JPH09175376A - 電動式ブレーキ倍力装置 - Google Patents

電動式ブレーキ倍力装置

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JPH09175376A
JPH09175376A JP7343764A JP34376495A JPH09175376A JP H09175376 A JPH09175376 A JP H09175376A JP 7343764 A JP7343764 A JP 7343764A JP 34376495 A JP34376495 A JP 34376495A JP H09175376 A JPH09175376 A JP H09175376A
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史紀 窪谷
Noriyuki Arai
規之 新井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電動モータと、軸方向位置を拘束されて前記電
動モータの出力軸に連結される回転部材に軸線まわりの
回転を拘束された軸方向移動部材が複数のボールを介し
て螺合されて成るボールねじ機構とを備え、マスタシリ
ンダの押圧入力部材に、ブレーキ操作部材に連なる入力
杆および前記軸方向移動部材が連結される電動式ブレー
キ倍力装置において、車体への搭載自由度を増大する。 【解決手段】電動モータ48およびボールねじ機構50
が、マスタシリンダMと平行な軸線をそれぞれ有してマ
スタシリンダMに並列配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータと、軸
方向位置を拘束されて前記電動モータの出力軸に連結さ
れる回転部材に軸線まわりの回転を拘束された軸方向移
動部材が複数のボールを介して螺合されて成るボールね
じ機構とを備え、マスタシリンダの押圧入力部材に、ブ
レーキ操作部材に連なる入力杆および前記軸方向移動部
材が連結される電動式ブレーキ倍力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かかるブレーキ倍力装置は、たと
えば特公平6−9964号公報および特公平6−104
448号公報等により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ものでは、マスタシリンダの押圧入力部材と、ブレーキ
操作部材に連なって前記押圧入力部材と同軸に配置され
る入力杆との間に、電動モータおよびボールねじ機構が
同軸に配設されており、マスタシリンダの軸方向に沿う
占有スペース、すなわち車体のエンジンルーム内への搭
載時に該車体の前後方向に比較的長い占有スペースが必
要となり、エンジンルーム内での設置自由度が比較的小
さくなってしまう。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、車体への搭載自由度を増大し得るようにした
電動式ブレーキ倍力装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、電動モータと、軸方向位置
を拘束されて前記電動モータの出力軸に連結される回転
部材に軸線まわりの回転を拘束された軸方向移動部材が
複数のボールを介して螺合されて成るボールねじ機構と
を備え、マスタシリンダの押圧入力部材に、ブレーキ操
作部材に連なる入力杆および前記軸方向移動部材が連結
される電動式ブレーキ倍力装置において、電動モータお
よびボールねじ機構が、マスタシリンダと平行な軸線を
それぞれ有してマスタシリンダに並列配置されることを
特徴とする。
【0006】また請求項2記載の発明は、上記請求項1
記載の発明の構成に加えて、電動モータおよびボールね
じ機構が、それらの軸線を相互に平行にして配置される
ことを特徴とする。
【0007】請求項3記載の発明は、上記請求項1また
は2記載の発明の構成に加えて、入力杆および軸方向移
動部材が、電動モータの作動に伴なう軸方向移動部材の
前進方向への押圧力をマスタシリンダの押圧入力部材に
及ぼすが、電動モータの非作動時には軸方向移動部材お
よび押圧入力部材の連結を解除して入力杆から押圧入力
部材に押圧力を及ぼすことを可能とした連結手段を介し
て、押圧入力部材に連結されることを特徴とする。
【0008】さらに請求項4記載の発明は、上記請求項
3記載の発明の構成に加えて、前記連結手段が、電動モ
ータの非作動時に軸方向移動部材および押圧入力部材の
連結を解除して押圧入力部材が後退作動することを可能
として構成されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】図1ないし図8は本発明の一実施例を示す
ものであり、図1はマスタシリンダおよび電動式倍力発
生装置の縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3
は図2の3矢視平面図、図4はマスタシリンダの拡大縦
断面図、図5は電動式倍力発生装置の拡大縦断面図、図
6は図5の6−6線断面図、図7は連結手段の拡大縦断
面図、図8は図7の8−8線断面図である。
【0011】先ず図1ないし図3において、ブレーキ操
作部材としてのブレーキペダルPの操作力は、リザーバ
Rを備えるタンデム型のマスタシリンダMと並列に配置
された電動式倍力発生装置10によって倍力されてマス
タシリンダMに入力され、該マスタシリンダMからブレ
ーキペダルPの操作力に応じた液圧よりも増圧されたブ
レーキ液圧が出力される。
【0012】図4を併せて参照して、マスタシリンダM
におけるシリンダ体11には前端を閉じたシリンダ孔1
2が形成されており、該シリンダ孔12に前部ピストン
13および後部ピストン14が摺動自在に嵌合される。
シリンダ孔12の前端壁および前部ピストン13間には
前部液圧室15が形成され、前部および後部ピストン1
3,14間には後部液圧室16が形成される。而してシ
リンダ体11には、前部液圧室15に通じる前部出力ポ
ート(図示せず)と、後部液圧室16に通じる後部出力
ポート(図示せず)とが設けられ、それらの出力ポート
は2系統のブレーキ液圧回路に接続される。また前部液
圧室15には前部ピストン13を後方側に付勢する前部
戻しばね17が収納され、後部液圧室16で前部ピスト
ン13および後部ピストン14間には後部ピストン14
をその後方側に向けて付勢する後部戻しばね18が縮設
される。
【0013】前部ピストン13は、前後一対のピストン
部13a,13bがロッド部13cを介して一体に連設
されて成るものであり、前方側のピストン部13aに
は、該ピストン部13aを前後に貫通する複数の補給孔
19…が穿設され、それらの補給孔19…側から前部液
圧室13側への作動液の流入を許容してシリンダ孔12
の内面に摺接するカップシール20がピストン部13a
の前面側に装着される。また後方側のピストン部13b
にはシリンダ孔12の内面に摺接するカップシール21
が装着される。
【0014】前部ピストン13およびシリンダ体11間
で前後一対のピストン部13a,13b間には環状の補
給液室22が形成されており、この補給液室22に常時
通じる連通孔23がシリンダ体11に穿設される。一
方、シリンダ体11の上部には前記連通孔23の上端を
内端に開口させる円筒状の油溜部24が一体に設けられ
ており、この油溜部24の上端に合成樹脂製のリザーバ
Rが嵌着される。したがってリザーバR内の作動液が連
通孔23を経て補給液室22に供給されることになる。
【0015】前部ピストン13には、該前部ピストン1
3が後退限位置に戻ったときに前部液圧室15および補
給液室22間を連通させる中心型のリリーフ弁25が設
けられる。このリリーフ弁25は、前部ピストン13の
前端部に同軸に装着される弁函26と、補給液室22に
通じて前部ピストン13のピストン部13aに同軸に穿
設されるとともに弁函26内で前記ピストン部13aの
前端部に開口する弁孔27と、弁孔27の前端開口部を
閉鎖可能として弁函26内に前後動可能に収納される弁
体28と、弁体28を後方すなわち弁孔27の閉鎖方向
に付勢するばね力を発揮して弁函26内に収納される弁
ばね29と、前部ピストン13が後退限にあるときには
弁体28を弁ばね29のばね付勢力に抗して前進位置に
保持するが前部ピストン13の前進時には弁ばね29に
よる弁体28の後退動作すなわち閉弁動作を許容する開
弁棒30とを備える。
【0016】前部ピストン13のロッド部13cには、
該ロッド部13cの軸方向に長い長孔31が設けられ、
該長孔31の両端は補給液室22に連通される。開弁棒
30は、その両端をシリンダ体11で支持されて長孔3
1に挿通されており、弁体28に連設されて弁孔27に
挿通されるロッド32の後端が開弁棒30に当接され
る。
【0017】このようなリリーフ弁25によれば、前部
ピストン13が後退限に在るときには開弁棒30でロッ
ド32が押圧されることにより弁体28が弁孔27を開
放する位置となって開弁し、補給液室22からの補給液
を前部液圧室15に補給可能となる。また前部ピストン
13が後退限から前進すると、開弁棒30が長孔31内
の後方に位置するように前部ピストン13に対して相対
移動することにより、弁体28が弁ばね29のばね力に
より弁孔27を閉鎖する位置まで移動し、補給液室22
および前部液圧室15間が遮断される。
【0018】ところで、開弁棒30は、前部ピストン1
3の後退限を規制する部材としての機能をも果すもので
あり、シリンダ体11に着脱可能に固定される。
【0019】後部ピストン14には、シリンダ体11の
後端部に嵌着された軸受部材34で液密にかつ摺動自在
に支承される押圧入力部材としてのピストンロッド35
が同軸にかつ一体に連設される。而して後部ピストン1
4と、軸受部材34で後方側への移動を規制されてシリ
ンダ孔12に嵌合される円筒状の受け部材36との間に
は環状の補給液室37が画成される。一方、補給液室3
7よりも前方位置で後部ピストン14の外周には補給液
室37から後部液圧室16への作動液の流通を許容する
カップシール38が装着されており、後部ピストン14
には、補給液室37をカップシール38の背面に連通さ
せる複数の補給孔46…が穿設される。またシリンダ体
11には、補給液室37を油溜部24すなわちリザーバ
R内に常時連通させる連通路39が設けられており、リ
ザーバRから補給される作動液が連通路39を経て補給
液室37に供給されることになる。
【0020】後部ピストン14には、補給液室37およ
び後部液圧室16間に介在される中心型のリリーフ弁4
0が設けられており、このリリーフ弁40は、前部ピス
トン13に設けられたリリーフ弁25と基本的に同一の
構成を有するので詳細な説明を省略するが、リリーフ弁
40の構成要素である開弁棒41は、後部ピストン14
に設けられた長孔42に挿通され、ピストンロッド35
を囲繞する支持リング43で開弁棒41の両端が支持さ
れる。しかも後部ピストン14および支持リング43間
にはばね44が縮設されており、そのばね44のばね力
により支持リング43は受け部材36で受けられる方向
に付勢されている。すなわち支持リング43は、受け部
材36に当接した位置に固定的に配置されるものであ
り、実質的には固定位置に在る。
【0021】さらに前部および後部ピストン13,14
間にはそれらのピストン13,14間の最大間隔を規制
する最大間隔規制手段45が設けられる。
【0022】このようなマスタシリンダMにおいては、
ピストンロッド35に押圧入力を加えて後部ピストン1
4を前進作動させると、リリーフ弁40が閉弁するとと
もに後部戻しばね18を介して前部ピストン13に前進
方向の押圧力が作用し、前部ピストン13の前進作動に
伴ってリリーフ弁25が閉弁して前部液圧室15に液圧
が発生する。次いで後部ピストン14の更なる前進作動
に応じて後部液圧室16に液圧が発生し、両液圧室1
5,16の発生液圧がブレーキ液圧として図示しない車
輪ブレーキに供給されることになる。
【0023】ピストンロッド35への押圧入力作用を解
除すると、両戻しばね17,18のばね力により前部お
よび後部ピストン13,14は後退作動せしめられる。
而して前部ピストン13の後退限は開弁棒30によって
定まり、また後部ピストン14の後退限は受け部材36
によって定まる。
【0024】図5を併せて参照して、マスタシリンダM
におけるシリンダ体11の後部には下方に延びる取付け
部11aが一体に設けられており、電動式倍力発生装置
10が、マスタシリンダMと並列にして該取付け部11
aに取付けられる。
【0025】この電動式倍力発生装置10は、マスタシ
リンダMの軸線と平行な回転軸線を有する電動モータ4
8と、該電動モータ48の軸線を平行な軸線を有するボ
ールねじ機構50とを備え、ボールねじ機構50は、軸
方向位置を拘束されて前記電動モータ48の出力軸49
(図2参照)に連結される回転部材としてのナット51
の内周に、軸線まわりの回転を拘束された軸方向移動部
材としてのボルト52が複数のボール53を介して螺合
されて成る。
【0026】取付け部11aには、マスタシリンダMの
軸線と平行な軸線を有する取付け孔54が設けられてお
り、該取付け孔54内にナット51が同軸に配置され
る。而してナット51の外周には一対のボールベアリン
グ55,56がそれらの内輪のナット51に対する軸方
向位置を規制されるようにして装着されており、両ボー
ルベアリング55,56の外輪は、取付け孔54の中間
部に設けられた規制段部54aと取付け部11aに締着
される押えフランジ57との間に挟持されるようにして
取付け孔54内に挿入される。すなわちナット51は、
両ボールベアリング55,56により、軸方向位置を拘
束された状態で取付け部11aに回転自在に支承される
ことになる。
【0027】ナット51の内周およびボルト52の外周
には相互に対応するねじ溝58,59が設けられてお
り、それらのねじ溝58,59間で転動するボール53
…を介してボルト52がナット51に螺合され、ナット
51には各ボール53…を循環せしめる循環路60が設
けられる。
【0028】ところで、前記押えフランジ57はナット
51の一端側を覆うようにしてシリンダ体11の下方に
配置されるカバー61とともに取付け部11aに締着さ
れるものであり、ボールねじ機構50の軸線からずれた
位置に回転軸線を有する電動モータ48がカバー61に
取付けられる。しかも電動モータ48の出力軸49はカ
バー61内に突入されており、カバー61内で出力軸4
9に固着された駆動ギヤ62(図2参照)がナット51
に固着された被動ギヤ63に噛合される。したがって電
動モータ48の作動に応じてナット51が回転せしめら
れることになる。
【0029】図6を併せて参照して、カバー61には、
外端を閉じた有底筒状の規制筒64がその内端をカバー
61内に突入するようにして固着されており、ボルト5
2の一端に固着されて規制筒64の外端およびナット5
1に当接することによりボルト52のナット51に対す
る軸方向移動端を規制するストッパ65が、該規制筒6
4に嵌合される。しかもストッパ65の外面には、軸方
向に延びる一対の平坦面65a,65aが設けられてお
り、規制筒64の内面がストッパ65の外面に対応して
形成されることにより、ストッパ65すなわちボルト5
2の軸線まわりの回転が阻止されることになる。すなわ
ち電動モータ48の作動に応じたナット51の回転によ
り、ボルト52が軸方向に移動せしめられることにな
る。
【0030】ボルト52の他端には、マスタシリンダM
に押圧入力を及ぼすための押動部材66の基端が固着さ
れており、該押動部材66はボルト52の半径方向に沿
ってマスタシリンダM側に延設され、押動部材66およ
びナット51間には、ナット51に対するボルト52の
軸方向がたつきを回避するためのばね67が縮設され
る。
【0031】マスタシリンダMと同軸に配置される入力
杆68がブレーキペダルPに連結されており、この入力
杆68と、ボールねじ機構50のボルト52に連なる押
動部材66とは、マスタシリンダMのピストンロッド3
5に連結手段70を介して連結される。
【0032】図7および図8を併せて参照して、連結手
段70は、入力杆68の前端に連設されてピストンロッ
ド35の後端部に軸方向相対移動可能に挿入されるカム
71と、ピストンロッド35の後端部外周に軸方向相対
移動を可能として装着されるとともに押動部材66の先
端部に前方側から係合し得る係合筒72と、カム71の
ピストンロッド35に対する前進移動に応じてピストン
ロッド35および係合筒72間を連結する複数の係合球
体73…とを備える。
【0033】カム71は、入力杆68の前端に小径軸部
74を介して同軸に連設されるものであり、入力杆68
の前端および小径軸部74の後端間には、ピストンロッ
ド35の後端に対向する段部68aが形成される。また
ピストンロッド35の後端部には、前端を閉じるととも
に後端を開放した挿入孔75が同軸に設けられており、
カム71は該挿入孔75に挿入される。而してカム71
は、小径軸部74の前端に同軸に連なって挿入孔75に
摺動自在に嵌合される大径部71aと、前方に向かうに
つれて小径となるテーパ状に形成されて大径部71aの
前端に連なるテーパ部71bと、テーパ部71bの小径
端すなわち前端に同軸に連なる小径部71cと、小径部
71cの前端から半径方向外方に張出して挿入孔75に
摺動自在に嵌合される鍔部71dとから成るものであ
る。また小径軸部74の前端および大径部71a間には
後方側に臨む規制段部71eが形成されており、その規
制段部71eに当接してカム71すなわち入力杆68の
ピストンロッド35に対する後退限を規制するための止
め輪76が挿入孔75の後端部に嵌着され、挿入孔75
の前端閉塞部とカム71の前端との間には戻しばね77
が縮設される。
【0034】ピストンロッド35には、その周方向に間
隔をあけた複数個所で内端を挿入孔75に開口させる保
持孔78…が設けられており、それらの保持孔78…
に、係合球体73…がピストンロッド35の半径方向に
沿う移動を可能としてそれぞれ保持される。しかも各係
合球体73…の直径は、カム71における小径部71c
の外面およびピストンロッド35の外面間の距離以下に
設定される。また係合筒72の内面には各係合球体73
…を係合させ得る係合凹部79…が保持孔78…に対応
して設けられており、各係合凹部79…の深さは各係合
球体73…の直径よりも小さく設定されている。さらに
各係合凹部79…には係合球体73…に外方側から当接
する皿状の押圧部材83…が嵌合されており、それらの
押圧部材83…および係合凹部79…の外端閉塞部間に
はばね84…が縮設される。したがって各係合球体73
…はカム71側に向けて付勢されることになる。この
際、保持孔78…および係合凹部79…が、ピストンロ
ッド35の周方向に沿ってずれることを回避するため
に、係合筒72を軸方向相対移動を可能とするが周方向
相対移動を規制するようにしてピストンロッド35に装
着しておくことが望ましい。
【0035】押動部材66の先端部すなわち上端部に
は、係合筒72の下半部を嵌合させる略U字状の切欠き
部80が設けられており、係合筒72には、押動部材6
6の先端部に前方側から係合可能な係合段部72aが形
成される。また係合筒72と、シリンダ体11あるいは
該シリンダ体11が固定される車体側の固定位置との間
には係合筒72を後方側に付勢するばね85が縮設され
る。
【0036】このような連結手段70によれば、電動モ
ータ48の作動に伴なうボルト52からの前進方向への
押圧力をマスタシリンダMのピストンロッド35に及ぼ
すことが可能であるとともに、電動モータ48の非作動
時にはボルト52およびピストンロッド35の連結を解
除して入力杆68からピストンロッド35に押圧力を及
ぼすこと、ならびにピストンロッド35が後退作動する
ことが可能である。すなわち電動モータ48の非作動状
態で、ブレーキペダルPの踏込み操作に応じて入力杆6
8すなわちカム71がピストンロッド35に対して前進
作動すると、カム71のテーパ部71bで押し上げられ
ることにより、各係合球体73…が係合筒72の係合凹
部79…に係合され、各係合球体73…を介して係合筒
72およびピストンロッド35が連結されることにな
る。このとき、電動モータ48を作動せしめ、押動部材
66をマスタシリンダMの前進方向に作動せしめると、
押動部材66の先端が係合筒72の係合段部72aに係
合し、押動部材66からの押圧入力がピストンロッド3
5に作用することになる。すなわちブレーキペダルPの
踏込み操作入力に加えて、電動モータ48からのアシス
ト力がピストンロッド35に作用し、マスタシリンダM
が倍力作動せしめられることになる。また電動モータ4
8が何からの原因により不調となり、押動部材66の前
進作動が停止していても、ピストンロッド35と連結さ
れた状態にある係合筒72は押動部材66を置き去りに
したまま前進可能であり、入力杆68の前端の段部68
aをピストンロッド35の後端に当接させて入力杆68
によりピストンロッド35を直接押圧することが可能で
ある。さらにマスタシリンダMを倍力作動せしめてブレ
ーキ力を得た後、ブレーキペダルPを戻したときに、電
動式倍力発生装置10が故障して押動部材66が後方に
戻らない場合には、押動部材66に係合している係合筒
72も後方側には戻らない。しかるに、入力杆68がブ
レーキペダルPの戻し操作に応じて後退作動すると、カ
ム71の小径部71cが各係合球体73…に対応する位
置まで後退するのに応じてばね84で内方側に付勢され
ている各係合球体73…は係合筒72との係合を解除す
るように内方側に移動することになり、ピストンロッド
35および係合筒72の係合が解除されるので、ピスト
ンロッド35をブレーキペダルPの戻し操作に応じて後
退させることが可能となる。
【0037】次にこの実施例の作用について説明する
と、マスタシリンダMを倍力作動せしめる電動式倍力発
生装置10を構成する電動モータ48およびボールねじ
機構50が、それらの軸線をマスタシリンダMと平行に
して配設されるものであることから、マスタシリンダM
の軸線に沿う方向、すなわち車体のエンジンルーム内へ
の搭載時における車体の前後方向に沿う方向でのマスタ
シリンダMおよび電動式倍力発生装置10の長さを比較
的短くすることが可能であり、車体の前後方向に沿う占
有スペースを比較的小さくすることが可能である。しか
も電動モータ48およびボールねじ機構50の軸線を相
互に平行に配置することにより、マスタシリンダMの軸
線に沿う電動モータ48およびボールねじ機構50の占
有スペースをさらに小さくすることができる。
【0038】また電動モータ48およびボールねじ機構
50の配設位置は、マスタシリンダMの周方向に沿うい
ずれの位置にあってもよいものであり、前記エンジンル
ーム内でのマスタシリンダMおよび電動式倍力発生装置
10の設置自由度を比較的大きくすることができる。
【0039】またブレーキペダルPに連なる入力杆68
と、電動式倍力発生装置10のボルト52とは、電動モ
ータ48の作動に伴なうボルト52の前進方向への押圧
力をマスタシリンダMのピストンロッド35に及ぼす
が、電動モータ48の非作動時にはボルト52およびピ
ストンロッド35の連結を解除して入力杆68からピス
トンロッド35に直接押圧力を及ぼすことを可能とした
連結手段70を介して、ピストンロッド35に連結され
るものであるので、電動モータ48の不調による非作動
時には、電動式倍力発生装置10による入力効率の悪化
を回避しつつ、ブレーキペダルPによる踏込み操作力を
ピストンロッド35に直接作用せしめることができる。
【0040】さらに連結手段70は、電動モータ48の
非作動時にはボルト52およびピストンロッド35の連
結を解除してピストンロッド35の後退作動を可能とす
るものであるので、マスタシリンダMを倍力作動せしめ
てブレーキ力を得た後、ブレーキペダルPを戻したとき
に電動式倍力発生装置10が故障して押動部材66が後
方に戻らない場合にも、ピストンロッド35をブレーキ
ペダルPの戻し操作に応じて後退させてブレーキ状態を
解除することができる。
【0041】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0042】たとえば、ボールねじ機構が、軸方向移動
部材の内周に複数のボールを介して回転部材の外周が螺
合されて成るものであってもよい。また連結手段70に
おいて、係合球体73にその自重がピストンロッド35
の内方側に作用するようにピストンロッド35の上部の
みに配設するようにしてもよく、その場合、押圧部材8
3およびばね84は不要となる。
【0043】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、電動モータおよびボールねじ機構が、マスタシリン
ダと平行な軸線をそれぞれ有してマスタシリンダに並列
配置されるので、車体のエンジンルーム内への搭載時に
該車体の前後方向に沿うマスタシリンダ、電動モータお
よびボールねじ機構の占有スペースを比較的小さくする
ことが可能であり、前記エンジンルーム内でのマスタシ
リンダ、電動モータおよびボールねじ機構の設置自由度
を比較的大きくすることができる。
【0044】また請求項2記載の発明によれば、上記請
求項1記載の発明の構成に加えて、電動モータおよびボ
ールねじ機構が、それらの軸線を相互に平行にして配置
されるので、マスタシリンダの軸線に沿う電動モータお
よびボールねじ機構の占有スペースをさらに小さくする
ことができ、設置自由度をさらに増大することができ
る。
【0045】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは2記載の発明の構成に加えて、入力杆およびボルト
は、電動モータの作動に伴なう軸方向移動部材の前進方
向への押圧力をマスタシリンダの押圧入力部材に及ぼす
が、電動モータの非作動時には軸方向移動部材および押
圧入力部材の連結を解除して入力杆から押圧入力部材に
押圧力を及ぼすことを可能とした連結手段を介して、押
圧入力部材に連結されるので、電動モータの不調による
非作動時には、入力効率が低下することを回避しつつブ
レーキ操作部材による踏込み操作力をマスタシリンダに
直接作用せしめることができる。
【0046】さらに請求項4記載の発明によれば、上記
請求項3記載の発明の構成に加えて、前記連結手段が、
電動モータの非作動時に軸方向移動部材および押圧入力
部材の連結を解除して押圧入力部材が後退作動すること
を可能として構成されるので、マスタシリンダを倍力作
動せしめてブレーキ力を得た後にブレーキ操作部材を戻
したときに、電動モータおよびボールねじ機構側で故障
が生じてもブレーキ操作部材の戻し操作に応じて押圧入
力部材を後退させてブレーキ状態を解除することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】マスタシリンダおよび電動式倍力発生装置の縦
断面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図2の3矢視平面図である。
【図4】マスタシリンダの拡大縦断面図である。
【図5】電動式倍力発生装置の拡大縦断面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】連結手段の拡大縦断面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【符号の説明】
35・・・押圧入力部材としてのピストンロッド 48・・・電動モータ 49・・・出力軸 50・・・ボールねじ機構 51・・・回転部材としてのナット 52・・・軸方向移動部材としてのボルト 53・・・ボール 68・・・入力杆 70・・・連結手段 M・・・マスタシリンダ P・・・ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータ(48)と、軸方向位置を拘
    束されて前記電動モータ(48)の出力軸(49)に連
    結される回転部材(51)に軸線まわりの回転を拘束さ
    れた軸方向移動部材(52)が複数のボール(53)を
    介して螺合されて成るボールねじ機構(50)とを備
    え、マスタシリンダ(M)の押圧入力部材(35)に、
    ブレーキ操作部材(P)に連なる入力杆(68)および
    前記軸方向移動部材(52)が連結される電動式ブレー
    キ倍力装置において、電動モータ(48)およびボール
    ねじ機構(50)が、マスタシリンダ(M)と平行な軸
    線をそれぞれ有してマスタシリンダ(M)に並列配置さ
    れることを特徴とする電動式ブレーキ倍力装置。
  2. 【請求項2】 電動モータ(48)およびボールねじ機
    構(50)が、それらの軸線を相互に平行にして配置さ
    れることを特徴とする請求項1記載の電動式ブレーキ倍
    力装置。
  3. 【請求項3】 入力杆(68)および軸方向移動部材
    (52)が、電動モータ(48)の作動に伴なう軸方向
    移動部材(52)の前進方向への押圧力をマスタシリン
    ダ(M)の押圧入力部材(35)に及ぼすが、電動モー
    タ(48)の非作動時には軸方向移動部材(52)およ
    び押圧入力部材(35)の連結を解除して入力杆(6
    8)から押圧入力部材(35)に押圧力を及ぼすことを
    可能とした連結手段(70)を介して、押圧入力部材
    (35)に連結されることを特徴とする請求項1または
    2記載の電動式ブレーキ倍力装置。
  4. 【請求項4】 前記連結手段(70)が、電動モータ
    (48)の非作動時に軸方向移動部材(52)および押
    圧入力部材(35)の連結を解除して押圧入力部材(3
    5)が後退作動することを可能として構成されることを
    特徴とする請求項3記載の電動式ブレーキ倍力装置。
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