JPH0917664A - カレントトランス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、プリント配線基板に対する取付け間
違いを容易に防止できる安価なカレントトランスを得る
ことにある。 【構成】互いに平行な第１枠部12a 及び第２枠部12b の
長手方向両端を互いに平行な一対の第３枠部12c で一体
につないで四角枠形に形成されたフェライトコア12と、
並設された第１巻胴部17及び第２巻胴部18を有して第１
枠部に嵌合されたボビン13と、下面に一対の第１リード
ピン22及び一対の第２リードピン23が夫々突設されると
共に、上面側にコア12が水平な姿勢で接着された台座14
と、両端末部15a をリードピン22に個別に接続して第１
巻胴部に巻装された一次巻線15と、両端末部16a をリー
ドピンに個別に接続して第２巻胴部に巻装された二次巻
線16とを具備する。それにより、両巻線15,16 の自動巻
きを可能とし、ボビン13に対するコア12の向きを目安に
取付け姿勢を決定することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばけい光ランプ等
の放電灯を点灯させるインバータ式点灯装置が備えるイ
ンバータ回路、その他各種産業機器に使用されるカレン
トトランスに関する。

【０００２】

【従来の技術】電流帰還形トランスとも称されている従
来のカレントトランスは、トロイダルコアに一次と二次
のトロイダルコイルを巻き付けて形成され、その構成が
図５および図６に示されている。

【０００３】これらの図中１は合成樹脂などの電気絶縁
物により成形された台座であり、この下面には一対の第
１リードピン２ａ、２ｂと、一対の第２リードピン３
ａ、３ｂとが夫々突設されている。この台座１は、各リ
ードピン２ａ、２ｂ、３ａ、３ｂをプリント配線基板４
に挿入し半田付けすることにより、この基板４の印刷パ
ターンと電気的に接続されるようになっている。

【０００４】台座１上にはトランス本体５が支持されて
いる、この本体５は、リング形をなすトロイダルコア６
と、これに巻き付けられた第１のトロイダルコイル（一
次巻線）７と、同様に巻き付けられた第２のトロイダル
コイル（二次巻線）８とから形成されている。これらの
コイル７、８はトロイダルコア６に対し略左右対称とな
る位置に設けられる。

【０００５】第１のトロイダルコイル７の両端末部７
ａ、７ｂは、夫々台座１の外周部に設けた溝を通って、
台座７の下側に導かれて第１リードピン２ａ、２ｂに個
別に絡げて半田付けされている。同様に、第２のトロイ
ダルコイル８の両端末部８ａ、８ｂは、夫々台座１の外
周部に設けた溝を通って、台座７の下側に導かれて第２
リードピン３ａ、３ｂに個別に絡げて半田付けされてい
る。それにより、両トロイダルコイル７、８の剛性でト
ロイダルコア６は台座１の上方に浮いた状態に支持され
るようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記構成のカレントト
ランスのトランス本体５は、そのトロイダルコア６が小
径なリング状であって、そこに直接トロイダルコイル
７、８を巻き付ける構成であるから、トロイダルコア６
の大きさに合わせて専用に開発された極めて特殊かつ極
めて高価な自動巻線機を用いない限りトロイダルコイル
７、８を自動的に巻き付けることは極めて困難である。
こうした事情から、一般的には手作業でトロイダルコイ
ル７、８が巻かれているので、それに要する工賃がかさ
み、コストを低減する上での障害となっている。

【０００７】また、トロイダルコア６に巻き付けられた
両トロイダルコイル７、８は略左右対称に設けられてい
るから、一次巻線をなす第１トロイダルコイル７と二次
巻線をなす第２トロイダルコイル８とを視覚的に容易に
識別することが困難である。そのため、両コイル７、８
の巻き数が異なっている場合において、プリント配線基
板４に対する取付け間違いを起こし易いという問題があ
る。

【０００８】本発明の目的は、プリント配線基板に対す
る取付け間違いを容易に防止できる安価なカレントトラ
ンスを得ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のカレントトランスは、互いに平行な第１枠
部および第２枠部の長手方向両端を互いに平行な一対の
第３枠部により一体につないで四角枠形に形成されたフ
ェライトコアと、並設された第１巻胴部および第２巻胴
部を有して前記第１枠部に嵌合されたボビンと、下面に
一対の第１リードピンおよび一対の第２リードピンが夫
々突設されるとともに、上面側に前記フライトコアが水
平な姿勢で接着された台座と、前記第１巻胴部に巻き付
けられるとともに両端末部が前記一対の第１リードピン
に個別に接続された一次巻線と、前記第２巻胴部に巻き
付けられるとともに両端末部が前記一対の第２リードピ
ンに個別に接続された二次巻線とを具備したものであ
る。

【００１０】

【作用】前記の構成のカレントトランスは、ボビンを備
えているから、その第１、第２の巻胴部に一次巻線と二
次巻線を個別にセクション巻きすることができ、そし
て、ボビンに巻線をセクション巻きする自動巻きの技術
は一般的な巻線技術であるから、既存の自動巻線機を使
用して両巻線をボビンに巻き付けることができる。

【００１１】また、前記の構成のカレントトランスの四
角枠形をなすフェライトコアは、リードピンが下面に突
設された台座上に水平な姿勢で接着され、その第１枠部
にボビンが嵌合しているため、このコアの第２枠部およ
び一対の第３枠部がコの字に連なってボビンの外側に配
設され、この部分は容易に視認できる。そして、このコ
の字形部分の向きに応じて両巻線の位置が入れ替わるよ
うに変わるから、プリント配線基板に対するカレントト
ランスの取付けに当たって、前記コの字形部分を目安と
して前記コの字形部分が指定の向きであるかどうかを視
認することができる。

【００１２】

【実施例】以下、図１〜図４を参照して本発明の一実施
例を説明する。このカレントトランス１１は、けい光ラ
ンプ等の放電灯を点灯させるインバータ式点灯装置が備
えるインバータ回路の回路部品等に使用されるものであ
って、図１〜図４に示されるようにフェライトコア１２
と、ボビン１３と、台座１４と、一次巻線１５と、二次
巻線１６とを備えて形成されている。

【００１３】トロイダルコアとしてのフェライトコア１
２は、図１および図２に示されるように互いに平行な第
１枠部１２ａおよび第２枠部１２ｂの長手方向両端を互
いに平行な一対の第３枠部１２ｃにより一体につない
で、略ロの字形、言い換えれば、四角枠形をなしてい
る。このコア１２の第１枠部１２ａにはボビン１３が嵌
合されている。

【００１４】ボビン１３は電気絶縁性の合成樹脂製で、
その軸方向に縦割りにされた２分割形である。こうした
２分割構造のボビン１３は、その一対の分割ボビン部材
を第１枠部１２ａを上下から挟んで、互いの合わせ面を
接着、或いは一対の分割ボビン部材に設けた爪と爪係合
部などを機械的に結合させることにより組み立てられ、
それにより、第１枠部１２ａに嵌合固定される。なお、
図１および図３中１３ａは前記分割ボビンの互いの合い
面が作るパーテングラインの一部を夫々示しているとと
もに、後述の接着剤１９による接着止め以前の段階まで
は、ボビン１３は第１枠部１２ａに対して自由に回転で
きる。

【００１５】図１および図２に示されるようにボビン１
３は、軸方向両端部に端部フランジ１３ｂ、１３ｃを個
別に有するとともに、これらの間に中央部フランジ１３
ｄを有している。そして、ボビン１３の一方の端部フラ
ンジ１３ａと中央部フランジ１３ｄとの間の部分は第１
巻胴部１７として形成され、他方の端部フランジ１３ｂ
と中央部フランジ１３ｄとの間の部分は第１巻胴部１７
に並設された第２巻胴部１８として形成されている。

【００１６】台座１４は電気絶縁性の合成樹脂の成形品
である。図１〜図４に示されるように台座１４は、ベー
ス部１４ａの長手方向一端部に設けられて一方の第３枠
部１２ｃおよび一方の端部フランジ１３ｂをその下側か
ら支持する第１支持部１４ｂと、ベース部１４ａの長手
方向他端部に設けられて他方の第３枠部１２ｃおよび他
方の端部フランジ１３ｃをその下側から支持する第２支
持部１４ｃと、ベース部１４ａの長手方向中間部に設け
られて第２枠部１２ｂおよび中央部フランジ１３ｄをそ
の下側から支持する第３支持部１４ｄとを有している。

【００１７】これらの支持部１４ｂ〜１４ｄによって台
座１４の上面側には、ボビン１３が取付けられたフェラ
イトコア１２が水平な姿勢で支持されている。そして、
ボビン１３の一端面およびこの一端面側に位置される一
方の第３枠部１２ｃと第１支持部１４ｂとに渡って、図
１〜図３中２点鎖線で示す接着剤１９が塗布されている
とともに、ボビン１３の他端面およびこの他端面側に位
置される他方の第３枠部１２ｃと第２支持部１４ｃとに
渡って、図１〜図３中２点鎖線で示す接着剤１９が塗布
されている。それにより、台座１４上にフェライトコア
１２およびボビン１３が接着されている。

【００１８】図３および図４に示されるように台座１４
のベース部１４ａの長手方向両端部の下面と、第３支持
部１４ｂの下面には夫々スペーサ突起２０が一体に突設
されている。これらの突起２０は、図４に２点鎖線で示
されるプリント配線基板２１の部品取付け面から台座１
４の下面を浮かせるために設けられている。

【００１９】台座１４には、その第１支持部１４ｂの下
面から下方に向かう一対の第１リードピン２２が突設さ
れているとともに、第２支持部１４ｃの下面から下方に
向かう一対の第２リードピン２３が突設されている。こ
れらリードピン２２、２３はプリント配線基板２１にそ
の部品取付け面側から挿入されて半田付けされるもので
あって、それによりプリント配線基板２１の図示しない
印刷パターンと電気的に接続される。

【００２０】トロイダルコイルとしての前記一次巻線１
５は第１巻胴部１７に巻き付けられ、その両端末部１５
ａ（図４参照）は、プリント配線基板２１の下面（配線
パターン面）側において一対の第１リードピン２２に個
別に絡げられて半田付けされている。同様に、トロイダ
ルコイルとしての二次巻線１６は第２巻胴部１８に巻き
付けられ、その両端末部１６ａ（図１３、図１４参照）
は、プリント配線基板２１の下面側において一対の第２
リードピン２３に個別に絡げられて半田付けされてい
る。

【００２１】なお、図２および図４中２４、２５は、前
記ベース部１４ａと第１〜第３の支持部１４ｂ〜１４ｄ
と前記第２枠部１２ｂとの間に形成された窓孔部であっ
て、これらを端末部１５ａの一方および端末部１６ａの
一方が個別に通って対応するリードピン２２、２３に接
続される。また、前記スペーサ突起２０により、各端末
部１５ａ、１６ａと対応するリードピン２２、２３との
半田付け部分は、プリント回路基板２１の上面（部品取
付け面）に接触しないようになっている。

【００２２】前記構成のカレントトランス１１は、互い
に並設された第１、第２の巻胴部１７、１８を有するボ
ビン１３を備えているから、その両巻胴部１７、１８に
一次巻線１５と二次巻線１６を個別にセクション巻きす
ることができる。そして、ボビン１３の形状は一般的な
ものであるとともに、こうしたボビン１３に両巻線１
５、１６をセクション巻きする自動巻きの技術は、巻線
技術としては一般的な術である。そのため、既存の自動
巻線機を使用して両巻線１５、１６をボビン１３の両巻
胴部１７、１８にセクション巻きをすることができる。
このように一次巻線１５と二次巻線１６とを自動巻きで
きるから、巻線作業に要するコストを低減でき、その分
だけ製造コストを低減できて安価に得ることができるも
のである。

【００２３】なお、巻線処理は、フェライトコア１２の
第１枠部１２ａにボビン１３が回動自在に嵌合された状
態で、かつ、台座１４への接着以前の段階で行われるも
のであって、ボビン１３を固定状態として、その両巻胴
部１７、１８に両巻線１５、１６を巻き付けることによ
ってなされ、その際において巻線１５、１６の移動に伴
いこれらとともにフェライトコア１２が第１枠部１２ａ
を中心に回転されるものである。

【００２４】さらに、前記構成のカレントトランス１１
の四角枠形をなすフェライトコア１２は、リードピン２
２、２３が下面に突設された台座１４上に水平な姿勢で
接着され、その第１枠部１２ａにボビン１３が嵌合して
いるから、このコア１２の第２枠部１２ｂおよび一対の
第３枠部１２ｃは図１および図２に示されるようにコの
字に連なってボビン１３の外側に配設され、このコの字
形部分は容易に視認できる。そのため、左右略対称形の
ボビン１３の向きをフェライトコア１２の前記コの字形
部分により特徴付けることができる。

【００２５】したがって、このカレントトランス１１
は、前記コの字形部分の向きに応じて両巻線１５、１６
の位置が入れ替わるように変わるから、プリント配線基
板２１に対するカレントトランス１１の取付けに当たっ
て、前記コの字形部分を目安として前記コの字形部分が
指定の向きであるかどうかを視認により容易に確認する
ことができる。それにより、カレントトランス１１のプ
リント配線基板２１に対する取付け間違いを容易に防止
できる。

【００２６】また、以上のように台座１４が横置きであ
るので、その上面側に接着して支持されるボビン１３
も、その軸線を水平にした横置き姿勢である。したがっ
て、縦置きとする場合に比較してカレントトランス１１
全体のプリント配線基板２１に対する実装高さを低くで
き、それにより、このトランス１１を備えるインバータ
回路などの機器全体の薄型化に適合できる。

【００２７】

【発明の効果】以上詳記したように本発明に係るカレン
トトランスによれば、既存の自動巻線機を使用して、そ
のボビンの第１、第２の巻胴部に一次巻線と二次巻線を
個別にセクション巻きできるから、製造コストを低減で
き、安価に得ることができるとともに、フェライトコア
の第２枠部および一対の第３枠部がなすコの字部分を目
安として、この部分の向きが指定通りであるのかどうか
を容易に確認でき、それにより、プリント配線基板に対
する取付け間違いを容易に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るカレントトランスの構
成を示す斜視図。

【図２】図１に示されたカレントトランスの構成を示す
平面図。

【図３】図１に示されたカレントトランスの構成を示す
側面図。

【図４】図１に示されたカレントトランスの構成を示す
下面図。

【図５】従来例に係るカレントトランスの構成を分解し
て示す斜視図。

【図６】図５に示されたカレントトランスの構成を一部
断面して示す側面図。

【符号の説明】

１１…カレントトランス、 １２…フェライトコア、 １２ａ…第１枠部、 １２ｂ…第２枠部、 １２ｃ…第３枠部、 １４…台座、 １５…一次巻線、 １５ａ…一次巻線の端末部、 １６…二次巻線、 １６ａ…二次巻線の端末部、 １７…第１巻胴部、 １８…第２巻胴部、 ２２…第１リードピン、 ２３…第２リードピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに平行な第１枠部および第２枠部の長
   手方向両端を互いに平行な一対の第３枠部により一体に
   つないで四角枠形に形成されたフェライトコアと、 並設された第１巻胴部および第２巻胴部を有して前記第
   １枠部に嵌合されたボビンと、 下面に一対の第１リードピンおよび一対の第２リードピ
   ンが夫々突設されるとともに、上面側に前記フライトコ
   アが水平な姿勢で接着された台座と、 前記第１巻胴部に巻き付けられるとともに両端末部が前
   記一対の第１リードピンに個別に接続された一次巻線
   と、 前記第２巻胴部に巻き付けられるとともに両端末部が前
   記一対の第２リードピンに個別に接続された二次巻線と
   を具備したカレントトランス。