JPH09157247A - α−ヒドロキシ−β−アミノカルボン酸の製造方法 - Google Patents

α−ヒドロキシ−β−アミノカルボン酸の製造方法

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JPH09157247A
JPH09157247A JP26279896A JP26279896A JPH09157247A JP H09157247 A JPH09157247 A JP H09157247A JP 26279896 A JP26279896 A JP 26279896A JP 26279896 A JP26279896 A JP 26279896A JP H09157247 A JPH09157247 A JP H09157247A
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孝之 鈴木
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邦輔 井澤
Yutaka Honda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡便かつ安価なα−ヒドロキシ−β−アミノ
カルボン酸およびそのエステルの製造方法を提供する。 【構成】 N−保護されたα−アミノ酸エステルを出発
原料として、これをβ−ケトスルホキシドに誘導後、酸
等によりα−ケト−ヘミメルカプタールに変換し、アシ
ル化後、塩基で処理することによりN−保護されたα−
アシロキシ−β−アミノ−チオエステルに誘導し、これ
をケン化等することにより目的の化合物を製造する。 【効果】 本発明により、各種HIVプロテアーゼ阻害
剤、レニン阻害剤、制癌剤の中間体であるα−ヒドロキ
シ−β−アミノカルボン酸誘導体をα−アミノ酸より短
工程、高選択的かつ高収率で得ることが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はHIVプロテアー
ゼ、レニン等の酵素阻害剤あるいはある種の制癌剤の構
成要素として重要なα−ヒドロキシ−β−アミノカルボ
ン酸誘導体に関する。具体的には、HIVプロテアーゼ
阻害剤KNI−272(Chem.Pharm.Bul
l.40,2251,(1992))、レニン阻害剤K
RI−1314(J.Med.Chem.33,270
7(1990))、抗癌剤ベスタチン(Bioche
m.Pharmacol.32,1051(198
3))および抗癌剤タキソール(Bull.Cance
r,80,326(1993)等があげられ、それらの
構成要素として(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒド
ロキシ−4−フェニル酪酸、(2R,3S)−3−アミ
ノ−2−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸、(2
S, 3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニル酪酸および(2R,3S)−フェニルイソセリン等
をあげることができる。
【0002】
【従来の技術】上記化合物の製造方法としては、相当す
るα−アミノ酸から出発し、N−保護されたα−アミノ
アルデヒドを合成し、これと青酸誘導体とを反応させる
ことにより生成するシアノヒドリンを経由し、シアノ基
を加水分解することにより目的の化合物を得る方法が知
られている(特開昭62−33141、イイズカら,
J.Med.Chem.33,2707(1990)あ
るいは、M.T.Reetsら,Tetrahedro
n Lett.29,3295(1988))。しかし
ながらこれらの方法は、酸化還元工程が必要なことや、
毒性の強い青酸誘導体を使用すること、また大量合成に
不安定なN−保護されたα−アミノアルデヒドを中間体
を経由するすこと等の多くの欠点を有し、大量合成には
適していない。
【0003】一方、N−保護されたα−アミノアルデヒ
ドをニトロメタンと不斉触媒存在下でアルドール反応さ
せ、得られた化合物を酸加水分解することにより目的物
に誘導する方法も知られているが(EP−65741
5)、中間体であるα−アミノアルデヒドが不安定であ
ること、不斉触媒が高価であること等大量生産には適し
ていない。その他、α−アミノアルデヒドを経由しない
方法として、相当するα−アミノ酸から合成されるN−
保護されたα−アミノカルボン酸クロライドとシアン化
トリメチルシリルとを反応させてα−オキソニトリルに
変換し、これをα−ケトカルボン酸エステルとした後、
還元して、目的の化合物を得る方法も知られているが
(特開平6−184069号)、この方法は、高価で毒
性のある青酸化合物を使用することから大量製造には不
適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、工業
的製造に適したα−ヒドロキシ−β−アミノカルボン酸
およびそのエステルの製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく検討を重ねた結果、N−保護されたα−
アミノカルボン酸エステルより容易に得られるβ−ケト
スルフォキシド体を酸によりα−ケト−ヘミメルカプタ
ールとし、アシル化を行ってα−ケト−ヘミメルカプタ
ール−カルボン酸エステルを合成し、それを塩基存在下
転位させることにより立体選択的にα−ヒドロキシ−β
−アミノカルボン酸およびそのエステルを製造する方法
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、一般式(I)
【0007】
【化11】
【0008】(但し、R1は置換基を有してもよい炭素
数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル
基、置換基を有してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐
もしくは環状のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜18
個のアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有してい
てもよいベンジル基またはR2と一緒になって炭素数8
〜18個の2塩基酸の残基を示し、R2は水素、置換基を
有していてもよいベンジル基またはR1と一緒になって
炭素数8〜18個の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基
を有してもよい炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環
状のアルキル基、炭素数7〜18個のアラルキル基、また
は炭素数6〜18個のアリール基を示し、R4は置換基を
有してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状
のアルカノイル基、または炭素数7〜18個のアリールカ
ルボニル基を示し、R5は炭素数1〜2個のアルキル
基、炭素数6〜18個のアリール基、または炭素数7〜18
個のアラルキル基を示す。)で示されるα−ケト−ヘミ
メルカプタール−カルボン酸エステルを塩基存在下転位
反応させることを特徴とする、下記一般式(II)で示
されるα−アシロキシ−チオエステルの製造方法であ
る。
【0009】
【化12】
【0010】(但し、R1、R2、R3、R4及びR5は上
記と同じである。)
【0011】なお、一般式(I)で示される化合物は、
下記一般式(III)で示されるN−保護されたα−ア
ミノカルボン酸エステルを
【0012】
【化13】
【0013】(但し、R1、R2、R3は上記と同じであ
り、R6は炭素数1〜5個の直鎖もしくは分岐のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基、または炭素数7〜
18個のアラルキル基を示す。) 下記一般式(IV)で示される炭素アニオンと反応させ
て、
【0014】
【化14】
【0015】(但し、R5は上記と同じである。)
【0016】下記一般式(V)で示されるβ−ケトスル
フォキシドに変換し、
【0017】
【化15】
【0018】(但し、R1、R2、R3及びR5は上記と同
じである。) 更にこれを酸と反応させて、下記一般式(VI)で示さ
れるα−ケト−ヘミメルカプタールとし、
【0019】
【化16】
【0020】(但し、R1、R2、R3及びR5は上記と同
じである。) これを、アシル化することにより得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に用いるN−保護されたα
−アミノカルボン酸エステル(III)は、α−アミノ
カルボン酸を通常のペプチド合成に用いる手法で合成す
ることができる。α−アミノカルボン酸としては、天然
に存在するアミノ酸や、合成により製造されたアミノ酸
をあげることができるが、下記の構造を有するものであ
る。
【0022】
【化17】
【0023】式中のR3は置換基を有してもよい炭素数
1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、炭素
数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜18個のア
リール基を示しすが、具体的にはベンジル、シクロヘキ
シル−メチル、フェニル、イソプロピル、イソブチルお
よびsec−ブチル基であり、アミノ酸としてはフェニ
ルアラニン、シクロヘキシルアラニン、フェニルグリシ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシンをあげることがで
きる。
【0024】N−保護されたα−アミノカルボン酸エス
テル(III)におけるR1およびR2は、アミノ基の保
護基又は保護された状態を示すものである。保護基は通
常のペプチド合成に用いる物であれば特定しないが、例
えばR1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の直
鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有し
てもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のア
ルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキルオ
キシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジル
基、またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
の2塩基酸の残基を示すものである。すなわち、互いに
独立して水素またはアミノ保護基であるか、またはR1
およびR2が一体となって二官能性のアミノ保護基を示
す。アミノ基の保護基としては、例えば、ベンジルオキ
シカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基のよう
ないわゆるウレタン型の保護基、アセチル基、ベンゾイ
ル基のようなアシル型の保護基、あるいは、ベンジル
基、ジベンジル基のようなベンジル型保護基である。ま
た、二官能性のアミノ保護基としてはフタロイル基等を
あげることができる。
【0025】また、N−保護されたα−アミノカルボン
酸エステル(III)におけるR6は、アミノ酸のエス
テル基を示すものである。すなわちR6を例示するなら
ば、炭素数1〜5個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数6〜18個のアリール基、または炭素数7〜18個の
アラルキル基等である。具体的には、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、t−ブチルおよびベンジル基等である。
【0026】N−保護されたα−アミノカルボン酸エス
テル(III)に炭素アニオン(IV)と反応させてβ
−ケトスルフォキシド(V)に変換する反応は、N−保
護されたα−アミノ酸エステルをテトラヒドロフラン、
ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテルのよ
うな不活性溶剤に溶解し、下記により調製したメチルス
ルホキシドの炭素アニオンの溶液中に滴下する。滴下温
度は−70〜20℃で好ましくは−20〜10℃であ
る。反応温度は−70〜20℃で好ましくは−20〜1
0℃である。
【0027】炭素アニオンは下記一般式(III’)で
示されるメチルスルホキシドに塩基を作用させることに
より調製することができる。
【0028】
【化18】
【0029】式(III’)で示されるメチルスルホキ
シドにおけるR5は、炭素数1〜2個のアルキル基、炭
素数6〜18個のアリール基、または炭素数7〜18個のア
ラルキル基を示す。また、メチルスルホキシドを具体的
に例示すると、ジメチルスルホキシド、メチルエチルス
ルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、メチルp−
トリルスルホキシドをあげることができる。この中でジ
メチルスルホキシドが経済性、汎用性の点で好ましい。
アニオンの調製に用いる塩基は、アニオンを形成できう
る塩基であれば何でも良いが、好ましくはナトリウムア
ミド、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシドおよ
びリチウムジイソプロピルアミドである。また、アニオ
ンの調製に用いる溶剤にはジメチルスルホキシドあるい
はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびメチル
t−ブチルエーテルのような不活性溶剤を用いることが
できる。場合によっては、これらの溶媒を組み合わせ用
いる。アニオンの調製温度は、−70〜80℃、好まし
くは−20〜70℃である。調製時間は30分〜2時間
程度であり、調製濃度としては0.5mol/L〜5m
ol/L程度である。反応の後処理は、酸性水溶液中に
反応液を注ぐか、あるいは反応液中に酸性水溶液を加え
て行う。酸性水溶液としては、クエン酸、酢酸、塩酸等
の水溶液があげられる。
【0030】この反応で硫黄原子上に第二の不斉中心が
形成され、ラセミ体のアミノ酸誘導体から出発したか光
学活性のものから出発したかに応じて、一般に2個のジ
アステレオマーないしジアステレオマー対が生じるが、
特に分離せずに次の反応に使用することができる。ま
た、次のα−ケト−ヘミメルカプタール(VI)の製造
に用いる場合、β−ケト−スルホキシドを精製する必要
はなく、粗製物あるいは未処理反応混合物のままでも使
用できる。なお、この反応で得られたβ−ケトスルフォ
キシド(V)は新規である。
【0031】上記で得られたβ−ケトスルフォキシド
(V)を酸と反応させて、α−ケト−ヘミメルカプター
ル(VI)を得るには、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メ
タノールおよびエタノール等のアルコール等水溶性の溶
媒にβ−ケトスルフォキシドを溶解し、塩酸、硫酸、臭
酸およびトシル酸等の酸の水溶液を加え、−20〜50
℃で反応させればよい。また、反応溶媒はジメチルスル
ホキシド、酸は塩酸が副反応が少ないという点で好まし
く、反応温度は0〜30℃が好ましい。
【0032】なお、α−ケト−ヘミメルカプタールはβ
−ケト−スルホキドを酸無水物と反応させた後、加水分
解により製造することもできる。この反応に用いる溶媒
としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジン、トルエ
ンおよび酢酸エチルである。酸無水物としては、無水酢
酸、無水トリフルオロ酢酸および無水トリクロロ酢酸で
ある。また、反応を円滑に進行させるために、ピリジ
ン、2−ピコリン、2,6−ルチジン、2,4,6−コ
リジンおよびトリエチルアミン等の塩基を共存させるこ
とができる。
【0033】次のα−ケト−ヘミメルカプタール(V
I)の水酸基をアシル化してα−ケト−ヘミメルカプタ
ール−カルボン酸エステル(I)に変換する反応は、α
−ケト−ヘミメルカプタールを、ジクロロメタン、クロ
ロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチル
エーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ピリジン、トルエンおよび酢酸エチル等の通常のア
シル化に使用する溶媒に溶解しアシル化剤を作用させ
る。アシル化剤としては、酸塩化物、酸臭化物および酸
無水物があげられ、具体的には、塩化アセチル、無水酢
酸、ベンゾイルクロリドおよびベンゾイルブロミドであ
る。また、反応を円滑に進行させるために、ピリジン、
2−ピコリン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジ
ンおよびトリエチルアミン等の塩基を共存させることが
できる。反応温度は、−50〜50℃であるが、好まし
くは、−20〜30℃である。
【0034】また、α−ケト−ヘミメルカプタール−カ
ルボン酸エステル(I)はβ−ケトスルフォキシド
(V)を酸無水物と反応させることにより製造すること
もできる。この反応に用いる溶媒としては、ジクロロメ
タン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ピリジン、トルエンおよび酢酸エチル
である。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリクロロ
酢酸等である。また、反応を円滑に進行させるために、
ピリジン、2−ピコリン、2,6−ルチジン、2,4,
6−コリジンおよびトリエチルアミン等の塩基を共存さ
せることができる。
【0035】α−ケト−ヘミメルカプタール−カルボン
酸エステル(I)を塩基存在下β−アミノ−α−アシロ
キシ−チオエステル(II)に変換する反応に用いる塩
基としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−
7−ウンデセン、1、5−ジアザビシクロ[4.3.
0]−5−ノネン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリ
ジン、2−ピコリン、2,6−ルチジン、2,4,6−
コリジン、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチ
ルアミン等があげられる。好ましくは、1,8−ジアザ
ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンおよび1、5
−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンである。
反応に用いる溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド、ピリジン、トルエン、酢酸エチル、メ
タノール、エタノール、イソプロパノールおよびt−ブ
タノールである。反応温度は、−80〜50℃である
が、一般的に低温であるほどジアステレオ選択性は向上
する。
【0036】この反応で第二の不斉中心が形成されるの
でラセミ体のアミノ酸誘導体から出発したか、光学活性
のものから出発したかに応じて、一般に2個のジアステ
レオマーないしジアステレオマー対が生じる。シアステ
レオマーの生成比率、すなわちジアステレオ選択性は使
用する反応溶媒および温度により異なる。反応の際に生
じるジアステレオマーは、この工程で例えばカラムクロ
マトグラフィーまたは晶析により分離できる。
【0037】本発明の方法により製造された化合物は、
2個の不斉中心を有し(R1およびR2に別の不斉中心が
ない限り)、4種の立体異性体が存在する。両不斉中心
の一つのみが本発明の反応順序で形成され、他方の不斉
中心における立体配置は保持されるので、光学活性α−
アミノ誘導体を原料として使用すると、決まって2種の
ジアステレオマー混合物が生成するが、これらは物理的
性質が異なるため分離可能である。したがって、本発明
は立体配置が一様なα−ヒドロキシ−β−アミノ酸の製
造に特に有利である。
【0038】なお、上記の反応で得られたα−カルボキ
シ−チオエステル(II)は、加水分解あるいは加アル
コール分解により下記一般式で示されるN−保護された
β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸あるいはカルボ
ン酸エステル(VII)に変換することができる。
【0039】
【化19】
【0040】(但し、式中R1、R2、R3は上記と同じ
であり、R7は水素、炭素数1〜8個のアルキル基、炭
素数6〜18個のアリール基、または炭素数7〜18個のア
ラルキル基を示す。)
【0041】加水分解のための溶媒は、メタノール、エ
タノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、テ
トラヒドロフランおよびジオキサンと水との混合溶媒で
ある。反応に使用する試薬は、金属水酸化物、好ましく
は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。温
度は、−20〜80℃、好ましくは0〜40℃である。
【0042】加アルコール分解の溶媒としては、所望す
るエステルに相当するアルコール、すなわち好ましくは
メタノールおよびエタノールである。反応に使用する塩
基としては、金属アルコキシド、好ましくはナトリウム
メトキシドおよびナトリウムエトキシドであり、または
金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸
化カリウムであり、または金属炭酸塩、好ましくは炭酸
ナトリウム、炭酸カリウムである。
【0043】以下に、実施例により本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【実施例1】N,N−ジベンジル−(L)−フェニルアラニンベンジ
ルエステルの製造。 25.0g(151.3mmol)の(L)−フェニル
アラニンおよび66.67g(482.4mmol)の
炭酸カリウムを水100mlに溶解した後、塩化ベンジ
ル57.51g(454.3mmol)を加え、95℃
で19時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、n−ヘ
プタン67mlおよび水50mlを加え分層した。有機
層を50mlのメタノール/水=1/2の溶液で2回洗
浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾
過、濃縮し、上記表題化合物を61.64g(90.5
wt%,121.8mmol)を得た(収率84.7
%)。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:3.00(dd,
1H),3.14(dd,1H),3.53(d,2H),3.71(t,1H),3.92(d,2H),
5.12(d,1H),5.23(d,1H),6.99-7.40(m,20H). マススペクトル(FAB) 436(MH+
【0045】
【実施例2】(3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブタンの製
造。 ナトリウムアミド3.76g(96.39mmol)を
ジメチルスルホキシド40mlに懸濁し、30分、74
〜75℃に加熱した。この溶液にテトラヒドロフラン4
0mlを加え、0℃に冷却した。これにN,N−ジベン
ジル−(L)−フェニルアラニンベンジルエステル1
5.47g(90.5wt%,32.14mmol)を
テトラヒドロフラン20mlに溶解した溶液を0℃に保
ちながら滴下した。0℃で30分反応させた後、10%
クエン酸水溶液120mlおよび酢酸エチル100ml
を加え、分層した。水層からさらに酢酸エチル50ml
で1回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水60mlで
洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過、濃縮
し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開系はヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/3)
により精製した後、トルエン/ヘキサン系で晶析し、上
記表題化合物11.16g(収率85.6%)を得た。
得られた化合物は1H−NMRの積分比より、ジアステ
レオマー比率は約1:1であった。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.27(s,3
/2H),2.35(s,3/2H),2.97(dd,1H),3.14(dd,1/2H),3.19(d
d,1/2H),3.55-3.65(m,7/2H),3.75(d,1/2H),3.85(d,2H),
4.01(d,1/2H),4.07(d,1/2H),7.10-7.40(m,15H). マススペクトル(FAB) 406(MH+
【0046】
【実施例3】(3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−ヒドロ
キシ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ンの製造 (3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブタン30
9.6mg(0.763mmol)をジメチルスルホキ
シド6mlに溶解し、2N塩酸1.5mlを加え、室温
で16時間攪拌した。氷浴で冷却下、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液5mlを加え中和し、酢酸エチル20ml
および水10mlを加え分層し、さらに水層から酢酸エ
チル10mlで2回抽出した。有機層を合わせ、水20
mlさらに飽和食塩水20mlで洗浄した後、無水硫酸
ナトリウムで乾燥した。濾過、濃縮し上記表題化合物の
粗製物371.5mgを得た。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:1.13(s,3
H),3.05(dd,1H),3.18(dd,1H),3.52(d,2H),3.82(d,2H),
4.24(dd,1H),5.44(d,1H),7.12-7.38(m,15H).
【0047】
【実施例4】(3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ンの製造 実施例3により得られた(3S)−3−N,N−ジベン
ジルアミノ−1−ヒドロキシ−1−メチルチオ−2−オ
キソ−4−フェニルブタンの粗製物173.0mgをジ
クロロメタン4mlおよびピリジン0.1mlに溶解
し、氷浴下塩化アセチル0.05ml(0.703mm
ol)を加え、室温にて30分攪拌した。反応液に0.
2N塩酸5mlおよびジクロロメタン10mlを加え抽
出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液5ml
および飽和食塩水8mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。この溶液を濾過、濃縮して得られた残渣を
シリカゲル分取薄層クロマトグラフィーにより精製し上
記表題化合物144.8mg(0.324mmol)を
得た。(収率91.1%、2段階)。得られた化合物
は、1H−NMRの積分比より約20:1のジアステレ
オ混合物であった。主ジアステレオマーのデータを下記
に示す。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:1.18(s,3
H),2.14(s,3H),3.03(dd,1H),3.17(1H,dd),3.54(d,2H),
3.87(d,2H),4.22(dd,1H),6.41(s,1H),7.10-7.40(m,15
H). マススペクトル(FAB) 448(MH+
【0048】
【実施例5】(3S)−(2R,S)−2−アセトキシ−3−N,N
−ジベンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエス
テルの製造 (3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン89.5mg(0.200mmol)をトルエン2m
lに溶解し−30℃に冷却した後、1,8−ジアザビシ
クロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.03ml
(0.201mmol)を加えた。−30℃で23時間
攪拌した後、トルエン7mlおよび0.2N塩酸6ml
を加え抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液5mlおよび飽和食塩水5mlで洗浄した後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣
をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィーで精製し、上
記表題化合物95.6mg(0.214mmol)を得
た。(収率106.8%)。1H−NMRの積分比よ
り、ジアステレオマー比率は(2S,3S):(2R,
3S)が約58:42であった。(2S,3S)体 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.23(s,3
H),2.24(s,3H),2.80(dd,1H),3.08(dd,1H),3.39(d,2H),
3.65(ddd,1H),3.88(d,2H),5.83(d,1H),6.96-7.30(m,15
H). マススペクトル(FAB) 448(MH+) (2R,3S)体 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.23(s,3
H),2.24(s,3H),2.81(dd,1H),3.10(dd,1H),3.56(d,2H),
3.59(m,1H),4.04(d,2H),5.07(d,1H),6.96-7.30(m,15H). マススペクトル(FAB) 448(MH+
【0049】
【実施例6】(3S)−(2R,S)−2−アセトキシ−3−N,N
−ジベンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエス
テルの製造 (3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン50.6mg(0.113mmol)をジメチルホル
ムアミド1.1mlに溶解し−30℃に冷却した後、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセ
ン0.02ml(0.134mmol)を加えた。−3
0℃で1時間15分攪拌した後、酢酸エチル10mlお
よび0.2N塩酸6mlを加え抽出した。有機層を水6
mlおよび飽和食塩水8mlで洗浄した後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲル分取薄層クロマトグラフィーで精製し、上記表
題化合物44.6mg(0.100mmol)を得た。
(収率88.2%)。1H−NMRの積分比より、ジア
ステレオマー比率は(2S,3S):(2R,3S)が
約92:8であった。
【0050】
【実施例7】(3S)−1−ベンゾキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ンの製造 (3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブタン67
1.2mg(1.655mmol)をジメチルスルホキ
シド10mlおよびテトラヒドロフラン7mlに溶解
し、2N塩酸5mlを加え、室温で15時間攪拌した。
氷浴で冷却下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液15ml
を加え中和し、酢酸エチル50mlおよび水50mlを
加え分層し、さらに水層から酢酸エチル25mlで2回
抽出した。有機層を合わせ、水50mlさらに飽和食塩
水50mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。濾過、濃縮し粗製物371.5mgを得た。この粗
製物をジクロロメタン17mlおよびピリジン0.67
mlに溶解し、氷浴下、臭化ベンゾイル0.23ml
(1.95mmol)を加え、室温にて35分攪拌し
た。反応液に0.5N塩酸20mlおよびジクロロメタ
ン20mlを加え抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液15mlおよび飽和食塩水20mlで洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濾過、
濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(ヘキサン/酢酸エチル=15/1〜10/1)
により精製し上記表題化合物774.3mg(1.51
9mmol)を得た。(収率91.8%、2段階)。得
られた化合物は、1H−NMRの積分比より約13:1
のジアステレオ混合物であった。主ジアステレオマーの
データを下記に示す。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:1.31(s,3
H),3.05(dd,1H),3.20(dd,1H),3.57(d,2H),3.91(d,2H),
4.27(dd,1H),6.66(s,1H),7.12-7.60(m,18H),8.06-8.10
(m,2H). マススペクトル(FAB) 510(MH+
【0051】
【実施例8】(3S)−(2R,S)−2−ベンゾキシ−3−N,N
−ジベンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエス
テルの製造 (3S)−1−ベンゾキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン54.2mg(0.106mmol)をトルエン1.
1mlに溶解し0℃に冷却した後、1,8−ジアザビシ
クロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.03ml
(0.201mmol)を加えた。0℃で2時間20分
攪拌した後、トルエン10mlおよび0.2N塩酸6m
lを加え抽出した。有機層を水5ml、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液5mlおよび飽和食塩水5mlで洗浄し
た後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。
得られた残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー
で精製し、上記表題化合物45.0mg(0.088m
mol)を得た(収率83.3%)。1H−NMRの積
分比より、ジアステレオマー比率は(2S,3S):
(2R,3S)が約50:50であった。 (2S,3S)体 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.23(s,3
H),2.97(dd,1H),3.22(dd,1H),3.43(d,2H),3.78(m,1H),
3.93(d,2H),6.11(d,1H),7.01-7.26(m,15H),7.50-7.56
(m,2H),7.63-7.68(m,1H),8.17-8.19(m,2H). マススペクトル(FAB) 510(MH+) (2R,3S)体 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.24(s,3
H),2.90(dd,1H),3.15(dd,1H),3.65(d,2H),3.74(m,1H),
4.15(d,2H),5.37(d,1H),7.02-7.05(m,2H),7.19-7.37(m,
13H),7.43-7.48(m,2H),7.58-8.63(m,1H),8.09-8.12(m,2
H). マススペクトル(FAB) 510(MH+
【0052】実施例8により得られたジアステレオマー
混合物は、酢酸エチル−ヘキサンで晶析することによ
り、(2R,3S)体のみを結晶として得ることができ
た。
【0053】
【実施例9】(3S)−(2R,S)−2−ベンゾキシ−3−N,N
−ジベンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエス
テルの製造 (3S)−1−ベンゾキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン54.2mg(0.106mmol)をジメチルホル
ムアミド1.1mlに溶解し−30℃に冷却した後、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセ
ン0.02ml(0.134mmol)を加えた。−3
0℃で30分攪拌した後、酢酸エチル15mlおよび
0.2N塩酸10mlを加え抽出した。有機層を水10
mlおよび飽和食塩水8mlで洗浄した後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシ
リカゲル分取薄層クロマトグラフィーで精製し、上記表
題化合物50.1mg(0.098mmol)を得た
(収率83.3%)。1H−NMRの積分比より、ジア
ステレオマー比率は(2S,3S):(2R,3S)が
約87:13であった。
【0054】
【実施例10】(3S)−(2R,S)−3−N,N−ジベンジルアミ
ノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸の製造 (3S)−(2R,S)−2−ベンゾキシ−3−N,N
−ジベンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエス
テル87.1mg(0.171mmol)をテトラヒド
ロフラン1.7mlに溶解し1N水酸化ナトリウム水溶
液0.68mlを加え、室温にて2日間攪拌した。濃縮
した後、水2ml、ジクロロメタン7mlおよび1N塩
酸0.68mlを加え分層し、さらに水層よりジクロロ
メタン4mlで2度抽出した。有機層を無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥した後、濾過、濃縮し、得られた残渣をシリ
カゲル分取薄層クロマトグラフィーにより精製し、上記
表題化合物44.9mgを得た(収率69.9%)。 マススペクトル(FAB) 376(MH+
【0055】
【実施例11】(3S)−(2R,S)−3−N,N−ジベンジルアミ
ノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸メチルエステル
の製造 (3S)−(2R,S)−2−ベンゾキシ−3−N,N
−ジベンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエス
テル53.6mg(0.105mmol)をメタノール
2mlおよびテトラヒドロフラン0.5mlに溶解しナ
トリウムメトキシド(28%メタノール溶液)0.04
mlを加え、室温にて3時間20分攪拌した。濃縮した
後、酢酸エチル10ml、水5mlおよび1N塩酸0.
5mlを加え分層し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。
無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過、濃縮し、得ら
れた残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィーによ
り精製し、上記表題化合物(2S,3S)体9.8mg
(0.0252mmol,収率24.0%)および(2
R,3S)体4.5mg(0.0116mmol、収率
11.0%)を得た。 (2S,3S)体 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.81(dd,1
H),3.03(dd,1H),3.10(br.d,1H,-OH),3.42(dt,1H),3.53
(s,3H),3.66(d,2H),3.81(d,2H),4.48(m,1H),7.05-7.29
(m,15H). マススペクトル(FAB) 390(MH+) (2R,3S)体 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:3.05-3.2
4(m,4H),3.41(s,3H),3.46(d,2H),4.00(br.t,1H),4.12
(d,2H),7.19-7.35(m,15H). マススペクトル(FAB) 390(MH+
【0056】
【実施例12】N−ベンジルオキシカルボニル−(L)−フェニルアラ
ニンメチルエステルの製造 (L)−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩20.
0g(92.73mmol)をトルエン93mlに懸濁
し、クロルギ酸ベンジル15.82g(92.73mm
ol)を加えた。これに1M炭酸ナトリウム水溶液13
0mlを7℃以下に保ちながら滴下し、3時間攪拌し
た。分層した後、有機層を0.1N塩酸60mlおよび
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液60mlで洗浄し、無水
硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濾過、濃縮し、
上記目的化合物28.75g(96.8wt%,88.
81mmol)を得た(収率95.8%)。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:3.11(m,2
H),3.72(s,3H),4.66(m,1H),5.09(s,2H),5.21(br.d,1H、-
NH),7.08-7.39(m,10H). マススペクトル(FAB) 314(MH+
【0057】
【実施例13】(3S)−3−N−ベンジルオキシカルボニルアミノ−
1−メチルスルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブ
タンの製造。 ナトリウムアミド4.98g(127.7mmol)を
ジメチルスルホキシド40mlに懸濁し、50分、72
〜76℃に加熱した。この溶液にテトラヒドロフラン5
0mlを加え、0℃に冷却した。これにN−ベンジルオ
キシカルボニル−(L)−フェニルアラニンメチルエス
テル10.33g(96.8wt%,31.91mmo
l)をテトラヒドロフラン20mlに溶解した溶液を0
℃に保ちながら滴下した。0℃で1時間反応させた後、
10%クエン酸水溶液120mlおよびジクロロメタン
100mlを加え抽出した。水層からさらにジクロロメ
タン60mlで1回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩
水80mlで洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
濾過、濃縮し、得られた残渣をジクロロメタン/ヘキサ
ン系で晶析し、上記表題化合物8.14g(22.65
mmol)を得た(収率71.0%)。得られた化合物
は1H−NMRの積分比より、約3:1のジアステレオ
マー混合物であった。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.63(s,3
/4H),2.66(s,9/4H),2.94-3.01(m,1H),3.12-3.21(m,1H),
3.57(d,3/4H),3.69(d,1/4H),3.89(d,1/4H),4.04(d,3/4
H),4.45-4.59(m,1H),5.07(m,2H),5.44(br.d,1/4H),5.64
(br.s,3/4H),7.14-7.39(m,10H). マススペクトル(FAB) 360(MH+
【0058】
【実施例14】(3S)−3−N−ベンジルオキシカルボニルアミノ−
1−ヒドロキシ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フ
ェニルブタンの製造 (3S)−3−N−ベンジルオキシカルボニルアミノ−
1−メチルスルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブ
タン708.6mg(1.971mmol)をジメチル
スルホキシド15mlおよびテトラヒドロフラン6ml
に溶解し、2N塩酸7.5mlを加え、室温で18時間
攪拌した。氷浴で冷却下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液15mlを加え中和し、酢酸エチル50mlおよび水
50mlを加え分層し、さらに水層から酢酸エチル25
mlで2回抽出した。有機層を合わせ、水50mlさら
に飽和食塩水30mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥した。この溶液を濾過、濃縮し得られた残渣を
ヘキサン/酢酸エチル系で晶析し上記表題化合物の粗製
物659.7mg(1.835mmol)を得た(収率
93.2%)。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:1.78(s,3
H),2.97(dd,1H),3.24(dd,1H),3.87(dd,1H),4.86(m,1H),
5.05(m,2H),5.55(d,1H),7.18-7.39(m,10H). マススペクトル(FAB) 360(MH+
【0059】
【実施例15】(3S)−1−アセトキシ−3−N−ベンジルオキシカ
ルボニルアミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フ
ェニルブタンの製造 (3S)−3−N−ベンジルオキシカルボニルアミノ−
1−ヒドロキシ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フ
ェニルブタン404.5mg(1.125mmol)を
ジクロロメタン11mlおよびピリジン0.27mlに
溶解し、氷浴下塩化アセチル0.12ml(1.69m
mol)を加え、室温にて3時間30分攪拌した。反応
液に0.5N塩酸20mlおよびジクロロメタン15m
lを加え抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液12mlおよび飽和食塩水15mlで洗浄後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濾過、濃縮して
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(ヘキサン/酢酸エチル=5/1〜4/1)により精製
し上記表題化合物413.3mg(1.029mmo
l)を得た。(収率91.5%)。得られた化合物は1
H−NMRの積分比より、約1:1のジアステレオマー
混合物であった。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:1.75(s,3
/2H),1.98(s,3/2H),2.14(s,3/2H),2.17(s,3/2H),2.99
(m,1H),3.17(m,1H),4.97-5.29(m,4H),6.01(s,1/2H),6.1
5(s,1/2H),7.17-7.37(m,10H). マススペクトル(FAB) 402(MH+
【0060】
【実施例16】(3S)−(2R,S)−2−アセトキシ−3−N−ベ
ンジルオキシカルボニルアミノ−4−フェニル酪酸メチ
ルチオエステルの製造 (3S)−1−アセトキシ−3−N−ベンジルオキシカ
ルボニルアミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フ
ェニルブタン124.5mg(0.310mmol)を
トルエン3mlに溶解し、1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]−7−ウンデセン0.05ml(0.3
34mmol)を加えた。室温で1時間55分攪拌した
後、酢酸エチル15mlおよび1N塩酸7mlを加え抽
出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液7ml
および飽和食塩水7mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカ
ゲル分取薄層クロマトグラフィーで精製し、上記表題化
合物121.4mg(0.302mmol)を得た。
(収率97.5%)。1H−NMRの積分比より、ジア
ステレオマー比率は約6:4であった。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:2.18(s,3
H),2.25(s,6/5H),2.31(s,9/5H),2.77-2.99(m,2H),4.53
(m,1H),4.81(br.d,2/5H,-NH),5.04(d,2H),5.11(br.d,3/
5H,-NH),5.21(d,3/5H),5.43(d,2/5H),7.16-7.38(m,10
H). マススペクトル(FAB) 402(MH+
【0061】
【実施例17】(3S)−1−アセトキシ−3−N−ベンジルオキシカ
ルボニルアミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フ
ェニルブタン(I,R1=ベンジルオキシカルボニル,
2=水素,R3=ベンジル,R4=アセチル,R5=メチ
ル)の製造 (3S)−3−N−ベンジルオキシカルボニルアミノア
ミノ−1−メチルスルフィニル−2−オキソ−4−フェ
ニルブタン166.2mg(0.462mmol)をジ
クロロメタン4.6ml、ピリジン0.5mlおよび無
水酢酸0.5mlに溶解し、4−ジメチルアミノピリジ
ン3mg加え、室温で17.5時間攪拌した。これに酢
酸エチル15mlを加え、1N塩酸10ml、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液10mlおよび飽和食塩水10m
lで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液
を濾過、濃縮して得られた残渣をシリカゲル分取薄層ク
ロマトグラフィーで精製し上記表題化合物124.5m
g(0.310mmol)を得た(収率67.1%)。
【0062】
【実施例18】(3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン(I,R1=R2=R3=ベンジル,R4=アセチル,R
5=メチル)の製造 (3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブタン10
2.4mg(0.252mmol)をジクロロメタン2
ml、ピリジン0.2mlおよび無水酢酸0.2mlに
溶解し、4−ジメチルアミノピリジン3mg加え、室温
で10日間攪拌した。これに酢酸エチル10mlを加
え、1N塩酸10ml、水6ml、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液7mlおよび飽和食塩水7mlで洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濾過、濃縮し
て得られた残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィ
ーで精製し上記表題化合物86.6mg(0.193m
mol)を得た(収率76.8%)。
【0063】
【実施例19】(3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−2−オキソ−4−フェニルブタン(V,
1=R2=R3=ベンジル,R5=メチル)の製造。 ナトリウムアミド3.55g(91.0mmol)をテ
トラヒドロフラン53mlに懸濁し、ジメチルスルホキ
シド10.8ml(152mmol)を加え、47〜5
1℃に加熱して3時間攪拌した。この懸濁液を−12℃
に冷却した後、この懸濁液中にN,N−ジベンジル−L
−フェニルアラニンベンジルエステル13.63g(9
6.9wt%,30.33mmol)のテトラヒドロフ
ラン(18ml)溶液を−12〜−6℃に保ちながら3
5分かけて滴下した。−12〜−8℃で1時間反応させ
た後、10%クエン酸水溶液110mlおよび酢酸エチ
ル44mlを加え、分層した。有機層を飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液30mlおよび飽和食塩水30mlで洗
浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過、濃縮し、
上記表題化合物の粗製物を得た。HPLC分析による結
果、この粗製物は上記表題化合物12.38g(30.
53mmol)を含有していた(収率100%)。この
粗製物は精製することなく次の反応に使用した。
【0064】
【実施例20】(3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−ヒドロ
キシ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン・塩酸塩(VI,R1=R2=R3=ベンジル,R5=メ
チル)の製造 実施例19により得られた(3S)−3−N,N−ジベ
ンジルアミノ−1−メチルスルフィニル−2−オキソ−
4−フェニルブタンの粗製物(12.38g,30.5
3mmol)をアセトン68mlおよびジメチルスルホ
キシド22.8mlに溶解し、2N塩酸22.8mlを
加え、30℃で16時間攪拌した。氷浴で冷却下、飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを加え中和した後、
濃縮してアセトンを留去した。酢酸エチル60mlで抽
出し、有機層を飽和食塩水40mlで洗浄した。無水硫
酸ナトリウムで乾燥した後、濾過、濃縮し得られた残渣
を酢酸エチル45.5mlおよびヘキサン55mlに溶
解し、4N塩酸/酢酸エチル溶液9.1mlを滴下し、
生成した固体を濾取し、45mlの酢酸エチル/ヘキサ
ン=1/2溶液で洗浄した。濾取された固体を減圧乾燥
し、上記表題化合物の粗製物11.48gを得た。
【0065】
【実施例21】(3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−2−オキソ−4−フェニルブタ
ン(I,R1=R2=R3=ベンジル,R4=アセチル,R
5=メチル)の製造 実施例20により得られた(3S)−3−N,N−ジベ
ンジルアミノ−1−ヒドロキシ−1−メチルチオ−2−
オキソ−4−フェニルブタン・塩酸塩11.48gをジ
クロロメタン52mlおよびピリジン4.62mlに溶
解し、塩化アセチル2.22mlを10℃に保ちながら
5分間かけて滴下した。10℃以下で1時間攪拌した
後、10%クエン酸水溶液30mlを加え、分層した。
有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mlおよび
飽和食塩水30mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。この溶液を濾過、濃縮し、上記表題化合物の粗
製物を得た。HPLC分析の結果、この粗製物は上記表
題化合物9.395g(20.99mmol)を含有し
ていた(収率69.2%、2段階)。この粗製物は精製
することなく次の反応に使用した。
【0066】
【実施例22】(2RS,3S)−2−アセトキシ−3−N,N−ジベ
ンジルアミノ−4−フェニル酪酸メチルチオエステル
(II,R1=R2=R3=ベンジル,R4=アセチル,R
5=メチル)の製造 実施例21により得られた(3S)−1−アセトキシ−
3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチルチオ−2−
オキソ−4−フェニルブタン粗製物(9.395g,2
0.99mmol含有)をN,N−ジメチルホルムアミ
ド45mlに溶解し、−31℃に冷却した後、1,8−
ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン641
mg(4.21mmol)のN,N−ジメチルホルムア
ミド(3ml)溶液を−29〜−31℃に保ちながら1
0分間かけて滴下した。−30℃で16時間攪拌した
後、10%クエン酸水溶液50mlおよび酢酸エチル7
7mlを加え抽出した。有機層を水50ml+飽和食塩
水10ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mlお
よび飽和食塩水30mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、濾過、濃縮し、上記表題化合物の粗製物
を得た。HPLC分析の結果、この粗製物は上記表題化
合物のジアステレオマー比が(2S,3S):(2R,
3S)=89.0:11.0であり、また、(2S,3
S)体が8.101g(18.10mmol,収率8
6.2%)含有することがわかった。
【0067】
【実施例23】(2S,3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−2−
ヒドロキシ−4−フェニル酪酸・ジシクロヘキシルアミ
ン塩(VII,R1=R2=R3=ベンジル,R7=水素)
の製造。 実施例22により得られた(2RS,3S)−2−アセ
トキシ−3−N,N−ジベンジルアミノ−4−フェニル
酪酸メチルチオエステル粗製物((2S,3S)体8.
101g(18.10mmol)含有)をメタノール9
0mlに溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液36ml
を加え室温で3時間30分攪拌した。濃縮してメタノー
ルを留去した後、ジクロロメタン50mlおよび6N塩
酸12mlを加え、pH1.9に調整した。これを分層
し、有機層を飽和食塩水30mlで洗浄した後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過、濃縮した後、ア
セトン50mlに溶解し、不溶物を濾別、アセトン30
mlで洗浄した。得られた濾液にジシクロヘキシルアミ
ン4.43g(24.43mmol)を滴下し、5℃ま
で徐冷した。析出した結晶を濾過、アセトン30mlで
洗浄し、これを減圧乾燥して上記表題化合物9.02g
(95.0wt%,15.39mmol)を得た(収率
85.0%)。 1H−NMR(300 MHz,CDCl3)δ:0.95
-1.42(m,5H),1.50-1.97(m,5H), 2.48(dd,1H),2.77(m,2
H),3.03(dd,1H), 3.50(ddd,1H),3.60(d,2H),4.02(d,2
H), 4.44(d,1H),6.95-7.35(m,15H). 13C−NMR (75 MHz,CDCl3)δ:2
4.61, 25.07, 28.96, 32.69, 52.29, 54.09, 62.06, 6
9.93, 125.50, 126.21,127.68, 127.77, 128.55, 129.7
3,140.63, 140.83, 178.18. マススペクトル(FAB) 557(MH+)
【0068】
【実施例24】(3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−5−メチル−2−オキソ−ヘキサン
(V,R1=R2=ベンジル,R3=イソブチル,R5=メ
チル)の製造。 ナトリウムアミド1.00g(25.63mmol)を
ジメチルスルホキシド10mlに懸濁し、30分、50
〜60℃に加熱した。この溶液にテトラヒドロフラン1
0mlを加え、−5℃に冷却した。これにN,N−ジベ
ンジル−L−ロイシンメチルエステル3.38g(1
0.39mmol)をテトラヒドロフラン6.5mlに
溶解した溶液を−5℃に保ちながら40分かけて滴下し
た。−5℃で1時間20分反応させた後、10%クエン
酸水溶液40mlおよび酢酸エチル50mlを加え、分
層した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30m
lおよび飽和食塩水20mlで洗浄した。無水硫酸ナト
リウムで乾燥後、濾過、濃縮し、得られた残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開系はヘキサン/酢
酸エチル=1/1→1/3)により精製した後、上記表
題化合物3.86g(収率100%)を得た。得られた
化合物は1H−NMRの積分比より、ジアステレオマー
比率は約1:1であった。 1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:0.80
(d,3/2H),0.86(d,3/2H),0.89(d, 3/2H),0.90(d,3/2H),
1.36-1.50(m,2H), 1.83(m,1H),2.57(s,3/2H),2.61(d,3/
2H),3.34(br.d,1H),3.46(d,1H),3.51(d,1H),3.72(br.d,
2H),3.81-3.96(m,3/2H),4.09(d,1/2H),7.24-7.39(m,10
H). マススペクトル(ESI) 372(MH+
【0069】
【実施例25】(3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−ヒドロ
キシ−1−メチルチオ−5−メチル−2−オキソ−ヘキ
サン(VI,R1=R2=ベンジル,R3=イソブチル,
5=メチル)の製造 (3S)−3−N,N−ジベンジルアミノ−1−メチル
スルフィニル−5−メチル−2−オキソ−4−ヘキサン
2.35g(6.324mmol)をジメチルスルホキ
シド19mlに溶解し、2N塩酸4.74mlを加え、
30℃で14時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液15mlを加え中和し、酢酸エチル30mlおよび
水20mlを加え分層した。有機層を水20mlさらに
飽和食塩水20mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。濾過、濃縮し上記表題化合物の粗製物2.
16gを得た(収率91.9%)。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:0.85
(d,3/2H),0.94(d,3/2H),1.35-1.50(m,2H),1.74(s,3H),
1.93(m,1H),3.41(d,2H),3.68(d,2H),3.82-3.90(m,2H),
5.50(br.s,1H),7.23-7.36(m,10H).
【0070】
【実施例26】(3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−5−メチル−2−オキソ−4−
ヘキサン(I,R1=R2=ベンジル,R3=イソブチ
ル,R4=アセチル,R5=メチル)の製造 実施例25により得られた(3S)−3−N,N−ジベ
ンジルアミノ−1−ヒドロキシ−1−メチルチオ−5−
メチル−2−オキソ−ヘキサンの粗製物1.66g
(4.47mmol)をジクロロメタン16mlおよび
ピリジン0.54mlに溶解し、氷浴下塩化アセチル
0.38mlを加え、室温にて1時間攪拌した。反応液
に10%クエン酸水溶液15mlおよびジクロロメタン
10mlを加え抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液15mlおよび飽和食塩水15mlで洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濾過、
濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより精製し上記表題化合物1.48g(3.5
8mmol)を得た。(収率80.1%、2段階)。得
られた化合物は、1H−NMRの積分比より約10:1
のジアステレオ混合物であった。主ジアステレオマーの
データを下記に示す。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:0.83
(d,3H),0.91(d,3H),1.38-1.47(m,2H),1.84(s,3H),1.86
(m,1H),2.18(s,3H),3.43(d,2H),3.72(d,2H),3.84(dd,1
H),6.48(s,1H),7.22-7.37(m,10H). マススペクトル(ESI) 414(MH+
【0071】
【実施例27】(2S,3S)−2−アセトキシ−3−N,N−ジベン
ジルアミノ−5−メチルヘキサン酸メチルチオエステル
(II,R1=R2=ベンジル,R3=イソブチル,R4
アセチル,R5=メチル)の製造 (3S)−1−アセトキシ−3−N,N−ジベンジルア
ミノ−1−メチルチオ−5−メチル−2−オキソ−ヘキ
サン0.61g(1.48mmol)をN,N−ジメチ
ルホルムアミド7.5mlに溶解し−30℃に冷却した
後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウン
デセン0.066mlを加えた。−30℃で15.5時
間攪拌した後、10%クエン酸水溶液20mlおよび酢
酸エチル30mlを加え抽出した。有機層を飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液20mlおよび飽和食塩水20ml
で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃
縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製し、上記表題化合物0.60gを得た。
(収率98%)。1H−NMRの積分比より、ジアステ
レオマー比率は(2S,3S):(2R,3S)が約9
5:5であった。 1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ:0.37
(d,3H),0.87(d,3H),1.01(m,1H),1.76-1.86(m,2H),2.23
(s,3H),2.26(s,3H),3.25(m,1H),3.31(d,2H),3.92(d,2
H),5.83(d,1H),7.21-7.33(m,10H). マススペクトル(ESI) 414(MH+

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (但し、R1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の
    直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有
    してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状の
    アルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキル
    オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジ
    ル基またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
    酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
    いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
    の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基を有してもよい
    炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
    基、炭素数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜
    18個のアリール基を示し、R4は置換基を有してもよい
    炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイ
    ル基、または炭素数7〜18個のアリールカルボニル基を
    示し、R5は炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数6〜1
    8個のアリール基、または炭素数7〜18個のアラルキル
    基を示す。)で示されるα−ケト−ヘミメルカプタール
    −カルボン酸エステルを塩基存在下転位反応させること
    を特徴とする、下記一般式(II)で示されるα−アシ
    ロキシ−チオエステルの製造方法。 【化2】 (但し、R1、R2、R3、R4及びR5は上記と同じであ
    る。)
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示される化合物が、下記
    一般式(III)で示されるN−保護されたα−アミノ
    カルボン酸エステルを 【化3】 (但し、R1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の
    直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有
    してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状の
    アルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキル
    オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジ
    ル基またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
    酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
    いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
    の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基を有してもよい
    炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
    基、炭素数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜
    18個のアリール基を示し、R6は炭素数1〜5個の直鎖
    もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜18個のアリール
    基、または炭素数7〜18個のアラルキル基を示す。) 下記一般式(IV)で示される炭素アニオンと反応させ
    て、 【化4】 (但し、R5は炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数6
    〜18個のアリール基、または炭素数7〜18個のアラルキ
    ル基を示す。) 下記一般式(V)で示されるβ−ケトスルフォキシドに
    変換し、 【化5】 (但し、R1、R2、R3及びR5は上記と同じである。) 更にこれを酸と反応させて、下記一般式(VI)で示さ
    れるα−ケト−ヘミメルカプタールとし、 【化6】 (但し、R1、R2、R3及びR5は上記と同じである。) これを、アシル化することにより得られる化合物である
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)のR3が結合する炭素の配
    置がS体である請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(I)のR3が結合する炭素の配
    置がR体である請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(V)で示される化合物。 【化7】 (但し、R1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の
    直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有
    してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状の
    アルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキル
    オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジ
    ル基またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
    酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
    いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
    の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基を有してもよい
    炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
    基、炭素数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜
    18個のアリール基を示し、R5は炭素数1〜2個のアル
    キル基、炭素数6〜18個のアリール基、または炭素数7
    〜18個のアラルキル基を示す。)
  6. 【請求項6】 (3S)配置を有することを特徴とす
    る、請求項5の化合物。
  7. 【請求項7】 (3R)配置を有することを特徴とす
    る、請求項5の化合物。
  8. 【請求項8】 下記一般式(I)で示される化合物。 【化8】 (但し、R1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の
    直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有
    してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状の
    アルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキル
    オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジ
    ル基またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
    酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
    いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
    の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基を有してもよい
    炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
    基、炭素数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜
    18個のアリール基を示し、R4は置換基を有してもよい
    炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイ
    ル基、または炭素数7〜18個のアリールカルボニル基を
    示し、R5は炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数6〜1
    8個のアリール基、または炭素数7〜18個のアラルキル
    基を示す。)
  9. 【請求項9】 下記一般式(II)で示される化合物。 【化9】 (但し、R1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の
    直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有
    してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状の
    アルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキル
    オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジ
    ル基またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
    酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
    いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
    の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基を有してもよい
    炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
    基、炭素数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜
    18個のアリール基を示し、R4は置換基を有してもよい
    炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイ
    ル基、または炭素数7〜18個のアリールカルボニル基を
    示し、R5は炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数6〜1
    8個のアリール基、または炭素数7〜18個のアラルキル
    基を示す。)
  10. 【請求項10】 下記一般式(VI)で示される化合
    物。 【化10】 (但し、R1は置換基を有してもよい炭素数2〜18個の
    直鎖、分岐もしくは環状のアルカノイル基、置換基を有
    してもよい炭素数2〜18個の直鎖、分岐もしくは環状の
    アルコキシカルボニル基、炭素数7〜18個のアラルキル
    オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいベンジ
    ル基またはR2と一緒になって炭素数8〜18個の2塩基
    酸の残基を示し、R2は水素、置換基を有していてもよ
    いベンジル基またはR1と一緒になって炭素数8〜18個
    の2塩基酸の残基を示し、R3は置換基を有してもよい
    炭素数1〜18個の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル
    基、炭素数7〜18個のアラルキル基、または炭素数6〜
    18個のアリール基を示し、R5は炭素数1〜2個のアル
    キル基、炭素数6〜18個のアリール基、または炭素数7
    〜18個のアラルキル基を示す。)
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JP2014514258A (ja) * 2011-02-28 2014-06-19 サイノファーム タイワン,リミティド α−アシルオキシ硫化物誘導体の還元のための方法

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