JP2524635B2 - 繊維強化セラミックス - Google Patents

繊維強化セラミックス

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JP2524635B2 JP1022995A JP2299589A JP2524635B2 JP 2524635 B2 JP2524635 B2 JP 2524635B2 JP 1022995 A JP1022995 A JP 1022995A JP 2299589 A JP2299589 A JP 2299589A JP 2524635 B2 JP2524635 B2 JP 2524635B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、SiCウイスカ(whisker)により強化したSi
2N2Oを主成分とする繊維強化セラミックスに関する。
[従来の技術] 近年、切削工具,摺動部材,セラミックバルブ等の自
動車エンジン部材,ガスタービンロータ等の熱機関部材
などに使用する高強度,高靭性でかつ耐摩耗性,耐欠損
性,耐酸化性,耐熱性に優れたセラミックス材料が求め
られている。
耐酸化性,耐熱性に優れるセラミックス材料の1つと
して、特開昭63−176369号,特開昭63−129067号,特開
昭62−2230660,特開昭59−169981号及び特開昭54−1231
10号の公報に記載されているSi2N2Oの焼結体が知られて
いる。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、上記従来のSi2N2Oの焼結体は、耐熱性,耐酸
化性に優れているが、各種構造部材に用いるには、強
度,靭性,硬度といった機械的特性が不十分である。例
えば、強度に関して、特開昭63−176369号のように窒化
珪素と酸化珪素の混合物からなるつめ粉中で焼結する方
法や、特開昭54−123110号のように、Si3N4−SiO2−SiC
からなる焼結体もあるが、抗折強度で40〜60kg/mm2程度
であり、上述した用途に使用するには未だ十分な強度と
はいい難い。
こうした課題に対処するための手法として、SiCウイ
スカの添加によって、アルミナ(Al2O3),ムライト(3
Al2O3,2SiO2)等の靭性を向上させることは既に知られ
ていることであるが、SiCウイスカの添加は必ずしもセ
ラミックスの靭性を上昇させるものではない。例えば、
下記文献にみられるように本願と組成の似ているSi3N4
にSiCウイスカを添加しても、靭性の向上が若干ある程
度か、もしくは、逆に低下する場合もある。
<文献> 第25回窯業基礎討論会講演要旨集,2A15(1987) 第7回高温材料基礎討論会講演要旨集,25〜29(1987) Am.Ceram.Soc.Bull,66(2),330−333(1987) 本発明者らは、このような事情に鑑みて、各種の実験
を行った結果、SiCウイスカの添加量や焼結助剤を工夫
することにより靭性をある程度向上させた繊維強化セラ
ミックスを提供している(特願昭63−127687号)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、先
の発明の焼結助剤を改良することにより、一層、耐熱性
や耐酸化性だけでなく、強度、靭性及び硬度等の機械的
特性に優れた繊維強化セラミックスを提供することを目
的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記課題を解決するために次の手段を採用
した。
即ち、本発明は、 Alの酸化物からなる第1の焼結助剤と、 周期表V A,VI A族に属する金属元素の酸化物の中から
選ばれた1種又は2種以上からなる第2の焼結助剤と、 を用いて焼結されてなる繊維強化セラミックスにおい
て、 主成分であるO′−サイアロンと、 SiCウイスカを含むSiCと、 を含むとともに、 上記各成分の組成として、SiCを5〜50重量%で、そ
のうちSiCウイスカを全成分の5重量%以上とするとと
もに、上記第2の焼結助剤を0.05〜5重量%としたこと
を特徴とする繊維強化セラミックスを要旨とする。
a)ここで、前記Alの酸化物として、例えばAl2O3を選
択した場合には、得られた焼結体のSi2N2の中にAl2O3
一部又は全部が固溶してSi2-xAlxO1+xN2-x(O′−サイ
アロン,0<x<2)となる。
b)また、SiCウイスカとしては、通常市販されている
ものを使用することができ、その代表的形状は、平均直
径0.2〜5μm、平均長さ2〜200μmである。特に、A
l,Ca,Mg,Ni,Fe,Co,Mn,Cr等のカチオン不純物が少なく、
くびれ,枝分れ,面欠陥等の少ないひげ状結晶であると
好ましい。また、このSiCウイスカ表面にBN,カーボン等
のコーティングが施してあってもよい。
本発明は、このSiCウイスカが全成分の5重量%より
少ないと、十分な強度,靭性を示さない。また、SiCウ
イスカを含むSiCが5重量%より少ないと、焼結時にSi2
N2Oの分解を抑えることができないと共にSiCウイスカに
よる強度,靭性の向上もない。一方、SiCが50重量%を
越えると焼結性が悪くなり、所望の繊維強化セラミック
スを得ることができない。SiCがSiCウイスカのみによっ
て構成され、かつ、その添加量が全成分の10〜45重量%
であると特に強度,靭性が高く、焼結性も十分で好まし
い。
c)本発明の繊維強化セラミックスには、第1の焼結助
剤及び第2の焼結助剤が添加されている。
このうち、第1の焼結助剤は、Alの酸化物からなり、
その添加量は、適宜選択できるものであるが、例えば0.
2〜25重量%の範囲を採用でき、特にその添加量が、0.5
〜10重量%であると、強度が高く、耐熱性,耐酸化性に
も優れて好ましい。
尚、Alの酸化物以外にも、Sc,Y及び希土類元素の酸化
物の1種又は2種以上を選択したものを焼結助剤として
添加してもよく、その場合は、Sc2O3,Y2O3,La2O3,CeO2,
Nd2O3,Dy2O3,Ho2O3.Yb2O3の化合物群から選択するのが
好適である。
また、第2の焼結助剤は、周期表V A,VI A族に属する
金属元素の酸化物の中から選択したものからなり、特に
好ましくは、V2O5,Ta2O5,Cr2O3の化合物群から選択すれ
ばよい。その添加量は、0.05重量%より少ないと、その
寄与はほとんど無く、一方、5重量%よりも多いと、例
えば、カーボン型と反応し、種々の化合物を形成し、強
度の低下をまねくことから、0.05〜5重量%が適当であ
り、特に0.1〜2.0重量%であると焼結性が良く好まし
い。
後述するように、Si2N2Oが極めて分解しやすい化合物
であるので、これらの第2の焼結助剤である酸化物は、
一層緻密化を促進すると共に、残留Si3N4等を低減する
ために添加される。
なお、上記第1の焼結助剤と第2の焼結助剤の合計量
が30重量%を越えると、繊維強化セラミックス中のガラ
ス成分が多くなりすぎて、強度,耐熱性,耐酸化性の低
下がみられることから、30重量%以下とする必要があ
る。
d)本発明に用いる酸化物は初めから粉末状態である必
要はなく、金属アルコキシド溶液形態で混合し、加水分
解及び仮焼を経たものを本発明の原料素地とすることも
可能である。
e)上記成分以外に、特性に影響を与えない程度のβ−
Si3N4,Re2Si2O7(Re:希土類元素)等を含んでもよい
が、より高特性な繊維強化セラミックスであるために
は、焼結体のX線回折で、Si2N2O,SiC以外の化合物の最
強ピークの積分強度が、Si2N2Oの最強ピーク((200)
もしくは(111))の積分強度に対して1/2以下であるこ
とが望ましい。
f)次に、上記組成からなる繊維強化セラミックスの製
法を概説する。
まず、上述した各種成分を選定・混合し、その後に、
例えば公知のホットプレース(HP)法,ガス圧焼結(GP
S)法,熱間等方静水圧(HIP)法等による焼成工程を行
う。ここで、いずれの焼結法においても、非酸化性雰囲
気中とすることが必要であり、1600〜2000℃で焼結を行
う。好ましくは、1気圧以上のN2雰囲気中で行う。最も
望あしい焼成工程は、1気圧以上のN2雰囲気中にて、HP
法により、焼結することである。
このように1気圧以上のN2雰囲気中で行うのは、Si2N
2Oは後述するように極めて分解しやすく、分解制御には
N2分圧が1気圧以上の方で望ましいからである。したが
って、N2によりSi2N2Oの分解抑制を効果的にするには、
N2分圧は、焼成温度が高いほど、また、前述の各種酸化
物の添加量が少ないほど、高くする必要がある。
また、焼結温度を上述のように設定するのが好ましい
のは、1600℃以下では、十分緻密な繊維強化セラミック
スを得ることはできないからであり、また、2000℃を越
える場合には、Si2N2Oの分解抑制が極めて困難になるか
らである。
[作用・効果] 例えば、Si2N2O成分として窒化珪素と二酸化珪素を用
いた場合、両者の化学反応式はの如く示される。
Si3N4+SiO2→2Si2N2O … の反応は固相ではほとんど進行しない。ここで、Al
の酸化物からなる第1の焼結助剤は、二酸化珪素ととも
に液相を生じさせ、の反応を促進させると共に生成し
たSi2N2Oの焼結を促進する。このとき、予め種焼結とし
てSi2N2Oを添加しておくとの反応は一層速くなる。
尚、このAlの酸化物の存在により、上述した様に、得
られた焼結体のSi2N2O中にAl2O3の一部又は全部が固溶
してSi2-xAlxO1+xN2-x(O′−サイアロン,0<x<2)
となる。
また、周期表V A,VI A族に属する金属元素の酸化物の
中から選ばれた第2の焼結助剤は、Si3N4への酸素供給
剤として働いていると考えられ、の反応を促進する。
これは、これらの金属元素の価数が極めて変化しやすい
ためである。すなわち、この第2の焼結助剤の添加によ
り、残留Si3N4等を低減して、焼結体を一層緻密化する
ことができる。
の反応はこれらの添加物の存在下で1600℃以上で急
激に進行する。そして1700℃を越えると今度は、の反
応式によって急激に分解する。
3Si2N2O→Si3N4+3SiO+N2 … 焼成工程において、カーボン製の鞘や型を用いた場
合、SiCを添加することにより、の分解を抑制するこ
とができる。これは分解によって生じたSiOが反応活性
なため、周囲のカーボンと反応し、緻密化の障害となる
SiCを焼結体外周部に生成しやすいので、予めSiCを添加
しておくことでこのSiOとCの反応が抑制されるため
の分解を抑制するものと考えられる。このSiCの分解抑
制作用をSiCウイスカを含むSiCにより行わせて緻密体を
形成するとともに、本発明の構成相のもとにおいては、
SiCウイスカ自体による素材の強化作用が効果的に発揮
され、繊維強化セラミックスに高い強度と靭性を具備さ
せることができる。
なお、焼成工程における1気圧以上のN2がの分解を
抑制することは、式から明らかである。
この様に、本発明では、主成分(母材)であるO′−
サイアロンに対して、SiC及びSiCウイスカの添加量を特
定するとともに、第1の焼結助剤の添加量を特定し、更
に第2の焼結助剤の添加量をも特定することによって、
強度及び靭性に加めて優れたO′−サイアロン+SiCウ
イスカ焼結対である繊維強化セラミックスを、分解揮発
させることなく、好適に得ることができる。
つまり、本発明により、分解揮発しやすい難焼結物質
であるSi2N2Oの分解揮発を抑制して、強度及び靭性に優
れた繊維強化セラミックスを好適に得ることができると
いう顕著な効果を奏する。
また、本発明の、O′−サイアロン+SiCウイスカ焼
結体である繊維強化セラミックスは、耐熱性及び耐酸化
性に優れるため、従来のβ−Si3N4(β−サイアロン)
の使用が困難であった高温酸化雰囲気下の条件において
も、使用することができるという利点がある。
更に、本発明の繊維強化セラミックスは、耐摩耗性及
び耐欠損性にも優れている。
[実施例] 本発明の実施例について説明する。
以下に示す各原料を表1に示す割合で配合し、ボール
ミルを用いエタノール中で16時間均一に分散混合した
後、乾燥し、造粒して素地粉末とした。
<原料> (1) Si2N2O成分 Si3N4:平均粒径0.6μm, 純度98%,α率90% SiO2:平均粒径15nm, 純度99.9% Si2N2O:平均粒径1μm, 純度95% 尚、原材料として直接にSi2N2Oを使用しない場合で
も、前記Si3N4及びSiO2を用い、SiCウイスカを混入
して焼成する際にSi2N2Oを生成することが可能である。
(2) 第1の焼結助剤 Alの酸化物 :平均粒径2μm以下 (3) 第2の焼結助剤 周期表V A,VI A族の金属元素の酸化物 :平均粒径2μm以下、 (4) SiC SiC粉末:平均粒径1.6μm, 純度96% SiCウイスカ:平均直径0.6μm 長さ10〜80μm この素地粉末を、表2に示す温度,圧力,時間,N2
圧でホットプレスにより焼結し,4mm×3mm×40mmの寸法
に加工して試料No.1〜15とした。尚、試料No.1が本発明
の範囲の実施例であり、試料No.2〜15が比較例である。
その後、試料について、室温及び1000℃における曲げ
強度(JIS−R1601に基づく抗折強度),破壊靭性(イン
デンティションマイクロフラクチャー、荷重10kg),ビ
ッカース硬度(荷重10kg)を測定した。また、試料中の
結晶相をX線回折を用いて同定し、その結果を上記各試
験結果とともに表3に記した。
なお、電子顕微鏡による試料観察,X線回折の結果よ
り、SiCウイスカは他の成分と化学的に反応することな
く、試料にウイスカ形状で分散,残留していることが確
認された。
表1,表2及び表3から次のことが分かった。
本発明の範囲の試料No.1のものは、室温及び1000℃
における大きな曲げ強度、大きな破壊靭性、大きなビッ
カース硬度を有する優れた繊維強化セラミックスであ
る。
試料No.2,3のように、第1の焼結助剤、第2の焼結
助剤及びSiCウイスカを含むSiCを含有しない場合には、
緻密化しない。
焼結助剤を添加しても、SiCウイスカを使用しない
場合には、試料No.4のようにSi2N2O成分が成分揮発する
ために、焼結できないか、試料No.5のように低温で焼結
しても機械的強度の低いものしか得られない。
試料No.6のように、SiCウイスカを含むSiCが5重量
%より少ないと、Si2N2Oの分解揮発を抑制することがで
きない。
試料No.7のように、SiCウイスカを含むSiCが40重量
%より多く添加されている場合には、第2の焼結助剤が
添加されていないと緻密化できない。すなわち、第2の
焼結助剤の添加により、焼結性が向上し、SiCウイスカ
が40重量%以上添加されていても緻密化できる。
試料No.8のように、Si2N2O成分とSiCウイスカを含
むSiCだけでは緻密化できない。
試料No.9のように、焼結助剤の添加量が1重量%よ
り少ない場合には、第1の焼結助剤だけでは緻密化でき
ない。
試料No.10のように、焼結助剤が30重量%以上添加
されている場合には、熱間強度が低下する。
試料No.11のように、SiCウイスカが全体の5重量%
以上添加されていない場合には、十分な靭性を示さな
い。
また、第2の焼結助剤を加えた場合であっても、試
料No.12のように第2の焼結助剤の量が多すぎる場合に
は、機械的強度が小さくなり、試料No.13のように第1
及び第2の焼結助剤の総量が30重量%を越えると熱間強
度が低下する。さらに試料No.14,15のように、焼結助剤
の量が少ないと分割揮発する。
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、
本実施例の要旨を逸脱しない範囲内で各種の態様で実施
できることは勿論である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Alの酸化物からなる第1の焼結助剤と、 周期表V A,VI A族に属する金属元素の酸化物の中から選
    ばれた1種又は2種以上からなる第2の焼結助剤と、 を用いて焼結されてなる繊維強化セラミックスにおい
    て、 主成分であるO′−サイアロンと、 SiCウイスカを含むSiCと、 を含むとともに、 上記各成分の組成として、SiCを5〜50重量%で、その
    うちSiCウイスカを全成分の5重量%以上とするととも
    に、上記第2の焼結助剤を0.05〜5重量%としたことを
    特徴とする繊維強化セラミックス。
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