JPH09155715A - 自走式疵取り装置 - Google Patents

自走式疵取り装置

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Publication number
JPH09155715A
JPH09155715A JP31446395A JP31446395A JPH09155715A JP H09155715 A JPH09155715 A JP H09155715A JP 31446395 A JP31446395 A JP 31446395A JP 31446395 A JP31446395 A JP 31446395A JP H09155715 A JPH09155715 A JP H09155715A
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JP
Japan
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flaw
grinding
traveling
traveling carriage
grindstone
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Application number
JP31446395A
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English (en)
Inventor
Hiromasa Hayashi
宏優 林
Tomoaki Sato
友章 佐藤
Katsumi Ubusawa
勝美 生澤
Tetsuo Taniguchi
哲男 谷口
Yukio Takahashi
幸男 高橋
Katsunori Suzuki
克紀 鈴木
Masaru Nakajima
優 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板の自走式疵取り装置において、研削機構
を簡単にするとともに、研削能率を向上させる。 【解決手段】 下記により構成される鋼板の自走式疵取
り装置において、走行台車2の姿勢を監視する監視用ジ
ャイロを設けた自走式疵取り装置。 鋼板Tの圧延方向に対して姿勢を平行保ちつつ全方向
に移動可能な走行台車2。前方CCDカメラ3により
撮像された画像を画像処理して得られる情報に基づき、
走行台車2を鋼板T上の疵マーク41位置まで誘導する
走行台車誘導手段。疵マーク幅把握用CCDカメラ4
により撮像された疵マーク41の大きさから研削条件を
把握する研削条件把握手段。研削条件把握手段からの
指令により、鋼板T上の疵マーク位置を研削する疵研削
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の表面に分散
して存在する疵の手入れを、自動的に行う自走式疵取り
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板表面に存在する疵を研削して除去す
る疵手入れ装置の自動化に関する従来技術としては、特
開平7−237107号公報に開示された技術がある。
この技術に基づく自走式疵取り装置は、次の(1)〜
(5)から構成されている。
【0003】(1)疵取りする鋼板上を、鋼板の圧延方
向に対して平行に走行する走行台車。
【0004】(2)該走行台車に設けられ、走行台車の
走行方向前方の鋼板上にマークされた複数の疵マークの
分布状況を撮像する前方CCDカメラと、前方CCDカ
メラにより撮像された画像を画像処理する第一の画像処
理装置からなり、画像処理された情報に基づき鋼板上に
おける複数の疵マークと前記走行台車との相対位置関係
を把握し、走行台車を鋼板上の疵マーク位置まで誘導す
る走行台車誘導手段。
【0005】(3)同じく走行台車に設けられ、鋼板上
の個々の疵マークを撮像する疵マークCCDカメラと、
この疵マークCCDカメラにより撮像された疵マークを
画像処理する第二の画像処理装置からなり、画像処理さ
れた疵マークの大きさから研削条件を把握する研削条件
把握手段。
【0006】(4)同じく走行台車に設けられ、前記研
削条件把握手段からの指令により、台車の走行方向、走
行方向と直交する方向および上下方向に移動しながら、
鋼板上の疵マーク位置を研削する主疵用研削装置。
【0007】(5)同じく走行台車の走行方向前部に設
けられ、鋼板のコーナー部および前記主疵用研削装置の
死角範囲の研削を行う前置研削装置。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述
した特開平7−237107号公報に開示された自走式
疵取り装置は、鋼板の表面に散在する部分的な疵及び線
状疵などの各種疵に対して、手入れ作業を行おうとする
とき、次のような問題点がある。
【0009】(1)主疵用研削装置で研削不可能な領域
に存在する鋼板上の疵の手入れ用として、主疵用研削装
置に加えて前置研削装置を必要としているため、装置が
複雑となり、軽量化が困難である。
【0010】(2)主疵用研削装置のみで鋼板上の全領
域を研削可能にしようとした場合、走行台車の向きを1
80度反転させる必要があるが、反転させるための制御
機器が装備されていないので、正確な反転動作ができな
い。
【0011】(3)研削装置における砥石については、
特に形式を明確にしていないが、研削作業の能率を向上
させようとすると、1パス当りの研削面積を大きくした
りする工夫が必要である。
【0012】また、線状疵の手入れを考えた場合、研削
機構についても砥石の向きを回転可能にする等の工夫が
必要であるが、特に考慮されていない。
【0013】この発明は、従来技術の上述のような問題
点を解消するためになされたものであり、正確な反転動
作が可能であるとともに、線状疵の手入れも能率よく行
える鋼板の自走式疵取り装置を提供することを目的とし
ている。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係る自走式疵
取り装置は、鋼板の表面に分散して存在する疵の手入れ
を行う装置であって、下記(1)〜(4)から構成され
る自走式疵取り装置において、走行台車の反転動作時お
よび誘導時の姿勢を監視する監視用ジャイロを設けたも
のである。
【0015】(1)疵取りする鋼板上を、鋼板の圧延方
向に対して姿勢を平行に保ちつつ全方向に移動可能で、
かつ前後方向に反転可能な移動機構を有する走行台車。
【0016】(2)該走行台車に設けられ、走行台車の
走行方向前方の鋼板上にマークされた複数の疵マークの
分布状況を撮像する前方撮像装置と、該前方撮像装置に
より撮像された画像を画像処理する第一の画像処理装置
からなり、画像処理された情報に基づき鋼板上における
複数の疵マークと前記走行台車との相対位置関係を把握
し、走行台車を鋼板上の疵マーク位置まで誘導する走行
台車誘導手段。
【0017】(3)同じく走行台車に設けられ、鋼板上
の個々の疵マークを撮像する疵マーク幅把握用撮像装置
と、この疵マーク幅把握用撮像装置により撮像された疵
マークを画像処理する第二の画像処理装置からなり、画
像処理された疵マークの大きさから研削条件を把握する
研削条件把握手段。
【0018】(4)同じく走行台車に設けられ、前記研
削条件把握手段からの指令により、砥石を台車に設けた
ガイドに沿って台車の幅方向および上下方向に移動させ
るとともに、台車を走行させながら、鋼板上の疵マーク
位置を研削する疵研削装置。
【0019】また、疵研削装置が、砥石エッジ部にボカ
シ機能を持った平砥石を使用し、かつ砥石の回転軸が被
研削鋼板の圧延方向および圧延方向と直交する方向のい
ずれにも向けることができるように構成されているもの
である。
【0020】また、前記研削条件把握手段による研削条
件の把握を、前記走行台車誘導手段の前方撮像装置の撮
像した画像の画像処理に基づいて行うようにしたもので
ある。
【0021】走行台車に設けられた前方撮像装置によ
り、前方視野範囲内の鋼板表面の画像が撮像される。
【0022】その画像は第一の画像処理装置に送られて
画像処理され、鋼板の始端エッジ部のエッジラインおよ
び幅方向両エッジ部のエッジラインが、他の図形と分離
して線状図形として把握される。そして、これらの線状
図形を基に、走行台車の姿勢や位置が修正されるととも
に、鋼板上の疵の分布図が作成される。
【0023】走行台車は鋼板上の幅方向ほぼ中心部にセ
ットされ、前記疵の分布図を基に前進する。分布図上に
疵マークがない場合には、鋼板の圧延方向に平行な定め
られた基準経路(ほぼ鋼板の幅方向中央)に沿って前進
し、疵マークを発見すると、最短位置にある疵マーク位
置まで前進して停止する。
【0024】そして、再び前方撮像装置により、前方視
野範囲内の鋼板表面の画像が撮像され、その画像は第一
の画像処理装置に送られて画像処理されて、疵の分布図
が作成され、この分布図を基に複数の疵の手入れする順
番、すなわち走行台車の走行経路が決定される。
【0025】次いで、走行台車は決定された走行経路に
従って最も近い位置にある疵の位置まで前進し、疵マー
ク幅把握用撮像装置によりその疵マークが撮像される。
そして、その画像が第二の画像処理装置に送られて画像
処理され、その疵マーク位置における研削範囲および研
削深さが把握される。
【0026】そして、把握された研削範囲および研削深
さに基づき、疵研削装置の砥石をガイドに沿って台車の
幅方向および上下方向に砥石を移動させながら、かつ走
行台車を鋼板の長手方向に移動させながら研削を行う。
【0027】そして、研削終了後、走行台車は次の疵マ
ーク位置まで前進し、上述と同じようにして研削を行
う。
【0028】このようにして疵の研削を続け、最終位置
にある疵の研削を終了すると、走行台車は前記基準経路
に戻り、疵を発見するまで直進し、疵を発見すると上述
と同じ行動を繰り返す。
【0029】また、この自走式疵取り装置においては、
疵研削用砥石として、砥石エッジ部にボカシ機能を持っ
た幅広の平砥石を使用することにより、ボカシ研削を行
うことができる。
【0030】また、線状疵を研削するときには、砥石の
回転軸を鋼板の圧延方向と直交する方向にセットし、砥
石を鋼板の圧延方向に移動させながら研削する。
【0031】研削不可能な領域が発生した場合には、走
行台車を反転させ研削可能な状態にして研削を行う。こ
の場合、走行台車の反転動作は、監視用ジャイロで監視
し、反転動作が正確に行われるように制御する。
【0032】また、疵マークを疵の大きさや深さに応じ
て色分したり、疵マークの形状を変えれば、接写しなく
ても疵の大きさや深さを画像処理により把握することが
容易になるので、疵の研削条件の把握を、前記走行台車
誘導手段の前方撮像装置の撮像した画像の画像処理に基
づいて行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態の自走式疵取
り装置を、図1および図2により説明する。
【0034】図1はこの自走式疵取り装置の前方から見
た斜視図、図2はこの自走式疵取り装置の後方から見た
斜視図である。この自走式疵取り装置は、2つの前部車
輪1aおよび2つの後部車輪1bを有する走行台車2
と、走行台車2の走行方向前方の板状材の形状および板
状材上の画像を撮像する前方CCDカメラ3と、鋼板上
にマークされた疵マークの幅を把握するための疵マーク
幅把握用CCDカメラ4と、走行台車2の走行方向後方
の鋼板上の画像を撮像する後方CCDカメラ5と、それ
ぞれのCCDカメラ3、4および5から送られてくる画
像を画像処理し、その情報に基づき走行台車2に次に移
動すべき位置を指示したり、走行台車2の姿勢を制御し
たり、疵マーク位置における研削条件を、走行台車2に
積載した研削装置に指示したりするための制御装置6
と、研削装置を構成する疵研削用グラインダー7と、グ
ラインダー7を鋼板表面に押し付けるグラインダー押付
け機構8と、グラインダー7を走行台車2上で走行台車
の幅方向に水平に移動させるためのX軸リニアガイド9
と、同じくグラインダー7を走行台車2上で走行方向と
直交する方向に垂直に移動させるためのY軸リニアガイ
ド10と、照明11とから構成されている。
【0035】なお、図1および図2中符号12は電源供
給装置、13はマニュアル操作盤である。
【0036】次に、この走行台車2の全方向移動機構
を、図3により説明する。図3(a)は走行台車2下面
に設けられている全方向移動機構を示す下面図、図3
(b)はこの全方向移動機構のステアリング機構を示す
斜視図である。
【0037】この全方向移動機構21は、図3(a)に
示すように、前部車輪機構22aと、後部車輪機構22
bとから構成されている。そして、前部車輪機構22a
は、2つの前部車輪1aと、車輪駆動機構23aと、操
舵機構24aおよびこれら車輪駆動機構23aと操舵機
構24aの出力を2つの前部車輪1aに伝達するための
2つの伝達機構25aから構成されている。
【0038】また、後部車輪機構22bは、2つの後部
車輪1bと、車輪駆動機構23bと、操舵機構24bお
よびこれら車輪駆動機構23bと操舵機構24bの出力
を2つの後部車輪1bに伝達するための2つの伝達機構
25bから構成されている。
【0039】伝達機構25a(25b)は、図3(b)
に示すように、歯車31と一体的に構成された動力伝達
筒32と、軸受33を介して動力伝達筒32内に回転可
能に支持され、動力伝達筒32外において歯車34が取
付けられた動力伝達軸35と、動力伝達筒32内におい
て動力伝達軸35に固定れた傘歯車36と、動力伝達軸
35と直交して設けられ、一端に傘歯車36と噛合う傘
歯車37を有し、他端に動力伝達筒32外において車輪
1a(1b)が取り付けられた回転軸38とから構成さ
れている。そして、図3(a)に示すように、歯車31
は操舵機構24a(24b)に連結された歯車39と噛
合い、歯車34は車輪駆動機構23a(23b)に連結
された歯車40と噛合っている。なお、図3(b)中符
号1cは車輪1a(1b)に設けた溝である。
【0040】上述したように、走行台車2の全方向移動
機構21は、前部車輪機構22aと、後部車輪機構22
bとから構成され、かつそれぞれの操舵機構24aおよ
び24bはお互いに独立した機構となっているため、2
つの前部車輪1a同志または2つの後部車輪1b同志
を、2つの伝達機構25aの中心を結ぶ線または2つの
伝達機構25bの中心を結ぶ線と直交する方向(板状材
の長手方向)を中心として180度(板状材の長手方向
に向かって右90度、左90度)の範囲にわたって同一
操舵角となるように操舵できるとともに、前部車輪1a
の操舵角と後部車輪1bの操舵角とは、お互いに干渉さ
れることなく自由に変更することができるようになって
いる。
【0041】したがって、図4(a)に示すように、前
部車輪1aと後部車輪1bの操舵角を同じにすると、走
行台車2の姿勢を変えることなく、操舵角の方向(全方
向)に走行台車2を移動させることができる(全方向移
動モード)。
【0042】また、図4(b)に示すように、前部車輪
1aの操舵角を走行台車2の直進方向(台車2の長手方
向)に対して傾くようにし、後部車輪1bの操舵角は走
行台車2の直進方向にすると、走行台車2は前部車輪1
aの操舵角方向に向かって姿勢を変えることができる
(自動車モード)。
【0043】また、図4(c)に示すように、前部車輪
1aの操舵角を走行台車2の直進方向(台車2の長手方
向)に対して右に傾くようにし、後部車輪1bの操舵角
を走行台車2の直進方向に対して左に傾くようにする
と、走行台車2は一定の半径で旋回することができる
(旋回モード)。
【0044】さらには、図4(d)に示すように、前部
車輪1aおよび後部車輪1bの操舵角を走行台車2の直
進方向(台車2の長手方向)に対して直交する方向にと
り、前部車輪1aと後部車輪1bの回転方向を逆にする
と、前部車輪1aおよび後部車輪1bが鋼板上ですべ
り、走行台車2は位置を変えることなく姿勢を変更する
ことができる(回転モード)。
【0045】この場合走行台車2は、走行台車2の中心
軸上(操舵機構24aと24bのそれぞれの中心を結ぶ
線)の前部車輪1aと後部車輪1bの車輪間の中点を回
転の中心として回転する。そして、姿勢回転変化量は、
車輪間距離を直径として、車輪間の中点を中心とする円
の上を動作するものとして、姿勢変化量を円周上の車輪
駆動量として計算することができる。この原理に従い、
台車姿勢を数度の微妙な姿勢制御や180度反転等の任意
にその場で変化させることができる。ただし、車輪駆動
は十分に滑りを制御するために、本疵取り装置において
は、車輪駆動速度の加減速をS字制御等を用いて行う。
また、走行台車2に台車姿勢監視用ジャイロを搭載し、
滑り等により180度以上回転しないように、搭載ジャ
イロにより走行台車2の姿勢回転を監視して、異常動作
時に駆動車輪の動作を減速停止させる。前部車輪1aお
よび後部車輪1bは、それぞれ別々の駆動用サーボモー
タにより駆動される。そして、この2つの駆動用サーボ
モータは同期制御される。すなわち、前部車輪1a駆動
用サーボモータをマスターとし、後部車輪1b用サーボ
モータの制御を前部車輪1a駆動用サーボモータのスレ
ーブとするマスタースレーブ制御により、前後車輪駆動
用サーボモータの制御による干渉を防せいでいる。
【0046】なお、図4(d)に示すように操舵して、
前部車輪1aと後部車輪1bの回転方向を同じにする
と、姿勢を変えることなく走行台車2は真横に進む。
【0047】また、前部車輪1aおよび後部車輪1bと
も、左右の車輪を同時に駆動するようにしているが、必
要に応じて左右両車輪の駆動をクラッチにより切り離
し、前後対角の位置の片側の車輪のみにより駆動するこ
とも可能である。
【0048】本疵取り装置は、厚板(最大80mmの厚さ)
に乗り上げる必要性から、厚板段差乗り越え用に、前部
車輪1aおよび後部車輪1bの外周には、図2(b)に
示したように、数箇所の溝1cが切ってあり、前部車輪
1aおよび後部車輪1bは、厚板のエッジにこの溝1c
を引っ掛けて厚板上に乗り上げることができるようにな
っている。
【0049】また、本自走式疵取り装置においては、図
1および図2に示した前方CCDカメラ3により、走行
台車2の走行方向前方の視野内に入る鋼板表面の画像を
撮像できるようになっている。そして、撮像した画像は
制御装置6に送られ画像処理される。画像処理すること
により、鋼板の幅方向両エッジ、鋼板の始終端エッジお
よび鋼板上にあらかじめマークされている疵マークのそ
れぞれの位置が抽出され、前方CCDカメラ3の視野内
に入った鋼板表面に点在する疵マークの分布状態を示す
分布図(鋼板の幅方向エッジラインおよび始終端エッジ
ラインを基準として、個々の疵マークがどの位置にある
かを示す分布図)が作成される。その疵分布情報を基
に、走行台車2による疵手入れ作業の行動計画が作成さ
れ、自走式疵取り装置は、この行動計画の下に行動す
る。
【0050】次に、この自走式疵取り装置により、厚板
の表面に存在する疵を研削して除去する際に、走行台車
2を疵の存在する位置まで誘導する方法および疵の大き
さを判断し、疵の大きさに応じて研削をする方法につい
て説明する。 (1)走行台車2を、自走式疵取り装置に設けられた操
作盤13を使ってマニュアル操作により、疵手入れヤー
ドに置かれた厚板の長手方向始端部近傍に誘導し、同じ
くマニュアル操作により、走行台車2の長手方向がほぼ
厚板の長手方向と平行になるように、かつ走行台車2の
幅方向中心が厚板の幅方向中心と大まかに一致するよう
にセットする。
【0051】なお、走行台車2の長手方向とは、前述し
た2つの伝達機構25aの中心を結ぶ線または2つの伝
達機構25bの中心を結ぶ線と直交する方向をいい、疵
取り作業中走行台車2の長手方向は、常に厚板の長手方
向と一致するように制御される。
【0052】(2)走行台車2の運転モードを自動運転
モードに切り換え、前方CCDカメラ3により、走行台
車2の走行方向前方視野範囲内の厚板表面の画像を撮像
する。前方CCDカメラ3の視野は、走行台車2による
疵手入れの対象となる厚板全種(最大板幅5.3mま
で)に対応できるような視野になっており、走行台車2
が厚板の板幅方向中央にいる場合には、厚板の幅方向の
両エッジラインが撮像できるようになっている。そし
て、その画像は制御装置6に送られ、前述のようにして
画像処理され、厚板の始端部のエッジラインおよび厚板
の幅方向両エッジ部のエッジラインが、他の図形と分離
して線状図形として把握される。そして、前方CCDカ
メラ3の視野の中心の方向は、走行台車2の長手方向、
すなわち厚板の長手方向と一致するようにセットされて
いるので、走行台車2の長手方向が、厚板の幅方向エッ
ジラインに対して傾いている場合には、厚板の幅方向エ
ッジラインの線状図形は、画面上では傾いていることに
なる。この傾きから走行台車2の姿勢のズレ角度(走行
台車2の長手方向が幅方向エッジラインの線状図形の示
す方向に対して傾いている角度)が把握されるととも
に、厚板の始端エッジラインから走行台車2までの距離
が把握される。そして、制御装置6において、把握され
たズレ角度を基に、走行台車2の姿勢修正量が車輪1a
および1bの回転駆動量として計算される。
【0053】そして、走行台車2の前部車輪1aおよび
後部車輪1bを、走行台車2の長手方向と直交する方向
に90度操舵し、前部車輪1aと後部車輪1bの回転方
向を逆に計算された量だけ回転駆動させ、走行台車2を
位置を変えることなく回転させ、走行台車2の長手方向
が厚板の長手方向を向くようにする。
【0054】また、走行台車2の位置が、疵がない場合
に厚板の長手方向に沿って移動するように定められた基
準経路(厚板のいずれかの幅方向エッジラインから一定
距離の位置に設定してある)からズレている場合には、
そのズレ量が画像処理で確認できるので、その場合に
は、前述と同じように操舵を90度切った状態で、走行台
車2の前部車輪1aおよび後部車輪1bを同じ方向に回
転させ、走行台車2を真横に移動させて、走行台車2を
基準経路に位置させるようにする。
【0055】なお、走行台車2は常にその長手方向が厚
板の長手方向を向くように制御されるので、本説明にお
いては、走行台車2がそのような方向を向いている状態
を姿勢が正しい状態にあると定義し、姿勢が乱れた場合
に上述のような正しい姿勢に戻すことを姿勢を制御する
という。
【0056】(3)姿勢が正され、かつ基準経路に位置
するように位置修正が行われた後、走行台車2は前進
し、始端エッジ部から厚板の上面に乗り上げる。
【0057】走行台車2の自動走行開始位置から厚板の
始端エッジラインまでの距離と、厚板の始端エッジライ
ンから走行台車2が厚板に乗り上げきるまでの距離があ
らかじめ計測されており、走行台車2は、車輪に取付け
られたエンコーダにより、走行距離を管理されながら所
定の距離前進する。このとき、走行台車2の前後の車輪
に取り付けられたレーザ変位計により、厚板の表面と走
行台車2の走行する床面との段差を計測して、厚板の始
端エッジラインを確認する。また、走行台車2が厚板上
に完全に乗り上げたかどうかの確認も、この変位計によ
る段差計測により行う。このようにして、厚板手入れ作
業の開始端位置が確定される。
【0058】(4)次に走行台車2は微速前進(走行速
度10m/min以下)し、再び前方CCDカメラ3により前
方の視野範囲内の厚板表面の画像が撮像され、その画像
が制御装置6に送られ、画像処理された後、再び前述の
ような厚板上の疵分布図が作成される。そして、この結
果を基に、以下の処理が行われる。
【0059】a.前方CCDカメラ3の視野中心位置
を、走行台車2の幅方向中心線上の点とし、視野基準中
心位置からの厚板のエッジラインまでの距離(左右のエ
ッジラインを撮像されていれば両方のエッジラインまで
の距離)を把握する。
【0060】b.画像上の厚板エッジラインの傾き(画
像の撮像方向中心線とエッジラインとのなす角度)から
走行台車2の姿勢を把握する。
【0061】上記二つのデータを基に、走行台車2を各
種走行モードにより、厚板中央部の基準経路に位置さ
せ、かつ厚板のエッジラインと平行になるように姿勢を
制御しながら前進させる。以後のこの動作を疵マーク発
見まで繰りかえす。
【0062】同時に、厚板乗り上げ完了時の走行台車2
の姿勢を厚板上での初期台車姿勢とし、板上での走行台
車2の移動時の姿勢の初期値に対するズレを、ジャイロ
により常に監視する。走行台車2を自動運転中に、大き
な姿勢ズレが計測された場合には、厚板のエッジライン
を確認して修正を行う。
【0063】(5)走行台車2が基準経路を前進中に、
前方CCDカメラの視野内に疵マークを発見すると、走
行台車2は発見した疵マークのうち、走行台車2に最も
近い位置にある疵マークの近傍まで前進して、停止す
る。
【0064】図5に示すように、疵マーク41は棒形状
をしており、この棒形状の示す線の長さLを対角線とす
る長方形の範囲M(二点鎖線)を研削範囲として把握す
る。なお、実際に研削するのは、長方形の範囲N(実線
で示す)である。また、棒形状の線幅Wは、研削量(深
さ)に対応させている。すなわち、疵マーク41の線の
長さLが長ければ長いほど研削範囲が広く、疵マーク4
1の線幅Wが大きければ大きいほど研削深さは深くな
る。
【0065】(6)発見した疵マーク41近傍までの走
行台車2の前進は、車輪に設けたエンコーダにより制御
され、所定位置まで前進すると、自動的に停止するよう
になっている。
【0066】走行台車2はそのポイントで一端停止した
後、再び前方CCDカメラ3で厚板表面の画像を撮像
し、その画像を基に制御装置6により画像処理が行わ
れ、疵マーク41及び板エッジライン図形が分離把握さ
れる。そして、複数の疵マーク41の位置が、走行台車
2の基準点からの相対的な位置(図形重心位置=中心位
置)として把握される。同時に、それぞれの疵マーク4
1の端点、長さ、面積、マーク図形のパターン、傾き等
が把握される。そして、走行台車2の現在位置と各疵マ
ーク41との位置関係及び疵マーク41の大きさ(研削
範囲)から、走行台車2の複数の疵マーク41に対する
移動順番(移動経路)が決定される。この移動経路の決
定は、原則として、走行台車2の現在位置から至近の
ものから処理する、研削の削り粉により疵マーク41
が見えにくくならないようにする、走行台車2の走行
経路が最短経路に近くなるようにするという3条件を基
に行われる。
【0067】このときの走行台車2の疵マーク41のあ
る位置までの移動は、走行台車2の長手方向が厚板の幅
方向エッジラインと平行になるような姿勢を保ちつつ移
動する、全方向移動モードで行う。
【0068】ただし、走行台車2の移動目標位置は、疵
マーク41の中心点、もしくは、疵マーク幅確認用CC
Dカメラ4で疵マーク41の幅を読み取れる位置(マー
ク端部近傍位置)とし、ここに一旦移動し、後で説明す
る方法で疵マーク41の幅を把握したのち、走行台車2
からみて手前の疵マーク41の端部に移動し直し、そこ
を研削開始位置とする。
【0069】移動経路決定後、走行台車2は第一番の目
標である疵マーク41に向かって移動する。移動目標ま
での操舵角度及び移動距離は制御装置6で計算され、操
舵軸及び駆動軸のエンコーダにより、走行台車2の車輪
が前後輪とも目標方向に向くように操舵される。そし
て、操舵角を固定したまま車輪の駆動軸を回転させて、
所定の距離だけ移動させる。全方向移動モードでは、常
に、次の移動目標に操舵を合わせて移動するというよう
に、走行台車2は直線的に次の目標に向かって移動す
る。
【0070】移動目標到達後、後述する疵手入れ動作を
行った後、その位置から次の目標位置まで移動する。こ
の一連の動作は、移動経路を決定したときに視野内に存
在したすべての疵マーク41に対して繰り返し行なわれ
る。走行台車2の最後の移動目標に対する疵手入れが終
了すると、走行台車2は再び厚板幅方向中央部の基準経
路を、厚板の幅方向エッジラインと平行な姿勢を保ちつ
つ移動する。
【0071】このとき、厚板の幅方向エッジラインを画
像処理により確認して、走行台車2の姿勢角度や厚板幅
方向エッジラインからの位置が、基準の姿勢や位置と異
なっていた場合、その位置で、車輪を90度に操舵し、
前後輪の駆動を逆回転させて、その場で走行台車2を回
転させ、姿勢を修正させる(その場姿勢制御)ととも
に、横ズレ(基準経路からのズレ)があった場合は、操
舵を90度のまま前後輪を同方向に回転させて、修正す
る方向に真横に移動させ、横ズレを修正する(その場横
ズレ修正制御)。その後は再び、疵発見動作にもどり、
厚板の基準経路上を前進する。その後疵マーク41を発
見した時には、上述した行動パターンを繰り返す。
【0072】(7)なお、疵マーク41の内中心位置が
板のエッジに近いものに対しては、上述した本疵取り装
置の動作に加えて、特別な動作が附加される。
【0073】すなわち、厚板の幅方向エッジライン近傍
に存在し、通常の誘導では脱輪するような位置にある疵
マーク41に対しては、走行台車2は脱輪しない位置
(エッジに近い方の車輪がエッジから50mmの位置にな
る位置)まで誘導される。そして、砥石の取付けられた
台車幅方向リニアガイド9(砥石は車輪幅よりオーバハ
ングして、研削できるように設置されている)により、
走行台車2が脱輪防止のためエッジ際に移動できない分
だけ、砥石をオフセット移動させて、移動目標点に合わ
せる。その後疵とり作業を行う。
【0074】(8)行動計画により決定された疵マーク
41の位置に到達後、疵研削装置の上部に取付けられた
疵マーク幅確認用CCDカメラ4により疵マーク41を
撮像し、制御装置6で画像処理(2値化処理)すること
により、疵マーク41の幅Wを把握する。
【0075】その後、把握した疵マーク41の幅Wの値
から、制御装置6内に予め入力されている、疵マーク幅
Wと疵深さ情報とのテーブルから、手入れする疵マーク
41の深さを決定する。
【0076】疵の研削範囲は、前方CCDカメラ3で把
握された疵マーク41の端点間で形成される範囲を研削
範囲とする。
【0077】研削開始位置及び研削パターンは、疵マー
ク41で示される研削範囲と疵マーク幅Wから求められ
る研削深さとにより、走行台車2の行動計画に加えて研
削作業計画が作成される。
【0078】(9)疵マーク41に設定された移動目標
点に到達し、疵マーク41を確認したのち、疵マーク4
1端部の研削開始位置に移動し、研削を開始する。研削
動作は、本疵取り装置に搭載の研削機構による砥石の移
動と走行台車2の移動とを組み合わせて行う。
【0079】また、下記の点を考慮しながら、各疵マー
ク41に対する研削作業計画を建てる。 ・疵マーク41から把握した疵手入れ深さに合わせ研削
する。 ・疵手入れのための研削は、研削境界線を滑らかにする
ボカシ研削とする。 ・研削用砥石の砥石径の減少及び砥石の目詰りに起因す
る研削能率の低下に対して対策をたてる。 ・研削装置可動範囲内でできる疵手入れ作業と可動範囲
外を越える疵手入れ作業とを区別する。
【0080】本疵取り装置に搭載の研削機構は次ぎのよ
うなものである。グラインダは、平砥石形状のフラップ
ホイール砥石を採用する。フラップホイールは研磨布に
砥粒を付着させた多数枚を放射線状に束ねた砥石で、砥
石エッジ部と中央部において砥粒密度及び研磨布の枚数
を変えることにより、砥石幅方向に研削能力を変えるこ
とが可能である。すなわち、砥石の角部の研削能力を弱
めて、砥石幅方向のエッジ部ボカシ研削が可能である。
本疵取り装置のグラインダの構成は、この砥石とそれを
回転させる高周波モータとから構成されている。
【0081】グラインダのモータの特性は、許容研削負
荷範囲内では、研削時においても砥石回転数が減速しな
いものである(回転数は常に一定)。
【0082】グラインダの砥石を厚板表面に押しつける
機構は、ボールねじを利用したリニアガイドのような剛
性の高いもので、砥石はサーボモータ等で垂直方向の高
さ位置を制御されながら、厚板表面に垂直に押しつけら
れる。この押しつけ力が常に一定になるように、砥石の
垂直方向位置が制御される。研削中に、この押しつけ力
または押しつけ力と相関のあるグラインダ負荷電流等を
計測し、砥石の高さ位置制御サーボ機構にこれらの値を
フィードバックさせる。これにより、砥石径が研削中に
減少しても、その減少分を補正しながら、常に砥石押し
つけ力を一定に保つことができる。
【0083】また、本研削機構の砥石は、走行台車の走
行方向後部に設けられており、その厚板幅方向の移動は
前述したX軸リニアガイドにより、また厚板板厚方向の
移動は前述したZ軸リニアガイドにより行われる。さら
には、砥石の厚板長手方向(Y軸方向)の移動は、走行
台車2が厚板の長手方向に移動することにより、可能で
ある。すなわち、砥石は厚板のX軸、Y軸およびZ軸の
何れの方向にも移動可能となっている。
【0084】本研削機構を用いてボカシ研削を行う場合
には、次ぎのようにして行う。すなわち、砥石の垂直方
向(Z軸)の位置制御は、砥石を厚板に押しつける力が
一定となるように行なわれる。
【0085】この砥石の動きを、図6に示すように、砥
石の垂直移動方向(板厚方向)をZ軸、砥石の送り方向
(板幅方向)をX軸として説明すると、次のようにな
る。
【0086】すなわち、砥石51は事前に研削作業計画
により決定されている研削開始位置(図6のa点)より
も手前のX軸方向位置から回転させておき、X軸に沿っ
て研削開始位置(a点)に移動させる。また、Z軸方向
の移動は、砥石51がちょうどX軸の研削開始位置(a
点)に到達したときに、砥石51が厚板T面に接触する
ようにして下降させる。そして、その位置から砥石51
を徐々に下降させ、所定の研削深さHとなったところ
で、砥石51をX軸に沿って所定の研削範囲の長さ分所
定速度で移動させ研削を行う。研削終了位置(図6のb
点)近くに達すると、砥石51をZ軸に沿って序々に上
昇させ、ちょうど研削終了位置(b点)に砥石51が到
達したときに、砥石51が厚板Tの上面から離れるよう
にする。なお、砥石51は研削終了後も、X軸およびZ
軸の定められた位置まで移動する。砥石51で研削して
いる間は、所定の押しつけ力で研削が行われるように、
砥石51のZ軸方向位置を制御する。
【0087】砥石51の押しつけ力が常に一定になるよ
うに、砥石51のZ軸方向位置を制御すると、単位時間
当たりの研削量が一定となる。したがって、砥石51の
X軸方向の移動速度を様々なパターンで制御すると、様
々な研削断面パターンが作り出せる。基本的なパターン
は、一定速度パターン及び、研削開始間際と終了間際の
X軸速度を早くし、X軸作動範囲の中間部で速度を遅く
するパターンがある。このように砥石51のX軸および
Z軸方向の位置を制御することにより、研削開始および
終了時に、図6に示すような研削断面の段差が発生しな
いボカシ研削を行うことが可能となる。
【0088】砥石51をX軸方向に移動させて研削する
と、砥石幅分の約40mm〜50mmの幅(厚板Tにとっては長
さ方向)が研削される。ある程度の面積を削る場合に
は、走行台車2を厚板Tの長手方向に研削幅の約半分
(20mm〜30mm)程度移動させて、砥石51のX軸方向へ
の動作位置をずらして研削する。
【0089】このように、走行台車2の厚板Tの長手方
向への移動により、厚板Tの幅方向に沿った研削位置を
制御することができるので、圧延方向に長い大面積の疵
の研削も可能である。
【0090】また、走行台車2の厚板Tの長手方向移動
ピッチを適当に変化させて、研削領域を重ね合わせるよ
うにすると、研削量が制御できる。すなわち、本疵取り
装置に搭載している研削機構により、厚板Tの長手方向
(Y軸方向)のボカシ研削を行う場合には、次の手順で
行なう。すなわち、砥石51のピッチ方向(厚板の長手
方向)の研削開始時及び終了間際と研削範囲の中間部分
とで、ピッチ量(厚板の長手方向移動量)を変化させ
る。これにより、ピッチ方向にも研削境界から研削中心
部にかけて、任意の滑らかな研削形状が形成できる。
【0091】また、研削開始時と終了時にX軸方向への
砥石51の送り速度を変更させても、上記と同様の任意
の滑らかな研削形状が可能である。
【0092】研削境界は、前述したように、砥石の縁部
が研削能力が弱いため、自然にぼかされる。
【0093】また、砥石51の経時変化に対しては、次
のような対策が行われている。すなわち、一般的にグラ
インダの砥石51は研削を重ねる毎に、砥石径は減少す
るので、砥石51の周速は低下し、そのため研削能力は
低下する。したがって、砥石押しつけ力を、初期の条件
と同じ条件で制御し続けると、終いには所定の研削深さ
を研削することができなくなってしまう。そこで、本疵
取り装置においては、所定負荷でかつ平均的な研削パタ
ーンで研削する場合の、経時的な砥石径減少特性とその
ときの研削能力低下特性との関係を、事前に実験等で求
めておき、制御装置6内にテーブルデータとして持って
いる。そのため、各疵取り作業毎にデータを蓄積し、前
述のテーブルデータと参照し、もし、補正が必要な場合
は、砥石51のX軸方向速度を修正し、初期と同様な研
削能力を確保する。
【0094】(10)厚板始終端エッジ部の研削は、以
下のようにして行う。
【0095】図7のように厚板Tの始端エッジ部におい
て、板幅方向に大面積の手入れ作業が必要な場合は、本
疵取り装置においては、予め、厚板Tの手入れ範囲を厚
板Tの始端エッジからどの辺までというように指定され
ているものとして(棒状マークによるティーチングもし
くは作業員による始端エッジから研削範囲を数値データ
として疵取り装置に入力することによるティーチング
等)、疵取り装置の後部に設置された後方確認用CCD
カメラ5で始端エッジまでの距離を確認して、厚板Tの
始端エッジ部に漸近する。走行台車2の後部左右両側に
設置された脱輪防止及び板端部検出センサ(図示せず)
により始端エッジ部を検出して停止し、研削を開始す
る。砥石51が取り付けてあるX軸リニアガイド9によ
り、厚板Tの幅方向に所定ストロークS分だけ研削した
後、通常の研削と同様に、走行台車2を厚板Tの長手方
向に所定ピッチ移動させた後、再び幅方向に所定ストロ
ークS分だけ研削するという作業を、厚板Tの長手方向
の指定研削範囲(図においてはPの範囲)にわたって繰
り返す。
【0096】厚板Tの長手方向の研削範囲Pの研削が完
了した後、すなわち研削領域Aの研削が完了した後、板
幅方向に研削が必要な研削領域Bが存在する場合には、
Aの範囲の研削が完了した位置で、走行台車2の4つの
車輪を90度に操舵、すなわち車輪の向きを板幅方向に
向けて、走行台車2を真横にSの距離だけ動作させた
後、車輪を厚板Tの長手方向に向け直して、始端エッジ
方向に向けて所定ピッチずつ走行台車2を移動させなが
ら、砥石51を所定ストロークS分だけ移動させなが
ら、研削領域Bの研削を行う。
【0097】上述の説明においては、厚板Tの始端近傍
に存在する大面積の疵の手入れについて説明したが、厚
板Tの終端エッジ近傍に存在する大面積の疵の手入れに
ついては、走行台車2を終端エッジ近傍において反転さ
せ、後方確認用CCDカメラ5で終端エッジまでの距離
を確認して、上述した始端と同じような手順で疵取り作
業を行う。
【0098】(11)厚板Tの長手方向に延びる長い線
状疵を研削する場合は、図8に示すように、砥石51が
取付けられているマニュピレータの回転装置により、砥
石51の回転軸が厚板Tの幅方向を向くように砥石51
を回転させる。そして、走行台車2を厚板Tの長手方向
に移動させながら、線状疵の存在する範囲Cを研削す
る。このような研削により、線状疵はその存在する長さ
の範囲にわたって砥石51の幅分研削されることになる
が、これだけでは線状疵の存在する範囲Cを全てを研削
しえない場合には、砥石51をX軸リニアガイド9によ
り所定のピッチだけ幅方向に移動させ、再び走行台車2
を厚板Tの長手方向に移動させながら研削するという作
業を繰り返す。
【0099】線状疵の存在する位置が厚板Tの幅方向エ
ッジライン際であれば、X軸リニアガイド9により砥石
51を車輪よりオーバハングさせて、そうでなければ走
行台車2の中央部に砥石51をセットして研削を行う。
【0100】線状疵の存在する位置には、線状疵である
ことがわかるような疵マークをマークしており、このマ
ークがある場合は上述したような動作に入る。
【0101】また、作業員がマニュアル操作で疵の存在
する位置まで走行台車2を誘導し、直進量と疵手入れ深
さをティーチングさせて手入れさせても問題ない。
【0102】(12)本疵取り装置が厚板Tの長手方向
に沿って疵取り作業を続け、前方CCDカメラ3により
撮像された画像の画像処理で、厚板Tの終端エッジを検
出すると、走行台車2は脱輪しない適当な位置で停止す
る。ここで、厚板Tの終端エッジ付近に疵マークが存在
していても、この疵に関しては、疵位置を確認しても移
動することができない。そこで、終端エッジからの位置
を確認記憶させておいて、次の動作により対処する。す
なわち、終端エッジ到達後、終端エッジ際の研削のため
に、走行台車2の4輪とも90度操舵させ、前後輪逆方向
に指定量駆動させて、その場で反転を行い、砥石51を
厚板Tの終端エッジ方向に向ける。その後、後方確認用
CCDカメラ5で終端エッジまでの距離を確認しなが
ら、終端エッジ際の疵マークに移動し研削手入れを行
う。このとき、後方確認用CCDカメラ5で疵マークの
確認は行わず、終端エッジと反転後の走行台車2の位置
を確認して、反転する前に確認記憶した疵位置データを
元に誘導する。全ての作業を完了した後、厚板Tの始端
および終端エッジライン及び板幅方向左右のエッジライ
ンを基準とした全厚板領域の地図を作成する。
【0103】また、本疵取り装置においては、研削負荷
と総研削時間とから、砥石51の取り替え時期を知らせ
ることができるようになっている。
【0104】本疵取り装置は厚板Tの板幅、長さ等大き
さによっては、今まで説明してきたのとは別の動作パタ
ーンを行うこともできる。
【0105】まず最初に厚板Tの表面上の疵位置を読み
取るだけの動作を、厚板Tの長手方向全域にわたり行な
う。この場合、厚板Tの板幅中心位置に沿って、走行台
車2を直進させながら前方CCDカメラ3で厚板Tの表
面を撮像し、その画像を画像処理して、疵マーク図形位
置を把握する。このときも常に、厚板Tのエッジライン
を画像処理により抽出し、本疵取り装置の姿勢等の修正
を行う。このときの疵位置は、走行台車2の車輪に取付
けられたエンコーダにより求められる。このときの疵マ
ーク図形位置は、厚板Tの表面上の絶対座標系に変換し
て、制御装置6内に記録される。厚板Tの終端エッジラ
インを発見すると、疵スキャニング動作を終了させる。
その後、厚板Tの始端エッジまで、走行台車2を逆方向
に直進させて戻る。そして、全疵位置データをもとに走
行台車2の走行経路の計画をたて、厚板Tの長手方向に
沿って疵マーク位置まで、車輪のエンコーダをもとに移
動する。そして、各移動目標点に到達する度に、上記の
研削手順により研削作業を行なう。
【0106】
【発明の効果】この発明により、走行台車の姿勢をジャ
イロで監視しながら制御できるので、走行台車の反転動
作等を正確に行うことができ、鋼板の始終端や死角範囲
に存在する疵の手入れも、特別な手入れ装置を必要とし
ないので、研削装置を簡単な構造にできる。
【0107】また、砥石をエッジ部にボカシ機能を持っ
た幅広砥石とするとともに、砥石の向きを90度回転で
きるようにしたので、段差の少ないボカシ研削ができる
とともに、線状疵を能率よく研削削除することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の自走式疵取り装置の前方
から見た斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の自走式疵取り装置の後方
から見た斜視図である。
【図3】走行台車の全方向移動機構の説明図であり、
(a)は走行台車下面に設けられている全方向移動機構
を示す下面図、(b)はこの全方向移動機構のステアリ
ング機構を示す斜視図である。
【図4】走行台車の走行モードの説明図であり、(a)
は全方向移動モード、(b)は自動車モード、(c)は
旋回モード、(d)は回転モードにおける車輪の向きを
示す平面図である。
【図5】疵マークを示す平面図である。
【図6】ボカシ研削を行う場合の砥石の動きを示す側面
図である。
【図7】厚板の始終端エッジ部にある大面積の疵手入れ
を行う場合の手入れ方法を示す斜視図である。
【図8】厚板の線状疵を手入れする方法を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1a 前部車輪 1b 後部車輪 2 走行台車 3 前方CCDカメラ 4 疵マーク幅把握用CCDカメラ 5 後方確認用CCDカメラ 6 制御装置 7 疵研削用グラインダー 8 グラインダー押付け機構 9 X軸リニアガイド 10 Z軸リニアガイド 11 照明 12 電源供給装置 13 マニュアル操作盤 21 全方向移動機構 22a 前部車輪機構 22b 後部車輪機構 23a、23b 車輪駆動機構 24a、24b 操舵機構 25a,25b 伝達機構 31 歯車 32 動力伝達筒 33 軸受 34 歯車 35 動力伝達軸 36 傘歯車 37 傘歯車 38 回転軸 39 歯車 40 歯車 41 疵マーク 51 砥石 T 厚板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 哲男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 幸男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鈴木 克紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中島 優 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に分散して存在する疵の手入
    れを行う装置であって、下記(1)〜(4)から構成さ
    れる自走式疵取り装置において、走行台車の反転動作時
    および誘導時の姿勢を監視する監視用ジャイロを設けた
    ことを特徴とする自走式疵取り装置。 (1)疵取りする鋼板上を、鋼板の圧延方向に対して姿
    勢を平行に保ちつつ全方向に移動可能で、かつ前後方向
    に反転可能な移動機構を有する走行台車。 (2)該走行台車に設けられ、走行台車の走行方向前方
    の鋼板上にマークされた複数の疵マークの分布状況を撮
    像する前方撮像装置と、該前方撮像装置により撮像され
    た画像を画像処理する第一の画像処理装置からなり、画
    像処理された情報に基づき鋼板上における複数の疵マー
    クと前記走行台車との相対位置関係を把握し、走行台車
    を鋼板上の疵マーク位置まで誘導する走行台車誘導手
    段。 (3)同じく走行台車に設けられ、鋼板上の個々の疵マ
    ークを撮像する疵マーク幅把握用撮像装置と、この疵マ
    ーク幅把握用撮像装置により撮像された疵マークを画像
    処理する第二の画像処理装置からなり、画像処理された
    疵マークの大きさから研削条件を把握する研削条件把握
    手段。 (4)同じく走行台車に設けられ、前記研削条件把握手
    段からの指令により、砥石を台車に設けたガイドに沿っ
    て台車の幅方向および上下方向に移動させるとともに、
    台車を走行させながら、鋼板上の疵マーク位置を研削す
    る疵研削装置。
  2. 【請求項2】 疵研削装置が、砥石エッジ部にボカシ機
    能を持った平砥石を使用し、かつ砥石の回転軸が被研削
    鋼板の圧延方向および圧延方向と直交する方向のいずれ
    にも向けることができるように構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の自走式疵取り装置。
  3. 【請求項3】 前記研削条件把握手段による研削条件の
    把握を、前記走行台車誘導手段の前方撮像装置の撮像し
    た画像の画像処理に基づいて行うようにしたことを特徴
    とする請求項1または2に記載の自走式疵取り装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018075707A (ja) * 2016-10-28 2018-05-17 Jfeスチール株式会社 自走式疵取り装置および疵取り方法

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JP2018075707A (ja) * 2016-10-28 2018-05-17 Jfeスチール株式会社 自走式疵取り装置および疵取り方法

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