JPH09156049A - 被覆層を有する構造体及びそれを用いた機械器具 - Google Patents

被覆層を有する構造体及びそれを用いた機械器具

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JPH09156049A
JPH09156049A JP31888095A JP31888095A JPH09156049A JP H09156049 A JPH09156049 A JP H09156049A JP 31888095 A JP31888095 A JP 31888095A JP 31888095 A JP31888095 A JP 31888095A JP H09156049 A JPH09156049 A JP H09156049A
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coating layer
asphalt
surface roughness
base material
sprayed
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JP31888095A
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Kiyoshi Suwabe
喜義 諏訪部
Isao Itsukida
功 五木田
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TOKYO SILICONE KK
Original Assignee
TOKYO SILICONE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械器具の内面及び/又は外面に好まし
くない生コンクリート及びアスファルトが付着すること
を防止しうる耐久性に優れた非粘着・離型効果を有する
被覆層を設けた構造体及びそれを用いた生コンクリー
ト、アスファルトの付着防止用途に適する製造、運搬用
機械器具を提供する。 【解決手段】 基材表面が、表面あらさ(Ra)1.
0〜2.7μmとなる凹凸面であり、基材表面にポリ四
フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレ
ン共重合体及び/又は四フッ化エチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体から選択される一種又
は二種以上のフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有して
なる被覆層を備えたことを特徴とする。また、それを用
いた生コンクリート用機械器具並びにアスファルト用機
械器具。耐摩耗性向上のため、基材表面上に予め金属ま
たはセラミックスを溶射して溶射層を形成することが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に特定の被覆
層を有する構造体及びそれを用いた機械器具に関し、詳
しくは、生コンクリート用機械器具への生コンクリート
の付着及びアスファルト用機械器具、アスファルト成型
用金型へのアスファルトの付着を防止するための、ふっ
素系樹脂又はシリコーン系樹脂を含有する被覆層を有す
る構造体及び機械器具に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、生コンクリートの配合、施工、成
型には種々の機械器具、容器、運搬手段などが使用され
ている。生コンクリートは、原料となるセメント、砂、
骨材、水が混合され、水和の働きで硬化するものである
が、原料を混合した時点から硬化の反応が開始するた
め、経時的に混合物の粘度が上昇し、容器、装置の内面
又は外面又は内外面に付着しやすくなる。
【0003】特に、山間部などの工事現場で、ヘリコプ
ターに取り付けられたホッパーにより生コンクリートを
搬送する場合や、コンクリートミキサー車で生コンクリ
ートを混合しながら現場へ搬送する場合、生コンクリー
トと接触する内面に生コンクリートが10%前後付着
し、その後、硬化したコンクリートの層が使用する毎に
堆積する現象が頻繁に見られる。
【0004】このように、搬送する機械器具、容器の内
面に硬化したコンクリート層が形成されると搬送効率が
低下する。
【0005】また、これら装置や車両の外面に取扱中に
飛散した生コンクリート飛沫が付着する現象もしばしば
見られるが、外面に固着すると美観を損ね、色別等の塗
装目的にも障害となる。
【0006】これらはいずれも、該コンクリート層を除
去するために高圧の水流で内面・外面を清掃する必要が
あるなど、後処理にも多大な時間、コスト、労力を要し
ている。
【0007】一方、アスファルトは、固形又は半固形状
態であり、伸度が高く、粘着性、防水性、電気絶縁性な
どを有し、道路舗装屋上防水など種々の分野に用いられ
ている。通常は、加熱したり、油分を配合したりして粘
度を低下させて用いられることが多い。
【0008】アスファルトは、粘着性が高いため機械器
具や成型用金型の内面・外面に付着し易く、また、水や
溶剤などにも溶解しにくく、一旦、硬化すると除去する
ことが非常に困難であるため、効果的な付着防止手段が
切望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明の目
的は、優れた付着防止効果を有する表面層を備えた構造
体、さらには、生コンクリート用機械器具、アスファル
ト用機械器具の内面及び/又は外面に好ましくない生コ
ンクリート及びアスファルトが付着することを防止しう
る耐久性に優れた非粘着・離型効果(以下、単に非粘着
性と称する)を有する被覆層を設けた構造体及びそれを
用いた生コンクリート、アスファルトの付着防止用途に
適する製造並びに運搬用機械器具を提供することを目的
とする。
【0010】特に、内面については非粘着性、耐摩耗性
が、外面については非粘着性、美観並びに傷付き防止性
に優れた生コンクリート及びアスファルト用機械器具を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、特定の表面あらさを有する基材表面に、特定のフ
ッ素系樹脂(PTFE、FEP、PFAから選択される
一種又は二種以上)と耐擦過性充填材とを配合してなる
被覆層を形成することにより、前記目的を達成し得るこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0012】また、基材表面に金属またはセラミックス
いずれかの溶射被覆層を併用することにより、さらに耐
摩耗性が向上することを見出した。
【0013】即ち、本発明の構造体は、基材表面が表面
あらさ(Ra)1.0〜2.7μmとなる凹凸面であ
り、該基材表面にポリ四フッ化エチレン(以下、PTF
Eと称する)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン
共重合体(以下、FEPと称する)及び四フッ化エチレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以
下、PFAと称する)から選択される一種又は二種以上
のフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆層
をその表面の所望の部分に備えたことを特徴とする。こ
れら特定のフッ素系樹脂は、それぞれを単独で用いても
よく、2種又は3種を混合して用いてもよい。
【0014】前記形成された被覆層の表面あらさ(R
a)は0.3〜1.0μmであることが好ましい。
【0015】また、本発明の生コンクリート製造並びに
運搬用機械器具は、基材表面が、表面あらさ(Ra)
1.0〜2.7μmとなる凹凸面であり、該基材表面に
PTFE、FEP及びPFAから選択される一種又は二
種以上のフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる
被覆層を備え、且つ、該被覆層の表面あらさ(Ra)が
0.3〜1.0μmであることを特徴とする。
【0016】特に、生コンクリートの取扱中に飛散によ
り飛沫が付着する外面の所望の部分に、前記のごとき被
覆層を形成することが、付着防止の観点から好ましい。
【0017】また、本発明の生コンクリート製造並びに
運搬用機械器具の別の態様においては、表面あらさ(R
a)が1.0〜5.0μmである基材表面に、予め金属
またはセラミックスを溶射して溶射層を形成し、該溶射
層の表面あらさ(Ra)3.0〜15.0μm、(R
z)30.0〜100.0μmとなし、該溶射層表面上
にPTFE、FEP及びPFAから選択される一種又は
二種以上のフッ素系樹脂を含有してなる被覆層を備える
ことを特徴とする。
【0018】本発明のアスファルト製造、舗装並びに運
搬用機械器具は、基材表面が、表面あらさ(Ra)1.
0〜2.7μmとなる凹凸面であり、該基材表面にPT
FE、FEP及びPFAから選択される一種又は二種以
上のフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆
層を備え、且つ、該被覆層の表面あらさ(Ra)が0.
3〜3.0μmであることを特徴とする。
【0019】また、アスファルトの飛散により飛沫が付
着する部分に、前記の被覆層を形成することが好まし
い。
【0020】本発明のアスファルト製造、舗装並びに運
搬用機械器具の第2の態様においては、アスファルトが
接触する部分において、表面あらさ(Ra)が1.0〜
5.0μmである基材表面に、予め金属またはセラミッ
クスを溶射して溶射層を形成し、該溶射層の表面あらさ
を(Ra)3.0〜15.0μm、(Rz)30.0〜
100.0μmとなし、該溶射層表面上にPTFE、F
EP及びPFAから選択される一種又は二種以上からな
るフッ素系樹脂を含有してなる被覆層を備えることを特
徴とする。
【0021】更に、本発明のアスファルト製造、舗装並
びに運搬用機械器具の第3の態様では、基材表面が表面
あらさ(Ra)1.0〜2.7μmとなる凹凸面であ
り、該基材表面にシリコーンオイル含有量が10重量%
以下であるシリコーン高重合体からなる被覆層、又は、
シリコーン高重合体からなり、その表面張力が32dy
n/cm以下である被覆層、を備え、且つ、該被覆層の
表面あらさ(Ra)が1.0〜3.0μmであることを
特徴とする。
【0022】また、本発明のアスファルト製造、舗装並
びに運搬用機械器具は、アスファルトが接触する部分
に、表面あらさ(Ra)1.0〜5.0μmである基材
表面に、金属またはセラミックスを溶射して溶射層を形
成し、該溶射層の表面あらさを(Ra)3.0〜15.
0μm、(Rz)30.0〜100.0μmとなし、該
溶射層表面上にシリコーンオイル含有量が10重量%以
下であるシリコーン高重合体からなる被覆層、又は、シ
リコーン高重合体からなり、その表面張力が32dyn
/cm以下である被覆層、を備えたことを特徴とする。
【0023】ここで、前記アスファルト製造、舗装並び
に運搬用機械器具は、アスファルト舗装装置、アスファ
ルト成型金型又はアスファルト含浸シート製造用ガイド
ローラーとして、特に好適に使用し得る。
【0024】なお、本発明において機械器具とは、その
内面及び/又は外面に生コンクリート及びアスファルト
が付着しうる手動利器、器具、機械、装置、設備及びそ
れに用いられる部分品などを包含する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。
【0026】本発明の構造体及びそれを用いた生コンク
リート並びにアスファルトの付着防止用機械器具の被覆
層に用いるフッ素系樹脂としては、ポリ四フッ化エチレ
ン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレ
ン共重合体(FEP)及び四フッ化エチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からな
る群から選択される一種又は二種以上を用いる。これら
は単独で用いてもよく、異なる種類のフッ素系樹脂を二
種又は三種併用してもよく、また、同種のフッ素系樹脂
であって分子量、重合度が異なるもの同志を併用しても
よい。
【0027】ここで用いるPTFE、FEP、PFAは
公知のものでよく、通常、フッ素系樹脂として使用され
る分子量、重合度のものがいずれも使用できる。これら
フッ素系樹脂は、付着防止効果を有することが知られて
いるが、単独で被覆層を形成しても、生コンクリートや
アスファルトのような物質に対する非粘着性や被覆層の
耐擦過性、耐摩耗性は不十分であり、そこで、三種のフ
ッ素系樹脂から選択される一種又は二種以上に耐擦過性
充填材を配合させることでこれらの性能の向上を図っ
た。
【0028】本発明で用いられる、耐擦過性充填材とし
ては、例えば、形状が鱗片状、即ち、径に比較して厚み
の薄い薄片状の形状を有するもので、且つ、被覆層形成
時の焼成温度において影響を受けないもの等が好まし
い。代表的なものとしては、粒径1〜25μm程度の鱗
片状マイカ、雲母状酸化鉄、板状酸化チタン、板状炭化
ケイ素等が挙げられる。具体的には、例えば、鱗片状マ
イカ〔ミクロマイカ:コープケミカル(株)製〕等を用
いることが効果の観点から好ましい。
【0029】耐擦過性充填材の含有量としては、フッ素
系樹脂を含む被覆層を構成する組成物中に約3〜8重量
%で配合されることが好ましい。3重量%未満では、耐
擦過性、耐摩耗性効果が不十分であり、8重量%を超え
ると形成される被覆層の基材表面への付着性及び生コン
クリート、アスファルトに対する非粘着性が低下するた
め好ましくない。
【0030】構造体の基材表面に形成する被覆層の膜厚
としては、非粘着性を持続できる膜厚であれば任意でよ
いが、PTFE、FEP、PFA等のフッ素系樹脂を主
剤とした被覆層の耐久性の観点から15〜50μm程度
が好ましい。
【0031】膜厚が15μm未満の場合には、隠ぺい力
や耐久性が不十分であり、50μmを超えると、コーテ
ィングの際にバブリング(発泡)を生じたり、コーティ
ング膜にクラック(割れ)を生じ易くなる。また、材料
の使用量が必要以上に増えることからコストアップとな
り、経済的観点からも好ましくない。
【0032】基材表面に被覆層を形成させる方法として
は、コーティング方法とラミネート方法が挙げられる。
【0033】コーティング方法としては、水系、有機溶
剤系分散媒に前記被覆層形成用の組成物を分散させた液
状塗料形態で用いられる場合、エアースプレイ、静電ス
プレイ、浸漬、ローラーコート、カーテンコート、スピ
ンコート等で基材表面に適用する方法が挙げられる。
【0034】また、ラミネート方法としては、例えば、
前記フッ素系樹脂を主剤とする被覆層組成物の樹脂フィ
ルムを形成し、基材である金属の平板の表面にラミネー
トを施した後、プレスにより所望の形状にする方法、成
型された基材金属の表面に前記のフィルムをラミネート
する方法等が挙げられる。
【0035】ここでコーティング方法によって被覆層を
形成する場合、基材表面と被覆層との付着性を高めるた
め、基本として、次の処理を行って特定の表面あらさに
調整する。
【0036】即ち、溶剤、酸、アルカリ、等を用いて基
材の表面を清浄(除錆、脱脂)にした後、サンドブラス
ティング、グリットブラスティング等を行って基材表面
に、表面あらさ(Ra)が1.0〜2.7μmとなるよ
うな凹凸面を形成させると同時に、表面を活性化させ
る。表面あらさ(Ra)が上記範囲にあることが効果の
観点から好ましい。
【0037】このように基材の表面あらさを規定の範囲
に調整した後、前記の如く、コーティング法等により基
材表面に被覆層を適用し、その後、乾燥、焼付処理を行
うものである。
【0038】このとき、形成された被覆層の表面あらさ
(Ra)は、フッ素系樹脂であれば0.3〜1.0μ
m、シリコーン系樹脂であれば1.0〜3.0μmであ
ることが効果の観点から特に好ましい。
【0039】本発明の構造体の基材については特に制限
はなく、前記の表面あらさの調整が可能であれば、通
常、用いられる金属はいずれも目的に応じて使用するこ
とができる。
【0040】以上のようにして形成された構造体は、基
材表面に堅固に付着した被覆層を有し、生コンクリー
ト、アスファルト等に対して十分な付着防止性、付着し
た場合の除去の容易性及び耐久性を備えたものとなり、
機械器具、装置等の内面及び外面に好適に使用すること
ができる。
【0041】ここで、構造体とは、生コンクリート、ア
スファルト等の付着防止を必要とする機械器具を包含
し、以下の生コンクリート製造並びに運搬用機械器具や
アスファルト製造、舗装並びに運搬用機械器具などが好
適な例として具体的に挙げられる。
【0042】次に、本発明の生コンクリート製造並びに
運搬用機械器具について説明する。本発明の生コンクリ
ート製造並びに運搬用機械器具は、その内面及び/又は
外面に、基材表面が表面あらさ(Ra)1.0〜2.7
μmとなる凹凸面であり、該基材表面にPTFE、FE
P及びPFAから選択された一種又は二種以上のフッ素
系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆層を備えて
おり、その被覆層の表面あらさ(Ra)は0.3〜1.
0μmである。
【0043】また、本発明の生コンクリート製造並びに
運搬用機械器具の別の態様においては、耐久性(耐摩耗
性)を向上させるために、表面あらさ(Ra)が1.0
〜5.0μmである基材表面に、予め金属またはセラミ
ックスいずれかの溶射を施して溶射層を形成し、その表
面あらさを(Ra)3.0〜15.0μm、(Rz)3
0.0〜100.0μmとなし、その後、溶射層の上に
PTFE、FEP及びPFAから選択された一種又は二
種以上のフッ素系樹脂を含有してなる被覆層を形成する
こともできる(複合被覆法)。
【0044】また、溶射層を形成した後、前記フッ素系
樹脂を含有してなる被覆層に代えて、PTFE、FEP
及びPFAから選択された一種又は二種以上のフッ素系
樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆層を備えるこ
とも、効果の観点から好ましく行われる。
【0045】この溶射を施すことにより耐久性・耐摩耗
性は向上するが、コストアップとなる。従って、要求さ
れる耐久性・耐摩耗性と付着防止性を考慮して、必要に
応じて溶射層の形成を行うことが好ましい。また、同様
の観点から、必要に応じてフッ素系樹脂からなる被覆層
を耐擦過性充填材を含有したものに代えることが好まし
い。
【0046】前記被覆層を形成した生コンクリート製造
並びに運搬用機械器具としては、生コンクリートの付着
防止を目的として、生コンクリート製造装置および治
具、運搬具の生コンクリートと常に接触する面や取扱の
際に飛散する生コンクリート飛沫が付着する面に用いる
が、適用する機械器具としては、生コンクリート貯蔵用
タンク、ホッパー、バケット、生コンクリート打ち込み
用ポンプ、生コンクリート用タワー、ベルトコンベア、
シュート、手押し車など生コンクリートを製造又は貯蔵
又は搬送するための装置、容器、生コンクリートミキサ
ー車のミキシングドラム、スクレーバー、攪拌翼等が挙
げられ、必要に応じてこれら機械器具の外面及び/又は
内面の表面に前記被覆層を適宜形成して用いるものであ
る。
【0047】本発明の、生コンクリート製造並びに運搬
用機械器具としては、前記の如くヘリコプターに取り付
けられたホッパーにより生コンクリートを搬送する場合
の搬送用ホッパーの内面へ適用することにより、搬送中
に生コンクリートが付着して硬化し、生コンクリートの
搬送効率が低下するのを防止するのに有用である。
【0048】さらに、コンクリートミキサー車の外面や
機械の外面の如く、常に生コンクリートと接触している
部分ではないが、取扱中の生コンクリートが飛散して、
飛沫が付着する部分の表面に、前記被覆層を形成するこ
とにより、生コンクリートの飛沫の付着を防止しうると
ともに、一旦付着した飛沫も水洗などにより簡単に除去
することができるため、本発明の適用が特に有用であ
る。この用途については、格別の耐摩耗性を必要としな
いことから、前記溶射層などの下地層を形成しなくても
十分実用に供することができる。
【0049】このコンクリートミキサー車について、好
ましい態様を挙げれば、生コンクリート運搬車両外面で
生コンクリートの飛散により飛沫が付着する部分に、表
面あらさ(Ra)が1.0〜2.7μmとなる凹凸表面
を有する基材と、該基材表面にPTFE、FEP及びP
FAから選択される一種又は二種以上のフッ素系樹脂に
耐擦過性充填材を含有してなり、且つ、その表面あらさ
(Ra)が0.3〜1.0μmである被覆層と、を備え
る生コンクリート運搬車両が挙げられる。
【0050】次に、請求項5に記載のアスファルト製
造、舗装並びに運搬用機械器具について説明するに、本
発明のアスファルト製造、舗装並びに運搬用機械器具
は、基材表面が、表面あらさ(Ra)1.0〜2.7μ
mとなる凹凸面であり、該基材表面にPTFE、FEP
及びPFAから選択される一種又は二種以上のフッ素系
樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆層を備えてお
り、その被覆層の表面あらさ(Ra)が0.3〜3.0
μmである。
【0051】このアスファルト製造、舗装並びに運搬用
機械器具の好ましい態様としては、アスファルト製造、
舗装並びに運搬用機械器具の外面でアスファルトの飛散
により飛沫が付着する部分に、表面あらさ(Ra)が
1.0〜2.7μmとなる凹凸表面を有する基材と、該
基材表面にPTFE、FEP及びPFAから選択される
一種又は二種以上のフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含
有してなり、且つ、その表面あらさ(Ra)が0.3〜
3.0μmである被覆層とを、備えたアスファルト製
造、舗装並びに運搬用機械器具が挙げられる。
【0052】また、本発明の別の態様であるアスファル
ト製造、舗装並びに運搬用機械器具においては、生コン
クリートに適用するのと同様に、金属あるいはセラミッ
クスからなる溶射層を下地層として設けることが好まし
い。即ち、骨材や他の添加剤と配合され、加熱されたア
スファルト合材のごとき、粘着性及び摩耗性の高いアス
ファルトが接触する部分には、表面あらさ(Ra)が
1.0〜5.0μmである基材表面に、予め金属または
セラミックスを溶射して溶射層を形成し、該溶射層の表
面あらさを(Ra)3.0〜15.0μm、(Rz)3
0.0〜100.0μmとなし、該溶射層表面上にPT
FE、FEP及びPFAから選択される一種又は二種以
上のフッ素系樹脂を含有してなる被覆層を備えること
が、耐久性の観点から好ましい。この溶射層は前記生コ
ンクリート用機械器具で挙げたのと同じものを用いるこ
とができる。
【0053】この態様においても、溶射層の上に、前記
フッ素系樹脂を含有してなる被覆層に代えてPTFE、
FEP及びPFAから選択される一種又は二種以上のフ
ッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆層を形
成することを、効果の観点から好ましく行うことができ
る。
【0054】さらに、本発明のアスファルト製造、舗装
並びに運搬用機械器具の別の態様においては、基材表面
が表面あらさ(Ra)1.0〜2.7μmとなる凹凸面
であり、該基材表面にシリコーンオイル含有量が10重
量%以下のシリコーン高重合体からなる被覆層、又は、
シリコーン高重合体からなり、その表面張力が32dy
n/cm以下である被覆層を備えており、被覆層の表面
あらさ(Ra)が0.3〜3.0μmであることが好ま
しい。この態様においても、前記アスファルトに適用す
るのと同様に、金属あるいはセラミックスからなる溶射
層を下地層として設けることが好ましい。即ち、骨材や
他の添加剤と配合され、加熱されたアスファルト合材の
ごとき、粘着性及び摩耗性の高いアスファルトが接触す
る部分には、表面あらさ(Ra)が1.0〜5.0μm
である基材表面に、予め金属またはセラミックスを溶射
して溶射層を形成し、該溶射層の表面あらさを(Ra)
3.0〜15.0μm、(Rz)30.0〜100.0
μmとなし、該溶射層表面上に前記のシリコーン高重合
体からなる被覆層、又は、シリコーン高重合体からな
り、その表面張力が32dyn/cm以下である被覆層
を備えることが、耐久性の観点から特に好ましい。
【0055】ここで、シリコーン高重合体とは、シリコ
ーン樹脂やシリコーンゴム等を指し、これらのシリコー
ン高重合体は、低分子量のシリコーンオイルを含むもの
であってもよいがその配合量は10重量%以下のもの
か、或いは、被覆層を形成したときの表面張力が32d
yn/cm以下のものとすべきである。シリコーンオイ
ルの含有量が10重量%を超えると被覆層の耐久性が低
下するため好ましくない。また、このシリコーン高重合
体は被覆層を形成したときの表面の表面張力が32dy
n/cmを超えると非粘着性が低下するため好ましくな
い。
【0056】本発明のシリコーン高重合体からなる被覆
層を設けたアスファルト製造、舗装並びに運搬用機械器
具においてもフッ素系樹脂を用いた被覆層と同様に、ア
スファルト合材等が接触する部分の基材表面に、金属ま
たはセラミックスを溶射して、予め溶射層を設けること
が、耐摩耗性、耐久性の観点から好ましい。また、この
予め溶射層を設けたアスファルト製造、舗装並びに運搬
用機械器具は耐摩耗性に優れるため、特に、骨材等を配
合したアスファルト合材を扱うアスファルト舗装装置
や、繰り返し使用により応力を受ける頻度の高いアスフ
ァルト成型金型又はアスファルト含浸シート製造用ガイ
ドローラー等の用途に適している。
【0057】シリコーン高重合体からなる被覆層は、前
記フッ素系樹脂からなる被覆層と同様にコーティング法
等の方法により形成することができる。
【0058】本発明のアスファルト製造、舗装並びに運
搬用機械器具としては、アスファルト合材製造装置、ア
スファルト舗装用機械装置、アスファルト成型用金型、
アスファルト含浸シート製造用ガイドローラーなどが挙
げられ、具体的には、アスファルトクッカ、アスファル
トケットル、アスファルトタンク、アスファルトフィニ
ッシャ、アスファルト目地注入機の他、アスファルトプ
ラントを構成する混合機、計量器、搬送パイプ及びアス
ファルトブロック成型用型枠等が挙げられ、これらの内
面及び/又は外面の必要な部分に本発明に係る被覆層を
形成して用いる。
【0059】なかでも、小型のアスファルトフィニッシ
ャの如き装置に用いることにより、表面へのアスファル
トの付着が有効に防止できるため、従来、作業中にアス
ファルトの付着がある程度に達したときに作業を中止
し、重油や溶剤等でアスファルトを除去するという作業
工程が不要となり、作業効率を大幅に向上することがで
きる。
【0060】また、アスファルト合材製造装置の外面の
如く、常にアスファルトとは接していないものの、アス
ファルトの飛散を受けて汚れる部分の表面に、本発明に
係る前記被覆層を形成することにより、アスファルトの
飛沫の付着を防止しうるとともに、一旦付着した飛沫も
簡単に除去することができるため、本発明の適用が特に
有用である。この用途については、生コンクリート飛散
面におけるのと同様に、格別の耐摩耗性、耐久性を必要
としないことから、前記溶射層などの下地層を形成しな
くても十分実用に供することができる。
【0061】本発明のアスファルト製造、舗装並びに運
搬用機械器具についても、用途(目的)、適用部位に応
じて、溶射層の有無、被覆層の配合などの組み合わせを
使い分けることが好ましい。
【0062】前記した如く、本発明の構造体を容器内面
に用いることにより、生コンクリートまたはアスファル
トが容器内部に貯蔵されて、ここから搬出される場合、
内面に固着、残存することなく、効率的に容器から取り
出すことができ、無駄なく使い切ることが可能となる。
【0063】また、容器、機械器具、装置、運搬具、等
の外面にも生コンクリート、アスファルトが固着しない
ため、高圧の水流その他を使用した除去作業が不要とな
る。
【0064】このことは、省資源化、省力化、作業効率
の向上、人件費の低減化、等を意味するものであり、経
済効果に寄与すること大である。
【0065】
【実施例】
(実施例1〜3、試験例1、2) (1)供試構造体 基材(鋼板:JIS G3101 SS41)を表面あ
らさ(Ra)が1.0〜2.7μmになるようにブラス
ティングし、形成された凹凸面に、マイカ(ミクロマイ
カ:コープケミカル社製)5重量%を含有したPTF
E、FEP及びPFAを各々コーティングし、下記膜厚
で被覆層を形成して構造体を作製した。得られた構造体
をそれぞれ実施例1〜3とした。
【0066】膜厚は、それぞれPTFE:20〜40μ
m(実施例1)、FEP:30〜50μm(実施例
2)、PFA:30〜50μm(実施例3)であった。
また、それぞれの被覆層の表面あらさ(Ra)は、PT
FE:0.7〜0.8μm(実施例1)、FEP:0.
7〜0.8μm(実施例2)、PFA:0.4〜0.5
μm(実施例3)であった。
【0067】膜厚の測定は、万能型膜厚計〔LZ−33
0.(株)ケット科学研究所製〕を用いて行った。
【0068】また、比較のための試験例として、ブラス
ティングを行わず被覆層を形成しなかった基材(圧延し
たままの表面が平滑な鋼板;表面あらさ(Ra)は0.
6μm)(試験例1)及びその基材を実施例1と同様に
ブラスティングしたものに付着防止組成物としてシリコ
ーンオイル4%含有のシリコーン高重合体被覆層を形成
したもの(試験例2)を準備した。なお、シリコーン高
重合体被覆層の膜厚は15〜25μmであった。
【0069】生コンクリートの非粘着性試験 供試生コンクリートとして、市販のドライ生コン〔ポル
トランドセメント、砂、骨材が一定割合で混合されたも
の:「ホームジャリコン」鹿島コンクリート(株)製〕
に、規定量の水を加え混練した生コンクリートを用い
た。
【0070】〔試験方法〕前記各実施例及び比較例の構
造体の表面(被覆層形成面)上に0.8g/cm2の割合で
混練した生コンクリートを載せ、室温にて一昼夜放置し
た。
【0071】その後、構造体を垂直に立てて固定し、下
記の水吹き試験法によって固化したコンクリートの剥離
度合を試験し、非粘着・離型性の評価とした。
【0072】水吹き試験法:ピストル型のガンから棒状
の水を2.5(kgf/cm2 )の圧力で、固着したコンクリ
ートに直角に満遍無く吹き付け、剥離するまでの時間を
測定し、下記の基準により評価した。
【0073】 評点:3 構造体を垂直に立て掛けた時点で剥離した。 2 水を30秒吹き付ける間に剥離した。 1 水を2分間以上吹き付けても剥離しなかった。 結果を下記表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】表に明らかなごとく、本発明の構造体はい
ずれも生コンクリートの剥離が容易であり、とくにPT
FE、FEPは生コンクリートの非粘着性に優れてお
り、PFAもまた、実用上は十分な生コンクリートの非
粘着性を有していることがわかった。一方、被覆層を形
成しなかった試験例1及びシリコーン高重合体被覆層を
形成した試験例2は、コンクリートが強固に固着し、水
を2分間以上吹き付けても全く剥離しなかった。
【0076】アスファルトの非粘着性試験 前記実施例1〜3及び試験例1、2の構造体について、
下記の如くアスファルトの非粘着性試験を行った。
【0077】供試アスファルトとして、JIS K22
07 防水工事用アスファルト3種を用いた。
【0078】〔試験方法〕基材面上に0.2g/cm2
の割合でアスファルト(固体)を載せ、電熱ヒーターの
上に置き加熱する。アスファルトが軟化点に達して基材
面上で流動し、被膜状に広がった段階で加熱を止め自然
放冷する。
【0079】基材温度が室温になった時点で、被膜状の
アスファルトは固化する。そのアスファルトの端部に金
属製へら(市販のフライ返し)を押し当て、剥離性度合
を下記評価基準により評価した。
【0080】 評点:3 金属製へらを手で軽く押し当てると容易に剥
離した。 2 金属製へらを手で強く押し当てると剥離した。 1 金属製へらを手で強く押し当てても全く剥離しなか
った。 剥離度合の評価結果を表1に示した。
【0081】本発明の実施例1〜3及び本発明のアスフ
ァルト用機械器具の実施品にあたる試験例2はいずれ
も、コーティング被膜の表面へ付着したアスファルトが
金属製へら(市販のフライ返し)を軽く押し当てると容
易に剥離したが、試験例1の表面にはアスファルトがべ
っとり固着し、金属製へら(市販のフライ返し)を強く
押し当てても全く剥離しなかった。
【0082】(実施例4〜12)基材(鋼板;JIS
G3101 SS41)に金属溶射を施して溶射層を形
成し、その溶射層上に、マイカ5重量%を含有しなかっ
た他は、実施例1〜3で用いたのと同様の材料をコーテ
ィングし、下記膜厚で被覆層を形成して構造体を作製
し、ニッケル系金属溶射層を有するものを実施例4〜
6、タングステン系金属溶射層を有するものを実施例7
〜9、ニッケル−アルミ系金属溶射層を有するものを実
施例10〜12とした。
【0083】溶射層表面の表面あらさは、ニッケル系
(Ra)3〜5μm、(Rz)30〜50μm、タング
ステン系(Ra)3〜5μm、(Rz)30〜50μ
m、ニッケル−アルミ系(Ra)7〜8μm、(Rz)
50〜80μmであった。また、被覆層の膜厚は、それ
ぞれPTFE:20〜40μm、FEP:30〜50μ
m、PFA:30〜50μmであった。
【0084】実施例4〜12の構造体について、実施例
1〜3で行ったのと同様の方法で、生コンクリート及び
アスファルトの非粘着性試験を行った。結果を下記表2
に示した。
【0085】
【表2】
【0086】表2に明らかなように、溶射層の上にフッ
素系樹脂を含有する被覆層を設けた本発明の構造体は、
生コンクリート及びアスファルトに対する非粘着性に優
れていることがわかった。 (実施例13〜21、試験例3〜5)耐摩耗性試験 基材(鋼板;JIS G3101 SS41)に金属溶
射を施して溶射層を形成し、その溶射層上に実施例1〜
3で用いたのと同様の材料をコーティングし、下記膜厚
で被覆層を形成して構造体を作製した。
【0087】被覆層の膜厚は、それぞれPTFE:20
〜40μm、FEP:30〜50μm、PFA:30〜
50μmであった。ニッケル系金属溶射層を有するもの
を実施例13〜15、タングステン系金属溶射層を有す
るものを実施例16〜18、ニッケル−アルミ系金属溶
射層を有するものを実施例19〜21とした。また、前
記溶射層を形成した基材の溶射層上に試験例2と同様の
シリコーン高重合体からなる被覆層を形成してそれぞれ
試験例3、4、5とした。(溶射層表面の表面あらさ
は、ニッケル系(Ra)3〜5μm、(Rz)30〜5
0μm、タングステン系(Ra)3〜5μm、(Rz)
30〜50μm、ニッケル−アルミ系(Ra)7〜8μ
m、(Rz)50〜80μmであった。) JIS H8682中の「H8682−4.砂落し摩耗
試験方法」に従って行った。即ち、試験装置に、基材を
角度45°に固定し、研削材(JIS R6111に規
定する炭化けい素質研削材C80番)を落差1,000
mm・落下量320±10g/分で構造体表面(被覆層形
成面)に落下させ、被覆層が削り取られ基材(素地)が
露出するまでの時間を測定することにより、下記の基準
で評価した。
【0088】 評点:5 基材(素地)が露出するまでの時間が500
分以上 4 基材(素地)が露出するまでの時間が200分以上 3 基材(素地)が露出するまでの時間が100分以上 2 基材(素地)が露出するまでの時間が5分以上 1 基材(素地)が露出するまでの時間が5分未満 なお、この評点において、評点2以上のレベルで、繰り
返し応力や衝撃力がかからない部分への適用が可能であ
り、評点3以上のレベルで、骨材等を配合した生コンク
リートやアファルト合材等と接する部分への適用が可能
であると評価する。また、評点1のレベルでは、実用
上、耐摩耗性が不充分であると判断する。前記実施例1
3〜21及び試験例3〜5の構造体の耐摩耗性の評価結
果を表3に示した。
【0089】(実施例1〜3及び比較例2〜4の耐摩耗
性評価)実施例1〜3の構造体についても、同様の耐摩
耗性の評価を行った。また、実施例1〜3において、マ
イカ5重量%を含有しなかった他は実施例1と同様に作
製した構造体を比較例2〜4とし、同様の耐摩耗性の評
価を行った。前記実施例1〜3及び比較例2〜4の構造
体の耐摩耗性の評価結果を下記表4に示した。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】実施例16〜18及び試験例4のタングス
テン系金属溶射を施したのち被覆層を形成したものが最
も良好であり、次いで、ニッケル系金属溶射を行った実
施例13〜15及び試験例3の構造体が特に耐摩耗性に
優れており、生コンクリートやアスファルト合材への適
用に優れていることがわかった。また、ニッケル−アル
ミ系金属溶射を行った実施例19〜21及び試験例5も
また、生コンクリートやアスファルト合材への適用が可
能な耐摩耗性を有していた。
【0093】実施例1〜3の構造体は、生コンクリート
の如く、骨材などが直接接触して繰り返し応力のかかる
部位に使用するのには適さないが、機械器具の外面のご
とき部位に用いて、非粘着・離型性を付与するには十分
な耐摩耗性、耐久性を有していることがわかった。一
方、マイカの如き耐擦過性充填剤を含有しない被覆層を
溶射層を形成していない基材表面に直接形成した比較例
2〜4の構造体は、耐摩耗性が低く、実使用には適さな
いことがわかった。
【0094】耐擦過性試験 本発明の構造体に適用されるフッ素系樹脂であるPTF
Eは耐擦過性が低いことから、特に、生コンクリートと
接触すると擦過を生じ、延いては摩耗に連がり耐久寿命
に影響する。そこで、PTFEの離型(非粘着)性を損
なわず耐擦過性を向上させるため、マイカ(耐擦過性充
填材)の影響を検討した。
【0095】実施例1の構造体及び、マイカを含有しな
いPTFEを実施例1と同様の条件でコーティングし、
被覆層の膜厚を20〜40μmとして実施例1と同様に
作製した比較例1の構造体を用いて、被覆層の耐擦過性
を、JIS K5400中の「K5400−8.4鉛筆
引っかき値」に従って比較した。
【0096】その結果、マイカ無しの被覆層を形成した
比較例1は鉛筆引っかき値がHBであるのに比べ、マイ
カを含有した被覆層を有する実施例1の鉛筆引っかき値
がH〜2Hであり、マイカを含有した実施例1は耐擦過
性が改良されていることが分かった。
【0097】(実施例22、比較例5) コンクリートミキサー車の評価 (1)被覆材の配合 フッ素系樹脂(四フッ化エチレン): 95 重量% マイカ: 5 重量% これらを攪拌混合して、被覆材組成物を得た。
【0098】(2)被覆材層の形成 コンクリートミキサーの車体のうち生コンクリートの飛
沫が付着する部分の外面を、アルミナ系のブラスト材に
よりブラスト処理を行って粗面化し、表面あらさ(R
a)を1.8μmとした。
【0099】その後、前記被覆材組成物を塗装し、38
0℃で15分間焼成して、車体外面の所定部分に被覆材
層を形成した。(膜厚40μm) この被覆材層を形成したコンクリートミキサー車を実施
例22とした。
【0100】比較のため、同様のコンクリートミキサー
車の車体の同様の部分にフタル酸樹脂系塗料を塗布して
比較例1とした。(膜厚65μm) 実施例22と比較例5について、生コンクリートの付着
防止効果について以下の方法で評価を行った。
【0101】生コンクリート付着防止効果の評価:コン
クリートミキサー車を用いて、4,000kgの生コン
クリートを15回にわたって、投入、搬送、積出しを繰
り返し、車体外面に付着した残存生コンクリートの状態
を目視で観察した。実施例22のコンクリートミキサー
車の外面には、ほとんどコンクリート飛沫の付着は見ら
れず、僅かに付着した部分も、水道水をホースで流した
ところ完全に剥離した。
【0102】一方、比較例5のコンクリートミキサー車
の外面には、コンクリート飛沫の付着が多く見られ、水
道水をホースで流しても剥離せず、高圧水の噴射によっ
て飛沫を除去した。
【0103】本発明による被覆層は、これを適用したコ
ンクリートミキサー車の外表面は、生コンクリートの付
着が極めて少なく、僅かに付着したものも簡単に除去し
うることが確認された。
【0104】
【発明の効果】本発明の構造体は、耐久性に優れた非粘
着性を有するという優れた効果を示し、また、本発明の
生コンクリート用機械器具、アスファルト用機械器具
は、内面及び/又は外面に好ましくない生コンクリート
及びアスファルトが付着することを防止することがで
き、耐久性を有するという効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/20 B32B 27/20 Z // B32B 15/08 102 7148−4F 15/08 102B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面が、表面あらさ(Ra)1.0
    〜2.7μmとなる凹凸面であり、該基材表面にポリ四
    フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フ
    ッ化プロピレン共重合体(FEP)及び四フッ化エチレ
    ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(P
    FA)から選択される一種又は二種以上からなるフッ素
    系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる被覆層を備えた
    ことを特徴とする構造体。
  2. 【請求項2】 前記被覆層の表面あらさ(Ra)が0.
    3〜1.0μmであることを特徴とする請求項1記載の
    構造体。
  3. 【請求項3】 基材表面が、表面あらさ(Ra)1.0
    〜2.7μmとなる凹凸面であり、該基材表面にPTF
    E、FEP及びPFAから選択される一種又は二種以上
    からなるフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる
    被覆層を備え、且つ、該被覆層の表面あらさ(Ra)が
    0.3〜1.0μmであることを特徴とする生コンクリ
    ート製造並びに運搬用機械器具。
  4. 【請求項4】 表面あらさ(Ra)が1.0〜5.0μ
    mである基材表面に、金属またはセラミックスを溶射し
    て、該溶射層の表面あらさを(Ra)3.0〜15.0
    μm、(Rz)30.0〜100.0μmとなし、該溶
    射層表面上にPTFE、FEP及びPFAから選択され
    る一種又は二種以上からなるフッ素系樹脂を含有してな
    る被覆層を備えたことを特徴とする生コンクリート製造
    並びに運搬用機械器具。
  5. 【請求項5】 基材表面が、表面あらさ(Ra)1.0
    〜2.7μmとなる凹凸面であり、該基材表面にPTF
    E、FEP及びPFAから選択される一種又は二種以上
    からなるフッ素系樹脂に耐擦過性充填材を含有してなる
    被覆層を備え、且つ、該被覆層の表面あらさ(Ra)が
    0.3〜3.0μmであることを特徴とするアスファル
    ト製造、舗装並びに運搬用機械器具。
  6. 【請求項6】 アスファルトが接触する部分に、表面あ
    らさ(Ra)1.0〜5.0μmである基材表面に、金
    属またはセラミックスを溶射して溶射層を形成し、該溶
    射層の表面あらさを(Ra)3.0〜15.0μm、
    (Rz)30.0〜100.0μmとなし、該溶射層表
    面上にPTFE、FEP及びPFAから選択される一種
    又は二種以上からなるフッ素系樹脂を含有してなる被覆
    層を備えたことを特徴とするアスファルト製造、舗装並
    びに運搬用機械器具。
  7. 【請求項7】 基材表面が、表面あらさ(Ra)1.0
    〜2.7μmとなる凹凸面であり、該基材表面にシリコ
    ーンオイル含有量が10重量%以下であるシリコーン高
    重合体からなる被覆層、又は、シリコーン高重合体から
    なり、その表面張力が32dyn/cm以下である被覆
    層、を備え、且つ、該被覆層の表面あらさ(Ra)が
    1.0〜3.0μmであることを特徴とするアスファル
    ト製造、舗装並びに運搬用機械器具。
  8. 【請求項8】 アスファルトが接触する部分に、表面あ
    らさ(Ra)1.0〜5.0μmである基材表面に、金
    属またはセラミックスを溶射して溶射層を形成し、該溶
    射層の表面あらさを(Ra)3.0〜15.0μm、
    (Rz)30.0〜100.0μmとなし、該溶射層表
    面上にシリコーンオイル含有量が10重量%以下である
    シリコーン高重合体からなる被覆層、又は、シリコーン
    高重合体からなり、その表面張力が32dyn/cm以
    下である被覆層、を備えたことを特徴とするアスファル
    ト製造、舗装並びに運搬用機械器具。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008230665A (ja) * 2007-03-22 2008-10-02 Univ Of Tokushima 粉体取扱装置用鋼製部材及び粉体取扱装置
JP2017087166A (ja) * 2015-11-13 2017-05-25 Ihi運搬機械株式会社 非粘着性物質による表面処理方法

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