の異なる地
下構造物の施工方法を提供することを目的とする。 【解決手段】断面積の大きいシールド掘進機を親機とし
て使用し、それよりも断面積の小さいシールド掘進機を
子機として使用し、地下構造物の断面の大きい部分では
内部に子機を収納した親機によって掘進を行い、地下構
造物の断面の小さい部分では親機から子機を発進して子
機のみによって掘進を行い、再び断面の大きい部分では
親機を待機させ、待機している親機の内部に子機を進入
させ、内部に子機を収納した親機によって掘進を行う、
断面積の異なる地下構造物の施工方法を特徴としたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断面積の異なる地
下構造物の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地下構造物の目的によっては、その断面
積が一定ではなく、途中で断面積が異なる地下構造物が
存在する。例えば地下鉄の場合、線路部では断面積が小
さく、駅部では大きくなり、再び路線部では断面積が小
さくなる。地下鉄の施工ではこのようなパターンが繰り
返すことになる。こうした施工する場合に、従来は線路
部分はシールド掘進機によってトンネルとして施工し、
断面の大きい駅部は地上から開削して施工する方法が一
般的であった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】前記した従来の断面
積の異なる地下構造物の施工方法にあっては、次のよう
な問題点がある。 <イ>駅部においては周辺に連壁を構築し、駅部分の全
部を開削し、その上部に覆工板を被せて保護した状態で
交通に提供しなければならない。そのような仮設作業に
多大の経費を必要とした。 <ロ>開削するために広い用地が必要となり、都市部で
の工事には多くの制約があった。 <ハ>掘削量が多くなり、交通に支障を与え、さらに仮
設工事中の埋設物の移動やその防護措置が必要となり、
工期が長くなって不経済であった。
【0004】本発明は上記したような従来の問題を解決
するためになされたもので、必要とする用地を最小限に
抑え、仮設工事に要する時間や経費を大幅に低減でき
る、断面積の異なる地下構造物の施工方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、本発明の断面積の異なる地下構造物の施工
方法は、断面積の大きいシールド掘進機を親機として使
用し、それよりも断面積の小さいシールド掘進機を子機
として使用し、地下構造物の断面の大きい部分では内部
に子機を収納した親機によって掘進を行い、地下構造物
の断面の小さい部分では親機から子機を発進して子機の
みによって掘進を行い、再び断面の大きい部分では親機
を待機させ、待機している親機の内部に子機を進入さ
せ、内部に子機を収納した親機によって掘進を行う、断
面積の異なる地下構造物の施工方法を特徴としたもので
ある。
【0006】
【本発明の実施の態様】以下図面を参照しながら本発明
の断面積の異なる地下構造物の施工方法の実施例につい
て説明するが、説明を分かりやすくするために地下鉄の
施工を例として説明する。ただし本発明は地下鉄の施工
に限られるものではなく、地下道路、下水道、地下貯水
池、地下街、その他の地下構造物の施工にそのまま利用
できる。また、現在は各種の形状を掘進できるシールド
掘進機が開発され、実用に供されているから、その用途
にしたがって円形断面に限らず、楕円形、卵型、矩形、
瓢箪型、など地下構造物を構築することができる。
【0007】<イ>親機 地下鉄の駅部の断面積とほぼ等しい断面積のシールド掘
進機を親機1として使用する。親機1の内部の構造は、
従来公知のシールド掘進機とほぼ同様であり、シールド
ジャッキによって、後方に組み立てたセグメントに反力
を取って前進する構成である。そして前面には掘削用の
カッターを設けてある。ただし本発明の親機1は、特に
内部に子機2を収納するだけの貫通路11が形成してあ
る。この貫通路11の形状は、親機1の前端から後端ま
で貫通した通路であり、その内部形状は子機2の形状と
同一である。したがって子機2が円柱状である場合には
貫通路11は円柱状の空間となる。そして貫通路11の
端面は、親機1の前面に解放してある。したがって、掘
削用のカッターの形状も、完全な円盤状ではなく、中央
部に貫通路11と同一の寸法の窓を解放した、環状カッ
ター12を使用する。
【0008】<ロ>子機2 地下鉄の線路部の断面積とほぼ等しい断面積のシールド
掘進機を子機2として使用する。すなわち子機2の外形
寸法は、線路部の断面積とほぼ等しく、かつその寸法が
親機1の貫通路11の内径寸法と等しい。この子機2の
内部の構造は、従来公知のシールド掘進機とほぼ同様で
あり、シールドジャッキによって、後方に組み立てたセ
グメントに反力を取って前進する構成である。そして前
面には掘削用のカッター21を設けてある。このカッタ
ー21は円盤状であり、したがって親機1の環状のカッ
ター12の内部に嵌合して一体となって回転することが
可能である。この子機2は、それ自体のジャッキを使用
し、後方には子機2の寸法に合致した寸法のセグメント
を組み立てる。そしてこの子機2用のセグメントに反力
を取って、親機1とは独立して前進することが可能であ
る。
【0009】<ハ>駅部の施工 駅部の直径は、線路部よりも大きい。そこで駅部の区間
では、内部に子機2を収納した親機1によって掘進を行
う。その際には親機1の環状のカッター12の内側空間
に、子機2の円盤カッター21が嵌合して一体となって
回転、掘削を行うことができる。
【0010】<ニ>駅部から線路部へ。 駅部の終端部分には縦坑を構築しておく。したがって親
機1によって駅部の終端まで施工が完了したら、縦坑3
内に進入することになる。そこで断面の小さい線路部の
掘進に切り替わる。そのために、縦坑3内で親機1の掘
進を停止し、その内部の貫通路11から子機2を発進さ
せる。発進のためには反力を取るセグメント群が必要な
ので、親機1の内部に反力受けを設置し、セグメントを
組み立て、そのセグメントをジャッキで押すことによっ
て子機2を発進させる。そして次の駅部までの間の線路
部の区間では親機1から発進した子機2のみによって掘
進を行う。
【0011】<ホ>親機1の待機。 一方、縦坑3内には貫通路11から子機2の抜け出した
親機1だけが残される。そこで親機1を地上に引上げ
る。こうして地上に引き上げた親機1は、地上を運搬す
る。そして、次の駅部の端に開設した縦坑3内に吊り下
ろして子機の到着まで待機させる。このように、子機2
の抜け出した親機1は、順次縦坑3を転送して待機させ
る。なお、子機の抜け出した親機1をそのまま運搬する
のではなく、いったん複数に分割して運搬し、次の縦坑
3において再度組み立てた後に待機させる方法を採用す
ることも可能である。(図6)
【0012】<ヘ>子機2の進入。 線路部を掘進してきた子機2は、駅部の縦坑3に到達す
る。そして縦坑3内で待機している親機1の貫通路11
の内部に子機2を進入させる。その結果、親機1と子機
2とはただちに一体となるから、内部に子機2を収納し
た親機1によって直径の大きい駅部の掘進を行う。この
ように断面積の変化に応じて、ただちに対応することが
できる。駅部以降にまた断面積の小さい路線部に入れ
ば、子機2を親機1から抜き出し、同様の作業の繰り返
しによって施工してゆく。
【0013】<ト>他の用途への利用。 以上は、円形断面の地下鉄の施工を例として説明した。
しかし前記したように、断面は円形である必要はなく、
現在すでに非円形の各種のシールド掘進機が開発、実施
されているから、それらのシールド掘進機を使用するこ
とができる。さらに地下鉄の駅部と線路部との施工を例
として説明したが、地下鉄に限らず、断面積の変化す
る、各種の地下構造物の施工にもそのまま利用できる。
【0014】<チ>他の形状の利用例。 親機と子機は、次のように各種の形状の組み合わせを利
用することができる。ただし、コピーカッター、スイン
グカッター、遊星カッター、などを利用して、楕円形、
矩形、卵形、馬蹄形、などの変形断面のトンネルを掘削
する技術、装置は公知であるから、特に変形断面の掘削
装置については詳細に説明しない。
【0015】 親機の形状 子機の形状 説明図 円形 楕円形 図7 楕円形 円形 図8 円形 矩形 図9 矩形 円形 図10 矩形 矩形 図11 楕円形 楕円形 図12 三日月形 円形 図13 楕円形 円形2本 図14 円形 円形(同心円ではない) 図15
【0016】
【本発明の効果】本発明の断面積の異なる地下構造物の
施工方法は以上説明したようになるから次のような効果
を得ることができる。 <イ>1台の親機1と、その内部に収納可能な1台の子
機2によって、断面が繰り返し変化する地下構造物の施
工が可能である。したがってきわめて経済的な施工を行
うことができる。 <ロ>一部を地上から開削して行う施工方法に比較し
て、狭い縦坑3を設置するだけで断面の変化に対応する
ことができる。したがって、用地の使用に多くの制限が
加わる都市部での施工には特に適している。 <ハ>子機2の到達する縦坑3で、親機1を待機させ、
子機2を親機1の貫通路11に収納したのちに親機1、
子機2が一体で掘進してゆく方法である。したがって親
機1と子機2の合体、および親機1から子機2の分離の
作業が容易であり、特別な作業を必要とせず、施工能率
の高いものである。 <ニ>待機している親機の内部に子機が進入することで
ただちに大断面のトンネルの掘進を開始することがで
き、親機から子機が抜け出すだけで、ただちに小断面の
トンネルの掘進を開始することができる。 このような効果が得られるのは、特に親機が子機の到着
を待機している構成を採用し、親機への子機の挿入、抜
け出しによって施工する方法を採用したからである。他
の方法によっては本発明のように迅速に断面の変化に対
応することはできない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断面積の異なる地下構造物の施工方法
において、親機を転送する状態の実施例の説明図。
【図2】親機から子機が発進する状態の説明図。
【図3】施工順序の説明図。
【図4】施工順序の説明図。
【図5】施工順序の説明図。
【図6】他の実施例の説明図
【図7】他の実施例の説明図
【図8】他の実施例の説明図
【図9】他の実施例の説明図
【図10】他の実施例の説明図
【図11】他の実施例の説明図
【図12】他の実施例の説明図
【図13】他の実施例の説明図
【図14】他の実施例の説明図
【図15】他の実施例の説明図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】断面積の大きいシールド掘進機を親機とし
    て使用し、 それよりも断面積の小さいシールド掘進機を子機として
    使用し、 地下構造物の断面の大きい部分では内部に子機を収納し
    た親機によって掘進を行い、 地下構造物の断面の小さい部分では親機から子機を発進
    して子機のみによって掘進を行い、 再び断面の大きい部分では親機を待機させ、 待機している親機の内部に子機を進入させ、 内部に子機を収納した親機によって掘進を行う、 断面積の異なる地下構造物の施工方法
  2. 【請求項2】断面積の大きいシールド掘進機を親機とし
    て使用し、 それよりも断面積の小さいシールド掘進機を子機として
    使用し、 地下構造物の断面の変化する位置には縦坑を開口し、 地下構造物の断面の大きい部分では内部に子機を収納し
    た親機によって掘進を行い、 地下構造物の断面の小さい部分では親機から子機を発進
    して子機のみによって掘進を行い、 子機の抜け出した親機は次の断面の大きい部分で待機さ
    せ、 待機している親機の内部に子機を進入させ、 内部に子機を収納した親機によって断面の大きい部分の
    掘進を行う、 断面積の異なる地下構造物の施工方法
  3. 【請求項3】断面積の大きいシールド掘進機を親機とし
    て使用し、 それよりも断面積の小さいシールド掘進機を子機として
    使用し、 地下構造物の断面の変化する位置には縦坑を開口し、 地下構造物の断面の大きい部分では内部に子機を収納し
    た親機によって掘進を行い、 地下構造物の断面の小さい部分では親機から子機を発進
    して子機のみによって掘進を行い、 子機の抜け出した親機は分割して運搬し、次の断面の大
    きい部分で再度組み立てた後に待機させ、 待機している親機の内部に子機を進入させ、 内部に子機を収納した親機によって断面の大きい部分の
    掘進を行う、 断面積の異なる地下構造物の施工方法
  4. 【請求項4】地下鉄の駅部の断面積とほぼ等しい断面積
    のシールド掘進機を親機として使用し、 地下鉄の線路部の断面積とほぼ等しい断面積のシールド
    掘進機を子機として使用し、 駅部の区間では、内部に子機を収納した親機によって掘
    進を行い、 線路部の区間では親機から子機を発進して子機のみによ
    って掘進を行い、 子機の抜け出した親機は地上に引上げ、 引き上げた親機は次の駅部に吊り下ろして待機させ、 待機している親機の内部に子機を進入させ、 内部に子機を収納した親機によって駅部の掘進を行う、 断面積の異なる地下構造物の施工方法
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