JPH09168291A - 誘導モータの制御装置及び制御方法 - Google Patents

誘導モータの制御装置及び制御方法

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JPH09168291A
JPH09168291A JP7327274A JP32727495A JPH09168291A JP H09168291 A JPH09168291 A JP H09168291A JP 7327274 A JP7327274 A JP 7327274A JP 32727495 A JP32727495 A JP 32727495A JP H09168291 A JPH09168291 A JP H09168291A
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JP
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voltage vector
voltage
magnetic flux
vector
induction motor
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JP7327274A
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English (en)
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Masaaki Tsuzuki
正明 都築
Takayuki Ishikawa
隆之 石川
Naoki Ishii
直樹 石井
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Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導モータの制御装置に関し、インバータの
スイッチング回数の低減を図り、モータの制御性及び制
御効率を向上させることを目的とする。 【解決手段】 2レベルインバータを用いた誘導モータ
の制御系において、2レベルインバータ13aと、イン
バータにより制御される3相誘導モータ3と、3相誘導
モータ3への1次電流を検出する電流検出部4b及び1
次電圧を検出する電圧検出部4aと、検出した1次電流
値及び1次電圧値を所定の処理をして2レベルインバー
タを制御するための瞬時空間磁束ベクトル形成部102
とを有し、さらに電圧ベクトル改善部23をインバータ
13aと瞬時空間磁束ベクトル形成部102との間に設
けて構成される。このような構成により従来よりも少な
いスイッチング回数で制御することができ、その結果ス
イッチング損失や歪み電圧を低減し、モータ制御性や制
御効率を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周期的に出力する
電圧ベクトルを用いて誘導モータを制御する制御装置及
び制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、誘導モータ、特に3相誘導モ
ータの制御方法に関する種々の制御装置が提案されてい
る。特に、近年は電圧及び周波数の制御装置であるイン
バータ技術の発達により、モータ駆動電源として任意の
振幅及び周波数の交流を容易に作ることができるように
なってきた。また、高速なデジタル演算可能なプロセッ
サも開発されたため、提案されていた制御装置も容易に
実用化されている。
【0003】それらの提案の中で、一定時間毎に誘導モ
ータの1次電流及び1次電圧の瞬時値を検出し、それら
の諸量から次回の制御値を演算して制御信号をインバー
タへ出力することにより、誘導モータを制御する方法が
提案されている。例えば、長岡技術科学大学研究報告
書、第8号、1986,第43〜50頁、高橋勲著、
「瞬時空間磁束ベクトル制御法」にて提唱されている。
【0004】本提案の制御方法は、以下に詳述する如
く、誘導モータの1次電流及び1次電圧検出値等から誘
導モータの1次磁束を計算し、1次磁束と1次電流とか
らトルクを計算する磁束演算形の制御方法であり、トル
ク制御を高速に行えることに特徴がある。本提案によれ
ば、誘導モータにおいて、1次磁束ベクトルをφ1と
し、トルクをTとすると、 φ1=∫(V1−R1×i1)dt ・・・・・(1) T=φ1×i1 ・・・・・(2) で表される。ここで、 V1:1次電圧ベクトル R1:1次巻線抵抗 i1:1次電流ベクトル である。
【0005】以下に、瞬時空間磁束ベクトル制御法の原
理を、最初に2レベルインバータに適用した場合、次に
3レベルインバータに適用した場合について説明する。
通常、2レベルインバータでは電源電圧を2Eとした場
合、モータ端子に印加出来る電圧は+E、又は−Eの2
値であるのに対して、3レベルインバータでは+E、0
又は−Eの3値の電圧を印加することが出来る。このた
め、3レベルインバータの方が出力トルクや1次磁束を
精度よく制御することができる。
【0006】最初に2レベルインバータを用いた従来の
制御系について以下に説明する。図8は従来のブリッジ
インバータによる制御系全体を示すブロック図であり、
2レベルインバータを用いた誘導モータの制御系全体を
示すブロック図である。図示のように、2レベルインバ
ータ13aと、このインバータにより制御される3相誘
導モータ(IM)3と、3相誘導モータ3への1次電流
を検出する手段4b及び1次電圧を検出する手段4a
と、検出した1次電流値及び1次電圧値を所定の処理を
して2レベルインバータを制御するための瞬時空間磁束
ベクトル形成手段100とを有する。これらの各手段を
実現する方法はハードウェアでもよく、DSP(digital
signal processor)等を使用しても良い。
【0007】詳細は後述するが、図中の瞬時空間磁束ベ
クトル形成手段100の概略の動作は以下のようであ
る。即ち、インバータ13aから誘導モータ3への1次
電流(i1)及び1次電圧(V1)を受けて磁束(φ)
及びトルク(T)について所定の演算をし、この演算結
果と、入力された1次磁束(φ1)の指令値及びトルク
(T)の指令値との差を、超過及び不足の2レベルの過
不足判定を行うための2値ヒステリシスコンパレータ
(10a)及び3値ヒステリシスコンパレータ(9a)
によりそれぞれ2値化及び3値化し、これらの値
(τ),(φ)と、磁束角コンパレータ(11a)によ
り6値化された磁束の鎖交ベクトル角(θ)とにより、
最適スイッチングテーブルを参照し、出力電圧ベクトル
UU,VU,WUをインバータ13aに出力する。
【0008】なお、図中で、5a及び5bは3相電圧及
び3相電流をd−q軸の変数で表現するために3相─2
相変換するためのものであり、6a及び6bは抵抗成分
であり、7a及び7bは積分器であって7aはd軸成分
について、7bはq軸成分について、それぞれ2相電圧
から2相電流と抵抗の積を引き算した差を積分するもの
である。そして8は絶対値手段であり、積分器7a,7
bで得られた1次磁束φd,φqから1次磁束の大きさ
を求めるものである。
【0009】図9はブリッジインバータの基本構成図で
あり、図8に示した2レベルインバータのスイッチング
状態を説明している。図示のように、2レベルインバー
タ13aは、正母線18aと、負母線18bと、UPと
UN,VPとVN,WPとWNでそれぞれ一対としたス
イッチング素子からなるU,V,W相の3組みの切換ス
イッチ(14a,14b;15a,15b;16a,1
6b)と、これらのスイッチに正母線及び負母線を介し
て接続されている直流電源17aとで構成される。ここ
で、電源電圧を2Eとすると、各切換スイッチを切り換
えることにより3相誘導モータの各端子には+E又は−
Eの電圧が印加される。
【0010】ここで、2レベルインバータの状態を簡易
的に表す方法を示す。インバータ内部の切換スイッチに
ついて、UP,VP,WP側が導通した場合を「1」、
UN,VN,WN側が導通した場合を「0」とし、U,
V,W相の順で表現すると、図8に示すインバータの状
態は(010)となる。図10はブリッジインバータの
出力ベクトルの説明図であり、2レベルインバータによ
り3相誘導モータに印加される電圧ベクトルを説明する
図である。本図に示すように、各切換スイッチの導通状
態により3相誘導モータには全部で8種類(100,110,01
0,011,001,101,111,000) の電圧ベクトルを印加するこ
とができる。図から明らかなように、これらの電圧ベク
トルの中で6種類(100,110,010,011,001,101) は大きさ
が等しく、方向の異なる電圧ベクトルである。又、(0
00)の場合は3相誘導モータには負母線側の電圧が、
(111)の場合には正母線側の電圧が誘導モータの全
端子に印加され、大きさと方向を持たない電圧ベクトル
となる。
【0011】図11は1次磁束ベクトルの制御状態の説
明図(その1)であり、図8に示した2レベルインバー
タを用いた瞬時空間磁束ベクトル形成手段100による
1次磁束ベクトルの状態を説明する図である。ここで、
1次巻線抵抗による電圧降下分を省略すると、図示のよ
うに1次磁束は電圧ベクトルのベクトル和で表現するこ
とができる。前述のように、図8の絶対値手段8は、積
分手段7a,7bで得られた1次磁束φd,φqから1
次磁束の大きさを求める。また、磁束過不足判定手段1
0aは、絶対値手段8により得られた1次磁束の大きさ
と1次磁束指令値φ1との差をとり、超過及び不足の2
レベルの過不足判定を行う。この絶対値手段8及び磁束
過不足判定手段10aの結果を用いて、1次磁束を増加
させたい場合には外周方向の電圧ベクトル(矢印参照)
を、減少させたい場合には内周方向の電圧ベクトル(矢
印参照)を周期的に出力することにより、1次磁束を一
定のヒステリシス幅を持った磁束円に近似させて制御す
ることができる。
【0012】図12は磁束象限図(その1)であり、図
8に示した2レベルインバータを用いた制御系における
1次磁束ベクトルの象限を説明している。図示のよう
に、d−q座標を6等分割している。図8に示した磁束
象限判定手段11aは、積分手段7a,7bで得られた
1次磁束φd,φqから位相を求め、1次磁束が6等分
割されたどの領域に存在しているかを判定し、その結果
をスイッチングテーブルに出力する。
【0013】図8に示したトルク過不足判定手段9aは
式(2)で示したように、d−q座標で表された1次磁
束と1次電流との外積にて算出される出力トルクと、ト
ルク指令値との差をとり過不足を判定する。2レベルイ
ンバータは出力できる電圧ベクトルの大きさが1種類で
あるため、過不足判定は、超過、適正、不足の3レベル
で行い、スイッチングテーブルへ出力する。誘導モータ
のトルクは凡そスベリに比例するため、トルクを増加さ
せたい場合には1次磁束をモータの正回転方向に回転さ
せる電圧ベクトルを、トルクを減少させたい場合には1
次磁束をモータの逆回転方向に回転させる電圧ベクトル
を選択しトルクの制御に用いる。
【0014】図13は図8に示したスイッチングテーブ
ルの説明図(その1)である。図示のようにスイッチン
グテーブルには磁束過不足判定、トルク過不足判定の結
果に対して、各磁束象限での電圧ベクトルが予め設定さ
れている。この電圧ベクトル(UU,VU,WU)が、
前述のように、磁束過不足判定手段10a、磁束象限判
定手段11a、トルク過不足判定手段9aの結果に基づ
き選択され、スイッチングテーブルから2レベルインバ
ータに出力される。
【0015】以上は2レベルインバータについての説明
であったが、次に3レベルインバータを用いた制御系に
ついて説明する。図14は3レベルインバータによる従
来の制御系の全体構成図である。図示のように、瞬時空
間磁束ベクトル形成手段の構成は図8と同様である。図
示のように、3レベルインバータ13bと、このインバ
ータにより制御される3相誘導モータ(IM)3と、3
相誘導モータへの1次電流を検出する手段4b及び1次
電圧を検出する手段4aと、検出した1次電流値及び1
次電圧値を処理して3レベルインバータを制御するため
の瞬時空間磁束ベクトル形成手段101とで構成され
る。これらの各手段を実現する方法は、図8と同様にハ
ードウェアでもよく、DSP等のデジタルプロセッサで
もよい。
【0016】図15は3レベルインバータの基本構成図
であり、図14に示した3レベルインバータのスイッチ
ング状態を示す。本図に示す3レベルインバータは、正
母線18cと、負母線18dと、(S1u,S2u,S
3u,S4u),(S1v,S2v,S3v,S4
v),(S1w,S2w,S3w,S4w)でそれぞれ
一組をなすスイッチング素子(14c,14d,14,e,14f; 15c,1
5d,15,e,15f; 16c,16d,16,e,16f)からなるU,V,W相
の3組の切換スイッチと、これらのスイッチに正母線及
び負母線を介して接続されている直流電源17bと、正
母線と負母線間に直列接続されたコンデンサ19a,1
9bにより構成される。ここで、直流電源の電圧を2E
とすると、各切換スイッチを切り換えることにより3相
誘導モータの各端子には、+E,0又は−Eの3レベル
の電圧が印加される。
【0017】ここで、3レベルインバータの状態を簡易
的に示す方法を示す。インバータ内部の切換スイッチに
ついて、S1とS2が導通の場合を「P」、S2とS3
が導通の場合を「O」、S3とS4が導通の場合を
「N」とし、U,V,W相の順に表すと、U相ではS3
−S4が導通なのでN,V相ではS2−S3が導通なの
でO,W相ではS1−S2が導通なのでP,と表すこと
ができ、図15に示すインバータの状態は(NOP)と
なる。
【0018】図16は3レベルインバータにより3相誘
導モータに印加される電圧ベクトルの説明図である。図
示のように、各切換スイッチの導通状態により3相誘導
モータには、全部で27種類の電圧ベクトルを印加する
ことができる。これらの電圧ベクトルは、大きさが等し
く方向の異なる6種類の電圧ベクトルが3組み(PNN,NP
P; PPN,NNP; PNP,NPN) 、大きさ及び方向を持たない3
種類の電圧ベクトルが1組み(PPP/OOO/NNN) 、で構成さ
れる。
【0019】図17は1次磁束ベクトルの制御状態の説
明図(その2)であり、図14に示した3レベルインバ
ータ13bを用いた瞬時空間磁束ベクトル形成手段10
1による1次磁束ベクトルの状態を説明している。ここ
で、1次巻線抵抗での電圧降下分を省略すると、図17
に示すように、1次磁束は電圧ベクトルのベクトル和で
表現することができる。前述と同様に、図14に示した
絶対値手段8は、積分手段7a,7bで得られた1次磁
束φd,φqから1次磁束の大きさを求める。同様に、
磁束過不足判定手段10bは、絶対値手段8により得ら
れた1次磁束の大きさと1次磁束指令値との差をとり、
超過、不足の2レベルの過不足を判定する。この絶対値
手段及び磁束過不足判定手段の結果を用いて、1次磁束
を増加させたい場合には外周方向の電圧ベクトルを、減
少させたい場合には内周方向の電圧ベクトルを周期的に
出力することにより、1次磁束を一定のヒステリシス幅
を持った磁束円に近似させて制御することができる。
【0020】図18は磁束象限図の説明図(その2)で
あり、図14に示した3レベルインバータを用いた制御
系による1次磁束ベクトルの象限を説明している。図示
のように、d−q座標を12等分割する。図14に示し
た磁束象限判定手段11bは、積分手段7a,7bで得
られた1次磁束φd,φqから位相を求め、1次磁束が
12等分割されたどの領域に存在しているかを判定し、
その結果をスイッチングテーブルに出力する。
【0021】図14に示したトルク過不足判定手段9b
は、式(2)に示したように、d−q座標で表された1
次磁束と1次電流との外積で算出される出力トルクと、
トルク指令値との差をとり、過不足を判定する。3レベ
ルインバータは同じ方向を持つ電圧ベクトルの大きさが
2種類あるため、過不足判定は超過大、超過小、適正、
不足小、不足大、の5レベルで行い、スイッチングテー
ブルへ出力する。過不足が大きいときには、大きい電圧
ベクトルを、小さいときには小さい電圧ベクトルを選択
する。また、誘導モータのトルクは凡そスベリに比例す
るため、トルクを増加させたい場合には1次磁束をモー
タの正回転方向に回転させる電圧ベクトルを、トルクを
減少させたい場合には1次磁束をモータの逆回転方向に
回転させる電圧ベクトルを選択し、トルクの制御に用い
る。
【0022】図19はスイッチングテーブルの説明図
(その2)である。図示のように、スイッチングテーブ
ルには磁束過不足判定、トルク過不足判定の結果に対し
て、各磁束象限での電圧ベクトルが予め設定されてい
る。この電圧ベクトルが、前述のようにして磁束過不足
判定手段10b、磁束象限判定手段11b、トルク過不
足判定手段9bの結果に基づき選択され、3レベルイン
バータに出力される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
インバータを用いた誘導モータ制御法では、インバータ
内のスイッチング素子のスイッチング回数が増加するの
に伴い、スイッチング損失及び短絡防止期間における歪
み電圧の発生が増加するため、誘導モータの制御性の悪
化や、制御効率の低下といった問題が発生している。
【0024】瞬時空間磁束ベクトル制御法では、周期的
にトルク過不足判定、磁束過不足判定、磁束象限判定等
を行い、その結果を用いてスイッチングテーブルを参照
することにより、電圧ベクトルを決定しインバータへ出
力している。このため、誘導モータに対して同じ作用
(大きさと方向が同じ)を持つ電圧ベクトルが複数存在
する場合にも、スイッチングテーブルから得られる電圧
ベクトルは一意である。このため、スイッチング回数の
多い電圧ベクトルが出力される場合がある。
【0025】本発明の目的は、現周期にて瞬時空間磁束
ベクトル形成手段により求めた電圧ベクトルを基に誘導
モータに対して同じ作用を持つ電圧ベクトルを検索し、
その電圧ベクトルの中から前周期にて出力した電圧ベク
トルからの遷移に必要なスイッチング回数が最も少なく
なる電圧ベクトルを求め、それをインバータの制御に用
いることにより、スイッチング回数の低減を図り、モー
タの制御性及び制御効率を向上させることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は請求項1に記載
の構成により、誘導モータへの1次電流及び1次電圧値
を検出し、それらの諸量を用いて1次磁束の過不足、1
次磁束の位相、トルクの過不足に関する判定を行い、こ
れらの判定結果を用いて、瞬時空間磁束ベクトル形成手
段において、現周期にてモータの制御に必要な作用を持
つ電圧ベクトルを決定し、決定した電圧ベクトルを用い
て、モータに対して同じ作用を持つ電圧ベクトルの検索
し、前回出力した電圧ベクトルからの遷移に必要なスイ
ッチング回数を求めて比較を行い、スイッチング回数が
最も少なくなる電圧ベクトルを選択し、選択された電圧
ベクトルを現周期においてインバータへ出力することに
より、従来より少ないスイッチング回数で同等の制御を
実現することができる。
【0027】そして、本発明を、瞬時空間磁束ベクトル
制御法に用いられている電圧ベクトル選択アルゴリズム
により選択された電圧ベクトルに対し適用することによ
り、最もスイッチング回数が少なく、かつ誘導モータに
対して同じ作用を持つ電圧ベクトルを制御に用いること
ができ、無駄なスイッチングをなくすことができ、その
結果、スイッチング損失や短絡防止期間に発生する歪み
電圧を低減することができ、モータ制御性や制御効率を
向上させることができる効果がある。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は本発明の基本構成を示すブ
ロック図であり、また、図2は図1の最適電圧ベクトル
選択手段1にて行う処理フローチャートである。本発明
による電圧ベクトル改善部23は、図示のように、前周
期に出力した電圧ベクトルの記憶手段2と、前記記憶手
段2からの前周期に出力した電圧ベクトル(V’(n−
1))と、瞬時空間磁束ベクトル制御法により求められ
た電圧ベクトル(V(n))とを入力とし、現周期にお
けるスイッチング回数を最小にした電圧ベクトル(V’
(n))を出力する最適電圧ベクトル選択手段1より構
成される。
【0029】最適電圧ベクトル選択手段1は、図2に示
すように、瞬時空間磁束ベクトル形成手段により求めら
れた電圧ベクトルと同じ作用(大きさと方向が同じ)を
モータに対して持つ電圧ベクトルを検索する手段20
と、前周期に出力した電圧ベクトルから同じ作用をモー
タに対して持つ電圧ベクトルを検索する手段20により
求められた各電圧ベクトルへの遷移に必要なスイッチン
グ回数を求める手段21と、各スイッチング回数を比較
する手段22とにより構成される。これらを従来のモー
タ制御装置の電圧ベクトル出力部に付加することによ
り、誘導モータに対し同じ作用を持ち、かつスイッチン
グ回数を最小に抑えた電圧ベクトル制御に用いることが
できる。
【0030】第1の実施形態 図3は本発明の1実施形態による誘導モータ制御装置の
ブロック構成図であり、図4は電圧ベクトルの説明図
(その1)であり、図5は2レベルインバータにおける
スイッチング回数テーブルの説明図であり、図6は電圧
ベクトルの説明図(その2)であり、図7は3レベルイ
ンバータにおけるスイッチング回数テーブルの説明図で
ある。なお、図3の構成において、誘導モータ3、イン
バータ13a、電流検出手段4b、電圧検出手段4a、
瞬時空間磁束ベクトル形成手段102、等は、前述の図
8の構成と同様である。図示のように、本発明では図1
に示す電圧ベクトル改善部23がインバータ13aと瞬
時空間磁束ベクトル形成手段102との間に設けられ
る。
【0031】第1の実施形態は本発明を2レベルインバ
ータに適用したものであり、全制御系のブロック図であ
る。なお、2レベルインバータの詳細構成は前述の図9
と同様である。2レベルインバータの制御信号として使
用する電圧ベクトルを決定するまでの手順を以下に示
す。例として、前周期にて出力した電圧ベクトルを(1
01)、スイッチングテーブル16で求められた電圧ベ
クトルを(000)とする。ここで、前述したように、
インバータ13a内部の切換スイッチについて、UP,
VP,WP側が導通した場合を「1」、UN,VN,W
N側が導通した場合を「0」とし、U,V,W相の順で
表現する。
【0032】最初に同じ作用を誘導モータに対してもつ
電圧ベクトルを検索する手段20により、スイッチング
テーブル12cより求めた(000)と同じ作用を誘導
モータに対し持つ電圧ベクトルの検索を行う。検索は、
図4に示すように、2レベルインバータが出力可能な電
圧ベクトル(8種類)に対し、誘導モータに対して同じ
作用を持つ電圧ベクトルを対応させたテーブルを用いて
行う。出力として得られた電圧ベクトルは、自分自身を
含んでいるため、検索結果が唯一の場合は、無条件でそ
の電圧ベクトルがインバータへ出力される。今回の例で
は、電圧ベクトル(000)と同じ作用を誘導モータに
対して持つ電圧ベクトルとして(000),(111)
が得られる(図5参照)。
【0033】次に、前周期に出力した電圧ベクトルから
同じ作用を誘導モータに対して持つ電圧ベクトルを検索
する手段20で検索した電圧ベクトルへのスイッチング
回数を求める手段21により、各電圧ベクトルへの遷移
に必要なスイッチング回数を求める。スイッチング回数
は、図5に示すように、前周期にて出力した電圧ベクト
ルと、これから出力する電圧ベクトルの2つを基に、遷
移に必要なスイッチング回数により構成されたテーブル
で行う。今回の例では、前周期において出力した電圧ベ
クトルが(101)であるため、このテーブルよりスイ
ッチングに必要な回数は(000)を出力する場合に2
回、(111)を出力する場合に1回であることが分か
る(図5の矢印参照)。
【0034】最後に、各スイッチング回数を比較する手
段22により、誘導モータに対して同じ作用を持つ電圧
ベクトルの候補全てに対してスイッチング回数を比較
し、最もスイッチング回数の少ない電圧ベクトルをイン
バータへ出力する。今回の例では(000)と(11
1)について比較し、(111)が最もスイッチング回
数が少ないので、これを現周期の電圧ベクトルとしてイ
ンバータへ出力する。
【0035】また、出力した電圧ベクトルは、次周期に
おいて必要なため記憶する。以上の結果、従来では(0
00)を出力していたため2回のスイッチングを行って
いたが、最適パターン(111)を選択することにより
スイッチング回数を1回に低減させることができる。第2の実施形態 第2の実施形態では、本発明を3レベルインバータに適
用している。全制御系の構成は、図3において、2レベ
ルインバータを3レベルインバータに置き換えた構成と
なる。なお、3レベルインバータの詳細構成は前述の図
15と同様である。3レベルインバータの制御信号とし
て使用する電圧ベクトルを決定するまでの手順を以下に
示す。
【0036】例として、前周期にて出力した電圧ベクト
ルを(POO)、スイッチングテーブル16で求められ
た電圧ベクトルを(ONO)とする。ここで、前述のよ
うに、インバータ内部の切換スイッチについて、S1と
S2が導通の場合を「P」、S2とS3が導通の場合を
「O」、S3とS4が導通の場合を「N」とする。初め
に、同じ作用をモータに対して持つ電圧ベクトル検索手
段20により、スイッチングテーブル12cより求めた
(POO)と同じ作用を誘導モータに対して持つ電圧ベ
クトルの検索を行う。検索は、図6に示すように、3レ
ベルインバータが出力可能な電圧ベクトルに対し、誘導
モータに対して同じ作用を持つ電圧ベクトルを対応させ
たテーブルを用いて行う。
【0037】出力として得られる電圧ベクトルは、自分
自身を含んでいるため、検索結果が唯一の場合は無条件
でその電圧ベクトルがインバータへ出力される。今回の
例では電圧ベクトル(ONO)と同じ作用をモータに対
して持つ電圧ベクトルとして(ONO),(POP)が
得られる(図6の矢印参照)。次に、前周期に出力した
電圧ベクトルから同じ作用をモータに対して持つ電圧ベ
クトルを検索する手段20で検索した電圧ベクトルへの
スイッチング回数を求める手段21により、各電圧ベク
トルへの遷移に必要なスイッチング回数を求める。スイ
ッチング回数は、図7に示すように、前周期にて出力し
た電圧ベクトルと、これから出力する電圧ベクトルの2
つを基に、遷移に必要なスイッチング回数により構成さ
れたテーブルで行う。今回の例では、前周期において出
力した電圧ベクトルが(POO)であるため、このテー
ブルよりスイッチングに必要な回数は(ONO)を出力
する場合に2回、(POP)を出力する場合に1回であ
ることが分かる(図7の(a)参照)。
【0038】最後に、各スイッチング回数を比較する手
段22により、誘導モータに対して同じ作用を持つ電圧
ベクトルの候補全てに対してスイッチング回数を比較
し、最もスイッチング回数の少ない電圧ベクトルをイン
バータへ出力する。今回の例では(ONO)と(PO
P)について比較し、(POP)が最もスイッチング回
数が少ない(1回)ので、これを現周期の電圧ベクトル
としてインバータへ出力する。
【0039】また、出力した電圧ベクトルは、次周期に
おいて必要なため記憶手段2(図1参照)に記憶する。
以上の結果、従来では(ONO)を出力していたため2
回のスイッチングで行っていたが、最適パターン(PO
P)を選択することによりスイッチング回数を1回に低
減させることができる。
【0040】なお、以上で示したスイッチングテーブル
等は、各手段において必要な操作を実現するための一例
であるため、同様の作用を持つならば、異なった方法で
実現してもよいことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック図である。
【図2】図1の最適電圧ベクトル選択手段にて行う処理
フローチャートである。
【図3】本発明の1実施形態による誘導モータ制御装置
のブロック構成図である。
【図4】電圧ベクトルの説明図(その1)である。
【図5】2レベルインバータにおけるスイッチング回数
テーブルの説明図である。
【図6】電圧ベクトルの説明図(その2)である。
【図7】3レベルインバータにおけるスイッチング回数
テーブルの説明図である。
【図8】従来の2レベルインバータにおける制御系の全
体構成図である。
【図9】図8の2レベルインバータの基本構成図であ
る。
【図10】図8の2レベルインバータの出力ベクトルの
説明図である。
【図11】1次磁束ベクトルの制御状態の説明図(その
1)である。
【図12】磁束象限図(その1)である。
【図13】図8に示したスイッチングテーブルの説明図
(その1)である。
【図14】従来の3レベルインバータにおける制御系の
全体構成図である。
【図15】図14の3レベルインバータの基本構成図で
ある。
【図16】図14の3レベルインバータから3相誘導モ
ータに印加される電圧ベクトルの説明図である。
【図17】1次磁束ベクトルの制御状態の説明図(その
2)である。
【図18】磁束象限図の説明図(その2)である。
【図19】スイッチングテーブルの説明図(その2)で
ある。
【符号の説明】
1…最適電圧ベクトル選択手段 2…記憶手段 3…誘導モータ 4a…電圧検出手段 4b…電流検出手段 12a,12b,12c…スイッチングテーブル 13a,13b…インバータ 23…電圧ベクトル改善部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導モータに周期的に電圧ベクトルを印
    加する誘導モータの制御装置において、 前記誘導モータへの1次電流を検出する電流検出手段
    と、 前記誘導モータへの1次電圧を検出する電圧検出手段
    と、 前記電流検出手段により検出された1次電流及び前記電
    圧検出手段により検出された1次電圧について所定の処
    理を行い、処理結果と磁束及びトルク指令値との差に基
    づき、周期的に1次磁束の位相、1次磁束の過不足、及
    びトルクの過不足を判定し、判定結果を基に電圧ベクト
    ルを形成する瞬時空間磁束ベクトル形成手段と、 前周期に出力した前記電圧ベクトルを記憶する記憶手段
    と、 前記瞬時空間磁束ベクトル形成手段と前記記憶手段の出
    力を受け、現周期にて前記瞬時空間磁束ベクトル形成手
    段により形成した電圧ベクトルを基に、誘導モータに対
    して大きさと方向が同じ電圧ベクトルの中から、前記記
    憶手段から前周期にて出力した電圧ベクトルからのスイ
    ッチング回数が最も少ない電圧ベクトルを、現周期にお
    いて出力する最適電圧ベクトルとして選択する電圧ベク
    トル選択手段と、 を具備することを特徴とする誘導モータの制御装置。
  2. 【請求項2】 誘導モータに周期的に電圧ベクトルを印
    加する誘導モータの制御装置における電圧ベクトルの制
    御方法において、 前記誘導モータへの1次電流及び1次電圧値を検出し、 検出結果を用いて1次磁束の過不足、1次磁束の位相、
    トルクの過不足について判定を行い、 判定結果を用いて現周期にてモータの制御に必要な作用
    を持つ電圧ベクトルを決定し、 決定された電圧ベクトルに基づいて、大きさと方向が同
    じ作用をモータに対して持っている電圧ベクトルを前周
    期に出力した電圧ベクトルから検索し、 検索して求めた各電圧ベクトルへの遷移に必要なスイッ
    チング回数を求め、 求めた各スイッチング回数の大小を比較し、 スイッチング回数が最も少ない電圧ベクトルを、現周期
    において出力する最適電圧ベクトルとして選択し、 選択された電圧ベクトルを現周期においてインバータへ
    出力する、 ことを特徴とする誘導モータの制御装置における電圧ベ
    クトルの制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007520987A (ja) * 2004-02-05 2007-07-26 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド 電気式ブーストアプリケーション用電動機制御およびドライバ
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JP2011200000A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Denso Corp 回転機の制御装置

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