JPH09176382A - 温水シール用加硫性ゴム組成物 - Google Patents

温水シール用加硫性ゴム組成物

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JPH09176382A
JPH09176382A JP7349782A JP34978295A JPH09176382A JP H09176382 A JPH09176382 A JP H09176382A JP 7349782 A JP7349782 A JP 7349782A JP 34978295 A JP34978295 A JP 34978295A JP H09176382 A JPH09176382 A JP H09176382A
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copolymer rubber
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルキを含有する温水に対して、体積変化率
および伸び変化率がきわめて少なく、かつ、カーボンブ
ラツクの脱離、表面クラツクの発生が無いゴム材料を提
供する。 【解決手段】 アクリロニトリル−ブタジエン共重合体
の共役ジエン部分を水素化してなるニトリル基含有高飽
和共重合体ゴム90〜50重量%とエチレン−プロピレ
ン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム10〜50重量
%とからなるゴム混合物100重量部に対して、FEF
−LSカーボンブラック10〜100重量部及び有機過
酸化物系加硫剤0.1〜30重量部を配合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温水シール用加硫
性ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル−ブタジエン共重合体
ゴムのブタジエン部分の不飽和結合を水素化したニトリ
ル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン−プロピレン系
共重合体ゴムとの混合組成物は、耐候性・加工性に優
れ、また、耐熱性・耐油性良好なシール用組成物である
ことが知られている(例えば、特開昭61−28363
9号公報、特開平2−124951号公報など)。だ
が、これらのゴム組成物は、とくに自動車部品等のよう
に、耐候性・加工性に優れていることに加えて、高強
度、耐油性等が要求される用途には好適なゴム材料であ
るものの、自動車部品等以外の用途においては、その用
途に特徴的な要求性能を充足するためには不明確な点が
多い。例えば、家庭用あるいは業務用の温水器に使用さ
れる温水シールのように、含有するカルキ(さらし粉)
によって次亜塩素酸が発生する温水に長期間接触する用
途には、その性能が不充分であると考えられていた。
【0003】従来、このような温水器には、エチレン−
プロピレン系共重合体ゴムやアクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ゴム(NBR)等が温水シール用ゴム材料
として使用されていた。しかし、エチレン−プロピレン
系共重合体ゴムの場合は、長期使用により補強剤のカー
ボンブラツクが脱離してしまうことが多い。また、NB
Rは、ゴムの硬化が進行し、ゴム表面に多数のクラツク
が発生するなどして、従来のゴム材料では、かかる要求
を充足するには不十分な場合も生じ、改良手法が望まれ
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者等
が、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン−プ
ロピレン系共重合体ゴムとの混合物を調製し、これをカ
ルキを含有する温水中に長時間浸漬したところ、意外に
も体積変化が小さいこと見出し、この知見に基いて本発
明を完成させるに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体の共役ジエ
ン部分を水素化してなるニトリル基含有高飽和共重合体
ゴム90〜50重量%とエチレン−α−オレフィン系共
重合体ゴム10〜50重量%(これらの合計は100重
量%である)とからなるゴム混合物100重量部に対し
て有機過酸化物系加硫剤0.1〜30重量部を配合して
なる温水シール用加硫性ゴム組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム)本発明で使用す
るニトリル基含有高飽和共重合ゴムは、不飽和ニトリル
−共役ジエン共重合体ゴムまたは不飽和ニトリル−共役
ジエン−エチレン性不飽和モノマー三元共重合体ゴムの
共役ジエン単位部分を水素化したものであり、該共重合
体ゴム中の結合アクリロニトリル含量10〜50重量
%、好ましくは15〜40重量%、ヨウ素価80以下、
好ましくは、60以下を有し、ムーニー粘度(M
1+4 、100℃)は30〜300未満、好ましくは5
0〜200の範囲、さらに好ましくは60〜150の範
囲のゴムである。結合アクリロニトリル含量は、要求性
能に応じて最適の結合アクリロニトリル含量のものが選
択される。
【0007】ヨウ素価が80を超えると、耐熱性および
強度が低下する。ヨウ素価の下限は格別限定されない
が、過度に低いと加硫が困難になる場合があるので、概
して、ヨウ素価が少くとも1のものが用いられる。ムー
ニー粘度が30未満では長期間の高圧下での耐久性が不
充分で、圧縮永久ひずみ、つぶれ(圧縮緩和)が改善さ
れない。また300を越えると混練時の加工性が悪くな
る。
【0008】(不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴ
ム)上記の不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムを
製造するために使用されるモノマーを例示する。不飽和
ニトリルの具体例としては、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げ
られる。
【0009】共役ジエンの具体例としては、1,3−ブ
タジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。
【0010】(不飽和ニトリル−共役ジエン−エチレン
性不飽和モノマー三元共重合体ゴム)さらに、不飽和ニ
トリル−共役ジエン−エチレン性不飽和モノマー三元共
重合体ゴムの製造には、不飽和ニトリル及び共役ジエン
と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーその他のモノ
マーが用いられる。
【0011】そのようなモノマーとしては、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニ
ル系モノマー;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジ
エン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン系モノ
マー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロ
ピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチ
ルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−ヘキシ
ルアクリレート、2−メチル−ペンチルアクリレート、
n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、n−ドテシルアクリレート、メチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレートなどの炭素数1〜18程度
のアルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレー
ト;メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアク
リレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチ
ルアクリレート、エトキシプロピルアクリレートなどの
全炭素数2〜12程度のアルコキシアルキル基を有する
アクリレート;α−またはβ−シアノエチルアクリレー
ト、α−、β−またはγ−シアノプロピルアクリレー
ト、シアノブチルアクリレート、シアノヘキシルアクリ
レート、シアノオクチルアクリレートなどの炭素数2〜
12程度のシアノアルキル基を有するアクリレート;2
−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピル
アクリレートなどのヒドロキシアルキル基を有するアク
リレート;マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタ
コン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ−
n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの
不飽和ジカルボン酸モノおよびジアルキルエステル等が
挙げられる。
【0012】さらに、その他の不飽和カルボン酸エステ
ル系モノマーとしては、ジメチルアミノメチルアクリレ
ート、ジエチルアミノエチルアクリレート、3−(ジエ
チルアミノ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
2,3−ビス(ジフルオロアミノ)プロピルアクリレー
ト等。また、トリフルオロエチルアクリレート、テトラ
フルオロプロピルアクリレート、ペンタフルオロプロピ
ルアクリレート、ヘプタルオロブチルアクリレート、オ
クタフルオロペンチルアクリレート、ノナフルオロペン
チルアクリレート、ウンデカフルオロヘキシルアクリレ
ート、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、ヘプ
タデカフルオロノニルアクリレート、ヘプタデカフルオ
ロデシルアクリレート、ノナデカフルオロデシルアクリ
レート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフ
ルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチ
ルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレ
ート、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、ヘキ
サデカフルオロノニルメタクリレートなどのフルオロア
ルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレート;
フルオロベンジルアクリレート、フルオロベンジルメタ
クリレート、ジフルオロベンジルメタクリレートなどの
フッ素置換ベンジルアクリレートおよびメタクリレー
ト;フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピル
ビニルエーテル、トリフルオロメチルビニルエーテル、
トリフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロ
ピルビニルエーテル、パーフルオロヘキシルビニルエー
テルなどのフルオロアルキルビニルエーテル、o−また
はp−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安
息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレンなどのフッ素含有ビニル系モノマー;さらに、ポ
リエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレング
リコールアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタ
ンアクリレート、ポリエチレングリコールメタアクリレ
ート、ポリプロピレングリコールメタアクリレート、エ
ポキシメタアクリレート、ウレタンメタアクリレートな
どが挙げられる。
【0013】これらの不飽和ニトリル及び共役ジエンと
共重合可能なエチレン性不飽和モノマーその他のモノマ
ーの使用量は、格別限定されないが、通常、全モノマー
中に80重量%以下の範囲で使用され、好ましくは15
〜60重量%、さらに好ましくは20〜40重量%の範
囲で使用される。
【0014】ニトリル基含有高飽和共重合ゴムの具体例
としてはブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム、
イソプレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴ
ム、イソプレン−アクリロニトリル共重合体ゴムなどを
水素化したもの;ブタジエン−メチルアクリレート−ア
クリロニトリル共重合体ゴム、ブタジエン−アクリル酸
−アクリロニトリル共重合体ゴム、ブタジエン−不飽和
ジカルボン酸エステル−アクリロニトリル共重合体ゴム
などを水素化したものが例示される。また、ブタジエン
−エチレン−アクリロニトリル共重合体ゴムも含まれ
る。
【0015】本発明で使用されるニトリル基含有高飽和
共重合ゴムを製造するに際して、不飽和ニトリル−共役
ジエン共重合体ゴムまたは不飽和ニトリル−共役ジエン
−エチレン性不飽和モノマー三元共重合体ゴムの共役ジ
エン単位部分を水素化する方法はとくに限定されず、通
常の水素化方法を用いることにより行なわれる。
【0016】水素化に際し使用される触媒としては、例
えば、パラジウム/シリカおよびパラジウム錯体(特開
平3−252405号)などが挙げられる。さらに、特
開昭62−125858号、特開昭62−42937
号、特開平1−45402号、特開平1−45403
号、特開平1−45404号、特開平1−45405号
などに記載されているようなロジウムまたはルテニウム
化合物を使用することもできる。
【0017】(エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴ
ム)本発明で使用するエチレン−α−オレフィン系共重
合体ゴムは、エチレンとα−オレフィン又はこれらと非
共役ジエンとの共重合体であって実質的に飽和型の共重
合体ゴムである。その代表例は、エチレン−プロピレン
二元共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ブテン三元
共共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン二元共重合体ゴ
ム、あるいは、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三
元共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン−
非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非
共役ジエン多元重合体ゴムなどの、エチレンと炭素数3
〜14のα−オレフィンを主成分とする結晶化度20%
以下、好ましくは10%以下の低結晶性または非晶質の
エラストマーまたはそれらの混合物である。中でも好ま
しいものはエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共
重合体ゴムである。
【0018】ここで、非共役ジエンとしては、ジシクロ
ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジ
エン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノ
ルボルネンなどが用いられ、これらのうち、ジシクロペ
ンタジエンまたは5−エチリデン−2−ノルボルネンを
第三成分とする共重合体が好ましい。
【0019】エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン
共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4 (100℃)]
は、通常、10〜180、好ましくは40〜140であ
り、また、そのヨウ素価は好ましくは20以下である。
【0020】これらのエチレン−α−オレフィン−非共
役ジエン共重合体ゴムでは、エチレン単位/α−オレフ
ィン単位は50/50〜90/10、好ましくは60/
40〜84/16(モル比)の割合であり、(エチレン
+α−オレフィン)単位/非共役ジエン単位(三元ある
いは多元共重合体の場合)は通常98/2〜90/1
0、好ましくは97/3〜94/6(モル比)である。
【0021】(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエ
チレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとの混合物)本
発明で使用するニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエ
チレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとの混合物にお
ける各ゴム成分の混合割合は、通常、ニトリル基含有高
飽和共重合体ゴム90〜50重量%好ましくは、80〜
60重量%と、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴ
ム10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%であ
る。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの相対的割合が
過度に大きいと温水による体積変化が大きい。逆に、エ
チレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの相対的割合が
過度に大きいとカーボンブラツクの脱離が多くなる。
【0022】(有機過酸化物系加硫剤)本発明の加硫性
ゴム組成物は、有機過酸化物系加硫剤で加硫することが
必要である。有機過酸化物系加硫剤以外の加硫剤、とく
に硫黄系加硫剤を使用したときは、シールの温水による
体積変化が大きくなるので好ましくない。使用する有機
過酸化物系加硫剤としては、通常のゴムの過酸化物加硫
で使用されるものであればよく、特に限定されない。例
としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン、
α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロ
ピル)ベンゼンなどが挙げられる。なかでも、ジ−t−
ブチルパーオキサイドが好ましい。これらの有機過酸化
物は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン−
α−オレフィン系共重合体ゴムとのゴム混合物100重
量部に対し0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜2
0重量部の範囲で使用される。
【0023】さらに、通常、有機過酸化物加硫において
架橋助剤として使用される不飽和化合物が挙げられる。
その例としては、エチレングリコールジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,
N′−m−フェニレンジマレイミド、トリアリルイソシ
アヌレート等が挙げられる。なかでも加硫物性からトリ
アリルイソシアヌレートが好ましい。これらの添加量
は、共重合体ゴム100重量部に対し0.1〜15重量
部の範囲である。
【0024】(カーボンブラツク)本発明の加硫性ゴム
組成物には、温水シールの用途に使用する際に、カーボ
ンブラツクを配合することができる。使用するカーボン
ブラックは、ゴム用補強剤として一般に使用されるもの
であれば高ストラクチャーまたは低ストラクチャーのも
のが使用できる。ここに、ストラクチャーとは、一般
に、カーボンブラックの個々の粒子が、三次元的に、連
鎖状又はぶどう房状に結合して凝集体を形成するとき
の、粒子の結合形状、凝集体を構成する粒子の数、空隙
容積の大小等を意味するものである。
【0025】高ストラクチャーとは、ゴム用カーボンブ
ラック試験法(JIS K6221−1982又はAS
TM D2414−90)により、n−ジブチルフタレ
ート(DBP)吸油量が118ml/100g以上のも
のである。
【0026】また、低ストラクチャーとは、ゴム用カー
ボンブラック試験法(JIS K6221−1982又
はASTM D2414−90)により、n−ジブチル
フタレート(DBP)吸油量が90ml/100g以下
のものである。
【0027】高ストラクチャーのカーボンブラックの具
体例は略称を用いて例示すると、たとえばチャンネルブ
ラックとしてはHPC、CC等;フアーネスブラツクと
してはISAF−HS、HAF−HS、MAF、FE
F、APF、CRF、CF、SCF、ECF等;サーマ
ルブラックとしてはHML等が挙げられる。
【0028】低ストラクチャーのカーボンブラックは、
たとえばチャンネルブラックとしては、EPC、MPC
等;フアーネスブラックとしては、ISAF−LS、H
AF−LS、MAF−LS、FEF−LS、FF、HM
F、GPF、SRF等;サーマルブラックとしては、M
T、FT等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以
上を組合せて用いることができる。なかでも、低ストラ
クチャーのカーボンブラックが好ましく、温水シールの
カーボンブラックの脱離が著しく低減し、長期間の使用
においてもその性能が維持される。低ストラクチャーの
カーボンブラックとしてはFEF−LS、SRF、MA
F−LSが賞用される。
【0029】また、本発明によって得られる効果を損わ
ない範囲で、DBP吸油量が118ml/100g以上
の、高ストラクチャーのカーボンブラックを併用するこ
とも可能である。高ストラクチャーのカーボンブラック
としては、HPC、CC、ISAF−HS、HAF−H
S、MAF、FEF、APF、CRF、CF、SCF、
ECF、HML等が挙げられる。
【0030】低ストラクチャーのカーボンブラックは、
ゴム100重量部に対して10〜100重量部、好まし
くは、20〜80重量部の範囲で配合される。カーボン
ブラックが過度に少いと、加硫物の硬度が低下し、シー
ル性も低下する。逆に過度に多いと温水シールの硬度調
整のために可塑剤を多量に配合する必要があり、このた
め可塑剤が表面にブリードしたり、また強度が低下す
る。
【0031】また、本発明の加硫性ゴム組成物には、必
要に応じて、ゴム分野において使用される通常の他の配
合剤、例えば、補強剤(シリカ、タルクなど)、充填剤
(炭酸カルシウム、クレーなど)、加工助剤、プロセス
油、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤などを適宜配合する
ことができる。
【0032】なお本発明の加硫性ゴム組成物には、必要
に応じてアクリルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−
ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム
などの他のゴムおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂等を組合せて使用することができる。これらの使用量
は、通常、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレ
ン−α−オレフィン系共重合体ゴムおよびこれらの他の
ゴム等との全重量中5〜20重量%、好ましくは5〜1
5重量%である。なかでも、アクリルゴム、ハロゲン化
ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を使用
すると、加硫性ゴム組成物の共加硫性が改良されるので
好ましい。
【0033】本発明の加硫性ゴム組成物の製造方法は特
に限定されないが、通常は、ロール、バンバリーミキサ
ーなどの混合機により、ニトリル基含有高飽和共重合体
ゴムとエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、およ
び加硫系その他の配合剤とを混練・混合することによっ
て該ゴム組成物を製造する。
【0034】また、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
とエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとをブレン
ドする方法は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエ
チレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとを、ロール又
はバンバリーミキサーなどを用い高温で混合するドライ
ブレンド法とともに、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴ
ムとエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとをラテ
ックス状態で混合して凝固乾燥した後押出し機やバンバ
リーミキサーなどを用いて熱処理するラテックス共沈法
などが採られる。
【0035】本発明の加硫性ゴム組成物は、温水器等の
ように、含有するカルキによって次亜塩素酸が発生する
温水を長期間密封する温水シール用ゴム組成物として優
れた性能を有するものである。かかるゴム組成物を用い
て得られる温水シールの形態はとくに限定されず、たと
えば、O−リング、角リング等の固定用シール(ガスケ
ット)、さらに、回転用、摺動用、往復動用等の運動用
シール(パッキン)としても使用することは可能であ
る。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例、比較例及び参考例中の部及
び%は特に断りのないかぎり重量基準である。ゴム組成
物および原料成分の特性は以下のように測定した。 (1)加硫物性評価試験 日本工業規格JIS K6301に従い、表1の配合処
方によって調製した未加硫ゴム組成物を170℃×20
分の条件で加硫して得られた厚さ2mmのシートを、3
号形ベンダルを用いて打ち抜いて試験片を作成し、引張
強さ(単位:kgf/cm2 )、100%引張り応力
(単位:kgf/cm2 )および伸び(単位:%)を測
定した。また、硬さはJISスプリング式A形硬さ試験
機を用いて測定した。 (2)空気熱老化試験 JIS K6301に従って、上記と同じ加硫物を空気
中で150℃×168時間保持の後、引張り強さ、伸び
および硬度の変化率を測定した(単位:%)。 (3)圧縮永久歪 圧縮永久歪みはJIS K6301に従って、150℃
にて77時間保持した場合について測定した。(単位:
%)。 (4)次亜塩素酸が発生する温水による浸漬試験 市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(5%)を蒸留水に
て25倍に希釈して、濃度200ppmの次亜塩素酸ナ
トリウム水溶液を調製し、この水溶液中に上記加硫物性
評価試験に用いたのと同じ加硫物を80℃で浸漬し、1
68時間、336時間、500時間および1000時間
後に、それぞれ体積、引張り強さ、伸びおよび硬度の変
化率を測定した(単位:% ただし硬度はポイント)。
さらに、温水シール表面のカーボンブラックの脱離およ
び表面クラックの発生を観察し3段階で評価した。 (温水シール表面のカーボンブラックの脱離) 3:カーボンブラックの脱離なし 2:カーボンブラックの脱離微量 1:カーボンブラックの脱離多量 (温水シール表面のクラックの発生) 3:クラックの発生なし 2:クラックの発生小数 1:クラックの発生多数
【0037】(実施例1〜4、比較例1〜4)表1上段
に示した配合に従い、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴ
ム(Zetpol 1010、2010L)とエチレン
−α−オレフィン系共重合ゴム(EPDM)とを混合
し、これにカーボンブラツク、可塑剤および有機過酸化
物系加硫剤を配合した加硫性ゴム組成物を調製し、これ
らについて評価試験を行い、その結果を表1下段および
表2に示した。比較として、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ゴム(NBR 1042)、EPDMを配
合した加硫性ゴム組成物をそれぞれ調製し、これらにつ
いても、同様にして評価試験を行い、その結果を表1お
よび表2に併せて示した。
【0038】ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは以下
のとおりである。 結合アクリ ムーニー ロニトリル ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム ヨウ素価 粘度 量(% 日本ゼオン(株)製 Zetpol 1010 10 85 44 日本ゼオン(株)製 Zetpol 2010L 4 85 36
【0039】エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム
は、以下のものを使用した。 エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体 エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン=55/
40/5(モル比) ムーニー粘度 80
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】なお、表1中のELVAX40はエチレン
−酢酸ビニル樹脂(デユポン社製酢酸ビニル含量40重
量%)である。また、配合剤は以下のとおりである。 *1)ジオクチルフタレート *2)有機過酸化物系加硫剤/1,3−ビス(t−ブチ
ルパーオキシイソプロピル)ベンゼン *3)老化防止剤/置換ジフエニルアミン
【0043】表1および表2の結果から、本発明のゴム
組成物を加硫して得られる加硫物は、長期間の温水浸漬
試験において体積変化率および伸び変化率がともに小さ
く、次亜塩素酸が発生する温水に対して優れた性能を示
すことが分かる。そして、従来使用されていたEPDM
やNBRの場合と比較して、カーボンブラツクの脱離、
表面クラツクの発生が著しく減少することが分かる
【0044】とくに、低ストラクチャーのカーボンブラ
ツク(FEF−LS)を使用した場合(実施例2)は、
高ストラクチャーのカーボンブラツク(FEF−HS)
を使用した例(実施例5)よりも、カーボンブラツクの
脱離性がさらに改良されることが分かる。
【0045】また、硫黄系加硫剤を使用した場合(比較
例3)と比べて体積変化率および硬さ変化率がきわめて
小さいことが分かる。
【0046】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、温水シール
用加硫性ゴム組成物が得られる。本発明のゴム組成物を
加硫して得られる温水シールは、従来使用されていたN
BR等の場合と比較して、体積変化率および伸び変化率
がきわめて少なく、かつ、カーボンブラツクの脱離、表
面クラツクの発生が無い。
【0047】本発明の具体的な実施態様は以下のとおり
である。 (1)不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムまたは
不飽和ニトリル−共役ジエン−エチレン性不飽和モノマ
ー三元共重合体ゴム中の不飽和ニトリルが、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニト
リル等から選ばれるものである。 (2)不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムまたは
不飽和ニトリル−共役ジエン−エチレン性不飽和モノマ
ー三元共重合体ゴム中の共役ジエンが、1,3−ブタジ
エン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,
3−ペンタジエン等から選ばれるものである。 (3)不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムまたは
不飽和ニトリル−共役ジエン−エチレン性不飽和モノマ
ー三元共重合体ゴムが、不飽和ニトリル−共役ジエン−
不飽和ジカルボン酸エステル三元共重合体ゴムである。 (4)不飽和ニトリル−共役ジエン−不飽和ジカルボン
酸エステル三元共重合体ゴムの不飽和ジカルボン酸エス
テルが、不飽和ニトリル単位10〜50重量%、不飽和
ジカルボン酸エステル単位1〜80重量%を有するもの
である。 (5)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムが、エ
チレン−プロピレン−非共役ジエン三元重合体ゴムであ
る。 (6)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合
体ゴムの非共役ジエンが、 ジシクロペンタジエンであ
る。 (7)加硫性ゴム組成物がカーボンブラツクを配合した
ものである。 (8)カーボンブラツクが低ストラクチャーである。 (9)低ストラクチャーのカーボンブラツクが、FEF
−LS、MAF−LS、SRFである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体
    の共役ジエン部分を水素化してなるニトリル基含有高飽
    和共重合体ゴム90〜50重量%とエチレン−α−オレ
    フィン系共重合体ゴム10〜50重量%(これらの合計
    は100重量%である)とからなるゴム混合物100重
    量部に対して有機過酸化物系加硫剤0.1〜30重量部
    を配合してなる温水シール用加硫性ゴム組成物。
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