JP4316106B2 - 画像処理方法および装置並びに記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像信号に対してノイズを除去するとともに、所定の周波数成分を強調する等の画像処理を行うための画像処理方法および装置並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像処理の分野においては、画像信号に対して各周波数帯域毎に異なる画像処理を施すような場合に、画像信号を周波数帯域毎に分類する手段としてウェーブレット変換やラプラシアンピラミッドの手法が用いられている。ここで画像処理としては、例えばノイズ除去のための高周波の分離、さらにはノイズの多い周波数帯域のデータを削減することによる圧縮処理などが挙げられる。本出願人も、ウェーブレット変換を用いて画像中のエッジ成分のみを強調する等の画像処理を行うようにした画像処理方法を種々提案している(例えば特開平6-274615号、特開平6-350989号等)。
【0003】
一方、ラプラシアンピラミッドなる方法は例えば特開平5-244508号、特開平6-96200号、特開平6-301766号等に記載されており、このラプラシアンピラミッドは、原画像に対してガウス関数で近似されたようなマスクによりマスク処理を施した後、画像をサブサンプリングして画素数を間引いて半分にすることにより、原画像の1/4のサイズのボケ画像を得、このボケ画像のサンプリングされた画素に値が0の画素を補間して元の大きさの画像に戻し、この画像に対してさらに上述したマスクによりマスク処理を施してボケ画像を得、このボケ画像を原画像から減算して、原画像信号のある限られた周波数帯域の周波数成分を表す、すなわち原画像の複数の周波数帯域毎の周波数応答特性を表す帯域制限画像信号を得るものである。この処理を得られたボケ画像に対して繰り返すことにより原画像の1/22Nのサイズを有する帯域制限画像信号をN個作成するものである。なお、最低周波数帯域のボケ画像は原画像の低周波成分を表すものとなる。
【0004】
ここで、上記特開平5-244508号においては、放射線画像をラプラシアンピラミッドにより複数の周波数帯域の画像に分解して各周波数帯域毎の帯域制限画像信号を得、各帯域制限画像信号を非線形関数により変換し、変換後の帯域制限画像信号を最低周波数帯域のボケ画像を表すボケ画像信号とともに再構成することにより、画像中の周波数帯域に応じたコントラストが強調された処理済み画像信号を得るようにした方法が提案されている。
【0005】
一方、本出願人により、非鮮鋭マスク画像信号(以下、ボケ画像信号という)を用いて周波数強調処理あるいはダイナミックレンジ圧縮処理等を行って放射線画像の診断性能を向上させる数々の画像処理方法および装置が提案されている(特開昭55-163472号、同55-87953号、特開平3-222577号、特開平10-75395号、同10-75364号、同10-171983号等)。例えば周波数強調処理は、原画像信号Sorgからボケ画像信号Susを引いたものに強調係数βを乗じたものを、原画像信号Sorgに加算することにより、原画像信号の所定の空間周波数成分を強調するものである。これを式で表すと下記の式(1)のようになる。
【0006】
Sproc=Sorg+β×(Sorg−Sus) (1)
(Sproc:周波数強調処理された信号、Sorg:原画像信号、Sus:ボケ画像信号、β:強調係数)
また、特開平10-75395号には、原画像信号に加算する加算信号の周波数応答特性を調整することにより、周波数強調処理された信号に対してアーチファクトが発生することを防止する方法が提案されている。この方法とは、まず鮮鋭度の異なる、すなわち周波数応答特性の異なる複数のボケ画像信号を作成し、そのボケ画像信号および原画像信号の中の2つの信号の差分をとることにより、原画像信号の、ある限られた周波数帯域の周波数成分を表す複数の帯域制限画像信号(すなわち帯域制限画像信号)を作成し、さらにその帯域制限画像信号をそれぞれ異なる変換関数によって所望の大きさとなるように変換してから、その複数の抑制された帯域制限画像信号を積算することにより上記加算信号を作成するものである。この処理は例えば下記の式(2)により表すことができる。
【0007】
Sproc=Sorg+β(Sorg)×Fusm(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
Fusm(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
=f1(Sorg−Sus1)+f2(Sus1−Sus2)+…
+fk(Susk-1−Susk)+…+fn(Susn-1−Susn) (2)
(但し、Sproc:処理済み画像信号
Sorg :原画像信号
Susk(k=1〜n):ボケ画像信号
k(k=1〜n):各帯域制限画像信号を変換する変換関数
β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係数)
さらに、特開平10-75364号には、ダイナミックレンジ圧縮処理を施す場合において、処理が施された信号に対してアーチファクトが発生することを防止する方法が提案されている。この方法とは、上記特開平10-75395号に記載されたように、複数の帯域制限画像信号を作成し、この帯域制限画像信号に基づいて原画像信号の低周波成分に関する信号(低周波成分信号)を得、原画像信号にこの低周波成分に関する信号を加算することによりダイナミックレンジ圧縮処理を施すようにしたものである。この処理は例えば下記の式(3)により表すことができる。
【0008】
Sproc=Sorg +D(Sorg−Fdrc(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)) (3)
Fdrc(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
={fd1(Sorg−Sus1)+fd2(Sus1 −Sus2)+…
+fdk(Susk-1−Susk )+…+fdn(Susn-1−Susn)}
(但し、Sproc:処理済み画像信号
Sorg:原画像信号
Susk(k=1〜n):ボケ画像信号
dk(k=1〜n):低周波成分信号を得るために使用する変換関数
D(Sorg−Fdrc):低周波成分信号に基づいて定められるダイナミックレンジ圧縮係数(DはSorg−Fdrcを変換する関数))
さらにまた、特開平10-171983号には、周波数強調処理とダイナミックレンジ圧縮処理とを同時に施す場合において、処理が施された信号に対してアーチファクトが発生することを防止する方法が提案されている。この方法とは、上記特開平10-75395号に記載されたように、複数の帯域制限画像信号を作成し、この帯域制限画像信号に基づいて原画像信号の高周波成分に関する信号(高周波成分信号)および低周波成分信号を得、原画像信号にこれらの高周波成分に関する信号および低周波成分に関する信号を加算することにより周波数強調処理を施すとともにダイナミックレンジ圧縮処理を施すようにしたものである。この処理は例えば下記の式(4)により表すことができる。
【0009】
Sproc=Sorg +β(Sorg)・Fusm(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
+D(Sorg−Fdrc(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)) (4)
Fusm(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
={fu1(Sorg−Sus1)+fu2(Sus1 −Sus2)+…
+fuk(Susk-1−Susk )+…+fun(Susn-1−Susn)}
Fdrc(Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
={fd1(Sorg−Sus1)+fd2(Sus1 −Sus2)+…
+fdk(Susk-1−Susk )+…+fdn(Susn-1−Susn)}
(但し、Sproc:処理済み画像信号
Sorg:原画像信号
Susk(k=1〜n):ボケ画像信号
uk(k=1〜n):高周波成分信号を得るために使用する変換関数
dk(k=1〜n):低周波成分信号を得るために使用する変換関数
β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係数
D(Sorg−Fdrc):低周波成分信号に基づいて定められるダイナミックレンジ圧縮係数(DはSorg−Fdrcを変換する関数))
これらの周波数強調処理やダイナミックレンジ圧縮処理(以下変換処理とする)においては、帯域制限画像信号を変換する変換関数等の定義を変更することによって原画像信号に加算する加算信号の周波数応答特性を調整することができる。このため、各変換関数の定義次第で、アーチファクトの発生防止等所望の周波数応答特性を有する処理済み画像信号を得ることができる。
【0010】
一方、上述した変換処理に用いられるボケ画像信号は、まず原画像信号の画素に対して所定間隔毎に所定のフィルタリング処理を施すことによって画素を間引きし、そのようにして得た画像信号に対して同様のフィルタリング処理を繰り返してさらに画素数を少なくした低解像度の画像信号を複数作成し、低解像度画像信号のそれぞれに対して、所定の補間方法により原画像と画素数が同一となるように補間処理を施すことにより作成される。したがって、ボケ画像信号は画素数は原画像信号と同一であるが、原画像信号よりも鮮鋭度が低い画像を表す画像信号となる。
【0011】
また、帯域制限画像信号は、例えば隣接する周波数帯域のボケ画像信号同士で差分をとって、あるいは原画像信号と各ボケ画像信号の差分をとって作成される。したがって、帯域制限画像信号は画素数は原画像信号と同じであり、原画像信号の周波数帯域毎の周波数応答特性を表す信号となる。
【0012】
一方、放射線画像においては、放射線量が少なく濃度が低い部分において、放射線の量子ノイズが目立ってしまう。このため、上記特開平6-96200号においては、放射線画像をラプラシアンピラミッドにより複数の周波数帯域の画像に分解して各周波数帯域毎の帯域制限画像信号を得、各帯域制限画像信号の局所分散値を算出し、この局所分散値の大きさに応じて帯域制限画像信号に対してノイズ成分を除去する処理を施し、処理を施した後の帯域制限画像信号を最低周波数帯域のボケ画像を表すボケ画像信号とともに再構成することにより、画像中の周波数帯域に応じたノイズ成分が低減された処理済み画像信号を得るようにした方法が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平5-244508号に記載された方法においては、各周波数帯域の帯域制限画像信号に対して非線形関数により変換処理を施し、変換された帯域制限画像信号を再構成して処理済み画像信号を得ているため、変換の程度を修正したい場合には、再度帯域制限画像信号に対して変換処理を施した後に画像を再構成する必要があり、この結果、再処理には長時間を要するものとなる。また、上記特開平6-96200号に記載された方法においては、各周波数帯域の帯域制限画像信号に対してノイズ成分を除去する処理を施しているため、ノイズを除去し過ぎたり、ノイズの除去の程度が不足していた場合には、再度帯域制限画像信号に対してノイズ除去の程度を変更した後に画像を再構成する必要があり、この場合も、再処理には長時間を要するものとなる。したがって、CRTを観察しながらノイズ除去の程度や画像処理の内容を種々変更して適切にノイズ除去がなされかつ最適な画像処理が施された画像を得る場合には、処理が施された画像が再生されるまでに長時間を要するものとなり、オペレータのストレスが大きい。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、帯域制限画像信号を用いた周波数強調処理等の画像処理およびノイズ除去を高速に行うことができる画像処理方法および装置並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像処理方法は、原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法において、
前記原画像信号から帯域制限画像信号を作成し、
該帯域制限画像信号に基づいて、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得、
所定の変換関数に基づいて、前記帯域制限画像信号作成から前記原画像の高周波成分に関する信号を得、
前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施すことを特徴とするものである。
【0016】
ここで、「原画像信号と同一画素数」とは、原画像信号により表される画像とノイズ信号により表されるノイズ画像の画像サイズが同一であることをいう。
【0017】
また、「ノイズ信号に基づいて、原画像信号のノイズ成分を除去する」とは、再生画像に含まれるノイズ成分が低減されるようにすることを意味し、例えば、原画像信号からノイズ成分、あるいはノイズ成分に所定のノイズ抑制レベルを表す係数を乗算したものを減算するなどして、原画像信号のノイズ成分を除去するとよい。なお、前記係数は原画像信号の信号値に依存して変更してもよい。
【0018】
また、「画像処理」とは、具体的には、原画像信号に含まれる特定の周波数成分を強調する周波数強調処理や、原画像の最高濃度と最低濃度との差すなわちダイナミックレンジを狭めるように高濃度域もしくは低濃度域あるいは高濃度域および低濃度域の双方のコントラストを下げるダイナミックレンジ圧縮処理等が挙げられる。さらには、周波数強調処理とダイナミックレンジ圧縮処理とを同時に行うものが挙げられる。なお、「所定の変換関数」は、画像処理の内容に応じた関数を用いることが好ましい。
【0019】
なお、本発明による画像処理方法においては、前記帯域制限画像信号により表される各画像が、その周波数帯域に応じた画素数を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明による画像処理方法においては、前記高周波成分に関する信号が、前記原画像信号と同一画素数であることが好ましい。
【0021】
ここで、「原画像信号と同一画素数」とは、原画像と高周波成分に関する信号により表される画像との画像サイズが同一であることをいう。
【0022】
さらに、本発明による画像処理方法においては、前記原画像信号を多重解像度変換することにより、前記帯域制限画像信号を作成し、
該帯域制限画像信号からノイズ成分を分離してノイズ帯域制限画像信号を得、該ノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより前記ノイズ信号を得るようにすることができる。
【0023】
この場合、前記帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換帯域制限画像信号を得、
該変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記高周波成分に関する信号を得ることができる。
【0024】
また、前記ノイズ帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換ノイズ帯域制限画像信号を得、
該変換帯域制限ノイズ信号を逆多重解像度変換することにより変換ノイズ信号を得、
前記帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換帯域制限画像信号を得、
該変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより変換画像信号を得、
該変換画像信号から前記変換ノイズ信号を減算することにより、前記高周波成分に関する信号を得ることができる。
【0025】
さらに、前記帯域制限画像信号からノイズ成分を除去してノイズ除去帯域制限画像信号を得、
該ノイズ除去帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換ノイズ除去帯域制限画像信号を得、
該変換ノイズ除去帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記高周波成分に関する信号を得ることができる。
【0026】
なお、逆多重解像度変換は、前記多重解像度変換に対応するものであって、この逆多重解像度変換を施すことにより、元の信号を復元(可逆/非可逆のいずれでもよい)することができるものであることはいうまでもない。
【0027】
ここで、「原画像信号を多重解像度変換することにより帯域制限画像信号を作成」するに際しては、ラプラシアンピラミッドの手法によるラプラシアンピラミッド分解により、あるいはウェーブレット変換により原画像信号を複数の周波数帯域毎の周波数応答特性を表す信号に変換する方法などを用いることができる。この場合、「逆多重解像度変換」としては、ラプラシアンピラミッド分解により帯域制限画像信号を得た場合はラプラシアンピラミッド再構成の方法が用いられ、ウェーブレット変換により帯域制限画像信号を得た場合は逆ウェーブレット変換が用いられるのはいうまでもない。
【0028】
また、「ノイズ帯域制限画像信号」とは、帯域制限画像信号に含まれるノイズ成分のみを表す信号のことをいう。
【0029】
なお、ラプラシアンピラミッド分解やウェーブレット変換などにより原画像信号を多重解像度変換した場合、最低周波数帯域の信号は原画像を縮小した低周波の情報を表すものであり、原画像信号の周波数帯域毎の周波数応答特性を表す帯域制限画像信号ではないため、本発明においては処理に使用しないか、または値を0として使用することが好ましい。
【0030】
また、本発明による画像処理方法においては、前記所定の変換関数は、非線形関数であることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明による画像処理方法においては、前記ノイズ信号の取得を、アイリスフィルタによるフィルタリング処理に基づいて行うことが好ましい。
【0032】
本発明による画像処理装置は、原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理装置において、
前記原画像信号から帯域制限画像信号を作成する帯域制限画像信号作成手段と、
該帯域制限画像信号に基づいて、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得るノイズ信号取得手段と、
所定の変換関数に基づいて、前記帯域制限画像信号から前記原画像の高周波成分に関する信号を得る高周波成分取得手段と、
前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す画像処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0033】
なお、本発明による画像処理装置においては、前記帯域制限画像信号作成手段は、前記帯域制限画像信号により表される各周波数帯域の画像が、その周波数帯域に応じた画素数を有するよう前記帯域制限画像信号を作成する手段であることが好ましい。
【0034】
また、本発明による画像処理装置においては、前記高周波成分取得手段は、前記高周波成分に関する信号が前記原画像信号と同一画素数となるように前記高周波成分に関する信号を取得する手段であることが好ましい。
【0035】
さらに、本発明による画像処理装置においては、前記帯域制限画像信号作成手段は、前記原画像信号を多重解像度変換することにより、前記帯域制限画像信号を作成する手段であり、
前記ノイズ信号取得手段は、前記帯域制限画像信号からノイズ成分を分離してノイズ帯域制限画像信号を得、該ノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより前記ノイズ信号を得る手段であり、
前記高周波成分取得手段は、前記帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換帯域制限画像信号を得、該変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記高周波成分に関する信号を得る手段であることが好ましい。
【0036】
さらにまた、本発明による画像処理装置においては、前記帯域制限画像信号作成手段は、前記原画像信号を多重解像度変換することにより、前記帯域制限画像信号を作成する手段であり、
前記ノイズ信号取得手段は、前記帯域制限画像信号からノイズ成分を分離してノイズ帯域制限画像信号を得、該ノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより前記ノイズ信号を得る手段であり、
前記高周波成分取得手段は、前記ノイズ帯域制限画像信号および前記帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換ノイズ帯域制限画像信号および変換帯域制限画像信号を得、該変換ノイズ帯域制限画像信号および該変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより変換ノイズ信号および変換画像信号を得、該変換画像信号から前記変換ノイズ信号を減算することにより、前記高周波成分に関する信号を得る手段であることが好ましい。
【0037】
また、本発明による画像処理装置においては、前記帯域制限画像信号作成手段は、前記原画像信号を多重解像度変換することにより、前記帯域制限画像信号を作成する手段であり、
前記ノイズ信号取得手段は、前記帯域制限画像信号からノイズ成分を分離してノイズ帯域制限画像信号を得、該ノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより前記ノイズ信号を得る手段であり、
前記高周波成分取得手段は、前記帯域制限画像信号からノイズ成分を除去してノイズ除去帯域制限画像信号を得、該ノイズ除去帯域制限画像信号に対して前記所定の変換関数に基づいて変換処理を施して変換ノイズ除去帯域制限画像信号を得、該変換ノイズ除去帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記高周波成分に関する信号を得る手段であることが好ましい。
【0038】
また、本発明による画像処理装置においては、前記ノイズ信号取得手段および前記高周波成分取得手段は、最低周波数帯域の帯域制限画像信号以外の帯域制限画像信号から前記ノイズ信号および前記高周波成分に関する信号を得る手段であることが好ましい。
【0039】
さらに、前記所定の変換関数は、非線形関数であることが好ましい。
【0040】
さらにまた、前記画像処理は、周波数強調処理および/またはダイナミックレンジ圧縮処理であることが好ましい。
【0041】
さらに、前記ノイズ信号取得手段は、前記ノイズ信号の取得を、アイリスフィルタによるフィルタリング処理に基づいて行う手段であることが好ましい。
【0042】
なお、本発明による画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、原画像信号から帯域制限画像信号が作成され、この帯域画像信号に基づいて原画像信号と同一画素数のノイズ信号が得られる。一方、所定の変換関数に基づいて、帯域制限画像から原画像の高周波成分に関する信号が得られる。そして、ノイズ信号に基づいて原画像信号のノイズ成分が除去されるとともに、原画像の高周波成分に関する信号に基づいて、原画像信号に対して画像処理が施されることとなる。
【0044】
このため、高周波成分に関する信号のレベルを変更するのみで原画像信号に対する画像処理の程度を任意に変更することができるため、上記特開平5-244508号に記載されたように非線形関数を修正することにより画像処理の程度を変更する方法と比較して、画像処理の程度を簡易に変更することができる。また、原画像信号の周波数帯域に応じたノイズ成分を除去することができる。また、原画像信号および生成したノイズ信号を記憶し、ノイズ成分を除去する度合いを示すパラメータの設定値が変更されたときには、原画像信号およびノイズ信号を読み出し、この読み出した原画像信号およびノイズ信号と変更されたパラメータとに基づいて原画像信号のノイズ成分を除去するようにすれば、一旦ノイズ信号を作成した後に再度ノイズ除去済信号に基づいてノイズ除去画像を出力する際には、記憶してあるノイズ信号を読み出して使用することができるので、パラメータを変更して、ノイズ信号のレベルを変更するのみで、原画像信号からのノイズ除去の程度を任意に変更することができるため、上記特開平6-96200号に記載された方法と比較して、ノイズ除去の程度を簡易に変更することができる。したがって、画像処理の程度およびノイズ除去程度が変更された処理済み画像信号を得るための演算時間を短縮して、オペレータのストレスを低減することができる。
【0045】
また、帯域制限画像信号の各周波数帯域の画像を、その周波数帯域に応じた画素数を有するものとすることにより、処理を行う際の演算量を低減することができ、これにより、処理済み画像信号を得るための演算時間を一層短縮することができる。
【0046】
さらに、高周波成分に関する信号の画素数を、原画像信号と同一の画素数とすることにより、高周波成分に関する信号に対して、サイズを変更する処理を施すことなく、直ちに原画像信号に対して画像処理を施すことができるため、画像処理をより効率よく行うことができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による画像処理方法および装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に示す画像処理装置は、蓄積性蛍光体シートに記録された人体の放射線画像を読み取って得た画像信号に対して、その画像が診断に適した画像となるように、周波数強調処理およびノイズ除去処理を施すものであり、処理された画像信号は主としてフィルムに記録され、診断に用いられる。
【0048】
図1は本発明の第1の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図である。画像処理装置1は、読取装置等において得られた所定の解像度を有する原画像信号Sorgから原画像の複数の周波数帯域毎の周波数応答特性を表す帯域制限画像信号を作成する帯域制限画像信号作成手段2と、帯域制限画像信号に基づいて原画像信号Sorgに対して特定の周波数を強調するための周波数強調処理を行うとともに、原画像信号Sorgに対してノイズを除去する処理を行って処理済み画像信号Sprocを得る処理手段3とを有する。
【0049】
まず帯域制限画像信号の作成処理について詳細に説明する。図2は帯域制限画像信号作成処理の概要を示すブロック図、図3は帯域制限画像信号作成処理を模式的に示す図である。なお、本実施形態においては、例えば特開平5-244508号、同6-96200号に記載されたラプラシアンピラミッドの手法により帯域制限画像信号を作成するものとする。まず図2に示すように、図1の帯域制限画像信号作成手段2は、フィルタリング処理手段10において原画像信号Sorgに対し、原画像読取時の主走査方向であるx方向および副走査方向であるy方向(図33参照)に対してフィルタリング処理を施して原画像信号Sorgよりも解像度が低い画像信号L1(以下、低解像度画像信号という)を作成し、次にこの低解像度画像信号L1に対して同様のフィルタリング処理を施してこの低解像度画像信号L1よりもさらに解像度が低い低解像度画像信号L2を作成し、以降順次同様のフィルタリング処理を繰り返して各解像度毎の低解像度画像信号Lk(k=1〜n)を得るものである。そして、補間処理手段11において、このフィルタリング処理の各段において得られる低解像度画像信号Lkに対して、それぞれ2倍の画素数となるように補間処理を施して、鮮鋭度が異なる複数のボケ画像信号Sus1〜Susn(以下Susk(k=1〜n)で代表させる)を得る。この後、減算器12により互いに対応する画素数を有する低解像度画像信号Lk-1とボケ画像信号Suskおよび原画像信号Sorgとボケ画像信号Sus1との差分を求め、これを帯域制限画像信号Bkとする。
【0050】
本実施形態においては、上記フィルタリング処理のフィルタとして、1次元ガウス分布に略対応したフィルタを使用する。すなわちフィルタのフィルタ係数を、ガウス信号に関する下記の式(5)にしたがって定める。
【0051】
【数1】
Figure 0004316106
このようにガウス信号を使用するのは、ガウス信号が周波数空間および実空間の双方において局在性がよいためである。ここで、例えば上記(5)式においてσ=1とした場合の5×1の1次元フィルタは図4に示すようなものとなる。
【0052】
フィルタリング処理は、図5に示すように、原画像信号Sorgに対して、あるいは低解像度画像信号に対して1画素おきに行う。このような1画素おきのフィルタリング処理をx方向、y方向に行うことにより、低解像度画像信号L1の画素数は原画像の1/4となり、フィルタリング処理により得られる低解像度画像信号に対して繰り返しこのフィルタリング処理を施すことにより、得られるn個の低解像度画像信号Lk(k=1〜n)は、それぞれ画素数が原画像信号Sorgの1/22kの画像信号となる。
【0053】
次に、このようにして得られた低解像度画像信号Lkに対して施される補間処理について説明する。補間処理を行うための補間演算の方法としては、Bスプラインによる方法等種々の方法が挙げられるが、本実施形態においては、上記フィルタリング処理においてガウス信号に基づくローパスフィルタを用いているため、補間演算についてもガウス信号を用いるものとする。具体的には、下記の式(6)において、σ=2k-1 と近似したものを用いる。
【0054】
【数2】
Figure 0004316106
例えば低解像度画像信号L1を補間する際には、k=1であるためσ=1となる。この場合、補間処理を行うためのフィルタは、図6に示すように5×1の1次元フィルタとなる。この補間処理は、まず低解像度画像信号L1に対して1画素おきに値が0の画素を1つずつ補間することにより低解像度画像信号L1を原画像と同一の画素数となるように拡大し、次に、この補間された低解像度画像信号L1に対して上述した図6に示す1次元フィルタによりフィルタリング処理を施すことにより行われる。
【0055】
同様に、この補間拡大処理を全ての低解像度画像信号Lkに対して行う。低解像度画像信号Lkを補間する際には、上記式(6)に基づいて、3×2k−1の長さのフィルタを作成し、低解像度画像信号Lkの各画素の間に値が0の画素を1個ずつ補間することにより、1段階高解像度の低解像度画像信号Lk-1と同一画素数となるように拡大し、この値が0の画素が補間された低解像度画像信号Lkに対して3×2k−1の長さのフィルタにより、フィルタリング処理を施すことにより補間拡大してボケ画像信号Suskを得る。
【0056】
次に、上記のようにして作成されたボケ画像信号Suskが、対応する画素数を有する低解像度画像信号Lk-1から減算されて、帯域制限画像信号Bk(k=1〜n)が得られる。なお、帯域制限画像信号Bkは下記の式に示すものとなる。
【0057】
1=Sorg−Sus1
2=L1−Sus2
3=L2−Sus3


k=Lk−Susk
具体的には、図3に示すように5段階の低解像度画像信号L1〜L5が得られた場合、まず最低解像度の低解像度画像信号L5に対して補間処理を施して、低解像度画像信号L4と同一画素数を有するボケ画像信号Sus5を作成する。そして、低解像度画像信号L4からボケ画像信号Sus5を減算して帯域制限画像信号B5を得る。以下順次L3−Sus4、L2−Sus3、L1−Sus2、Sorg−Sus1の演算を行って、帯域制限画像信号B1〜B5を得る。ここで、最低解像度の低解像度画像信号Lk(L5)は、原画像を縮小した低周波の情報を表すものであるが、これ以降の演算において使用することはない。
【0058】
次に、上述したように算出された帯域制限画像信号Bkを用いて行われる処理について説明する。まず周波数強調処理を行う部分の構成について説明する。図7は処理手段3の周波数処理を行う部分の構成を帯域制限画像信号作成手段2とともに示す概略ブロック図、図8はこの処理を模式的に示す図である。図7に示すように、帯域制限画像信号作成手段2において作成された帯域制限画像信号Bkが、変換器22において変換関数f1〜fnにより所望の大きさとなるように抑制されて、変換済み信号fkk(k=1〜n)が得られる。関数f1の例を図9に示す。この関数f1は、帯域制限画像信号の絶対値が閾値Th1よりも小さい場合は傾きが1であり、閾値Th1よりも大きい場合は傾きが1よりも小さくなるような非線形関数である。この関数は、各帯域制限画像信号において同一のものであってもよいが、各信号毎に異なるものであってもよい。
【0059】
そして、この変換済み信号fkkのうち、最低解像度の変換済み信号fnnは高周波信号SHnとされるとともに、高周波信号SHnが1段階高解像度の変換済み信号fn-1n-1と同一画素数となるように、補間処理手段23において上記補間処理手段11と同様に補間処理がなされて、拡大高周波信号SHn′が得られる。この後、変換済み信号fn-1n-1と拡大高周波信号SHn′とが加算器24において加算されて、高周波信号SHn−1が得られる。そして、高周波信号SHk−1の補間拡大による拡大高周波信号SHk−1′の取得、および拡大高周波信号SHk−1′と変換済み信号fk-1k-1との加算による高周波信号SHk−2の取得を繰り返し行って、最高解像度の高周波信号SH1を得る。
【0060】
具体的には図8に示すように、5段階の帯域制限画像信号B1〜B5が得られた場合には、まず変換済み信号f11〜f55が得られ、最低解像度の変換済み信号f55が高周波信号SH5とされる。そして、高周波信号SH5に対して1段階高解像度の変換済み信号f44と同一画素数となるように補間処理が施されて拡大高周波信号SH5′が得られる。そして、変換済み信号f44と拡大高周波信号SH5′とが加算されて、高周波信号SH4が得られる。以下同様にして高周波信号SH3,SH2が得られ、最終的に最高解像度の高周波信号SH1が得られる。
【0061】
なお、変換器22、補間処理手段23および加算器24が本発明による画像処理装置の高周波成分取得手段と観念される。
【0062】
次に、処理手段3のノイズ除去処理を行う部分の構成について説明する。図10は処理手段3のノイズ除去処理を行う部分の構成を帯域制限画像信号作成手段2とともに示す概略ブロック図である。図10に示すように、処理手段3のノイズ除去処理を行う部分は、ノイズ分離手段26、補間処理手段27および加算器28からなる。帯域制限画像信号作成手段2において作成された帯域制限画像信号Bkは、ノイズ分離手段26においてノイズ成分が分離されて、ノイズ帯域制限画像信号NBkが得られる。ここで、ノイズ分離手段26におけるノイズ成分の分離処理について説明する。
【0063】
図11はノイズ分離手段26の構成を示す概略ブロック図である。ノイズ分離手段26は、アイリスフィルタを用いた処理により、帯域制限画像信号Bkからノイズ成分を分離するものであり、入力された帯域制限画像信号Bkの全画素について、この帯域制限画像信号Bkに基づく各画素毎の濃度勾配ベクトルを算出する勾配ベクトル算出手段31と、全画素のうち1つの画素を順次、注目画素として設定する注目画素設定手段34と、注目画素設定手段34により設定された注目画素を中心として、所定の角度間隔(例えば11.25 度間隔)で隣接する複数(例えば32本)の放射状の方向線(図12参照)を設定する方向線設定手段33と、設定された各方向線毎に、注目画素から予め定められた所定範囲内にある方向線上の各画素について、各画素の勾配ベクトルとこの方向線の延びる方向とのなす角度θil(32本の方向線のうち第i番目の方向線上における、注目画素から第l番目の画素の勾配ベクトルと、この第i番目の方向線の延びる方向とのなす角度を表す)に基づく指標値cosθilをそれぞれ求める指標値算出手段35と、注目画素を始点とし、終点を前記予め設定された範囲に応じた大きさまで変化させて、始点から終点の範囲内にある方向線上の各画素の指標値cosθilの平均値Ci(n)を、各方向線毎に下記の式(7)にしたがって求めるとともに、この平均値のうち最大値Cimax(式(8))を抽出する最大値算出手段36と、各方向線毎に抽出された最大値Cimaxを32本の方向線の全てについて加算平均((ΣCimax)/32)してこの注目画素についての勾配ベクトル群の集中度の値C(式(9))を算出する集中度算出手段37と、
【数3】
Figure 0004316106
【数4】
Figure 0004316106
集中度の値Cが大きいほど注目画素が画像中におけるエッジ上に位置するものとして大きな重み付けとなり、集中度の値Cが小さいほど注目画素がエッジ以外に部分に存在するものとして小さな重み付けとなるように、空間フィルタのフィルタ係数を設定するフィルタ設定手段38と、フィルタ設定手段38においてフィルタ係数が設定された空間フィルタにより、帯域制限画像信号Bkに対してフィルタリング処理を施してフィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkを得るフィルタリング手段39と、帯域制限画像信号Bkからフィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkを減算してノイズ帯域制限画像信号NBkを算出する信号算出手段40とを備える。
【0064】
なお、アイリスフィルタについては、「小畑他、DR画像における腫瘤影検出(アイリスフィルタ)、電子情報通信学会論文誌 D-II Vol.J75-D-II No.3 P663〜670 1992年3月参照」、「小畑他、アイリスフィルタとその特性解析、計測自動制御学会論文集、1998 VOL.34 No.4、p.326-332」にその詳細が記載されている。このアイリスフィルタ処理は、とくに乳癌における特徴的形態の1つである腫瘤陰影を検出するのに有効な手法として研究されており、アイリスフィルタ処理に用いられるアイリスフィルタは、画像信号の勾配を勾配ベクトルとして算出し、その勾配ベクトルの集中度を出力するものであり、アイリスフィルタ処理とはこの勾配ベクトルの集中度を基に腫瘤陰影を検出するものである。本実施形態においては、このアイリスフィルタ処理により、帯域制限画像信号Bkの勾配ベクトルの集中度から各画素がエッジなどの線分上に位置する程度を求めるものである。
【0065】
勾配ベクトル算出手段31は、詳しくは例えば図13に示した縦5画素×横5画素の大きさのマスクの最外周部の画素の画像データ(画素値)を用いて、下記の式(10)にしたがって濃度勾配ベクトルの向きθを求める。
【0066】
【数5】
Figure 0004316106
このマスクサイズは縦5画素×横5画素のもの限るものではなく、種々の大きさのものを用いることができる。
【0067】
方向線設定手段33が設定する方向線の数は、上記32本に限るものではないが、余りに多く設定すると計算処理に要する負担が急激に増大し、また少な過ぎればエッジ成分を精度よく検出することができないので、32本程度が好ましい。またこの方向線間の角度間隔は等間隔とするのが計算処理等において都合がよい。
【0068】
集中度算出手段37において算出される集中度の値Cが大きな値となるのは、勾配ベクトルの向きが注目画素に集中する場合である。
【0069】
フィルタ設定手段38においては集中度算出手段37において求められた集中度の値Cに応じて平滑化処理を行うための空間フィルタのフィルタ係数が設定される。すなわち、集中度の値Cが大きいほど注目画素はエッジ上に存在し、集中度の値Cが小さいほど注目画素はエッジ以外の位置に存在することとなる。したがって、集中度の値Cが大きいほど重み付けが大きくなるようなフィルタ係数が定められて、空間フィルタが設定されることとなる。
【0070】
具体的には、まず集中度の値Cが所定の閾値よりも高い画素の値を1、所定の閾値以下の画素の値を0とする2値化処理を行い、エッジ成分とそれ以外の成分との分離を行う。ここで、基本となる空間フィルタをF0とし、この空間フィルタF0が3×3の平滑化フィルタであり、そのフィルタ係数が図14(a)に示すものであるとすると、集中度Cの2値化結果に応じてフィルタF0のフィルタ係数が重み付けされて帯域制限画像信号Bkに対して施す空間フィルタF1のフィルタ係数が設定される。すなわち、ある注目画素がエッジ成分上にあり、この注目画素を中心とする3×3の範囲の集中度C(2値化後)が図14(b)に示すものであった場合、空間フィルタF1のフィルタ係数は図14(c)に示すものとなる。また、ある注目画素がエッジ成分以外の部分にあり、注目画素を中心とする3×3の範囲の集中度Cが図14(d)に示すものであった場合、空間フィルタF1のフィルタ係数は図14(e)に示すものとなる。したがって、この空間フィルタF1により帯域制限画像信号Bkを平滑化すると、エッジ成分はぼかされることなく、それが存在する方向に対してぼかされることとなる。また、エッジ成分以外の成分は値が0とされることとなる。
【0071】
フィルタリング手段39は、フィルタ設定手段38において設定された空間フィルタF1により、帯域制限画像信号Bkに対してフィルタリング処理を施してフィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkを得る。このフィルタリング処理により、帯域制限画像信号Bkは平滑化されるが、エッジ成分においては、エッジが存在する方向に平滑化されることとなる。これにより、フィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkにおいては、平滑化されたエッジ成分のみが残ることとなる。
【0072】
信号算出手段40においては、帯域制限画像信号Bkからフィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkを減算してノイズ帯域制限画像信号NBkが得られる。ここで、フィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkは平滑化されているため、ノイズ帯域制限画像信号NBkは、帯域制限画像信号Bkに含まれるノイズ成分を表すものとなる。とくに、フィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkはエッジ成分が存在する方向に平滑化されているため、求められたノイズ成分にはエッジ上におけるノイズも含まれることとなる。
【0073】
ノイズ分離手段26に入力された帯域制限画像信号Bkは、まず勾配ベクトル算出手段31、注目画素設定手段34、フィルタリング手段39および信号算出手段40に入力される。勾配ベクトル算出手段31は前述したように縦5画素×横5画素の大きさのマスクの最外周部の画素の画像データ(画素値)を用いて、全画素について濃度勾配ベクトルの向きθを求める。求められた濃度勾配ベクトルの向きθは指標値算出手段35に入力される。
【0074】
一方、注目画素設定手段34は、入力された帯域制限画像信号Bkについて、その全画素のうち1つを順次注目画素として設定し、設定した注目画素を方向線設定手段33に入力する。方向線設定手段33は、注目画素を中心として例えば11.25 度の等間隔で隣接する32本の放射状の方向線を設定する。そしてこの設定された方向線は指標値算出手段35に入力される。
【0075】
指標値算出手段35は、勾配ベクトル算出手段31から入力された勾配ベクトルの向きθが定義された、帯域制限画像信号Bkと同じ2次元に配列された画素に、方向線設定手段33から入力された32本の方向線を重ねて、この32本の方向線にそれぞれ重なる画素を抽出する。
【0076】
さらに指標値算出手段35は、各方向線毎に各画素に定義された勾配ベクトルの向きθとこの方向線の延びる方向とのなす角度θil(32本の方向線のうち第i番目の方向線上における、注目画素から第l(エル)番目の画素の勾配ベクトルと、この第i番目の方向線の延びる方向とのなす角度を表す)に基づく指標値cosθilをそれぞれ求める。
【0077】
この求められた各方向線上における各画素の指標値cosθilは最大値算出手段36に入力される。最大値算出手段36は、上記始点から終点の範囲内にある方向線上の各画素の指標値cosθilの平均値Ci(n)を、各方向線毎に求めるとともに、この平均値Ci(n)の最大値Cimaxを抽出する。
【0078】
このように各方向線毎に求められた最大値Cimaxは集中度算出手段37に入力される。集中度算出手段37は入力された各方向線毎に求められた最大値Cimaxを加算平均して、その注目画素についての勾配ベクトル群の集中度の値Cを算出する。算出された勾配ベクトル群の集中度の値Cはフィルタ設定手段38に入力される。
【0079】
以上の作用と同じ作用が、注目画素設定手段34が設定する注目画素を順次代えてなされ、入力された全ての画素についての上記集中度の値Cがフィルタ設定手段38に入力される。
【0080】
フィルタ設定手段38は、集中度の値Cが大きいほど大きな重み付けがなされるような空間フィルタF1を設定し、フィルタリング手段39が設定された空間フィルタにより帯域制限画像信号Bkに対してフィルタリング処理を施して、フィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkを得、これが信号算出手段40に入力される。
【0081】
信号算出手段40は、帯域制限画像信号Bkからフィルタ処理済み帯域制限画像信号FBkを減算してノイズ帯域制限画像信号NBkを算出する。
【0082】
このようにしてノイズ分離手段26において得られたノイズ帯域制限画像信号NBkのうち、最低解像度のノイズ帯域制限画像信号NBnはノイズ信号SNnとされるとともに、ノイズ信号SNnが1段階高解像度のノイズ帯域制限画像信号NBn-1と同一画素数となるように、補間処理手段27において上記補間処理手段11と同様に補間処理がなされて、拡大ノイズ信号SNn′が得られる。この後、ノイズ帯域制限画像信号NBn-1と拡大ノイズ信号SNn′とが加算器28において加算されて、ノイズ信号SNn−1が得られる。そして、ノイズ信号SNk−1の補間拡大による拡大ノイズ信号SNk−1′の取得、および拡大ノイズ信号SNk−1′とノイズ帯域制限画像信号NBk-1との加算によるノイズ信号SNk−2の取得を繰り返し行って、最高解像度のノイズ信号SN1を得る。
【0083】
具体的には図15に示すように、5段階のノイズ帯域制限画像信号NB1〜NB5が得られた場合には、まず最低解像度のノイズ帯域制限画像信号NB5がノイズ信号SN5とされる。そして、ノイズ信号SN5に対して1段階高解像度のノイズ帯域制限画像信号NB4と同一画素数となるように補間処理が施されて拡大ノイズ信号SN5′が得られる。そして、ノイズ帯域制限画像信号NB4と拡大ノイズ信号SN5′とが加算されて、ノイズ信号SN4が得られる。以下同様にしてノイズ信号SN3,SN2が得られ、最終的に最高解像度のノイズ信号SN1が得られる。
【0084】
このようにして最高解像度の高周波信号SH1および最高解像度のノイズ信号SN1が得られると、本発明の画像処理手段としての演算器25において、下記の式(11)に示すように、高周波信号SH1に対して原画像信号Sorg の値に応じた、周波数強調の度合いを表すパラメータとしての強調係数β(Sorg)が乗じられ、ノイズ信号SN1に対して原画像信号Sorgの値に応じた、ノイズ成分を除去する度合いを示すパラメータとしての強調係数α(Sorg)が乗じられ、さらにこの強調係数β(Sorg)が乗じられた高周波信号SH1が原画像信号Sorg と加算されるとともに、強調係数α(Sorg)が乗じられたノイズ信号SN1が原画像信号Sorgから減算されて、周波数強調処理が施されるとともにノイズ成分が低減された画像を表す処理済み画像信号Sprocが得られる。
【0085】
Sproc=Sorg +β(Sorg )・SH1−α(Sorg)・SN1 (11)
但し、Sproc:処理済み画像信号
Sorg :原画像信号
α(Sorg)、β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係数
なお、強調係数β(Sorg)の値を変更することにより、処理済み画像信号Sprocの画像処理の程度を任意に変更することができ、強調係数α(Sorg)の値を変更することにより、原画像信号Sorgからのノイズ除去の程度を任意に変更することができる。
【0086】
また、原画像信号Sorgおよびノイズ信号SN1を記憶する記憶手段と、強調係数α(Sorg)を演算器25に対して設定するためのパラメータ設定手段とをさらに備えたものとすれば、強調係数α(Sorg)の設定値が変更されたときには、原画像信号およびノイズ信号SN1を読み出し、読み出したノイズ信号SN1に対して変更された強調係数α(Sorg)を乗算して再度α(Sorg)×SN1を計算し、再計算した信号を読み出した原画像信号Sorgから除去することもできる。
【0087】
次いで、第1の実施形態の動作について説明する。図16は第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。まず、読取装置等から原画像信号Sorgが画像処理装置1に入力される(ステップS1)。原画像信号Sorgは帯域制限画像信号作成手段2に入力されてここで原画像信号Sorgの周波数帯域毎の周波数応答特性を表す帯域制限画像信号Bkが作成される(ステップS2)。帯域制限画像信号Bkは、上記図9に示すような変換関数により変換されて変換済み信号fkkが得られ(ステップS3)、さらに変換済み信号fkkの1段階高周波数帯域への補間処理による高周波信号SHkの取得、および高周波信号SHkと対応する周波数帯域の変換済み信号fkkとの加算による高周波信号SHk−1の取得を最高周波数帯域の変換済み信号f11まで繰り返し行って、高周波信号SH1を得る(ステップS4)。
【0088】
一方、帯域制限画像信号Bkは、上述したようにノイズ成分が分離され(ステップS5)、ノイズ帯域制限画像信号NBkが得られる(ステップS6)。この後、ノイズ帯域制限画像信号NBk′の1段階高周波数帯域への補間処理によるノイズ信号SNkの取得、およびノイズ信号SNkと対応する周波数帯域のノイズ帯域制限画像信号NBkとの加算によるノイズ信号SNk−1の取得を最高周波数帯域のノイズ帯域制限画像信号NB1まで繰り返し行って、ノイズ信号SN1を得る(ステップS7)。なお、ステップS5からS7の処理をステップS3,S4の処理よりも先に行ってもよいが、ステップS5からS7の処理とステップS3,S4の処理とを並列に行うことにより処理を高速に行うことができる。
【0089】
そして、高周波信号SH1およびノイズ信号SN1を用いて上記式(11)に示す演算を行って処理済み画像信号Sprocを得(ステップS8)、処理済み画像信号Sprocを不図示のモニタに表示する(ステップS9)。オペレータは表示された画像を観察し、周波数強調処理の程度および/またはノイズ除去の程度(処理の程度とする)を変更する必要があれば(ステップS10)、どの程度変更するかを処理手段3に入力する。これにより処理手段3においては上記式(11)における強調係数β(Sorg)および/またはα(Sorg)を変更してステップS8に戻り、ステップS8からステップS10の処理を行う。周波数強調処理および/またはノイズ除去の程度が適切なものとなった場合にはステップS10が肯定されて処理を終了する。
【0090】
このように、第1の実施形態においては、強調係数β(Sorg),α(Sorg)の値を変更するのみで、処理済み画像信号Sprocの画像処理の程度および原画像信号Sorgから減算するノイズ信号SN1のレベルを任意に変更することができるため、上記特開平5-244508号あるいは特開平6-96200号に記載されたように、非線形関数を修正し、画像を再構成することにより画像処理の程度を変更する方法と比較して、画像処理の程度およびノイズ除去の程度を簡易に変更することができ、これにより、処理済み画像信号Sprocを得るための演算時間を短縮することができる。したがって、例えば画像処理の内容やノイズ除去の程度を切り替えて連続的に処理済み画像信号SprocをCRT等に表示する場合にも、処理時間を低減してオペレータのストレスを低減することができる。
【0091】
ここで、第1の実施形態における高周波信号SH1を得る処理の演算量と従来の演算量とを比較する。図17は例えば上記特開平10-75395号に記載された従来の処理を模式的に示す図である。図17に示すように、従来の処理は、本実施形態と同様に低解像度画像信号Lkを求め、この低解像度画像信号Lkに対して補間処理を施すことにより、原画像信号Sorgと同一の画素数を有するボケ画像信号Suskを得、このボケ画像信号Susk間および原画像信号Sorgとボケ画像信号Sus1との減算を行って、原画像と同一画素数の帯域制限画像信号Bkを得、各帯域制限画像信号Bkに対して変換関数による変換処理を行った後、変換後の帯域制限画像信号に対して強調係数βを乗じたものを原画像信号Sorgに加算することにより、処理済み画像信号Sprocを得るものである。この処理を下記の式(12)に示す。
【0092】
Sproc=Sorg +β(Sorg )×Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…Susn)
=f1(Sorg −Sus1)+f2(Sus1 −Sus2)+…
+fk(Susk-1−Susk )+…+fn(Susn-1−Susn) (12)
(但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号
Sorg :原画像信号
Susk(k=1〜n):ボケ画像信号(原画像と同一画素数)
k(k=1〜n):各帯域制限画像信号を変換する変換関数
β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係数)
このような従来の処理においては、低解像度画像信号Lkに対して原画像信号Sorgと同一画素数となるような補間処理を施しているため、例えば原画像の画素数が1024×1024であり、この原画像を表す原画像信号Sorgから6段階の低解像度画像信号L1〜L6を得た場合、補間処理が4×4の範囲における16画素を用いて1つの画素を求める演算を行うものであるとすると、補間処理の演算量としては、(1024×1024)×16×6=100663296回の演算が必要となる。これに対して本実施形態においては、ボケ画像信号Suskはその周波数帯域に応じた画素数を有しており、変換済み信号fkkから得られる高周波信号Skを拡大するときに補間処理を行うものであるため、その演算量としては、((1024×1024)+(512×512)+(256×256)+(128×128)+(64×64)+(32×32))×16=22364160となる。なお、実際にはボケ画像信号Suskを求める際にも補間処理を行っているため、補間処理のトータル演算量は44728320回となる。この演算量は上記従来の演算量の約2.25倍少なくなっているため、演算時間を約2.25倍短縮することができる。
【0093】
なお、本発明においては、帯域制限画像信号の作成方法としては、上記第1の実施形態において説明した方法に限定されるものではなく、上記特開平10-75395号に記載された方法により帯域制限画像信号を作成してもよいものである。
【0094】
なお、上記第1の実施形態においては、ラプラシアンピラミッドの手法により原画像信号Sorgから各周波数帯域毎の特性を表す帯域制限画像信号を得ているが、例えば特開平6-274615号に示すように、ウェーブレット変換により帯域制限画像信号を得るようにしてもよい。以下ウェーブレット変換を用いた画像処理の実施形態を第2の実施形態として説明する。
【0095】
図18は本発明の第2の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図である。図18に示すように、本発明の第2の実施形態による画像処理装置51は、読取装置等において得られた所定の解像度を有する原画像信号Sorgをウェーブレット変換するウェーブレット変換手段52と、ウェーブレット変換により得られた信号に基づいて、原画像信号Sorgのノイズを除去するとともに、周波数強調処理を行って処理済み画像信号Sprocを得る処理手段53とを有する。なお、第2の実施形態における主走査方向および副走査方向とは、原画像に対して図33に示す方向とする。
【0096】
図19はウェーブレット変換手段52の構成を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態においては、ウェーブレット変換の各係数が直交する直交ウェーブレット変換を行うものである。
【0097】
まず、図19に示すように原画像信号Sorgに対してウェーブレット変換部61においてウェーブレット変換が施される。図20はウェーブレット変換部61において行われる処理を示すブロック図である。図20に示すように、原画像信号Sorg(信号LLk)の主走査方向に基本ウェーブレット関数H,Gによりフィルタリング処理を行うとともに、主走査方向の画素を1画素おきに間引き(図中↓2で表す)、主走査方向の画素数を1/2にする。ここで、関数Hはハイパスフィルタであり、関数Gはローパスフィルタである。さらに、この画素が間引かれた信号のそれぞれに対して副走査方向に関数H,Gによりフィルタリング処理を行うとともに、副走査方向の画素を1画素おきに間引き、副走査方向の画素数を1/2にして、ウェーブレット変換係数信号(以下単に信号とすることもある)HH1,HL1,LH1,LL1(HHk+1,HLk+1,LHk+1,LLk+1)を得る。ここで、信号LL1は原画像の縦横を1/2に縮小した画像を表し、信号HL1、LH1およびHH1はそれぞれ原画像の1/2縮小画像において縦エッジ、横エッジおよび斜めエッジ成分の画像を表すものとなる。
【0098】
次に、信号LL1に対してさらにウェーブレット変換部61においてウェーブレット変換が施されて、信号HH2,HL2,LH2,LL2が得られる。ここで、信号LL2は原画像の縦横を1/4に縮小した画像を表し、信号HL2、LH2およびHH2はそれぞれ原画像の1/4縮小画像において縦エッジ、横エッジおよび斜めエッジ成分の画像を表すものとなる。
【0099】
以下、上記と同様にして、各周波数帯域において得られるウェーブレット変換係数信号LLkに対するウェーブレット変換をn回繰り返すことによりウェーブレット変換係数信号HH1〜HHn,HL1〜HLn,LH1〜LHn,LL1〜LLnを得る。ここで、n回目のウェーブレット変換により得られるウェーブレット変換係数信号HHn,HLn,LHn,LLnは、原画像信号Sorgと比較して主副各方向の画素数が(1/2)n となっているため、各ウェーブレット変換係数信号はnが大きいほど周波数帯域が低く、原画像データの周波数成分のうち低周波数成分を表すデータとなる。したがって、ウェーブレット変換係数信号HHk(k=0〜n、以下同様)は、原画像信号Sorgの主副両方向の周波数の変化を表すものであり、kが大きいほど低周波信号となる。またウェーブレット変換係数信号HLkは原画像信号Sorgの主走査方向の周波数の変化を表すものであり、kが大きいほど低周波信号となる。さらにウェーブレット変換係数信号LHkは原画像信号Sorg の副走査方向の周波数の変化を表すものであり、kが大きいほど低周波信号となる。
【0100】
ここで、図21にウェーブレット変換係数信号を複数の周波数帯域毎に示す。なお、図21においては便宜上2回目のウェーブレット変換を行った状態までを表すものとする。なお、図21において信号LL2は原画像を主副各方向が1/4に縮小した画像を表すものとなっている。
【0101】
なお、ウェーブレット変換係数信号HHk,HLk,LHk,LLk(k=1〜n)のうち、信号HHk,HLk,LHkはその周波数帯域におけるエッジ成分を表すものであり、換言すれば原画像における特定の周波数帯域(バンドパス特性)を有する画像を表すもの、すなわち主にその周波数帯域における画像のコントラストを表すものとなっている。また、ウェーブレット変換係数信号LLkは上述したように原画像を縮小した画像を表すものとなっている。なお、本実施形態においては、ウェーブレット変換係数信号HHk,HLk,LHkを帯域制限画像信号と称し、ウェーブレット変換係数信号LLkを解像度信号と称し、帯域制限画像信号および解像度信号を総称してウェーブレット変換係数信号と称するものとする。ここで、最低解像度の信号LLnは上記第1の実施形態と同様にこれ以降の演算において使用することはないため、値を0とする。
【0102】
処理手段53は、上記第1の実施形態における処理手段3と同様に周波数強調処理およびノイズ除去処理を行うものである。図22は処理手段53の周波数強調処理を行う部分の構成をウェーブレット変換手段52とともに示す概略ブロック図である。図22に示すように、ウェーブレット変換手段52において得られた帯域制限画像信号HHk,HLk,LHk(以下Bkで代表させる)が、変換器62において周波数帯域毎に異なる変換関数f1〜fnにより所望の大きさとなるように抑制されて、変換済み信号Bk′(HHk′,HLk′,LHk′、k=1〜n)が得られる。そして、変換済み信号HHk′,HLk′,LHk′に対して逆ウェーブレット変換手段63において逆ウェーブレット変換が施される。図23は、逆ウェーブレット変換手段63において行われる逆ウェーブレット変換を説明するための図である。図23に示すように、最低周波数帯域の変換済み信号HHn′,HLn′,LHn′,LLn(=0)に対して逆ウェーブレット変換手段63において逆ウェーブレット変換を施して処理済み信号LLn−1′を得る。
【0103】
図24は逆ウェーブレット変換手段63において行われる処理を示すブロック図である。図24に示すように変換済み信号LLn′(LLk′,k=nの場合LLn=0)および変換済み信号LHn′(LHk′)の副走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに(図中↑2で表す)、関数G,Hに対応する逆ウェーブレット変換関数G′,H′によりフィルタリング処理を副走査方向に施してこれらを加算し、さらに加算により得られた信号(第1の加算信号とする)の主走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに、関数G′によりフィルタリング処理を主走査方向に施して第1の信号を得る。一方、信号HLn′(HLk′)および信号HHn′(HHk′)の副走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに、関数G′,H′によりフィルタリング処理を副走査方向に施してこれらを加算し、さらに加算により得られた信号(第2の加算信号とする)の主走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに、関数H′によりフィルタリング処理を主走査方向に施して第2の信号を得る。そして第1および第2の信号を加算して変換済み信号LLn−1′(LLk−1′)を得る。なお、最低解像度のウェーブレット変換係数信号LLnは0とされているため、変換済み信号LLn−1′は原画像信号Sorgのバンドパス特性を表すものとなる。
【0104】
次に、変換済み信号HHn−1′,HLn−1′,LHn−1′,LLn−1′に対して上記と同様に逆ウェーブレット変換手段63において逆ウェーブレット変換を行って、変換済み信号LLn−2′を得る。そして、以下上記と同様にして逆ウェーブレット変換を最高周波数帯域まで繰り返し、さらに変換済み信号HH1′,HL1′,LL1′を逆ウェーブレット変換することにより高周波信号SH1が得られる。
【0105】
次に、処理手段53のノイズ除去処理を行う部分の構成について説明する。図25は処理手段53のノイズ除去処理を行う部分の構成を逆ウェーブレット変換手段52とともに示す概略ブロック図である。図25に示すように、ウェーブレット変換手段52において得られた帯域制限画像信号HHk,HLk,LHk(以下Bkで代表させる)が、ノイズ分離手段65に入力される。ノイズ分離手段65は上記第1の実施形態におけるノイズ分離手段26と同様の構成を有するものであり、ここで上記第1の実施形態と同様にノイズ帯域制限画像信号NHHk,NHLk,NLHk(以下NBkで代表させる)が得られる。すなわち、帯域制限画像信号HHk,HLk,LHkを上記第1の実施形態における帯域制限画像信号Bkと見なすことにより、上記と同様にアイリスフィルタによる集中度の算出、空間フィルタの設定、空間フィルタによるフィルタリング処理およびフィルタリング処理後の信号の帯域制限画像信号HHk,HLk,LHkからの減算を全ての周波数帯域の帯域制限画像信号HHk,HLk,LHkについて行うことにより、ノイズ帯域制限画像信号NHHk,NHLk,NLHkを得るものである。
【0106】
そして、得られたノイズ帯域制限画像信号NBk(NHHk,NHLk,NLHk、k=1〜n)に対して逆ウェーブレット変換手段66において逆ウェーブレット変換が施される。図26は、逆ウェーブレット変換手段66において行われる逆ウェーブレット変換を説明するための図である。図26に示すように、最低周波数帯域のノイズ帯域制限画像信号NHHn,NHLn,NLHn,NLLn(=0)に対して逆ウェーブレット変換手段66において逆ウェーブレット変換を施して処理済み信号NLLn−1を得る。
【0107】
図27は逆ウェーブレット変換手段66において行われる処理を示すブロック図である。図27に示すようにノイズ帯域制限画像信号NLLn(NLLk,k=nの場合NLLn=0)およびノイズ帯域制限画像信号NLHn(NLHk)の副走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに(図中↑2で表す)、関数G,Hに対応する逆ウェーブレット変換関数G′,H′によりフィルタリング処理を副走査方向に施してこれらを加算し、さらに加算により得られた信号(第1の加算信号とする)の主走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに、関数G′によりフィルタリング処理を主走査方向に施して第1の信号を得る。一方、信号NHLn(NHLk)および信号NHHn(NHHk)の副走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに、関数G′,H′によりフィルタリング処理を副走査方向に施してこれらを加算し、さらに加算により得られた信号(第2の加算信号とする)の主走査方向に対して画素間に1画素分の間隔をあける処理を行うとともに、関数H′によりフィルタリング処理を主走査方向に施して第2の信号を得る。そして第1および第2の信号を加算してノイズ帯域制限画像信号NLLn−1(NLLk−1)を得る。なお、最低解像度のウェーブレット変換係数信号NLLnは0とされているため、ノイズ帯域制限画像信号NLLn−1は原画像信号Sorgのバンドパス特性を表すものとなる。
【0108】
次に、ノイズ帯域制限画像信号NHHn−1,NHLn−1,NLHn−1,NLLn−1に対して上記と同様に逆ウェーブレット変換手段66において逆ウェーブレット変換を行って、ノイズ帯域制限画像信号NLLn−2を得る。そして、以下上記と同様にして逆ウェーブレット変換を最高周波数帯域まで繰り返し、さらにノイズ帯域制限画像信号NHH1,NHL1,NLL1を逆ウェーブレット変換することによりノイズ信号SN1が得られる。
【0109】
得られた高周波信号SH1およびノイズ信号SN1は、演算器64において上記第1の実施形態と同様に式(11)に示すような演算が行われて処理済み画像信号Sprocが得られる。
【0110】
次いで、第2の実施形態の動作について説明する。図28は第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。まず、読取装置等から原画像信号Sorgが画像処理装置51に入力される(ステップS11)。原画像信号Sorgはウェーブレット変換手段52においてウェーブレット変換が施されて各周波数帯域毎のウェーブレット変換係数信号が得られる(ステップS12)。次に、各ウェーブレット変換係数信号Bkが上述した変換関数により変換されて変換済み信号Bk′が得られる(ステップS13)。この後、変換済み信号Bk′が、逆ウェーブレット変換手段52において逆ウェーブレット変換されて高周波信号SH1が得られる(ステップS14)。
【0111】
一方、各ウェーブレット変換係数信号Bkはノイズ成分が分離されて(ステップS15)、ノイズ帯域制限画像信号NBkが得られる(ステップS16)。この後、ノイズ帯域制限画像信号NBkが、逆ウェーブレット変換手段52において逆ウェーブレット変換されてノイズ信号SN1が得られる(ステップS17)。なお、ステップS15からS17の処理をステップS13,S14の処理よりも先に行ってもよいが、ステップS15からS17の処理とステップS13,S14の処理とを並列に行うことにより処理を高速に行うことができる。
【0112】
そして、高周波信号SH1およびノイズ信号SN1を用いて上記式(11)に示す演算を行って処理済み画像信号Sprocを得(ステップS18)、処理済み画像信号Sprocを不図示のモニタに表示する(ステップS19)。オペレータは表示された画像を観察し、周波数強調処理および/またはノイズ除去の程度を変更する必要があれば(ステップS20)、どの程度変更するかを処理手段53に入力する。これにより処理手段53において上記式(11)における強調係数β(Sorg)および/またはα(Sorg)を変更してステップS18に戻り、ステップS18からステップS20の処理を行う。周波数強調処理および/またはノイズ除去の程度が適切なものとなった場合にはステップS20が肯定されて処理を終了する。
【0113】
このように、第2の実施形態においても、上記式(11)における強調係数β(Sorg),α(Sorg)の値を変更するのみで、処理済み画像信号Sprocの画像処理の程度およびノイズ除去の程度を変更することができるため、上記特開平5-244508号、同6-96200号に記載されたように、非線形関数を修正し画像を再構成することにより画像処理の程度を変更する方法と比較して、画像処理の程度およびノイズ除去の程度を簡易に変更することができ、これにより、処理済み画像信号Sprocを得るための演算時間を短縮して、オペレータのストレスを低減することができる。
【0114】
なお、上記第1および第2の実施形態においては、演算器25,64において行われる画像処理として周波数強調処理を行っているが、ダイナミックレンジ圧縮処理を行うものであってもよい。この場合、上述したように得られた高周波信号SH1に対して、下記の式(12)に示すように演算が施されて、原画像信号Sorgのダイナミックレンジが圧縮される。また、式(12)においては、D(Sorg−SH1)を変更することにより、処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジ圧縮の程度を変更することができる。
【0115】
Sproc=Sorg +D(Sorg−SH1)−α(Sorg)・SN1 (12)
但し、D(Sorg−SH1):ダイナミックレンジ圧縮係数
(DはSorg−SH1を変換する関数))
なお、ダイナミックレンジ圧縮処理を行う場合、帯域制限画像信号に変換処理を行う関数fkとしては、例えば図29、図30に示される変換関数あるいはこれらを組み合わせた関数を使用することが好ましい。
【0116】
ここで、図29に示す変換関数は、振幅の大きな帯域制限画像信号を抑制するような変換を行うものであり、周波数帯域の高い帯域制限画像信号の抑制の度合いを、周波数帯域の低い帯域制限画像信号よりも強くするものであるが、これは実際の放射線画像のエッジに含まれている高周波成分が、低周波成分に比べてその振幅が小さいということを考慮したものである。実際の放射線画像においては、かなり急峻なエッジでさえも正確な階段状にはなっておらず、高周波成分になるほどその振幅が小さくなっていることが多い。このため、各周波数成分の振幅に合わせて、周波数の高い帯域制限画像信号ほど小さい振幅から抑制を行うことが望ましく、本関数によりそれを実現することができる。
【0117】
また図30の関数は、帯域制限画像信号を、帯域制限画像信号の絶対値に基づいて決まる、その絶対値以下の値となるように変換を行うもので、この関数が低周波帯域を処理する関数であるほど、帯域制限画像信号の絶対値が0近傍の所定の範囲内の値である帯域制限画像信号を変換した際に得られる変換画像信号の絶対値が小さい値であることを特徴とするものである。言い換えれば、これらの関数はそれぞれ、原点を通り、関数の傾きがその関数により処理される値に拘わらず1以下であり、その関数の0近傍における傾きが、低周波帯域を処理する関数であるほど小さいことを特徴とするものである。これらの関数は、変換画像信号を積算して得られる信号を、原画像信号Sorgに加えた場合、原画像信号Sorg と加算された信号とのつなぎ目、すなわち信号の立ち上がりをより自然なものとするという効果がある。
【0118】
さらに、演算器25,64において、下記の式(13)に示すように、周波数強調処理、ダイナミックレンジ圧縮処理およびノイズ除去処理を同時に行うようにしてもよい。
【0119】
Sproc=Sorg +β(Sorg)・SH1+D(Sorg−SH1′)
−α(Sorg)・SN1 (13)
この場合、周波数強調処理を行うための高周波信号SH1は、帯域制限画像信号に対して上記図9に示す変換関数により変換処理を行うことにより得、ダイナミックレンジ圧縮処理を行うための高周波信号SH1′は、帯域制限画像信号に対して上記図29,30に示す変換関数により変換処理を行うことにより得ればよい。
【0120】
このように、周波数強調処理とダイナミックレンジ圧縮処理とを行う場合には、補間処理を行うための演算回数は22364160×3=67092480回となる。この演算量は従来の演算量の約1.5倍少なくなっているため、演算時間を約1.5倍高速化することができる。
【0121】
また、ノイズ帯域制限画像信号NBk(k=1〜n)を算出した後、これを高周波信号SH1を算出した場合と同様の変換関数fkにより変換して変換ノイズ帯域制限画像信号fkNBkを得、これを変換済み信号fkkと同様に補間処理および1段階高解像度側の変換ノイズ帯域制限画像信号fk-1NBk-1との加算を最高解像度まで繰り返し行って、最高解像度の変換ノイズ信号SNp1を得、さらに高周波信号SH1から変換ノイズ信号SNp1を減算してこれを原画像の高周波成分を表す信号として得、これを用いて下記の式(14)に示す処理を行ってもよい。
【0122】
Sproc=Sorg +β(Sorg)・(SH1−SNp1)−α(Sorg)・SN1(14)
図31は処理手段3において変換ノイズ信号SNp1を算出する部分の構成を示すブロック図である。図31に示すように、帯域制限画像信号作成手段2において作成された帯域制限画像信号Bkは、ノイズ分離手段26においてノイズ成分が分離されて、ノイズ帯域制限画像信号NBkが得られる。ノイズ分離手段26において得られたノイズ帯域制限画像信号NBkは、変換器22において変換関数f1〜fnにより所望の大きさとなるように抑制されて、変換ノイズ帯域制限画像信号fkNBk(k=1〜n)が得られる。そして、この変換ノイズ帯域制限画像信号fkNBkのうち、最低解像度の変換済み信号fnNBnは変換ノイズ信号SNpnとされるとともに、変換ノイズ信号SNpnが1段階高解像度の変換ノイズ帯域制限画像信号fn-1NBn-1と同一画素数となるように、補間処理手段23aにおいて補間処理がなされて、拡大ノイズ信号SNpn′が得られる。この後、変換ノイズ帯域制限画像信号fn-1NBn-1と拡大ノイズ信号SNpn′とが加算器24aにおいて加算されて、変換ノイズ信号SNpn−1が得られる。そして、変換ノイズ信号SNpk−1の補間拡大による拡大ノイズ信号SNpk−1′の取得、および拡大ノイズ信号SNpk−1′と変換ノイズ帯域制限画像信号fk-1NBk-1との加算による変換ノイズ信号SNpk−2の取得を繰り返し行って、最高解像度の変換ノイズ信号SNp1を得るものである。なお、変換器22、補間処理手段23aおよび加算器24aが本発明による画像処理装置の高周波成分取得手段と観念される。
【0123】
このように、変換ノイズ信号SNp1を求めた場合、下記の式(15)に示すように周波数強調処理に加えてダイナミックレンジ圧縮処理を行ってもよい。
【0124】
Sproc=Sorg +β(Sorg)・(SH1−SNp1)
+D(Sorg−SH1′)−α(Sorg)・SN1 (15)
さらに、帯域制限画像信号Bk(k=1〜n)からノイズ帯域制限画像信号NBk(k=1〜n)を減算してノイズ除去帯域制限画像信号SBkを得、これを高周波信号SH1を算出した場合と同様の変換関数fkにより変換して変換ノイズ除去帯域制限画像信号fkSBkを得、これに対して変換済み信号fkkと同様に補間処理および1段階高解像度側の変換ノイズ除去帯域制限画像信号fk-1SBk-1との加算を繰り返し行って、最高解像度の変換ノイズ除去高周波信号SHa1を原画像の高周波成分を表す信号として得、これを用いて下記の式(16)に示す処理を行ってもよい。
【0125】
Sproc=Sorg +β(Sorg)・SHa1−α(Sorg)・SN1 (16)
図32は処理手段3において変換ノイズ除去高周波信号SHp1を算出する部分の構成を示すブロック図である。図32に示すように、帯域制限画像信号作成手段2において作成された帯域制限画像信号Bkは、減算器70において図32には不図示のノイズ分離手段26において得られたノイズ帯域制限画像信号NBkが減算されてノイズ除去帯域制限画像信号SBkが得られる。ノイズ除去帯域制限画像信号SBkは、変換器22において変換関数f1〜fnにより所望の大きさとなるように抑制されて、変換ノイズ除去帯域制限画像信号fkSBk(k=1〜n)が得られる。そして、この変換ノイズ除去帯域制限画像信号fkSBkのうち、最低解像度の変換ノイズ除去帯域制限画像信号fnSBnは変換ノイズ除去信号SHanとされるとともに、変換ノイズ除去信号SHanが1段階高解像度の変換ノイズ除去帯域制限画像信号fn-1SBn-1と同一画素数となるように、補間処理手段23bにおいて補間処理がなされて、拡大ノイズ除去信号SHan′が得られる。この後、変換ノイズ除去帯域制限画像信号fn-1SBn-1と拡大ノイズ除去信号SHan′とが加算器24bにおいて加算されて、変換ノイズ除去信号SHan−1が得られる。そして、変換ノイズ除去信号SHak−1の補間拡大による拡大ノイズ除去信号SHak−1′の取得、および拡大ノイズ除去信号SHak−1′と変換ノイズ除去帯域制限画像信号fk-1k-1との加算による変換ノイズ除去信号SHak−2の取得を繰り返し行って、最高解像度の変換ノイズ除去信号を得、これを変換ノイズ除去高周波信号SHa1とするものである。なお、変換器22、補間処理手段23bおよび加算器24bが本発明による画像処理装置の高周波成分取得手段と観念される。
【0126】
このように、変換ノイズ除去高周波信号SHa1を求めた場合、下記の式(17)に示すように周波数強調処理に加えてダイナミックレンジ圧縮処理を行ってもよい。
【0127】
Sproc=Sorg +β(Sorg)・SHa1
+D(Sorg−SH1′)−α(Sorg)・SN1 (17)
さらに、上記各実施形態においては、変換関数を非線形関数として帯域制限画像信号に対して非線形処理を施しているが、非線形処理に限定されるものではなく、変換関数を線形関数や定数としてもよい。
【0128】
また、上記各実施形態においては、アイリスフィルタを用いて帯域制限画像信号Bkからノイズ信号を取得しているが、これに限定されるものではなく他の任意の手法によりノイズ信号を取得するようにしてもよい。例えば、帯域制限画像信号Bkに対して所定サイズのマスク内の局所的な分散を求め、この分散が小さな値となる画素をノイズと見なす等して帯域制限画像信号Bkからノイズ成分を分離してノイズ信号を取得してもよい。
【0129】
また、帯域制限画像信号Bkにより表される帯域制限画像の各画素における画素ベクトルを算出し、この画素ベクトルに基づいてノイズ信号を取得してもよい。 ここで「画素ベクトル」は、周波数帯域画像のある画素を注目画素とした場合、注目画素の画素値の傾斜方向および傾斜の大きさを表すものである。「画素ベクトル」を求めるに際しては、例えば、注目画素を中心とする複数の方向に対して、注目画素の画素値とその近傍の画素の画素値(近傍画素をある方向にある複数の画素とした場合はその平均値)との差を求め、その差が最も大きい方向あるいは最も小さい方向を決定し、その方向およびその差に基づいて画素ベクトルを算出するとよい。
【0130】
また、画素ベクトルは、帯域制限画像のある画素を注目画素とした場合、注目画素の画素値の傾斜方向および傾斜の大きさを表すものである。画素ベクトルは、例えば、注目画素を中心とする複数の方向に対して、注目画素の画素値とその近傍の画素の画素値(近傍画素をある方向にある複数の画素とした場合はその平均値)との差を求め、その差が最も大きい方向あるいは最も小さい方向を決定し、その方向およびその差に基づいて画素ベクトルを算出することができる。
【0131】
ここで、差が最も大きい方向を画素ベクトルとした場合はその画素ベクトルは信号勾配の方向を表し、差が最も小さい方向を画素ベクトルとした場合はその画素ベクトルは等信号線の方向を表すものとなる。なお、信号勾配の方向に画素ベクトルを求めた場合、その大きさを注目画素とその近傍画素の画素値の差とすれば、画素ベクトルが大きいほどその画素ベクトルを求めた画素はエッジ成分にあるものとなり、画素ベクトルが小さいほどその画素ベクトルを求めた画素は平坦部にあるものと見なせる。逆に、信号勾配の方向に画素ベクトルを求めた場合に、その大きさを注目画素とその近傍画素の画素値の差の逆数とすれば、画素ベクトルが小さいほどその画素ベクトルを求めた画素はエッジ成分にあるものとなり、画素ベクトルが大きいほどその画素ベクトルを求めた画素は平坦部にあるものと見なせる。
【0132】
さらに、等信号線方向に画素ベクトルを求めた場合、その大きさを注目画素とその近傍画素の画素値の差とすれば、画素ベクトルが小さいほどその画素ベクトルを求めた画素はエッジ成分にあるものとなり、画素ベクトルが大きいほどその画素ベクトルを求めた画素は平坦部にあるものと見なせる。逆に等信号線方向に画素ベクトルを求めた場合に、その大きさを注目画素とその近傍画素の画素値の差の逆数とすれば、画素ベクトルが大きいほどその画素ベクトルを求めた画素はエッジ成分にあるものとなり、画素ベクトルが小さいほどその画素ベクトルを求めた画素は平坦部にあるものと見なせる。
【0133】
画素ベクトルを等信号線方向に求めるか信号勾配方向に求めるか、さらには上記差として求めるか上記差の逆数として求めるかによって状況が異なるが、例えば画素ベクトルを等信号線方向に求め、画素ベクトルの大きさを上記差の逆数とした場合、エッジ部分においては画素ベクトルは大きく、平坦部すなわちノイズ部分においては画素ベクトルは小さくなる。したがって、画素ベクトルの大きさに応じて帯域制限画像のノイズ成分を分離することができる。そして、例えば、分離されたノイズ成分に対する画素の画素値を低減する平滑化処理を施した後、この平滑化処理が施された信号に基づいて帯域制限画像信号Bkからノイズ成分を分離してノイズ信号を得ることができる。
【0134】
さらに、上記各実施形態においては、上記式(11)等において高周波信号SH1およびノイズ信号SN1に乗算する強調係数を原画像信号Sorgの関数としているが、これに限定されるものではなく、β、α等の定数としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】帯域制限画像信号作成処理の概要を示すブロック図
【図3】帯域制限画像信号作成処理を模式的に示す図
【図4】フィルタリング処理に使用されるフィルタの一例を示す図
【図5】低解像度画像信号作成処理の詳細を示す図
【図6】補間処理に使用されるフィルタの一例を示す図
【図7】処理手段の周波数処理を行う部分の構成を帯域制限画像信号作成手段とともに示す概略ブロック図
【図8】処理手段における処理を模式的に示す図
【図9】非線形関数の一例を示す図
【図10】処理手段のノイズ除去処理を行う部分の構成を帯域制限画像信号作成手段とともに示す概略ブロック図
【図11】ノイズ分離手段の構成を示す概略ブロック図
【図12】アイリスフィルタを示す概念図
【図13】アイリスフィルタにおける勾配ベクトルを算出するマスクを示す図
【図14】空間フィルタの算出を説明するための図
【図15】処理手段における処理を模式的に示す図
【図16】第1の実施形態の動作を示すフローチャート
【図17】従来の変換処理を模式的に示す図
【図18】本発明の第2の実施形態による画像処理装置の構成を示す概略ブロック図
【図19】ウェーブレット変換手段の構成を示す概略ブロック図
【図20】ウェーブレット変換部において行われる処理を示すブロック図
【図21】ウェーブレット変換係数信号を複数の周波数帯域毎に示す図
【図22】処理手段の周波数強調処理を行う部分の構成を帯域制限画像信号作成手段とともに示す概略ブロック図
【図23】逆ウェーブレット変換を説明するための図
【図24】逆ウェーブレット変換手段において行われる処理を示すブロック図
【図25】処理手段のノイズ除去処理を行う部分の構成を帯域制限画像信号作成手段とともに示す概略ブロック図
【図26】逆ウェーブレット変換を説明するための図
【図27】逆ウェーブレット変換手段において行われる処理を示すブロック図
【図28】第2の実施形態の動作を示すフローチャート
【図29】ダイナミックレンジ圧縮処理を行う際の非線形関数の例を示す図(その1)
【図30】ダイナミックレンジ圧縮処理を行う際の非線形関数の例を示す図(その2)
【図31】処理手段のノイズ除去信号に対して変換処理を行う部分の構成を示す概略ブロック図
【図32】処理手段の帯域制限画像信号からノイズを除去し、さらに変換処理を行う部分の構成を示す概略ブロック図
【図33】原画像の主走査方向および副走査方向を示す図
【符号の説明】
1,51 画像処理装置
2 帯域制限画像信号作成手段
3,53 処理手段
10 フィルタリング処理手段
11,23,27 補間処理手段
12,70 減算器
22,62 変換器
24,28 加算器
25,64 演算器
26,65 ノイズ分離手段
52 ウェーブレット変換手段
61 ウェーブレット変換部
63,66 逆ウェーブレット変換手段

Claims (33)

  1. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法において、
    前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成し、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得、
    該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得、
    前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換帯域制限画像信号を得、
    該複数の変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
  2. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法において、
    前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成し、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得、
    該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得、
    前記複数のノイズ帯域制限画像信号および前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換ノイズ帯域制限画像信号および複数の変換帯域制限画像信号を得、
    該複数の変換ノイズ帯域制限画像信号および前記複数の変換帯域制限画像信号をそれぞれ逆多重解像度変換することにより変換ノイズ信号および変換画像信号を得、
    該変換画像信号から前記変換ノイズ信号を減算することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
  3. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法において、
    前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成し、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得、
    該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得、
    前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれから前記ノイズ成分を除去して複数のノイズ除去帯域制限画像信号を得、
    該複数のノイズ除去帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換ノイズ除去帯域制限画像信号を得、
    該複数の変換ノイズ除去帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
  4. 前記帯域制限画像信号により表される各周波数帯域の画像が、その周波数帯域に応じた画素数を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像処理方法。
  5. 前記高周波成分に関する信号が、前記原画像信号と同一画素数であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像処理方法。
  6. 前記多重解像度変換は、ラプラシアンピラミッド分解による変換、またはウェーブレット変換であることを特徴とする請求項からのいずれか1項記載の画像処理方法。
  7. 最低周波数帯域の帯域制限画像信号以外の帯域制限画像信号から前記ノイズ信号および前記高周波成分に関する信号を得ることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の画像処理方法。
  8. 前記所定の変換関数は、非線形関数であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の画像処理方法。
  9. 前記画像処理は、周波数強調処理であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の画像処理方法。
  10. 前記画像処理は、ダイナミックレンジ圧縮処理であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の画像処理方法。
  11. 前記ノイズ成分の分離を、アイリスフィルタによるフィルタリング処理に基づいて行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の画像処理方法。
  12. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理装置において、
    前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成する帯域制限画像信号作成手段と、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得、該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得るノイズ信号取得手段と、
    前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換帯域制限画像信号を得、該複数の変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得る高周波成分取得手段と、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す画像処理手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
  13. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理装置において、
    前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成する帯域制限画像信号作成手段と、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得、該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得るノイズ信号取得手段と、
    前記複数のノイズ帯域制限画像信号および前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換ノイズ帯域制限画像信号および複数の変換帯域制限画像信号を得、該複数の変換ノイズ帯域制限画像信号および前記複数の変換帯域制限画像信号をそれぞれ逆多重解像度変換することにより変換ノイズ信号および変換画像信号を得、該変換画像信号から前記変換ノイズ信号を減算することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得る高周波成分取得手段と、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す画像処理手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
  14. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理装置において、
    前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成する帯域制限画像信号作成手段と、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得、該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得るノイズ信号取得手段と、
    前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれから前記ノイズ成分を除去して複数のノイズ除去帯域制限画像信号を得、該複数のノイズ除去帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換ノイズ除去帯域制限画像信号を得、該複数の変換ノイズ除去帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得る高周波成分取得手段と、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す画像処理手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
  15. 前記帯域制限画像信号作成手段は、前記帯域制限画像信号により表される各周波数帯域の画像が、その周波数帯域に応じた画素数を有するよう前記帯域制限画像信号を作成する手段であることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項記載の画像処理装置。
  16. 前記高周波成分取得手段は、前記高周波成分に関する信号が、前記原画像信号と同一画素数となるように、前記高周波成分に関する信号を取得する手段であることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項記載の画像処理装置。
  17. 前記多重解像度変換は、ラプラシアンピラミッド分解による変換、またはウェーブレット変換であることを特徴とする請求項12から16のいずれか1項記載の画像処理装置。
  18. 前記ノイズ信号取得手段および前記高周波成分取得手段は、最低周波数帯域の帯域制限画像信号以外の帯域制限画像信号から前記ノイズ信号および前記高周波成分に関する信号を得る手段であることを特徴とする請求項12から17のいずれか1項記載の画像処理装置。
  19. 前記所定の変換関数は、非線形関数であることを特徴とする請求項12から18のいずれか1項記載の画像処理装置。
  20. 前記画像処理は、周波数強調処理であることを特徴とする請求項12から19のいずれか1項記載の画像処理装置。
  21. 前記画像処理は、ダイナミックレンジ圧縮処理であることを特徴とする請求項12から20のいずれか1項記載の画像処理装置。
  22. 前記ノイズ信号取得手段は、前記ノイズ成分の分離を、アイリスフィルタによるフィルタリング処理に基づいて行う手段であることを特徴とする請求項12から21のいずれか1項記載の画像処理装置。
  23. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体において、
    前記プログラムは、前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成する手順と、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得る手順と、
    前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数の変換帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得る手順と、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す手順とを有することを特徴とするコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  24. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体において、
    前記プログラムは、前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成する手順と、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得る手順と、
    前記複数のノイズ帯域制限画像信号および前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換ノイズ帯域制限画像信号および複数の変換帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数の変換ノイズ帯域制限画像信号および前記複数の変換帯域制限画像信号をそれぞれ逆多重解像度変換することにより変換ノイズ信号および変換画像信号を得る手順と、
    該変換画像信号から前記変換ノイズ信号を減算することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得る手順と、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す手順とを有することを特徴とするコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  25. 原画像を表す原画像信号に対して、該原画像のノイズを低減するとともに、該原画像の高周波成分に関する信号に基づく画像処理を施して処理済み画像信号を得る画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体において、
    前記プログラムは、前記原画像信号を多重解像度変換することにより複数の周波数帯域に分解して複数の帯域制限画像信号を作成する手順と、
    該複数の帯域制限画像信号のそれぞれからノイズ成分を分離して複数のノイズ帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数のノイズ帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像のエッジ成分以外の高周波成分を表す、前記原画像信号と同一画素数のノイズ信号を得る手順と、
    前記複数の帯域制限画像信号のそれぞれから前記ノイズ成分を除去して複数のノイズ除去帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数のノイズ除去帯域制限画像信号のそれぞれに対して所定の変換関数に基づいて変換処理を施して複数の変換ノイズ除去帯域制限画像信号を得る手順と、
    該複数の変換ノイズ除去帯域制限画像信号を逆多重解像度変換することにより、前記原画像の高周波成分に関する信号を得る手順と、
    前記ノイズ信号に基づいて、前記原画像信号のノイズ成分を除去するとともに、前記高周波成分に関する信号に基づいて、前記原画像信号に対して前記画像処理を施す手順とを有することを特徴とするコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  26. 前記帯域制限画像信号を作成する手順は、前記帯域制限画像信号により表される各周波数帯域の画像が、その周波数帯域に応じた画素数を有するよう前記帯域制限画像信号を作成する手順であることを特徴とする請求項23から25のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  27. 前記高周波成分に関する信号を得る手順は、前記高周波成分に関する信号が、前記原画像信号と同一画素数となるように、前記高周波成分に関する信号を得る手順であることを特徴とする請求項23から26のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  28. 前記多重解像度変換は、ラプラシアンピラミッド分解による変換、またはウェーブレット変換であることを特徴とする請求項23から27のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  29. 前記ノイズ信号を得る手順および前記高周波成分に関する信号を得る手順は、最低周波数帯域の帯域制限画像信号以外の帯域制限画像信号から前記ノイズ信号および前記高周波成分に関する信号を得る手順であることを特徴とする請求項23から28のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  30. 前記所定の変換関数は、非線形関数であることを特徴とする請求項23から29のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  31. 前記画像処理は、周波数強調処理であることを特徴とする請求項23から30のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  32. 前記画像処理は、ダイナミックレンジ圧縮処理であることを特徴とする請求項23から31のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  33. 前記ノイズ信号を得る手順は、前記ノイズ成分の分離を、アイリスフィルタによるフィルタリング処理に基づいて行う手順であることを特徴とする請求項23から32のいずれか1項記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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