JPH09146080A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置及びその製造方法

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JPH09146080A
JPH09146080A JP24807296A JP24807296A JPH09146080A JP H09146080 A JPH09146080 A JP H09146080A JP 24807296 A JP24807296 A JP 24807296A JP 24807296 A JP24807296 A JP 24807296A JP H09146080 A JPH09146080 A JP H09146080A
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plastic substrate
transparent conductive
liquid crystal
conductive film
buffer layer
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JP24807296A
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Mitsuo Nagata
光夫 永田
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のプラスチック基板を用いた液晶素子に
おいて発生していた、熱膨張係数の差に起因するプラス
チック基板とITOからなる透明導電膜との界面に発生
した内部応力によるセル厚異常を改善する。 【解決手段】 プラスチック基板20とその表面上に選
択的に形成された透明導電膜21との間に、透明導電膜
21の厚さと少なくとも同等の、望ましくは2倍以上の
膜厚の透明な絶縁膜である緩衝層22を、プラスチック
基板20のほぼ全表面上に形成する。ここで、緩衝層2
2としては、酸化珪素等の無機絶縁膜が使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック基板を
用いた液晶表示装置(以下PLCとする)の構造及び製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PLCは、軽く・薄く・割れないとい
う、ガラス基板を用いた液晶素子にない特徴を生かし
て、既に電卓・ページャー等の携帯用電子機器に多く用
いられている。また、今後も、携帯電話や携帯情報端末
等に広く用いられると予測されている。
【0003】これまでのPLCは、小型のものが多く、
表示情報量も大きくなかったため、液晶の動作モードと
してはTN方式が用いられてきた。しかし、最近、表示
情報量の拡大需要に対応するため、STN方式のPLC
の検討がなされている。STN方式の場合、複屈折の違
いによって表示を行うため、TN方式よりもはるかに均
一に、液晶パネルの液晶層の厚さを制御すること(以下
セル厚制御とする)が必要となる。ところが、近年、P
LCのセル厚制御はガラス基板を用いた液晶素子に較べ
て非常に難しい事がわかってきた。
【0004】このような背景から、最近、液晶層厚の均
一化の為の様々な技術が開発されつつある。しかしなが
ら、従来行われてきた努力の多くは、基板表面自体の平
坦度の改善であり、例えばギャップ剤の散布方法とか、
あるいは組立時の条件の最適化等、主として製造条件の
改善であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、STN方式
に対応できるセル厚制御の抜本的改善という問題意識の
もと、セル厚制御の要因分析を行った結果得られた、以
下に述べたような知見に基づきなされたものである。
【0006】通常、上記のようなPLCの一方のプラス
チック基板10は、図3に示すような断面形状になる。
すなわち、図3においてプラスチック基板10の表面上
には、パターニング後に残ったITO(インジウムスズ
酸化物)からなる透明導電膜(画素電極)11が選択的
に形成されている。ここで、実際に断面形状を測定する
と、透明導電膜11の周縁部には透明導電膜11の膜厚
よりも大きな段差が形成されている。この大きな段差
は、透明導電膜11の周縁部に対応する位置に、プラス
チック基板10の変形部10bが存在することによっ
て、丁度ITOパターンの境界部分で見かけ上あたかも
透明導電膜11の膜厚以上の段差が生じているように見
えるのである。この段差を実測すると0.3μm〜1.
0μm程度であり、元々この部分に存在するITO膜の
段差の数倍から十数倍に達する。
【0007】ITOパターン境界部分で異常に変形した
このような基板を用いて液晶セルを作成すれば、透明導
電膜11の形成部分と非形成部分とでかなりのセル厚の
差を示す事は容易に推察できる。実際、このような従来
の方式で作成した基板で作った液晶セルのセル厚分布
は、透明導電膜11のない部分が、透明導電膜11の膜
厚の差以上に厚くなっていた。このため、セル厚が不均
一になり、液晶表示体の表示領域に着色が発生し、表示
品位を大きく損なうという問題点が生ずる。
【0008】そこで、本発明はこのような原因によるセ
ル厚の不均一を解決する事を目的とし、その構造及び製
造方法を改善することによって、セル厚の均一性を保持
して表示品位の高い液晶表示装置を実現するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、液晶層を挟持する2枚の基板
のうちの少なくとも一方にプラスチック基板を用い、該
プラスチック基板の表面上に選択的に形成された透明導
電膜を備えた液晶表示装置において、前記プラスチック
基板と前記透明導電膜との間に、前記プラスチック基板
よりも前記透明導電膜に近い熱膨張係数を有する透明絶
縁膜からなる緩衝層を表示領域に亘ってほぼ全面的に形
成したことを特徴とする。
【0010】本発明においては、プラスチック基板と透
明導電膜との間に、プラスチック基板よりも透明導電膜
に近い熱膨張係数を有する緩衝層をほぼ全面的に形成す
ることがポイントとなっている。この緩衝層の形成によ
る効果を説明する為には、まず従来の基板が何故図3に
示したような異常な形状になったのかを解明する必要が
ある。その理由は次のように考えられる。
【0011】まず、プラスチック基板にスパッタリング
等でITOからなる透明導電膜11を形成した直後の状
態は、図4(a)のようになっている。この時、プラス
チック基板10及び透明導電膜11は成膜時の加熱によ
って100℃程度に加熱されている。次に、このプラス
チック基板10を常温まで下げると図4(b)のように
変形する。何故なら、プラスチック基板10の膨張係数
は透明導電膜11(ITO)に較べて遥かに(2桁程
度)大きく、成膜時の温度と常温との温度差に比例した
収縮がおきるのに対し、透明導電膜11の膨張係数はプ
ラスチック基板に較べると非常に小さくほとんど収縮し
ない。その結果、プラスチック/ITO界面に内部応力
が発生し、図4(b)のように湾曲形状に変形するので
ある。
【0012】次に、透明導電膜11のパターニングによ
り、プラスチック基板10上の透明導電膜11の一部を
取り去ると、図4(c)のように、透明導電膜11の除
去された部分10aはほぼ平坦な表面を備えた状態とな
る。何故なら、透明導電膜11が取り去られたプラスチ
ック基板10の表面にはもはや内部応力は存在しないか
らである。但し、以上の説明は、基板に全く外力がかか
らない状態、すなわち無重力状態を前提にしている。現
実には、図4(c)のような形状のプラスチック基板1
0を平坦なテーブル上に置き、基板全体をおおむね平坦
にすれば、柔らかいプラスチック基板10は基本的には
全体的に平坦になる。しかし、ミクロに見ると、透明導
電膜11の有る部分と無い部分との境界では、内部応力
も有から無へと急激に変化しており、この応力分布の急
激な変化に対応したミクロな形状の歪みが存在する。こ
の歪みはわずかなものではあるが、図4(d)のような
形状の、プラスチック基板10の変形部10bとして残
ってしまう。すなわち透明導電膜11の取り去られた部
分10aは図4(d)に示すように透明導電膜11と逆
の曲率を持ってしまう。
【0013】このようなメカニズムによる基板変形は、
実測すると高々1μm以下のわずかなものである。しか
し、0.1μm以下のセル厚制御を要求されるSTNに
はきわめて大きな影響を与え、表示品位を低下させるも
のとなる。
【0014】以上の知見に鑑みると、従来、プラスチッ
ク基板10と透明導電膜11との間に発生していた内部
応力は、プラスチック基板と緩衝層との間に多くが発生
し、緩衝層と透明導電膜との間の内部応力は大きく減少
する。何故ならば、緩衝層の熱膨張係数はプラスチック
基板よりも透明導電膜に近いからである。したがって透
明導電膜の周縁部の変形は減少する。また、プラスチッ
ク基板と緩衝層との間に発生する内部応力は、緩衝層が
ほぼ全面的に形成されていることから部分的に集中して
発生することはなく、全体に分散されるため、プラスチ
ック基板の変形にはほとんど寄与しない。したがって、
全体的にもプラスチック基板の平坦性を保持することが
できる。
【0015】なお、緩衝層の熱膨張係数は、透明導電膜
とほぼ同一であることが最も望ましいことは明らかであ
る。この場合には、透明導電膜の周縁部におけるプラス
チック基板の変形はほとんど発生しない。
【0016】また、前記プラスチック基板と前記透明導
電膜との間に、無機絶縁膜からなる緩衝層を表示領域に
亘ってほぼ全面的に形成したことを特徴とする。
【0017】この手段によれば、無機絶縁膜は、一般的
にプラスチック基板よりも透明導電膜に近い熱膨張係数
を有するので、上記と同様の作用を得ることができる。
【0018】ここで、前記緩衝層は酸化珪素の薄膜であ
ることが好ましい。
【0019】この手段によれば、酸化珪素は透明導電膜
とほぼ同様の熱膨張係数を有するため、上述の理由によ
って透明導電膜の周縁部におけるプラスチック基板の変
形はほとんど発生せず、液晶セルの厚さを均一にするこ
とができる。
【0020】この場合にはさらに、前記緩衝層の厚さ
は、前記透明導電膜とほぼ同程度の厚さから6000Å
程度までの範囲内であることが望ましい。
【0021】この手段によれば、緩衝層の厚さを、透明
導電膜とほぼ同様の厚さから6000Åまでの範囲内に
することによって上述の効果を充分に得ることができ
る。緩衝層が透明導電膜よりも薄くなると、プラスチッ
ク基板との間の内部応力を緩衝層が吸収しにくくなり、
透明導電膜の周縁部の変形を生ずる恐れが出てくる。緩
衝層が6000Åを超えると、酸化珪素からなる緩衝層
にクラックが発生する危険性があり、表示体の不良率が
増加する。
【0022】この場合に、前記緩衝層の厚さは、前記透
明導電膜の2倍以上であると効果的である。
【0023】この手段によれば、透明導電膜の周縁部の
変形を実質的になくすことが可能となる。
【0024】次に、液晶層を挟持する2枚の基板のうち
の少なくとも一方にプラスチック基板を用い、該プラス
チック基板の表面上に選択的に形成された透明導電膜を
備えた液晶表示装置の製造方法においては、前記プラス
チック基板の上に、前記プラスチック基板よりも前記透
明導電膜に近い熱膨張係数を有する透明絶縁膜からなる
緩衝層を表示領域に亘ってほぼ全面的に形成し、この緩
衝層の上に、前記透明導電膜を形成するものである。
【0025】また、前記プラスチック基板の上に、無機
絶縁膜からなる緩衝層を表示領域に亘ってほぼ全面的に
形成し、この緩衝層の上に、前記透明導電膜を形成する
場合もある。
【0026】これらの場合には、前記緩衝層は酸化珪素
の薄膜であることが好ましく、さらにこの場合には、前
記緩衝層は、製造の容易性から塗膜焼成法により形成さ
れることが望ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照して本発
明の実施形態について説明する。
【0028】図1は本発明に係る液晶表示装置の実施形
態において、図示しない液晶層を挟持する2枚のプラス
チック基板の表面構造を示すものである。本発明の効果
は基板毎に得られるので、液晶表示装置の2枚の基板の
うち一方のみがこのような構造となっていてもよい。
【0029】プラスチック基板20は、種々の透明樹脂
で形成された厚さ数百μm程度の基板であり、この上
に、厚さ数百Å〜数千Å程度の透明な無機絶縁膜22が
全面的に形成される。無機絶縁膜22の形成範囲は、通
常、液晶表示体の表示領域であるが、プラスチック基板
20の表面上に全面的に形成してもよい。この上に、I
TOからなる透明導電膜21が選択的に形成されてい
る。ここで、無機絶縁膜22の材質としては、透明導電
膜になるべく近い熱膨張係数を有するものが選定される
が、少なくとも、プラスチック基板20の熱膨張係数よ
りも透明導電膜の熱膨張係数に近いものである必要があ
る。
【0030】液晶表示装置としては、上記プラスチック
基板の内面上に配向膜を塗布し、ラビング処理を施した
後に、シール材を介して2枚の基板を相互に貼り合わせ
る。ここで、基板間に樹脂粒子等からなるスペーサを分
散配置する場合もある。その後、シール材の開口部から
液晶を注入して、封止し、液晶セルが形成される。この
後の工程は液晶表示体の種類によって様々であるが、例
えばSTN方式の場合には偏向板が貼着される。
【0031】図2は、上記図1に示すプラスチック基板
20を備えた液晶表示装置の製造工程の一部を示す工程
摸式図である。まず、図2(a)に示すように、プラス
チック基板20の表面上に無機絶縁膜22と、透明導電
膜21とを順次積層する。ここで、透明導電膜21の形
成工程では、一般にスパッタリング法や蒸着法が用いら
れるが、これらの方法において、プラスチック基板を1
00℃程度に加熱することによって、低抵抗でかつ緻密
な透明導電膜が形成できる。
【0032】次に、このプラスチック基板20を室温に
戻すと、図2(b)に示すように、透明導電膜21及び
無機絶縁膜22と、プラスチック基板20との間の熱膨
張係数の差によって湾曲する。これは、一般に、プラス
チック基板20の熱膨張係数が、透明導電膜21及び無
機絶縁膜22の熱膨張係数に対して2桁程度大きいから
である。透明導電膜21と無機絶縁膜22の熱膨張係数
は、無機絶縁膜22の材質にも依るが、一般的に同桁の
値となっている。
【0033】次に、図2(c)に示すように、透明導電
膜21をフォトリソグラフィ法によってパターニングす
る。これによって、透明導電膜21は液晶表示領域内の
画素領域毎に選択的に形成される。ここで、透明導電膜
21をパターニングして、透明導電膜21に被覆されて
いない部分が形成される。しかし、透明導電膜21と無
機絶縁膜22との間の内部応力は小さいため、透明導電
膜21の除去によるプラスチック基板20の変形はほと
んど発生しない。
【0034】一方、プラスチック基板20と無機絶縁膜
22との間には、熱膨張係数の差に起因する大きな内部
応力が発生する場合もある。しかし、無機絶縁膜22は
少なくとも表示領域内においては全面的に形成されてい
るため、内部応力は全表示領域に亘って分散され、局部
的なプラスチック基板20の変形は生じない。
【0035】最終的にプラスチック基板20の形状は、
スペーサの存在、重力、液晶圧力等によって平坦化さ
れ、図2(d)に示すように、局部的な変形箇所もな
く、全体的にも平坦なプラスチック基板が得られる。
【0036】プラスチック基板と透明導電膜との間に形
成する緩衝層の材質は、基本的にプラスチック基板の熱
膨張係数よりも透明導電膜の熱膨張係数に近い熱膨張係
数を有するものである。このような緩衝層として無機絶
縁膜がある。無機絶縁膜としては、後述する酸化珪素の
他に、窒化珪素、窒化アルミニウム等のように、薄膜と
しては透明であり、しかも、透明導電膜と実質的に同様
の熱膨張係数を備えたものが好ましい。
【0037】無機材料の熱膨張係数の値は、一般に10
-7/℃のオーダーであり、ITOの熱膨張係数もまたこ
の程度である。また、100%酸化珪素である石英ガラ
スの熱膨張係数は5.5×10-7/℃であり、ITOの
熱膨張係数とほとんど変わらない。一方、後述するポリ
カーボネートやポリエーテルサルフォンを含む有機材料
のように、プラスチック基板に用いられる有機材料の熱
膨張係数は、一般に4〜7×10-5/℃であり、この値
は材料によって極端に変化することはない。
【0038】したがって、緩衝層に無機材料を用いるこ
とによって、緩衝層の熱膨張係数はプラスチック基板よ
りも透明導電膜に近くなり、上述と同様の効果を得るこ
とができる。実際には、ほとんどの無機材料は、プラス
チック基板に比べると透明導電膜にきわめて近い熱膨張
係数を備えているため、実質的には、透明導電膜と緩衝
層との熱膨張係数の差は問題とはなりにくい。
【0039】上記の無機材料の中で、特に酸化珪素は透
明導電膜とほとんど同じ熱膨張係数を備えており、ま
た、透光性が良好で、製造コストが低く、製造が容易で
ある点で、緩衝層の材質として最も好ましいものであ
る。以下に、緩衝層として酸化珪素の薄膜を用いた実施
例について説明する。
【0040】〔実施例1〕ポリカーボネートフィルムを
基材とする厚さ約130μmのプラスチック基板を用
い、その表面に緩衝層である無機絶縁膜として、スパッ
タリングにより酸化珪素(SiO2 )膜を300Å、5
00Å及び1000Åの厚さにそれぞれ成膜した3種類
の基板を作成した。さらにそれぞれの無機絶縁膜上にス
パッタリング法によりITO膜を500Åの厚さに形成
した。スパッタリング時の基板温度はいずれも80℃で
行った。次に、ITO膜をフォトリソグラフによりパタ
ーニングした後、もう一方の基板、好ましくは同様に無
機絶縁膜及びITO膜を被着したプラスチック基板と貼
り合わせ、3種のSTN液晶セルを形成した。
【0041】また別途、これらの液晶セルと比較するた
め、従来の製法、すなわち酸化珪素膜を形成せずに直接
プラスチック基板表面にITO膜を500Åの厚さに形
成した基板を用いて同様の方法で作成したSTN液晶セ
ルも用意した。
【0042】これらの液晶セルのセル厚、特にITOパ
ターン部分とITOパターンの無い部分との間の厚さの
差を比較した。その結果、従来構造のものが最も悪く、
ITOパターンの境界部分における段差は、ITO膜の
膜厚よりもかなり大きくなっていた。また、酸化珪素の
膜厚が300Åのものは多少段差が小さくなっている程
度であり、従来構造のものから見て、その改善度合いは
僅かであった。
【0043】一方、酸化珪素の厚さが500Åのもの
と、1000Åのものは、従来のものと違い、ITOパ
ターンの境界部分の段差がITO膜の厚さに近くなって
おり、明らかに段差が小さくなっていることが観察され
た。これはITOパターンの有無にかかわらず酸化珪素
膜とプラスチック基板との界面全面に均一な内部応力が
存在していることによる効果であると考えられる。特
に、酸化珪素の厚さが1000ÅのものはほとんどIT
O膜の厚さと同じ段差を備えていた。
【0044】酸化珪素の膜厚が300Åのものが従来の
ものとそれほど差が無かった理由は必ずしも明らかでは
ないが、現象論的にITO膜の厚さと酸化珪素膜の厚さ
との比が大きい程、プラスチック基板の平坦性が良くな
っている事を考慮すると、ITOの膜厚と酸化珪素の膜
厚の比が改善効果を律していると考えられる。本実施例
から判断すると酸化珪素とITOの膜厚比が同等になる
と明らかに急激な改善効果が発生し、特に、膜厚比が2
倍になるとITO膜の形成によるセル厚への影響はほと
んど消失する。
【0045】〔実施例2〕ポリカーボネートフィルムを
基材とする厚さ約130μmのプラスチック基板を用
い、その表面に、ポリシラザン溶液を塗布焼成すること
により、厚さ2000Åの酸化珪素膜を形成した。その
上にITO膜をスパッタリングによりそれぞれ厚さ10
00Å及び2000Åに形成した2種類の基板を作成し
た。スパッタリング時の基板温度は80℃で行った。次
にITO膜をフォトリソグラフによりパターニングした
のち、それぞれ上述と同様に基板を貼り合わせてSTN
液晶セルとした。
【0046】これら2種の液晶セルのセル厚、特にIT
Oパターン部分とITOパターンの無い部分との厚みの
差を従来の方法で作成した液晶セルと比較した。その結
果、これらの液晶セルは従来構造のものより均一性が大
幅に向上しており、しかも厚さが1000Åのものより
2000Åのほうが良かった。
【0047】本実施例においては、無機絶縁膜の厚さ制
御がそれ程必要なく、ある程度厚さが厚いほど効果的で
あり、しかも、パターニングが不要であり、プラスチッ
ク基板の全表面上に形成してもよいことから、酸化珪素
膜を塗膜焼成法によって形成している。この方法により
形成することによって、製造工程の管理が比較的容易に
なり、生産効率も向上させることができ、製造コストも
低減できる。
【0048】〔実施例3〕ポリエーテルサルフォンフィ
ルムを基材とする厚さ約200μmのプラスチック基板
を用い、その表面に、スパッタリングにより酸化珪素を
膜厚500Åに形成した基板を作成した。その上にIT
O膜をスパッタリングにより厚さ500Åに形成した。
スパッタリング時の基板温度は80℃で行った。次にI
TO膜をフォトリソグラフによりパターニングしたの
ち、上述と同様にSTN液晶セルとした。
【0049】この液晶セルのセル厚、特にITOパター
ン部分とITOパターンの無い部分との厚みの差を従来
の方法で作成した液晶セルと比較した。その結果、この
液晶セルは均一性に優れ、ITO膜の境界部分の段差部
の基板変形も大きく低減されていた。
【0050】〔実施例4〕ポリエーテルサルフォンフィ
ルムを基材とする厚さ約200μmのプラスチック基板
を用い、その表面上にスパッタリング法により、それぞ
れ約1000Åと、約2000Åの厚さの酸化珪素膜を
全面的に形成し、2種類の基板を作成した。次に、それ
ぞれの基板における酸化珪素膜の表面上にITO膜をス
パッタリング法により全面的に約500Åの厚さに形成
した。スパッタリング時の基板温度は約100℃とし
た。最後に、ITO膜をフォトリソグラフによってパタ
ーニングして基板を完成させ、さらに、上述と同様にし
て2種類のSTN液晶セルを完成させた。
【0051】これらの液晶セルのセル厚、特にITOパ
ターン部分とITOパターンのない部分との厚さの差を
従来構造の液晶セルと比較した。その結果、本実施例の
2種類の液晶セルは、双方共に従来構造のようなセル厚
の不均一性や表示不良が見られず、セル厚の均一性に優
れ、表示品位も全く支障のないものであった。
【0052】〔実施例5〕ポリカーボネートフィルムを
基材とする厚さ約130μmのプラスチック基板を用
い、その表面上にスパッタリング法により、約1500
Åと、約2000Åの厚さを有する酸化珪素膜をそれぞ
れ形成し、2種類の基板を作成した。それぞれの基板に
おいては、酸化珪素膜の表面上に厚さ500ÅのITO
膜をスパッタリング法によって形成した。スパッタリン
グ時の基板温度は約80℃とした。次に、ITO膜をフ
ォトリソグラフによってパターニングした後、基板の貼
り合わせによりSTN液晶セルを形成した。
【0053】この実施例においても、2種類の液晶セル
の双方とも、従来構造の液晶セルにあった問題点はほぼ
完全に解消され、セル厚の均一性に優れ、表示品位も全
く支障のないものであった。
【0054】以上の実施例において、無機絶縁膜を、ス
パッタリング法と、塗膜焼成法とによって形成している
が、これに限定されるものではなく、蒸着法、CVD法
その他の方法によって形成してもよい。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、以下
の効果を奏する。
【0056】請求項1又は請求項2によれば、従来、プ
ラスチック基板10と透明導電膜11との間に発生して
いた内部応力は、緩衝層の形成によってプラスチック基
板と緩衝層との間に多くが発生し、緩衝層と透明導電膜
との間の内部応力は大きく減少するため、透明導電膜の
周縁部の変形は減少し、また、プラスチック基板と緩衝
層との間に発生する内部応力は、緩衝層がほぼ全面的に
形成されていることから部分的に集中して発生すること
はなく、全体に分散されるため、プラスチック基板の変
形にはほとんど寄与しない。したがって、全体的にもプ
ラスチック基板の平坦性を保持することができ、液晶層
の厚さの均一性を高めることができるから、液晶の表示
品位を向上させることができる。
【0057】請求項3によれば、酸化珪素は透明導電膜
とほぼ同様の熱膨張係数を有するため、上述の理由によ
って透明導電膜の周縁部におけるプラスチック基板の変
形はほとんど発生せず、液晶セルの厚さを均一にするこ
とができる。
【0058】請求項4によれば、緩衝層の厚さを、透明
導電膜とほぼ同様の厚さから6000Åまでの範囲内に
することによって上述の効果を充分に得ることができ
る。緩衝層が透明導電膜よりも薄くなると、プラスチッ
ク基板との間の内部応力を緩衝層が吸収しにくくなり、
透明導電膜の周縁部の変形を生ずる恐れが出てくる。緩
衝層が6000Åを超えると、酸化珪素からなる緩衝層
にクラックが発生する危険性があり、表示体の不良率が
増加する。
【0059】請求項5によれば、緩衝層の厚さを透明導
電膜の厚さの2倍以上とすることによって透明導電膜の
周縁部の変形を実質的になくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の実施形態における
一方のプラスチック基板の構造を示す概略構成断面図で
ある。
【図2】本発明に係る液晶表示装置の製造方法の実施形
態における主要部分のプラスチック基板の状態を示す工
程摸式図(a)〜(d)である。
【図3】従来構成の液晶表示装置におけるプラスチック
基板の構造を示す概略構成断面図である。
【図4】従来構成の液晶表示装置の製造方法の主要部分
におけるプラスチック基板の状態を示す工程摸式図
(a)〜(d)である。
【符号の説明】
10,20 プラスチック基板 10a 透明導電膜の取り去られた部分 10b (プラスチック基板の)変形部 11,21 透明導電膜 22 緩衝層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶層を挟持する2枚の基板のうちの少
    なくとも一方にプラスチック基板を用い、該プラスチッ
    ク基板の表面上に選択的に形成された透明導電膜を備え
    た液晶表示装置において、 前記プラスチック基板と前記透明導電膜との間に、前記
    プラスチック基板よりも前記透明導電膜に近い熱膨張係
    数を有する透明絶縁膜からなる緩衝層を表示領域に亘っ
    てほぼ全面的に形成したことを特徴とする液晶表示装
    置。
  2. 【請求項2】 液晶層を挟持する2枚の基板のうちの少
    なくとも一方にプラスチック基板を用い、該プラスチッ
    ク基板の表面上に選択的に形成された透明導電膜を備え
    た液晶表示装置において、 前記プラスチック基板と前記透明導電膜との間に、無機
    絶縁膜からなる緩衝層を表示領域に亘ってほぼ全面的に
    形成したことを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記緩
    衝層は酸化珪素の薄膜であることを特徴とする液晶表示
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記緩衝層の厚さ
    は、前記透明導電膜とほぼ同程度の厚さから6000Å
    程度までの範囲内であることを特徴とする液晶表示装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記緩衝層の厚さ
    は、前記透明導電膜の2倍以上であることを特徴とする
    液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 液晶層を挟持する2枚の基板のうちの少
    なくとも一方にプラスチック基板を用い、該プラスチッ
    ク基板の表面上に選択的に形成された透明導電膜を備え
    た液晶表示装置の製造方法において、 前記プラスチック基板の上に、前記プラスチック基板よ
    りも前記透明導電膜に近い熱膨張係数を有する透明絶縁
    膜からなる緩衝層を表示領域に亘ってほぼ全面的に形成
    し、この緩衝層の上に、前記透明導電膜を形成すること
    を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 液晶層を挟持する2枚の基板のうちの少
    なくとも一方にプラスチック基板を用い、該プラスチッ
    ク基板の表面上に選択的に形成された透明導電膜を備え
    た液晶表示装置の製造方法において、 前記プラスチック基板の上に、無機絶縁膜からなる緩衝
    層を表示領域に亘ってほぼ全面的に形成し、この緩衝層
    の上に、前記透明導電膜を形成することを特徴とする液
    晶表示装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は請求項7において、前記緩
    衝層は酸化珪素の薄膜であることを特徴とする液晶表示
    装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記緩衝層は塗膜焼
    成法により形成されることを特徴とする液晶表示装置の
    製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6786790B2 (en) 2001-04-05 2004-09-07 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method and apparatus for manufacturing optical resin substrate, method and apparatus for manufacturing liquid crystal display element using it, and liquid crystal display device using it
JP2008041343A (ja) * 2006-08-03 2008-02-21 Geomatec Co Ltd 発熱性樹脂基板
US7595105B2 (en) * 2003-12-19 2009-09-29 General Electric Company Multilayer device and method of making
US7671364B2 (en) 2005-10-21 2010-03-02 Samsung Electronics Co., Ltd. Thin film transistor substrate for display unit

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