JPH09144844A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JPH09144844A
JPH09144844A JP30151895A JP30151895A JPH09144844A JP H09144844 A JPH09144844 A JP H09144844A JP 30151895 A JP30151895 A JP 30151895A JP 30151895 A JP30151895 A JP 30151895A JP H09144844 A JPH09144844 A JP H09144844A
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sun gear
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Sakuo Kurihara
作雄 栗原
Kazutaka Kawada
和隆 川田
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Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きなトルク配分比と充分な差動制限力とを
得る。 【解決手段】 エンジンにより回転駆動されるデフケー
ス37と、デフケース37の支持孔51に摺動回転自在
に支持された複数個のヘリカルピニオンギヤ49と、各
ギヤ49と噛み合う出力側のヘリカルサンギヤ55及び
ヘリカルインターナルギヤ53と、ギヤ55とギヤ53
との間に設けられ、各ギヤ53、55の噛み合いスラス
ト力により押圧されこれらの相対回転を制限する差動制
限力増強手段91とを備えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両に用いられ
るデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−137386号公報に図12
のようなデファレンシャル装置201が記載され、DE
3906650 A1号公報に図13のようなデファ
レンシャル装置203が記載されている。
【0003】これらのデファレンシャル装置201、2
03は4輪駆動車のセンターデフ(エンジンの駆動力を
前輪と後輪とに分配するデファレンシャル装置)等に用
いられる。
【0004】デファレンシャル装置201は、デフケー
ス205、デフケース205の内部に配置され、互いに
歯数の異なる一対の出力側サイドギヤ207、209、
デフケース205の支持孔211、213にそれぞれ摺
動回転自在に支持され、互いに噛み合ってサイドギヤ2
07、209を連結する複数個のピニオンギヤ215、
217などから構成されている。
【0005】また、デファレンシャル装置203は、デ
フケース219、デフケース219の支持孔221に摺
動回転自在に支持された複数個のピニオンギヤ223、
各ピニオンギヤ223の径方向内側でピニオンギヤ22
3と噛み合った出力側のサンギヤ225、各ピニオンギ
ヤ223の径方向外側でピニオンギヤ223と噛み合っ
た出力側のインターナルギヤ227などから構成されて
いる。
【0006】歯数の大きいサイドギヤ209とインター
ナルギヤ227は、例えば、4輪駆動車の後輪側に連結
され、歯数の小さいサイドギヤ207とサンギヤ225
は前輪側に連結される。
【0007】デフケース205を回転させるエンジンの
駆動力はピニオンギヤ215、217からサイドギヤ2
07、209を介して、また、デフケース219を回転
させるエンジンの駆動力はピニオンギヤ223からサン
ギヤ225とインターナルギヤ227とを介して、それ
ぞれ前輪側と後輪側とに伝達される。悪路走行時や旋回
時などで、前後輪間に駆動抵抗差が生じたときは各ピニ
オンギヤ215、217、223の自転により駆動力は
前後の車輪に差動分配される。
【0008】トルクの伝達中は、サイドギヤ207、2
09との噛み合い反力によってピニオンギヤ215、2
17が支持孔211、213に押し付けられて摩擦抵抗
が生じ、サンギヤ225との噛み合い反力によってピニ
オンギヤ223が支持孔221に押し付けられて摩擦抵
抗が生じると共に、各ギヤの噛み合い部で摩擦抵抗が生
じ、これらの摩擦抵抗によってトルク感応型の差動制限
力が得られる。
【0009】更に、サイドギヤ209、207と、イン
ターナルギヤ227とサンギヤ225にそれぞれ歯数比
を与えたことによって後輪側と前輪側に大小の駆動トル
クが送られ、センターデフとして好適なトルクの不等配
分特性が得られる。例えば、上記のように後輪側に大き
な駆動トルクを送るように構成すれば、発進時にエンジ
ンの駆動力を有効に利用して駆動力ロスを低減すること
ができ、旋回時に車両の姿勢を安定させることができ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前後輪間に必要なトル
ク配分比は車種によって異なり、車種によってはかなり
大きなトルク配分比が要求されるものがある。
【0011】しかし、デファレンシャル装置201のよ
うに、出力側のギヤに外歯歯車のサイドギヤ207、2
09を用いるものは、トルク配分比を大きくするとピニ
オンギヤ215、217の径や配置を変える必要があ
り、トルク配分比を大きくすることには限界があると共
に、デファレンシャル装置201が径方向に大型化し車
両への搭載が不可能になる。
【0012】一方、デファレンシャル装置203では、
出力側のギヤにサンギヤ225とインターナルギヤ22
7を用いたことによって、トルク配分比を無理なく大き
くすることができる。また、後輪側の配分トルクを前輪
側より大きくし、このトルク配分比を増大すれば後輪駆
動車の特性に近づき、車両の旋回軌道がよりニュートラ
ルになって操縦性が安定すると共に、発進時と加速時の
駆動力ロスを更に低減することができる。
【0013】しかし、一方の出力ギヤにインターナルギ
ヤ227を用いたことにより、ピニオンギヤ223と支
持孔221との摺動面積が狭くなっていると共に、ピニ
オンギヤ223がシングルであるから、支持孔221で
大きな摩擦抵抗が得られず、充分な差動制限力を得るこ
とが難しい。差動制限力が不足すると、悪路などで空転
側の車輪からトルクが抜けて車両の運動性能が著しく低
下する。
【0014】そこで、この発明は、大きなトルク配分比
と充分な差動制限力とが得られるデファレンシャル装置
の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシ
ャル装置は、エンジンの駆動力により回転駆動されるデ
フケースと、デフケースに形成された支持孔に外周を摺
動回転自在に支持された複数個のピニオンギヤと、各ピ
ニオンギヤの内側でこれらのピニオンギヤと噛み合う出
力側のサンギヤと、各ピニオンギヤの外側でこれらのピ
ニオンギヤと噛み合う出力側のインターナルギヤと、デ
フケースとピニオンギヤとサンギヤとインターナルギヤ
の内の2部材間に設けられ、これらの相対回転を制限す
る差動制限力増強手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】デフケースを回転させるエンジンの駆動力
は、ピニオンギヤを介してサンギヤとインターナルギヤ
とに分配される。このとき、歯数の大きいインターナル
ギヤ側の車輪には大きな駆動トルクが送られ、歯数の小
さいサンギヤ側の車輪にはそれより小さな駆動トルクが
送られ、トルクの不等配分特性が得られる。
【0017】このトルク配分比は、出力ギヤに外歯歯車
のサンギヤと内歯歯車のインターナルギヤとを用いるこ
とによって大きな値が得られるから、車両のセンターデ
フに用いて後輪側に大きなトルクを送るように構成すれ
ば、後輪駆動車に近い特性が得られ、旋回軌道のニュー
トラルな旋回が行え、操縦性が安定すると共に、発進時
と加速時の駆動力ロスが大きく低減する。
【0018】また、トルクの伝達中は、噛み合い反力に
よってピニオンギヤが支持孔に押し付けられて生じる摩
擦抵抗と、各ギヤの噛み合い部で生じる摩擦抵抗とによ
りトルク感応型の差動制限力が得られる。
【0019】更に、このトルク感応型の差動制限力に加
えて、デフケースとピニオンギヤとサンギヤとインター
ナルギヤの内の2部材間に差動制限力増強手段を設けた
ことにより差動制限力が強化され、充分な差動制限力を
得ている。
【0020】従って、悪路などの低μ路で一側車輪が空
転しても、この大きな差動制限力により他側の車輪に大
きな駆動力が送られて、車両の運動性能の低下が防止さ
れる。
【0021】請求項2のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置において、ピニオンギヤと
サンギヤとインターナルギヤとがヘリカルギヤで構成さ
れると共に、差動制限力増強手段が摩擦クラッチであ
り、デフケースとピニオンギヤとサンギヤとインターナ
ルギヤの内の2部材間に設けられ、伝達トルクを受けて
発生するヘリカルギヤの噛み合いスラスト力により少な
くともいずれかのギヤに押圧されて締結されるように構
成されたものであり、請求項1のデファレンシャル装置
と同様に、大きなトルク配分比と充分な差動制限力とが
得られる。
【0022】摩擦クラッチの差動制限力に加えて、ヘリ
カルギヤの噛み合いスラスト力によってギヤの端面で摩
擦抵抗が生じ、トルク感応型の差動制限機能が更に強化
される。
【0023】また、摩擦クラッチをいずれかのギヤで押
圧するように構成したから、押圧用の部材を新規に設け
る必要がなく、部品点数の増加を防止できる。更に、摩
擦クラッチを相対回転する上記の2部材間に配置するだ
けで差動制限力増強手段を構成することができ、構造が
簡単で実施が容易である。
【0024】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置において、回転差感応型の
差動制限力増強手段をデフケースとピニオンギヤとサン
ギヤとインターナルギヤの内の2部材間に設けたもので
あり、請求項1のデファレンシャル装置と同様に、大き
なトルク配分比と充分な差動制限力とが得られる。
【0025】これに加えて、回転差感応型の差動制限機
能を加えたことにより、差動制限力の急激な立ち上がり
が防止され、雪道や泥濘地のように車輪が急激に滑り易
い路面条件でも車体の挙動が安定し、運動性能が安定す
る。
【0026】また、ピニオンギヤと支持孔との摩擦抵抗
などによるトルク感応型の差動制限機能と、回転差感応
型の差動制限機能とを併せ持っているから、アクセルに
対するレスポンスがよく、どのような路面状況でも車両
の操縦性と安定性とを向上させる。
【0027】請求項4のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置において、デフケースとピ
ニオンギヤとサンギヤとインターナルギヤの内の2部材
間に設けられた摩擦クラッチとこれを押圧するばね部材
とで差動制限力増強手段を構成したものであり、請求項
1のデファレンシャル装置と同様に、大きなトルク配分
比と充分な差動制限力とが得られる。
【0028】これに加えて、ばね部材によって締結され
る摩擦クラッチにより、伝達トルクや差動回転数と無関
係に常時一定の差動制限力(初期差動制限力)が得られ
るから、車両の発進が円滑に行える。
【0029】請求項5のデファレンシャル装置は、請求
項2ないし4のいずれかのデファレンシャル装置におい
て、サンギヤとインターナルギヤとを連結する差動制限
力増強手段を、デフケースの軸方向でピニオンギヤとイ
ンターナルギヤとの間に配置したものであり、請求項2
ないし4のいずれかのデファレンシャル装置と同様に、
大きなトルク配分比と充分な差動制限力とが得られる。
【0030】これに加えて、相対回転速度が高い2つの
出力軸間に差動制限力増強手段を配置するように構成し
たから、さらに強力な差動制限力が得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1、2、3、4及び図11によ
り本発明の第1実施形態を説明する。この実施形態は請
求項1、2、5の特徴を備えている。図1はこの実施形
態のデファレンシャル装置を示し、図11は各実施形態
を用いた4輪駆動車の動力系を示す。なお、左右の方向
はこの車両及び図1での左右の方向であり、符号を与え
ていない部材等は図示されていない。
【0032】図11のように、この動力系は、横置きの
エンジン1、トランスミッション3、トランスファ5を
構成するセンターデフ7(図1のデファレンシャル装
置)及び方向変換機構9、トランスファケース11の内
部に配置されたフロントデフ13(左右の前輪に駆動力
を分配するデファレンシャル装置)、前車軸15、1
7、左右の前輪19、21、プロペラシャフト23、方
向変換機構25、リヤデフ27(左右の後輪に駆動力を
分配するデファレンシャル装置)、後車軸29、31、
左右の後輪33、35などから構成されている。
【0033】エンジン1の駆動力はトランスミッション
3からセンターデフ7を介して分配され、前輪側には直
接フロントデフ13に伝達され、後輪側には方向変換機
構9とプロペラシャフト23と方向変換機構25とを介
してリヤデフ27に伝達される。伝達された駆動力は、
フロントデフ13によって左右の前輪19、21に分配
され、リヤデフ27によって左右の後輪33、35に分
配される。
【0034】図1のように、センターデフ7のデフケー
ス37はケーシング本体39とケーシング部材41とを
ボルト43で固定して構成されている。デフケース37
にはリングギヤ45(図11)が固定されており、リン
グギヤ45はトランスミッション3の出力ギヤ47(図
11)と噛み合っている。こうして、デフケース37は
エンジン1の駆動力によって回転駆動される。
【0035】デフケース37はベアリングを介してトラ
ンスファケース11の内部に支承されており、トランス
ファケース11にはオイル溜りが設けられている。この
オイルはセンターデフ7や方向変換機構9などトランス
ファケース11内部の回転部材によって撥ね上げられ
る。
【0036】デフケース37の内部には複数本のヘリカ
ルピニオンギヤ49が周方向等間隔に配置されており、
これらはデフケース37に形成された支持孔51に摺動
回転自在に支持されている。
【0037】また、デフケース37の内部にはそれぞれ
ヘリカルギヤで構成されたインターナルギヤ53とサン
ギヤ55とが配置されている。各ピニオンギヤ49は、
径方向内側でサンギヤ55と噛み合い、径方向外側でイ
ンターナルギヤ53と噛み合っている。
【0038】インターナルギヤ53はフランジ部57と
ハブ部59とを備えており、ハブ部59でケーシング部
材41に形成されたボス部61の内周に回転自在に支持
されている。ハブ部59はケーシング部材41の右端側
から外部に貫通しており、その右端部には後輪側に連結
するためのスプライン部63が設けられている。また、
インターナルギヤ53の外周面はケーシング部材41の
内周に設けられた摺動面65に摺動回転自在に支持され
ており、フランジ部57とケーシング部材41との間に
はスラストワッシャ67が配置されている。
【0039】サンギヤ55は中空に形成されており、左
のハブ部69でケーシング本体39に形成されたボス部
71の内周に回転自在に支持されている。ハブ部69の
内周には前輪側に連結するためのスプライン部73が設
けられている。
【0040】図1のように、サンギヤ55とインターナ
ルギヤ53は、矢印75の範囲で、径方向にオーバーラ
ップしている。また、支持孔51の径方向外側部77の
幅79は各ピニオンギヤ49の半分の歯幅81より広く
してある。サンギヤ55の左端部はこの径方向外側部7
7と径方向に対向している。
【0041】図11に示すように、インターナルギヤ5
3のハブ部59は伝動ギヤ83、85からなるギヤ伝動
機構87の伝動ギヤ83側にスプライン連結され、方向
変換機構9を介して後輪33、35側に連結されてい
る。
【0042】また、サンギヤ55のハブ部69はフロン
トデフ13のデフケース89側にスプライン連結されて
おり、フロントデフ13の左の車軸15はサンギヤ55
のハブ部69を貫通している。このように、センターデ
フ7はフロントデフ13及び前車軸15、17と同軸上
に配置されている。
【0043】サンギヤ55とインターナルギヤ53との
間には、これらを連結する多板クラッチ91(摩擦クラ
ッチ:差動制限力増強手段)が配置されており、この多
板クラッチ91はデフケース37の軸方向でピニオンギ
ヤ49とインターナルギヤ53との間(ピニオンギヤ4
9の右方)に配置されている。
【0044】サンギヤ55上にはスナップリング93が
装着され、サンギヤ55の右端部とインターナルギヤ5
3のフランジ部57との間には隙間95が設けられてお
り、サンギヤ55のスラスト力が、インターナルギヤ5
3に直接作用せず、スナップリング93を介して多板ク
ラッチ91に入力するようにされている。
【0045】また、スナップリング93を用いる代わり
に、図3のように、サンギヤ55に段差部97を設け、
図4のように、この段差部97で多板クラッチ99(摩
擦クラッチ:差動制限力増強手段)を押圧するように構
成してもよい。
【0046】デフケース37を回転させるエンジン1の
駆動力は、各ピニオンギヤ49からインターナルギヤ5
3とサンギヤ55とを介して後輪側と前輪側とに分配さ
れる。このとき、歯数の大きいインターナルギヤ53側
の後輪33、35には大きな駆動トルクが送られ、歯数
の小さいサンギヤ55側の前輪19、21にはそれより
小さな駆動トルクが送られ、センターデフに最適なトル
クの不等配分特性が得られる。
【0047】また、例えば悪路などで前後輪間に駆動抵
抗差が生じると、各ピニオンギヤ49の自転によってエ
ンジン1の駆動力は前後各側に差動分配される。
【0048】トルクの伝達中は、各ギヤの噛み合い部で
摩擦抵抗が発生する。
【0049】また、各ピニオンギヤ49の外周はサンギ
ヤ55との噛み合い反力によりデフケース37の支持孔
51に押し付けられて摩擦抵抗が発生し、インターナル
ギヤ53は各ピニオンギヤ49との噛み合い反力により
ケーシング部材41の摺動面65に押し付けられて摩擦
抵抗が発生する。更に、ヘリカルギヤの噛み合いスラス
ト力により、スラストワッシャ67を介してインターナ
ルギヤ53のフランジ部57とケーシング部材41との
間で摩擦抵抗が発生し、サンギヤ55の左端部とデフケ
ース37との間で摩擦抵抗が発生する。
【0050】これらの摩擦抵抗により、トルク感応型の
差動制限力が得られる。
【0051】これに加えて、サンギヤ55の噛み合いス
ラスト力によりスナップリング93を介して多板クラッ
チ91が押圧され、あるいは、段差部97を介して多板
クラッチ99が押圧されると共に、インターナルギヤ5
3の噛み合いスラスト力により多板クラッチ91、99
がピニオンギヤ49との間で押圧されて締結し、トルク
感応型の差動制限力を強化する。
【0052】各ギヤの捩じれ角は、車両の前進走行時に
噛み合いスラスト力が多板クラッチ91、99を押圧
し、後進時は押圧しない方向にされている。
【0053】また、図1のように、デフケース37には
開口101が設けられている。トランスファケース11
のオイル溜りから撥ね上げられたオイルは開口101か
らデフケース37の内部に流入し、ピニオンギヤ49の
回転に伴うヘリカルギヤの歩みによって各ギヤの噛み合
い部やトルク感応型の差動制限力を発生する各摺動部に
強制的に導かれ、これらを充分に潤滑する。
【0054】こうして、センターデフ7が構成されてい
る。
【0055】センターデフ7では、上記のように、出力
ギヤに外歯歯車のサンギヤ55と内歯歯車のインターナ
ルギヤ53とを用いることによって大きなトルク配分比
(歯数比)を得、更に、上記のように後輪側に大きなト
ルクが送られるように構成されている。
【0056】従って、車両は後輪駆動車に近いトルク配
分特性が得られ、旋回軌道がニュートラルになって操縦
性が安定すると共に、発進時と加速時の駆動力ロスが大
きく低減する。
【0057】また、多板クラッチ91、99を配置して
差動制限力を強化したことにより、図13の従来例と異
なって、充分な差動制限力を得ている。
【0058】図2は、センターデフ7のトルク配分特性
を示すグラフであり、縦軸が後輪側に送られるトルク
(リヤ軸トルク)であり、横軸が前輪側に送られるトル
ク(フロント軸トルク)である。
【0059】また、45°の破線のグラフ103は前後
輪にトルクを等配分する場合の特性であり、グラフ10
5はセンターデフ7のトルク配分特性である。グラフ1
05がグラフ103より縦軸側に傾斜していることか
ら、後輪側に前輪側より大きいトルクが送られることが
分かる。
【0060】更に、グラフ107は前輪側が空転したと
き、センターデフ7の差動制限機能によって後輪側に送
られる駆動トルクを示し、グラフ109は後輪側が空転
したとき前輪側に送られる駆動トルクを示す。
【0061】グラフ107とグラフ105との角度αは
グラフ109とグラフ105との角度βより大きくなっ
ており、空転時もインターナルギヤ53とサンギヤ55
の歯数比によって後輪側に前輪側より大きい駆動力が送
られることが分かる。
【0062】車両の後進時は、上記のように、多板クラ
ッチ91、99による差動制限力が発生しないから、
A.B.S(アンチロック・ブレーキ・システム)との
干渉が防止され、制動時の車体の安定性が向上する。
【0063】また、インターナルギヤ53とサンギヤ5
5とで多板クラッチ91、99を押圧するように構成し
たから、押圧用の部材を新規に設ける必要がなく、部品
点数の増加を防止できる。更に、多板クラッチ91、9
9をインターナルギヤ53とサンギヤ55の間に配置す
るだけで差動制限力増強手段を構成することができるか
ら、構造が簡単で実施が容易である。
【0064】更に、多板クラッチ91、99を相対回転
速度の高い出力側のインターナルギヤ53とサンギヤ5
5との間に配置したから、一層強力な差動制限力が得ら
れる。
【0065】これに加えて、サンギヤ55の左端部から
ピニオンギヤ49に入力する噛み合い反力と、センター
デフ7が回転している時のピニオンギヤ49の遠心力は
支持孔51の径方向外側部77が受けるが、上記のよう
に、径方向外側部77の幅79を各ピニオンギヤ49の
半分の歯幅81より広くしてあるから、ピニオンギヤ4
9が確実に保持され、遠心力によるピニオンギヤ49の
倒れが防止される。
【0066】また、サンギヤ55とインターナルギヤ5
3が、矢印75の範囲で、径方向にオーバーラップして
いるから、図13に矢印で例を示したように、サンギヤ
55とインターナルギヤ53からピニオンギヤ49に入
力する反対方向の噛み合い反力がこのオーバーラップ部
で相殺され、ピニオンギヤ49の倒れが防止される。
【0067】従って、ピニオンギヤ49と支持孔51と
の偏摩耗や焼き付きが防止されてこれらの間の摩擦抵抗
が安定し、差動制限機能が安定する。
【0068】更に、サンギヤ55を中空にし前車軸15
を貫通させたことにより、図11のように、センターデ
フ7とフロントデフ13との同軸配置が可能になり、こ
れらを同軸配置したことによりトランスファ5がコンパ
クトになっている。
【0069】次に、図5及び図11により本発明の第2
実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、3、5
の特徴を備えている。図5はこの実施形態のデファレン
シャル装置を示す。左右の方向は図11の車両及び図5
での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図
示されていない。
【0070】なお、図5と図11及び第2実施形態の説
明において、第1実施形態のセンターデフ7との同機能
部材には同一の符号が与えられていると共に、主要部以
外の重複説明は省略する。
【0071】第2実施形態のデファレンシャル装置は図
11のセンターデフ111として用いられ、エンジン1
の駆動力を分配し、インターナルギヤ53側の後輪3
3、35に大きな駆動トルクを送り、サンギヤ55側の
前輪19、21に小さな駆動トルクを送る。また、悪路
などで前後輪間に駆動抵抗差が生じると、前後各側に駆
動力を差動分配する。
【0072】図5のように、サンギヤ55とインターナ
ルギヤ53は回転差感応型の差動制限機能を持ったカッ
プリング113(差動制限力増強手段)で連結されてい
る。
【0073】このカップリング113は、ハウジング1
15とハブ117との間に形成された、例えば粘性流体
のせん断抵抗を利用したものや、オイルポンプの吐出圧
力を利用したものなど、ハウジング115とハブ117
との間の回転数差の上昇に応じた回転抵抗を差動制限力
としたものである。
【0074】トルクの伝達中は、各ギヤの噛み合い部で
摩擦抵抗が発生し、噛み合い反力により各ピニオンギヤ
49と支持孔51の間やインターナルギヤ53とケーシ
ング部材41の摺動面65の間で摩擦抵抗が発生する。
また、インターナルギヤ53が受ける右方向のヘリカル
ギヤの噛み合いスラスト力によりスラストワッシャ67
を介してインターナルギヤ53のフランジ部57とケー
シング部材41との間で摩擦抵抗が発生し、インターナ
ルギヤ53の左方向の噛み合いスラスト力によりハウジ
ング115とピニオンギヤ49及びピニオンギヤ49と
ケーシング本体39との間で摩擦抵抗が発生し、更に、
サンギヤ55の噛み合いスラスト力によりサンギヤ55
の両端部とデフケース37との間で摩擦抵抗が発生す
る。
【0075】これらの摩擦抵抗により、トルク感応型の
差動制限力が得られる。
【0076】悪路などで前後輪の一方が空転した場合
は、伝達トルクが低下しトルク感応型の差動制限機能で
は大きな差動制限力が得られず、悪路走破性を充分に改
善できないが、回転差感応型のカップリング113を設
けたことにより前後輪の一方が空転したときに大きな差
動制限力が発生し、悪路走破性が大きく改善される。
【0077】また、カップリング113による回転差感
応型の差動制限機能を備えたことにより、トルク感応型
の差動制限機能による急激な差動制限力の立ち上がりが
防止され、雪道や泥濘地のように前後輪間で大きな差動
回転数差が生じる路面条件で、車体の挙動が安定し、運
動性能が向上する。
【0078】更に、このようにトルク感応型の差動制限
機能と回転差感応型の差動制限機能の両方を備えている
から、アクセルワークに対するレスポンスが向上し、ど
のような路面状況でも車両に優れた操縦性と安定性とを
与える。
【0079】こうして、センターデフ111が構成され
ている。
【0080】センターデフ111では、出力ギヤに外歯
歯車のサンギヤ55と内歯歯車のインターナルギヤ53
とを用いることによって大きなトルク配分比(歯数比)
を得ており、更に、後輪側に大きなトルクが送られるよ
うに構成されている。
【0081】従って、車両は後輪駆動車に近いトルク配
分特性が得られ、旋回軌道がニュートラルになって操縦
性が安定すると共に、発進時と加速時の駆動力ロスが大
きく低減する。
【0082】これに加えて、回転差感応型のカップリン
グ113で差動制限力を強化したことにより充分な差動
制限力が得られ、上記のように、低μ路での走破性や運
動性能などが向上している。
【0083】また、このカップリング113を相対回転
速度の高い出力側のインターナルギヤ53とサンギヤ5
5の差動回転を直接制限するように配置したことによ
り、一層強力な差動制限力が得られる。
【0084】更に、支持孔51の径方向外側部77の幅
79を各ピニオンギヤ49の半分の歯幅81より広くし
て、ピニオンギヤ49を確実に保持し遠心力によるピニ
オンギヤ49の倒れを防止すると共に、サンギヤ55と
インターナルギヤ53を径方向にオーバーラップさせて
ピニオンギヤ49の倒れを防止したから、ピニオンギヤ
49と支持孔51との偏摩耗や焼き付きが防止され、こ
れらの間の摩擦抵抗が安定し、差動制限機能が安定す
る。
【0085】また、センターデフ111をフロントデフ
13と同軸配置したことによりトランスファ5がコンパ
クトになっている。
【0086】次に、図6ないし図10及び図11により
本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態は請求
項1、4の特徴を備えている。図6はこの実施形態のデ
ファレンシャル装置を示す。左右の方向は図11の車両
及び図6での左右の方向であり、符号を与えていない部
材等は図示されていない。
【0087】なお、これらの図面及び第3実施形態の説
明において、第1、2実施形態のセンターデフ7、11
1との同機能部材には同一の符号が与えられていると共
に、主要部以外の重複説明は省略する。
【0088】第3実施形態のデファレンシャル装置は図
11のセンターデフ125として用いられている。
【0089】図6のように、センターデフ125は、デ
フケース127、ピニオンギヤ129、インターナルギ
ヤ131、サンギヤ133、差動制限力増強手段135
などから構成されている。
【0090】図7のように、デフケース127はケーシ
ング本体137とプレート139とをボルト141で固
定して構成されている。デフケース127はケーシング
本体137の左端部に設けられたスプライン部143で
入力ギヤ145(図11)側に連結されており、この入
力ギヤ145はトランスミッション3の出力ギヤ147
(図11)と噛み合っている。こうして、デフケース1
27はエンジン1の駆動力によって回転駆動される。
【0091】各ギヤ129、131、133はヘリカル
ギヤで構成されている。
【0092】デフケース127とインターナルギヤ13
1はそれぞれベアリング149によってトランスファー
ケース11の内部に支承されていると共に、これらのベ
アリング149により互いの間隔を一定に保持されてい
る。
【0093】サンギヤ133は左のハブ部151でケー
シング本体137の内周に支承され、右のハブ部153
でインターナルギヤ131のハブ部155内周に支承さ
れている。サンギヤ133とケーシング本体137及び
インターナルギヤ131のフランジ部157との間には
それぞれスラストワッシャ159が配置されている。
【0094】図11に示すように、インターナルギヤ1
31のハブ部155はギヤ伝動機構87の伝動ギヤ83
側にスプライン連結され、方向変換機構9を介して後輪
33、35側に連結されている。
【0095】また、サンギヤ133のハブ部153はフ
ロントデフ13のデフケース89側にスプライン連結さ
れており、フロントデフ13の左の車軸15はサンギヤ
133のハブ部151、153を貫通している。このよ
うに、センターデフ125はフロントデフ13及び前車
軸15、17と同軸上に配置されている。
【0096】図8のように、ピニオンギヤ129は周方
向等間隔に4個配置されている。各ピニオンギヤ129
は径方向内側でサンギヤ133と噛み合い、径方向外側
でインターナルギヤ131と噛み合っている。
【0097】図6、7のように、デフケース127のケ
ーシング本体137には支持孔161が形成されてお
り、各ピニオンギヤ129はこの支持孔161に摺動回
転自在に支持されている。これらの支持孔161には、
図7、10のように、ピニオンギヤ129を全周で支持
する全周支持部163が形成されている。
【0098】また、図6、7、9のように、デフケース
127のケーシング本体137には環状の支持壁165
が形成されており、この支持壁165は各ピニオンギヤ
129とインターナルギヤ131のフランジ部157と
の間に配置され、各ピニオンギヤ129の右側端面を支
持している。また、図6のように、プレート139は各
ピニオンギヤ129の左側端面を支持している。
【0099】図8のように、ケーシング本体137の全
周支持部163と支持壁165とは延長支持部167で
連結されている。
【0100】図6のように、サンギヤ133とインター
ナルギヤ131は、矢印169の範囲で、径方向にオー
バーラップしている。また、支持孔161の径方向外側
部171の幅173は各ピニオンギヤ129の半分の歯
幅175より広くしてある。サンギヤ133の左端部は
この径方向外側部171と径方向に対向している。
【0101】差動制限力増強手段135は、図6のよう
に、ケーシング本体137とインターナルギヤ131と
の間に配置されたリング状の摩擦板177(摩擦クラッ
チ)とウェーブリング179(ばね部材)とから構成さ
れており、図8のように、摩擦板177は内周のギヤ部
181で各ピニオンギヤ129と噛み合っている。
【0102】ウェーブリング179はばね圧で摩擦板1
77をケーシング本体137に押し付けて各ピニオンギ
ヤ129の回転を制動し、差動回転数や伝達トルクと無
関係な一定の差動制限力(初期差動制限力)を発生させ
る。
【0103】デフケース127を回転させるエンジン1
の駆動力は、各ピニオンギヤ129からインターナルギ
ヤ131とサンギヤ133とを介して後輪側と前輪側と
に分配される。このとき、歯数の大きいインターナルギ
ヤ131側の後輪33、35には大きな駆動トルクが送
られ、歯数の小さいサンギヤ133側の前輪19、21
にはそれより小さな駆動トルクが送られ、センターデフ
に最適なトルクの不等配分特性が得られる。
【0104】また、悪路などで前後輪間に駆動抵抗差が
生じると、各ピニオンギヤ129の自転によってエンジ
ン1の駆動力は前後各側に差動分配される。
【0105】トルクの伝達中は、各ギヤの噛み合い部で
摩擦抵抗が発生する。
【0106】また、各ピニオンギヤ129はサンギヤ1
33との噛み合い反力によりケーシング本体137の支
持孔161に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。
【0107】更に、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力
により、各ピニオンギヤ129の両端面とケーシング本
体137の支持壁165とプレート139との間で摩擦
抵抗が発生し、スラストワッシャ159を介してサンギ
ヤ133の両端面とケーシング本体137及びインター
ナルギヤ131のフランジ部157との間で摩擦抵抗が
発生する。
【0108】これらの摩擦抵抗により、トルク感応型の
差動制限機能が得られる。
【0109】このトルク感応型差動制限力に加えて、上
記のように、差動制限力増強手段135が差動制限力を
強化する。
【0110】図6のように、ケーシング本体137とプ
レート139との間には隙間183が設けられている。
トランスファケース11のオイル溜りから撥ね上げられ
たオイルはこの隙間183からデフケース127とイン
ターナルギヤ131の内部に流入し、ピニオンギヤ12
9の回転に伴って各ギヤの噛み合い部やトルク感応型の
差動制限力を発生する各摺動部に強制的に導かれ、これ
らを充分に潤滑する。また、差動制限力増強手段135
は外部に露出しているから、オイル溜りのオイルによっ
て充分に潤滑され冷却される。
【0111】こうして、センターデフ125が構成され
ている。
【0112】上記のように、センターデフ125では、
出力ギヤに外歯歯車のサンギヤ133と内歯歯車のイン
ターナルギヤ131とを用いることによって大きなトル
ク配分比(歯数比)を得ると共に、後輪側に大きなトル
クが送られるように構成されている。
【0113】従って、車両は後輪駆動車に近いトルク配
分特性が得られ、旋回軌道がニュートラルになって操縦
性が安定すると共に、発進時と加速時の駆動力ロスが大
きく低減する。
【0114】更に、差動制限力増強手段135の初期差
動制限力により、上記のように、車両の発進が円滑に行
える。
【0115】また、摩擦板177とウェーブリング17
9とからなる差動制限力増強手段135は構造が簡単
で、実施が容易である。
【0116】これに加えて、サンギヤ133の左端部か
らピニオンギヤ129に入力する噛み合い反力と、セン
ターデフ125が回転している時のピニオンギヤ129
の遠心力は支持孔161の径方向外側部171が受ける
が、上記のように、径方向外側部171の幅173を各
ピニオンギヤ129の半分の歯幅175より広くしてあ
るから、ピニオンギヤ129が確実に保持され、遠心力
によるピニオンギヤ129の倒れが防止される。
【0117】また、サンギヤ133とインターナルギヤ
131とが、矢印169の範囲で、径方向にオーバーラ
ップしているから、サンギヤ133とインターナルギヤ
131からピニオンギヤ129に入力する反対方向の噛
み合い反力がこのオーバーラップ部で相殺され、ピニオ
ンギヤ129の倒れが防止される。
【0118】更に、支持孔161に全周支持部163を
設けたことによって、ピニオンギヤ129の支持状態が
更に向上する。
【0119】こうして、ピニオンギヤ129と支持孔1
61との偏摩耗や焼き付きが防止されてこれらの間の摩
擦抵抗が安定し、差動制限機能が安定する。
【0120】また、ピニオンギヤ129の支持孔161
は単一のケーシング本体137に形成されているから、
ピニオンギヤを異なった部材で支持するデフケースと異
なって、ピニオンギヤ129の支持状態が良好であり、
偏摩耗や焼き付きが防止されて耐久性が向上し、センタ
ーデフ125の正常な機能が長く保たれる。
【0121】また、センターデフ125のデフケース1
27は駆動力の入力部(スプライン部143)が、径方
向ではなく軸方向の端部に配置されているから、それだ
け小径でコンパクトであり、レイアウト上有利である。
【0122】更に、センターデフ125をフロントデフ
13と同軸配置したことによりトランスファ5がコンパ
クトになっている。
【0123】また、インターナルギヤ131は外部に露
出しているから、オイルによる冷却効果が高く、それだ
け耐久性が向上する。
【0124】なお、本発明のデファレンシャル装置は、
エンジンのクランク軸に対して縦置きのトランスファに
も搭載可能である。
【0125】また、本発明のデファレンシャル装置にお
いて、各ギヤはスパーギヤで構成してもよい。
【0126】
【発明の効果】請求項1のデファレンシャル装置は、出
力ギヤに外歯歯車のサンギヤと内歯歯車のインターナル
ギヤとを用いることによって大きなトルク配分比が得ら
れるから、車両のセンターデフに用いて、例えば、後輪
側に大きなトルクが送られるように構成すれば、後輪駆
動車に近い特性が得られ、旋回軌道がニュートラルにな
って操縦性が安定すると共に、発進時と加速時の駆動力
ロスが大きく低減する。
【0127】また、トルクの伝達中は、噛み合い反力に
よってピニオンギヤが支持孔に押し付けられて生じる摩
擦抵抗と、各ギヤの噛み合い部で生じる摩擦抵抗とによ
りトルク感応型の差動制限力が得られる。
【0128】更に、このトルク感応型の差動制限力に加
えて、デフケースとピニオンギヤとサンギヤとインター
ナルギヤの内の2部材間に差動制限力増強手段を設けた
ことにより、差動制限力が強化されて充分な差動制限力
を得ており、低μ路で一側車輪が空転しても、この大き
な差動制限機能により他側の車輪に大きな駆動力が送ら
れて、車両の運動性能が大きく向上する。
【0129】請求項2のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置と同様に、大きなトルク配
分比と充分な差動制限力とが得られる。
【0130】更に、この差動制限力増強手段の摩擦クラ
ッチに加えて、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によ
りギヤの端面で摩擦抵抗が生じ、トルク感応型の差動制
限機能が強化される。
【0131】また、いずれかのギヤで摩擦クラッチを押
圧するように構成したから、押圧用の部材を新規に設け
る必要がなく、部品点数の増加を防止できると共に、摩
擦クラッチを相対回転する上記の2部材間に配置するだ
けで差動制限力増強手段を構成することができ、構造が
簡単で実施が容易である。
【0132】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置と同様に、大きなトルク配
分比と充分な差動制限力とが得られる。
【0133】これに加えて、回転差感応型の差動制限機
能により、差動制限力の急激な立ち上がりが防止され、
雪道や泥濘地のように車輪が急激に滑り易い路面条件で
も車体の挙動が安定し、運動性能が安定する。
【0134】また、トルク感応型と回転差感応型の両差
動制限機能を併せ持っているから、アクセルに対するレ
スポンスがよく、どのような路面状況でも車両の操縦性
と安定性とを向上させる。
【0135】請求項4のデファレンシャル装置は、請求
項1のデファレンシャル装置と同様に、大きなトルク配
分比と充分な差動制限力とが得られる。
【0136】これに加えて、ばね部材によって締結され
る摩擦クラッチにより初期差動制限力が得られ、車両の
発進が円滑に行える。
【0137】請求項5のデファレンシャル装置は、請求
項2ないし4のいずれかのデファレンシャル装置と同様
に、大きなトルク配分比と充分な差動制限力とが得られ
る。
【0138】これに加えて、相対回転速度の高いサンギ
ヤとインターナルギヤとの間に差動制限力増強手段を配
置するように構成したから、さらに強力な差動制限力が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態のトルク配分特性を示す図であ
る。
【図3】図1の実施形態に用いられたサンギヤの他の態
様を示す断面図である。
【図4】図3のサンギヤを用いた第1実施形態の他の態
様を示す要部断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図7】図6の実施形態に用いられたデフケースの縦断
面図である。
【図8】図6のX−X断面図である。
【図9】図6のY−Y断面図である。
【図10】図7のZ−Z断面図である。
【図11】各実施形態のデファレンシャル装置を用いた
4輪駆動車の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図12】従来例の断面図である。
【図13】他の従来例の断面図である。
【符号の説明】
7、111、125 センターデフ(デファレンシャル
装置) 37、127 デフケース 49、129 ピニオンギヤ 51、161 支持孔 53、131 出力側インターナルギヤ 55、133 出力側サンギヤ 91、99 多板クラッチ(摩擦クラッチ:差動制限力
増強手段) 113 カップリング(回転差感応型の差動制限力増強
手段) 135 差動制限力増強手段 177 摩擦板(摩擦クラッチ) 179 ウェーブリング(ばね部材)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力により回転駆動される
    デフケースと、デフケースに形成された支持孔に外周を
    摺動回転自在に支持された複数個のピニオンギヤと、各
    ピニオンギヤの内側でこれらのピニオンギヤと噛み合う
    出力側のサンギヤと、各ピニオンギヤの外側でこれらの
    ピニオンギヤと噛み合う出力側のインターナルギヤと、
    デフケースとピニオンギヤとサンギヤとインターナルギ
    ヤの内の2部材間に設けられ、これらの相対回転を制限
    する差動制限力増強手段とを備えたことを特徴とするデ
    ファレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 ピニオンギヤとサンギヤとインターナル
    ギヤとがヘリカルギヤで構成され、差動制限力増強手段
    が、デフケースとピニオンギヤとサンギヤとインターナ
    ルギヤの内の2部材間に設けられ、伝達トルクを受けて
    発生するヘリカルギヤの噛み合いスラスト力により少な
    くともいずれかのギヤに押圧されて締結される摩擦クラ
    ッチである請求項1のデファレンシャル装置。
  3. 【請求項3】 差動制限力増強手段が、デフケースとピ
    ニオンギヤとサンギヤとインターナルギヤの内の2部材
    間に設けられ、これら2部材間の回転数差の上昇に応じ
    て増大する回転抵抗を発生し差動制限力を増強する回転
    差感応型の差動制限力増強手段である請求項1のデファ
    レンシャル装置。
  4. 【請求項4】 差動制限力増強手段が、デフケースとピ
    ニオンギヤとサンギヤとインターナルギヤの内の2部材
    間に設けられた摩擦クラッチ及びこれを押圧するばね部
    材からなる請求項1のデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 差動制限力増強手段が、サンギヤとイン
    ターナルギヤとを連結すると共に、デフケースの軸方向
    でピニオンギヤとインターナルギヤとの間に配置された
    請求項2ないし4のいずれかのデファレンシャル装置。
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