JPH09157221A - アセタール類の製造方法 - Google Patents

アセタール類の製造方法

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JPH09157221A
JPH09157221A JP32031095A JP32031095A JPH09157221A JP H09157221 A JPH09157221 A JP H09157221A JP 32031095 A JP32031095 A JP 32031095A JP 32031095 A JP32031095 A JP 32031095A JP H09157221 A JPH09157221 A JP H09157221A
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JP
Japan
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hydroxyl group
general formula
organic residue
tert
compound represented
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Pending
Application number
JP32031095A
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English (en)
Inventor
Keiji Yurugi
啓嗣 万木
Koichi Nakagawa
浩一 中川
Yuichi Kita
裕一 喜多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の用途に利用し得る、一般式(4) 【化20】 (式中、R1 はビニル基を有する有機残基を表し、R2
およびR3 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基
を表し、R4 は有機残基を表す)で表されるアセタール
類の新規な製造方法を提供する。 【解決手段】 一般式(1) 【化21】 (式中、R1 はビニル基を有する有機残基を表す)で表
される水酸基含有ビニル化合物と、一般式(2) 【化22】 (式中、R2 およびR3 はそれぞれ独立して水素原子ま
たは有機残基を表す)で表されるカルボニル化合物と、
一般式(3) 【化23】 (式中、R4 は有機残基を表す)で表される水酸基含有
化合物とを、酸化防止剤の存在下で、触媒として酸を用
いて反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセタール類の新
規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、水酸基含有化合物の誘導体の
製造方法としてアセタール化反応はよく知られている。
ところが、水酸基含有ビニル化合物へのアセタール化反
応の応用は、該水酸基含有ビニル化合物が高い重合性を
持つため、反応中に重合が起こる等の問題によりほとん
ど検討されていない。
【0003】水酸基含有ビニル化合物の誘導体の製造方
法としては、水酸基をハロゲンに置換し、水酸基含有化
合物と反応させる方法が知られている。特開平6−14
5108号公報には、上記反応の例として、下式に示す
ように、メチル- α- ブロモメチルアクリレートと、2,
2,2-トリフルオロエチルアルコールとから、メチル-α-
(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メチルアクリレートを
合成する方法が開示されている。
【0004】
【化5】
【0005】また、Polymer Preprints, Japan vol.41,
No.6,1707−1709 (1992) には、メチル -α- ブロモ
メチルアクリレートと相当するアルコールとをトリエチ
ルアミンの存在下で反応させることによって、メチル -
α- アルコキシメチルアクリレート、メチル -α-(オリ
ゴエチレンオキシ)メチルアクリレート等のアリルエー
テル類を合成する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
製造方法を、アセタール類、即ち、アセタール結合を有
するビニル化合物の製造方法に適用した場合、上記の製
造方法では、原料にハロゲン化物を使用しているため、
例えば工業的に生産する場合には、製造装置の腐食を防
止するための手段を講じなければならず、また、得られ
る反応生成物を精製するための工程が煩雑となる等の問
題点を有している。さらに、製造工程で副生成物として
ハロゲン化水素が生成するため、該ハロゲン化水素を廃
棄することにより環境破壊を招く等の問題点も有してい
る。
【0007】尚、特開平5−70408号公報には、塩
基性触媒を用いたαーヒドロキシメチルメタクリレート
の合成において、下式
【0008】
【化6】
【0009】で表される特定の構造を有するアセタール
化合物が、副生成物として僅かに生成することが知られ
ている。
【0010】しかしながら、上記特開平5−70408
号公報に記載のアセタール化合物は、何れも、不純物と
して僅かに得られたにすぎず、上記アセタール化合物を
合成することを目的とする製造方法ではない。
【0011】そこで、本発明の目的は、種々の用途に利
用し得るアセタール類として、一般式(4)
【0012】
【化7】
【0013】(式中、R1 はビニル基を有する有機残基
を表し、R2 およびR3 はそれぞれ独立して水素原子ま
たは有機残基を表し、R4 は有機残基を表す)で表され
るアセタール類の新規な製造方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、水酸基含有ビニ
ル化合物と、カルボニル化合物と、水酸基含有ビニル化
合物以外の水酸基含有化合物とを、反応中の重合を防止
しながら、酸の存在下で反応させることにより、上記の
アセタール類を得ることができることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0015】即ち、本発明は、一般式(1)
【0016】
【化8】
【0017】(式中、R1 はビニル基を有する有機残基
を表す)で表される水酸基含有ビニル化合物と、一般式
(2)
【0018】
【化9】
【0019】(式中、R2 およびR3 はそれぞれ独立し
て水素原子または有機残基を表す)で表されるカルボニ
ル化合物と、一般式(3)
【0020】
【化10】
【0021】(式中、R4 は有機残基を表す)で表され
る水酸基含有化合物とを反応させることを特徴とする一
般式(4)
【0022】
【化11】
【0023】(式中、R1 はビニル基を有する有機残基
を表し、R2 およびR3 はそれぞれ独立して水素原子ま
たは有機残基を表し、R4 は有機残基を表す)で表され
るアセタール類の製造方法に関するものである。
【0024】さらに、本発明は、上記R1 がα- ヒドロ
キシアルキルアクリル酸エステル類から水酸基を除いた
有機残基であることを特徴とする上記アセタール類の製
造方法に関するものである。
【0025】また、本発明は、さらに、酸化防止剤を共
存させることを特徴とする上記アセタール類の製造方法
に関するものである。
【0026】上記の構成によれば、前記一般式(1)で
表される水酸基含有ビニル化合物と、前記一般式(2)
で表されるカルボニル化合物と、前記一般式(3)で表
される水酸基含有化合物とを、酸化防止剤の存在下で、
該水酸基含有ビニル化合物の重合を防止しながら、触媒
として酸を用いて加熱することによって、前記一般式
(4)で表されるアセタール類を容易に得ることができ
る。
【0027】従って、本発明にかかる前記一般式(4)
で表されるアセタール類の製造方法においては、副生成
物としてハロゲン化水素が生成しないので、製造装置の
腐食や、環境破壊を防ぐことができる。
【0028】また、本発明にかかる製造方法によって得
られた前記一般式(4)で表されるアセタール類は、前
記一般式(3)で表される水酸基含有化合物に由来する
側鎖部分が、アセタール結合を介して該水酸基含有ビニ
ル化合物に由来する骨格部分に結合している。このた
め、上記側鎖部分が、弱酸性から強塩基性の広い範囲内
においても脱離しない。従って、前記一般式(3)で表
される水酸基含有化合物を選択することで、所望する種
々の物性を有するアセタール類を得ることができる。例
えば、該アセタール類に対して、撥水性を付与したけれ
ば、前記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とし
て、フッ素を含有する水酸基含有化合物を使用すればよ
く、また、帯電防止性を付与したければ、前記一般式
(3)で表される水酸基含有化合物として、ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテルを使用すればよい。こ
のように、該水酸基含有化合物を適宜選択することによ
り、得られるアセタール類およびその重合体に、種々の
機能を付与することができる。
【0029】さらに、本発明の製造方法により得られる
一般式(4)で表されるアセタール類は、重合性に優れ
ており、帯電防止剤、撥水剤、各種樹脂等の種々の用途
に利用することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態につ
いて詳しく説明する。本発明にかかる製造方法で得られ
る一般式(4)で表されるアセタール類は、特に限定さ
れるものではないが、式中、R1 で示される置換基がビ
ニル基を有する有機残基で構成され、R2 およびR3
示される置換基がそれぞれ独立して水素原子または有機
残基で構成され、R4 で示される置換基が有機残基で構
成される化合物である。そして、これら化合物のうち、
1 で示される置換基が、アリルアルコール、2-ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレートから水酸基を除いた有機残基で
ある化合物が好ましく、α- ヒドロキシアルキルアクリ
ル酸エステル類から水酸基を除いた有機残基である化合
物が特に好ましい。
【0031】本発明にかかるアセタール類の製造方法に
おいて原料として用いられる一般式(1)で表される水
酸基含有ビニル化合物は、特に限定されるものではない
が、式中、R1 で示される置換基がビニル基を有する有
機残基で構成される化合物である。
【0032】上記の水酸基含有ビニル化合物としては、
具体的には、例えば、一般式
【0033】
【化12】
【0034】(式中、R6 、R7 はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、aは1〜3の整数を表
し、bは1〜100 の整数を表す)で表される水酸基含有
ビニル化合物、一般式
【0035】
【化13】
【0036】(式中、R8 は水素原子または有機残基を
表し、R9 は有機残基を表す)で表される水酸基含有ビ
ニル化合物、一般式
【0037】
【化14】
【0038】(式中、R10、R11はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、R12は有機残基を表し、
cは1〜3の整数を表し、dは1〜100 の整数を表す)
で表される水酸基含有ビニル化合物、一般式
【0039】
【化15】
【0040】(式中、R13、R14はそれぞれ独立して水
素原子または有機残基を表し、eは1〜3の整数を表
し、fは1〜100 の整数を表す)で表される水酸基含有
ビニル化合物等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。
【0041】これら水酸基含有ビニル化合物について、
さらに具体的に挙げるならば、例えば、アリルアルコー
ル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アク
リル酸ヒドロキシアルキルエステル類;メチル- α- ヒ
ドロキシメチルアクリレート、エチル- α- ヒドロキシ
メチルアクリレート、n-ブチル- α- ヒドロキシメチル
アクリレート、2-エチルヘキシル- α- ヒドロキシメチ
ルアクリレート、メチル- α-(1-ヒドロキシエチル)ア
クリレート、エチル- α-(1-ヒドロキシエチル)アクリ
レート、2-エチルヘキシル- α-(1-ヒドロキシエチル)
アクリレート等のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エ
ステル類等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これら水酸基含有ビニル化合物は、一種類のみを用
いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いても
よい。
【0042】本発明にかかるアセタール類の製造方法に
おいて原料として用いられる前記一般式(2)で表され
るカルボニル化合物は、前記一般式(1)で表される水
酸基含有ビニル化合物との反応に対して活性であれば、
特に限定されるものではないが、式中、R2 およびR3
で示される置換基がそれぞれ独立して水素原子または有
機残基で構成される化合物である。該カルボニル化合物
としては、例えば、ケトン系化合物やアルデヒド系化合
物等が挙げられる。
【0043】上記のケトン系化合物としては、具体的に
は、例えば、アセトン、ブタノン、2-ペンタノン、3-ペ
ンタノン、3-メチル-2- ブタノン等の脂肪族ケトン類;
1-フェニル-2- プロパノン、アセトフェノン、n-ブチロ
フェノン、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類等が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。
【0044】また、上記のアルデヒド系化合物として
は、具体的には、例えば、ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒ
ド、sec-ブチルアルデヒド、α- メチルバレルアルデヒ
ド、β- メチルバレルアルデヒド、γ- メチルバレルア
ルデヒド等の脂肪族アルデヒド類;ベンズアルデヒド、
o-トルアルデヒド、m-トルアルデヒド、p-トルアルデヒ
ド、サリチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等
の芳香族アルデヒド類等が挙げられる。
【0045】これらカルボニル化合物は、一種類のみを
用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いて
もよい。
【0046】本発明にかかるアセタール類の製造方法に
おいて原料として用いられる前記一般式(3)で表され
る水酸基含有化合物は、上記一般式(1)で表される水
酸基含有ビニル化合物との反応に対して活性であれば、
特に限定されるものではないが、式中、R4 で示される
置換基が有機残基で構成される化合物である。
【0047】上記の水酸基含有化合物としては、具体的
には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノー
ル、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノー
ル、 tert-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサ
ノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ラウリル
アルコール、ミリスチルアルコール、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グ
リセリン、ペンタエリスリトール、1,2-シクロペンタン
ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、
パーフルオロアルコール、フェノール、ベンジルアルコ
ール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、
ジフェニルカルビノール、トリフェニルカルビノール、
1-ナフトール、2-ナフトール、アリザリン等のアルコー
ル類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
これら水酸基含有化合物は、一種類のみを用いてもよい
し、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0048】上記の水酸基含有化合物の物性は、反応生
成物であるアセタール類においても、ある程度保持され
るものである。そこで、所望するアセタール類が備える
べき各種物性に基づいて、上記の水酸基含有化合物の種
類と添加量とを決定することが望ましい。例えば、該ア
セタール類に対して、撥水性を付与したければ、該水酸
基含有化合物としてフッ素を含有する水酸基含有化合物
を使用すればよく、また、帯電防止性を付与したけれ
ば、該水酸基含有化合物としてポリエチレングリコール
モノメチルエーテルを使用すればよい。このように、該
水酸基含有化合物を適宜選択することにより、反応生成
物である該アセタール類に、種々の機能を付与すること
ができる。
【0049】前記一般式(4)で表されるアセタール類
は、前記一般式(1)で表される水酸基含有ビニル化合
物と、前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物
と、前記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とを
触媒の存在下で反応(アセタール化反応)させることに
より、容易に製造することができる。
【0050】本発明にかかるアセタール類の製造方法に
おいて用いられる上記の触媒は酸である。上記の酸(触
媒)としては、特に限定されるものではないが、具体的
には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸、
およびその部分中和塩;タングストリン酸、モリブドリ
ン酸、タングストケイ酸、モリブドケイ酸等のヘテロポ
リ酸、およびその部分中和塩;メタンスルホン酸、パラ
トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸;ギ酸、酢酸、
ラウリン酸、オレイン酸等の有機カルボン酸等のプロト
ン酸;フッ化ホウ素、塩化ホウ素、塩化アルミニウム、
二塩化錫、四塩化錫等のルイス酸等が挙げられる。これ
ら触媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以
上を適宜混合して用いてもよい。
【0051】前記一般式(1)で表される水酸基含有ビ
ニル化合物に対する触媒の添加量は、用いる水酸基含有
ビニル化合物の種類にもよるが、例えば、該水酸基含有
ビニル化合物に対する割合が、 0.001モル%〜50モル%
の範囲内、好ましくは、 0.001モル%〜20モル%の範囲
内となるようにすればよい。触媒の添加量が 0.001モル
%よりも少ない場合には、触媒活性が十分に発揮されに
くく、反応時間が長くなり過ぎる。このため、所望する
アセタール類を効率的に製造することができなくなるた
め好ましくない。また、触媒の添加量を50モル%よりも
多くしても、触媒量の増加に比例した、反応時間の短縮
等の触媒効果のさらなる向上は望めず、添加した触媒の
一部が無駄になり、経済的に不利となるので好ましくな
い。
【0052】前記一般式(1)で表される水酸基含有ビ
ニル化合物に対する前記一般式(2)で表されるカルボ
ニル化合物の添加量は、用いるカルボニル化合物の種類
や組み合わせにもよるが、例えば、該水酸基含有ビニル
化合物1モルに対して、 0.1モル〜10モルの範囲内、好
ましくは、 0.5モル〜5モルの範囲内、特に好ましく
は、1モル〜2モルの範囲内となるように添加すればよ
い。
【0053】該水酸基含有ビニル化合物1モルに対する
上記カルボニル化合物の添加量が 0.1モルより少ない場
合には、所望するアセタール類を効率的に製造すること
ができなくなるため好ましくない。また、該水酸基含有
ビニル化合物1モルに対する上記カルボニル化合物の添
加量を10モルより多くしても、カルボニル化合物の増加
に比例した、収率の向上や反応時間の短縮等の効果のさ
らなる向上は望めず、添加したカルボニル化合物の一部
が無駄になり、経済的に不利となるので好ましくない。
【0054】また、前記一般式(1)で表される水酸基
含有ビニル化合物に対する前記一般式(3)で表される
水酸基含有化合物の添加量は、用いる水酸基含有化合物
の種類にもよるが、例えば、該水酸基含有ビニル化合物
1モルに対して、 0.1モル〜10モルの範囲内、好ましく
は、 0.5モル〜5モルの範囲内、特に好ましくは、1モ
ル〜2モルの範囲内となるように添加すればよい。
【0055】該水酸基含有ビニル化合物1モルに対する
上記水酸基含有化合物の添加量が 0.1モルより少ない場
合には、所望するアセタール類を効率的に製造すること
ができなくなるため好ましくない。また、該水酸基含有
ビニル化合物1モルに対する上記水酸基含有化合物の添
加量を10モルより多くしても、水酸基含有化合物の増加
に比例した、収率の向上や反応時間の短縮等の効果のさ
らなる向上は望めず、添加したその他の水酸基含有化合
物の一部が無駄になり、経済的に不利となるので好まし
くない。
【0056】また、前記一般式(1)で表される水酸基
含有ビニル化合物、前記一般式(2)で表されるカルボ
ニル化合物、および、前記一般式(3)で表される水酸
基含有化合物を反応させる際の添加の順番(方法)は、
特に限定されるものではないが、上記各化合物を一括添
加する方法が、収率を向上させることができるので好ま
しく、水酸基含有ビニル化合物とカルボニル化合物とを
先に反応させ、その後、水酸基含有化合物を添加する方
法が、収率をさらに向上させることができるのでさらに
好ましい。
【0057】上記の反応を行う際の反応条件等は、特に
限定されるものではないが、原料である水酸基含有ビニ
ル化合物および反応生成物であるアセタール類は、分子
中にビニル基等を含有しているので、重合し易い性質を
有している。そこで、上記アセタール化反応中、さら
に、酸化防止剤や分子状酸素を共存させることにより、
該水酸基含有ビニル化合物やアセタール類の重合を防止
することができる。
【0058】上記の酸化防止剤としては、特に限定され
るものではないが、具体的には、例えば、ヒドロキノ
ン、メトキシハイドロキノン、ベンゾキノン、 p-tert-
ブチルカテコール、クロラニル、 2-tert-ブチルヒドロ
キノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,6-ジ-ter
t-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルメトキシヒドロキノン、 2-tert-ブチル-
4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル- 4-メ
チルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル- 4-エチルフェノ
ール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、 2,6-tert-
ブチル- 4-ヒドロキシメチルフェノール、2,6-ジ-tert-
ブチル- 2-ジメチルアミノ- p-クレゾール、2,5-ジ-ter
t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノ
ン、n-オクタデシル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス( n-オクチ
ルチオ)-6-( 4-ヒドロキシ- 3,5-ジ-tert-ブチルアニリ
ノ)-1,3,5-トリアジン、スチリネートフェノール、α-
トコフェノール、 2-tert-ブチル-6-(3'-tert-ブチル-
5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル
アクリレート、2-[1-(2- ヒドロキシ- 3,5-ジ-tert-ペ
ンチルフェニル)エチル]- 4,6-ジ-tert-ペンチルフェ
ニルアクリレート、 2,2'-メチレンビス( 4-メチル-6-t
ert-ブチルフェノール)、 2,2'-メチレンビス( 4-エチ
ル-6-tert-ブチルフェノール)、 2,2'-メチレンビス(
6-シクロヘキシル- 4-メチルフェノール)、 2,2'-メチ
レンビス[ 6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾー
ル]、 2,2'-エチリデンビス( 2,4-ジ-tert-ブチルフェ
ノール)、 2,2'-ブチリデンビス(2-tert-ブチル- 4-メ
チルフェノール)、 4,4'-メチレンビス( 2,6-ジ-tert-
ブチルフェノール)、 4,4'-ブチリデンビス( 3-メチル
-6-tert-ブチルフェノール)、1,6-ヘキサンジオールビ
ス[3-( 3,5-ジ-tert-ブチル-(4-ヒドロキシフェニ
ル)]プロピオネート、トリエチレングリコールビス
[(3-tert-ブチル- 5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)
]プロピオネート、 N,N'-ビス[3-( 3,5-ジ-tert-ブ
チル- 4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジ
ン、 N,N'-ビス[3-( 3',5'-ジ-tert-ブチル- 4-ヒドロ
キシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミ
ン、2,2-チオビス( 4-メチル-6-tert-ブチルフェノー
ル)、 4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノ
ール)、2,2-チオジエチレンビス[3-( 3,5-ジ-tert-ブ
チル- 4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス
[ 2-tert-ブチル- 4-メチル-6-( 3-tert-ブチル- 5-メ
チル- 2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレー
ト、1,1,3-トリス( 2-メチル- 4-ヒドロキシ-5-tert-ブ
チルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル- 2,4,6-トリ
ス( 3,5-ジ-tert-ブチル- 4-ヒドロキシベンジル)ベン
ゼン、トリス( 3,5-ジ-tert-ブチル- 4-ヒドロキシベン
ジル)イソシアヌレート、トリス[2-( 3',5'-ジ-tert-
ブチル-4'-ヒドロキシヒドロ- シナモイルオキシル)エ
チル]イソシアヌレート、トリス(4-tert-ブチル- 2,6-
ジ- メチル- 3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレー
ト、テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-
4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、カ
ルシウム- ビス(エチル- 3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒド
ロキシベンジルフォスフェート、プロピル- 3,4,5-トリ
ヒドロキシベンゼンカルボネート、オクチル- 3,4,5-ト
リヒドロキシベンゼンカルボネート、ドデシル- 3,4,5-
トリヒドロキシベンゼンカルボネート、 1,1- ビス( 4-
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,9-ビス[1,1-
ジメチル- 2-{β-( 3-tert-ブチル- 4-ヒドロキシ- 5-
メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-2,4,
8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のアルキ
ルフェノール系1次酸化防止剤;アルキル化ジフェニル
アミン、 N,N'-ジフェニル- p-フェニレンジアミン、6-
エトキシ- 2,2,4-トリメチル- 1,2-ジヒドロキノリン、
N-フェニル-N'-イソプロピル- p-フェニレンジアミン、
N-フェニル- 1,3-ジメチルブチル- p-フェニレンジアミ
ン、2,2,4-トリメチル- 1,2-ジヒドロキノリンポリマ
ー、アルドール- α-ナフチルアミン、N-フェニル- β-
ナフチルアミン、 N,N'-ジ- 2-ナフチル- p-フェニレ
ンジアミン、 4,4'-ジオクチルジフェニルアミン等のア
ミン系1次酸化防止剤;硫黄、ジラウリル-3,3'-チオジ
プロピオネート、ジトリデシル-3,3'-チオジプロピオネ
ート、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピオネート、ジス
テアリル-3,3'-チオジプロピオネート、テトラキス- メ
チレン-3-(ラウリルチオ)プロピオネートメタン、ジス
テアリル-3,3'-メチル-3,3'-チオジプロピオネート、ラ
ウリルステアリル-3,3'-チオジプロピオネート、ビス
[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-
5- tert-ブチルフェニル]スルフィド、β- ラウリルチ
オプロピオネート、2-メルカプトベンゾイミダゾール、
2-メルカプト- 5-メチルベンゾイミダゾール等の硫黄系
2次酸化防止剤;トリス(イソデシル)フォスファイ
ト、トリシ(トリデシル)フォスファイト、フェニルジ
イソオクチルフォスファイト、フェニルジイソデシルフ
ォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイ
ト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニ
ルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフ
ォスファイト、フォスフォン酸[1,1-ジフェニル-4,4'-
ジイルビステトラキス- 2,4-ビス( 1,1-ジメチルエチ
ル)フェニル]エステル、トリフェニルフォスファイ
ト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、 4,4'-
イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイ
ト、トリス( 2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファ
イト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステア
リルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ( 2,4-
ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォ
スファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタ
エリスリトールジフォスファイト、テトラ(トリデシ
ル)- 4,4'-ブチリデンビス( 3-メチル-6-tert-ブチルフ
ェノール)ジフォスファイト、ヘキサ(トリデシル)-
1,1,3-トリス( 2-メチル- 4-ヒドロキシ-5-tert-ブチル
フェニル)ブタントリフォスファイト、3,5-ジ-tert-ブ
チル-4-ヒドロキシベンジルフォスフェートジエチルエ
ステル、ソディウム- ビス(4-tert-ブチルフェニル)フ
ォスフェート、ソディウム-2,2'-メチレン- ビス( 4,6-
ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート、1,3-ビス
(ジフェノキシフォスフォニルオキシ)ベンゼン等のリ
ン系2次酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤
は、それぞれ一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。
【0059】これら酸化防止剤のなかでも、アルキルフ
ェノール系1次酸化防止剤が、該水酸基含有ビニル化合
物の重合を防止するのにより有効であることから好まし
い。また、より一層、重合防止効果を高めるには、アル
キルフェノール系1次酸化防止剤と硫黄系またはリン系
2次酸化防止剤とを組み合わせて使用することが好まし
く、アルキルフェノール系1次酸化防止剤と硫黄系2次
酸化防止剤とを組み合わせ使用することが特に好まし
い。
【0060】上記酸化防止剤の添加量は、用いる水酸基
含有ビニル化合物の種類にもよるが、例えば、上記酸化
防止剤の総量が、該水酸基含有ビニル化合物の0.001 重
量%〜5重量%の範囲内、好ましくは、0.005 重量%〜
1重量%の範囲内、特に好ましくは、0.01重量%〜 0.1
重量%の範囲内となるように添加すればよい。
【0061】上記酸化防止剤の総量が該水酸基含有ビニ
ル化合物の0.001 重量%よりも少ない場合には、前述し
た重合を抑制することができなくなるので好ましくな
い。一方、上記酸化防止剤の総量を該水酸基含有ビニル
化合物の5重量%よりも多くしても、酸化防止剤の増加
に比例した重合防止効果のさらなる向上は望めず、添加
した酸化防止剤の一部が無駄になり、経済的に不利とな
るので好ましくない。
【0062】また、1次酸化防止剤と2次酸化防止剤と
を組み合わせて使用する場合、2次酸化防止剤の添加量
は、1次酸化防止剤の添加量の1重量%〜 200重量%の
範囲内とすればよい。
【0063】さらに、上記酸化防止剤にキレート剤を共
存させることにより、重合をより効果的に防止すること
ができると共に、酸化防止剤の使用量を減らすことがで
きる。上記のキレート剤としては、特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えば、エチレンジアミン四
酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒ
ドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3-プロパン
ジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエ
チレンテトラミン六酢酸、ニトリロ三酢酸、グルコン酸
ナトリウム、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、 2,2'-オ
キシアミドビス- [エチル3-( 3,5-ジ-tert-ブチル- 4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられ
る。これらキレート剤は、一種類のみを用いてもよく、
また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0064】キレート剤を添加する場合、該キレート剤
の添加量は、酸化防止剤の総量の0.0005重量%〜 100重
量%の範囲内が好ましく、 0.005重量%〜25重量%の範
囲内がさらに好ましく、0.01重量%〜10重量%の範囲内
が特に好ましい。この時、酸化防止剤の総量は、キレー
ト剤と合わせた総量が、該水酸基含有ビニル化合物の0.
001重量%〜5重量%となるように減少させることがで
きる。
【0065】上記キレート剤の添加量が酸化防止剤の総
量の 0.0005 重量%よりも少ない場合には、キレート剤
の添加による重合防止効果のさらなる向上は望めず、前
述した重合をより効果的に抑制することができないので
好ましくない。一方、キレート剤の添加量を酸化防止剤
の総量の 100重量%よりも多くしても、キレート剤の増
加に比例した重合防止効果のさらなる向上や、酸化防止
剤の使用量のさらなる減少は望めず、添加したキレート
剤の一部が無駄になり、経済的に不利となるので好まし
くない。
【0066】また、上記の分子状酸素としては、例え
ば、空気を用いることができる。この場合、反応系に空
気を吹き込む(いわゆる、バブリング)ようにすればよ
い。尚、上記酸化防止剤と分子状酸素とを併用してもよ
い。
【0067】また、反応は、無溶媒で行うこともできる
が、溶媒中で行うこともできる。上記の溶媒としては、
具体的には、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエ
ーテルなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、クロロホル
ム、クロロベンゼン等の炭化水素類等が挙げられるが、
上記反応を阻害するものでなければ、特に限定されるも
のではない。これらの溶媒は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。ま
た、溶媒の使用量も特に限定されるものではない。
【0068】反応温度は、特に限定されるものではない
が、前記した重合を抑制するために、0℃〜 200℃の範
囲内が好ましく、40℃〜 150℃の範囲内が特に好まし
い。反応温度が0℃よりも低い場合には、反応時間が長
くなり過ぎ、所望するアセタール類を効率的に製造する
ことができなくなるので好ましくない。一方、反応温度
が 200℃よりも高い場合には、前記した重合を抑制する
ことができなくなるので好ましくない。
【0069】反応時間は、上記反応が完結するように、
水酸基含有ビニル化合物、カルボニル化合物、その他の
水酸基含有化合物、触媒、酸化防止剤、キレート剤およ
び溶媒等の種類や組み合わせや使用量、並びに、反応温
度等に応じて、適宜設定すればよく、特に限定されるも
のではない。また、反応圧力は、特に限定されるもので
はなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであっても
よい。
【0070】上記アセタール化反応を効果的に行う方法
として、反応により生成する水は反応系外に除去するこ
とが好ましい。反応により生成する水の除去方法として
は、特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ば、減圧下で反応する方法、共沸溶媒を用いて反応する
方法、乾燥剤の存在下で反応する方法等が挙げられる。
【0071】また、反応生成物、即ち所望するアセター
ル類は、反応終了後、反応溶液を精製することによって
得ることができる。上記の精製方法としては、特に限定
されるものではなく、例えば、触媒を中和した後、抽媒
を用いて抽出し、その後、抽媒を除去することによって
精製することができる。この場合、使用できる抽媒とし
ては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられるが、
該反応生成物を溶解すると共に、該反応生成物以外の未
反応物や副生成物、溶媒等と相互溶解しないものであれ
ば、特に限定されるものではない。また、抽媒の除去方
法としては、蒸留、蒸発等が挙げられるが、特に限定さ
れるものではなく、従来公知の種々の方法を用いること
ができる。また、別の精製手段として、蒸留法や、いわ
ゆるカラムクロマトグラフ法等によって分離、精製する
こともできる。
【0072】以上のように、本発明によれば、前記一般
式(1)で表される水酸基含有ビニル化合物と、前記一
般式(2)で表されるカルボニル化合物と、前記一般式
(3)で表される水酸基含有化合物とを酸化防止剤の存
在下で、該水酸基含有ビニル化合物の重合を防止しなが
ら、触媒として酸を用いて加熱することによって、前記
一般式(4)で表されるアセタール類を容易に得ること
ができる。
【0073】従って、本発明にかかる前記一般式(4)
で表されるアセタール類の製造方法においては、副生成
物としてハロゲン化水素が生成しないので、製造装置の
腐食や、環境破壊を防ぐことができる。
【0074】また、上記製造方法によって得られた前記
一般式(4)で表されるアセタール類は、前記一般式
(3)で表される水酸基含有化合物に由来する側鎖部分
が、アセタール結合を介して該水酸基含有ビニル化合物
に由来する骨格部分に結合している。このため、上記側
鎖部分が、弱酸性から強塩基性の広い範囲内においても
脱離しない。従って、前記一般式(3)で表される水酸
基含有化合物を選択することで、所望する種々の物性を
有するアセタール類およびその重合体を得ることができ
る。例えば、該アセタール類または該アセタール類を重
合してなる重合体に対して、撥水性を付与したければ、
前記一般式(3)で表される水酸基含有化合物として、
フッ素を含有する水酸基含有化合物を使用すればよく、
また、帯電防止性を付与したければ、前記一般式(3)
で表される水酸基含有化合物として、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルを使用すればよい。このよう
に、前記一般式(3)で表される水酸基含有化合物を適
宜選択することにより、得られるアセタール類およびそ
の重合体に、種々の機能を付与することができる。
【0075】尚、前記一般式(4)で表されるアセター
ル類を重合して重合体を得る際の重合条件等は、特に限
定されるものではない。例えば、該アセタール類は、単
独で重合させてもよく、また、該アセタール類と共重合
可能な他の共重合体と共重合させてもよい。該アセター
ル類を重合して重合体を得る際の製造方法は、特に限定
されるものではなく、例えば、ラジカル重合開始剤など
の重合開始剤を用いる重合方法;イオン化放射線、電子
線等の放射線や、紫外線を照射する重合方法;加熱によ
る重合方法等、従来公知の種々の方法を採用することが
できる。従って、本発明の製造方法により得られる前記
一般式(4)で表されるアセタール類は、重合性に優れ
ており、帯電防止剤、撥水剤、各種樹脂等の種々の用途
に利用することができる。
【0076】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0077】〔実施例1〕先ず、温度計、および攪拌装
置等を取り付けた 500mlの反応容器に、前記一般式
(1)で表される水酸基含有ビニル化合物であるエチル
- α- ヒドロキシメチルアクリレート 130.1g、前記一
般式(2)で表されるカルボニル化合物であるパラホル
ムアルデヒド45.0g、前記一般式(3)で表される水酸
基含有化合物であるエタノール92.1g、酸化防止剤とし
てのメトキシハイドロキノン 0.026gおよびジステアリ
ル-3,3'-チオジプロピオネート 0.026g、および触媒と
してのp-トルエンスルホン酸一水和物 1.9gを仕込ん
だ。次いで、上記の反応溶液を攪拌しながら加熱し、該
反応容器内の温度を徐々に上昇させて60℃とした。その
後、該反応溶液を60℃で3時間攪拌することにより反応
を完了させた。そして、反応終了後、該反応溶液を2N
−水酸化ナトリウム溶液で中和した後、該反応溶液を、
分液ロートを用いて有機相と水相とに分液した。次に、
上記有機相の分別蒸留を行い、67℃〜70℃/5mmHgの留
分である無色透明の液体 170.1gを反応生成物として得
た。
【0078】この反応生成物について 1H−NMR、13
C−NMRおよび赤外吸収スペクトル(IR)を測定す
ることにより、物質の同定を行った。その結果、上記の
反応生成物が、エチル- α- エトキシメトキシメチルア
クリレート、即ち、本発明にかかるアセタール類である
ことを確認した。また、ガスクロマトグラフィー(G
C)を用いて、エチル- α- エトキシメトキシメチルア
クリレートの定量を行った。この結果、エチル- α- ヒ
ドロキシメチルアクリレートに対するエチル- α- エト
キシメトキシメチルアクリレートの収率は90モル%、選
択率は94モル%であった。
【0079】〔実施例2〕先ず、実施例1と同様の反応
容器に、エチル- α- ヒドロキシメチルアクリレート 1
30.1gと、パラホルムアルデヒド45.0gと、前記一般式
(3)で表される水酸基含有化合物であるn-ブタノール
140.0gと、酸化防止剤としてのハイドロキノン 0.026
gおよびジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート 0.026
gと、p-トルエンスルホン酸一水和物 1.9gとを仕込ん
だ。次いで、上記の反応溶液を攪拌しながら加熱し、該
反応容器内の温度を徐々に上昇させて60℃とした。その
後、該反応溶液を60℃で3時間攪拌することにより反応
を完了させた。そして、反応終了後、該反応溶液を2N
−水酸化ナトリウム溶液で中和した後、該反応溶液を、
分液ロートを用いて有機相と水相とに分液した。次に、
上記有機相をカラムクロマトグラフィーを用いて分離、
精製し、無色透明の液体 162.8gを反応生成物として得
た。尚、カラムクロマトグラフィーには、n-ヘキサンを
展開溶媒として用いた。また、吸着剤にはシリカゲルを
用いた。
【0080】この反応生成物について、実施例1と同様
の方法により物質の同定を行った。その結果、上記の反
応生成物が、エチル- α- ブトキシメトキシメチルアク
リレート、即ち、本発明にかかるアセタール類であるこ
とを確認した。また、ガスクロマトグラフィー(GC)
を用いて、エチル- α- ブトキシメトキシメチルアクリ
レートの定量を行った。この結果、エチル- α- ヒドロ
キシメチルアクリレートに対するエチル- α- ブトキシ
メトキシメチルアクリレートの収率は75モル%、選択率
は86モル%であった。
【0081】〔実施例3〕先ず、実施例1と同様の反応
容器に、エチル- α- ヒドロキシメチルアクリレート 1
30.1gと、パラホルムアルデヒド45.0gと、前記一般式
(3)で表される水酸基含有化合物であるエチレングリ
コールモノエチルエーテル 180.0gと、酸化防止剤とし
てのハイドロキノン 0.026gおよびジミリスチル-3,3'-
チオジプロピオネート 0.026gと、p-トルエンスルホン
酸一水和物 1.9gとを仕込んだ。次いで、上記の反応溶
液を攪拌しながら加熱し、該反応容器内の温度を徐々に
上昇させて60℃とした。その後、該反応溶液を60℃で3
時間攪拌することにより反応を完了させた。そして、反
応終了後、該反応溶液を2N−水酸化ナトリウム溶液で
中和した後、該反応溶液を、分液ロートを用いて有機相
と水相とに分液した。次に、上記有機相をカラムクロマ
トグラフィーを用いて分離、精製し、無色透明の液体 1
66.3gを反応生成物として得た。尚、カラムクロマトグ
ラフィーには、n-ヘキサン/ベンゼン=9/1溶液を展
開溶媒として用いた。また、吸着剤にはシリカゲルを用
いた。
【0082】この反応生成物について、実施例1と同様
の方法により物質の同定を行った。その結果、上記の反
応生成物が、エチル- α- エトキシエトキシメトキシメ
チルアクリレート、即ち、本発明にかかるアセタール類
であることを確認した。また、ガスクロマトグラフィー
(GC)を用いて、エチル- α- エトキシエトキシメト
キシメチルアクリレートの定量を行った。この結果、エ
チル- α- ヒドロキシメチルアクリレートに対するエチ
ル- α- エトキシエトキシメトキシメチルアクリレート
の収率は72モル%、選択率は88モル%であった。
【0083】
【発明の効果】本発明は、以上のように、一般式(1)
【0084】
【化16】
【0085】(式中、R1 はビニル基を有する有機残基
を表す)で表される水酸基含有ビニル化合物と、一般式
(2)
【0086】
【化17】
【0087】(式中、R2 およびR3 はそれぞれ独立し
て水素原子または有機残基を表す)で表されるカルボニ
ル化合物と、一般式(3)
【0088】
【化18】
【0089】(式中、R4 は有機残基を表す)で表され
る水酸基含有化合物とを反応させることを特徴とする一
般式(4)
【0090】
【化19】
【0091】(式中、R1 はビニル基を有する有機残基
を表し、R2 およびR3 はそれぞれ独立して水素原子ま
たは有機残基を表し、R4 は有機残基を表す)で表され
るアセタール類の製造方法に関するものである。
【0092】また、本発明は、以上のように、上記R1
がα- ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類から水
酸基を除いた有機残基であることを特徴とする上記アセ
タール類の製造方法に関するものである。
【0093】さらに、本発明は、以上のように、さら
に、酸化防止剤を共存させることを特徴とする上記アセ
タール類の製造方法に関するものである。
【0094】上記の構成によれば、前記一般式(1)で
表される水酸基含有ビニル化合物と、前記一般式(2)
で表されるカルボニル化合物と、前記一般式(3)で表
される水酸基含有化合物とを、酸化防止剤の存在下で、
該水酸基含有ビニル化合物の重合を防止しながら、触媒
として酸を用いて加熱することによって、前記一般式
(4)で表されるアセタール類を容易に得ることができ
る。
【0095】従って、本発明にかかる前記一般式(4)
で表されるアセタール類の製造方法においては、副生成
物としてハロゲン化水素が生成しないので、製造装置の
腐食や、環境破壊を防ぐことができる。
【0096】また、本発明にかかる製造方法によって得
られた前記一般式(4)で表されるアセタール類は、前
記一般式(3)で表される水酸基含有化合物に由来する
側鎖部分が、アセタール結合を介して該水酸基含有ビニ
ル化合物に由来する骨格部分に結合している。このた
め、上記側鎖部分が、弱酸性から強塩基性の広い範囲内
においても脱離しない。従って、前記一般式(3)で表
される水酸基含有化合物を選択することで、所望する種
々の物性を有するアセタール類を得ることができる。例
えば、該アセタール類に対して、撥水性を付与したけれ
ば、前記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とし
て、フッ素を含有する水酸基含有化合物を使用すればよ
く、また、帯電防止性を付与したければ、前記一般式
(3)で表される水酸基含有化合物として、ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテルを使用すればよい。こ
のように、前記一般式(3)で表される水酸基含有化合
物を適宜選択することにより、得られるアセタール類お
よびその重合体に、種々の機能を付与することができ
る。
【0097】さらに、本発明の製造方法により得られる
一般式(4)で表されるアセタール類は、重合性に優れ
ており、帯電防止剤、撥水剤、各種樹脂等の種々の用途
に利用することができるという効果を併せて奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 はビニル基を有する有機残基を表す)で表
    される水酸基含有ビニル化合物と、 一般式(2) 【化2】 (式中、R2 およびR3 はそれぞれ独立して水素原子ま
    たは有機残基を表す)で表されるカルボニル化合物と、 一般式(3) 【化3】 (式中、R4 は有機残基を表す)で表される水酸基含有
    化合物とを反応させることを特徴とする一般式(4) 【化4】 (式中、R1 はビニル基を有する有機残基を表し、R2
    およびR3 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基
    を表し、R4 は有機残基を表す)で表されるアセタール
    類の製造方法。
  2. 【請求項2】上記R1 がα- ヒドロキシアルキルアクリ
    ル酸エステル類から水酸基を除いた有機残基であること
    を特徴とする請求項1記載のアセタール類の製造方法。
  3. 【請求項3】さらに、酸化防止剤を共存させることを特
    徴とする請求項1または2記載のアセタール類の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007065203A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Fujifilm Corp ポジ型レジスト組成物、該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法及び該ポジ型レジスト組成物に用いられる化合物

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007065203A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Fujifilm Corp ポジ型レジスト組成物、該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法及び該ポジ型レジスト組成物に用いられる化合物
JP4597009B2 (ja) * 2005-08-30 2010-12-15 富士フイルム株式会社 ポジ型レジスト組成物、該ポジ型レジスト組成物を用いたパターン形成方法及び該ポジ型レジスト組成物に用いられる化合物

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