JPH09175030A - 可逆性熱変色記録材料および可逆性熱変色記録媒体 - Google Patents

可逆性熱変色記録材料および可逆性熱変色記録媒体

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JPH09175030A
JPH09175030A JP7354525A JP35452595A JPH09175030A JP H09175030 A JPH09175030 A JP H09175030A JP 7354525 A JP7354525 A JP 7354525A JP 35452595 A JP35452595 A JP 35452595A JP H09175030 A JPH09175030 A JP H09175030A
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reversible thermochromic
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聖史 和泉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色と消色を繰り返しても劣化がなく記録紙
として再利用することができる可逆性熱変色記録材料と
これを用いた記録媒体を提供する。 【解決手段】 少なくとも、電子受容性化合物と電子供
与性呈色性化合物と発消色制御ポリマーとからなり、発
消色制御ポリマーは電子供与性呈色性化合物とは常に相
溶し電子受容性化合物とは発色温度で相溶し、消色温度
で非相溶となる、ポリマーであり、電子受容性化合物
が、融点70℃以上であるヒドロキシ安息香酸およびそ
のエステルであることを特徴とする、発色温度域に加熱
することにより発色し、前記発色温度域より低温度の消
色温度域に加熱することにより消色する可逆性熱変色記
録材料であり、これを用いた記録媒体も含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆性熱変色記録
材料および可逆性熱変色記録媒体に関するものである。
さらに詳しくは、少なくとも発消色制御ポリマーと電子
受容性フェノール化合物、電子供与性呈色性化合物より
なる可逆性熱変色記録材料およびこの記録材料を用いた
可逆性熱変色記録媒体であって、発色温度域への加熱、
発色温度域より低温度の消色温度域への加熱によって、
発色状態と消色状態が可逆的に繰り返し得られる可逆性
熱変色記録材料およびこの記録材料からなる層を支持体
上に設けた可逆性熱変色記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】無色または淡色の電子供与性呈色性化合
物が、電子受容性化合物と反応して発色することはよく
知られている。電子供与性呈色性化合物であるロイコ染
料と電子受容性化合物であるフェノールを用いた熱変色
性組成物は例えば米国特許第3560229号明細書に
記載されている。また、この原理を応用した記録紙とし
て感圧紙や感熱紙などがあり、感圧紙としては、電子供
与性呈色性化合物であるロイコ染料溶液をマイクロカプ
セルに封入し、バインダーなどと共に塗工した基紙と、
ビスフェノールAの如き電子受容性化合物を、バインダ
ーなどと共に塗工した基紙を組み合わせて用い、外的圧
力によりマイクロカプセルを破壊し、電子供与性呈色性
化合物と、電子受容性化合物が溶融反応し、呈色するこ
とを利用したものなどがある。感熱紙としては、ロイコ
染料、ビスフェノールA、増感剤、保存安定剤などの微
粉末をバインダーと共に塗工したもので、感熱プリンタ
のヘッドから供給される熱によって呈色することを利用
したものがある。しかし、上記のような構成の感圧紙、
感熱紙では、使用された記録紙の記録を消し再び記録紙
として再利用することはなされていない。近年、省資源
の観点から、あるいは利便性の観点から、発色と消色を
熱的に可逆的に行わせる技術開発が精力的に行われてい
る。また、(a)電子供与性呈色性化合物と(b)電子
受容性化合物と(c)反応温度調製剤とからなり、
(a)成分で色を選び、(b)成分で色の濃度を選び、
(c)成分で呈色温度を決定する、可逆性熱変色牲組成
物やこの組成物をマイクロカプセルに収納した組成物が
たとえば特公昭51−44706号公報、特公昭51−
44707号公報、特公昭51−44708号公報等に
記載されている。このほか、特開昭58−191190
号公報、特開昭60−257289号公報、特公平4−
30355号公報、特公平4−30916号公報に、電
子供与性呈色性化合物、没食子酸またはフロログルシノ
ールの如き電子受容性化合物と酢酸セルロースの如きバ
インダーからなる記録層を基材上に設け、熱で画像形成
し、水または水蒸気で画像を消去できる可逆性の記録媒
体が開示されている。しかし、これらの記録媒体は、画
像を水または水蒸気により消去するため、形成された画
像が湿気や水分の影響を受け易く、画像安定性に問題が
あった。特開昭63−315287号公報には、電子供
与性呈色性化合物として、ラクトン環を有する化合物
と、電子受容性化合物として常温で液状のアルキルフェ
ノールとからなる相溶体を、バインダーを用いることな
くガラスやマイクロカプセルに封入して使用し、加熱と
冷却を行って消色および発色を可逆的に発現させる材料
が開示されている。このものは、本発明の可逆性熱変色
記録材料とは逆に、加熱時には無色透明であり、冷却時
には流動性が消失して発色するものである。しかし、ヒ
ステリシス性がないため、記録保持ができず、記録媒体
としては適していない。また、ロイコ染料、該染料と反
応して発色または消色する各々の官能基を有する両性化
合物と高分子バインダーとからなる可逆性の感熱記録材
料の提案が、特開平5−254244号公報、特開平5
−262032号公報、特開平6−48028号公報、
特開平2−188293号公報、特開平2−18829
4号公報、国際公開番号WO90/11898、特開平
4−46986号公報、特開平4−303680号公
報、特開平4−50289号公報、特開平4−5029
0号公報、特開平5−177931号公報等に開示され
ている。さらに詳しく述べれば、特開平5−25424
4号公報には、発色または消色に関する官能基を持つ両
性化合物である、没食子酸と3−メトキシプロピルアミ
ンの錯体と、クリスタルバイオレットラクトンとポリビ
ニルアルコールバインダーとからなる感熱記録材料が開
示されている。国際公開番号WO90/11898に
は、フェノール性水酸基またはカルボキシル基の少なく
とも一つを有し、かつアミノ基を官能基として有する化
合物とクリスタルバイオレットラクトンおよびメタクリ
ル樹脂バインダーとからなる感熱記録材料が開示されて
いる。また、特開平6−210954号公報には、ロイ
コ染料と、該ロイコ染料を発色状態と消色状態に可逆的
に変化させるフェノール性電子受容性化合物、例えば
4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリドとからなる可
逆性感熱材料が開示されている。しかしながら、これら
の可逆性感熱記録材料は、発色作用と消色作用が競争的
に起こるため発色と消色の温度コントロールが難しく、
また画像コントラストが劣り、さらに、高温度で消色を
行うために材料の劣化が生じ、繰り返し使用回数が少な
くなる等の問題があった。さらに、特公平4−4771
7号公報には、ロイコ染料と、該ロイコ染料を発色させ
るフェノール性電子受容性化合物、例えば4,4′−チ
オ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノー
ル)、変色の温度を決める成分、例えば、ドデカニトリ
ルからなる可逆性の記録材料が提案されているが、変色
の温度を決める成分を大量に必要とし、その成分の溶融
により消色を起こさせるため、カプセル化が必須とな
り、さらに、この記録材料をシート状などに加工する場
合には、さらにバインダーが必要となるなど、より多く
の構成成分を必要とする問題があった。特開平5−12
4360号公報には、電子供与性呈色性化合物と、長鎖
アルキル基を有する有機リン酸化合物、脂肪族カルボン
酸化合物、フェノール化合物から選ばれた電子受容性化
合物の組み合わせの中から、可逆的熱発色性組成物の選
別手段が開示されている。この組成物は、発色温度域に
加熱されたとき両化合物が溶融し反応することにより呈
色性化合物が開環して発色し、これを急冷することによ
って室温でも発色状態を保持できるとされている。そし
て、発色した組成物を発色温度域より低い温度の消色温
度域に加熱したときに電子受容性化合物の長鎖アルキル
基が凝集を起こし、電子受容性化合物が単独の結晶とな
り、発色体から分離し、その結果として消色すると推定
している。即ち、電子供与性呈色性化合物と電子受容性
化合物との二者の関係において、両化合物が反応した状
態で保持されたまま固化することにより発色状態が維持
され、電子受容性化合物が熱的条件下で分離結晶化し、
単独の結晶を作り、消色状態を維持すると述べられてい
る。しかし、この原理を用いる可逆性熱変色記録材料に
おいて、用いることのできる電子受容性化合物は、長鎖
アルキル基を有するものに限られる。また消色性が良好
でない欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子供与性
呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、発色温度と消
色温度に加熱することにより、可逆的に発消色が可能な
感熱記録材料において特別の発消色制御ポリマーを使用
し、電子受容性化合物を特定することにより、上記問題
点を解決し、実用的濃度の発色状態が発色温度域への加
熱によって得られ、しかも室温に冷却したときに発色状
態を長期間または所望の期間維持でき、また、発色温度
域より低温域の消色温度域への加熱で消色可能であり、
経時的に安定な消色状態を維持できる可逆性熱変色記録
材料およびそれを用いた可逆性熱変色記録媒体を得るこ
とである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記可逆
性熱変色記録材料を得るために、種々研究の結果、電子
供与性呈色性化合物と電子受容性化合物をポリマーのマ
トリックス中に保持し、このポリマーが熱的条件にした
がって、前記呈色性化合物と電子受容性化合物を相溶状
態、または非相溶状態に制御すれば、所望する可逆性熱
変色記録材料を得ることができるとの知見を得た。本発
明者らは、電子供与性呈色性化合物、電子受容性化合物
と発消色制御ポリマーの数多くの組み合わせについて鋭
意研究の結果、電子受容性化合物に特定のフェノール化
合物、すなわち、融点が70℃以上の一般式
【0005】
【化2】
【0006】(式中Rは、H、C〜Cのアルキル基
またはヒドロキシアルキル基、またはフェニル基、ベン
ジル基)で示されるフェノール化合物を用いた場合、電
子受容性化合物であるこのフェノール化合物は、発色温
度域、例えば90℃以上に加熱した時に、前記ポリマー
と相溶し、温度領域に特に関係なくポリマー中に常に相
溶状態である電子供与性呈色性化合物と反応して発色状
態を呈し、室温まで冷却してもその発色状態を維持で
き、さらに、室温で発色状態にあるものを消色温度域、
例えば40℃〜70℃に加熱した時に、電子供与性呈色
性化合物が前記ポリマーと非相溶状態となり、それに伴
って反応状態にあった電子供与性呈色性化合物との結合
が切れ、消色状態が得られ、これを室温に冷却しても消
色状態が維持できることを見出した。
【0007】すなわち、本発明は、 「1. 少なくとも、電子受容性化合物と電子供与性呈
色性化合物と発消色制御ポリマーとからなり、発消色制
御ポリマーは電子供与性呈色性化合物とは常に相溶し電
子受容性化合物とは発色温度で相溶し、消色温度で非相
溶となる、ポリマーであり、電子受容性化合物が、融点
70℃以上である一般式
【0008】
【化3】
【0009】(式中Rは、H、C〜Cのアルキル基
またはヒドロキシアルキル基、またはフェニル基、ベン
ジル基)で示されるヒドロキシ安息香酸およびそのエス
テルであることを特徴とする、発色温度域に加熱するこ
とにより発色し、前記発色温度域より低温度の消色温度
域に加熱することにより消色する可逆性熱変色記録材
料。 2. 発消色制御ポリマー:電子受容性化合物の配合比
が重量比で1:0.3〜2の範囲である、1項に記載さ
れた可逆性熱変色記録材料。 3. 発消色制御ポリマー:電子供与性呈色性化合物の
配合比が重量比で1:0.05〜1の範囲である、1項
または2項に記載された可逆性熱変色記録材料。 4. 発消色制御ポリマーのガラス転移温度が70℃以
下である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された
可逆性熱変色記録材料。 5. 発消色制御ポリマーがスチレン系ポリマー、ジエ
ン系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマーから選ばれた1、
または2以上のポリマーである、1項ないし4項のいず
れか1項に記載された可逆性熱変色記録材料。 6. 1項ないし5項のいずれか1項に記載された可逆
性熱変色記録材料からなる可逆性熱変色記録層を支持体
上に設けてなる可逆性熱変色記録媒体。 7. 可逆性熱変色記録層および前記支持体の間に、ア
ンダーコート層を設けてなる、6項に記載された可逆性
熱変色記録媒体。 8. 可逆性熱変色記録層上に保護層を設けてなる、6
項または7項に記載された可逆性熱変色記録媒体。 9. 保護層が透明なポリマーよりなる、8項に記載さ
れた可逆性熱変色記録媒体。 10. 可逆性熱変色記録媒体中に着色剤を含有させ
た、6項ないし9項のいずれか1項に記載された可逆性
熱変色記録媒体。 11. 可逆性熱変色記録材料からなる可逆性熱変色記
録層が、支持体上に所定の文字や図形もしくはパターン
状に単独色もしくは複数色で形成された、6項ないし1
0項のいずれか1項に記載された可逆性熱変色記録媒
体。 12. 可逆性熱変色記録材料からなる単独色もしくは
複数色の可逆性熱変色記録層を、予め所定の文字や図形
もしくはパターンを形成した支持体上の全部または一部
分に積層して形成されてなる、6項ないし10項のいず
れか1項に記載された可逆性熱変色記録媒体。」に関す
る。
【0010】本発明の可逆性熱変色記録材料は、ヒステ
リシス性を有しているところに大きな特徴がある。本発
明の記録材料は初期無色の状態から加熱されると無色の
状態で昇温し、発色温度域に到達すると発色する。そし
て温度を下げると発色状態のまま冷却され、初期無色の
状態であった例えば室温に到達しても発色状態が保持さ
れ直ちに消色することはない。消色するには消色温度ま
で加熱して最初の発色経路に戻す必要がある。すなわち
発色状態になったものを消色状態にするためには発色温
度よりも低温側にある消色温度域に加熱して冷却するこ
とにより初期消色状態とすることができる。つまり無色
から発色にいたる経路と、発色から無色にいたる経路が
異なっており、ヒステリシス性を有している。このよう
なヒステリシス性があるので発色した記録を保存するこ
とが出来るのである。
【0011】勿論化合物と組成により消色温度と発色温
度および変色経路における発色開始温度と発色飽和温度
の温度巾等に差異はあるが、本発明の記録材料は全てヒ
ステリシス性を有するところに特徴があり、明瞭な記録
を得ることができる。上記発消色制御ポリマーと、電子
受容性化合物の相溶、非相溶の可逆的変化を行うにあた
り、発消色制御ポリマーのガラス転移温度と、電子受容
性化合物の融点は、発消色特性に特に影響する。
【0012】本発明で使用する発消色制御ポリマーのガ
ラス転移温度は、発消色のコントラストを向上させるた
めに70℃以下が好適である。発消色制御ポリマーのガ
ラス転移温度が70℃以下であると、可逆性熱変色記録
材料を発色温度域に加熱した場合には、発消色制御ポリ
マーが非結晶状態にあり柔らかいため、電子受容性化合
物が、発消色制御ポリマーと相溶し易く、十分な発色濃
度が得られる。また、消色温度域に加熱した場合におい
ても、発消色制御ポリマーが非結晶状態にあり柔らかい
ため、発消色制御ポリマーから電子受容牲化合物が容易
に分離し、常に発消色制御ポリマー中に相溶状態である
電子供与性呈色性化合物との結合が切れ、消色する。一
方、発消色制御ポリマーのガラス転移温度が70℃より
大きいと、可逆性熱変色記録材料を、発色温度域もしく
は、消色温度域に加熱しても、発消色制御ポリマーが結
晶状態にあり硬いため、電子受容性化合物と、発消色制
御ポリマーとの相溶状態、非相溶状態になる速度が遅く
なる傾向がみられるので、発消色制御ポリマーのガラス
転移温度は、70℃以下が好適である。
【0013】本発明に用いられる発消色制御ポリマー
は、上記の理由から、電子供与性呈色性化合物と常に相
溶し、かつ、前記電子受容性化合物と、相溶、非相溶の
変化を起こすことができるポリマーである必要がある。
さらに、ガラス転移温度が、70℃以下で、発色阻害、
消色阻害を起こさないポリマーが、特に好ましい。本発
明で用いることができるポリマーの具体例を示すと、ス
チレン系ポリマー、ジエン系ポリマー、酢酸ビニル系ポ
リマー等があり、より具体的には、ポリスチレン、スチ
レン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレン−
スチレンコポリマー、スチレン−エポキシ変性スチレン
コポリマー、スチレン−アクリルエステルコポリマー、
スチレン−メタクリルエステルコポリマー、スチレン−
エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー、スチレン
−エチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレ
ン−ポリメタクリル酸メチルグラフトポリマー、エポキ
シ変性ポリスチレン−ポリメタクリル酸メチルグラフト
ポリマー、酸変性アクリル−ポリスチレングラフトポリ
マー、エポキシ変性ポリスチレン−ポリスチレングラフ
トポリマー、ポリブチレンテレフタレートポリスチレン
グラフトポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマ
ー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ブタジエンポリ
マー、イソプレンポリマー等が挙げられる。
【0014】また、本発明で用いる電子受容性化合物
は、融点が70℃以上のものである。融点が70℃より
小さいと、ガラス転移温度が比較的高い発消色制御ポリ
マー、例えば、ガラス転移温度が70℃付近の発消色制
御ポリマーを用いた場合、発色においては十分な濃度が
得られるが、消色温度域に加熱した場合において、電子
受容性化合物が、発消色制御ポリマーから分離せず、結
果として十分に消色しない。本発明の電子受容性化合物
は、前記の理由から、融点70℃以上の一般式
【0015】
【化4】
【0016】(式中Rは、H、C〜Cのアルキル基
またはヒドロキシアルキル基、またはフェニル基、ベン
ジル基)で示される電子受容性化合物を用いる。電子受
容性化合物の具体例を示すと、p−ヒドロキシ安息香酸
およびそのエステルがあり、より具体的には、p−ヒド
ロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−
ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸n
−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸i−プロピル、p
−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息
香酸i−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸−2′−ヒド
ロキシエチル、p−ヒドロキシ安息香酸フェニル、p−
ヒドロキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0017】本発明に用いる電子供与性呈色性化合物は
感圧・感熱色素として用いられる無色または淡色の色素
であり、トリフェニルメタンフタリド系色素、フルオラ
ン系色素、インドリルフタリド系色素、スピロピラン系
色素、ローダミンラクタム系色素、トリフェニルメタン
系色素、アザフタリド系色素とアゾメチン系色素等があ
る。以下に具体的なものを例示するが、発消色制御ポリ
マーと常に相溶しているものであればよく、これらに限
定されるものではない。3−ジエチルアミノ−6−メチ
ル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−7−(2−クロロフェニル)アミノフルオラン、3
−ジエチルアミノ−7−(2−ブロモフェニル)アミノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ク
ロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7
−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−
ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチル
アミノ−7−ピペリジノフルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−7−(N−エチル−N−フェニル)アミノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(2,3−ジシ
クロヘキシルフェニル)アミノフルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−6−クロロ−7−フェニルアミノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−
ジメチルフェニル)アミノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−クロロ−7−(3−トリフルオロメチルフェ
ニル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メ
チル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−7−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ
フルオラン、3−ジプロピルアミノ−7−クロロフルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−ト
リクロロメチルフェニル)アミノフルオラン、3−ジエ
チルアミノ−7−(2−メトキシカルボニルフェニル)
アミノフルオラン、3−ジアリルアミノ−7,8−ベン
ゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−
(N−α−フェニルエチル)アミノフルオラン、3−ジ
エチルアミノ−5−メチル−7−(N−フェニルエチ
ル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチ
ル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−
6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−
7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−5−クロロ−7−{N−ベンジル−N−(トリフル
オロメチルフェニル)}アミノフルオラン、3−ジブチ
ルアミノ−7−(2−クロロフェニル)アミノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−アセトアミノフルオラ
ン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエ
チルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2
−フルオロフェニル)アミノフルオラン、3−ジブチル
アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−シクロヘキシ
ルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ
−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ
メチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−シク
ロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−シクロ
ヘキシルアミノ−6−ブロモフルオラン、3−シクロヘ
キジルアミノ−6−クロロ−7−(2−クロロフェニ
ル)アミノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロ
ヘキシル)アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−
(N−エチル−N−n−オクチル)アミノ−7,8−ベ
ンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−i−アミル)
アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル
−N−i−アミル)アミノ−7−クロロフルオラン、3
−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メ
チル−7−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ
フルオラン、3−(N−メチル−N−i−プロピル)ア
ミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3
−(N−ベンジル−N−シクロヘキシル)アミノ−5,
6−ベンゾ−7−(4−ブロモナフチル)アミノフルオ
ラン、3−(N−i−ブチル−N−メチル)アミノ−6
−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−
エチル−N−i−アミル)アミノ−6−メチル−7−フ
ェニルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキ
シル)アミノ−7−フェニルアミノフルオラン、3−
(N−n−アミル−N−メチル)アミノ−6−メチル−
7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−メチル−N
−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−フェニル
アミノフルオラン、3−(N−メチル−N−n−プロピ
ル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラ
ン、3−(N−n−プロピル−N−i−プロピル)アミ
ノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−
(N−エチル−N−Sec−ブチル)アミノ−6−メチ
ル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−エチル
−N−n−アミル)アミノ−6−メチル−7−フェニル
メチルフルオラン、3−ジ−n−オクチルアミノ−7−
(4−クロロフェニル)アミノフルオラン、3−n−オ
クチルアミノ−7−(4−クロロフェニル)アミノフル
オラン、3−(N−n−ブチル−N−n−アミル)アミ
ノ−7−(4−アセチル−フェニル)アミノフルオラ
ン、3−n−オクチルアミノ−7−(4−クロロフェニ
ル)アミノフルオラン、3−n−セチルアミノ−7−
(4−クロロフェニル)アミノフルオラン、3−ピロリ
ジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3
−ピロリジノ−7−{ビス(4−クロロフェニル)メチ
ル}アミノフルオラン、3−モルホリノ−7−{N−プ
ロピル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)}ア
ミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−クロロ−7−フ
ェニルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル
−7−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノフル
オラン、3−モルホリノ−7−{N−プロピル−N−
(3−トリフルオロフェニル)}アミノフルオラン、3
−(N−エチル−N−エトキシエチル)アミノ−7,8
−ベンゾフルオラン、3−{N−エチル−N−(2−エ
トキシプロピル)}アミノ−6−メチル−7−フェニル
アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒド
ロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミ
ノフルオラン、3−(N−メチル−N−フェニル)アミ
ノ−7−アミノフルオラン、3−(N−メチル−N−フ
ェニル)アミノ−7−N−メチルアミノフルオラン、3
−(N−メチル−N−フェニル)アミノ−7−ジメチル
アミノフルオラン、3−(N−メチル−N−フェニル)
アミノ−7−ジプロピルアミノフルオラン、3−(N−
エチル−N−フェニル)−6−メチル−7−{N−エチ
ル−N−(4−メチルフェニル)}アミノフルオラン、
3−(N−エチル−N−フェニル)アミノ−7−ジメチ
ルアミノフルオラン、3−(N−エチル−N−フェニ
ル)アミノ−7−ジプロピルアミノフルオラン、3−
(N−エチル−N−フェニル)アミノ−7−アミノフル
オラン、3−(N−フェニル−N−プロピル)アミノ−
7−アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−フェニ
ル)アミノ−7−N−メチルアミノフルオラン、3−
(N−プロピル−N−フェニル)アミノ−7−N−メチ
ルアミノフルオラン、3−{N−メチル−N−(4−メ
チルフェニル)}アミノ−5−メトキシ−7−ジベンジ
ルアミノフルオラン、3−{N−メチル−N−(4−メ
チルフェニル)}アミノ−6−t−ブチル−7−(4−
メチルフェニル)アミノフルオラン、3−{N−メチル
−N−(4−メチルフェニル)}アミノ−7−(2−メ
トキシベンゾイル)アミノフルオラン、3−{N−メチ
ル−N−(4−メチルフェニル)}アミノ−7−アセチ
ルアミノフルオラン、3−{N−メチル−N−(4−メ
チルフェニル)}アミノ−7−ジベンジルアミノフルオ
ラン、3−{N−メチル−N−(4−メチルフェニ
ル)}アミノ−7−ジエチルアミノフルオラン、3−
{N−メチル−N−(4−メチルフェニル)}アミノ−
7−エチルアミノフルオラン、3−{N−メチル−N−
(4−メチルフェニル)}アミノ−7−アミノフルオラ
ン、3−(N−メチル−N−フェニル)アミノ−6−メ
チル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(3−トリ
フルオロメチルフェニル)アミノ−6−ジエチルアミノ
フルオラン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフェ
ニル)}アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフル
オラン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフェニ
ル)}アミノ−7−(N−メチル−N−フェニル)アミ
ノフルオラン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフ
ェニル)}アミノ−7−(α−フェニルエチル)アミノ
フルオラン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフェ
ニル)}アミノ−7−アミノフルオラン、3−{N−エ
チル−N−(4−メチルフェニル)}アミノ−7−ブチ
ルアミノフルオラン、3−{N−エチル−N−(4−メ
チルフェニル)}アミノ−7−ジベンジルアミノフルオ
ラン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフェニ
ル)}アミノ−7−{ビス−(4−メチルベンジル)}
アミノフルオラン、3−{N−エチル−N−(4−メチ
ルフェニル)}アミノ−7−ベンゾイルアミノフルオラ
ン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフェニル)}
アミノ−5−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、
3−{N−エチル−N−(4−メチルフェニル)}アミ
ノ−5−クロロ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3
−{N−エチル−N−(4−メチルフェニル)}アミノ
−6−メチルフルオラン、3−{N−エチル−N−(4
−メチルフェニル)}アミノ−5−メトキシフルオラ
ン、3−{N−エチル−N−(4−メチルフェニル)}
アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−{N−プロピ
ル−N−(4−メチルフェニル)}アミノ−6−メチル
−7−{N−メチル−N−(4−メチルフェニル)}ア
ミノフルオラン、3−{N−プロピル−N−(4−メチ
ルフェニル)}アミノ−7−アミノフルオラン、3−
{N−エチル−N−(4エチルフェニル)}アミノ−7
−アミノフルオラン、3−{N−メチル−N−(4−エ
チルフェニル)}アミノ−7−アミノフルオラン、3−
{N−エチル−N−(4−メチルフェニル)}アミノ−
7−ジエチルアミノフルオラン、3−{N−エチル−N
−(4−エチルフェニル)}アミノ−7−アミノフルオ
ラン、3−{N−プロピル−N−(4−エチルフェニ
ル)}アミノ−7−アミノフルオラン、3−{N−メチ
ル−N−(2,4−ジメチルフェニル)}アミノ−7−
ベンジルアミノフルオラン、3−{N−エチル−N−
(2,4−ジメチルフェニル)}−7−アミノフルオラ
ン、3−{N−メチル−N−(2,4−ジメチルフェニ
ル)}アミノ−7−メチルアミノフルオラン、3−{N
−エチル−N−(2,4−ジメチルフェニル)}アミノ
−7−エチルアミノフルオラン、3−{N−エチル−N
−(2,4−ジメチルフェニル)}アミノ−7−ベンジ
ルアミノフルオラン、3−{N−プロピル−N−(2,
4−ジメチルフェニル)}アミノ−7−アミノフルオラ
ン、3−{N−メチル−N−(4−クロロフェニル)}
アミノ−アミノフルオラン、3−{N−エチル−N−
(4−クロロフェニル)}アミノ−7−アミノフルオラ
ン、3−{N−プロピル−N−(4−クロロフェニ
ル)}アミノ−7−アミノフルオラン、3−シクロヘキ
シルアミノ−7−ブロモアミノフルオラン、2,7−ジ
クロロ−3−n−ブチルアミノ−6−メチルフルオラ
ン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6,7−ブチレンフル
オラン、3−アミノ−5−メチルフルオラン、2−メチ
ル−3−アミノ−6−メチル−7−メチルフルオラン、
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベン
ゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ
−6′−ニトロ−8′−メドキシベンゾピリロスピラ
ン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモ
ベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインド
リノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,
3−トリメチルインドリノ−ベンゾピリロスピラン、
1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロ
スピラン、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタ
ン−2−カルボキシレート(CVL)、ビス(4−ジメ
チルアミノフェニル)フェニルメタン−2−カルボキシ
レート(MGL)、ビス(4−ジメチルアミノフェニ
ル)−(4−クロロ)フェニルメタン−2−カルボキシ
レート、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−(4−
ジエチルアミノ)フェニルメタン−2−カルボキシレー
ト、ビス(4−ジブチルアミノフェニル)フェニルメタ
ン−2−カルボキシレート、{2−ヒドロキシ−(4−
ジエチルアミノ)フェニル}−(2−メトキシ−5−メ
チルフェニル)フェニルメタン−2−カルボキシレー
ト、{2−ヒドロキシ−(4−ジメトキシアミノ)フェ
ニル}−(2−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)フェ
ニルメタン−2−カルボキシレート、(4−ジメチルア
ミノフェニル)−(2−ヒドロキシ−4−クロロ−5−
メトキシフェニル)フェニルメタン−2−カルボキシレ
ート、3−{2−エトキシ−(4−ジエチルアミノ)フ
ェニル}−3−(2−メチル−1−エチルインドール−
3−イル)−4−アザフタリド、3−{2−エトキシ−
(4−ジエチルアミノ)フェニル}−3−(2−メチル
−1−n−オクチルインドール−3−イル)−4−アザ
フタリド、3,3−ビス(2−メチル−1−エチルイン
ドール−3−イル)フタリド、3−{2−メトキシ−
(4−ジエチルアミノ)フェニル}−3−(2−メチル
−1−エチルインドール−3−イル)−フタリド、3−
{2−メチル−(4−ジエチルアミノ)フェニル}−3
−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−フタリ
ド、3,3−ビス(2−メチル−1−オクチルインドー
ル−3−イル)フタリド、ローダミンアニリノラクタ
ム、ローダミン−2−クロロアニリノラクタム、ローダ
ミン−4−クロロアニリノラクタム、ビス{2−メチル
−(4−ジメチルアミノ)フェニル}−{(2,5−ジ
メチルアミノ)フェニル}メタン。
【0018】これらの配合比について検討した結果か
ら、それぞれの関係は、以下の通りである。即ち、発消
色制御ポリマーおよび電子受容性化合物の配合比は、発
色濃度と、消色速度に影響する。発消色制御ポリマー:
電子供与性呈色性化合物の配合比は、発色濃度とベース
濃度に影響する。電子受容性化合物および電子供与性呈
色性化合物の配合比は、発色濃度と、コントラストに影
響することが明らかとなった。従って、発消色制御ポリ
マー:電子供与性呈色性化合物の配合比が重量比で1:
0.05〜1の範囲であることが好ましい結果を与え
る。本発明における発消色の機構は、特に、発消色制御
ポリマーと、電子受容性化合物の相溶と非相溶から起こ
っているため、発消色制御ポリマー:電子受容性化合物
の配合比の限定が重要であり重量比で、1:0.3〜2
の範囲が好ましい。
【0019】本発明の可逆性熱変色記録媒体は前記記録
材料を支持体上に層状に配置してなり、支持体として
は、透明、半透明または不透明なポリマーフイルムある
いはシート、合成紙および加工紙、ガラス板、金属板等
が用いられ、支持体上に直接記録層を設けるか、支持体
上に支持体と記録層の密着性を向上させるため一旦アン
ダーコート層を施し、その上に記録層を設けてもよい。
また、記録媒体の表面とサーマルヘッドとの融着防止、
記録層の耐擦過性の向上、記録層の酸化防止、有害気体
等による記録層の汚染防止のために、記録媒体の表面に
透明な保護層を設けてもよい。前記保護層は無機物の蒸
着やポリマー溶液等のコーティングにより形成するか、
あるいはポリマーフイルムの積層によって形成すること
ができる。ポリマーフイルムを積層するために、記録層
との間に粘着層あるいは接着層を設けてもよい。
【0020】本発明の可逆性熱変色記録材料を用いる可
逆性熱変色記録媒体は、着色剤を記録層中または、記録
層以外の層、例えば、支持体、アンダーコート層、保護
層、接着または粘着層の中に存在させ、着色剤の色と、
着色剤と発色状態の電子供与性呈色性化合物の混ざった
色との有色から有色への変化を行わせることができる。
ここで用いることのできる着色剤の種類および添加量
は、記録層中に存在させる場合には、電子受容性化合物
と電子供与性呈色性化合物の発色反応を阻害せず、か
つ、発消色制御ポリマーと電子受容性化合物の相溶と非
相溶の変化を阻害しないものである必要があり、そのよ
うな要件を満たすものであれば使用できる。また、記録
層以外に存在する場合も含めると、著しいコントラスト
の低下を起こすような添加は好ましくない。同様に、記
録材料保護のため、紫外線吸収剤等の添加剤を加えても
よい。
【0021】本発明の可逆性熱変色記録材料を支持体上
に所定の文字、図形もしくはパターン状に形成して可逆
性熱変色記録媒体として用いることができる。即ち、該
記録層が、発色温度域に加熱されることにより、記録層
の一部もしくは全部が発色または変色し、記録または表
示が可能となる。この時、記録層は、単独色の発色の他
に、異なる色に発色する可逆性熱変色記録材料を、スト
ライプ状、マトリックス状など種々な模様に塗り分けて
形成すれば、複数色の発色が可能となる。さらに、本発
明の可逆性熱変色記録材料は、発色状態が下地を隠蔽す
る能力を有する。したがって、支持体上に、予め所定の
文字、図形もしくはパターンを形成し、その上に前記記
録層を積層した形で用いることもできる。該記録層を、
発色温度域または、消色温度域に加熱することで、該記
録層の一部または全部が、発色または消色または変色
し、支持体上の文字、図形もしくはパターンの一部また
は全部が、隠蔽または透視されて可逆的な記録または表
示が可能となる。また、記録層と支持体の両方に、所定
の文字、図形、パターンを形成し、組み合わせて用いる
こともできる。また、本発明でいう記録材料は表示材料
も包含した用語である。
【0022】
【発明の実施の形態】次に本発明がどのように実施され
るのか実施の形態を作用とともに説明する。本発明の可
逆性熱変色記録材料は、発消色制御ポリマー:電子受容
性化合物:電子供与性呈色性化合物を重量比で1:0.
3〜2:0.05〜1の割合で揮発性有機溶媒に溶解し
て混合溶液とすることにより製造することができる。ま
たエマルジョン重合して形成した発消色制御ポリマーエ
マルジョンに電子受容性化合物と電子供与性呈色性化合
物を分散して製造することもできる。この混合液を支持
体に塗布、乾燥すれば可逆性熱変色記録媒体を製造する
ことができる。
【0023】本発明の可逆性熱変色記録材料は、発色状
態を維持する時間を任意に制御することができる。すな
わち、発色状態を1ヶ月以上の長期間維持することもで
きれば数十分で消色させることもできる。発色状態の維
持時間の制御は電子受容性化合物と発消色制御ポリマー
の組み合わせ及び、その配合比を選択することにより可
能となる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エステル
(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、2−エ
チルヘキシル等のエステル)と塩化ビニル−酢酸ビニル
コポリマーを組み合わせて用いた時には、発色した可逆
性熱変色記録材料は室温において1ヶ月以上に亘り発色
状態を維持することが可能である。また、p−ヒドロキ
シ安息香酸エステルとスチレン−(メタ)アクリルエス
テルコポリマーを組み合わせて用いた時には、発色した
可逆性熱変色記録材科は室温放置1〜2日で消色状態に
変換することができる。前記p−ヒドロキシ安息香酸エ
ステルとスチレン−ブタジエンコポリマーまたはスチレ
ン−イソプレン−スチレンコポリマーを組み合わせて用
いた時には、発色した可逆性熱変色記録材料は室温放置
10分〜24時間で消色状態に変換可能である。
【0024】本発明の可逆性熱変色記録材料は、支持体
上に層状に配置した記録媒体として使用することができ
るので、混合液を溶液として形成する場合使用する有機
溶媒は発消色反応に関与しない溶剤が好適であり、もし
反応に関与する溶剤を使用する場合は発色反応時には系
から揮発して除去されるものである必要がある。また、
前記記録材料を、適宜のポリマー溶液、ポリマーエマル
ジョン中に微分散したものを支持体上に塗布して記録媒
体としてもよい。支持体に設ける記録材層は乾燥膜で膜
厚1μm〜30μmが好ましく、2μm〜6μmがより
好ましい。本発明の記録媒体は熱転写プリンター等によ
り発色させて記録を表示することができ、また消色温度
の熱風を吹きつけること等により消色することが出来
る。つぎに本発明の作用の面から実施形態を説明する。
本発明可逆性熱変色記録材料はヒステリシスを示し、室
温で消色状態の組成物を加熱して発色させて室温まで冷
却しても消色しない。
【0025】電子供与性呈色性化合物、電子受容性化合
物と発消色制御ポリマーの有機溶媒溶液から有機溶媒を
蒸発除去して得られた本発明の熱記録材料の発色と消色
の現象を図1に示す。図1において、消色状態Aのもの
を加熱し、BとCを経てD(D付近またはそれ以上の温
度を発色渦度域という)に到達ずると、熱記録材料中の
電子供与性呈色性化合物、電子受容性化合物と発消色制
御ポリマーは相溶状態となって発色し、これを室温まで
冷却したとき消色状態Aから発色状態Dに至る経路とは
異なる経路であるDからEを辿り、発色状態が維持され
る。次にE状態の熱記録材料をBとCの間の温度(この
近傍の温度領域を消色温度域という)に加熱しE状態か
らB、C状態となると、電子受容性化合物は発消色制御
ポリマーと非相溶状態となって、反応し発色状態であっ
た電子供与性呈色性化合物との結合が切れて熱記録材料
は消色状態となる。これを室温に冷却したときE状態に
戻らずA状態となり消色状態は維持されており、経時的
にも安定である。このように反応が異なる経路を通って
可逆となるヒステリシスを示すところに大きな特徴があ
る。
【0026】本発明における各成分の配合比率と可逆性
熱変色記録材料の特性の関係を検討した結果を図2、
3、4に示す。図2は、記録材料中の発消色制御ポリマ
ーと、電子供与性呈色性化合物の配合量を一定にし、電
子受容性化合物の配合割合を、図3は電子受容性化合物
と、電子供与性呈色性化合物の配合量を一定にし、発消
色制御ポリマーの割合を、図4は、発消色制御ポリマー
と、電子受容性化合物の配合量を一定にし、電子供与性
呈色性化合物の割合を、それぞれ変化させた時の発消色
時の光学濃度を示したグラフである。グラフ中の実線は
発色状態を、点線は消色状態を示している。なお、本発
明の可逆性熱変色記録材料を支持体上に設けた可逆性熱
変色記録媒体を、100℃へ加熱後、室温まで冷却した
ものを発色状態とし、50℃へ加熱後、室温まで冷却し
たものを消色状態としてそれぞれの光学濃度を測定し
た。
【0027】図2において、前記可逆性熱変色記録媒体
中に、電子受容性化合物の割合が少ないと発色濃度が低
くなる傾向がみられ、また、図中には示していないが、
消色速度が遅くなる傾向がみられる。さらに、電子受容
性化合物の割合が多くなると、発色温度へ加熱後、室温
まで冷却する過程で、消色が一部に起こりはじめ、室温
まで冷却後に発色濃度が低めになる。図3において、発
消色制御ポリマーの割合が多いと、前記可逆性熱変色記
録媒体中の電子受容性化合物と、電子供与性呈色性化合
物の割合が少なくなるため、発色濃度が低めとなり、ま
た、これも図中には示していないが、消色速度が遅くな
る傾向がみられる。さらに、発消色制御ポリマーの割合
が少ないと、消色時にベース濃度が高めとなる。図4に
おいて、電子供与性呈色性化合物の割合が少ないと、発
色濃度が低くなる傾向があり、また電子供与性呈色性化
合物の割合が多いと消色濃度が徐々に高くなる傾向がみ
られる。
【0028】以上の結果から、それぞれの関係は、以下
のように考えている。すなわち、図2、3の説明から前
記発消色制御ポリマーと電子受容性化合物の配合比は、
発色濃度と消色速度に影響する。図3、4の説明から前
記発消色制御ポリマーと電子供与性呈色性化合物の配合
比は、発色濃度とベース濃度に影響する。図2、4の説
明から前記電子受容性化合物と電子供与性呈色性化合物
の配合比は、発色濃度と、コントラストに影響すること
が明らかとなった。
【0029】上記の結果をもとに、本発明における各成
分の特に好ましい配合割合を示すと、以下のようにな
る。本発明において、前記発消色制御ポリマー:電子受
容性化合物の配合比は重量比で、1:0.3〜2の範囲
が好ましい。電子受容性化合物の割合がこれを越えると
発消色に必要な発消色制御ポリマーと、電子受容性化合
物の相溶、非相溶の変化を行わせるコントロールが若干
難しくなり、加熱時、発色状態の該記録材科を冷却した
時、発消色制御ポリマー、電子受容性化合物および電子
供与性呈色性化合物の3成分が完全に相溶できず、電子
受容性化合物の一部分が発消色制御ポリマーとの相溶状
態を保持できなくなり、発色濃度が低くなる傾向がみら
れる。また、割合がこれより小さくなると、消色濃度は
低くなるが、発色濃度も低めになり、結果としてコント
ラストが下がる傾向がみられる。さらに、前記発消色制
御ポリマー:電子供与性呈色性化合物の配合比は重量比
で1:0.05〜1の範囲であることが好ましい。ま
た、前記電子受容性化合物:電子供与性呈色性化合物の
配合比は重量比で1:0.05〜0.5の範囲であるこ
とが好ましい。電子受容性化合物の割合が大きくなる
と、冷却時の発色濃度が低くなる傾向がみられ、また、
電子受容性化合物の割合が小さくなると、発色濃度と消
色濃度の差が小さくなり、コントラストが悪くなる傾向
がみられる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて説明する。
【0031】実施例1 スチレン−アクリルエステルコポリマー 20重量部 (商品名「ハイマーTB−1000F」、三洋化成工業株式会社製、Tg:5 8℃) p−ヒドロキシ安息香酸エチル(融点117℃) 15重量部 クリスタルバイオレットラクトン(以下CVL) 6重量部 上記組成物を170重量部のテトラヒドロフラン(以下
THF)に溶解し、可逆性熱変色記録材料の溶液を作製
した。この溶液を110μmの厚さの王子油化株式会社
製のポリプロピレン製合成紙(商品名「ユポFBD#1
10」)にワイヤーバーを用いて塗布した後、100℃
に加熱乾燥することにより、青紫色に発色した厚さ4μ
mの可逆性熱変色記録材料からなる記録層を設け、記録
媒体を作製した。この記録媒体を60℃に加熱し、室温
(20℃)まで冷却したところ、青紫色の発色が消え、
ベースの合成紙の白色状態に近い白色となった。この媒
体を120℃へ加熱後、室温まで冷却し、その後、60
℃へ加熱後、室温まで冷却する操作を繰り返したとこ
ろ、発色と消色を可逆的に行うことができた。この時の
発色状態と消色状態の光学濃度をマクベス濃度計RD−
915を用いて測定したところ、発色状態で1.45、
消色状態で0.13のOD値を示し、優れた記録媒体が
得られた。以下、OD値の測定は、同機を用いた。
【0032】実施例2 スチレン−アクリルエステルコポリマー 20重量部 p−ヒドロキシ安息香酸エチル 12重量部 ETAC 3.2重量部 (山田化学株式会社製、フルオラン系ロイコ染料(黒)) 上記組成物をメチルエチルケトン(略名MEK)とトル
エン1:1の混合溶媒170重量部に溶解し、可逆性熱
変色記録材料の溶液を作製した。この溶液を110μm
の厚さのポリプロピレン製合成紙にワイヤーバーを用い
て塗布した。これを120℃に加熱乾燥することによっ
て、青紫色に発色した厚さ4μmの可逆性熱変色記録材
料からなる記録層を設けた。前記の記録層上に5%メチ
ルセルロース(評品名「メトローズSM−25」、信越
化学工業株式会社製)水溶液をワイヤーバーを用いて塗
布した後、加熱乾燥して厚さ2μmの中間層を形成し、
さらにこの中間層の上にUV硬化型エポキシ樹脂(商品
名「アデカオプトマーKR510」、旭電化工業株式会
社製)をワイヤーバーを用いて塗布した後、400W水
銀灯を用いて厚さ2μmの硬化皮膜を形成し、保護層付
き記録媒体を作製した。この記録媒体に熱転写プリンタ
(商品名「PC−PR150n」、日本電気株式会社
製)を用いて画像を形成し、その後、この記録媒体を7
0℃の温度に設定したゴム製ヒートロールの間を通過さ
せて画像を消去した。発色状態と消色状態の光学濃度を
測定したところ、OD値は発色状態で1.77、消色状
態で0.17であった。また、上記条件と同様な発色・
消色の操作を繰り返し30サイクル実施したが、プリン
タのサーマルヘッドと記録媒体の保護層表面が融着する
こともなく、またOD値にも大きな変化は生じなかっ
た。
【0033】実施例3 100μmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PE
Tシート)に5%メチルセルローズ水溶液をワイヤーバ
ーを用いて塗布し、加熱乾燥して厚さ2μmのアンダー
コート層を形成した。次に、 スチレン−ブタジエンコポリマー 20重量部 p−ヒドロキシ安息香酸エチル 15重量部 CVL 6重量部 上記組成物をMEKとトルエン1:1の混合溶媒85重
量部に溶解し、可逆性熱変色記録材料の溶液(A溶液)
を作製した。次に、 スチレン−ブタジエンコポリマー 20重量部 p−ヒドロキシ安息香酸エチル 12重量部 ローダミンBラクタム 2重量部 をMEKとトルエン1:1の混合溶媒85重量部に溶解
し、可逆性熱変色記録材料の溶液(B溶液)を作製し
た。前記アンダーコート層を設けたPETシート上に、
グラビア版を用い8mm幅のストライプとなるようにA
溶液とB溶液を塗り分け、加熱乾燥して、厚さ4μmの
可逆性熱変色記録材料よりなるストライプ模様状に青紫
色および赤色に発色可能な記録層を設けた記録媒体を作
製した。前記の記録媒体上に、5%メチルセルロース水
溶液をワイヤーバーを用いて塗布、乾燥して厚さ2μm
の中間層を形成し、さらに前記中間層の上にUV硬化型
エポキシ樹脂をワイヤーバーを用いて塗布した後、40
0W水銀灯を用いて厚さ2μmの硬化皮膜を形成し、保
護層付き記録媒体を作製した。前記熱転写プリンタを用
いて、前記記録媒体を2色発色させることができた。ま
た、80℃程度のドライヤーの熱風を用いて消色するこ
とができた。
【0034】実施例4〜33 表1の配合例4〜33の組成物を各々THF170重量
部に溶解させ、可逆性熱変色記録材料の溶液を作製し、
ポリプロピレン製合成紙にワイヤーバーを用いて塗布し
た後、加熱乾燥して合成紙上に可逆性熱変色記録材料か
らなる記録層を形成した。さらに、前記記録層の上に5
%メチルセルロース水溶液をワイヤーバーを用いて塗布
した後、加熱乾燥して厚さ2μmの中間層を形成し、さ
らに、中間層の上にUV硬化エポキシ樹脂をワイヤーバ
ーを用いて塗布した後、400W水銀灯を用いて硬化皮
膜を形成し、保護層付き記録媒体を作製した。いずれに
おいても、前記熱転写プリンタを用いて画像を形成する
ことができた。また、60℃の温度に設定したゴム製ヒ
ートロールの間を通過させて画像を消去することができ
た。また、この発色、消色は繰り返して行うことができ
た。表4、表5に各実施例の発色状態および消色状態の
光学濃度測定値を示した。
【0035】
【表1】
【0036】(註1) 表中の略号は次の通りである。
表2、3も同じ。 CVL:山田化学株式会社製、クリスタルバイオレット
ラクトン(青紫) NC−BK:保土ケ谷化学工業株式会社製、フルオラン
系ロイコ染料(黒) APT:山田化学株式会社製、フルオラン系ロイコ染料
(緑) OR−55:山田化学株式会社製、フルオラン系ロイコ
染料(橙) NBP−1:山本化成株式会社製、アザフタリド系ロイ
コ染料(青) NCY−2[1]:保土ケ谷化学工業株式会社製、アゾ
メチン系ロイコ染料(黄) TH−107:保土ケ谷化学工業株式会社製、フルオラ
ン系ロイコ染料(黒) (註2) 表中のヒドロキシ安息香酸等の融点(m.
p.)は次の通りである。 p−ヒドロキシ安息香酸 :m.p. 215℃ p−ヒドロキシ安息香酸メチル :m.p. 126℃ p−ヒドロキシ安息香酸エチル :m.p. 117℃ p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル :m.p. 95℃ p−ヒドロキシ安息香酸i−プロピル :m.p. 86℃ p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル :m.p. 72℃ p−ヒドロキシ安息香酸i−ブチル :m.p. 76℃ p−ヒドロキシ安息香酸i−アミル :m.p. 64℃ p−ヒドロキシ安息香酸−2′−ヒドロキシエチル :m.p. 141℃ p−ヒドロキシ安息香酸フェニル :m.p. 112℃ p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル :m.p. 107℃ ステアリン酸 :m.p.70.5℃
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】比較例1〜4 表3の配合例34〜37の組成物を各々THF170重
量部に溶解し、この溶液を110μmの厚さのポリプロ
ピレン製合成紙にワイヤーバーを用いて塗布した。これ
を120℃に加熱乾燥することによって、厚さ4μmの
記録層を設けた。前記の記録層に5%メチルセルロース
水溶液をワイヤーバーを用いて塗布した後、加熱乾燥し
て厚さ2μmの中間層を形成した。この中間層の上に、
UV硬化型エポキシ樹脂をワイヤーバーを用いて塗布し
た後、400W水銀灯を用いて厚さ2μmの硬化皮膜を
形成し、保護層付き記録媒体を作製した。この記録媒体
を用いて実施例2と同様にして得られる発色濃度および
消色濃度を測定し、表6に示した。
【0041】比較例5 エポキシ樹脂 18.6重量部 (商品名「アデカレジンEP−4000」、旭電化工業株式会社製) トリエチレンテトラミン 1.4重量部 p−ヒドロキシ安息香酸エチル 10 重量部 CVL 1 重量部 上記組成物をトルエン180重量部に溶解し、この溶液
を110μmの厚さのポリプロピレン製合成紙にワイヤ
ーバーを用いて塗布した。そして、これを80℃で加熱
乾燥し溶剤除去後、80℃で24時間加熱硬化を行い、
厚さ4μmの記録層を設けた。前記の記録層に5%メチ
ルセルロース水溶液をワイヤーバーを用いて塗布した
後、加熱乾燥して厚さ2μmの中間層を形成した。この
中間層の上に、UV硬化型エポキシ樹脂をワイヤーバー
を用いて塗布した後、400W水銀灯を用いて厚さ2μ
mの硬化皮膜を形成し、保護層付き記録媒体を作製し
た。この記録媒体を用いて実施例2と同様にして得られ
る発色濃度および消色濃度を測定し、表6に示した。
【0042】比較例6 ポリオール 6.4重量部 (商品名「タケラックU−25」75%酢酸ブチル溶液、 武田薬品工業株式会社製) ポリイソシアネート 13.6重量部 (商品名「タケネートD−110N」75%酢酸エチル溶液、 武田薬品工業株式会社製) p−ヒドロキシ安息香酸エチル 10 重量部 CVL 1 重量部 上記組成物をMEK145重量部に溶解し、この溶液を
110μmの厚さのポリプロピレン製合成紙にワイヤー
バーを用いて塗布した。以後、比較例1〜5に記載した
と同様な方法で保護層付き記録媒体を作製した。この記
録媒体を用いて得られる実施例2と同様にして発色濃度
および消色濃度を測定し、表6に示した。前記比較例1
および、実施例8の比較により、前記電子受容性化合物
の融点が適切であることがわかる。また、比較例2の結
果と実施例のすべての比較から、融点70℃以上である
カルボン酸は用いることができず、一般式
【0043】
【化5】
【0044】(式中Rは、H、C〜Cのアルキル基
またはヒドロキシアルキル基、またはフェニル基、ベン
ジル基)で示される電子受容性化合物が適していること
がわかる。比較例3、5および6においては、発消色制
御ポリマーとなるはずであったポリマーの官能基が発色
阻害を起こしているためである。比較例4においては、
発消色制御ポリマー中の官能基と電子供与性呈色性化合
物が常に反応できる状態にあるためである。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】本発明は発色と消色を繰り返しても材料
の劣化がなく使用することができる効果が奏せられ、画
像のコントラストも良好であり、所望の期間の記録保持
ができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆性熱変色記録材料の加熱温度と発色濃度の
関係を示す説明図である。
【図2】可逆性熱変色記録材料中の発消色制御ポリマー
と電子供与性呈色性化合物との割合を一定にし、電子受
容性化合物の割合を変化させた時の発色濃度と消色濃度
の関係を表わす説明図である。
【図3】可逆性熱変色記録材料中の電子受容性化合物と
電子供与性呈色性化合物との割合を一定にし、発消色制
御ポリマーの割合を変化させた時の発色濃度と消色濃度
の関係を表わす説明図である。
【図4】可逆性熱変色記録材料中の発消色制御ポリマー
と電子受容性化合物との割合を一定にし、電子供与性呈
色性化合物の割合を変化させた時の発色濃度と消色濃度
の関係を表わす説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/18 109

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、電子受容性化合物と電子供
    与性呈色性化合物と発消色制御ポリマーとからなり、発
    消色制御ポリマーは電子供与性呈色性化合物とは常に相
    溶し電子受容性化合物とは発色温度で相溶し、消色温度
    で非相溶となる、ポリマーであり、電子受容性化合物
    が、融点70℃以上である一般式 【化1】 (式中Rは、H、C〜Cのアルキル基またはヒドロ
    キシアルキル基、またはフェニル基、ベンジル基)で示
    されるヒドロキシ安息香酸およびそのエステルであるこ
    とを特徴とする、発色温度域に加熱することにより発色
    し、前記発色温度域より低温度の消色温度域に加熱する
    ことにより消色する可逆性熱変色記録材料。
  2. 【請求項2】 発消色制御ポリマー:電子受容性化合物
    の配合比が重量比で1:0.3〜2の範囲である、請求
    項1に記載された可逆性熱変色記録材料。
  3. 【請求項3】 発消色制御ポリマー:電子供与性呈色性
    化合物の配合比が重量比で1:0.05〜1の範囲であ
    る、請求項1または2に記載された可逆性熱変色記録材
    料。
  4. 【請求項4】 発消色制御ポリマーのガラス転移温度が
    70℃以下である、請求項1ないし3のいずれか1項に
    記載された可逆性熱変色記録材料。
  5. 【請求項5】 発消色制御ポリマーがスチレン系ポリマ
    ー、ジエン系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマーから選ば
    れた1、または2以上のポリマーである、請求項1ない
    し4のいずれか1項に記載された可逆性熱変色記録材
    料。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    された可逆性熱変色記録材料からなる可逆性熱変色記録
    層を支持体上に設けてなる可逆性熱変色記録媒体。
  7. 【請求項7】 可逆性熱変色記録層および前記支持体の
    間に、アンダーコート層を設けてなる、請求項6に記載
    された可逆性熱変色記録媒体。
  8. 【請求項8】 可逆性熱変色記録層上に保護層を設けて
    なる、請求項6または7に記載された可逆性熱変色記録
    媒体。
  9. 【請求項9】 保護層が透明なポリマーよりなる、請求
    項8に記載された可逆性熱変色記録媒体。
  10. 【請求項10】 可逆性熱変色記録媒体中に着色剤を含
    有させた、請求項6ないし9のいずれか1項に記載され
    た可逆性熱変色記録媒体。
  11. 【請求項11】 可逆性熱変色記録材料からなる可逆性
    熱変色記録層が、支持体上に所定の文字や図形もしくは
    パターン状に単独色もしくは複数色で形成された、請求
    項6ないし10のいずれか1項に記載された可逆性熱変
    色記録媒体。
  12. 【請求項12】 可逆性熱変色記録材料からなる単独色
    もしくは複数色の可逆性熱変色記録層を、予め所定の文
    字や図形もしくはパターンを形成した支持体上の全部ま
    たは一部分に積層して形成されてなる、請求項6ないし
    10のいずれか1項に記載された可逆性熱変色記録媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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