JP3044290B2 - 粒子分散型複合セラミックスの製造方法 - Google Patents

粒子分散型複合セラミックスの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子分散型複合セ
ラミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】一般に、構造用セラミックス材料は、耐熱
性、耐酸化性、耐摩耗性等の特性において金属材料より
も優れていることから各種の産業分野で幅広く利用され
ている。一方、その強度、破壊靱性等という点において
は、用途の拡大或いは部材製造費用の低コスト化を図る
ためにもその性能を改善する必要がある。
【0003】セラミックス材料の性能を向上させる方法
として、繊維、第2相粒子等の分散が有効であることは
知られている(香川豊・八田博志、「セラミックス基複
合材料」アグネ承風社刊、1990 参照)。強化材と
しての第2相粒子の添加は、従来の粉末冶金技術をその
まま適用できるという点で有利である。第2相粒子の中
でも、金属窒化物は、耐熱性に優れ、硬度が高く耐摩耗
性に優れ、また母相との適当な組み合わせにより強度、
破壊靱性等を改善できることが知られている。特に、そ
の粒径が1μm以下の微細な粒子は、強度の向上には有
効であると報告されている(新原皓一、日本セラミック
ス協会学術論文誌、99巻、10号、974〜982頁
参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粒径が
1μm以下という微細な金属窒化物粒子は、その製造コ
ストが高く、また製造されたものも純度という点では不
十分である。また、第2相粒子の粒径が小さくなるほど
凝集等が起こりやすくなるため、母相セラミックス中に
均一に分散させることも技術的に不可能に近い。
【0005】このように、より高性能な複合セラミック
スを得るためには、微細な金属窒化物を均一に分散させ
て強化することが必要である。そのため、例えば金属窒
化物の微細粉末の製造技術とともに、母相セラミックス
中に均一に分散させる技術等を確立することが急務とさ
れている。
【0006】従って、本発明は、高純度で微細な金属窒
化物粒子を分散材とする粒子分散型複合セラミックスを
工業的規模で製造することを主な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の従来
技術に鑑み、種々研究を重ねた結果、特定組成の原料粉
末を用い、窒素雰囲気下で焼成する場合には、上記目的
を達成できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、母相となるセラミッ
クス原料粉末に、金属酸化物の少なくとも1種の粉末及
び炭素粉末を添加・混合し、成形した後、窒素ガス雰囲
気下で焼成することにより当該金属酸化物、炭素及び窒
素ガスの反応から金属窒化物を分散強化粒子として生成
させることを特徴とする粒子分散型複合セラミックスの
製造方法に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに説明する。
【0010】本発明の製造方法は、母相となるセラミッ
クス原料粉末に、金属酸化物の少なくとも1種の粉末及
び炭素粉末を添加・混合し、成形した後、窒素雰囲気下
で焼成することにより当該金属酸化物、炭素及び窒素ガ
スの反応から金属窒化物を分散強化粒子として生成させ
ることを特徴とする。
【0011】母相となるセラミックス原料粉末として
は、母相中における金属酸化物、炭素及び窒化ガスの反
応(以下「内部反応」という。)を妨げない限り特に制
限されず、酸化物系及び非酸化物系のいずれも使用する
ことができる。この中でも、特に酸化物セラミックス、
窒化物セラミックス、炭化物セラミックス、ホウ化物セ
ラミックス等を好適に用いることができる。
【0012】酸化物セラミックスとしては、例えば酸化
アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、
酸化クロム、二酸化ケイ素、スピネル、ムライト、酸化
イットリウム、酸化ハフニウム等が挙げられる。これら
のセラミックスを母相とし、内部反応によって生成する
窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化タン
グステン等の微細粒子とを好適に組み合わせることがで
きる。
【0013】窒化物セラミックスとしては、例えば窒化
ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化チ
タン、窒化ホウ素、窒化タンタル、窒化ニオブ等が挙げ
られる。これらのセラミックスを母相とし、内部反応に
より生成する窒化ケイ素、窒化チタン等の微細粒子とを
好適に組み合わせることができる。
【0014】炭化物セラミックスとしては、例えば炭化
ケイ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タングス
テン、炭化クロム、炭化ニオブ等が挙げられる。これら
のセラミックスを母相とし、内部反応により生成する窒
化ジルコニウム、窒化チタン、窒化タンタル等の微細粒
子とを好適に組み合わせることができる。
【0015】ホウ化物セラミックスとしては、例えばホ
ウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タングステ
ン、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン等が挙げられる。
これらのセラミックスを母相とし、内部反応により生成
する窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化タンタル等の
微細粒子とを好適に組み合わせることができる。
【0016】母相となるセラミックス原料粉末の平均粒
径は、用いる金属酸化物の種類及び粒径、炭素粉末の粒
径等に応じて適宜変更できるが、通常は1〜10μm程
度、好ましくは1〜3μmとすれば良い。
【0017】次に、本発明における金属酸化物として
は、炭素により還元され得る限りは特に制限されず、実
質的にあらゆる金属酸化物を用いることができる。本発
明では、特に、炭素の活性度に着目したものである。す
なわち、金属酸化物と炭素が高温で反応して金属酸化物
を還元するとともに、窒素ガスにより金属窒化物が生成
する反応を利用するものである。従って、この反応を利
用できる限りは特に金属酸化物の種類を問わず、母相セ
ラミックスの種類、製造される複合セラミックスの目
的、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0018】例えば、上記金属酸化物として酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ等が
挙げられ、それらからは窒化チタン、窒化ジルコニウ
ム、窒化タンタル、窒化ニオブ等が生成する。
【0019】例えば、酸化チタンを反応させ、窒化チタ
ンを得る反応は 2TiO2+4C+N2→2TiN+4CO と示される。また、酸化ジルコニウムから窒化ジルコニ
ウムを得る反応は 2ZrO2+4C+N2→2ZrN+4CO と示される。さらに、酸化ニオブより窒化ニオブを得る
反応は Nb25+5C+N2→2NbN+5CO と示される。酸化タンタルより窒化タンタルを得る反応
は Ta25+5C+N2→2TaN+5CO と記される。このように、本発明では、特に、金属酸化
物、炭素及び窒素ガスから金属窒化物と一酸化炭素が生
成する反応を利用している。
【0020】金属酸化物の粉末の平均粒径は、母材とな
るセラミックス粉末の種類及び粒径、用いる炭素粉末の
粒径等に応じて適宜選択できるが、通常は1μm以下、
好ましくは0.1〜0.5μmとする。
【0021】但し、金属酸化物の種類によっては内部反
応に伴って原料と生成物の密度差による粒子の崩壊現象
が生じ、原料である金属酸化物粒子よりも小さい粒径を
もつ金属窒化物の粒子が生じる場合があるので、このよ
うな場合においては1μmを超える粒径の金属酸化物粒
子を原料として用いても良い。
【0022】また、母相セラミックス原料粉末と添加す
る金属酸化物とが同種である場合は、セラミックス原料
粉末よりも金属酸化物の平均粒径を小さくすることが好
ましい。例えば、母材セラミックスとして酸化アルミニ
ウム粉末を添加し、金属酸化物も同じ酸化アルミニウム
粉末を選択した場合は、両者間で単に交換反応が起こる
だけであり、生成物は窒化アルミニウムとなるので第2
相粒子の分散を図る上では意味はない。これに対し、母
相である酸化アルミニウム原料粉末よりも微細な酸化ア
ルミニウム粉末を分散材として用いると、この微細粉末
の方が表面活性が高いため、優先的に炭素及び窒素ガス
と内部反応を起こし、微細な窒化アルミニウムを生成・
分散できる。また、この場合には、内部反応する炭素の
粒径が大きい場合でも、内部反応によって生成する窒化
アルミニウムの粒径を小さくすることが可能となり、こ
れによっても強度、破壊靱性等の向上が期待できる。
【0023】炭素粉末としては、上記の金属酸化物を還
元できる限り特に制限されず、例えばカーボンブラッ
ク、石油ピッチコークス等の公知のものも使用できる。
平均粒径は、母材となるセラミックス原料粉末の種類及
び粒径、最終製品の用途等に応じて適宜選択できるが、
通常は1μm以下、好ましくは0.5μm以下とすれば
良い。
【0024】前記の金属酸化物及び炭素の添加量は、最
終製品の用途、金属酸化物の種類等に応じて適宜変更す
れば良いが、金属窒化物はその多くが酸化損傷する傾向
をもつため、材料表面に存在する金属窒化物粒子の量は
できるだけ少なくすることが望ましい。通常は、内部反
応によって生成する金属窒化物が複合セラミックス中1
0体積%以下、好ましくは5体積%以下となるように設
定すれば良い。但し、母相セラミックス自身が非酸化物
セラミックスである場合、複合セラミックスの用途とし
て高温において空気又は酸素雰囲気に晒されるおそれの
ない場合等は、10体積%を超えても良い。
【0025】また、金属酸化物と炭素粉末との配合比
は、特に制限されないが、両者から金属窒化物が効率良
く生成するように過不足なく配合することが好ましい。
前記の反応式において、例えば酸化チタンと炭素を窒素
ガス雰囲気中で反応させ、窒化チタンを得る反応は、2
TiO2+4C+N2→2TiN+4COと示されるが、
この場合には酸化チタンと炭素を1:2のモル比で配合
すれば良い。
【0026】本発明では、これらの必須成分以外にも、
必要に応じて焼結助剤、バインダー、粒成長防止剤等の
セラミックスにおける公知の添加剤を配合しても良い。
【0027】本発明の製造方法においては、まず出発原
料である金属酸化物の粉末の1種又は2種以上及び炭素
粉末を、母相となるセラミックス原料粉末と混合する。
なお、混合順序は、特に制限されない。
【0028】原料粉末の混合においては、セラミックス
粉末における公知の混合方法に従えば良い。但し、窒化
アルミニウムのように水と反応するものを用いる場合
は、ボールミル等を用いる液媒による分散方式を採る場
合には、分散媒としては水を避け、アルコールその他の
有機溶媒を用いることが好ましい。
【0029】次いで、混合粉末を公知の方法に従って乾
燥等の所定の操作を経た後、成形し、焼成する。成形方
法は、公知の成形方法に従えば良く、プレス成形、ホッ
トプレス法、静水圧成形、造粒等により所定の形状とす
ることができる。形状も特に制限されない。
【0030】焼成方法及び装置は、公知のセラミックス
における焼成方法を適用することができる。特に、ホッ
トプレス法で焼成する場合は、成形を行うことなく粉末
のまま焼成型に入れて焼成する。焼成装置としては、セ
ラミックス技術における公知の電気炉等を使用できる。
【0031】上記混合粉末は焼成過程において、その焼
結が完了するまでに金属酸化物と炭素の内部反応を起こ
し、所望の金属窒化物を生成する。このため、金属窒化
物粒子を別途に原料粉末に添加する必要もなく、純度の
高い金属窒化物粒子が母相セラミックスの焼成過程で生
成・分散させることができる。
【0032】焼成温度は、母相となるセラミックスの種
類等によって異なるが、金属酸化物と炭素との内部反応
を促進するため、少なくとも、通常は1000〜140
0℃程度、特に1200〜1400℃で保持することが
好ましい。保持時間は、焼成温度等に応じて適宜変更す
ることができる。焼結温度として、上記保持温度よりも
高い温度を必要とする場合は、上記温度で保持した後、
さらに昇温して焼結反応させれば良い。また、焼成条件
によっては、内部反応と焼結が同時に進行することもあ
るが、これによっても本発明複合セラミックスの製造は
可能である。
【0033】焼成雰囲気は、窒素ガス雰囲気とする。窒
化ガス雰囲気中には、本発明の効果を妨げない範囲内で
不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)を含んでい
ても良い。
【0034】本発明方法により得られる複合セラミック
スは、母相セラミックス中に微細でかつ純度の高い金属
窒化物が分散されているため、特に優れた機械的特性
(強度、靱性等)を発揮することができる。
【0035】本発明方法により得られる複合セラミック
スは、特に粒径1μm以下という微細な金属窒化物を母
材セラミックス中に分散させることが可能である。な
お、本発明による複合セラミックス中には、本発明の効
果を損なわない範囲内で未反応の金属酸化物、炭素等が
残存していても良い。また、本発明の効果に悪影響を及
ぼさない範囲内で1μmを超える金属窒化物が存在して
いても差し支えない。
【0036】
【作用】粒径が1μm以下の第2相粒子を分散させるこ
とによる効果については、基本的には母相セラミックス
と分散粒子との熱膨張係数の相違により、製造プロセス
における冷却過程において当該分散粒子の周囲に残留応
力場が発生することに基づく。残留応力場は局所的に作
用するものであるが、破壊の原因となる微細な欠陥に対
しては有効に働き、この欠陥の成長を抑制する。
【0037】すなわち、通常では、欠陥が容易に成長し
て脆性的破壊が生じるような応力レベルにおいても、分
散粒子周辺の残留応力場が全体応力、特に欠陥先端にお
ける応力集中を防ぐため、欠陥の成長が抑制される。こ
のことは、材料の破壊靱性を向上させる結果となり、こ
れに伴い脆性的な破壊荷重も向上する。すなわち、破壊
靱性の向上により、破壊強度が向上することになる。一
方、このような分散粒子の添加も、分散粒子が大きい場
合は、その粒子と母相セラミックスの間の粒界が破壊源
となり、逆に強度の低下が生じる。このため、母相セラ
ミックス中における分散粒子の粒径は1μm以下とする
ことが望ましい。
【0038】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、母相セラミ
ックス中に微細でかつ高純度の金属窒化物が分散した粒
子分散型複合セラミックスを工業的規模で効率的に製造
することができる。特に、本発明では、粒径1μm以下
という微細な金属窒化物も分散させることが可能である
ため、より優れた強度、破壊靱性等を達成することがで
きる。
【0039】また、本発明の製造方法では、従来法のよ
うに金属窒化物の微粉末を原料として用いずに済むので
低コスト化を図れると同時に、その微粉末の凝集等によ
る品質の低下も回避することができる。
【0040】このような特徴をもつ粒子分散型複合セラ
ミックスは、エンジン部材、各社機械、耐食構造物、切
削工具、半導体パッケージ等に応用することが可能であ
る。
【0041】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころを一層明確にする。
【0042】実施例1 平均粒径1.1μmのアルミナ粉末に、内部反応により
5体積%の窒化チタンが生成するように平均粒径0.2
3μmの酸化チタンと炭素粉末を過不足なく混合し、金
型成形により成形体を得た。これを静水圧成形法により
さらに高密度化した。この成形体を窒素ガス雰囲気炉中
1200℃で1時間熱処理をした。この熱処理成形体を
引き続き真空中1600℃で2時間焼結を行い、アルミ
ナ基複合セラミックスを得た。
【0043】得られた複合セラミックスの構造をX線回
折法により分析した。その結果を図1に示す。図1の結
果より、母相アルミナ以外では窒化チタンの回折ピーク
のみが認められた。このことから、内部反応が完全に進
行していることがわかる。
【0044】さらに、得られた複合セラミックスの微細
組織を電子顕微鏡で調べた。その結果を図2に示す。図
2の結果より、平均粒径0.33μmの窒化チタン粒子
が母相アルミナセラミックス組織中に分散されているこ
とが確認された(白い粒子がTiN)。複合セラミック
スの室温及び1000℃における曲げ強度及び室温破壊
靱性値をJIS R1601及びR1607に準拠して
測定した(以下同じ)。その結果を表1に示す。
【0045】比較例1 平均粒径1.1μmのアルミナ粉末に平均粒径1.1μ
mの窒化チタン5体積%をボールミル混合し、真空中1
600℃で2時間焼結を行い、アルミナ基複合セラミッ
クスを得た。なお、窒素ガス雰囲気下での熱処理は行わ
なかった。得られたセラミックスの室温及び1000℃
における曲げ強度及び室温破壊靱性値を実施例1と同様
に測定した。その結果を表1に示す。
【0046】比較例2 平均粒径1.1μmのアルミナ粉末を真空下1600℃
で2時間焼結を行い、アルミナセラミックスを得た。得
られたセラミックスの室温及び1000℃における曲げ
強度及び室温破壊靱性値を実施例1と同様に測定した。
その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】 表1から明らかなように、本発明による内部反応によっ
て窒化チタンを分散させた複合セラミックスの特性(実
施例1)はアルミナ単味セラミックス(比較例2)に比
べて優れていることがわかる。一方、通常の方法である
窒化チタンをそのまま原料に添加して得られたセラミッ
クスの特性(比較例1)と比較しても、本発明による複
合セラミックスの方がより優れた特性を発揮しているこ
とがわかる。
【0048】実施例2 平均粒径0.25μmの窒化ケイ素粉末に、10体積%
の窒化ジルコニウムを生成するように平均粒径0.2μ
mの酸化ジルコニウム及び炭素粉末を過不足なく添加
し、さらに焼結助剤として酸化イットリウムを窒化ケイ
素に対して8重量%混合し、ホットプレス型に充填し
た。窒素雰囲気にしたホットプレス炉において、100
0℃から1400℃まで毎分5℃で昇温させた。このと
き、油圧による加圧操作は行わなかった。
【0049】その後、加圧にして1800℃まで昇温さ
せ、窒素雰囲気下で1時間ホットプレス焼結を行い、窒
化ケイ素基複合セラミックスを得た。得られた複合セラ
ミックスの構造をX線回折法により調べたところ、母相
となる窒化ケイ素以外には窒化ジルコニウムの回折ピー
クのみが認められた。これより、内部反応が完全に進行
していることがわかる。さらに、得られた複合セラミッ
クスの微細組織を電子顕微鏡で調べたところ、平均粒径
0.37μmの窒化ジルコニウム粒子が母相窒化ケイ素
セラミックス組織中に分散されていることがわかった。
複合セラミックスの室温及び1000℃における曲げ強
度及び室温破壊靱性値を実施例1と同様に測定した。そ
の結果を表2に示す。
【0050】比較例3 平均粒径0.25μmの窒化ケイ素粉末100部に対し
て、平均粒径1.5μmの窒化ジルコニウム粉末を10
体積%及び焼結助剤として酸化イットリウムを窒化ケイ
素に対して8重量%添加混合し、実施例2と同様にして
ホットプレス焼結を行った。なお、焼結前の熱処理は行
わなかった。複合セラミックスの室温及び1000℃に
おける曲げ強度及び室温破壊靱性値を実施例1と同様に
測定した。結果を表2に示す。 比較例4 平均粒径0.25μmの窒化ケイ素粉末に、焼結助剤と
して酸化イットリウムを8重量%混合し、実施例2と同
様にしてホットプレス焼結を行った。なお、焼結前の熱
処理は行わなかった。複合セラミックスの室温及び10
00℃における曲げ強度及び室温破壊靱性値を実施例1
と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】 以上の結果より、本発明の製造方法による複合セラミッ
クスが諸特性において優れた効果を発揮することがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における複合セラミックスをX線回折法
により分析した結果を示す図である。
【図2】実施例における複合セラミックス材料の組織を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 35/78 C04B 35/64 Z (56)参考文献 特開 平4−42863(JP,A) 特開 平8−34671(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/00 - 35/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母相となるセラミックス原料粉末に、金属
    酸化物の少なくとも1種の粉末及び炭素粉末を添加・混
    合し、成形した後、窒素ガス雰囲気下で焼成することに
    より当該金属酸化物、炭素及び窒素ガスの反応から金属
    窒化物を分散強化粒子として生成させることを特徴とす
    る粒子分散型複合セラミックスの製造方法。
  2. 【請求項2】母相となるセラミックス原料粉末が、窒化
    ケイ素、サイアロン及び酸化アルミニウムの少なくとも
    1種の粉末である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】複合セラミックス中、生成する金属窒化物
    が10体積%以下となるように金属酸化物の少なくとも
    1種の粉末及び炭素粉末を添加・混合する請求項1又は
    2に記載の製造方法。
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