JPH09176045A - 静注用免疫グロブリン製剤 - Google Patents

静注用免疫グロブリン製剤

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JPH09176045A
JPH09176045A JP24541996A JP24541996A JPH09176045A JP H09176045 A JPH09176045 A JP H09176045A JP 24541996 A JP24541996 A JP 24541996A JP 24541996 A JP24541996 A JP 24541996A JP H09176045 A JPH09176045 A JP H09176045A
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immunoglobulin
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peg
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Yatsuhiro Kamimura
八尋 上村
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勝寛 瓜生
Kazuo Takechi
和男 武智
Yutaka Hirao
豊 平尾
Tadakazu Suyama
忠和 須山
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 免疫グロブリンが実質的に不活化されて
おらず、抗ヒト血液型物質抗体等の夾雑物は含まれず、
加熱処理が施されている。 【効果】 夾雑ウイルスも実質的に不活化され、溶解性
もよく、抗補体活性も充分に低い等の性質を有し、昭和
60年度発行の日本国生物学的製剤基準をパスできる安
全な製剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静注用免疫グロブリ
ン製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】静注用免疫グロブリン製剤は、これまで
広く感染症の予防および治療に用いられているが、熱安
定性に欠けるために市販品は加熱処理が行われていない
のが実情である。しかし、肝炎ウイルス等の夾雑ウイル
スの混在は必ずしも否認されていない。そこで、夾雑ウ
イルスの不活化法として液状加熱処理法〔特開昭61−
191622号等〕或いは乾熱処理法〔特開昭61−7
8730号、特開昭62−228094号等〕が提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
加熱処理法を発展させて臨床上適用できる製剤、すなわ
ち、安全性と有効性の高い静注用免疫グロブリン製剤を
提供することにある。本発明者らは、この目的に沿って
工業的な製法について検討し、ポリエチレングリコール
(以下、PEGという。)分画処理、加熱処理等を組み
合わせ、各工程の処理条件を設定することによって、安
全性と有効性の高い新規な静注用免疫グロブリン製剤を
得ることに成功した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的にIg
G単量体のみを含み、かつ変性型の免疫グロブリンおよ
び感染性ウイルスを実質的に含まない静注用免疫グロブ
リン製剤であり、免疫グロブリンを含む画分を出発原料
として、夾雑のおそれのあるウイルスが不活化するのに
充分な条件下で加熱処理することにより製造される静注
用免疫グロブリン製剤である。本発明の静注用免疫グロ
ブリン製剤は、免疫グロブリンを含む画分を出発原料と
する、以下の処理によって製造され得る。
【0005】(1)出発原料 本発明製剤の出発原料としては、免疫グロブリンを含む
画分が使用され、これはヒト血漿由来であって、免疫グ
ロブリン画分を含むものであれば特に限定されない。具
体的には、コーンのエタノール分画により得られる画分
II+III 、画分II、および免疫グロブリンを含むこれら
と同等の画分のペースト等が挙げられる。また、この出
発原料は、ヒト血液型抗体、カリクレイン、プレカリク
レイン、IgM、IgG重合体などを含んでいてもよ
い。
【0006】(2)製法 本発明製剤を得るための製造方法は、好ましくは以下の
処理工程よりなる。
【0007】低濃度PEG処理工程 本工程は出発原料を低濃度PEGで処理し、上清を回収
する工程である。出発原料を適当な水性溶媒に懸濁す
る。水性溶媒の溶質として、たとえば塩化ナトリウム、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸、酢酸ナトリ
ウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等を含ませてもよ
い。
【0008】この懸濁液を分子量1,000〜10,0
00(好適には約2,000〜6,000)のPEGで
処理する(たとえば、両者を混合する)。処理条件とし
ては、PEG濃度4〜10w/v%(特に4〜8w/v
%)、pH4〜6(特に4.5〜5.5)、イオン強度
0.0001〜0.1M(特に、0.0001〜0.0
1M)であることが好ましい。この際、蛋白濃度1〜2
0w/v%(特に、5〜15w/v%)であることが好
ましい。
【0009】当該処理は、0〜4℃程度で通常30分〜
6時間程度撹拌することによって行われる。その後、た
とえば遠心分離(6,000〜8,000rpm、10
〜30分間)して上清を回収する。
【0010】高濃度PEG処理工程 本工程はの工程で得られた上清を高濃度PEGで処理
し、沈澱を回収する工程である。
【0011】上記上清を分子量1,000〜10,00
0(好適には約2,000〜6,000)のPEGにて
さらに処理する(たとえば、両者を混合する)。処理条
件としては、PEG濃度10〜15w/v%(特に、約
11〜13w/v%)、pH6〜9(特に7.5〜8.
5)、イオン強度0.0001〜0.1M(特に、0.
0001〜0.01M)であることが好ましい。この
際、蛋白濃度1〜20w/v%(特に、5〜15w/v
%)であることが好ましい。
【0012】当該処理は、0〜4℃程度で通常30分〜
6時間程度撹拌することによって行われる。その後、た
とえば遠心分離(6,000〜8,000rpm、10
〜30分間)して沈澱を回収する。
【0013】陰イオン交換体処理工程 本工程はの工程で得られた沈澱画分を水性溶媒に溶解
後、または後記の工程の処理後、陰イオン交換体で接
触処理して非吸着画分を回収する工程である。本工程
は、IgM、IgG重合体を除くために行われる。
【0014】(i) 陰イオン交換体の調製 陰イオン交換体は陰イオン交換基を不溶性担体に結合し
たものであるが、陰イオン交換基としてはジエチルアミ
ノエチル(DEAE)基、四級アミノエチル(QAE)
基等を、不溶性担体としてはアガロース、セルロース、
デキストラン、ポリアクリルアミド等を用いることがで
きる。その結合は公知の方法で行われる。
【0015】(ii)処理方法 の工程で得られた沈澱画分を適当な水性溶媒に溶解す
る。水性溶媒はpH5〜7(好ましくはpH5.5〜7)、
低イオン強度(好ましくは0.0001〜0.1M)の
水溶液であることが好ましい。の工程と同様の溶質を
含んでいてもよい。蛋白濃度としては1〜15w/v%
(特に、3〜10w/v%)が好ましい。
【0016】さらに、上記水性溶媒で平衡化した陰イオ
ン交換体と接触処理する。その処理に際してはバッチ
法、カラム法のどちらを用いてもよい。たとえば、バッ
チ法では、陰イオン交換体1mlに対して処理対象溶液1
0〜100ml程度と混合させ、0〜4℃で30分〜2時
間程度撹拌した後、遠心分離(6,000〜8,000
rpm、10〜30分間) して上清を回収する。カラム
法でも、陰イオン交換体1mlに対して処理対象溶液10
〜100ml程度を接触させ、非吸着画分を回収する。
【0017】なお、本の工程は所望により省略するこ
ともできる。また、液状加熱処理を行う場合にはの固
定化ヒト血液型物質処理後に当該陰イオン交換体処理を
実施することが好ましい。
【0018】固定化ジアミノ化合物による処理 本工程は、の工程で得られた沈澱画分またはの工程
で得られた非吸着画分を固定化ジアミノ化合物で接触処
理して、非吸着画分を回収する工程である。本工程はプ
レカリクレインまたはカリクレインを除くために行われ
る。
【0019】(i) 固定化ジアミノ化合物の調製 固定化ジアミノ化合物はジアミノ化合物を不溶性担体に
固定化したものである。ジアミノ化合物としては、アミ
ノベンズアミジン、アミノベンズグアニジン、リジン、
アルギニン等を用いることができる。
【0020】一方、不溶性担体としてはアガロース、セ
ルロース、デキストラン、シリカゲル、ガラス等が用い
られる。固定化は公知の方法に準じればよい。たとえ
ば、アガロース、セルロース等は、たとえばCNBr活性
化法により、またシリカゲル、ガラス等はオキシラン法
により、ジアミノ化合物を固定化することができる。
【0021】(ii)処理方法 処理対象物、たとえばの工程の非吸着画分をpH5〜8
(特に、pH6〜7)、イオン強度0.0001〜0.1
M(特に0.0001〜0.01M)の条件下で固定化
ジアミノ化合物と接触処理する。その際、蛋白濃度1〜
15w/v%(特に、3〜10w/v%) であることが
好ましく、またバッチ法、カラム法のいずれもが好適に
使用される。
【0022】たとえばバッチ法では、固定化ジアミノ化
合物1mlに対して上記画分10〜100ml程度を混合さ
せ、0〜10℃、好ましくは0〜4℃で30分〜4時
間、好ましくは30分〜2時間程度撹拌した後、遠心分
離(6,000〜8,000rpm、10〜30分間)
して上清を回収する。
【0023】カラム法でも、固定化ジアミノ化合物1ml
に対して上記画分10〜100ml程度を接触させ、非吸
着画分を回収する。本の工程は所望により省略するこ
とも可能である。
【0024】固定化ヒト血液型物質処理工程 本工程はの工程の沈澱画分またはの非吸着画分また
はの非吸着画分を固定化ヒト血液型物質で接触処理し
て、非吸着画分を回収する工程である。本工程はヒト血
液型抗体を除くために行われる。
【0025】(i) 固定化ヒト血液型物質の調製 固定化ヒト血液型物質はヒト血液型物質を不溶性担体に
固定化したものである。また、ヒト血液型物質として合
成抗原(糖質)を用いることもできる〔HumanBlood Gro
ups and Carbohydrate Chemistry (1978) Chem. Soc. R
ev. p423-452〕。
【0026】ヒト血液型物質の調製は、公知の方法を用
いればよい。たとえば、ヒトA、B、ABまたはO型の
赤血球を低張溶液中で溶血、または超音波処理した後、
硫安分画法またはPEG分画法により精製すること等に
より得られる。
【0027】さらにこのヒト血液型物質は生理的食塩液
に溶解後、夾雑するウイルスの不活化に有効とされてい
る、たとえば、約50〜70℃、好ましくは約60℃
で、7〜13時間、好ましくは約10時間、又は約80
〜130℃、好ましくは95℃〜121℃で約1〜40
分、好ましくは約2〜30分間加熱処理する。その後、
遠心分離して不溶物を除去し、蒸留水に対して透析し
て、各ヒト血液型物質を得る。
【0028】一方、不溶性担体としてはアガロース、セ
ルロース、デキストラン、シリカゲル、ガラス等が用い
られる。固定化は公知の方法に準じればよい。例えば、
アガロース、セルロース等はCNBr活性化法により、
シリカゲル、ガラス等はオキシラン法によりヒト血液型
物質を固定化できる。
【0029】(ii)処理方法 処理対象物、たとえばの工程の非吸着画分をpH5〜8
(特にpH6〜7)、イオン濃度0.0001〜0.1M
(特に0.0001〜0.01M)の条件下で、上記水
性溶媒で平衡化した固定化ヒト血液型物質と接触処理す
る。その際、蛋白濃度1〜15w/v%(特に、3〜1
0w/v%)であることが好ましく、またバッチ法、カ
ラム法のどちらを用いてもよい。
【0030】たとえばバッチ法では、固定化ヒト血液型
物質1mlに対して処理対象溶液10〜100ml程度と混
合させ、0〜10℃、好ましくは0〜4℃で、30分〜
4時間、好ましくは30分〜2時間程度撹拌した後、遠
心分離(6,000〜8,000rpm、10〜30分
間)して上清を回収する。
【0031】カラム法でも、固定化ヒト血液型物質1ml
に対して処理対象溶液10〜100ml程度を接触させ、
非吸着画分を回収する。
【0032】加熱処理工程 本工程は、所望の段階で安定化剤の存在下に免疫グロブ
リンの抗体活性の減少は最小限にとどめるが、夾雑する
ウイルス、例えばHBウイルス、AIDSウイルス等は
完全に不活化する条件下で加熱処理する工程である。こ
の加熱処理は、たとえば出発原料の段階、前記工程〜
のいずれかの二工程の間、または前記工程〜を終
了した段階等のいずれの処理段階においても行うことが
できる。加熱処理は、含湿度3%以下の乾燥状態(即
ち、乾熱処理)、または溶液状態、即ち免疫グロブリン
の水溶液状態(即ち、液状加熱処理)で行う。より好ま
しくは液状加熱処理が推奨される。
【0033】安定化剤としては、いずれの処理の場合
も、二糖類(例、サッカロース、マルトース)、糖アル
コール(例、ソルビトール、マンニトール)が好適に例
示される。より好ましくはソルビトールである。安定化
剤の添加量は、乾熱処理法では、二糖類、糖アルコール
等を0.5〜5w/v%(好ましくは、1〜3w/v
%)液状加熱処理法では二糖類、糖アルコール等を10
w/v%以上(好ましくは10〜50w/v%)を用い
ることが好適に例示される。
【0034】加熱の対象となる免疫グロブリンの量は、
乾熱処理では、蛋白量として1〜10w/v%(好まし
くは3〜7w/v%)となるように調整することが好適
である。液状加熱処理では、蛋白量として0.1〜30
w/v%(好ましくは5〜20w/v%)に調整するこ
とが好ましい。
【0035】加熱処理は、乾熱処理の場合、安定化剤を
添加後、要すれば除菌濾過し、たとえば凍結乾燥などに
よって含水率3%以下、好ましくは1%以下とする。凍
結乾燥の条件としては0.5mmHgの真空下、20〜40
℃で24〜96時間程度が例示される。次いで、たとえ
ば50〜70℃(好ましくは60℃程度)、10〜20
0時間(好ましくは50〜100時間程度)で処理す
る。
【0036】また、本加熱処理工程は不活性ガス雰囲気
下で行うことにより、加熱時の安定性をより高めること
ができる。不活性ガスとしては例えば、窒素ガス、アル
ゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
【0037】液状加熱処理の場合は水溶液のpHを4.5
〜6.5、好ましくはpH5〜6に調整し、液状加熱処理
法ではたとえば50〜70℃(好ましくは60℃程度)
で10分〜20時間(好ましくは10時間程度)処理さ
れる。
【0038】加熱処理の工程は、乾熱処理の場合は最終
工程で行うことが好ましく、たとえばの工程の後に行
うことが好ましい。液状加熱処理の場合は、出発原料に
対して、またはの工程の後に行うのが好適である。な
お、の工程のあとに行う場合は、およびの処理を
再度行うことが夾雑物除去の点でより好ましい。
【0039】
【作用・効果】本発明の製剤は、免疫グロブリンが実質
的に不活化されておらず、しかも、抗ヒト血液型物質抗
体等の夾雑物は含まれず、加熱処理を施しているので夾
雑ウイルスも実質的に不活化され、溶解性もよく、抗補
体活性も充分に低い等の性質を有し、昭和60年度発行
の日本国生物学的製剤基準(以下、生基準)をパスでき
る安全な製剤である。
【0040】本発明の製剤は、用時、適当な溶媒(例え
ば、注射用蒸留水)に溶解して、静脈内投与、点滴など
により、感染症等の予防または治療に用いられる。本発
明製剤を、たとえば感染症の治療に静注する場合、通
常、成人に対して、免疫グロブリン1000〜1000
0mg/回が投与され、症状、年令等に応じて適宜増減さ
れる。
【0041】
【実施例】以下、実施例、実験例を挙げて本発明を具体
的に示す。 実施例1 コーン画分II+III 1kgに0.001Mの塩化ナトリウ
ム溶液10Lを加え、pHを5.0に調整した後、PEG
♯4000(平均分子量試験2600〜3800、日本曹達
社製、以下同じ)を終濃度が8%になるように添加し、
2℃で遠心分離を行った。得られた上清を1N−水酸化
ナトリウムを用いpH8.0とした後、PEG♯4000を終
濃度が12%になるように加え、2℃で遠心分離を行
い、IgG画分を集めた。
【0042】このIgG画分を0.6%塩化ナトリウム
溶液を用いIgG濃度が7%になるように溶解せしめ、
pHを6.5に調整した。このIgG溶液100mlを別途
調製したベンズアミジンセファロース(登録商標、ファ
ルマシア社製)カラム5ml及びヒト血液型物質フォルミ
ルセルロファイン(登録商標、生化学工業社製、ヒドロ
キシル基にホルミル基を導入して化学修飾したセルロー
ス)カラム3mlを通過させヒト血液型抗体を吸着除去し
た。この工程での吸着により血液型抗体は(1:32)
から(1:2)に低下した。
【0043】この未吸着画分にIgG5w/v%溶液当
りヒトアルブミンを1w/v%、サッカロースを2w/
v%添加し、除菌濾過後、凍結乾燥した。凍結乾燥後、
60℃で72時間加熱処理を行い、静注用免疫グロブリ
ン製剤を得た。
【0044】本製剤は、実質的にIgG単量体のみを含
み、ヒト血液型抗体量も充分少なく、抗補体価も10〜
15CH50程度であった。また、溶解性も高く、静注用
免疫グロブリンとしての生基準にも合格した。
【0045】実施例2 コーンの画分IIペーストからも同様に処理を行い、同等
の結果を得た。
【0046】実施例3 コーン画分II+III 1kgに0.001Mの塩化ナトリウ
ム溶液10Lを加え、pHを5.0に調整した後、PEG
♯4000を終濃度が8%になるように添加し、2℃で遠心
分離を行った。得られた上清を1N−水酸化ナトリウム
を用いpH8.0とした後、PEG♯4000を終濃度が12
%になるように加え、2℃で遠心分離を行い、IgG画
分を集めた。
【0047】このIgG画分を水を用いIgG濃度が1
0%になるように溶解せしめ、IgG10w/v%溶液
の100ml当りソルビトールを50g添加し、60℃で
10時間加熱処理を行った。加熱処理後、pHを6.8に
調整した後、PEG♯4000を終濃度が6%になるように
添加し、2℃で遠心分離を行った。得られた上清を1N
−水酸化ナトリウムを用いpH8.0とした後、PEG♯
4000を終濃度が12%になるように加え、2℃で遠心分
離を行い、沈澱画分にIgG画分を得た。
【0048】この沈澱を水又は0.6%塩化ナトリウム
水溶液に溶解した溶液にDEAE−セファデックスを添
加(50ml溶液当り1ml)し、0〜4℃の条件下、約1
時間接触処理し、処理後遠心分離(7,000rpm、
約20分間)して上清(IgG溶液)を回収した。
【0049】このIgG溶液100mlを別途調製したベ
ンズアミジンセファロース(登録商標、ファルマシア社
製)カラム5mlおよびヒト血液型物質フォルミルセルロ
ファインカラム3mlを通過させヒト血液型抗体を吸着除
去した。この工程での吸着により血液型抗体は(1:3
2)から(1:2)に低下した。IgG画分を生理的等
張液に対して透析後、除菌濾過し、凍結乾燥して静注用
免疫グロブリン製剤を得た。
【0050】本製剤は、実質的にIgG単量体のみを含
み、ヒト血液型抗体量も充分少なく、抗補体価も10〜
15CH50程度であった。また、溶解性も高く、静注用
免疫グロブリンとしての生基準にも合格した。
【0051】実施例4 コーン画分II+III 1kgに0.001Mの塩化ナトリウ
ム溶液10Lを加え、さらに100ml当たりソルビトー
ルを50g添加し、pHを5.5に調整した後、60℃で
10時間加熱処理を行った。加熱処理後、pHを5.5に
調整し、PEG♯4000を終濃度が4%になるように添加
し、2℃で遠心分離を行った。
【0052】得られた上清を1N−水酸化ナトリウムを
用いpH8.8とした後、PEG♯4000を終濃度が15%
になるように加え、2℃で遠心分離を行い、沈澱画分に
IgG画分を得た。この沈澱を水又は0.6%塩化ナト
リウム水溶液に溶解した溶液にDEAE−セファデック
スを添加(50ml溶液当り1ml)し、0〜4℃の条件
下、約1時間接触処理し、処理後遠心分離(7,000
rpm、約20分間)して上清(IgG溶液)を回収し
た。
【0053】このIgG溶液100mlを別途調製したベ
ンズアミジンセファロース(登録商標、ファルマシア社
製)カラム5mlおよびヒト血液型物質フォルミルセルロ
ファインカラム3mlを通過させヒト血液型抗体を吸着除
去した。この工程での吸着により血液型抗体は(1:3
2)から(1:2)に低下した。IgG画分を生理的等
張液に対して透析後、除菌濾過し、凍結乾燥して静注用
免疫グロブリン製剤を得た。
【0054】本製剤は、実質的にIgG単量体のみを含
み、ヒト血液型抗体量も充分少なく、抗補体価も10〜
15CH50程度であった。また、溶解性も高く、静注用
免疫グロブリンとしての生基準にも合格した。
【0055】実施例5 コーン画分II+III 1kgに水10Lを加え、さらに10
0ml当たりソルビトールを50g添加し、pHを5.5に
調整した後、60℃で10時間加熱処理を行った。加熱
処理後、pHを5.5に調整した後、PEG♯4000を終濃
度が4%になるように添加し、2℃で遠心分離を行っ
た。
【0056】得られた上清を1N−水酸化ナトリウムを
用いpH8.8とした後、PEG♯4000を終濃度が15%
になるように加え、2℃で遠心分離を行い、沈澱画分に
IgG画分を得た。この沈澱を水性溶媒に溶解し、この
溶液にDEAE−セファデックスを添加(50ml溶液当
り1ml)し、0〜4℃の条件下、約1時間接触処理し、
処理後遠心分離(7,000rpm、約20分間)して
上清(IgG溶液)を回収した。
【0057】このIgG溶液100mlをヒト血液型物質
フォルミルセルロファインカラム3mlを通過させヒト血
液型抗体を吸着除去した。この工程での吸着により血液
型抗体は(1:32)から(1:2)に低下した。Ig
G画分を生理的等張液に対して透析後、除菌濾過し、凍
結乾燥して静注用免疫グロブリン製剤を得た。
【0058】本製剤は、実質的にIgG単量体のみを含
み、ヒト血液型抗体量も充分少なく、抗補体価も10〜
15CH50程度であった。また、溶解性も高く、静注用
免疫グロブリンとしての生基準にも合格した。
【0059】実施例6 コーン画分II+III 1kgに水3Lを加え、さらに100
ml当たりソルビトールを50g添加し、pHを5.5に調
整した後、60℃で10時間加熱処理を行った。加熱処
理後、pHを5.5に調整した後、PEG♯4000を終濃度
が6%になるように添加し、2℃3時間抽出を行った
後、2℃で遠心分離を行った。
【0060】得られた上清を1N−水酸化ナトリウムを
用いpH8.8とした後、PEG♯4000を終濃度が12%
になるように加え、2℃で遠心分離を行い、沈澱画分に
IgG画分を得た。この沈澱を蒸溜水に溶解し、このI
gG溶液100mlを蒸溜水で平衡化したヒト血液型物質
フォルミルセルロファインカラム3mlを通過させヒト血
液型抗体を吸着除去した。この工程での吸着により血液
型抗体は(1:32)から(1:2)に低下した。
【0061】この沈澱に0.4%食塩水で平衡化したD
EAE−セファデックスを添加(50ml溶液当り2ml)
し、0〜4℃の条件下、約1時間接触処理し、処理後濾
過にてDEAE−セファデックスを除き濾過液(IgG
溶液)を回収した。IgG画分に2%ソルビトール、
0.5%NaClおよび1%アルブミンを添加溶解し、pH
6.8とした後、除菌濾過し、凍結乾燥して静注用免疫
グロブリン製剤を得た。
【0062】本製剤は、実質的にIgG単量体のみを含
み、ヒト血液型抗体量も充分少なく、抗補体価も10〜
15CH50程度であった。また、溶解性も高く、静注用
免疫グロブリンとしての生基準にも合格した。
【0063】実験例1 グロブリン画分を出発原料とし、液状加熱のみを行った
場合(特開昭61−194035号公報、特開昭61−
191629号公報に記載の方法に準じる。)と、液状
加熱及びPEG分画を組合せて行った場合とで、調製さ
れたグロブリン製剤中のIgG単量体の含有率を比較し
た。
【0064】(実験方法)出発原料であるグロブリン画
分は、コーンの第II画分を用いた。液状加熱の条件は6
0℃10時間とした、安定化剤として、グロブリン溶液
(5%)100ml当たりソルビトール50gを用い、p
Hは5〜5.5とした。PEG分画は本発明の方法に準
じた。
【0065】(実験結果)コーンの第II画分を液状加熱
した場合、IgG単量体の含有率は、製剤中の免疫グロ
ブリン量に対して86%であった。これに対して、コー
ンの第II画分を液状加熱した後、PEG分画を行った場
合、モノマー含有率は製剤中の免疫グロブリン量に対し
て97%であった。
【0066】実験例2 グロブリン画分を出発原料とし、乾燥加熱のみを行った
場合(特開昭61−78730号公報、特開昭61−7
8731号公報に記載の方法に準じる。)と乾燥加熱及
びPEG分画を組合せて行った場合とで、調製されたグ
ロブリン製剤中のIgG単量体の含有率を比較した。
【0067】(実験方法)出発原料であるグロブリン画
分は、コーンの第II画分を用いた。乾燥加熱の条件は6
0℃72時間とした、安定化剤として、グロブリン5%
当たりアルブミン1%及びショ糖2%を用いた。PEG
分画は本発明の方法に準じた。
【0068】(実験結果)コーンの第II画分を乾燥加熱
した場合、IgG単量体の含有率は、製剤中の免疫グロ
ブリン量に対して80%であった。これに対して、コー
ンの第II画分PEG分画した後に乾燥加熱を行った場合
では、IgG単量体の含有率は製剤中の免疫グロブリン
量に対して95%であった。
【0069】実験例3 処理前の免疫グロブリン溶液に0.05Mリン酸緩衝液
(pH7.1)のウイルス懸濁液を加え、均一に混和し
た後に、実施例6の方法に準じて、60℃10時間の液
状加熱処理またはPEG分画処理を行った。処理前後の
ウイルス感染性を測定し、その比を消失効率として算出
した。ウイルスの感染性はプラーク形成法にて測定し
た。エコーウイルスはPCR法にて測定した。結果を表
1及び2に示す。
【0070】また、各々の処理工程におけるウイルス感
染性の消失効率の積が本発明における免疫グロブリン製
剤中のウイルス感染性の消失効率として表すことができ
る。結果を表3に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】実験例4 60℃10時間の液状加熱のみ(特開昭61−1916
22号公報参照)あるいは60℃72時間の乾燥加熱の
み(特開昭61−78730号公報参照)を行った場合
と比較して、本発明におけるウイルス感染性の消失効率
を確認した。実験方法は実験例1に準じた。結果を表4
に示す。
【0075】
【表4】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にIgG単量体のみを含み、かつ
    変性型の免疫グロブリンおよび感染性ウイルスを実質的
    に含まない静注用免疫グロブリン製剤であり、免疫グロ
    ブリンを含む画分を出発原料として、夾雑のおそれのあ
    るウイルスが不活化するのに充分な条件下で加熱処理す
    ることにより製造される静注用免疫グロブリン製剤。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5732228A (en) * 1980-08-05 1982-02-20 Green Cross Corp:The Preparation of immunoglobulin usable for intravenous injection
JPS6178730A (ja) * 1984-09-25 1986-04-22 Green Cross Corp:The 免疫グロブリンの加熱処理方法
JPS61191622A (ja) * 1985-02-21 1986-08-26 Green Cross Corp:The γ−グロブリンの加熱処理方法

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