JPH09181389A - 自励発振型半導体レーザ装置 - Google Patents

自励発振型半導体レーザ装置

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JPH09181389A
JPH09181389A JP7339697A JP33969795A JPH09181389A JP H09181389 A JPH09181389 A JP H09181389A JP 7339697 A JP7339697 A JP 7339697A JP 33969795 A JP33969795 A JP 33969795A JP H09181389 A JPH09181389 A JP H09181389A
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semiconductor
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忠士 竹岡
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    • H01S5/2219Structure or shape of the semiconductor body to guide the optical wave ; Confining structures perpendicular to the optical axis, e.g. index or gain guiding, stripe geometry, broad area lasers, gain tailoring, transverse or lateral reflectors, special cladding structures, MQW barrier reflection layers having a ridge or stripe structure comprising special burying or current confinement layers having special optical properties absorbing

Abstract

(57)【要約】 【課題】 垂直方向放射角θ⊥を小さく維持したまま、
高温で安定に動作する低雑音の自励発振型半導体レーザ
装置を提供する。 【解決手段】 第1導電型の半導体基板11と、半導体
基板11上に設けられ、活性層14を含む積層構造とを
備えた自励発振型半導体レーザ装置であって、積層構造
は、活性層14の下方に設けられた第1導電型の第1ク
ラッド層13と、活性層の上方に設けられ、ストライプ
状リッジ部分を有する第2導電型の第2クラッド層15
と、第2クラッド層15上に設けられた可飽和吸収膜1
8とを含んでいる。可飽和吸収膜18は、光励起キャリ
アを蓄積する蓄積領域18bを有し、蓄積領域18は、
第2クラッド層14の表面から離れた位置に設けられて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自励発振型半導体
レーザ装置に関し、更に詳細には、光ディスク等の記録
再生用光源に適した低雑音の自励発振型半導体レーザ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】単一軸モードで発振する半導体レーザ装
置に、光ディスク等によって反射されたレーザ光が入射
すると、光干渉のために発振状態が不安定に変化し、雑
音の原因となる。このような雑音は、「戻り光による雑
音」と呼ばれ、半導体レーザ装置を光ディスク等の広く
再生用光源に使用する場合の大きな支障となる。
【0003】この戻り光による雑音を低減するために、
半導体レーザ装置の駆動電流に高周波を重畳させること
が行われてきた(高周波重畳法)。駆動電流に高周波が
重畳されると、高周波の位相に同期したレーザ光パルス
列が生成されることになる。その際、レーザ発振モード
が極めて短い時間(例えば、約2ナノ秒の間)に変化
し、それに応じてレーザ光パルス列の波長が僅かな範囲
(例えば、中心波長±2nm)内で不連続に変化する。
その結果、レーザ光が半導体レーザ装置に戻ってきた時
刻において発振状態にあるレーザ光と戻り光との間で可
干渉性(コヒーレンス)が失われ(非コヒーレント
化)、レーザ発振状態の不安定な変動が抑制される。そ
の結果、戻り光による雑音の発生が防止される。
【0004】しかし、この方法によれば、高周波電流を
生成するための回路が特別に必要となるため、半導体レ
ーザ装置を組み込むべき装置(例えば、光ディスクの再
生装置)の小型化に適していなかった。
【0005】近年、半導体レーザ装置の自励発振(セル
フパルセーション)という現象を利用して、高周波電流
生成のための回路が不要となる半導体レーザ装置が開発
されつつある。このような半導体レーザ装置は、自励発
振型半導体レーザ装置と呼ばれ、可飽和吸収領域を半導
体レーザ装置の光導波路部分内に備えている。自励発振
型半導体レーザ装置では、駆動用直流電流に高周波電流
を重畳しなくとも、可飽和吸収領域の働きによってレー
ザ発振モードが極めて短い時間に周期的に変化し、前述
の低雑音化が達成される。
【0006】以下に、図面を参照しながら、自励発振型
半導体レーザ装置の従来例を説明する。
【0007】図8の半導体レーザ装置は、n型GaAs
基板41と、その上に成長した半導体積層構造とを備え
ている。この半導体積層構造は、基板側から順番に、n
型のバッファ層42、n型の第1クラッド層43、活性
層44及びp型の第2クラッド層45を含んでいる。第
2クラッド層45は、ストライプ状リッジ部分を有して
おり、そのリッジ部分の両側(非リッジ部分)は、リッ
ジ部分より薄くなっている。第2クラッド層45のリッ
ジ部分の上には、p型中間層46を介して、p型コンタ
クト層47が形成されている。ストライプ状リッジの両
側には、n型のGaAs埋込層49が形成されている。
光の水平横方向に関する閉じ込めは、リッジのある部分
と無い部分との間に形成される等価的な屈折率差によっ
て達成される。半導体積層構造の上面にはp側電極41
0が設けられており、基板41の裏面にはn側電極41
1が設けられている。両電極410及び411の間に
は、レーザ光生成に必要なキャリアを活性層44に注入
するための電圧が印加される。
【0008】p型の半導体層とn型のGaAs埋込層4
9との間のpn接合には逆バイアスが印加されるため、
電流はGaAs埋込層49を流れず、ストライプ状リッ
ジ部分に狭窄される。その結果、電流は、活性層44の
うち選択された領域(ストライプ状リッジの直下に位置
する領域)を流れる。活性層44のうち、所定のレベル
を越える大きさの電流が流れる領域はレーザ光に対して
「利得領域」として機能するが、それ以外の領域は「可
飽和吸収領域」として機能する。以下、この可飽和吸収
領域の働きを説明する。
【0009】可飽和吸収領域はレーザ光に対する利得領
域としてではなく、吸収領域として機能するが、その吸
収する程度(光吸収量)は、可飽和吸収領域中に存在す
る光励起キャリアの密度に依存する。ここで、「光励起
キャリア」とは、レーザ光を吸収することによって価電
子帯から伝導帯へ励起された電子およびホールを意味す
る。図9は、光吸収量と光励起キャリア数(密度)との
関係を示している。図9からわかるように、光吸収量
は、光励起キャリア密度が高くなるほど低下し、光励起
キャリア密度が低くなるほど増加する。可飽和吸収領域
の光吸収量が周期的に変動すれば、半導体レーザ装置の
内部損失も周期的に変動するので、レーザ発振に必要な
閾値電流密度も周期的に変動する。その結果、駆動電流
が一定に維持されていても実質的に駆動電流を変化させ
た効果と同様の効果が現れ、自励発振が達成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術においては、以下に説明する問題がある。
【0011】レーザ光は、活性層44の利得領域だけで
はなく、その外側に位置する可飽和吸収領域にも広がっ
て分布する。自励発振のためには、レーザ光の分布領域
と可飽和吸収領域との重複部分を出来る限り広くするこ
とが要求される。そのためには、活性層44を厚くする
ことによって可飽和吸収領域を大きくするか、あるい
は、第2クラッド層45の非リッジ部分を厚くすること
によってレーザ光の分布領域を水平横方向に拡大する必
要がある。
【0012】このようにして、レーザ光の分布領域と可
飽和吸収領域との重複部分を広くすると、以下に述べる
2つの点で問題が生じる。
【0013】まず、第1に、活性層44を厚くすると、
垂直方向の光閉込効果が強くなる結果、レーザ光の垂直
方向放射角θ⊥が広がってしまうという問題がある。レ
ーザ光の水平方向放射角θ‖は、典型的には、8〜10
°であり、これはストライプ状リッジの幅によって決定
される。これに対して、レーザ光の垂直方向放射角θ⊥
は、活性層44の厚さに依存し、活性層44が自励発振
達成のために必要な厚さを持つ場合、約40°にもな
る。垂直方向放射角θ⊥が大きいほど、放射されたレー
ザ光の楕円率は大きくなる。楕円率が大きくなりすぎる
と、レンズによる集光効率が低下するなどして、光ディ
スク用光源として不利となる。一方、楕円率の低下を目
的として、活性層44を薄くすると、今度は、自励発振
が生じなくなる。例えば、井戸層の厚さが6nmの多重
量子井戸(MQW)構造を持つ活性層を用いた場合、自
励発振のためには、井戸層の数は8以上であることが必
要であり、7以下では自励発振が生じないという実験結
果もある。光ディスク用光源として好ましい楕円率を得
るには、井戸層数は7以下であることが好ましい。
【0014】次に、第2クラッド層45のドーピングレ
ベルに関する問題がある。
【0015】一般的に、第2クラッド層45の不純物の
ドーピングレベルを高くすることによって、活性層44
からのキャリアのオーバフローが抑制されることが知ら
れている。キャリアのオーバフローは、半導体レーザ装
置の動作温度が高くなるほど、生じやすくなる。キャリ
アの持つ運動エネルギが増加するからである。キャリア
が活性層44からオーバフローすると、無効電流が増加
するため、動作電流が増加してしまう。キャリアのオー
バフローを抑制するためには、第2クラッド層45の不
純物のドーピングレベルを高くすることによって、活性
層44に対する第2クラッド層45の障壁高さを大きく
することが有効な手法として知られている。
【0016】しかしながら、図8の半導体レーザ装置に
おいて、第2クラッド層45のドーピングレベルを高く
すると、第2クラッド層45の電気抵抗率が低下するた
め、第2クラッド層45の非リッジ部分を電流が水平横
方向に広がって流れることになる。例えば、第2クラッ
ド層45に約1×1018cm-3以上のp型不純物をドー
プすれば、自励発振を達成することはできなくなる。理
由は、可飽和吸収領域に電流が流れ込むと、そこに利得
が生じるために光吸収機能が失われ、その結果、可飽和
吸収領域として機能しなくなるからである。より正確に
は、可飽和吸収領域として機能しえる領域が、レーザ光
の分布領域から遠ざかる方向に移動し、レーザ光と可飽
和吸収領域との相互作用の程度が著しく低下するからで
ある。従って、図8に示すような半導体レーザ装置にお
いては、第2クラッド層45の不純物のドーピングレベ
ルを高くすることはできない。そのため、従来の自励発
振型半導体レーザ装置によれば、キャリアオーバフロー
のために高温動作が困難であった。
【0017】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、垂直方向放
射角θ⊥を小さく維持したまま、高温で安定に動作する
低雑音の自励発振型半導体レーザ装置を提供することに
ある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の自励発振型半導
体レーザ装置は、第1導電型の半導体基板と、該半導体
基板上に設けられ、活性層を含む積層構造とを備えた半
導体レーザ装置であって、該積層構造は、該活性層の下
方に設けられた第1導電型の第1クラッド層と、該活性
層の上方に設けられ、ストライプ状リッジ部分を有する
第2導電型の第2クラッド層と、該第2クラッド層上に
設けられた可飽和吸収膜とを含んでおり、該可飽和吸収
膜は、光励起キャリアを蓄積する蓄積領域を有し、該蓄
積領域は、該第2クラッド層の表面から離れた位置に設
けられ、そのことにより上記目的を達成することができ
る。
【0019】ある実施形態では、前記可飽和吸収膜は、
第1のバンドギャップを有する第1の障壁半導体層と、
該第1のバンドギャップよりも小さな第2のバンドギャ
ップを有する井戸半導体層と、該第2のバンドギャップ
よりも大きな第3のバンドギャップを有する第2の障壁
半導体層とを含んでいる。
【0020】前記蓄積領域中の光励起キャリアが、前記
可飽和吸収膜と前記第2のクラッド層との界面に存在す
る非発光結合中心によって再結合しないように、前記第
1の障壁半導体層の厚さは設定されていることが好まし
い。前記第1の障壁半導体層の厚さは、約10nm以上
であることが好ましい。
【0021】ある実施形態では、前記第1半導体層は第
1のAlGaAsから形成され、前記第2半導体層はG
aAsから形成され、前記蓄積領域として機能し、前記
第3半導体層は第2のAlGaAsから形成されてい
る。
【0022】ある実施形態では、前記可飽和吸収膜は、
多重量子井戸構造を有しており、該多重量子井戸構造中
の複数の井戸層が前記蓄積領域として機能する。
【0023】ある実施形態では、レーザ光を吸収する半
導体埋込層が前記可飽和吸収膜上に設けられている。前
記半導体埋込層はGaAsから形成されていてもよい。
【0024】前記第2クラッド層には、約1×1018
-3以上の第2導電型不純物がドープされていることが
好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。
【0026】本発明の半導体レーザ装置は、活性層とは
別にストライプ状リッジ構造の外側に設けられた可飽和
吸収膜(可飽和吸収領域)を備えている。この可飽和吸
収膜は、光励起キャリアを蓄積する領域を内部に有して
おり、この蓄積領域は上部クラッド層(第2クラッド
層)の表面(再成長界面)から離れている。このような
蓄積領域は、可飽和吸収膜内で生じた励起キャリアを埋
込層内部へ逃がすことなく、可飽和吸収膜中に蓄積する
ため、自励発振を引き起こすことができる。特に、励起
キャリアが、再成長界面から離れた位置に蓄積される結
果、非発光再結合中心にトラップされることがなく、可
飽和吸収領域としての高い機能を発揮することができ
る。
【0027】以下に、図面を参照しながら、本発明の実
施例を説明する。
【0028】(実施例1)まず、本発明をAlGaIn
P系の半導体レーザ装置に適用した実施例を図1を参照
しながら説明する。
【0029】図1の半導体レーザ装置は、n型(第1導
電型)のGaAs基板11と、その上にエピタキシャル
成長した複数の半導体層を含む半導体積層構造とを備え
ている。
【0030】半導体積層構造は、基板11の側から順番
に、n型のGaAsバッファ層(n型不純物:Si、不
純物濃度:1×1018cm-3、厚さ:200nm)1
2、n型の(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1クラッ
ド層(n型不純物:Si、不純物濃度:1×1018cm
-3、厚さ:1200nm)13、GaInP活性層(厚
さ:400nm)14及びp型(第2導電型)の(Al
0.7Ga0.30.5In0.5P第2クラッド層(p型不純
物:Be、不純物濃度:約1.5×1018cm-3、厚
さ:1200nm)15を含んでいる。
【0031】第2クラッド層15は、この実施例では、
幅3.5から4.5μmのストライプ状リッジ部分15
aを有しており、そのリッジ部分15aの両側は、リッ
ジ部分より薄くなっている。リッジ部分の幅は、水平横
方向に沿う利得領域の分布幅、ひいてはレーザ光のビー
ム幅を決定する。第2クラッド層15のうち、このよう
に薄くなっている部分を、便宜上、クラッド層の「非リ
ッジ部分(15b)」と称することとする。第2クラッ
ド層15の厚さは、リッジ部分15aにおいては、約
0.8〜1.2μmで、非リッジ部分15bでは、約
0.10〜0.25μmである。可飽和吸収膜へ光を分
布させるという観点から非リッジ部分15bの厚さは、
約0.10〜0.15μmの範囲内にあることが好まし
い。
【0032】第2クラッド層15のリッジ部分15aの
上には、p型GaInP中間層(p型不純物:Be、不
純物濃度:1×1019cm-3、厚さ:50nm)16を
介して、p型GaAsコンタクト層(p型不純物:B
e、不純物濃度:1×1019cm-3、厚さ:500n
m)17が形成されている。第2クラッド層15のリッ
ジ部分15a、p型中間層16及びp型コンタクト層1
7によって、「ストライプ状リッジ構造」が形成され、
電流の狭窄経路となっている。
【0033】ストライプ状リッジ構造の両側面、および
第2クラッド層15の非リッジ部分15bの表面は、可
飽和吸収膜18によって覆われている。本実施例の可飽
和吸収膜18は、第1のAl0.6Ga0.4As層(n型不
純物:Si、不純物濃度:1×1018cm-3、厚さ:約
20nm)18a、GaAs層(n型不純物:Si、不
純物濃度:2×1018cm-3、厚さ:約30nm)18
b及び第2のAl0.6Ga0.4As層(n型不純物:S
i、不純物濃度:1×1018cm-3、厚さ:約20n
m)18cを積層した構成を有している。可飽和吸収膜
18は、本発明の半導体レーザ装置において重要な働き
をするので、可飽和吸収膜18の構成と働きについて
は、あとで詳細に説明する。
【0034】可飽和吸収膜18上には、ストライプ状リ
ッジ構造を埋め込むように、n型のGaAs埋込層(n
型不純物:Si、不純物濃度:1×1018cm-3、厚
さ:1000nm)19が形成されている。
【0035】n型のGaAs埋込層19とp型コンタク
ト層17の上には、p側電極(厚さ:100nm)11
0が設けられており、基板の裏面にはn側電極(厚さ:
100nm)111が設けられている。n型のGaAs
埋込層19と各p型半導体層との間に形成されるpn接
合には、逆バイアスが印加されるので、電流はGaAs
埋込層19によって「ストライプ状リッジ構造」内に狭
窄されて流れる。
【0036】次に、図2(a)から(b)を参照しなが
ら、図1の半導体レーザ装置を製造する方法の一例を説
明する。
【0037】まず、図2(a)に示すように、公知の分
子線エピタキシャル成長(MBE)法を用いて、基板1
1上に、n型のバッファ層12、n型の第1クラッド層
13、活性層14、p型の第2クラッド層15、p型中
間層16、およびp型コンタクト層17を成長させる。
【0038】次に、図2(b)に示すように、公知のフ
ォトリソグラフィおよびエッチング技術を用いて、p型
コンタクト層17、p型中間層16及び第2クラッド層
15のうちのストライプ状リッジ構造となる部分以外の
部分を、選択的に除去する。このようなストライプ状リ
ッジ構造を形成するための工程は、MBE装置内では行
えないので、基板11をMBE装置からいったん外に取
り出して行う。エッチングによって露出した各半導体層
15、16及び17の表面には、エッチャントや大気中
の水蒸気、またはマスク材料等がコンタミネーションと
して残留する。なお、用いるエッチング技術としては、
ウェットエッチング法、ドライエッチング法、またはこ
れらを組み合わせたエッチング法のいずれを用いても良
い。
【0039】次に、再び、基板をMBE装置内にロード
して、半導体層の「再成長」を行う。具体的には、第1
のAl0.6Ga0.4As層18a、GaAs層18b、第
2のAl0.6Ga0.4As層18c、GaAs埋込層19
を連続して成長させる。「再成長」の前には、MBE装
置内において、前述のコンタミネーションを除去するた
めに清浄化工程を実行する。しかし、完全な除去は不可
能なため、ストライプ状リッジ構造の表面と再成長半導
体層(第2のAl0.6Ga0.4As層18c)との界面に
は、非発光再結合中心(界面トラップ)が形成される。
【0040】次に、基板11をMBE装置から取り出し
た後、ストライプ状リッジ構造の上部を覆うように成長
したn型の各半導体層18a、18b、18c及び19
の一部を選択的にエッチングする。こうして、図2
(c)に示すように、平坦な上面を持つ構造を形成す
る。このエッチングは、コンタクト層17が露出するま
で行う。次に、例えば、スパッタリング法を用いて上記
平坦な面上にAu−Zn膜を堆積することによってp側
電極110を形成し、基板11の裏面にAu−Ge−N
i膜を堆積することによってn側電極111を形成す
る。この後、半導体レーザ装置の通常の製造工程を経
て、図1に示す半導体レーザ装置が製造される。
【0041】以下に、図3(a)及び(b)を参照しな
がら、可飽和吸収膜18の構成と働きを詳細に説明す
る。
【0042】本実施例の可飽和吸収膜18は、第1のバ
ンドギャップ(Eg1=約2.0eV)を有する第1の
Al0.6Ga0.4As層(第1の障壁半導体層)18a
と、第1のバンドギャップよりも小さな第2のバンドギ
ャップ(Eg2=約1.42eV)を有するGaAs層
(井戸半導体層)18bと、第2のバンドギャップより
も大きな第3のバンドギャップ(Eg3=約2.0e
V)を有する第2のAl0.6Ga0.4As層(第2の障壁
半導体層)18cとを含んでおり、これらの半導体層に
よってダブルヘテロ構造が形成されている。このような
構造によって、図3(a)に示すようなポテンシャルの
井戸が形成されている。このポテンシャルの井戸部分に
位置するGaAs層(井戸半導体層)18bは、レーザ
光を吸収し、励起キャリアを発生するようなバンドギャ
ップを持つ半導体層から形成される。そのような半導体
層であれば、井戸半導体層18bは、GaAs以外の半
導体から形成されても良い。
【0043】井戸半導体層18bを挟み込む2つのAl
0.6Ga0.4As層18a及び18cは、何れも、井戸半
導体層18bがレーザ光を吸収することによって発生し
た励起キャリアにとって、十分な障壁となる材料から形
成されている。Al混晶比を調整することにより、Al
xGa1-xAs層18a及びAlyGa1-yAs層18cの
バンドギャップを制御し、井戸半導体層18bのバンド
ギャップに対して、十分大きな高さのポテンシャルの障
壁を形成する。電子についての障壁の高さは、例えば約
0.15eV以上であることが好ましい。障壁層として
機能すれば、2つのAlxGa1-xAs層18a及びAl
yGa1-yAs層18cの組成は、同一である必要はな
い。
【0044】なお、第1のAl0.6Ga0.4As層18a
は、GaAs層18bで生じた励起キャリアが再成長界
面上の非発光再結合中心(界面トラップ)によって再結
合しないように機能する。このため、第1のAl0.6
0.4As層18aは、励起キャリアが再成長界面に到
達しない厚さにする必要がある。ただし、第1のAl
0.6Ga0.4As層18aを厚くしすぎると、可飽和吸収
膜におけるレーザ光の分布強度が小さくなるため、自励
発振が生じにくくなる。
【0045】図4を参照しながら、第1のAl0.6Ga
0.4As層18aの好ましい厚さの範囲を説明する。
【0046】図4の破線は、図1の半導体レーザ装置に
おいて、再成長界面における非発光再結合から影響を受
けない程度を示している。言い換えると、破線は、再成
長界面による非発光再結合レートの逆数を表現してい
る。第1のAl0.6Ga0.4As層18aの厚さが約10
0オングストローム(約10nm)より薄くなると、急
激に、再成長界面からの影響を受けやすくなる。このた
め、第1のAl0.6Ga0.4As層18aの厚さは、約1
00オングストローム(約10nm)以上であることが
好ましい。また、井戸半導体層18bにおけるレーザ光
強度は、そのピーク強度の3分の1程度は必要であると
考えられる。図1の半導体レーザ装置の場合、レーザ光
の強度がピーク強度の約3分の1程度以下に低下する位
置は、再成長界面からの距離が約3000オングストロ
ームを越える位置にある。このため、第1のAl0.6
0.4As層18aの厚さは、約100オングストロー
ムから約3000オングストロームの範囲内に設定され
ることが好ましい。
【0047】一方、第2のAl0.6Ga0.4As層18c
は、励起キャリアがGaAs埋込層19の内部に拡散し
ないような障壁として機能する厚さであれば良い。第2
のAl0.6Ga0.4As層1層18cの厚さが薄すぎる
と、励起キャリアは、第2のAl0.6Ga0.4As層18
c中をトンネリングする可能性がある。この点から、本
実施例の場合、第2のAl0.6Ga0.4As層18cは、
約200nm以上の厚さを持つことが必要である。ま
た、障壁層としては、その厚さは約50nmもあれば十
分であるので、それ以上厚くしても、キャリア蓄積の効
果はそれほど増加しない。ただし、酸化しやすいAlを
含む層は素子劣化防止のためにできるだけ薄くすること
が好ましいので、第2のAl0.6Ga0.4As層18cの
厚さは、約100nm以下にすることが好ましい。
【0048】GaAs層18bの厚さは、活性層14で
発生したレーザ光と十分に相互作用を行い、それによっ
て自励発振を引き起こすような厚さに設定される。レー
ザ光の強度は活性層14から遠ざかるについて低下する
ため、レーザ光とGaAs層18bとの相互作用の程度
は、活性層14とGaAs層18bとの距離に依存す
る。このため、GaAs層18bの好ましい厚さは、活
性層14とGaAs層18bとの距離を考慮して最適化
される。活性層14とGaAs層18bとの距離が比較
的に小さい場合(例えば、約0.10μm)は、レーザ
光とGaAs層18bとの相互作用の程度が強いので、
比較的に薄いGaAs層(例えば、約15nm)18b
であっても、自励発振を引き起し得る。GaAs層18
bを厚くしすぎてレーザ光と相互作用しない位置にまで
GaAs層18bの一部が存在したとしても、その部分
のGaAs層18bは励起キャリアの発生に実質的には
寄与しない。このため、GaAs層18bの表面の位置
は、レーザ光の分布強度がピーク値の例えば約30%に
低下する位置よりも、活性層14に近い側に配置される
ことが好ましい。このように、GaAs層18bの好ま
しい厚さは、第1のAl0.6Ga0.4As層1層18aの
厚さや、第2クラッド層15の厚さに依存する。
【0049】以上説明してきたように、本実施例の半導
体レーザ装置装置は、励起キャリア蓄積領域を持つ可飽
和吸収膜18をGaAs埋込層19の下に備えている。
このことによって、活性層の厚さを比較的に薄く維持し
たままで、高温でも安定に自励発振を引き起こすことが
できる。図8の構造では、活性層の厚さを55nm程度
以上にする必要があると考えられるところ、本実施例で
は、活性層の厚さは40nmとすることができた。その
結果、垂直方向放射角θ⊥を32°程度にすることがで
きた。なお、図8の従来の半導体レーザ装置において、
多重量子井戸構造を持つ活性層を採用した場合、発明者
の実験によると、井戸層(6nm)の数が7以下では自
励発振が生じず、井戸層の数が10以上の場合に安定な
自励発振が得られることがわかった。これに対して、本
実施例の場合、自励発振の有無は、活性層14の厚さに
依存しない。
【0050】図8に示す半導体レーザ装置のGaAs埋
込層49も、第2クラッド層45のリッジ部分近傍で
は、レーザ光を吸収し、励起キャリアを発生している。
しかし、図3(b)に示すように、GaAs埋込層49
の中でレーザ光の吸収によって生成された励起キャリア
の一部は、再成長界面の非発光再結合中にトラップさ
れ、再結合によって消滅する。また、励起キャリアの残
りは、再成長界面から遠ざかる方向に、GaAs埋込層
49中を拡散していく。この結果、レーザ光の吸収によ
りGaAs埋込層49中で生成された励起キャリアは蓄
積されず、GaAs埋込層49は可飽和吸収領域として
は機能し得ない。
【0051】図5(a)は、図3(a)の構成(「内部
蓄積領域あり」)および図3(b)の構成(「内部蓄積
領域なし」)の両方の場合について、光吸収量のレーザ
光量依存性を示している。図5(a)からわかるよう
に、「内部蓄積領域あり」の場合、光吸収量のレーザ光
量依存性は大きいが、「内部蓄積領域なし」の場合は、
光吸収量のレーザ光量依存性は小さい。
【0052】図5(b)は、図3(a)の構成(「内部
蓄積領域あり」)および図3(b)の構成(「内部蓄積
領域なし」)の両方の場合について、励起キャリア数
(密度)のレーザ光量依存性を示している。図5(b)
からわかるように、「内部蓄積領域あり」の場合、レー
ザ光量に応じて励起キャリアは顕著に増加するが、「内
部蓄積領域なし」の場合は、レーザ光量から増加しても
励起キャリア数は小さいままである。
【0053】本実施例では、前述したように、励起キャ
リアにとってポテンシャルの井戸となる領域をバンドギ
ャップの異なる3つの半導体層(18a、18b及び1
8c)を積層することによって形成し、それによって再
成長層の一部に励起キャリアを蓄積した。しかし、その
ようなポテンシャルの井戸を形成するバンド構造は、図
3(a)に示すものに限定されない。例えば、可飽和吸
収膜18のエネルギバンドギャップを曲線状に又は多段
階に変化させ、それによって励起キャリアを蓄積できる
領域(ポテンシャルの井戸領域)を形成しても良い。た
だし、そのようなキャリア蓄積領域の少なくとも一部
は、レーザ光を吸収するバンドギャップを持つ必要があ
る。
【0054】また、本実施例の可飽和吸収膜18は、第
2クラッド層15の非リッジ部分上だけではなく、リッ
ジ状ストライプ構造の側面上にも存在している。しか
し、第2クラッド層15の非リッジ部分上にのみ配置さ
れるようにしていてもよい。
【0055】更に、本発明は、AlGaInP系の半導
体材料を用いて製造される場合に限定されない。例え
ば、AlGaAs系等の材料を用いても良い。
【0056】(実施例2)まず、本発明をAlGaIn
P系の半導体レーザ装置に適用した他の実施例を図6を
参照しながら説明する。
【0057】図6の半導体レーザ装置は、n型(第1導
電型)のGaAs基板31と、その上に成長した半導体
積層構造とを備えている。
【0058】半導体積層構造は、基板11の側から順番
に、n型のGaAsバッファ層(n型不純物:Si、不
純物濃度:5×1017cm-3、厚さ:500nm)3
2、n型の(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1クラッ
ド層(n型不純物:Si、不純物濃度:5×1017cm
-3、厚さ:1000nm)33、GaInP活性層(厚
さ:350nm)14及びp型(第2導電型)の(Al
0.7Ga0.30.5In0.5P第2クラッド層(p型不純
物:Be、不純物濃度:約1.5×1018cm-3、厚
さ:1000nm)35を含んでいる。
【0059】第2クラッド層35は、この実施例では、
幅3.5から4.5μmのストライプ状リッジ部分35
aを有しており、そのリッジ部分35aの両側は、リッ
ジ部分より薄くなっている。リッジ部分の幅は、水平横
方向に沿う利得領域の分布幅、ひいてはレーザ光のビー
ム幅を決定する。第2クラッド層35のうち、このよう
に薄くなっている部分を、便宜上、クラッド層の「非リ
ッジ部分(35b)」と称することとする。第2クラッ
ド層35の厚さは、リッジ部分35aにおいては、約
0.8〜1.2μmで、非リッジ部分35bでは、約
0.10〜0.20μmである。
【0060】第2クラッド層35のリッジ部分35aの
上には、p型GaInP中間層(p型不純物:Be、不
純物濃度:1×1019cm-3、厚さ:50nm)16を
介して、p型GaAsコンタクト層(p型不純物:B
e、不純物濃度:5×1018cm-3、厚さ:500n
m)17が形成されている。第2クラッド層35のリッ
ジ部分35a、p型中間層36及びp型コンタクト層3
7によって、「ストライプ状リッジ構造」が形成され、
電流の狭窄経路となっている。
【0061】ストライプ状リッジ構造の両側面、および
第2クラッド層35の非リッジ部分35bの表面は、可
飽和吸収膜38によって覆われている。本実施例の可飽
和吸収膜38は、井戸層数が3の多重量子井戸(MQ
W)構造を有している。具体的には、可飽和吸収膜38
は、Al0.6Ga0.4As障壁層とGaAs井戸層とを交
互に積層したものである。前述した理由により、再成長
界面に接するAl0.6Ga0.4As障壁層の厚さは、約1
0nmを越えるようにすることが好ましい。他のAl
0.6Ga0.4As障壁層の厚さには、このような観点から
の制約はない。ただ、Al0.6Ga0.4As障壁層の厚さ
を10nmよりも薄くすると、励起キャリアは、障壁層
をトンネリングすることによって、井戸層間を移動しや
すくなる。本実施例では、他のAl0.6Ga0.4As障壁
層の厚さを4nmに設定した。また、GaAs井戸層の
厚さは10nmに設定した。成長界面に接しないAl
0.6Ga0.4As障壁層の厚さとしては、4〜6nmの範
囲内にあることが好ましく、GaAs井戸層の厚さは、
8〜20nmの範囲内にあることが好ましい。
【0062】本実施例の可飽和吸収膜38は、単に多重
量子井戸構造を備えていればよいのではなく、井戸層
が、レーザ光を吸収し、それによって励起キャリアを生
成するような材料から形成されている必要がある。この
ような性質を持つ材料であれば、井戸層はGaAs以外
の材料から形成されていても良い。
【0063】自励発振のためには、可飽和吸収膜38の
励起キャリア寿命をレーザ光の自励発振の周期程度に短
くし、それによって、励起キャリアの数の変化を自励発
振周期と同じ程度の時間で生じさせる必要がある。自励
発振周期は、数ナノ秒程度である。本実施例の可飽和吸
収膜38によれば、励起キャリアの変化速度は、2〜3
ナノ秒程度と比較的に短くなる。これは、ヘテロ界面で
のキャリア再結合の影響によって、キャリア寿命が短縮
されためである。本実施例の場合、ヘテロ界面の数が多
いため、実施例1の可飽和吸収膜に比較して、より短い
時間で励起キャリア数が変化する。その結果、本実施例
では自励発振が生じやすくなる。
【0064】また、多重量子井戸構造を持つ可飽和吸収
膜38は、その比較的に多いヘテロ界面のために、電流
ブロック機能をも併せ持つ。このような可飽和吸収膜3
8がストライプ状リッジ構造を覆っているので、電流を
よりいっそう効率的にストライプ状リッジ構造内に狭窄
できる。
【0065】可飽和吸収膜38上には、ストライプ状リ
ッジ構造を埋め込むように、n型のGaAs埋込層(n
型不純物:Si、不純物濃度:5×1017cm-3、厚
さ:800nm)39が形成されている。
【0066】n型のGaAs埋込層39とp型コンタク
ト層37の上には、p側電極(厚さ:100nm)31
0が設けられており、基板の裏面にはn側電極(厚さ:
100nm)311が設けられている。n型のGaAs
埋込層39と各p型半導体層との間に形成されるpn接
合には、逆バイアスが印加されるので、電流はGaAs
埋込層39によって「ストライプ状リッジ構造」内に狭
窄されて流れる。
【0067】上述の構成を持つ半導体レーザ装置は、可
飽和吸収膜38の形成工程を除けば、図2(a)〜
(c)を参照して説明した製造方法と同様の方法によっ
て製造される。また、可飽和吸収膜38の形成工程自体
は、通常の多重量子井戸層を形成する工程と同じでよ
い。
【0068】次に、本発明が図8の従来例に対して持つ
利点を、図7を参照しながら説明する。従来例では可飽
和吸収領域を大きくするために、活性層を厚くする必要
があり、そのため垂直方向放射角θ⊥が大きくなる。し
かし、本発明では、可飽和吸収膜の構成やサイズを、活
性層の構成やサイズとは独立して決定できるので、自励
発振のため活性層を厚くする必要がない。
【0069】また、従来例では、第2クラッド層のドー
ピングレベルを高くできないので、キャリアのオーバフ
ローのため、高温動作が困難である。しかし、本発明で
は、第2クラッド層のドーピングレベルを高くできるの
で、キャリアのオーバフローを抑制し、高温動作(例え
ば、60℃以上)が可能となる。
【0070】なお、上記何れの実施例でも、活性層とし
てバルク層を用いたが、多重量子井戸(MQW)層を用
いても良い。また、光ガイド層で活性層を挟むSCH
(Separation Confinement Heterostructure)構造を採
用してもよい。
【0071】GaAs埋め込み層の代わりに、AlGa
As埋め込み層を用いても良く、これらの埋め込み層に
代えて、抵抗率の高い電流ブロック層を含む構造を設け
ても良い。各半導体層の導電型についても、上記各実施
例の場合に限定されず、それらの反対の導電型であって
もよい。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、活性層の厚さや構造に
依存することなく、独立して、可飽和吸収膜の構造やサ
イズを決定することができる。また、第2クラッド層の
ドーピングレベルを高くすることができる。このため、
本発明によれば、垂直方向放射角θ⊥を小さく維持した
まま、高温で安定に動作する低雑音の自励発振型半導体
レーザ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自励発振型半導体レーザ装置の実
施例を示す断面図。
【図2】(a)から(c)は、図1の自励発振型半導体
レーザ装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】(a)は本発明による半導体レーザ装置におけ
る再成長界面付近のバンドダイヤグラム、(b)は従来
の半導体レーザ装置における再成長界面付近のバンドダ
イヤグラム。
【図4】第1のAlGaAs障壁層の好ましい厚さを示
すグラフ。
【図5】(a)は、レーザ光量と光吸収量との関係を示
すグラフ、(b)はレーザ光量と励起キャリア数との関
係を示すグラフ。
【図6】本発明による自励発振型半導体レーザ装置の他
の実施例を示す断面図。
【図7】本発明による自励発振型半導体レーザ装置と従
来例との比較図。
【図8】自励発振型半導体レーザ装置の従来例を示す断
面図。
【図9】可飽和吸収膜における励起キャリア数と光吸収
量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
11 n型(第1導電型)のGaAs基板 12 n型のGaAsバッファ層 13 n型の(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1クラ
ッド層 14 GaInP活性層 15 p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第2クラッ
ド層 15a リッジ部分 15b 非リッジ部分 16 p型中間層 17 p型コンタクト層 18 可飽和吸収膜 18a 第1のAl0.6Ga0.4As層 18b GaAs層 18c 第2のAl0.6Ga0.4As層 19 n型のGaAs埋込層 110 p側電極 111 n側電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅原 章義 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の半導体基板と、該半導体基
    板上に設けられ、活性層を含む積層構造とを備えた自励
    発振型半導体レーザ装置であって、 該積層構造は、 該活性層の下方に設けられた第1導電型の第1クラッド
    層と、該活性層の上方に設けられ、ストライプ状リッジ
    部分を有する第2導電型の第2クラッド層と、該第2ク
    ラッド層上に設けられた可飽和吸収膜とを含んでおり、 該可飽和吸収膜は、光励起キャリアを蓄積する蓄積領域
    を有し、該蓄積領域は、該第2クラッド層の表面から離
    れた位置に設けられている自励発振型半導体レーザ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記可飽和吸収膜は、第1のバンドギャ
    ップを有する第1の障壁半導体層と、該第1のバンドギ
    ャップよりも小さな第2のバンドギャップを有する井戸
    半導体層と、該第2のバンドギャップよりも大きな第3
    のバンドギャップを有する第2の障壁半導体層とを含ん
    でいる請求項1に記載の自励発振型半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記蓄積領域中の光励起キャリアが、前
    記可飽和吸収膜と前記第2のクラッド層との界面に存在
    する非発光結合中心によって再結合しないように、前記
    第1の障壁半導体層の厚さが設定されている請求項2に
    記載の自励発振型半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の障壁半導体層の厚さは、約1
    0nm以上である請求項3に記載の自励発振型半導体レ
    ーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記第1半導体層は第1のAlGaAs
    から形成され、 前記第2半導体層はGaAsから形成され、前記蓄積領
    域として機能し、 前記第3半導体層は第2のAlGaAsから形成されて
    いる、請求項2に記載の自励発振型半導体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 前記可飽和吸収膜は、多重量子井戸構造
    を有しており、該多重量子井戸構造中の複数の井戸層が
    前記蓄積領域として機能する、請求項1に記載の自励発
    振型半導体レーザ装置。
  7. 【請求項7】 レーザ光を吸収する半導体埋込層が前記
    可飽和吸収膜上に設けられている、請求項1から5に記
    載の自励発振型半導体レーザ装置。
  8. 【請求項8】 前記半導体埋込層はGaAsから形成さ
    れている、請求項7に記載の自励発振型半導体レーザ装
    置。
  9. 【請求項9】 前記第2クラッド層には、約1×1018
    cm-3以上の第2導電型不純物がドープされている、請
    求項1に記載の自励発振型半導体装置。
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