JPH09183667A - 窒化ケイ素質セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素質セラミックス及びその製造方法

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JPH09183667A
JPH09183667A JP7352962A JP35296295A JPH09183667A JP H09183667 A JPH09183667 A JP H09183667A JP 7352962 A JP7352962 A JP 7352962A JP 35296295 A JP35296295 A JP 35296295A JP H09183667 A JPH09183667 A JP H09183667A
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JP
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silicon nitride
surface layer
sialon
ceramics
nitride ceramics
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JP7352962A
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Minoru Kinoshita
實 木下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 β−窒化ケイ素における靭性を損なうことな
く、その表面硬度が向上されると共にその表面性状も良
好で、耐摩耗部材等にもより好適に利用されるβ−窒化
ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスを提供す
る。 【解決手段】 β−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素
質セラミックスにおいて、その表面にα−サイアロンが
含有されて表面硬度が1800kg/mm2 以上になっ
た表面層を設けるようにし、またこの窒化ケイ素質セラ
ミックスを製造するにあたり、焼結助剤に少なくともイ
ットリアとアルミナとを用いて焼結させたβ−窒化ケイ
素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスを、窒素含有
雰囲気中で1700℃以上の温度で熱処理するようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高温用又は常温
用の機械部材や耐摩耗部材等に利用されるβ−窒化ケイ
素が主体となった窒化ケイ素質セラミックス及びその製
造方法に係り、特に、主体となるβ−窒化ケイ素の靭性
を損なうことなく、その表面硬度が向上されると共に、
その表面性状も良好で耐摩耗部材等にもより好適に利用
されるようになった窒化ケイ素質セラミックス及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、高温用又は常温用の機械部材
や耐摩耗部材等の材料としては、一般に靭性に優れたβ
−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスが
広く使用されていた。
【0003】ここで、このような窒化ケイ素質セラミッ
クスを製造するにあたり、従来においては、一般に、そ
の焼結原料にα−窒化ケイ素(Si34 )を用い、こ
のα−窒化ケイ素にマグネシア,アルミナ,イットリ
ア,シリカ等の酸化物を焼結助剤として添加し、これを
焼結させて、β−窒化ケイ素が主体となった窒化ケイ素
質セラミックスを製造するようにしていた。
【0004】ここで、上記のようにα−窒化ケイ素に焼
結助剤を添加し、これを焼結させて窒化ケイ素質セラミ
ックスを製造する場合、焼結時に窒化ケイ素が高温で分
解するのを抑制するため、従来においては、加圧窒素雰
囲気中において焼結を行なうようにしたり、また表面近
傍での窒化ケイ素の分解や変質を抑制するために、成型
体を窒化ホウ素や窒化ケイ素等の詰め粉中に埋めて焼結
させる等の方法が一般に用いられていた。
【0005】また、上記のようにして焼結させた場合に
おいても、一般に、この焼結体の表面に深い凹部等が形
成されて表面が荒れた状態になるため、従来において
は、上記のように焼結された焼結体の表面を研磨等によ
って除去し、β−窒化ケイ素が主体となった窒化ケイ素
質セラミックスを得るようにしていた。
【0006】ここで、このようにして得られた窒化ケイ
素質セラミックスは、靭性に優れているが、その硬度が
1500〜1750kg/mm2 程度で、必ずしもその
表面硬度が十分であるとはいえず、耐摩耗部材等に利用
した場合においてはその摩耗が大きくなって寿命が短く
なる等の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、β−窒化
ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスにおける
上記のような問題を解決することを課題とするものであ
り、β−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミッ
クスにおいて、β−窒化ケイ素における靭性を損なうこ
となく、その表面硬度が向上されると共にその表面性状
も良好で、耐摩耗部材等にもより好適に利用されるよう
になった窒化ケイ素質セラミックス及びその製造方法を
提供することにある。
【0008】ここで、本発明者は、α−窒化ケイ素を焼
結させてβ−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラ
ミックスを製造するにあたり、その焼結助剤として、少
なくともアルミナ(Al23 )とイットリア(Y2
3 )とを加え、これらを詰め粉無しの状態で、加圧窒素
雰囲気中で焼結させた場合、β−窒化ケイ素を主体とす
る窒化ケイ素質セラミックスの表面に硬度の高いα−サ
イアロンを含有する表面層が形成されることを見出し
た。
【0009】しかし、上記のように加圧窒素雰囲気中に
おいて焼結を行なった場合、得られた窒化ケイ素質セラ
ミックスにおいて、α−サイアロンを含有する上記の表
面層に窒化ケイ素の分解,揮散によると考えられる深い
凹部等が多く形成されて、その表面層における表面の荒
れが大きくなり、焼結条件によっても異なるが、この表
面に深さが100μm以上になった凹部が形成され、応
力負荷時等にこの部分が破壊源になる等の問題があっ
た。
【0010】そこで、本発明者は、β−窒化ケイ素を主
体とする窒化ケイ素質セラミックスの表面に硬度の高い
α−サイアロンを含有する表面層を形成するにあたっ
て、その表面層における表面の荒れを抑制することにつ
いて検討を行ない、この発明を完成するに至ったのであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の窒化ケイ素質
セラミックスにおいては、上記のような課題を解決する
ため、β−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミ
ックスにおいて、その表面にα−サイアロンが含有され
て表面硬度が1800kg/mm2 以上になった表面層
を形成させたものである。
【0012】ここで、このような窒化ケイ素質セラミッ
クスにおいて、その表面層におけるα−サイアロンの含
有量が少ないと、その表面硬度が十分に向上されず、表
面硬度が1800kg/mm2 以上にならない一方、α
−サイアロンの含有量が多くなり過ぎると、一般にその
表面層における表面の荒れが大きくなるため、その表面
層におけるα−サイアロンの含有量が30〜85重量%
の範囲になるようにすることが好ましい。
【0013】また、上記のようにβ−窒化ケイ素を主体
とする窒化ケイ素質セラミックスの表面に形成されたα
−サイアロンを含有する表面層における表面の荒れが大
きくなると、応力負荷時における破壊の原因等となって
機械部材等に利用できなくなるため、その表面層の表面
に形成される凹部の最大深さが20μm以下になるよう
にすることが好ましい。
【0014】また、この発明における窒化ケイ素質セラ
ミックスの製造方法においては、上記のようにβ−窒化
ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスの表面に
硬度の高いα−サイアロンを含有する表面層を形成する
にあたり、その表面層における表面の荒れを抑制するた
め、焼結助剤に少なくともイットリアとアルミナとを用
いて焼結させたβ−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素
質セラミックスを、窒素含有雰囲気中で1700℃以上
の温度で熱処理して、表面層にα−サイアロンが含有さ
れ、その表面硬度が1800kg/mm2 以上になった
窒化ケイ素質セラミックスを製造するようにしたのであ
る。
【0015】そして、この発明のように、焼結助剤に少
なくともイットリアとアルミナとを用いて焼結させたβ
−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスを
熱処理すると、焼結助剤として用いたイットリアとアル
ミナとの作用により、この窒化ケイ素質セラミックスの
表面にα−サイアロンを含有する表面層が形成されるよ
うになる。
【0016】ここで、焼結助剤として使用するイットリ
アやアルミナの量が少ないと、窒化ケイ素質セラミック
スを熱処理した際にα−サイアロンを含有する表面層が
形成されにくくなる一方、これらの量が多くなり過ぎる
と、上記のように熱処理してα−サイアロンを含有する
表面層を形成した際に、その表面層における表面の荒れ
が大きくなるため、イットリアの含有量が2〜7重量
%、アルミナの含有量が3〜10重量%の範囲になるよ
うにすることが好ましい。
【0017】また、この発明のように、焼結助剤に少な
くともイットリアとアルミナとを用いて焼結させたβ−
窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスを熱
処理すると、焼結助剤にイットリアとアルミナとを用い
てα−窒化ケイ素を焼結させてβ−窒化ケイ素を主体と
する窒化ケイ素質セラミックスを製造した場合のよう
に、その表面におけるα−サイアロンを含有する表面層
に、深い凹部等が多く形成されてその表面の荒れが大き
くなるということがなく、β−窒化ケイ素を主体とする
窒化ケイ素質セラミックスの表面に荒れの少ないα−サ
イアロンを含有する表面層が形成されるようになり、表
面硬度が高くまた表面性状も良好な窒化ケイ素質セラミ
ックスが得られるようになる。
【0018】また、上記のようにβ−窒化ケイ素を主体
とする窒化ケイ素質セラミックスを熱処理して、その表
面にα−サイアロンを含む表面層を形成するにあたり、
熱処理時における温度を高くしたり、その熱処理時間を
長くすると、表面層におけるα−サイアロンの含有量が
増加してその表面硬度が高くなるが、その熱処理温度を
高くしすぎたり、その処理時間を長くしすぎると、窒化
ケイ素の分解,揮散によると考えられる表面の荒れが発
生し、表面層の表面における荒れが大きくなって、応力
負荷時等における強度が低下するため、通常は、α−サ
イアロンが形成される1700℃以上の温度であって1
850℃以下の温度で熱処理を行なうようにすると共
に、その熱処理時間を調整することが好ましい。
【0019】また、熱処理を窒素含有雰囲気中において
行なう場合に、その圧力を高くすると、窒化ケイ素の分
解,揮散によると考えられる表面の荒れが抑制されるた
め、この窒素含有雰囲気中における圧力を高くすること
が好ましく、例えば、その圧力を10気圧程度にした場
合には、その熱処理温度を1700℃〜1850℃に
し、30分〜3時間熱処理させるようにすることが好ま
しい。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例に係る窒化ケイ素質
セラミックス及びその製造方法を実験例を挙げて具体的
に説明する。
【0021】(実験例1〜6)これらの実験例において
は、α−窒化ケイ素粉末に焼結助剤としてイットリア
(Y23 )粉末とアルミナ(Al23 )粉末とをそ
れぞれ5重量%の割合で加え、これらを通常の方法で湿
式混合させた後、この混合物を金型及び/又は静水圧成
形(CIPと呼ばれる)により成形し、その後、この成
形物を窒素雰囲気中において、下記の表1に示す焼結条
件で焼結させて各実験例の窒化ケイ素質セラミックスを
作製した。
【0022】そして、このようにして作製された各窒化
ケイ素質セラミックスについて、その表面層及び内部に
おけるα−サイアロンの含有量、その表面層及び内部の
硬度を測定すると共に、その表面層における表面性状を
調べた。
【0023】ここで、α−サイアロンの含有量について
は、X線回折によって結晶相を同定すると共に、α及び
β相におけるそれぞれの結晶面(102)、(210)
の回折線強度の比からα−サイアロンの含有量を求める
ようにし、また各窒化ケイ素質セラミックスにおける表
面層及び内部の硬度については、各窒化ケイ素質セラミ
ックスを断面し、最表面から約30μm内部の位置にお
ける表面層及び各窒化ケイ素質セラミックスの内部にお
いてそれぞれ200gr荷重のビッカース硬度を測定す
るようにし、さらに、各窒化ケイ素質セラミックスの表
面層における表面性状については断面で観察される凹部
の最大深さを求め、これらの結果を下記の表1に合わせ
て示した。
【0024】
【表1】
【0025】この結果、α−窒化ケイ素に焼結助剤とし
てイットリアとアルミナとを含有させて焼結を行なった
場合、β−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミ
ックスの表面にα−サイアロンが含有された表面層が形
成されて、その表面硬度が高くなっていたが、その表面
層における表面性状が悪く、その表面における凹部の最
大深さが深くなっていた。
【0026】(実験例7〜24)これらの実験例におい
ても、上記の実験例1〜6の場合と同様に、α−窒化ケ
イ素粉末に焼結助剤としてY23 粉末とAl23
末とをそれぞれ5重量%の割合で加え、これらを通常の
方法で湿式混合させた後、この混合物を金型及び/又は
静水圧成形により成形し、その後、これらの実験例にお
いては、この成形物を窒素雰囲気中において1800℃
の温度で3時間かけて焼結して窒化ケイ素質セラミック
スを得た。
【0027】ここで、このようにして得られた窒化ケイ
素質セラミックスは、β−窒化ケイ素を主体とする窒化
ケイ素質セラミックスの表面にα−サイアロンを含有す
る表面層が形成されていたが、上記実験例1〜6の場合
と同様に、その表面層における表面の荒れが大きくなっ
ていた。
【0028】このため、これらの実験例においては、上
記のようにして得た窒化ケイ素質セラミックスの表面を
約0.5mm研削して荒れた状態にある表面層を取り除
き、イットリアとアルミナとを含有したβ−窒化ケイ素
を主体とする窒化ケイ素質セラミックスを得た。
【0029】その後、これらの実験例においては、上記
のように荒れた表面層を取り除いた各窒化ケイ素質セラ
ミックスを、それぞれ9.5気圧の窒素雰囲気中におい
て、下記の表2に示す熱処理条件で熱処理し、各実験例
の窒化ケイ素質セラミックスを作製した。
【0030】そして、このようにして作製された各窒化
ケイ素質セラミックスについて、上記の実験例1〜6の
場合と同様にして、各窒化ケイ素質セラミックスの表面
層及びその内部におけるα−サイアロンの含有量や、そ
の表面層及び内部の硬度を測定すると共に、その表面層
における表面性状を調べ、その結果を下記の表2に示し
た。
【0031】
【表2】
【0032】この結果、窒化ケイ素質セラミックスの表
面層におけるα−サイアロンの含有量が30重量%より
低いと、一般にその表面層における硬度が1800kg
/mm2 に達せず、その表面硬度を十分に向上させるこ
とができない一方、その表面層におけるα−サイアロン
の含有量が80重量%より多くなると、この表面層の表
面における凹部の最大深さが20μmより大きくなり、
この表面層における表面の荒れが激しくなって表面性状
が劣化するため、窒化ケイ素質セラミックスの表面層に
おけるα−サイアロンの含有量を30〜80重量%の範
囲にすることが好ましかった。
【0033】また、上記のように窒化ケイ素質セラミッ
クスの表面層における硬度が1800kg/mm2 以上
でかつその表面層における凹部の最大深さが20μm以
下になるようにするためには、一般に、上記のように表
面層を取り除いた窒化ケイ素質セラミックスを熱処理す
る熱処理条件として、その温度を1700〜1850℃
の範囲に設定すると共に、その時間を30〜180分の
間にすることが好ましかった。但し、上記の表面層にお
ける表面性状の劣化を抑制する点からは、上記のように
窒化ケイ素質セラミックスを熱処理するにあたり、窒素
雰囲気中における圧力を更に高くすることが好ましく、
このように窒素雰囲気中における圧力を高くすると、表
面層における表面性状の劣化が抑制されるようになり、
その熱処理条件を調整して、より表面硬度が高くて表面
性状の良い窒化ケイ素質セラミックスが得られるように
なると考えられる。
【0034】(実験例25〜36)これらの実験例にお
いては、焼結助剤としてY23 粉末とAl23 粉末
とマグネシア(MgO)粉末とを用い、これらの焼結助
剤をα−窒化ケイ素粉末に対して下記の表3に示す割合
で加え、その後は、上記の実験例7〜24の場合と同様
に、これらを通常の方法で湿式混合させた後、各混合物
を金型及び/又は静水圧成形により成形し、その後、各
成形物を窒素雰囲気中において1800℃の温度で3時
間かけて焼結させて各窒化ケイ素質セラミックスを得
た。
【0035】その後、上記のようにして得た各窒化ケイ
素質セラミックスの表面を約0.5mm研削して荒れた
状態にある表面層を取り除いた後、このように表面が研
削された各窒化ケイ素質セラミックスを、それぞれ9.
5気圧の窒素雰囲気中において、1800℃の温度で2
時間かけて熱処理を行ない、各実験例の窒化ケイ素質セ
ラミックスを作製した。
【0036】そして、このようにして作製された各窒化
ケイ素質セラミックスについて、前記の各実験例の場合
と同様にして、各窒化ケイ素質セラミックスの表面層に
おけるα−サイアロンの有無を調べると共に、その表面
層及び内部における硬度を測定し、その結果を下記の表
3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】この結果、α−窒化ケイ素粉末に対して、
焼結助剤としてイットリアとアルミナとの双方を加えて
焼結させた窒化ケイ素質セラミックスにおいては、その
後の熱処理によってα−サイアロンを含有する表面層が
形成されたが、焼結助剤としてイットリアとアルミナの
何れか一方でも加えないで焼結した窒化ケイ素質セラミ
ックスにおいては、その後に熱処理を行なってもα−サ
イアロンが含有された表面層が形成されず、表面硬度の
低い窒化ケイ素質セラミックスしか得ることができなか
った。
【0039】また、α−窒化ケイ素粉末に対して焼結助
剤としてイットリアとアルミナとを含有させて焼結させ
た窒化ケイ素質セラミックスを、その後に熱処理してα
−サイアロンが含有された表面層を形成した場合であっ
ても、焼結助剤として添加させるイットリアとアルミナ
の量が少ないと、表面層におけるα−サイアロンの含有
量が少なくなってその表面硬度が低くなるため、イット
リアを2〜7重量%、アルミナを3〜10重量%の範囲
で加えることが好ましかった。
【0040】これらの実験結果から、β−窒化ケイ素を
主体とする窒化ケイ素質セラミックスにおいて、その表
面にα−サイアロンが含有された表面層を形成するにあ
たっては、少なくともイットリアとアルミナとを焼結助
剤として含有させることが必要であり、またα−サイア
ロンが含有された表面層における表面硬度が1800k
g/mm2 以上になった窒化ケイ素質セラミックスを得
るにあたっては、表面層におけるα−サイアロンの含有
量が30重量%以上になっていることが好ましかった。
【0041】また、この窒化ケイ素質セラミックスを機
械部材等として好適に利用するためには、α−サイアロ
ンが含有された表面層における凹部の最大深さが20μ
m以下であることが好ましく、このため、表面層におけ
るα−サイアロンの含有量を80重量%以下にすること
が好ましかった。
【0042】また、α−サイアロンが含有された表面層
における凹部の最大深さが20μm以下になった表面の
荒れが少ない窒化ケイ素質セラミックスを製造するにあ
たっては、α−窒化ケイ素に焼結助剤としてイットリア
とアルミナとを添加させて焼結させた窒化ケイ素質セラ
ミックスの荒れた表面を除去した後、この窒化ケイ素質
セラミックスを熱処理して、その表面にα−サイアロン
が含有された表面層を設けるようにすることが好まし
く、その熱処理条件としては、9.5気圧の窒素雰囲気
中において熱処理する場合、1700〜1850℃の温
度で30〜180分熱処理することが好ましかった。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明に係る窒
化ケイ素質セラミックスにおいては、β−窒化ケイ素を
主体とする窒化ケイ素質セラミックスにおいて、その表
面にα−サイアロンが含有されて表面硬度が1800k
g/mm2 以上になった表面層を形成するようにしたた
め、従来の窒化ケイ素質セラミックスに比べてその表面
硬度が高く、耐摩耗部材等として用いた場合に、その寿
命が伸び、高温用又は常温用の機械部材や耐摩耗部材等
としてより好適に利用できるようになった。
【0044】また、この発明に係る窒化ケイ素質セラミ
ックスを製造するにあたり、焼結助剤として少なくとも
イットリアとアルミナとを添加させて焼結したβ−窒化
ケイ素を主体とする窒化ケイ素質セラミックスを用い、
この窒化ケイ素質セラミックスを窒素含有雰囲気中で1
700℃以上の温度で熱処理して、その表面にα−サイ
アロンが含有された表面層を形成するようにすると、表
面硬度が1800kg/mm2 以上で表面が硬く、また
その表面層における凹部の最大深さが20μm以下で表
面性状も良好な窒化ケイ素質セラミックスが得られるよ
うになり、この窒化ケイ素質セラミックスを高温用又は
常温用の機械部材や耐摩耗部材等としてさらに好適に利
用できるようになった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−窒化ケイ素を主体とする窒化ケイ素
    質セラミックスにおいて、その表面にα−サイアロンが
    含有されて表面硬度が1800kg/mm2以上になっ
    た表面層が形成されてなることを特徴とする窒化ケイ素
    質セラミックス。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した窒化ケイ素質セラミ
    ックスにおいて、上記の表面層にα−サイアロンが30
    〜85重量%の範囲で含有されていることを特徴とする
    窒化ケイ素質セラミックス。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載した窒化ケイ素質
    セラミックスにおいて、上記の表面層における凹部の最
    大深さが20μm以下であることを特徴とする窒化ケイ
    素質セラミックス。
  4. 【請求項4】 焼結助剤に少なくともイットリアとアル
    ミナとを用いて焼結させたβ−窒化ケイ素を主体とする
    窒化ケイ素質セラミックスを、窒素含有雰囲気中で17
    00℃以上の温度で熱処理して、表面層にα−サイアロ
    ンが含有されて、その表面硬度が1800kg/mm2
    以上になった窒化ケイ素質セラミックスを製造すること
    を特徴とする窒化ケイ素質セラミックスの製造方法。
JP7352962A 1995-12-27 1995-12-27 窒化ケイ素質セラミックス及びその製造方法 Pending JPH09183667A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100472002B1 (ko) * 2000-08-24 2005-03-07 재단법인 포항산업과학연구원 다공성 산질화규소 요업체의 제조방법
WO2008114752A1 (ja) 2007-03-22 2008-09-25 Ngk Spark Plug Co., Ltd. インサート及び切削工具

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