JPH09150634A - 自動車用ガラスラン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラスランをドアサッシュの正規位置に簡単
かつ確実に装着できるようにする。さらに、型成形後の
位置決め用リブのヒケを防止する。また、位置決め用リ
ブがドアサッシュの位置決め用切欠に強接しても、型成
形カバーリップの外面に凹状歪みが生じないようにす
る。 【解決手段】 ガラスラン１０は、ガラスラン本体１１
と、ドアサッシュ４の外面内縁を覆う車外側カバーリッ
プ１３とを備える。カバーリップ１３はドアベルトライ
ン３のやや上方位置で同位置より下方部分が切除され、
その切除端１３ａには湾曲形状の型成形カバーリップ１
５が接続される。型成形カバーリップ１５の内面に、ド
アサッシュ４の位置決め用切欠７に係合させるための位
置決め用リブ１６を型成形により一体的に突出形成し、
その突出端をガラスラン本体１１に加硫接着し、位置決
め用リブ１６の突出端寄りに肉抜き部を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のドアサッ
シュに装着されてドアガラスを摺動案内するとともに、
意匠性のためにドアサッシュの外面内縁を覆うガラスラ
ンに係り、詳しくはドアサッシュの下部とドアベルトラ
インの端部とのコーナー部の外面内縁を覆う型成形カバ
ーリップを一体的に備えたガラスランに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】図３は自動車のフロントドアを示し、そ
の窓枠であるドアサッシュにはガラスランが装着されて
いる。図１２及び図１３は図３のドアサッシュ付根部Ａ
における従来のガラスラン５０を示し、ドアサッシュ６
０のチャンネル６１の内部に装着されてドアガラスを摺
動案内するガラスラン本体５１と、該ガラスラン本体５
１から折り返し延びてドアサッシュ６０のアウターパネ
ル６２の外面内縁を覆う車外側カバーリップ５２と、同
様に折り返し延びてドアサッシュ６０のインナーパネル
６４の外面内縁を覆う車内側カバーリップ５４とを備え
ている。図１２において斜線ハッチングを付した部分は
型成形部を示し、それ以外の部分は押出成形部を示して
いる。

【０００３】車外側カバーリップ５２はドアベルトライ
ン６３のやや上方位置で同位置より下方部分が切除さ
れ、該車外側カバーリップ５２の切除端５２ａにはアウ
ターパネル６２の下部とドアベルトライン６３の端部と
のコーナー部の外面内縁を覆う湾曲形状の型成形カバー
リップ５３が型成形により接続されている。型成形カバ
ーリップ５３の先端には、ドアベルトライン６３に装着
されるウエザーストリップ７０が接続される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記ガラスラン５０を
ドアサッシュ６０に装着するとき、装着位置のバラツキ
によってガラスラン５０全体が下方へずれたとき、図１
２に矢印で示すように、型成形カバーリップ５３及びウ
エザーストリップ７０がドアベルトライン６３から反力
によって浮き上がることがあった。また、上方へずれた
とき、図１２の×××印部にて隙が発生する。この浮き
上がりや隙は外観やシール性の低下を招くため、ガラス
ラン５０を装着し直して修正する必要があり、大変手間
がかかっていた。特に、この種のガラスランは、型成形
カバーリップ５３部位を最初にドアサッシュ６０のアウ
ターパネル６２の下部とドアベルトライン６３の端部と
のコーナー部に装着してから、ドアサッシュ６０に沿っ
てガラスラン本体５１を上方及び／又は下方に装着して
いくため、上記の上方又は下方へのずれが生じる可能性
が高かった。

【０００５】そこで、本発明の目的は、ガラスランをド
アサッシュの正規位置に簡単かつ確実に装着できるよう
にすることにある。別の目的は、型成形カバーリップが
予期しない外力により車外側へめくれ上がるのを抑える
ことにある。さらに別の目的は、型成形後の位置決め用
リブのヒケを防止することにある。さらに別の目的は、
位置決め用リブがドアサッシュの位置決め用切欠に強接
しても、型成形カバーリップの外面に凹状歪みが生じな
いようにすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、自動車のドアサッシュの内部に装着
されてドアガラスを摺動案内するガラスラン本体と、該
ガラスラン本体から折り返し延びてドアサッシュの外面
内縁を覆うカバーリップとを備え、該カバーリップはド
アベルトラインのやや上方位置で同位置より下方部分が
切除され、該カバーリップの切除端にはドアサッシュの
下部とドアベルトラインの端部とのコーナー部の外面内
縁を覆う湾曲形状の型成形カバーリップが型成形により
接続された自動車用ガラスランにおいて、前記型成形カ
バーリップの内面に、前記ドアサッシュの下部の内周縁
に形成した位置決め用切欠に係合させるための位置決め
用リブを前記型成形により一体的に突出形成したことを
特徴としている。

【０００７】ここで、位置決め用切欠と位置決め用リブ
の各形状は特に限定されず、例えば角張ったものでも丸
みのあるものでもよい。また、位置決め用リブの突出端
をガラスラン本体に対して接着することが好ましい。こ
の場合、位置決め用リブに型成形後のヒケを防止するた
めの肉抜き部を設けることが好ましい。さらに、この肉
抜き部の主要部を位置決め用リブの突出端寄りに設ける
ことが好ましい。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を実施した形態例に
ついて、図面を参照して説明する。まず、図１〜図８は
第一実施形態の自動車用ガラスラン１０を示している。
図３はガラスラン１０の装着先である自動車のフロント
ドア１を示し、ドアパネル２のドアベルトライン３から
窓枠であるドアサッシュ４が立設されている。ドアサッ
シュ４は、図４に示すように、ドアパネル２から連続し
て延びたアウターパネル５と、アウターパネル５の裏面
に固着された断面略コ字形のチャンネル６と、チャンネ
ル６の車内側に固着されたインナーパネル９とで構成さ
れている。ドアサッシュ４の下部であってアウターパネ
ル５及びチャンネル６の車外側側壁６ａの内周縁には矩
形状の位置決め用切欠７が形成されている。

【０００９】図１及び図２は図３のドアサッシュ４の付
根部Ａにおけるガラスラン１０を示している。このガラ
スラン１０は、図４にその断面を示すように、ドアサッ
シュ４のチャンネル６の内部に装着されてドアガラス８
（図３）を摺動案内する断面略コ字形のガラスラン本体
１１を備え、該ガラスラン本体１１は昇降するドアガラ
ス８に車外側及び車内側から摺接する一対のシールリッ
プ１２，１２を一体的に有している。ガラスラン本体１
１の車外側の開口端には折り返し延びてチャンネル６の
車外側側壁６ａ及びアウターパネル５の外面内縁を覆う
車外側カバーリップ１３が、ガラスラン本体１１の車内
側の開口端には折り返し延びてチャンネル６の車内側側
壁６ｂ及びインナーパネル９の外面内縁を覆う車内側カ
バーリップ１４が、それぞれ一体形成されている。な
お、シールリップ１２，１２の表面及びガラスラン本体
１１の基底部には、ドアガラス８との摺動性を高めるた
めに、ウレタンやシリコン樹脂を塗布等した滑性化処理
が施されている。

【００１０】図１及び図２において斜線ハッチングを付
した部分は型成形部を示し、それ以外の部分は押出成形
部を示している。型成形部は、周知の通り、押出成形部
の端部を金型（図示略）内にセットし、該金型のキャビ
ティに成形材料を充填することにより成形・接続された
ものである。この型成形部には上記の滑性化処理を施し
にくいので、極力、押出成形部を長くし、上記の滑性化
処理部分を延長させて有効的に使用される。各部の成形
材料はＥＰＤＭソリッドゴム（エチレン・プロピレン・
ジエン共重合物）であるが、その他、例えばＰＶＣ（ポ
リ塩化ビニル）、ＴＰＥ（熱可塑性エラストマー）、Ｔ
ＰＯ（オレフィン系熱可塑性エラストマー）等も使用可
能である。

【００１１】押出成形部の車外側カバーリップ１３はド
アベルトライン３のやや上方位置で同位置より下方部分
が切除され、該車外側カバーリップ１３の切除端にはア
ウターパネル５の下部とドアベルトライン３の端部との
コーナー部の外面内縁を覆う湾曲形状の型成形カバーリ
ップ１５が型成形により接続されている。型成形カバー
リップ１５の先端にはドアベルトライン３に装着される
ウエザーストリップ７０が接続される。

【００１２】型成形カバーリップ１５の内面であってガ
ラスラン本体１１との接続側寄りには、前記アウターパ
ネル５及びチャンネル６の車外側側壁６ａの位置決め用
切欠７に係合させるための位置決め用リブ１６が、該型
成形カバーリップ１５の型成形により一体的に突出形成
されている。この位置決め用リブ１６は位置決め用切欠
７の形状に合わせて直方体形状に形成され、その突出端
面はガラスラン本体１１（押出成形部）の外側面に対し
て前記型成形時に自然に加硫接着している。図５はその
加硫接着したガラスラン本体１１を剥がして型成形カバ
ーリップ１５の背面を見せた背面図であり、同図におい
て網掛ハッチングを付した部分は剥がした面を示してい
る。

【００１３】本実施形態では、位置決め用リブ１６の内
部に、型成形後の意匠面部のヒケを防止するための上下
二つの四角穴状の肉抜き部１７が設けられている。各肉
抜き部１７は位置決め用リブ１６の基端（型成形カバー
リップ１５寄り）から突出端近くまで延びている。

【００１４】以上のように構成されたガラスラン１０に
よれば、図１、図４及び図６（ａ）に示すように、型成
形カバーリップ１５の位置決め用リブ１６をアウターパ
ネル５及び車外側側壁６ａの位置決め用切欠７に係合さ
せることにより容易に位置決めができるので、ガラスラ
ン１０をドアサッシュ４の正規位置に簡単かつ確実に装
着することができ、従来のようにガラスランを装着し直
す必要は無くなるので、装着の手間を削減できる。特
に、ガラスラン１０のうちでも型成形カバーリップ１５
は最初に装着する部位なので、この型成形カバーリップ
１５に位置決め用リブ１６があることは、それ以降の位
置ずれを無くす上で最も効果が大きい。

【００１５】また、位置決め用リブ１６の突出端面はガ
ラスラン本体１１の外側面に対して加硫接着しているの
で、型成形カバーリップ１５が予期しない外力により車
外側へめくれ上がるのを抑える効果もある。また、この
ように位置決め用リブ１６がガラスラン本体１１に加硫
接着する場合には、型成形カバーリップ１５を型成形し
た後の位置決め用リブ１６のヒケによって、型成形カバ
ーリップ１５の外面に凹みが生じる可能性があるが、本
実施形態では位置決め用リブ１６の内部に二つの四角穴
状の肉抜き部１７を設けているので、前記ヒケが防止さ
れ、前記凹みは生じない。

【００１６】但し、本実施例においても、図６（ｂ）及
び図７に示すように、装着時にガラスラン１０全体が上
方へ引っ張られた場合に、位置決め用リブ１６の上部の
薄い壁がアウターパネル５及び車外側側壁６ａの位置決
め用切欠７に強接して変形し、その変形が型成形カバー
リップ１５の外面に凹状歪み１８を生じさせる可能性が
残っている。そのような場合には、次の第二実施形態の
採用が好ましい。

【００１７】すなわち、図８及び図９に示す第二実施形
態の自動車用ガラスラン２０は、位置決め用リブ１６の
突出端面に、深さが位置決め用リブ１６の厚さの１／２
以下である矩形凹部状の肉抜き部２１を設けた点におい
てのみ第一実施形態と相違している。本実施形態によれ
ば、図９に示すように、位置決め用リブ１６の上面がア
ウターパネル５及び車外側側壁６ａの位置決め用切欠７
に強接したとしても、その強接位置から肉抜き部２１が
位置決め用リブ１６の突出端寄りにオフセットしている
ので、位置決め用リブ１６はほとんど変形せず、型成形
カバーリップ１５の外面に凹状歪みが生じることもな
い。

【００１８】図１０に示す第二実施形態の変更例は、位
置決め用リブ１６の突出端面に、前記肉抜き部２１の凹
底に溝状凹部を加えたような形の断面Ｔ字状の肉抜き部
２２を設けたものである。図１１に示す第二実施形態の
別の変更例は、位置決め用リブ１６の突出端面に、前記
肉抜き部２１の凹底に三角溝を加えたような形の断面五
角形状の肉抜き部２３を設けたものである。これらの変
更例によっても、肉抜き部２２，２３の主要部が位置決
め用リブ１６の突出端寄りに設けられているので、第二
実施形態と同様の効果を奏する。

【００１９】なお、本発明は前記実施形態の構成に限定
されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しな
い範囲で適宜変更して具体化することもできる。 （１）チャンネル６の車内側側壁６ｂ及び／又はインナ
ーパネル９に位置決め用切欠を形成し、車内側カバーリ
ップ１４に位置決め用リブを一体的に突出形成するこ
と。 （２）フロントドアの後部のドアサッシュの他にも、フ
ロントドアの前部のドアサッシュや、リアドアの前部又
は後部のドアサッシュや、バックドアのドアサッシュ等
に装着されるガラスランに適用してもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１の発明に
係る自動車用ガラスランによれば、ドアサッシュの正規
位置に簡単かつ確実に装着することができ、従来のよう
にガラスランを装着し直す必要が無くなるので、装着の
手間を削減できる。

【００２１】上記効果に加え、請求項２の発明に係る自
動車用ガラスランによれば、型成形カバーリップが予期
しない外力により車外側へめくれ上がるのを抑える効果
がある。

【００２２】また、請求項３の発明に係る自動車用ガラ
スランによれば、型成形カバーリップを型成形した後の
位置決め用リブのヒケを防止でき、型成形カバーリップ
の外面に凹みが生じる不具合を防止できる。

【００２３】さらに、請求項４の発明に係る自動車用ガ
ラスランによれば、位置決め用リブがドアサッシュの位
置決め用切欠に強接してもほとんど変形せず、型成形カ
バーリップの外面に凹状歪みが生じる不具合を防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した第一実施形態のガラスラン
を示す正面図である。

【図２】同ガラスランの右側面図である。

【図３】同ガラスランを装着した自動車のフロントドア
を示す斜視図である。

【図４】図１のＩＶ−ＩＶ線断面図である。

【図５】同ガラスランからガラスラン本体部を剥がして
型成形によるカバーリップの背面を見せた背面図であ
る。

【図６】図１のＶＩ−ＶＩ線断面図である。

【図７】図６の（ｂ）の状態におけるガラスランの正面
図である。

【図８】第二実施形態のガラスランからガラスラン本体
部を剥がして型成形によるカバーリップの背面を見せた
背面図である。

【図９】同ガラスランにおいて図６と同じ部位を示す断
面図である。

【図１０】同ガラスランの変更例において図６と同じ部
位を示す断面図である。

【図１１】同ガラスランの別の変更例において図６と同
じ部位を示す断面図である。

【図１２】従来例のガラスランを示す正面図である。

【図１３】同ガラスランのＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ線断面図
である。

【符号の説明】

３ ドアベルトライン ４ ドアサッシュ ５ アウターパネル ６ チャンネル ６ａ 車外側側壁 ７ 位置決め用切欠 ８ ドアガラス ９ インナーパネル １０ ガラスラン １１ ガラスラン本体 １３ 車外側カバーリップ １３ａ 切除端 １５ 型成形カバーリップ １６ 位置決め用リブ １７ 肉抜き部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 辰彦 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 伊藤 雅彦 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車のドアサッシュの内部に装着され
   てドアガラスを摺動案内するガラスラン本体と、該ガラ
   スラン本体から折り返し延びてドアサッシュの外面内縁
   を覆うカバーリップとを備え、該カバーリップはドアベ
   ルトラインのやや上方位置で同位置より下方部分が切除
   され、該カバーリップの切除端にはドアサッシュの下部
   とドアベルトラインの端部とのコーナー部の外面内縁を
   覆う湾曲形状の型成形カバーリップが型成形により接続
   された自動車用ガラスランにおいて、 前記型成形カバーリップの内面に、前記ドアサッシュの
   下部の内周縁に形成した位置決め用切欠に係合させるた
   めの位置決め用リブを前記型成形により一体的に突出形
   成したことを特徴とする自動車用ガラスラン。
2. 【請求項２】 前記位置決め用リブの突出端を前記ガラ
   スラン本体に対して接着した請求項１記載の自動車用ガ
   ラスラン。
3. 【請求項３】 前記位置決め用リブに前記型成形後のヒ
   ケを防止するための肉抜き部を設けた請求項２記載の自
   動車用ガラスラン。
4. 【請求項４】 前記肉抜き部の主要部を前記位置決め用
   リブの前記突出端寄りに設けた請求項３記載の自動車用
   ガラスラン。