JPH09149787A - 酸性グルタミナーゼとその利用 - Google Patents

酸性グルタミナーゼとその利用

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JPH09149787A
JPH09149787A JP7312434A JP31243495A JPH09149787A JP H09149787 A JPH09149787 A JP H09149787A JP 7312434 A JP7312434 A JP 7312434A JP 31243495 A JP31243495 A JP 31243495A JP H09149787 A JPH09149787 A JP H09149787A
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glutamine
enzyme
acidic
glutaminase
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JP7312434A
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Katsuji Yasufuku
克次 安福
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Daiwa Kasei KK
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Daiwa Kasei KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】酸性グルタミナーゼ及び該酸性グルタミナーゼ
を利用するトマト等の野菜類の旨み増強等の呈味性向技
術の提供。 【解決手段】作用、至適pH及び安定pH範囲、基質特
異性、至適温度及び安定温度等に特徴のある該酸性グル
タミナーゼは、その生産能を有する微生物を常法に従い
培養することによるか、市販酵素製剤から単離、精製し
て得られる。上記酵素をpH2.5〜5.0の範囲でグ
ルタミンを含有する酸性食品に作用させる酸性食品の呈
味性向上方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸性グルタミナーゼ
及びその利用に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】健康維持、病気予防は
現代人の大きなテーマの一つであり、食品分野において
もこの目的にかなうような各種機能性食品等が盛んに研
究開発されつつある。同様な観点から、天然、自然(無
農薬、無添加、生、有機栽培)等が重要なキーワードと
なっており、特に食品添加物についてはその表示が義務
づけられる等、消費者の天然指向に対する注目度は高
い。
【0003】従って、この分野では食品添加物を用い
ず、原料中の有効成分を充分に利用し、また適当な加工
により、品質的に同等もしくはより高い食品乃至その加
工品を製造する技術の開発は、非常に意義深いことであ
る。
【0004】本発明者らは、上記観点より、トマトを始
めとする各種野菜類の旨み増強等の呈味性を向上させる
技術の開発を試みた。即ち、トマト等の多くの野菜類中
には、グルタミンが多量に含まれているが、これはジュ
ース、ケチャップ、エキス、ソース、ドレッシング、食
酢、みりん風調味料等の各種加工食品に加工される際に
無味のピログルタミン酸に変換され、得られる加工食品
の味等の品質には、全く生かされていない現状にあり、
上記グルタミンを、そのピロ化前にグルタミン酸に変換
できれば、得られる加工食品の旨みを増強できると考え
た。
【0005】しかるに、トマトその他の野菜類は元々酸
性を呈する一方、現在食品に利用できることの知られて
いるグルタミナーゼは、耐塩性グルタミナーゼ(例え
ば、特開昭63−94975号公報、特開平2−261
379号公報等参照)を含めて専らその至適pHは中性
付近にあり、之等は上記トマト等の酸性食品には、利用
できないことを認めた。
【0006】しかして、本発明者らは更に引続き研究を
重ねた結果、上記トマト等の野菜類に利用でき、しかも
これによって、トマト等に本来含まれているグルタミン
をグルタミン酸に変換し得、旨みを顕著に向上されると
共に、トマト等の野菜類の有する本来の風味を損なわ
ず、むしろマイルドでバランスのよい好ましい風味を付
与された加工食品を提供可能とする新しい酸性グルタミ
ナーゼ及びその利用による天然加工食品の開発に成功
し、ここに本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
下記の性質を有する酸性グルタミナーゼが提供される。
【0008】(1) 作用:L−グルタミンを加水分解し
てL−グルタミン酸とアンモニアとを生成する (2) 至適pH及び安定pH範囲:至適pHはL−グル
タミンを基質として3〜6であり、安定pH域は2.5
〜9である (3) 基質特異性:L−及びD−グルタミン及びブトキ
シカルボニル化−グルタミンは分解するが、L−及びD
−アスパラギンは分解せず、上記L−グルタミンに対す
るKm値(ミカエリス定数)は、37℃、pH4.0
(酢酸緩衝液中)で3.2mMである (4) 至適温度及び安定温度:至適温度はpH4.0
(0.1M酢酸緩衝液中)で、30分間の反応におい
て、70℃であり、同pH4.0で1時間保持した場合
に55℃まで安定である (5) pH2.5〜5.0の酸性食品中の遊離グルタミ
ンに作用してピログルタミン酸を生成することなくグル
タミン酸を生成させる。
【0009】また、本発明によれば、上記酸性グルタミ
ナーゼを、pH2.5〜5.0の範囲でグルタミンを含
有する酸性食品に作用させることを特徴とする酸性食品
の呈味性向上方法、特に酸性食品がトマトである上記呈
味性向上方法が提供される。
【0010】本発明に係わる酸性グルタミナーゼは、上
記の通り、特定の酸性領域でグルタミンに特異的に作用
してこれをグルタミン酸に効率よく転換する性質を有し
ており、その利用によれば、グルタミンを含有する酸性
食品の呈味性を顕著に向上させることができる。
【0011】従って、本発明酸性グルタミナーゼを用い
る方法によれば、呈味性の顕著に向上された酸性食品、
特にトマトジュース等のトマトの加工食品が提供され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明酸性グルタミナーゼ
につき詳述すれば、これは、以下の性質を有することに
より特徴づけられる。
【0013】(1) 作用:L−グルタミンを加水分解し
てL−グルタミン酸とアンモニアとを生成する。
【0014】(2) 至適pH及び安定pH範囲:本酵素
は、1%(w/v%)L−グルタミンを基質として、3
7℃で30分間作用させた場合、図1に示すように、p
H3で最も活性が高く、pH6まではほぼ同等の活性を
示す。
【0015】尚、図1は、pHを横軸にとり、各pHで
の相対酵素活性を縦軸としてプロットしたものであり、
該試験において、pH1〜3は酢酸−塩酸緩衝液を、p
H3〜6は酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液を、pH6〜1
0はブリットン−ロビンソン(Britton-Robinson)広域
緩衝液をそれぞれ用いた。
【0016】また、本酵素の安定pH域は、0.05単
位の本酵素を含有する各pH緩衝液0.1mlを、37
℃で16時間放置した後の残存活性を測定することによ
り求められたものであり、図2に示すように、2.5〜
9の範囲であることが判る。
【0017】図2は、pHを横軸として、各pHでの残
存活性を縦軸として求めたグラフである。
【0018】(3) 基質特異性:本酵素の基質特異性を
以下の通り求めた。即ち、後記表1に示す各基質180
μl(pH4.0酢酸緩衝液)に、本酵素20μl
(0.08単位)を、37℃で2時間反応させた後、
0.75N過塩素酸100μlを加えて反応を停止さ
せ、更に、0.75N水酸化ナトリウム100μlを加
えて中和させた。ブランクとして本酵素に0.75N過
塩素酸100μlを加え、0.75N水酸化ナトリウム
と各基質を加えた液を上記と同条件で処理したものを用
いた。
【0019】得られた各反応混液100μlをとり、生
成された該液中のアンモニア量をF−キット尿素/アン
モニア定量用キット(ベーリンガーマンハイム山之内
社)を用いて測定した。
【0020】相対活性は、L−グルタミンを基質として
得られた反応液中のアンモニア量を基準(100)と
し、他の基質を上記基質に代えて用いた場合のアンモニ
ア量を比較検討して求めた。その結果は、下記表1に示
す通りである。
【0021】
【表1】
【0022】上記表1より、本酵素は、L−及びD−グ
ルタミン及びブトキシカルボニル化(Boc)−グルタミ
ンは分解するが、L−及びD−アスパラギンは分解しな
いことが判る。
【0023】また、上記L−グルタミンに対するKm値
(ミカエリス定数)は、37℃、pH4.0(酢酸緩衝
液中)で3.2mMであった。
【0024】(4) 活性測定法:本酵素の力価は下記2
種の方法により求められた。
【0025】第1法:L−グルタミンを加水分解して生
成されるL−グルタミン酸を定量する方法 2%(w/v%)L−グルタミン溶液(pH4.0)
1.0mlに、0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)で希
釈した本酵素(約0.1U)1.0mlを加えて、37
℃、30分間反応させた後、0.75N過塩素酸溶液
1.0mlを加えて氷水中で反応を停止させ、更に、
0.75N水酸化ナトリウム溶液1.0mlで中和し
た。
【0026】次に、上記反応液0.2mlをとり、該反
応液中のL−グルタミン酸量をヤマサL−グルタミン酸
測定キットを用いて測定した。本酵素の1単位(U)
は、37℃で1分間当たりに1μモルのL−グルタミン
酸を生産する酵素量とする。
【0027】第2法:L−グルタミンを加水分解して生
成されたアンモニア量を測定する方法 前記の基質特異性の項に述べた方法と同様の方法によ
り測定された。
【0028】(5) 至適温度及び安定温度:本酵素の至
適温度は、1%(w/v%)L−グルタミンを基質とし
て、pH4.0(0.1M酢酸緩衝液中)で、30分間
反応させた場合、図3〔横軸:温度(℃)、縦軸:相対
活性(%)〕に示す通り、70℃で最も高い活性を示し
た。また、本酵素0.1ml〔0.05U、酢酸緩衝液
(pH4.0)〕を各温度で1時間処理した後、残存活
性を求めた。その結果は、図4〔横軸:温度(℃)、縦
軸:残存活性(%)〕に示す通りであり、本酵素は、5
5℃まで安定であった。
【0029】(6) 分子量:50mM酢酸緩衝液(pH
6.0、0.15M NaClを含むで平衡化したHi-P
rep Sephacryl S-300カラム(C16/60、ファルマシ
ア社製)を用いて、測定した本酵素の分子量は、約30
0000であった。
【0030】(7) 等電点:0.025Mヒスチジン−
塩酸緩衝液(pH5.8)で平衡化したPBE94カラ
ム(1.0×25cm、ファルマシア社製)を用いたク
ロマトフォーカシングの結果、本酵素の等電点は、約
4.2であった。
【0031】(8) L−グルタミンからL−グルタミン
酸への転換:10%エタノールを含む0.5%L−グル
タミン溶液(0.1M酢酸緩衝液、pH4.0)と、エ
タノールを含まない同0.5%L−グルタミン溶液に、
本酵素を0.04U/mlの濃度で37℃下に作用さ
せ、各時間におけるL−グルタミン酸を定量して、本酵
素によるL−グルタミン酸変換率(〔L-Glu〕/〔L-Gl
n〕initial,%)の経時変化を調べた。
【0032】その結果は、図5〔横軸:インキュベーシ
ョン時間(時間)、縦軸:変換率(%)〕に示す通りで
あり、本酵素はエタノールの存在の有無に拘わらず、L
−グルタミンからL−グルタミン酸への変換率が、48
時間でほぼ100%に達した。尚、図中、白丸はエタノ
ールを含まない場合を、黒丸はエタノールを含む場合を
それぞれ示す。
【0033】(9) 金属塩の影響:本酵素の金属塩に対
する影響を、以下の方法により求めた。即ち、表2に示
した各金属塩100μl、L−グルタミン(0.1m酢
酸緩衝液;pH4.0)90μl及び本酵素10μl
(0.04U)からなる反応系を調製し、37℃で60
分間反応させて得られた反応液中のL−グルタミン酸を
定量することにより、金属塩による阻害活性を調べた。
尚、相対活性は、金属塩無添加の反応液中に含まれるL
−グルタミン酸量を100%とし、各金属塩を含む反応
液中のL−グルタミン酸量を比較する値で示した。
【0034】結果を下記表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2より、本酵素は、硝酸及びトリポリリ
ン酸によって僅かに阻害を受けたが、他の金属塩に対し
ては殆ど影響を受けないことが判る。
【0037】(10) 野菜への適用:後記実施例に詳述す
るとおり、本酵素は、pH2.5〜5.0の酸性食品中
の遊離グルタミンに作用して、ピログルタミン酸を生成
することなくグルタミン酸を生成させる。
【0038】上記性質を有する本発明酸性グルタミナー
ゼは、その生産能を有する微生物を常法に従い培養する
ことにより製造できる。また、本発明者らの研究によれ
ば、市販酵素製剤である「コクゲンG20」(大和化成
株式会社製)中に、該酵素の存在が確認されており、従
って、本酵素は、かかる市販酵素製剤から単離、精製す
ることもできる。市販酵素製剤からの本酵素の単離、精
製は、既知の各種方法を単独でもしくは適宜組み合わせ
て実施することができる。
【0039】上記単離、精製手段としては、例えば、遠
心分離法、透析法、エバポレーター・限外濾過等による
濃縮法、硫安等を用いた塩析法、エタノール等による有
機溶媒沈殿法、各種クロマトグラフィー(陽イオン交換
樹脂、陰イオン交換樹脂、疎水性樹脂、ゲル濾過等)等
を採用できる。より好ましい本酵素の市販酵素製剤から
の単離・精製手段としては、例えばSP−トヨパールを
用いたカラムクロマトグラフィー、フェニルセファロー
スを用いたカラムクロマトグラフィ、DEAE−セファ
ロースを用いたカラムクロマトグラフィー、PBE94
を用いたカラムクロマトグラフィー、セファクリールS
−300を用いたカラムクロマトグラフィー等の組合せ
を例示することができ、その詳細は、後記実施例に示す
通りである。
【0040】かくして、本発明所期の酸性グルタミナー
ゼを得ることができる。
【0041】該酵素は、特にpHが酸性の食品、例えば
トマトを始めとする各種野菜類やその加工品、例えばソ
ース類、ドレッシング類、野菜エキス類、食酢、みりん
風調味料等、その他の酸性領域で調整、加工、製造され
る食品類に対して、これを利用することにより、グルタ
ミン酸の増強を図ることができる。即ち、本発明酵素
は、L,D−グルタミンに対してのみ特異的に作用し、
これに基づいて得られる食品に優れた呈味、風味等を付
与してその品質を顕著に向上させ得ると共に、食品本来
の風味には何等の悪影響をも与えない。
【0042】従って、本発明は、上記酸性グルタミナー
ゼを利用した酸性食品の呈味性向上方法をも提供するも
のである。
【0043】該方法は、原料とする各種酸性食品に、本
発明酸性グルタミナーゼを作用させることを除いて、そ
の調製、製造法は、この種各種食品におけるそれらと実
質的に同様のものとすることができる。
【0044】上記本発明酸性グルタミナーゼの食品に対
する使用量及び添加方法は、食品に応じて適宜決定でき
特に限定されるものではないが、通常使用量は食品原料
1g対して約0.001単位以上、好ましくは約0.0
05単位以上、一般には約0.01〜0.1単位の範囲
から選択されるのが望ましい。また、添加方法は、該酵
素が食品原料中に均一に混合される限り特に制限されな
い。その添加も所定量を単一回添加しても、また数回に
別けて分割添加してもよい。
【0045】更に、上記酸性グルタミナーゼを作用させ
る食品のpHは、通常約2.5〜5.0の範囲であれば
よく、特に約3.0〜4.5が好ましい。
【0046】本発明方法における酵素の作用温度及び時
間(食品の調整、加工温度及び時間)は特に限定され
ず、通常採用される条件をそのまま採用できる。上記酸
性グルタミナーゼの作用至適温度が約55℃までである
ことと、食品の保存性、風味への影響等を考慮すると、
約4〜15℃程度の温度条件下に約1〜6時間作用させ
るのが適当である。
【0047】上記酵素の利用により、充分な呈味性改善
効果が発揮される。これは得られる食品中のL−グルタ
ン酸量の増量により確認される。
【0048】かくして本発明方法によれば、顕著に呈味
性(風味等)の改善された食品が収得される。特に本発
明方法は、トマト、ニンジン等の野菜類において非常に
優れた呈味性改善効果を奏し得、之等の食品本来の呈味
性(旨味、フレバー、テクスチャー等)を向上、改善
し、マイルドでバランスのよい新しい味覚を付与でき
る。
【0049】
【発明の効果】本発明方法によれば、酸性グルタミナー
ゼを提供でき、その利用によれば、野菜類等の酸性食品
の味覚、呈味性を顕著に向上させることができ、得られ
る食品は食品業界において要望されている天然化、高級
化等に充分に合致する品質良好なものである。
【0050】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、本
発明酸性グルタミナーゼの調製例及び試験例を挙げ、次
いで該酵素の利用による食品の呈味性向上法の例を挙げ
る。
【0051】尚、各例におけるグルタミナーゼの活性測
定は、前記した方法によった。
【0052】
【実施例1】 酸性グルタミナーゼの調製 市販酵素製剤「コクゲンG20」(大和化成株式会社
製)350gを50mM酢酸緩衝液(pH3.8)に溶
解し、遠心分離(10000rpm ×15分)により不溶
物を除いた。得られた粗酵素液を予め50mM酢酸緩衝
液(pH3.8)で平衡化しておいたSP−トヨパール
550Cカラム(3.0×45cm、東ソー社製)に吸着
させ、同緩衝液で洗浄後、50mM酢酸緩衝液(pH
5.0)でグルタミナーゼの溶出を行ない、活性画分を
得た。
【0053】該活性画分に、これに対して15%飽和と
なるように硫酸アンモニウムを加え、予め15%飽和硫
安を含む50mM酢酸関し溶液(pH5.0)で平衡化
したフェニルセファロースCL−4Bカラム(3.0×
15cm、ファルマシア社製)に吸着させた。同緩衝液で
洗浄後、硫安を含まない50mM酢酸緩衝液(pH5.
0)でグルタミナーゼの溶出を行ない、活性画分を回収
した。
【0054】得られた活性画分を20mM酢酸緩衝液
(pH6.0)で透析後、50mM酢酸緩衝液(pH
6.0)で予め平衡化したQAE−トヨパール650C
カラム(1.5×18cm、東ソー社製)に吸着させ、同
緩衝液で洗浄後、食塩濃度を0Mから1Mまで連続的に
高めることにより、グルタミナーゼの溶出を行なった。
グルタミナーゼは食塩濃度0.2Mで溶出された。
【0055】得られた活性画分を25mMヒスチジン−
塩酸緩衝液(pH5.8)で透析後、透析内液を同緩衝
液で平衡化しておいたPBE−94カラム(1.0×2
5cm、ファルマシア社製)にのせ、ポリバッファー74
(Polybuffer-74)−塩酸緩衝液(pH3.9、ファル
マシア社製)でクロマトフォカシングを行なった。これ
により、グルタミナーゼはpH4.2付近に溶出され
た。
【0056】最後に、活性画分を50mM酢酸緩衝液
(pH6.0、0.15MNaClを含む)で予め平衡
化したセファクリールS−300カラム(1.6×60
cm、ファルマシア社製)にのせ、30ml/時間の流速
で1.0mlずつ分取した。
【0057】上記分離結果を図6に示す。
【0058】図において、縦軸は蛋白の吸光度(OD
280、黒丸)及びグルタミナーゼ活性(mU/ml、白
丸)を、横軸はフラクションNo.をそれぞれ示す。
【0059】かくして、5.3U/OD280の精製酵素
を得た。
【0060】
【実施例2】 トマトの呈味性向上 市販のトマト50gをさいの目に切り、トマト1g当た
り0.01〜0.1単位の実施例1で得た本発明酵素を
添加した。
【0061】ホモジナイザーを用いて5分間、1000
0rpmで破砕処理した後、80℃の浴槽中で30分間
放置して酵素を失活させ、氷水にて冷却した後、遠心分
離(10000rpm×15分間)により上清を回収し
た。
【0062】比較として、グルタミナーゼ ダイワC1
00(大和化成社製)を用いて、同様の処理を行ない、
また、該酵素の代わりに水を添加して同一処理を行なっ
たブランクを設けた。
【0063】上記により得られた上清のpH及び該上清
中のL−グルタミン酸量を測定した結果を下記表3に示
す。
【0064】
【表3】
【0065】上記表より、本発明酵素は、その添加量に
比例して、トマト中のグルタミン酸量を有意に増加させ
ることができ、かくして、得られるトマトジュースの呈
味性を顕著に向上できることが明らかとなった。
【0066】
【実施例3】 ニンジンの呈味性向上 実施例2と同様にして、ニンジンを用いて本発明酸性グ
ルタミナーゼの効果を検討した。即ち、ニンジンを細か
く切り、酸性グルタミナーゼをニンジン1g当たり0.
01〜0.1単位となるように添加し、ホモジナイザー
を用いて5分間(10000rpm)破砕処理した。ガ
ーゼで得られた破砕物を搾汁し、グルタミン酸量を定量
した。
【0067】ブランクとして酵素の代わりに水を添加し
て同一処理を行なった。
【0068】上記結果を下記表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】上記表より、本発明酵素は、その添加量に
比例して、ニンジン中のグルタミン酸量を有意に増加さ
せ、得られるニンジンジュースの呈味性を顕著に向上で
きることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明酸性グルタミナーゼのpHの変動による
相対活性を調べた図である。
【図2】本発明酸性グルタミナーゼのpHの変動による
残存活性を調べた図である。
【図3】本発明酸性グルタミナーゼの温度変化による相
対活性を求めた図である。
【図4】本発明酸性グルタミナーゼの温度変化による残
存活性を調べた図である。
【図5】本発明酸性グルタミナーゼのエタノール存在及
び非存在下におけるL−グルタミンからL−グルタミン
酸への経時的変換率を求めた図である。
【図6】セファクリールS−300を用いて行なった本
発明酸性グルタミナーゼのゲル濾過クロマトグラフィの
結果を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記性質を有することを特徴とする酸性
    グルタミナーゼ。 (1) 作用:L−グルタミンを加水分解してL−グルタ
    ミン酸とアンモニアとを生成する (2) 至適pH及び安定pH範囲:至適pHはL−グル
    タミンを基質として3〜6であり、安定pH域は2.5
    〜9である (3) 基質特異性:L−及びD−グルタミン及びブトキ
    シカルボニル化−グルタミンは分解するが、L−及びD
    −アスパラギンは分解せず、上記L−グルタミンに対す
    るKm値(ミカエリス定数)は、37℃、pH4.0
    (酢酸緩衝液中)で3.2mMである (4) 至適温度及び安定温度:至適温度はpH4.0
    (0.1M酢酸緩衝液中)で、30分間の反応におい
    て、70℃であり、同pH4.0で1時間保持した場合
    に55℃まで安定である (5) pH2.5〜5.0の酸性食品中の遊離グルタミ
    ンに作用してピログルタミン酸を生成することなくグル
    タミン酸を生成させる。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の酸性グルタミナーゼ
    を、pH2.5〜5.0の範囲でグルタミンを含有する
    酸性食品に作用させることを特徴とする酸性食品の呈味
    性向上方法。
  3. 【請求項3】 酸性食品がトマトである請求項2に記載
    の呈味性向上方法。
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