JPH091680A - 複合材料の製造方法 - Google Patents

複合材料の製造方法

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JPH091680A
JPH091680A JP7151869A JP15186995A JPH091680A JP H091680 A JPH091680 A JP H091680A JP 7151869 A JP7151869 A JP 7151869A JP 15186995 A JP15186995 A JP 15186995A JP H091680 A JPH091680 A JP H091680A
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Japan
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resin varnish
reinforcing material
composite material
impregnated
inorganic particles
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JP7151869A
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English (en)
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Kiyotaka Komori
清孝 古森
Hiroki Tamiya
裕記 田宮
Akiyoshi Nozue
明義 野末
Seishiro Yamakawa
清志郎 山河
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 モノフィラメントが集束されてなるストラン
ドからなる補強材に、平均粒径1000nm以下の無機
粒子を含ませた後、樹脂ワニスを含浸し、次いで乾燥し
て得られるプリプレグを成形して製造する複合材料の製
造方法であって、熱膨張係数が小さく、かつ、吸湿処理
後の耐熱性に優れる複合材料を得ることのできる方法を
提供する。 【構成】 補強材に樹脂ワニスを含浸する前に、平均粒
径1000nm以下の無機粒子を前記補強材100重量
部に対して1〜30重量部の割合で含ませると共に、プ
リプレグの成形を1〜300Torrの減圧条件下で行
うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、補強材に樹脂ワニスを
含浸し、次いで乾燥して得られるプリプレグを成形して
製造される複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器に使用される材料の最近の動向
として、小型化、軽量化と同時に、高速化、高密度化も
実現しようとする試みがある。その目的達成のための一
つの手段として、リードレスチップキャリア(LCC)
の表面実装技術(SMT)が挙げられる。例えばアルミ
ナのLCCをプリント回路基板に直接実装する場合、ア
ルミナとプリント回路基板との熱膨張係数が異なると、
接合部の半田に熱履歴によって亀裂が生じる。そのた
め、直接実装をする場合には、プリント回路基板の熱膨
張係数をLCCの熱膨張係数(アルミナの場合7ppm
/℃)にできるだけ近づけることが望ましい。さらに、
シリコンのベアチップをリードレスで直接実装しようと
する試みもあるが、そのためには、プリント回路基板の
熱膨張係数をシリコンの熱膨張係数(3〜4ppm/
℃)にできるだけ近づけることが望ましい。
【0003】本発明者らは、プリント回路基板の熱膨張
係数を小さくするための手段として、特願平6−108
816号において、モノフィラメントが集束されてなる
ストランドからなる補強材により樹脂が強化されてなる
複合材料であって、ストランドに平均粒径1000nm
以下の無機粒子が補強材100重量部に対して1重量部
以上の割合で含まれている低熱膨張複合材料を提案して
いる。しかし、この複合材料では、PCT処理等の吸湿
処理後に半田試験を行うとふくれが生じる場合があるこ
とが判明した。この理由としては、ストランド中に無機
粒子を含ませたことにより、ストランド中に樹脂が侵入
しにくい隙間ができ、ポアが生じるためと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであって、その目的とするところ
は、モノフィラメントが集束されてなるストランドから
なる補強材に、平均粒径1000nm以下の無機粒子を
含ませた後、前記補強材に樹脂ワニスを含浸し、次いで
乾燥して得られるプリプレグを成形して製造する複合材
料の製造方法であって、熱膨張係数が小さく、かつ、吸
湿処理後の耐熱性に優れる複合材料を得ることのできる
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の複
合材料の製造方法は、モノフィラメントが集束されてな
るストランドからなる補強材に、樹脂ワニスを含浸し、
次いで乾燥して得られるプリプレグを成形して複合材料
を製造する複合材料の製造方法において、前記補強材に
樹脂ワニスを含浸する前に、前記ストランドに、平均粒
径1000nm以下の無機粒子を前記補強材100重量
部に対して1〜30重量部の割合で含ませると共に、プ
リプレグの成形を1〜300Torrの減圧条件下で行
うことを特徴とする。
【0006】請求項2に係る発明の複合材料の製造方法
は、請求項1記載の製造方法において、補強材への樹脂
ワニスの含浸を、1〜300Torrの減圧条件下で行
うことを特徴とする。
【0007】請求項3に係る発明の複合材料の製造方法
は、請求項1記載の製造方法において、補強材への樹脂
ワニスの含浸を、樹脂ワニスに超音波振動を付与しなが
ら行うことを特徴とする。
【0008】請求項4に係る発明の複合材料の製造方法
は、請求項1記載の製造方法において、補強材への樹脂
ワニスの含浸を、樹脂ワニス中に浸漬した振動バネによ
り15〜30Hzの振動を樹脂ワニスに付与しながら行
うことを特徴とする。
【0009】請求項5に係る発明の複合材料の製造方法
は、請求項1記載の製造方法において、平均粒径100
0nm以下の無機粒子をストランドに含ませた補強材に
樹脂ワニスを含浸するに際し、補強材を減圧脱泡処理し
た溶剤中に浸漬した後、さらに減圧脱泡処理した樹脂ワ
ニス中に浸漬して、補強材に樹脂ワニスを含浸すること
を特徴とする。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける補強材としては、モノフィラメントが集束されて
なるストランドからなるものが用いられる。モノフィラ
メントとしては、低熱膨張のものが好ましいが、特に限
定はされない。モノフィラメントの素材は、特に限定す
るものではないが、ガラス(例えば、Eガラス、Dガラ
ス、Qガラス、Sガラス、Tガラス等)やアラミド樹脂
の1種又は複数種であることが好ましい。ストランドの
長さについては、長繊維で用いてもよいし、短繊維で用
いてもよい。補強材の形態としては、低熱膨張の観点か
ら、樹脂含有量ができるだけ少なくてすむような形態が
好ましい。このような形態の補強材としては、特に限定
はされないが、マット、シート(例えば、クロス(平
織、ななこ織等の織り方がある)等)、及びこれらの複
合物等の繊維成形体等が例示される。上に挙げた補強材
の中でも、ガラスクロスが特に好ましい。その理由は、
クロス形状は緻密であるため樹脂含有量を低くできるこ
とや、フィラメントの連続性が高いことにより、複合材
料の低熱膨張化に有効だからである。また、ガラスが好
ましいのは、安価で、かつ、安定に長繊維を得ることが
できるからである。
【0011】補強材を構成するストランドに含ませる平
均粒径1000nm以下の無機粒子は、それ自身、低熱
膨張の材料である。その熱膨張係数は、特に限定される
わけではないが、10ppm/℃以下であることが好ま
しい。無機粒子の熱膨張係数が10ppm/℃より大き
いと、複合材料の熱膨張係数がアルミナ(7ppm/
℃)やシリコン(3〜4ppm/℃)に比べて大きくな
りすぎるからである。
【0012】ストランドに含ませる平均粒径1000n
m以下の無機粒子の量は、無機粒子を含ませる前の補強
材100重量部に対して1〜30重量部の範囲内である
ことが重要である。この量が1重量部未満であると、本
発明の目的である熱膨張係数の小さい複合材料が得られ
ず、また、上記無機粒子の量が無機粒子を含ませる前の
補強材100重量部に対して30重量部を越えると、複
合材料としたときの耐湿性が悪くなりやすいという問題
が生じるからである。
【0013】無機粒子として平均粒径1000nm以下
のものを用いる理由は、以下の通りである。ストランド
を構成するモノフィラメントは、通常、数μmの太さで
あるため、モノフィラメント間の隙間はミクロンオーダ
ーになるので、ストランドの内部まで無機粒子を容易に
含ませるためには、その平均粒径が1μm(=1000
nm)以下であることが好ましいからである。さらに、
このように平均粒径の小さい無機粒子は、水等を媒体と
する処理液中で容易に単分散するので好ましい。
【0014】なお、前記無機粒子としては、平均粒径1
〜100nmのコロイド粒子がさらに好ましい。このよ
うな無機粒子は、その粒径がさらに小さいので、より狭
いストランドの隙間にも入っていけるからである。しか
し、コロイド粒子の平均粒径は、小さければ小さいほど
よいわけではなく、1nm未満になると、コロイド粒子
の比表面積が非常に大きくなるため、樹脂との界面制御
が困難になるので、コロイド粒子の平均粒径の下限は1
nmである。
【0015】平均粒径1000nm以下の無機粒子とし
ては、特に限定されるわけではないが、溶融シリカや微
粒子アルミナ等のサブミクロンオーダーの市販粒子等が
好ましい。粒径のさらに小さい前記コロイド粒子として
は、特に限定されるわけではないが、シリカゾル、アル
ミナゾル、チタニアゾル等のゾル、超微粒子シリカ、超
微粒子チタニア等が好ましい。これらのコロイド粒子の
中でもシリカが特に好ましい。その理由は、シリカは、
容易に入手できる粒子の中では、熱膨張係数が低い
(0.55ppm/℃)からである。上述した粒子以外
にも、径の小さいボールを用いれば、ボールミル等の機
械的粉砕によってもサブミクロン粒子やコロイド粒子を
得ることができる。ここで、粉砕する材料は、低熱膨張
材料であることが望まれるので、シリカガラス、Eガラ
ス、Tガラス等のガラス、β−スポジュメンを析出させ
た結晶化ガラス、窒化ほう素、窒化珪素、ムライト、窒
化アルミニウム、コージェライト、チタン酸アルミニウ
ム(Al2 3 ・TiO2 )、β−ユークリプタイト等
の結晶が好ましい。
【0016】ストランドには、低熱膨張化材として平均
粒径1000nm以下の無機粒子のみを含ませるように
してもよいが、この無機粒子に加え、金属アルコキシド
の反応生成物をも低熱膨張化材として含ませることも可
能である。金属アルコキシドは、アルコール等の溶媒に
完全に溶解する。そのため、金属アルコキシドは、上記
無機粒子と同様に、それを含む処理液を補強材に含浸さ
せることにより、ストランドの内部まで容易に入ってい
くことができる性質を有している。なお、金属アルコキ
シドの反応生成物は、一般に連続相である無機膜を形成
するため、本発明における平均粒径1000nm以下の
無機粒子とは異なるものである。この金属アルコキシド
としては、特に限定するものではないが、シリコンアル
コキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアル
コキシド、マグネシウムアルコキシド、リチウムアルコ
キシド等が好ましい。その理由は、これらの原料を用い
れば、金属アルコキシドの反応生成物を容易に得ること
ができるからである。これらの、金属アルコキシドの中
でも、シリコンアルコキシドがより好ましい。シリコン
アルコキシドは、上記金属アルコキシドの中では、安価
であり、安定性も高いとともに、その反応生成物である
シリカの熱膨張係数が低い(0.55ppm/℃)から
である。また、金属アルコキシドの反応生成物の含有割
合については、特に限定するものではないが、無機粒子
100重量部に対して、金属アルコキシドの反応生成物
が20重量部以下の割合であることが好ましい。20重
量部を越えると、複合材料としたときの耐湿性を損なう
傾向が生じるからである。
【0017】補強材で強化される樹脂(樹脂ワニスを構
成する樹脂)としては、特に限定されず、使用条件に応
じて適宜選択されるが、例えば、エポキシ樹脂、イミド
樹脂、フェノール樹脂、PPO(ポリフェニレンオキサ
イド)樹脂、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロ
エチレン等)、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト、
ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン及びこれらの各種変性樹脂等が挙
げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種
以上を併用してもよい。
【0018】本発明では、補強材への樹脂ワニスの含浸
の際に下記の4つの方法のうちの少なくとも1つの方法
を施すことが、複合材料の吸湿後耐熱性を良好にする点
から望ましい。 1〜300Torrの減圧条件下で行う。 樹脂ワニスに超音波振動を付与しながら含浸を行う。 樹脂ワニス中に浸漬した振動バネにより15〜30H
zの振動を樹脂ワニスに付与しながら含浸を行う。 補強材を減圧脱泡処理した溶剤中に浸漬した後、さら
に減圧脱泡処理した樹脂ワニス中に浸漬して、補強材に
樹脂ワニスを含浸する。
【0019】本発明では、プリプレグの成形を1〜30
0Torrの減圧条件下で行うので、大気圧中での成形
の場合に比べ複合材料の吸湿処理後の耐熱性が改善され
る。減圧条件を1〜300Torrの範囲内とする理由
は、1Torr未満の真空状態にするには長時間を要す
るという問題があり、また、300Torrを越えると
吸湿処理後の耐熱性の改善効果が顕著でなくなるからで
ある。
【0020】
【作用】請求項1〜請求項5に係る発明において、プリ
プレグの成形を1〜300Torrの減圧条件下で行う
ことは、成型時に補強材の内部、すなわちストランド中
に樹脂を入り込ませ、ポアを減少する作用があり、その
ために、請求項1〜請求項5に係る発明によれば、吸湿
処理後の耐熱性に優れる複合材料を得ることができるよ
うになる。
【0021】また、請求項2〜請求項5に係る発明にお
いて、補強材への樹脂ワニスの含浸の際に上記の〜
の4つの方法のうち少なくとも1つの方法を施すこと
は、やはり、補強材の内部、すなわちストランド中に樹
脂を入り込ませ、ポアを減少する作用があり、そのため
に、本請求項2〜請求項5に係る発明によれば、吸湿処
理後の耐熱性が優れる複合材料をより確実に得ることが
できるようになる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例を説明する
が、本発明は下記実施例に限定されない。
【0023】(実施例1)コロイダルシリカ水溶液(日
産化学工業社製、商品名スノーテックスOL、コロイダ
ルシリカの平均粒径45nm、コロイダルシリカ20重
量%)100gをA液とした。
【0024】これとは別に、アミノシラン系カップリン
グ剤(信越化学工業社製、品番KBM573)2gとエ
タノール198gとを15分間攪拌混合することによ
り、B液を得た。
【0025】Eガラスのななこ織りクロス(旭シュエー
ベル社製、品番6777、AS450MV処理品、繊維
径7μm、打ち込み密度(ストランド本数/25m
m):縦37本/25mm・横68本/25mm)に、
まずA液を含浸させた。その後、1分間室温で乾燥させ
た後、180℃で30分間熱処理を行った。このコーテ
ィングの作業を2回繰り返した。その後、ガラスクロス
にB液を含浸させ、室温で1分間乾燥した後、110℃
で10分間熱処理した。これにより、無機粒子を含んで
いて、かつ、シラン系カップリング剤で表面処理済みの
ガラスクロスを得た。この場合の無機粒子を含ませる前
の補強材100重量部に対する平均粒径1000nm以
下の無機粒子の含有量を表1に示す。
【0026】その後エポキシ樹脂ワニスを、前記で得ら
れた表面処理済みのガラスクロスに含浸させ、間隔0.
2mmのロールで絞った後、150℃で5分間乾燥し、
プリプレグを得た。ここで樹脂ワニスの含浸は大気圧中
で行った。次に、得られたプリプレグを4枚重ね、20
Torrの減圧条件下で、170℃、30kg/cm 2
の成形条件で90分間プレス成形して、基板(複合材
料)を得た。得られた基板(複合材料)中の樹脂成分の
含有割合を表1に示す。
【0027】(実施例2)プリプレグの成形を200T
orrの減圧条件下で行ったこと以外は、実施例1と同
様の操作を行って、プリプレグ及び基板(複合材料)を
作製した。この場合の、無機粒子を含ませる前の補強材
100重量部に対する平均粒径1000nm以下の無機
粒子の含有量と得られた基板(複合材料)中の樹脂成分
の含有割合を表1に示す。
【0028】(実施例3)樹脂ワニスの含浸を、20T
orrの減圧条件下で行ったこと以外は、実施例1と同
様の操作を行って、プリプレグ及び基板(複合材料)を
作製した。この場合の、無機粒子を含ませる前の補強材
100重量部に対する平均粒径1000nm以下の無機
粒子の含有量と得られた基板(複合材料)中の樹脂成分
の含有割合を表1に示す。
【0029】(実施例4)樹脂ワニスの含浸を、47K
Hzの超音波振動を樹脂ワニスに付与しながら行うよう
にしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、プ
リプレグ及び基板(複合材料)を作製した。この場合
の、無機粒子を含ませる前の補強材100重量部に対す
る平均粒径1000nm以下の無機粒子の含有量と得ら
れた基板(複合材料)中の樹脂成分の含有割合を表1に
示す。
【0030】(実施例5)樹脂ワニスの含浸を、樹脂ワ
ニス中に浸漬した振動ばねの振動により、15Hzの振
動を樹脂ワニスに付与しながら行うようにしたこと以外
は、実施例1と同様の操作を行って、プリプレグ及び基
板(複合材料)を作製した。この場合の、無機粒子を含
ませる前の補強材100重量部に対する平均粒径100
0nm以下の無機粒子の含有量と得られた基板(複合材
料)中の樹脂成分の含有割合を表1に示す。
【0031】(実施例6)実施例1と同様の操作で無機
粒子を含んでいて、かつ、シラン系カップリング剤で表
面処理済みのガラスクロスを得た。
【0032】その後、下記に述べるように図1の工程図
に示した方法で、エポキシ樹脂ワニスを、前記で得られ
た表面処理済みのガラスクロスに含浸、乾燥して、プリ
プレグを得た。次に、得られたプリプレグを4枚重ね、
20Torrの減圧条件下で、170℃、30kg/c
2 の成形条件で90分間プレス成形して、基板(複合
材料)を得た。この場合の、無機粒子を含ませる前の補
強材100重量部に対する平均粒径1000nm以下の
無機粒子の含有量と得られた基板(複合材料)中の樹脂
成分の含有割合を表2に示す。
【0033】ここで、プリプレグの作製方法を図1の工
程図を参照しながら説明する。真空ポンプ10を備える
溶剤減圧釜2を用いて20Torrで30分間減圧脱泡
処理した溶剤1(ジメチルホルムアミド)を溶剤含浸槽
3に満たし、別の真空ポンプ10を備える樹脂ワニス減
圧釜5を用いて20Torrで30分間減圧脱泡処理し
た樹脂ワニス6(実施例1で使用したものと同組成のエ
ポキシ樹脂ワニス)をキッスロール含浸槽7及び樹脂ワ
ニス槽8に満たしておき、基材4(上記の表面処理済み
のガラスクロス)に溶剤含浸槽3中の溶剤1を含浸し、
次いでキッスロール含浸槽7中の樹脂ワニス6をキッス
ロールにより含浸させ、次いで樹脂ワニス槽8中の樹脂
ワニス6を含浸させた、次いでクイズロール9で絞った
後、150℃で5分間乾燥して、プリプレグを得た。な
お、図1には溶剤1及び樹脂ワニス6を循環する循環経
路も示している。
【0034】(実施例7)実施例1ではA液のコーティ
ングの作業を2回繰り返し行ったが、この実施例9では
A液のコーティングの作業を1回だけ行うようにして、
補強材100重量部に対する平均粒径1000nm以下
の無機粒子の含有割合を実施例1とは異なるようにし
た。その他の操作は、実施例1と同様の操作を行って、
プリプレグ及び基板(複合材料)を作製した。この場合
の、無機粒子を含ませる前の補強材100重量部に対す
る平均粒径1000nm以下の無機粒子の含有量と得ら
れた基板(複合材料)中の樹脂成分の含有割合を表2に
示す。
【0035】(比較例1)プレス成形を、大気圧中で行
うようにしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行っ
て、プリプレグ及び基板(複合材料)を作製した。この
場合の、無機粒子を含ませる前の補強材100重量部に
対する平均粒径1000nm以下の無機粒子の含有量と
得られた基板(複合材料)中の樹脂成分の含有割合を表
2に示す。
【0036】(比較例2)プレス成形を、大気圧中で行
うようにしたこと以外は、実施例7と同様の操作を行っ
て、プリプレグ及び基板(複合材料)を作製した。この
場合の、無機粒子を含ませる前の補強材100重量部に
対する平均粒径1000nm以下の無機粒子の含有量と
得られた基板(複合材料)中の樹脂成分の含有割合を表
2に示す。
【0037】実施例1〜7及び比較例1〜2における、
無機粒子を含ませる前の補強材100重量部に対する平
均粒径1000nm以下の無機粒子の含有量と得られた
基板中の樹脂成分の含有割合は以下のようにして求め
た。
【0038】無機粒子を含ませる前の補強材の面積当た
りの重量を予め計量しておく。そして、補強材に含有さ
せた平均粒径1000nm以下の無機粒子(コロイダシ
リカ)の重量は、無機粒子を含ませた後の補強材の重量
を計量し、その値から、予め求めておいた無機粒子を含
ませる前の補強材の重量を差し引いて求める。得られた
数値から無機粒子を含ませる前の補強材100重量部に
対する平均粒径1000nm以下の無機粒子の含有量を
算出して求める。
【0039】得られた基板中の樹脂成分の含有割合は、
無機粒子を含ませ、かつ、表面処理を施した後の補強材
の面積当たりの重量と、基板の面積当たりの重量を計量
し、これらの計量値を基にして基板の重量から補強材の
重量を差し引く方法で求めた。
【0040】また、実施例1〜7及び比較例1〜2で得
られた基板について、吸湿処理後の半田耐熱試験を下記
のようにして行った。まず、試料を134℃3気圧の飽
和水蒸気中に1時間さらした(PCT処理)後、直ちに
260℃の半田浴中に60秒間浸漬し、ふくれが生じる
かどうかを調べた。ふくれが生じなかった場合には○、
ふくれが発生した場合は×として、得られた結果を表1
及び表2に示した。
【0041】また、実施例1〜7及び比較例1〜2で得
られた基板について、ガラスクロスの縦糸方向及び横糸
方向の熱膨張係数をそれぞれTMA(Thermomechanical
Analyzer )で測定し、表1及び表2にその結果を示し
た。この熱膨張係数の測定は、5℃/分の昇温速度で室
温から155℃まで行い、40〜80℃の熱膨張係数の
値を求めた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1及び表2の結果から、本発明の実施例
では、熱膨張係数が小さくて、かつ、吸湿後の半田耐熱
性の優れた基板が得られていることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】請求項1〜請求項5に係る複合材料の製
造方法では、平均粒径1000nm以下の無機粒子を含
有している補強材を使用して、得られたプリプレグの成
形を1〜300Torrの減圧条件下で行うので、請求
項1〜請求項5に係る複合材料の製造方法によれば、熱
膨張係数が小さくて、かつ、吸湿処理後の耐熱性に優れ
る複合材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例における工程を説明す
るための、簡略工程図である。
【符号の説明】
1 溶剤 2 溶剤減圧釜 3 溶剤含浸槽 4 基材 5 樹脂ワニス減圧釜 6 樹脂ワニス 7 キッスロール含浸槽 8 樹脂ワニス槽 9 スクイズロール 10 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山河 清志郎 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノフィラメントが集束されてなるスト
    ランドからなる補強材に樹脂ワニスを含浸し、次いで乾
    燥して得られるプリプレグを成形して複合材料を製造す
    る複合材料の製造方法において、前記補強材に樹脂ワニ
    スを含浸する前に、前記ストランドに、平均粒径100
    0nm以下の無機粒子を前記補強材100重量部に対し
    て1〜30重量部の割合で含ませると共に、プリプレグ
    の成形を1〜300Torrの減圧条件下で行うことを
    特徴とする複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 補強材への樹脂ワニスの含浸を、1〜3
    00Torrの減圧条件下で行うことを特徴とする請求
    項1記載の複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 補強材への樹脂ワニスの含浸を、樹脂ワ
    ニスに超音波振動を付与しながら行うことを特徴とする
    請求項1記載の複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 補強材への樹脂ワニスの含浸を、樹脂ワ
    ニス中に浸漬した振動バネにより15〜30Hzの振動
    を樹脂ワニスに付与しながら行うことを特徴とする請求
    項1記載の複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 平均粒径1000nm以下の無機粒子を
    ストランドに含ませた補強材に樹脂ワニスを含浸するに
    際し、補強材を減圧脱泡処理した溶剤中に浸漬した後、
    さらに減圧脱泡処理した樹脂ワニス中に浸漬して、補強
    材に樹脂ワニスを含浸することを特徴とする請求項1記
    載の複合材料の製造方法。
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