JPH09156026A - フィルム積層体 - Google Patents

フィルム積層体

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JPH09156026A
JPH09156026A JP34684195A JP34684195A JPH09156026A JP H09156026 A JPH09156026 A JP H09156026A JP 34684195 A JP34684195 A JP 34684195A JP 34684195 A JP34684195 A JP 34684195A JP H09156026 A JPH09156026 A JP H09156026A
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polymer film
oxide
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寿幸 大谷
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正典 小林
Yozo Yamada
陽三 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明重合体フイルムの表面平滑性を低下させ
ることなく耐溶剤性に優れた性質を付与したガスバリア
性、耐透湿性を有するフィルム積層体を提供する。 【解決手段】 透明重合体フイルムの少なくとも片面上
に、金属酸化物を主成分とするガスバリア層及び架橋構
造を有する有機層が順次形成されたものであることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルム積層体に
関する。さらに詳しくは、透明重合体フイルムまたはシ
ート(以下透明重合体フイルムという)の表面平滑性を
低下させることなく耐溶剤性に優れたガスバリア性、耐
透湿性を有するフィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフイルムで
代表される透明重合体フイルムは、包装材料、光学材
料、照明材料、装飾材料、保護材料などとして多量に使
用されている。しかし、ガスバリア性、耐透湿性に劣る
ため、該透明重合体フイルム単独では、スナック菓子包
装、医薬品包装、炭酸飲料容器、EL表示素子保護材、
液晶表示素子基材などには用いられない。
【0003】これらの用途に上記透明重合体フイルムを
供する場合には、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレンな
どの酸素透過度や水蒸気透過度が小さい重合体を主成分
とする有機ガスバリア層をコーティングやラミネートに
より積層して使用するか、あるいはケイ素、アルミニウ
ムなどの金属酸化物を主成分にした無機ガスバリア層
を、真空蒸着法、スパッタ法などにより積層して使用す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法な
どにより積層されたガスバリア層を有する透明重合体フ
イルムは、一般に溶剤や薬品に対する耐久性に乏しく、
溶剤に接触した場合に表面が白化したり、膨潤したりす
る。そのため、洗浄などのプロセスにおいて有機及び無
機の溶剤に接触する用途においては、上記ガスバリア層
を保護する目的で、さらにその外側に保護層を設ける必
要がある。
【0005】通常これらの保護層は、コーティング法な
どのウェット工程で積層されるが、ゴミの混入や表面の
平滑性低下という短所があり、上記フィルム積層体を使
った製品の歩留まりを低下させたり、精密な表面精度の
要求される用途には使用できないという問題点があっ
た。
【0006】さらに、上述のような積層工程による製造
では、透明重合体フイルムとガスバリア層、ガスバリア
層と保護層の密着性を向上させる目的でさらにアンカー
コート層やプライマー層が必要となり、層構成が複雑化
するばかりでなく、溶剤を除去するための装置やそこで
用いる熱エネルギーなどまでが必要になる。本発明者ら
は、かかる問題を解決するために鋭意研究を重ねた結
果、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のフイルム積層体は、透明重合体フイルムの
少なくとも片面に、金属酸化物を主成分とするガスバリ
ア層及び架橋構造を有する有機物層が順次形成されたも
のであることを特徴とする。上記の構成からなる本発明
のフイルム積層体は、透明重合体フイルムの表面平滑性
を低下させることなく耐溶剤性に優れたガスバリア性、
耐透湿性を有するフィルム積層体である。
【0008】また、酸素透過度が10cc/m2・at
mday以下、水蒸気透過度が20g/m2・day以
下であることができる。上記の構成からなる本発明のフ
イルム積層体は、ガスバリアー性が優れている。
【0009】また、架橋構造を有する有機物層が、N−
メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液又は5%苛
性ソーダの1又は複数の液体に接触した後も白化しない
ものであることができる。この場合において、白化する
かどうかの判定は、資料を40℃の雰囲気中で1時間保
持した後、ピペットに採取した上記液体を該資料上に1
ml滴下させ、10分間放置し、しかる後純水で洗浄
し、80℃の雰囲気中で乾燥した後の資料と処理前の資
料とを対比して判断する。上記の構成からなる本発明の
フイルム積層体は、表面層が優れた耐溶剤性を有する。
【0010】また、透明重合体フイルムが、ポリスチレ
ン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリエーテルスルホン又はポリアミドイミドの群よ
り選ばれた重合体の1種又は2種以上からなるフイルム
であることができる。上記の構成からなる本発明のフイ
ルム積層体は、透明性、耐熱性が優れている。
【0011】また、架橋構造を有する有機物層が、10
Torr以下の真空中での製膜により形成された層であ
ることができる。上記の構成からなる本発明のフイルム
積層体は表面が平滑で、十分なガスバリア性を有する。
【0012】ここで、本発明に用いられる透明重合体フ
イルムは、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリサルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、
ポリアリレート、ポリアミドイミドなどの熱可塑性重合
体、ポリマレイミド、ポリイミド、不飽和ポリエステ
ル、エポキシなどの熱硬化性重合体からなるフイルムな
どであるが、透明性、耐熱性の点からはポリスチレン、
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ
リエーテルスルホン、またはポリアミドイミドからなる
フイルムが好ましい。なを、フイルムは無延伸、1軸延
伸、2軸延伸のいずれのフイルムであってもよい。
【0013】透明重合体フイルムのガラス転移点(T
g)もしくは熱変形温度は、60℃以上であるのが好ま
しく、さらに好ましくは120℃以上であり、よりさら
に好ましくは150℃以上である。
【0014】透明重合体フイルムの厚さは、25〜50
0ミクロンが好ましく、さらに好ましくは50〜200
ミクロンである。
【0015】また、透明重合体フイルムの全光線透過率
は60%以上が好ましく、さらに好ましくは85%以上
である。
【0016】透明重合体フイルムの表面粗度は0.15
ミクロン以下が好ましく、さらに好ましくは0.05ミ
クロン以下である。
【0017】なお、透明重合体フイルムのレタデーショ
ン値は極端に小さいか、大きい場合が好ましく、小さい
場合は30nm以下が好ましく、さらに好ましくは10
nm以下である。大きい場合は、レタデーションの軸が
そろっており、なおかつ1000nm以上であるのが好
ましく、さらに好ましくは5000nm以上である。
【0018】本発明でいう金属酸化物を主成分とするガ
スバリア層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チ
タン、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、
酸化スズ、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムなどから
選ばれる1種又は2種以上から構成される。この中で好
ましくは、酸化ケイ素もしくは酸化ケイ素と酸化アルミ
ニウムとの混合物、あるいは化合物であり、さらに好ま
しくは酸化ケイ素薄膜の比重が1.8〜2.2、もしく
は酸化ケイ素−酸化アルミニウム薄膜の比重が1.8〜
3.3の範囲にあるものである。
【0019】かかる金属酸化物を主成分とするガスバリ
ア層の製膜には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレ
ーティング法などのPVD法(物理蒸着法)、あるいは
CVD法(化学蒸着法)などがあるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0020】例えば、真空蒸着法においては、蒸着材料
として酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸
化インジウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ス
ズ、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムのような酸化物
や、アルミニウム、ケイ素、チタン、インジウム、マグ
ネシウム、亜鉛、スズ、カルシウム、ジルコニウムのよ
うな金属のうち、これら酸化物や金属の単体もしくは混
合物などが用いられる。
【0021】また、真空蒸着時の加熱方式としては、抵
抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加
熱などを用いることができる。また、反応性ガスとし
て、酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添
加、イオンアシストなどの手段を用いた反応性蒸着を用
いても良い。また、透明重合体フイルムに直流、交流も
しくは高周波バイアスなどを加えたり、透明重合体フイ
ルム温度を上昇、あるいは冷却したりなど、本発明の目
的を損なわない限りにおいて、作成条件を変更しても良
い。
【0022】スパッタ法においては、ターゲットとして
酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化イン
ジウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化
カルシウム、酸化ジルコニウムのような酸化物や、アル
ミニウム、ケイ素、チタン、インジウム、マグネシウ
ム、亜鉛、スズ、カルシウム、ジルコニウムのような金
属のうち、これら酸化物や金属の単体もしくは混合物な
どが用いられる。また、スパッタ方式としては、イオン
ビームスパッタ法、直流/交流/高周波2極スパッタ
法、熱陰極プラズマスパッタ法、マイクロ波スパッタ
法、直流/高周波マグトロンスパッタ法、直流/高周波
対向陰極スパッタ法、磁界圧着型スパッタ法などが用い
られるが、これらのものに限定されるものではない。
【0023】また、スパッタ法を行う際の雰囲気は、酸
素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添加、イオ
ンアシストなどの手段を用いた反応性スパッタを用いて
も良い。また、基材に直流、交流もしくは高周波バイア
スなどを加えたり、基材温度を上昇、あるいは冷却した
りなど、本発明の目的を損なわない限りにおいて、作成
条件を変更しても良い。CVD法などの他の作成法でも
同様である。
【0024】架橋構造を有する有機物層を形成するため
には、10Torr以下の減圧下、好ましくは5Tor
r以下の減圧下で製膜するのが好ましい。減圧下で製膜
する手法としては、真空蒸着法、スパッタ法、プラズマ
重合法、イオンプレーティング法などがあるが、これら
に限定されるものではない。
【0025】真空蒸着法で用いる加熱方式としては、抵
抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加
熱などを用いることができる。また、反応性ガスとし
て、酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添加
などの手段を用いた反応性蒸着を用いたり、基材表面に
イオンビームを照射しながら蒸着しても良い。この時の
イオンビームのエネルギーは、0.05〜50KVの範
囲内であることが好ましい。また、イオン種としては水
素、酸素、メタンなどの活性ガスや、アルゴン、ヘリウ
ムなどの不活性ガスから生成されるイオンを用いるのが
好ましいが、特にこれらに限定されない。また、基板に
直流、交流もしくは高周波バイアスなどを加えたり、基
板温度を上昇、あるいは冷却したりなど、本発明の目的
を損なわない限りにおいて、作成条件を変更しても良
い。スパッタ法に関しても同様である。
【0026】プラズマ重合法で製膜する場合、プラズマ
を生成させる方法としては、高周波放電、マイクロ波放
電、エレクトロンサイクロトロン共鳴放電などがある。
また、これらの放電は定常的であってもパルス的であっ
ても良い。また、製膜時に基板表面にイオンビームを照
射しても良い。この時のイオンビームのエネルギーは、
0.03〜100KVの範囲内であることが好ましい。
また、イオン種としては水素、酸素、メタンなどの活性
ガスや、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスから生成
されるイオンを用いるのが好ましいが、特にこれらに限
定されない。また、基板に直流、交流もしくは高周波バ
イアスなどを加えたり、基板温度を上昇、あるいは冷却
したりなど、本発明の目的を損なわない限りにおいて、
作成条件を変更しても良い。
【0027】本発明でいう架橋構造を有する有機物層
を、前述の方法などにより得るための原料としては、真
空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの
方法を用いる場合は、ポリエステル、ポリアリレート、
ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリテ
トラフルオロエチレンなどのシート成形物を使用するこ
とが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0028】プラズマ重合法の場合は、所望のポリマー
の単位骨格を有するモノマーを用いればよい。これらの
モノマーとしては、ポリメチルメタクリレートに代表さ
れる(メタ)アクリレート系ポリマーや、ポリテトラフ
ルオロエチレンに台表されるエチレン系ポリマー、ポリ
スチレンに代表されるビニル系ポリマーのように1成分
系ホモポリマーは、その原料モノマーを用いればよく、
またポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポ
リアリレート、ポリカーボネートなどの縮合系ポリマー
においては、例えば、ポリエステルであれば、酸成分と
アルコール成分の2成分というように、複数の原料モノ
マーを用いることができる。さらに、各成分を複数にし
て共重合系としても良い。
【0029】上述の方法などにより得られた架橋構造を
有する有機物層は耐溶剤性が優れており、その表面上に
N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液又は5
%苛性ソーダ水溶液から選ばれた1又は複数の液体に接
触した後も表面が白化したり、膨潤したりしない。この
ことから、耐溶剤性に優れた架橋構造をとっていること
がわかる。かかる、架橋構造を有する有機物層は、金属
酸化物を主成分とするガスバリア層を外部からの引っ掻
きなどを伴う摺動による傷から保護するのに適してい
る。
【0030】また、透明重合体フイルムとガスバリア層
との積層体上に形成された上記有機物層の表面平滑性は
透明重合体フイルムの表面平滑性と実質的に変わりがな
く、コーティング法などのウェット工程により同等の膜
厚の皮膜を形成した場合に対し、表面平滑性において明
らかな優位性を示している。
【0031】本発明のフイルム積層体は、上述のごと
く、透明重合体フイルムの表面平滑性を低下させること
なく耐溶剤性に優れたガスバリア性を有するという特性
を有する。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明のフイルム積層体の
実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例】本明細書中における特性値の測定方法は次の
通りである。 (1)酸素透過度:JIS Kー7126に準じ、モダ
ンコントロールズ社製酸素透過度測定装置(OX−TR
AN100型)を用いて、測定温度25℃、相対湿度0
%RHの雰囲気下で行なった。 (2)水蒸気透過度:JIS Kー7129に準じリッ
シー社製水蒸気透過度測定装置( L80−4000
型)を用いて、測定温度40℃で測定した。 (3)全光線透過率:JIS Kー7175に準じ、日
本電色工業社製濁度計(NDHー1001DP型)を用
いて測定した。 (4)耐溶剤性:資料を40℃の雰囲気中で1時間保持
した後、ピペットに採取した溶剤を資料上に1ml滴下
させ10分間放置し、しかる後純水で洗浄し、次いで8
0℃の雰囲気中で乾燥した後の資料と処理前の資料とを
対比して判断する。 (5)表面平滑性:JIS Bー0601およびJIS
Bー0651に準じ、東京精密社製表面荒さ測定装置
(サーフコム721B)をもちいて、中心線平均荒さを
測定した。 (6)ガラス転移点:TMA引張加重法による。荷重1
g、サンプルサイズ5×20mm、昇温速度10℃/分 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、
各実施例とともに比較例を記した。
【0033】実施例1 透明重合体フイルムとして厚さ100μmのポリアリレ
ートフィルムを用いた。このフィルムの全光線透過率は
90%、Tg=190℃、表面平滑性は5nmである。
真空槽内の第1室でこのフィルムの片側に、Siターゲ
ット(純度99.99%)上にAlチップ(純度99.
99%)を用い、直流放電式反応性スパッタ法で、酸化
アルミニウム酸化ケイ素薄膜を形成した。フィルム送り
速度は5m/minとし、800Å厚の薄膜を作成し
た。アルゴン及び酸素ガスを供給し、酸素雰囲気スパッ
タリング時圧力を1.0×10-2orrに固定した。ス
パッタ電力は2.5kWとした。次いでポリアリレート
フィルム/酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜積層体を真
空を破ることなく連続的に真空槽内の第2室に搬送し、
ポリメチルメタクリレート(PMMA)成型体をターゲ
ットに用い、高周波放電式スパッタ法により架橋構造を
有する有機層を形成した。この時の高周波出力は4kW
とし、5000Åの薄膜を形成した。この時のフィルム
送り速度は第1室と同じ5m/minとし、真空槽内へ
はアルゴンを供給することにより、スパッタリング時圧
力を5mTorrにした。このポリアリレートフィルム
の裏面にも同様の手法により酸化アルミニウム酸化ケイ
素薄膜/PMMAスパッタ膜を形成した。以上のように
して作製した積層体のガスバリア性、耐透湿性を評価し
た。その結果、酸素透過度0.1cc/m2・atm・
day、水蒸気透過度0.2g/m2・dayという極
めて優秀なガスバリア性、耐透湿性を示した。全光線透
過率は90%、表面平滑性は5nmであり、透明重合体
フイルムであるポリアリレートフィルムと同じ値であっ
た。また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドンに
よる耐溶剤性テストを行った後も白化することがなく、
全光線透過率は90%であった。また、この積層体をN
ーメチルー2ーピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−
ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5
%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐
溶剤性テストを行った後も白化することはなかった。ま
た上述の耐溶剤性テスト後も酸素透過度、水蒸気透過
度、全光線透過率、表面平滑性とも変化することはなか
った。以上より、該積層体は光学特性、ガスバリア性、
耐透湿性、表面平滑性、耐溶剤性に極めて優れているこ
とがわかった。
【0034】比較例1 実施例1と同様のポリアリレートフィルムの両面に、実
施例1と同じ手法により、酸化アルミニウム酸化ケイ素
薄膜を形成した。ただし、PMMAスパッタ膜を積層す
ることは行わなかった。この積層体のガスバリア性、耐
透湿性を評価した。その結果、酸素透過度1.0cc/
2・atm・day、水蒸気透過度5.0g/m2・d
ayであり、ガスバリア性、耐透湿性ともに不十分であ
った。また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドン
による耐溶剤性テストを行ったところ白化し、全光線透
過率は55%であった。また、この積層体をNーメチル
ー2ーピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラ
クトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメ
チルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水
溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テ
ストを行った後も白化した。以上より本積層体は、耐溶
剤性が十分でないことがわかった。
【0035】実施例2 透明重合体フイルムとして厚さ125μmのポリカーボ
ネートフィルムを用いた。このフィルムの全光線透過率
は90%、表面平滑性は4nmである。真空槽内の第1
室でこのフィルムの片側に、SiO2ターゲット(純度
99.99%)を用い、高周波放電式反応性スパッタ法
で、酸化ケイ素薄膜を形成した。この時、高周波として
13.56MHz、フィルム送り速度は、5m/min
とし、400Å厚の薄膜を作成した。アルゴン及び酸素
ガスを供給し、酸素雰囲気スパッタリング時圧力を5.
0×10-3Torrに固定した。スパッタ投入電力は
5.0kWとした。ポリカーボネートフィルム/酸化ケ
イ素薄膜積層体を真空を破ることなく連続的に真空槽内
の第2室に搬送し、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)を蒸着材料とし、加熱方式として抵抗加熱方式を
用いて、PFTE蒸着膜を積層した。この蒸着時に、ポ
リカーボネートフィルム/酸化ケイ素薄膜積層体上に4
5度の角度でイオンビームを照射した。イオン種として
Heイオンを用い、イオン加速電圧は1kVとした。こ
の時、1μm厚の薄膜を形成し、フィルム送り速度は第
1室と同じ5m/minとし、蒸着時圧力は5×10-4
Torrにした。このポリカーボネートフィルムの裏面
にも同様の手法により酸化ケイ素薄膜/PTFE蒸着膜
を形成した。以上のようにして作製した積層体のガスバ
リア性、耐透湿性を評価した。その結果、酸素透過度
0.15cc/m2・atm・day、水蒸気透過度
0.1g/m2・dayという極めて優秀なガスバリア
性、耐透湿性を示した。全光線透過率は90%、表面平
滑性は4nmであり、透明樹脂フィルム基材であるポリ
カーボネートフィルムと同じ値であった。また、この積
層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テス
トを行った後も白化することがなく、全光線透過率は9
0%であった。また、この積層体をNーメチルー2ーピ
ロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5
%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行
った後も白化することはなかった。また、上述の耐溶剤
性テスト後も酸素透過度、水蒸気透過度、全光線透過
率、表面平滑性とも変化することはなかった。以上よ
り、該積層体は光学特性、ガスバリア性、耐透湿性、表
面平滑性、耐溶剤性に極めて優れていることがわかっ
た。
【0036】比較例2 実施例2と同様のポリカーボネートフィルムの両面に、
実施例2と同じ手法により、酸化ケイ素薄膜を形成し
た。さらに、PTFE蒸着膜を積層したが、この際にH
eイオンビームの照射は行わなかった。この積層体のガ
スバリア性、耐透湿性を評価した。その結果、酸素透過
度3.0cc/m2・atm・day、水蒸気透過度5
g/m2・dayであり、ガスバリア性、耐透湿性ともに
十分であった。また、この積層体をN−メチル−2−ピ
ロリドンによる耐溶剤性テストを行ったところ白化し、
全光線透過率は45%であった。また、この積層体をN
ーメチルー2ーピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−
ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5
%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐
溶剤性テストを行った後も白化した。以上より本積層体
は、耐溶剤性が十分でないことがわかった。
【0037】実施例3 透明重合体フイルムとして厚さ100μmのポリアミド
イミドフィルムを用いた。このフィルムの全光線透過率
は90%、Tg=290℃、表面平滑性は5nmであ
る。真空槽内の第1室でこのフィルムの片側に、Siタ
ーゲット(純度99.99%)上にAlチップ(純度9
9.99%)を用い、直流放電式反応性スパッタ法で、
酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜を形成した。フィルム
送り速度は、10m/minとし、200Å厚の薄膜を
作成した。アルゴン及び酸素ガスを供給し、酸素雰囲気
スパッタリング時圧力を10mTorrに固定した。ス
パッタ電力は5.0kWとした。このポリアミドイミド
フィルム/酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜積層体を真
空を破ることなく連続的に真空槽内の第2室に搬送し、
プラズマ重合法を用いてポリアミドイミドフィルム/酸
化アルミニウム酸化ケイ素薄膜積層体の上部に5000
Åのポリアミドイミド薄膜層を形成した。該ポリアミド
イミド層を製膜するために、重合法モノマーとしてトリ
メリット酸無水物及びイソホロンジイソシアネートを用
い、真空槽内への両モノマーの供給量がなどモルとなる
ようにした。この時のフィルム送り速度は第1室と同じ
10m/min、圧力を0.5Torr、印可高周波は
13.56MHz、印可電力は2.0kW、基板温度は
100℃にした。以上のようにして作製した積層体のガ
スバリア性、耐透湿性を評価した。その結果、酸素透過
度0.2cc/m2・atm・day、水蒸気透過度
0.3g/m2/dayという極めて優秀なガスバリア
性、耐透湿性を示した。全光線透過率は90%、表面平
滑性は5nmであり、透明樹脂フィルム基材であるポリ
アミドイミドフィルムと同じ値であった。また、この積
層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テス
トを行った後も白化することがなく、全光線透過率は9
0%であった。また、この積層体をNーメチルー2ーピ
ロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5
%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行
った後も白化することはなかった。また上述の耐溶剤性
テスト後も酸素透過度、水蒸気透過度、全光線透過率、
表面平滑性とも変化することはなかった。以上より、該
積層体は光学特性、ガスバリア性、耐透湿性、表面平滑
性、耐溶剤性に極めて優れていることがわかった。
【0038】比較例3 実施例3と同様のポリアミドイミドフィルムの両面に、
実施例3と同じ手法により、酸化アルミニウム酸化ケイ
素薄膜を形成した。第2室の圧力を20Torrにする
以外は実施例3と同様の方法によりポリアミドイミド薄
膜層を積層した。 その結果得られたポリアミドイミド
薄膜は、着色しており、基材に対する付着力も脆く剥が
れ落ちてしまった。
【0039】
【発明の効果】請求項1記載の発明のフイルム積層体
は、透明重合体フイルムの表面平滑性を低下させること
なく優れた耐溶剤性、ガスバリア性、耐透湿性を有す
る。請求項2記載の発明のフイルム積層体は、特に優れ
たガスバリア性、耐透湿性を有する。請求項3記載の発
明のフイルム積層体は、特に表面が強靱な耐溶剤性を有
する。請求項4記載の発明のフイルム積層体は、特に優
れた透明性、耐熱性を有する。請求項5記載の発明のフ
イルム積層体は、優れた表面平滑性、耐溶剤性を有す
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明重合体フイルムの少なくとも片面
    に、金属酸化物を主成分とするガスバリア層及び架橋構
    造を有する有機物層が順次形成されたものであることを
    特徴とするフィルム積層体。
  2. 【請求項2】 酸素透過度が10cc/m2・atm・
    day以下、水蒸気透過度が20g/m2・day以下
    であることを特徴とする請求項1記載のフィルム積層
    体。
  3. 【請求項3】 架橋構造を有する有機物層が、N−メチ
    ル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレング
    リコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、
    ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液又は5%苛性ソ
    ーダ水溶液から選ばれた1又は複数の液体に接触した後
    も白化しないことを特徴とする請求項1又は2記載のフ
    ィルム積層体。
  4. 【請求項4】 透明重合体フイルムが、ポリスチレン、
    ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ
    リエーテルスルホン又はポリアミドイミドの群より選ば
    れた1又は2以上の重合体からなるフイルムであること
    を特徴とする請求項1、2又は3記載のフィルム積層
    体。
  5. 【請求項5】 架橋構造を有する有機物層が、10To
    rr以下の真空中での製膜により形成された層であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のフィルム
    積層体。
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