JPH09184284A - 急勾配長尺屋根材の施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】人力による屋根材の横持ち作業や足場の盛り替
えをなくし、降雨後の滑りや転倒を防止し、安全に、能
率よく急勾配長尺屋根材を施工する。 【解決手段】長尺屋根材１０を係着する吊り治具２０に
多数の長尺屋根材１０を一枚づつ取り外し可能に取付け
て吊上げ、Ｘ、Ｙ、Ｚ方向に移動可能な作業篭３１に乗
った作業員３２が屋根材１０を１枚づつ順次取り外して
屋根上に取付けるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、急勾配を有する長
尺屋根材の施工方法に関し、さらに詳しくは、例えばト
ラベリング工法等のように１つの位置に仮設組立作業上
屋を設け、この上屋内で天井クレーンを用いて能率的に
建築物の鉄骨組立、屋根葺きを施工し、施工した建築物
を順次移動させる場合などに特に優れた効果を発揮する
技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、急勾配を有する長尺屋根材を用い
て建築物の屋根を葺く場合には、ある程度の数量の屋根
材をまとめてクレーンによって建築物上に吊り上げ、作
業足場上の作業員が屋根材を一枚づつ横持ちして所定位
置に取付けていた。また、勾配の大きな屋根では、転落
防止用の足場を設けているが、足場上の作業は安全性の
面で問題がある。

【０００３】一方、鉄骨構造の建築物を、間欠的に横方
向に牽引し移動させながら一定位置で順次組立てて建築
物を建設するいわゆるトラベリング工法が知られてい
る。例えば特開昭６３−１９７７３９号、特開平２−９
１３３９号等に開示されている。この工法は、体育館や
工場、市場などの大空間構造物の上部架構（屋根・梁な
ど）を施工する際、一定位置で架構を単位架構ずつ組立
てた後、順次滑動横引して、最終的に架構全体をが組上
げる工法である。この工法は、建設すべき建築物の周囲
に作業用の空間が十分に取れない場合などに有効な工法
である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は急勾配長尺屋
根材の施工方法における次の課題を解決することを目的
とするものである。 （ａ）建築物の骨組上で、人力によって屋根材の横持ち
作業を行う従来技術では、足場を順次盛り替えて行かな
ければならない。本発明は、このような作業を廃止し、
作業工程を合理化する。 （ｂ）急勾配を有する屋根は、足元に勾配がついてお
り、安全性に問題があるのでこれを解決する。 （ｃ）屋根材を、一度屋根上に引き上げ、再度横持ちす
る作業を必要とする従来の工程を改善する。 （ｄ）天候の悪い時には作業ができず、また、降雨後に
水が残っていると滑り、転倒する恐れがあるのでこれを
避ける。

【０００５】本発明は、特に、トラベリング工法を用い
る建築物の施工の場合等に、急勾配を有する長尺屋根材
の屋根葺きを安全に、能率よく施工する技術を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、次の技術手段を講じたことを特徴とす
る。すなわち、本発明は、急勾配を有する長尺屋根材を
施工するに当たり、長尺屋根材を係着する吊り治具に多
数の長尺屋根材を一枚づつ取り外し可能に取付けて吊上
げ、Ｘ、Ｙ、Ｚ方向に移動可能な作業篭に乗った作業員
が屋根材を１枚づつ順次前記つり治具から取り外して屋
根上に取付けることを特徴とする急勾配長尺屋根材の施
工方法である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図５にトラベリング工法を示す説明
図を示した。作業用上家１００内で建築物１１０を順次
組立て、矢印１２０方向にこれを牽引移動させて建築物
１１０を建設する。建築物１１０は骨組１１１を順次組
立て、屋根施工位置１１２で屋根材１１３を骨組上に施
工する。

【０００８】作業用上家１００の架構は建築物１１０の
骨組１１１をすっぽりと覆い、作業用上屋１００と建築
物１０との間には、屋根材１０の吊り治具２０、屋根材
１０及び作業篭３１が入るだけのクリアランスを有する
ものとする。屋根材１０は図５の向かって左側に示すよ
うに、片側妻側付近で吊り治具２０に取付け、クレーン
で吊り上げ、屋根工事エリア１１２まで横持ちする。

【０００９】本発明は、図５に示すようなトラベリング
工法を用いる場合に極めて好適に用いることができるも
のである。トラベリング工法は、建築物の桁行方向の単
位架構ずつの連結を同一のヤード位置で施工し、連結さ
れた架構を順次牽引移動させる工法で、架構組立のため
の仮設設備を１か所に集約し、鉄骨建方、屋根工事等を
一定の場所にて流れ作業により行い、建築物を能率的に
建設する工法である。このようなトラベリング工法は、
例えば、全天候型仮設上家１００内で仮設上家の架構に
クレーン等を設置することによって、天候に左右され
ず、計画的な建設工程の実施が可能となるため、全体工
程の短縮、クレーン等の使用数の削減、工事の合理化等
コスト削減に寄与するものである。

【００１０】図４は吊り治具と屋根材取付治具の一例の
説明図である。図４は図５の向って左端において吊り治
具２０に多数の屋根材１０を取付ける工程を示す平面図
である。屋根材１０の全体形状と類似する形状の吊り治
具２０に多数の屋根材１０を１枚づつ取外しできるよう
に取付ける。図４の例では、吊り治具２０に多数のスト
リング２１が取付けられている。このストリング２１で
屋根材１０を１枚ずつ取付ける。ストリング２１は例え
ば図６、図７に示すように平ベルト状をなし、これを挟
むくさび形の留め具２２をテーパ孔２５を有する留め金
物２４のテーパ孔に挿入することによって、簡単に任意
位置で固定することができる。この固定は被固定材であ
る屋根材１０の重力によって固定位置を保ち、固定解放
用引き手２３を引張ると容易に固定を解除することがで
きる。

【００１１】図４に平面図を示すように地上で吊り治具
２０に多数の長尺屋根材１０を一枚づつ取り外し可能に
取付け、次いで吊り治具２０を起こし上げて吊り上げ、
図５に示すような走行クレーンにて屋根施工位置１１２
に運搬し骨組上に近接させる。図２は本発明方法を説明
する正面図であって、この状態を示している。図３は作
業要領図であって、図１はその詳細を示す説明図であ
る。吊り治具２０に並設した別のクレーン３０の吊り作
業篭３１に作業員３２を乗せ、作業篭３１を上下左右に
移動させ、作業員３２が屋根材を１枚づつ吊り治具から
取り外して建築物１１０の屋根上に取付ける。これをさ
らに詳しく説明すると、多数の長尺屋根材１０を１枚づ
つ取外し可能に吊り治具２０に取付け、天井クレーン４
０により建築物１１０の上方に吊上げて矢印４１方向に
移動する。この天井クレーン４０とは別の天井クレーン
３０は作業員３２を乗せた作業篭３１を矢印３３、３４
方向および上下方向に移動させ、作業員３２が屋根材１
１０を１枚づつ取外して建築物１１０上に取付ける。作
業員３２は足場上などで作業を行うのではなく、移動自
在な作業篭に乗って安全に作業を行い、順次隣接部に移
動しながら上記作業を繰り返し行う。

【００１２】図７に示すように、引き手２３を引く等の
簡単な作業により屋根材を吊り治具よりはづす。これを
順次矢印４１方向に進める。またそれを追いかけるよう
にＸ、Ｙ方向に移動するクレーン３０に吊下げた作業篭
３１に乗ってボルトを締めを進めて行く。また吊り治具
２０は建築物１１０の頂端に先ず接し、屋根材の中央部
より端部方向に向って順番にセットして行くような形状
の治具としておくと好ましい。例えば図２に示すアーチ
屋根の場合、アーチの曲率半径よりも吊り治具２０の曲
率半径を大にしておくと、アーチの頂端から順次接する
ので作業が容易となる。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、急勾配を有する長尺屋
根材の施工を安全に、合理的に施工することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の屋根材取付工程の説明図である。

【図２】実施例の組立工程の側面図である。

【図３】実施例の組立工程の側面図である。

【図４】吊り治具に屋根材を取付ける工程の説明図であ
る。

【図５】トラベリング工法の説明図である。

【図６】ストリングの留め構造の説明図である。

【図７】ストリングの留め構造の説明図である。

【符号の説明】

１０ 屋根材 ２０ 吊り治具 ２１ ストリング ２２ 留め具 ２３ 引き手 ２４ 留め金物 ２５ テーパ孔 １００ 作業用上家 １１０ 建築物 １１１ 骨組 １１２ 屋根施工
位置 １１３ 屋根材 １２０ 矢印

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 急勾配を有する長尺屋根材を施工するに
   当たり、長尺屋根材を係着する吊り治具に多数の長尺屋
   根材を一枚づつ取り外し可能に取付けて吊上げ、Ｘ、
   Ｙ、Ｚ方向に移動可能な作業篭に乗った作業員が屋根材
   を１枚づつ順次前記吊り治具から取り外して屋根上に取
   付けることを特徴とする急勾配長尺屋根材の施工方法。