JPH09153132A - 多重解像度変換方法および装置 - Google Patents

多重解像度変換方法および装置

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JPH09153132A
JPH09153132A JP8172498A JP17249896A JPH09153132A JP H09153132 A JPH09153132 A JP H09153132A JP 8172498 A JP8172498 A JP 8172498A JP 17249896 A JP17249896 A JP 17249896A JP H09153132 A JPH09153132 A JP H09153132A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多重解像度変換方法および装置において、多
重解像度のボケ画像を得る際の演算量を低減し、また装
置の大型化を防止する。 【解決手段】 画像入力手段1から入力された原画像信
号Sorg に対して、フィルタリング手段2において、所
定サイズのフィルタにより1画素おきにフィルタリング
処理を施し、さらにフィルタリング処理が施された画像
信号に対してこのフィルタによりフィルタリング処理を
施す。この処理を繰り返して、複数のフィルタリング処
理画像を得る。次いで、補間演算手段3において、この
複数のフィルタリング処理画像に対して、ガウス関数あ
るいはBスプライン補間演算により、補間演算処理を施
し、原画像と同一サイズの多重解像度のボケ画像を得
る。この多重解像度のボケ画像は、画像出力手段4に入
力され、所定の画像処理に供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原画像を互いに解
像度が異なる多重解像度空間の画像に変換する多重解像
度変換方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像を表す画像信号を得、この画像信号
に適切な画像処理を施した後、画像を再生表示すること
が種々の分野で行われている。例えば、放射線画像の診
断性能を向上させるために、画像信号に対して非鮮鋭マ
スク処理(以下ボケマスク処理とする)等の周波数強調
処理を施す方法が本出願人により提案されている(特開
昭55-163472 号公報、特開昭55-87953号公報等)。この
周波数処理は、読み取った原画像信号Sorg に、この原
画像信号Sorg から非鮮鋭マスク画像信号(以下ボケ画
像信号とする)Susを引いたものに強調度βを乗じたも
のを加える処理を施すもので、これにより、画像におい
て所定の空間周波数成分を強調するようにしたものであ
る。これを式で表すと下記の式(1)のようになる。
【0003】 Sproc=Sorg +β×(Sorg −Sus) …(1) (Sproc:周波数処理された信号、Sorg :原画像信
号、Sus:ボケ画像信号、β:強調度) ここで、ボケ画像信号Susは、画像を構成する画素おき
に、各画素の周囲のM×Nの範囲内の原画像信号Sorg
について、 Sus=ΣSorg /(M×N) …(2) なる演算を行うことにより求められる。
【0004】また、所定サイズのボケマスクフィルタを
用いて、このフィルタ内の画素値の平均値や、荷重平均
値を求めることにより、原画像よりも解像度の低いボケ
マスク処理が施されたボケ画像を表すボケ画像信号Sus
を得ることができる。
【0005】また、画像信号に対して周波数処理を施す
別の方法として、フーリエ変換、ウェーブレット変換、
サブバンド変換等により画像を多重解像度画像に変換す
ることにより画像を表す画像信号を複数の周波数帯域の
信号に分解し、この分解された信号のうち、所望とする
周波数帯域の信号に対して強調等の所定の画像処理を施
す方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、ボケマスクフィ
ルタを用いて、上述したウェーブレット変換などのよう
に原画像を多重解像度画像に変換して、各ボケ画像信号
により表される各解像度のボケ画像に対して画像処理を
施すことが提案されている。このようにボケマスクフィ
ルタにより原画像を多重解像度画像に変換するために
は、複数サイズのフィルタが必要になり、とくに低解像
度のボケ画像を得るためにはサイズの大きいフィルタが
必要となる。しかしながら、フィルタのサイズが大きく
なると、フィルタリング処理を行うための演算量が膨大
なものとなり、ボケマスク処理を行うための演算に長時
間を要することとなる。さらに、これらの複数の解像度
のボケ画像を得るための複数のフィルタを記憶しておく
ための大容量の記憶手段が必要となり、これにより装置
が大型化し、また装置のコストも上昇する。
【0007】本発明は上記事情に鑑み、多重解像度のボ
ケ画像を得る際の演算量を低減し、また装置の大型化を
防止することができる多重解像度変換方法および装置を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による多重解像度
変換方法および装置は、所定の間隔で縦横方向に格子状
に配された画素からなる原画像を多重解像度空間に変換
する多重解像度変換方法において、前記原画像に対して
所定間隔の画素ごとに所定サイズのフィルタによりフィ
ルタリング処理を施し、該フィルタリング処理が施され
た画像に対してさらに前記フィルタリング処理を施し、
該フィルタリング処理をフィルタリング処理が施された
画像に対して繰り返し行うことにより、前記原画像を解
像度が異なる複数の画像に変換し、該各画像に対して補
間演算処理を施すことにより、前記原画像と同一画素数
の多重解像度変換画像を得ることを特徴とするものであ
る。
【0009】
【発明の効果】本発明による多重解像度変換方法および
装置は、所定サイズのフィルタを用いて、原画像に対し
て所定間隔の画素ごとに施すフィルタリング処理を、フ
ィルタリング処理が施された画像に対して繰り返し施す
ようにしたため、このフィルタリング処理により得られ
る複数の画像は、原画像から段階的に高周波成分が除去
された画像となる。また、これらのフィルタリング処理
は所定間隔の画素ごとに行われているため、フィルタリ
ングが施された各画像のサイズは、原画像から段階的に
小さくなっている。そしてこのフィルタリング処理が施
された画像に対して、補間演算処理を施すことにより、
各画像を拡大して各画像を原画像と同一の画素数、すな
わち、原画像と同一サイズの多重解像度画像を得る。
【0010】このように本発明による多重解像度変換方
法および装置は、所定サイズのフィルタにより繰り返し
フィルタリング処理を施すことにより、多重解像度の画
像を得るようにしため、複数のフィルタを設ける必要が
無くなり、このため、複数のフィルタを記憶するための
メモリが不要となり、装置の大型化を防止することがで
きる。
【0011】また、フィルタのサイズを大きくしなくと
も、低解像度の画像を段階的に得ることができるため、
フィルタのサイズが大きくなることによる演算量の増大
を防止し、より高速に多重解像度のボケ画像を得ること
ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態について説明する。
【0013】図1は本発明による多重解像度変換装置の
概略を表す図である。図1に示すように本発明による多
重解像度変換装置は、画像入力手段1から入力された画
像信号Sに対して所定サイズのフィルタにより所定間隔
の画素ごとにフィルタリング処理を施し、かつフィルタ
リング処理が施された画像に対してこの所定サイズのフ
ィルタによるフィルタリング処理を繰り返し施すことに
より複数のフィルタリング処理画像を得るフィルタリン
グ手段2と、フィルタリング処理が施された複数の画像
に対して補間演算処理を施すことにより、原画像と同一
画素数、すなわち原画像と同一のサイズの多重解像度画
像を得る補間演算手段3と、この多重解像度画像をCR
Tなどの再生手段に出力する画像出力手段4とからな
る。
【0014】図2は図1におけるフィルタリング手段2
および補間演算手段3において行われる処理を説明する
ためのブロック図である。図2に示すように原画像を表
すデジタルの原画像信号Sorg がフィルタリング手段2
に入力されると、フィルタリング処理手段10においてロ
ーパスフィルタによりフィルタリングされる。このロー
パスフィルタとしては例えば図3に示すような5×1の
グリッド上の一次元ガウス分布に略対応したフィルタF
が用いられる。このフィルタFは下記の式(3)
【0015】
【数1】
【0016】において、σ=1としたものである。ここ
で、フィルタFとしてガウス信号を用いるのは、ガウス
信号は周波数空間および実空間の双方において、局在性
がよいためである。
【0017】そしてこのフィルタFにより原画像の画素
のx方向およびy方向に対してフィルタリング処理を施
すことにより、原画像信号Sorg 全体に対してフィルタ
リング処理が施される。
【0018】フィルタリング処理手段10においては、こ
のようなフィルタFにより以下のようにしてフィルタリ
ング処理が施される。図4はフィルタリング処理の詳細
を表す図である。図4に示すように、図3に示すフィル
タFにより原画像信号Sorgの一画素おきにフィルタリ
ング処理が施される。そしてこのフィルタリング処理に
より、フィルタリング処理画像信号B1 が得られる。こ
のフィルタリング処理画像信号B1 は、原画像に対する
サイズが1/4となっている。次いで、再度フィルタF
によりフィルタリング処理画像信号B1 に対して一画素
おきにフィルタリング処理が施される。そしてこのよう
なフィルタFによるフィルタリング処理を、フィルタリ
ング処理が施されたフィルタリング処理画像に対して繰
り返し施すことにより、n個のフィルタリング処理画像
信号Bk (k=1〜n)が得られる。このフィルタリン
グ処理画像信号Bk は、原画像に対してサイズが1/2
2kとなっている。ここで、フィルタリング処理画像信号
k の周波数レスポンスを図5に示す。図5に示すよう
にフィルタリング処理画像信号Bk のレスポンスはkが
大きいほど高周波成分が除去されたものとなっている
(なお、図5においてはk=1〜3としている)。
【0019】なお、上記実施の形態においては、図3に
示す一次元フィルタFにより、原画像のx方向およびy
方向に対してフィルタリング処理を施すようにしている
が、図6に示すような5×5の2次元にフィルタにより
原画像信号Sorg およびフィルタリング処理画像信号に
対して一度にフィルタリング処理を施すようにしてもよ
いものである。
【0020】次いで、このようにして得られたフィルタ
リング処理画像信号Bk に対して補間演算処理手段11に
おいて補間演算処理が施され、これにより原画像と同一
の大きさの多重解像度画像が得られる。以下この補間演
算処理について説明する。
【0021】補間演算の方法としては、Bスプラインに
よる方法など種々の方法が挙げられるが、本発明による
実施の形態においては、ローパスフィルタとしてガウス
信号に基づくフィルタFを用いているため、補間演算を
行うための補間係数としてもガウス信号を用いるものと
する。ここで、ガウス信号を用いた補間関数とは、下記
の式(4)
【0022】
【数2】
【0023】において、σ=2k-1 と近似したものを用
いる。
【0024】フィルタリング処理画像信号B1 を補間す
る際には、k=1であるためσ=1となる。上記式
(4)において、σ=1としたときの補間を行うための
フィルタは、図7に示すように5×1の一次元フィルタ
となる。まずフィルタリング処理画像信号B1 に対して
1画素おきに値が0の画素を一つずつ補間することによ
りフィルタリング処理画像信号B1 を原画像と同一のサ
イズに拡大する。このように値が0の画素が補間された
フィルタリング処理画像信号B1 を一次元的に図8に示
す。そして、この補間されたフィルタリング処理画像信
号B1 に対して上述した図7に示すフィルタF1 により
フィルタリング処理を行う。
【0025】ここで、図7に示すフィルタF1 は5×1
のフィルタであるが、図8に示すようにフィルタリング
処理画像信号B1 は1画素おきに値が0の画素が補間さ
れている。したがって、フィルタF1 によりフィルタリ
ング処理を施すことは、実質的には2×1のフィルタ
(0.5,0.5)および3×1のフィルタ(0.1,
0.8,0.1)の2種類のフィルタにより、フィルタ
リング処理画像信号B1にフィルタリング処理を施すこ
とと等価なものとなる。そしてこのフィルタリング処理
により、原画像信号Sorg と同一データ数、すなわち原
画像と同一サイズのボケ画像信号Sus1 が得られる。
【0026】次いで、フィルタリング処理画像信号B2
に対してフィルタリング処理が施される。フィルタリン
グ処理画像信号B2 を補間する際には、k=2であるた
め、σ=2となる。上記式(4)において、σ=2とし
たときの補間を行うためのフィルタは、図9に示すよう
に11×1の一次元フィルタとなる。そして、まずフィ
ルタリング処理画像信号B2 に対して1画素おきに値が
0の画素を3つずつ補間することによりフィルタリング
処理画像信号B2 を原画像と同一のサイズに拡大する。
この値が0の画素が補間されたフィルタリング処理画像
信号B2 を一次元的に図10に示す。そして、この補間
されたフィルタリング処理画像信号B2に対して上述し
た図9に示すフィルタF2 によりフィルタリング処理を
行う。
【0027】ここで、図9に示すフィルタF2 は11×
1のフィルタであるが、図10に示すようにフィルタリ
ング処理画像信号B2 は1画素おきに値が0の画素が補
間されている。したがって、フィルタF2 によりフィル
タリング処理を施すことは、実質的には2×1のフィル
タ(0.5,0.5)および3×1のフィルタ(0.
3,0.65,0.05)、(0.13,0.74,
0.13)および(0.05,0.65,0.3)の4
種類のフィルタにより、フィルタリング処理画像信号B
2 にフィルタリング処理を施すことと等価なものとな
る。そしてこのフィルタリング処理により、原画像信号
Sorg と同一データ数のボケ画像信号Sus2 が得られ
る。
【0028】そしてこのフィルタリング処理を全てのフ
ィルタリング処理画像信号Bk に対して行う。フィルタ
リング処理画像信号Bk を補間する際には、上記式
(4)に基づいて、3×2k −1の長さのフィルタを作
成し、フィルタリング処理画像信号Bk の各画素の間に
値が0の画素を2k −1個ずつ補間することにより、原
画像と同一サイズに拡大する。この値が0の画素が補間
されたフィルタリング処理画像信号Bk に対して3×2
k −1の長さのフィルタにより、フィルタリング処理を
行う。
【0029】ここで、この3×2k −1の長さのフィル
タによるフィルタリング処理を施すことは、2k 周期で
長さが2または3のフィルタによりフィルタリング処理
を施すことと等価なものとなる。そしてこのフィルタリ
ング処理により、n個のボケ画像信号Susk が得られ
る。このボケ画像信号Susk を可視像として表すと、結
果としてそれぞれ解像度が異なる、すなわち周波数応答
特性が異なる多重解像度のボケ画像となる。このよう
に、フィルタは長くなるものの、実質的には長さが2ま
たは3のフィルタによりフィルタリング処理を施してい
ることと同様であるため、演算量は、フィルタが長くな
ろうともそれほど多くはならないものである。このた
め、演算量を減らして、多重解像度のボケ画像信号Sus
k を高速に作成することができることとなる。
【0030】なお、本発明による実施の形態において
は、長さが3×2k −1の1次元のフィルタにより画像
のx方向およびy方向にフィルタリング処理を施すよう
にしているが、予め2次元状のフィルタを作成してお
き、このフィルタによりフィルタリング処理画像に対し
てフィルタリング処理を施すことにより、ボケ画像信号
Susk を得るようにしてもよい。この場合、フィルタリ
ング処理画像に対して、補間演算を行うためのフィルタ
リング処理を施すためのフィルタは、(3×2k −1)
×(3×2k −1)のフィルタとなるが、上述した1次
元のフィルタを用いる場合と同様に、2n 周期で2×2
または3×3のフィルタによりフィルタリング処理を施
すことと等価なものとなり、上述した1次元のフィルタ
を用いる場合と同様に、フィルタのサイズが大きくなっ
ても、フィルタリング処理を行うための演算量は実質的
にそれほど大きくならないものである。
【0031】このようにして得られたボケ画像信号Sus
k の周波数特性を図11に示す。図11に示すように、ボケ
画像信号Susk のkの値が大きくなるほど、原画像信号
Sorg の高周波成分が除去された信号となる。
【0032】このようにして得られたボケ画像信号Sus
k は、原画像の複数の周波数帯域を表す多重解像度のボ
ケ画像を表すものとなる。そしてこのように、所定サイ
ズのフィルタにより繰り返しフィルタリング処理を施す
ことにより、多重解像度のボケ画像を得るようにした
め、複数のフィルタを設ける必要が無くなり、このた
め、複数のフィルタを記憶するためのメモリが不要とな
り、装置の大型化を防止することができる。
【0033】また、フィルタのサイズを大きくしなくと
も、低解像度の画像を段階的に得ることができるため、
フィルタのサイズが大きくなることによる演算量の増大
を防止し、より高速に多重解像度のボケ画像を得ること
ができる。
【0034】このようにして得られた多重解像度のボケ
画像すなわちボケ画像信号Susk は以下のようなボケマ
スク処理に用いられる。
【0035】図12は本発明による多重解像度変換方法お
よび装置により得られたボケ画像信号Susk を用いたボ
ケマスク処理を説明するための図である。このボケマス
ク処理は、本発明による多重解像度変換方法および装置
により作成された複数のボケ画像信号Susk に基づいて
複数の帯域制限画像信号を作成し、作成された複数の帯
域制限画像信号のうち所定の閾値よりも信号値の絶対値
が大きい帯域制限画像信号に対して後述するように絶対
値を小さくする変換処理を施し、変換された帯域制限画
像信号の絶対値を加算して加算信号を作成し、加算信号
に所定の強調係数を乗じて原画像信号Sorg と加算する
ことにより、原画像の高周波成分が強調された処理済画
像Sprocを得るボケマスク処理を行うものである。
【0036】図12に示すように、上述したように本発明
による多重解像度変換方法および装置により作成された
複数のボケ画像信号Susk に基づいて帯域制限画像信号
が作成される。この帯域制限画像信号は減算器21によ
り、互いに隣接する周波数帯域同士のボケ画像信号Sus
k の減算を行うことにより得られる。すなわち、Sorg
−Sus1 、Sus1 −Sus2 、…SusN-1 −SusN を順次
計算することにより、複数の帯域制限画像信号を求め
る。この帯域制限画像信号の周波数特性を図13に示す。
図13に示すように、帯域制限画像信号はボケ画像信号S
usk のkの値が大きくなるほど、原画像信号Sorg の低
周波数成分の帯域を表す信号となる。
【0037】次いで、変換手段3において、このように
して求められた帯域制限画像信号をこの帯域制限画像信
号の信号に応じて変換する。この変換は変換器22におい
て、例えば図14に示すような関数fu により行う。この
関数fu は、帯域制限画像信号の絶対値が閾値Th1よ
りも小さい場合は傾きが1であり、閾値Th1よりも大
きい場合は傾きが1よりも小さくなるような関数であ
る。この関数は、各帯域制限画像信号において同一のも
のであってもよいが、各信号ごとに異なるものであって
もよい。
【0038】このような関数fu により変換された帯域
制限画像信号は、上述した加算およびボケマスク処理を
行うための演算器23に入力される。この演算器23におい
ては下記のような処理が行われる。まず、上述したよう
に関数fu により変換された帯域制限画像信号(以下、
変換帯域制限画像信号とする。)は加算され、さらに、
原画像信号Sorg の値に応じた強調度βが乗じられ、さ
れにこの強調度βが乗じられた加算値が原画像信号Sor
g と加算されて処理済画像信号Sprocが得られる。
【0039】以上のボケ画像信号Susk に施される処理
を下記の式(5)に示す。
【0040】 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) ={fu1 (Sorg −Sus1)+fu2 (Sus1 −Sus2)+… …+fuN (SusN-1 −SusN)} …(5) 但し、Sproc:処理済画像信号 Sorg :原画像信号 Susk (k=1〜N):ボケ画像信号 fuk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 このようにして得られた処理済画像信号Sprocは、例え
ば図15に示すような周波数応答特性を有するものとな
る。すなわち、上述した帯域制限画像信号は、原画像の
濃度変化が比較的小さいいわゆる平坦部においては、各
周波数帯域において値は小さくなるものである。これに
対して、濃度が急激に変化するエッジ部近傍において
は、帯域制限画像信号が比較的低周波数帯域である場
合、すなわちボケ画像信号Susk を得る際のマスクのサ
イズが比較的大きい場合は、図16に示すように、そのエ
ッジ部近傍の画素についておかれたマスクにエッジ部が
含まれてしまうため、帯域制限画像信号がエッジ部の影
響を受けて信号値の絶対値が比較的大きなものとなる。
このように、本来エッジ部でない部分がエッジ部の濃度
値の影響を受けることにより、画像処理を行うことによ
り得られた画像のエッジ部にはオーバーシュート、アン
ダーシュートなどのアーチファクトが発生してしまう。
【0041】そこで、帯域制限画像信号の信号値の絶対
値が閾値Th1よりも大きい場合に、上述した関数fu
によりこの信号値の絶対値が小さくなるように帯域制限
画像信号を変換し、この変換された各帯域制限画像信号
を加算し、さらに所定の強調度で強調することにより、
原画像信号Sorg に加算するための高周波成分に関する
信号を得るようにしたものである。
【0042】このため、図15に示すように、エッジ部が
存在しない平坦部においては、処理済画像信号Sprocの
周波数特性は実線で示すようなものとなるが、エッジ部
近傍の領域については、処理済画像信号Sprocは図15の
破線に示すように比較的低い周波数帯域のレスポンスが
低下されたような特性を有するものとなる。これは、エ
ッジ部近傍の領域においては、上記式(1)におけるボ
ケ画像信号Susを得る際のマスクが実際のマスクよりも
小さくされたことと同一の効果を奏するものである。
【0043】したがって、エッジ部近傍の領域に対応す
る比較的信号値の絶対値が大きい帯域制限画像信号は、
原画像信号に加算するための高周波成分に関する信号に
対する影響力が小さくなる。このため、濃度が急激に変
化するエッジ部近傍においても、アーチファクトの原因
となる信号は影響力が弱められるため、処理を施すこと
により得られる画像をアーチファクトのない良好な画像
とすることができる。
【0044】なお、上記実施の形態においては、上記式
(5)により処理済画像信号Sprocを得るようにしてい
るが、下記式(6)により処理済画像信号Sprocを得る
ようにしてもよい。式(5)と式(6)とで異なるの
は、帯域制限画像信号を得る際に、式(5)においては
隣接する周波数帯域同士で減算を行っているが、式
(6)においては、全ての周波数帯域のボケ画像信号S
usk と、原画像信号Sorg とで減算処理を行っている点
が異なるものである。式(6)により得られる処理済画
像信号Sprocの周波数特性を図17に示す。図17に示すよ
うにエッジ部が存在しない平坦部においては、処理済画
像信号Sprocの周波数特性は実線で示すようなものとな
るが、エッジ部近傍の領域においては、処理済画像信号
Sprocは、図17の破線に示すように比較的低い周波数帯
域のレスポンスが低下されたような特性を有するものと
なる。これは、エッジ部近傍の領域においては、上記式
(1)におけるボケ画像信号Susk を得る際のマスクが
実際のマスクよりも小さくされたことと同一の効果を奏
するものである。なお、図15と比較すると、図17の場合
は全周波数帯域に亘ってレスポンスが低下したものとな
っている。このため、エッジ部の近傍でない平坦部にお
いてもレスポンスが低下したものとなっている。このた
め、式(5)にしたがって、処理済画像信号Sprocを求
める方が平坦部のレスポンスは低下されることなくエッ
ジ部近傍のみのレスポンスが低下されるため、より好ま
しいものである。
【0045】 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{fu1 (Sorg −Sus1)+fu2 (Sorg −Sus2)+… …+fuN (Sorg −SusN)} …(6) 但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk (k=1〜N):ボケ画像信号 fuk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 なお、上記実施の形態においては、ボケ画像信号Susk
を得るために、ガウス信号のフィルタを用いて、補間演
算処理を行うようにしているが、Bスプライン補間演算
によりフィルタリング処理画像に対して補間演算処理を
施すようにしてもよい。以下、このBスプライン補間演
算処理について説明する。
【0046】Bスプライン補間演算は、比較的鮮鋭度の
低い滑らかな2次画像を再生するための補間画像データ
を得るための補間演算方法である。このBスプライン補
間演算は、元のサンプル点(画素)を通ることは必要と
されない代わりに、第1階微分係数および第2階微分係
数(f″(X)で表す)が各区間間で連続することが必
要とされる。
【0047】すなわち、 fk (x)=Ak 3 +Bk 2 +Ck x+Dk …(7) において(式(7)においてBk は便宜上用いられる係
数であり、フィルタリング処理画像とは異なる。)、 fk ′(Xk )=fk-1 ′(Xk ) …(8) fk ′(Xk+1 )=fk+1 ′(Xk+1 ) …(9) fk ″(Xk )=fk-1 ″(Xk ) …(10) fk ″(Xk+1 )=fk+1 ″(Xk+1 ) …(11) が条件となる。ただし、画素Xk における第1階微分係
数が、その画素Xk の前後の画素であるXk-1 とXk+1
とについて、これらの画像信号Yk-1 、Yk+1 の勾配
(Yk+1 −Yk-1 )/(Xk+1 −Xk-1 )に一致するこ
とが条件であるから、下記式(14)を満たす必要があ
る。
【0048】 fk ′(Xk )=(Yk+1 −Yk-1 )/(Xk+1 −Xk-1 ) …(12) 同様に、画素Xk+1 における第1階微分係数が、その画
素Xk+1 の前後の画素であるXk とXk+2 とについて、
これらの画像信号Yk 、Yk+2 の勾配(Yk+2−Yk
/(Xk+2 −Xk )に一致することが条件であるから、
下記式(13)を満たす必要がある。
【0049】 fk ′(Xk+1 )=(Yk+2 −Yk )/(Xk+2 −Xk ) …(13) また関数f(X)は一般に下記式(14)に示すもので近
似される。
【0050】 f(X)=f(0) +f′(0) X+{f″(0)/2}X2 …(14) ここで、各区間Xk-2 〜Xk-1 ,Xk-1 〜Xk ,Xk
k+1 ,Xk+1 〜Xk+2 の間隔(格子間隔という)を1
とし、画素Xk からの画素Xk+1 方向への補間点Xp
位置をt(0≦t≦1)とすれば、式(8)〜(11)お
よび(14)より、 fk ′(0)=Ck =(Yk+1 −Yk-1 )/2 fk ′(1)=3Ak +2Bk +Ck =(Yk+2 −Yk )/2 fk ″(0)=Yk+1 −2Yk +Yk-1 =2B したがって、 Ak =(Yk+2 −3Yk+1 +3Yk −Yk-1 )/6 Bk =(Yk+1 −2Yk +Yk-1 )/2 Ck =(Yk+1 −Yk-1 )/2 ここで、Dk は未知のため、 Dk =(D1 k+2 +D2 k+1 +D3 k +D4
k-1 )/6 とおく。また、スプライン補間関数fk (x)は上述の
通り、X=tなる変数変換をしているため、 fk (x)=fk (t) となる。よって、 fk (t)={(Yk+2 −3Yk+1 +3Yk −Yk-1
/6}t3 +{(Yk+1 −2Yk +Yk-1 )/2}t2
+{(Yk+1 −Yk-1 )/2}t+(D1 k+2 +D2
k+1 +D3 k +D4 k-1 )/6 となり、これを画像信号Yk-1 ,Yk ,Yk+1 ,Yk+2
について整理すると、下記式(17)で表すことができ
る。
【0051】 fk (t)={(−t3 +3t2 −3t+D4 )/6}Yk-1 +{(3t3 −6t2 +D3 )/6}Yk +{(−3t3 +3t2 +3t+D2 )/6}Yk+1 +{(t3 +D1 )/6}Yk+2 …(15) ここで、t=1とおけば、 fk (1)={(D4 −1)/6}Yk-1 +{(D3
3)/6}Yk +{(D2 +3)/6}Yk+1 +{(D
1 +1)/6}Yk+2 次に区間Xk+1 〜Xk+2 についての式(17)は、 fk+1 (t)={(−t3 +3t2 −3t+D4 )/6}Yk +{(3t3 −6t2 +D3 )/6}Yk+1 +{(−3t3 +3t2 +3t+D2 )/6}Yk+2 +{(t3 +D1 )/6}Yk+3 …(16) ここで、t=0とおけば、 fk+1 (0)=(D4 /6)Yk +(D3 /6)Yk+1
+(D2 /6)Yk+2 +(D1 /6)Yk+3 連続性の条件(fk (1)=fk+1 (0))、および各
フィルタリング処理画像信号に対応する係数同士が等し
いという条件により、D4 −1=0,D3 −3=D4
2 +3=D3 ,D1 +1=D2 ,D1 =0、となり、
したがって、 Dk =(Yk+1 +4Yk +Yk-1 )/6 となる。よって、 Yp =fk (t)={(−t3 +3t2 −3t+1)/6}Yk-1 +{(3t3 −6t2 +4)/6}Yk +{(−3t3 +3t2 +3t+1)/6}Yk+1 +{t3 /6}Yk+2 …(17) したがって、フィルタリング処理画像信号Yk-1
k 、Yk+1 、Yk+2 にそれぞれ対応する補間係数b
k-1 、bk 、bk+1 、bk+2 は、 bk-1 =(−t3 +3t2 −3t+1)/6 bk =(3t3 −6t2 +4)/6 bk+1 =(−3t3 +3t2 +3t+1)/6 bk+2 =t3 /6 となる。
【0052】以上の演算を各区間Xk-2 〜Xk-1 ,X
k-1 〜Xk ,Xk 〜Xk+1 ,Xk+1 〜Xk+2 について繰
り返すことにより、フィルタリング処理画像信号の全体
についてフィルタリング処理画像信号とは間隔の異なる
補間画像信号を求めることができる。
【0053】したがって、このBスプライン補間演算処
理を各フィルタリング処理画像信号Bk に対して施すこ
とにより、各フィルタリング処理画像信号Bk に対応し
たボケ画像信号Susk を得ることができる。
【0054】さらに、上述した実施の形態においては、
帯域制限画像信号を変換するための関数を図14に示すよ
うに、閾値Th1よりも信号値の絶対値が大きい場合
に、この絶対値を小さくするような関数を用いている
が、例えば図18に示すように、帯域制限画像信号の信号
値の絶対値が閾値Th1よりも大きい場合に、この絶対
値を小さくするとともに、閾値Th2よりも小さい場合
に、絶対値を小さくするような関数を用いるようにして
もよい。
【0055】このように、帯域制限画像信号の信号値の
絶対値が閾値Th1よりも小さい閾値Th2よりも小さ
いほど、この帯域制限画像信号の絶対値を小さくするよ
うに補正することにより、画像中においてノイズと見な
せるような信号値の絶対値が小さい成分のレスポンスを
小さくすることができ、これにより処理済画像のノイズ
を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多重解像度変換装置の概念を表す
【図2】フィルタリング手段および補間演算手段の詳細
を表す図
【図3】フィルタリング処理手段において用いられるフ
ィルタ(1次元)を表す図
【図4】フィルタリング処理の詳細を表す図
【図5】フィルタリング処理画像信号の周波数特性を表
す図
【図6】フィルタリング処理手段において用いられるフ
ィルタ(2次元)を表す図
【図7】フィルタリング処理画像信号B1 の補間演算に
用いられるフィルタを表す図
【図8】補間演算の詳細を表す図
【図9】フィルタリング処理画像信号B2 の補間演算に
用いられるフィルタを表す図
【図10】補間演算の詳細を表す図
【図11】ボケ画像信号の周波数特性を表す図
【図12】ボケ画像信号Susk に施されるボケマスク処
理を説明するための図
【図13】帯域制限画像信号の周波数特性を表す図
【図14】帯域制限画像信号を変換するための関数を表
す図
【図15】処理済画像信号の周波数特性を表す図
【図16】エッジ部近傍のマスク処理を説明するための
【図17】処理済画像信号の他の周波数特性を表す図
【図18】帯域制限画像信号を変換するための他の関数
を表す図
【符号の説明】
1 画像入力手段 2 フィルタリング手段 3 補間演算手段 4 画像出力手段 10 フィルタリング処理手段 11 補間演算処理手段 21 減算器 22 変換器 23 演算器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔で縦横方向に格子状に配され
    た画素からなる原画像を多重解像度空間に変換する多重
    解像度変換方法において、 前記原画像に対して所定間隔の画素ごとに所定サイズの
    フィルタによりフィルタリング処理を施し、 該フィルタリング処理が施された画像に対してさらに前
    記フィルタリング処理を施し、 該フィルタリング処理をフィルタリング処理が施された
    画像に対して繰り返し行うことにより、前記原画像を解
    像度が異なる複数の画像に変換し、 該各画像に対して補間演算処理を施すことにより、前記
    原画像と同一画素数の多重解像度変換画像を得ることを
    特徴とする多重解像度変換方法。
  2. 【請求項2】 所定の間隔で縦横方向に格子状に配され
    た画素からなる原画像を多重解像度空間に変換する多重
    解像度変換装置において、 前記原画像に対して所定間隔の画素ごとに所定サイズの
    フィルタによりフィルタリング処理を施し、該フィルタ
    リング処理が施された画像に対してさらに前記フィルタ
    リング処理を繰り返し行うことにより、前記原画像を解
    像度が異なる複数の画像に変換するフィルタリング手段
    と、 該各画像に対して補間演算処理を施すことにより、前記
    原画像と同一画素数の多重解像度変換画像を得る補間演
    算手段とからなることを特徴とする多重解像度変換装
    置。
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