JPH0914375A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

駆動力伝達装置

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JPH0914375A
JPH0914375A JP16412695A JP16412695A JPH0914375A JP H0914375 A JPH0914375 A JP H0914375A JP 16412695 A JP16412695 A JP 16412695A JP 16412695 A JP16412695 A JP 16412695A JP H0914375 A JPH0914375 A JP H0914375A
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JP
Japan
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rack
teeth
racks
rotary gear
driving force
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Application number
JP16412695A
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English (en)
Inventor
Hidenobu Fujita
秀信 藤田
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ダブルラック機構を有する駆動力伝達装置に
おいて、2つのラック8・9が移動終端でストッパ3b
に当接し、両ラック8・9の歯8a・9aの位相が一致
しているとき、両ラック8・9のピニオン7aと噛合す
る領域Sが、回転ギア7からの駆動力を受けて矢符β方
向に撓むことによって、ピニオン7aと噛合する位置か
ら噛合しない位置へ変位し、その後、再びピニオン7a
と噛合する位置に復位するように、両ラック8・9の領
域Sが可撓性を有してる。 【効果】 回転ギア7の回転方向が矢符Y方向に変わる
とき、ピニオン7aは、位相が一致している両ラック8
・9の歯8a・9aの間に、確実に入り込み、噛合する
ことができ、必要な最低寸法の構成で歯の乗り上げや歯
先の破損を確実に防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンパクトディスクや
レーザーディスク等のディスク状記録媒体に対して、情
報の記録または再生の少くともいずれか一方を行う記録
再生装置に設けられるピックアップ送り機構などに、好
適に実施される駆動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ディスク状記録媒体の記録再生装置の一
つであるコンパクトディスク(以下、CDと称する)の
再生装置には、図5に例示されるように、CD31を載
置するターンテーブル38と、載置されたCD31に記
録された情報を読み取るためのピックアップを含むピッ
クアップ機構32と、ピックアップ送り機構30とが設
けられている。
【0003】前記ピックアップ送り機構30は、ピック
アップ機構32をCD31のラジアル方向に変位駆動す
るための駆動モータ33を備えており、駆動モータ33
の回転は、回転ギア34を介して、回転ギア35に伝達
される。回転ギア35のピニオン35aは、ガイド棒3
9に沿って摺動自在に設けられているラック36の歯3
6aと噛合している。また、ラック36は前記ピックア
ップ機構32と一体的に設けられているので、ピックア
ップ機構32は、駆動モータ33によって変位駆動さ
れ、矢符Fおよび矢符Gに示すように、ガイド棒39に
沿って回転しているCD31の全面に亘って移動するこ
とができる。
【0004】上述の構成からなるピックアップ送り機構
30は、比較的安価に生産できるので普及機種によく用
いられている。しかしながら、この構成では、回転ギア
35のピニオン35aとラック36の歯36aとの噛合
において、ピニオン35aの歯面と歯36aの歯面との
隙間(バックラッシュ)が大きいと、駆動力が正確に伝
達されず、したがって、ピックアップが正しい読み取り
位置に移動することができなくなるという欠点を有す
る。
【0005】そこで、上述の欠点を解決するために、さ
らに第2のラック37をラック36の上面に設けて、バ
ックラッシュを小さくしている。この第2のラック37
は、図6に示すように、一端がラック36の受け部36
cに当接し、他端が第2のラック37の受け部37bに
当接するコイルばね40を介して、ラック36と弾性的
に係合している。ラック36と第2のラック37とは、
このコイルばね40によって、それぞれ矢符I方向と矢
符H方向とに弾発的に付勢されているが、係止部37c
によって受け部36cの矢符I方向への動きが制限され
る一方、係止部36bによって受け部37bの矢符H方
向への動きが制限されているので、2つのラック36、
37は、受け部36cが係止部37cに当接し、受け部
37bが係止部36bに当接した状態に保持されてい
る。
【0006】この状態で、2つのラック36、37の歯
36a・37aは、図7に示すように、相互に半ピッチ
Jずれるように形成されている。さらに、前記ピニオン
35aは、歯36aと歯37aとに噛合する構成になっ
ている。そこで、たとえば図8(a)に示すように、ピ
ニオン35aの歯35a1 が、歯36a1 と歯37a2
との間に配されて噛合すると、歯35a1 の横幅Kは半
ピッチJ以上あるので、2つのラック36・37は、コ
イルばね40の弾発力に抗して、上述の状態から、受け
部36cが係止部37cと離間し、受け部37bが係止
部36bと離間した状態へと変わる。また、上述のよう
に、ラック36と第2のラック37とは、コイルばね4
0によって、それぞれ矢符I方向と矢符H方向とに弾発
的に付勢されているので、歯35a1 は、歯36a1
歯37a2 とに弾性的に挟持される。この弾性的挟持に
よって、バックラッシュを小さくすることが可能とな
る。
【0007】上述の構成からなるピックアップ送り機構
30において、図8(a)から図8(b)に示すよう
に、回転ギア35が矢符M方向に回転駆動され、この回
転ギア35の回転によって、2つのラック36・37が
矢符L方向に移動し、左方の移動終端に変位すると、以
下のように動作する。
【0008】図8(b)は、ラック36の歯36aがピ
ニオン35aと噛合する位置からはずれると共に、ラッ
ク36の端部36dがストッパ42に当接した状態を示
している。このとき、第2のラック37の歯37aはピ
ニオン35aと噛合する位置からはずれておらず、した
がって、第2のラック37はコイルばね40の弾発力に
抗して、矢符L方向に移動する。
【0009】図8(c)は、第2のラック37の歯37
aが、ラック36の歯36aと同相になった状態を示し
ている。この状態では、2つのラック36・37に駆動
力が伝達されていない。したがって、第2のラック37
は、コイルばね40によって矢符H方向に弾発的に付勢
されて、図8(d)に示すように、第2のラック37の
歯37aはピニオン35aと噛合する位置に復する。ま
た、このとき、2つのラック36・37の歯36a・3
7aは、相互に半ピッチJずれている。
【0010】回転ギア35が矢符M方向の回転を維持す
るあいだは、2つのラック36・37の動作は、上述の
図8の(b)→(c)→(d)の状態を反復する。
【0011】図8(e)に示すように、回転ギア35の
回転が変わり、矢符N方向に回転すると、ピニオン35
aの歯35a1 は、歯36a1 と歯37a1 との間に入
り込もうとするが、その間は半ピッチJしかないので噛
合することができない。したがって、それぞれの歯が乗
り上げてしまい、歯先の破損を引き起こすという欠点を
有していた。
【0012】そこで、上述の欠点を解決するために、実
公平6−2070号公報に開示される構成では、図9
(a)に示すように、前記ストッパ42の代わりに、ラ
ック36にのみ当接し、弾性部材からなるストッパ43
を設けている。この構成において、図9(a)から図9
(b)に示すように、回転ギア35が矢符M方向に回転
駆動され、この回転ギア35の回転によって、2つのラ
ック36・37が矢符L方向に移動し、左方の移動終端
に変位すると、以下のように動作する。
【0013】ラック36の端部36dがストッパ43に
当接した状態において、ラック36の歯36aはピニオ
ン35aと噛合する位置からはずれておらず、したがっ
て、ラック36は、ストッパ43を圧縮しながら矢符L
方向に移動する。
【0014】図9(b)は、ラック36の歯36aがピ
ニオン35aと噛合する位置からはずれた状態を示して
いる。このとき、ストッパ43は、幅δだけ圧縮されて
いる。また、第2のラック37の歯37aはピニオン3
5aと噛合する位置からはずれておらず、したがって、
第2のラック37はコイルばね40の弾発力に抗して、
矢符L方向に移動する。
【0015】図9(c)は、第2のラック37の歯37
aが、ラック36の歯36aと同相になった状態を示し
ている。この状態では、2つのラック36・37に駆動
力が伝達されていない。したがって、第2のラック37
はコイルばね40によって矢符H方向に弾発的に付勢さ
れ、さらに、ラック36もストッパ43の反発力によっ
て矢符H方向に弾発的に付勢される。したがって、図9
(d)に示すように、ラック36の歯36aと第2のラ
ック37の歯37aとは、ともにピニオン35aと噛合
する位置に復する。また、このとき、2つのラック36
・37の歯36a・37aは、ほぼ同相になり、その
後、図9(b)に示すように、コイルばね40によって
位相がずれる。
【0016】回転ギア35が矢符M方向の回転を維持す
るあいだは、2つのラック36・37の動作は、上述の
図9の(b)→(c)→(d)の状態を反復する。
【0017】図9(e)に示すように、回転ギア35の
回転が変わり、矢符N方向に回転すると、ピニオン35
aの歯35a1 は、歯36a1 と歯37a2 との間に入
り込み、噛合することができる。したがって、それぞれ
の歯が乗り上げてしまい、歯先の破損を引き起こすとい
う事態を回避することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ピックアッ
プを正しい読み取り位置に移動させるため、前記ピック
アップ機構32の変位駆動は、一連の制御機構によって
精密に駆動制御されている。
【0019】しかしながら、上述の構成では、図9
(b)および図9(c)に示すように、前記駆動モータ
33の駆動力によって、ストッパ43を反発力に抗して
幅δだけ圧縮させなければならず、このストッパ43の
弾性力はコイルばね40のそれよりも強く設定されてい
るため、ある程度強いことより、このとき、駆動モータ
33に強い負荷がかかる。ディスク再生時のピックアッ
プの送り制御は非常に微妙であるため、CD31の情報
を読み取るためにピックアップ機構32を変位駆動する
とき、ディスク再生領域内において、このように駆動モ
ータ33に強い負荷がかかると、制御機構による精密な
駆動制御が行えなくなる可能性がある。
【0020】したがって、ピックアップがCD31の情
報の読み取りを行わない位置にピックアップ機構32が
移動した後に、ストッパ43とラック36の端部36d
とが当接するように、ストッパ43を配置しなければな
らない。その結果、ピックアップ送り機構30の大きさ
は、必要な最低寸法よりも、さらに幅δだけ大きくしな
ければならず、小型化、省スペース設計上不向きであ
る。
【0021】また、上述の構成では、2つのラック36
・37が、反復動作が行われる図9の(b)→(c)→
(d)の状態にあるとき、2つのラック36・37の歯
36a・37aの位相がずれる瞬間がある。この瞬間
に、ピニオンの歯35a1 が、歯36a1 と歯37a2
との間に入り込もうとすると、歯35a1 が歯37a1
に乗り上げてしまい、歯先の破損を引き起こすという事
態を招来する可能性がある。
【0022】本発明の目的は、安価で信頼性が高く、か
つより小型化を実現した駆動力伝達装置を提供すること
である。
【0023】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る駆
動力伝達装置は、駆動力を伝達する回転ギアと、前記回
転ギアから伝達された駆動力によって双方向に移動可能
な第1のラックと、弾性手段によって前記第1ラックと
弾性的に係合し、第1のラックに従動する第2のラック
とを含み、前記回転ギアの歯が、前記第1のラックの歯
と前記第2のラックの歯との間に噛合して、両歯に弾性
的に挟持される駆動力伝達装置において、前記第1のラ
ックおよび前記第2のラックが移動終端で当接するスト
ッパを備えると共に、前記第1のラックおよび前記第2
のラックが前記ストッパに当接するとき、前記両ラック
の前記回転ギアの歯と噛合する領域が、前記回転ギアか
ら伝達された駆動力によって、前記回転ギアの歯と噛合
する位置から噛合しない位置へ変位可能なように、前記
両ラックの領域が可撓性を有していることを特徴とす
る。
【0024】また請求項2の発明に係る駆動力伝達装置
は、前記領域において、前記回転ギアから伝達された駆
動力を受ける前記第1のラックおよび前記第2のラック
の歯の高さが、他の歯の高さより低く形成されているこ
とを特徴とする。
【0025】
【作用】請求項1の発明に従えば、回転ギアの歯は、第
1のラックの歯と第2のラックの歯との間に噛合してお
り、回転ギアから伝達された駆動力(回転トルク)によ
って、第1のラックと第2のラックとは、双方向に移動
可能である。第2のラックは、弾性手段によって第1の
ラックと弾性的に係合しており、この弾性手段によっ
て、回転ギアの歯は、第1のラックの歯と第2のラック
の歯との間に弾性的に挟持される。また、この噛合状態
において、両ラックの歯は位相がずれている。
【0026】回転ギアの回転によって両ラックが移動
し、両ラックのいずれか一方が移動終端でストッパに当
接すると、該ラックはストッパ方向へ移動することはで
きないが、他方のラックは、前記弾性手段の弾性力に抗
して、ストッパに当接するまで移動する。こうして、両
ラックがストッパに当接すると、両ラックの歯の位相が
一致することになる。
【0027】このとき、さらに、両ラックがストッパ方
向に移動するように駆動されると、両ラックの回転ギア
の歯と噛合する領域は、回転ギアの回転トルクの分力に
よって、回転ギアの法線方向に力を受ける。このとき、
前記両ラックの領域が受ける分力Taは、回転ギアの回
転トルクをTとし、回転ギアのピッチ円直径をdとし、
回転ギアと両ラックの歯との圧力角をαとすると、Ta
=2×T×cosα×sinα/dと表すことができ
る。
【0028】前記領域は、可撓性を有しており、したが
って、上述の回転トルクの分力を受けると、この領域
は、回転ギアの法線方向に撓んで、回転ギアの歯と噛合
する位置から噛合しない位置へと変位する。撓んだ領域
は、再び回転ギアの歯と噛合する位置へ復位するが、回
転ギアの回転方向が維持されているあいだは、上述の変
位と復位とを繰り返す。
【0029】回転ギアの回転方向が変わると、回転ギア
の歯は両ラックの歯の間に噛合する。前記領域が上述の
変位と復位とを繰り返しているあいだは、両ラックの歯
の位相は一致しているので、回転ギアの歯は両ラックの
歯の間に確実に入り込み、噛合することができる。した
がって、それぞれの歯が乗り上げて、歯先の破損を引き
起こすという事態を確実に回避することができる。
【0030】また、上述のような構成で、回転ギアの歯
は、両ラックの歯の間に確実に入り込むことができるの
で、ストッパに弾性手段を設ける必要がなくなり、ま
た、ストッパを圧縮させるためのスペースを確保する必
要もなくなる。したがって、装置をより小型化すること
ができる。
【0031】請求項2の発明に従えば、前記領域におい
て、前記回転ギアから伝達された駆動力を受ける前記第
1のラックおよび前記第2のラックの歯の高さが、他の
歯の高さに比べて低く形成されている。したがって、前
記領域が、駆動力を受けて撓むことによって、回転ギア
の歯と噛合する位置から噛合しない位置へと変位すると
き、より少ない撓み量で噛合位置からはずれることがで
き、また、両ラックおよび回転ギアの歯先にかかる負担
が小さくなる。
【0032】したがって、前記領域の構成部材の耐久性
が向上するとともに、この領域での歯先の破損をより確
実に防止することができる。
【0033】
【実施例】本発明の実施例について、図1〜図4に基づ
いて説明すれば以下のとおりである。
【0034】本発明の実施例の駆動力伝達装置が用いら
れているピックアップ送り機構1は、図2に示すよう
に、CD再生装置内に、CD2を載置するターンテーブ
ル11や、載置されたCD2に記録された情報を読み取
るためのピックアップを含むピックアップ機構4などと
共に設けられ、該ピックアップ機構4をCD2のラジア
ル方向に変位駆動するための駆動モータ5を備えてい
る。
【0035】駆動モータ5の回転は、回転ギア6を介し
て、回転ギア7に伝達される。回転ギア7のピニオン7
aは、第1ラック8の歯8aと、第1ラック8に弾性結
合された第2ラック9の歯9aとに噛合している。第1
ラック8は、ガイド棒10に沿って摺動自在に設けられ
ており、ガイド棒10の両端には、両ラック8・9が移
動終端で当接するストッパ3a・3bが配設されてい
る。また、第1ラック8は前記ピックアップ機構4と一
体的に設けられているので、ピックアップ機構4は、駆
動モータ5によって変位駆動され、矢符Aおよび矢符B
に示すように、ガイド棒10に沿ってCD2のラジアル
方向に移動することができる。
【0036】図3は、第1ラック8への第2ラック9の
取付けを示す分解斜視図である。第1ラック8の側部に
は、歯8aが刻設されており、また、両端部には一対の
凹所8c1 ・8c2 が形成され、この凹所8c1 ・8c
2 に第2ラック9の係合部9c1 ・9c2 が差し込まれ
る。上部は、一段立ち上がって形成されている上段部8
gと、それよりも一段立ち下がって形成されている下段
部8hとを有し、上段部8gと下段部8hとの段差部8
bには、第2ラック9の当接片9bが当接するようにな
っている。また、上段部8gには、ビス14・15が挿
通するための挿通孔8f1 ・8f2 が形成されており、
下段部8hには、反転ばね12が取付けられる取付部8
dと、反転ばね12の一端が係止される係止部8eとが
設けられている。
【0037】第2ラック9の側部にも、歯9aが刻設さ
れており、また、両端部には一対の係合部9c1 ・9c
2 が形成されている。さらに、第2ラック9には、当接
片9bと、反転ばね12の他端を係止するための係止部
9eとが設けられている。
【0038】前記第1ラック8と、前記第2ラック9と
は、弾性を有するプラスチックから形成されている。ま
た、図1(a)に示すように、両ラック8・9の最終端
の歯8a1 ・9a1 の高さは、他の歯の高さに比べて、
幅αだけ低く形成されている。さらに、両ラック8・9
の最終端近傍、すなわち同図において両ラック8・9の
3つの歯8a1 〜8a3 ・9a1 〜9a3 が形成される
領域Sでは、両ラック8・9の歯部以外の厚みγは極端
に薄く形成され、両ラック8・9はこの領域Sで高い可
撓性を有している。これによって、後述するように、回
転ギア7の回転トルクの分力が、この領域Sの両ラック
8・9に対して、回転ギア7の法線方向に加わると、領
域Sの両ラック8・9は、同図(d)に示すように、矢
符β方向に撓む。
【0039】図4に示すように、第2ラック9の係合部
9c1 ・9c2 が、第1ラック8の一対の凹所8c1
8c2 に差し込まれ、第1ラック8に取付けられた反転
ばね12の他端が係止部9eに係止されることで、第2
ラック9は第1ラック8に取付けられる。この取付けら
れた状態で、第2ラック9は、反転ばね12の弾発力に
よって、矢符C方向に付勢されているが、当接片9bが
段差部8bに当接することによって、第2ラック9の位
置は、図4に示す位置に保持されている。また、このと
き、第1ラック8に形成されている歯8aと、第2ラッ
ク9に形成されている歯9aとは、半ピッチPずれてい
る。
【0040】上述のようにして第2ラック9が取付けら
れた第1ラック8の挿通孔8f1 ・8f2 を、2つのビ
ス14・15が挿通して、前記ピックアップ機構4に螺
着されることによって、第1ラック8は、ピックアップ
機構4にねじ止め固定される(図2参照)。
【0041】前記回転ギア7のピニオン7aは、第1ラ
ック8の歯8aと第2ラック9の歯9aとの間に噛合し
ている。そこで、たとえば図1(a)に示すように、ピ
ニオン7aの歯7a1 が、歯8a3 と歯9a2 との間に
配されて噛合すると、歯7a1 の横幅Eは半ピッチP以
上あるので、第2ラック9は、反転ばね12の弾発力に
抗して、上述の位置から、図4の矢符D方向に若干変位
する。このようにして、ピニオン7a1 が歯8a3 と歯
9a2 との間に噛合すると、反転ばね12の弾発力によ
って、ピニオン7a1 は歯8a3 と歯9a2 とに弾性的
に挟持される。この弾性的挟持によって、ピニオン7a
1 と、歯8a3 および歯9a2 とのバックラッシュを小
さくすることが可能となる。
【0042】上述の構成からなるピックアップ送り機構
1において、図1(a)から図1(b)に示すように、
回転ギア7が矢符Q方向に回転駆動され、この回転ギア
7の回転によって、2つのラック8・9が矢符R方向に
移動し、左方の移動終端に変位すると、以下のように動
作する。
【0043】図1(b)は、第2ラック9の端部9kが
前記ストッパ3bに当接した状態を示している。このと
き、第1ラック8はストッパ3bに当接しておらず、ま
た、両ラック8・9の歯8a・9aは、領域Sにおい
て、矢符Q方向に回転する回転ギア7のピニオン7aと
噛合している。したがって、両ラック8・9は、回転ギ
ア7の回転トルクによって矢符R方向に変位駆動される
も、第2ラック9は、ストッパ3bに当接しているので
移動することができない。一方、第1ラック8は、スト
ッパ3bに当接していないので、反転ばね12の弾発力
に抗して、矢符R方向に移動する。
【0044】図1(c)は、図1(b)の状態から、第
1ラック8が、矢符R方向に移動してストッパ3bに当
接した状態を示している。このとき、両ラック8・9の
歯8a・9aの位相は一致している。また、両ラック8
・9の歯8a・9aは、領域Sにおいて、矢符Q方向に
回転する回転ギア7のピニオン7aと噛合している。し
たがって、両ラック8・9は、回転ギア7の回転トルク
によって矢符R方向に変位駆動されるが、両ラック8・
9ともストッパ3bに当接しているので移動することが
できない。
【0045】領域Sにおける両ラック8・9は、前述の
ように、高い可撓性を有している。図1(c)に示す状
態で、この領域Sの両ラック8・9には、回転ギア7の
回転トルクの分力が、回転ギア7の法線方向に加えられ
ている。したがって、この領域Sの両ラック8・9は、
図1(d)に示すように、矢符β方向に撓み、両ラック
8・9の歯8a1 ・9a1 は、ピニオン7aと噛合する
位置からはずれる。
【0046】歯8a1 ・9a1 の高さは、他の歯の高さ
に比べて低く形成されているので、上述のように、領域
Sの両ラック8・9が矢符β方向に撓んで、歯8a1
9a1 がピニオン7aと噛合する位置からはずれるとき
に、より少ない撓み量で噛合位置からはずれるようにな
っている。
【0047】領域Sの両ラック8・9は撓んだ後、再び
図1(c)の状態に復する。回転ギア7が矢符Q方向の
回転を維持するあいだは、両ラック8・9の動作は、上
述の図1の(c)→(d)の状態を反復する。
【0048】図1(e)に示すように、回転ギア7の回
転が変わり、矢符Y方向に回転すると、両ラック8・9
の歯8a・9aは、図1(c)および図1(d)の状態
で位相が一致しているので、ピニオン7aの歯7a
2 は、歯8a2 と歯9a1 との間に確実に入り込み、噛
合することができる。したがって、それぞれの歯が乗り
上げて、歯先の破損を引き起こすという事態を確実に回
避することができる。
【0049】ピニオン7aの歯7a2 が、歯8a2 と歯
9a1 との間に噛合すると、矢符R方向への駆動力から
解放された両ラック8・9は、反転ばね12の弾発力に
よって、再び両歯8a・9aの位相がずれて、歯7a2
は、歯8a2 と歯9a1 とによって弾性的に挟持され
る。こうしてピニオン7aは、第1ラック8の歯8aと
第2ラック9の歯9aとの間に順次噛合していき、両ラ
ック8・9は、回転ギア7の矢符Y方向への回転によっ
て、図1(f)に示すように、矢符V方向に移動する。
【0050】以上のように、本実施例の駆動力伝達装置
は、ピニオン7aが、第1ラック8の歯8aと第2ラッ
ク9の歯9aとの間に噛合して、両歯8a・9aに弾性
的に挟持されることによって、バックラッシュを小さく
することが可能になるとともに、両ラック8・9が移動
終端でストッパ3bに当接するとき、両ラック8・9の
ピニオン7aと噛合する領域が、回転ギア7の回転トル
クの分力によって、矢符β方向に撓んで、ピニオン7a
と噛合する位置から噛合しない位置へ変位することがで
きる。この領域Sの両ラック8・9は、撓んだ後に再び
ピニオン7aと噛合する位置に復位し、回転ギア7の回
転方向が維持されるあいだは、変位と復位とを繰り返
す。
【0051】回転ギア7の回転方向が変わると、ピニオ
ン7aは両ラック8・9の歯8a・9aの間に噛合す
る。領域Sの両ラック8・9が変位と復位とを繰り返し
ているときに、両ラック8・9の歯8a・9aの位相は
一致しているので、ピニオン7aは、両ラック8・9の
歯8a・9aの間に確実に入り込み、噛合することがで
きる。
【0052】したがって、それぞれの歯が乗り上げて、
歯先の破損を引き起こすという事態を確実に回避するこ
とができ、安価で耐久性に優れた、信頼性の高い駆動力
伝達装置を提供することができる。
【0053】また、上述のような構成で、ピニオン7a
は、両ラック8・9の歯8a・9aの間に確実に入り込
むことができるので、ストッパ3bに弾性手段を設ける
必要がなくなり、また、ストッパ3bを圧縮させるため
のスペースを確保する必要もなくなる。したがって、よ
り小型化した駆動力伝達装置を提供することができる。
【0054】さらに、両ラック8・9がストッパ3bに
当接しているとき、駆動力を受ける最終端の歯8a1
9a1 の高さは、他の歯の高さに比べて低く形成されて
いるので、領域Sの両ラック8・9が矢符β方向に撓ん
で、歯8a1 ・9a1 がピニオン7aと噛合する位置か
らはずれるときに、より少ない撓み量で噛合位置からは
ずれることができ、また、ピニオン7aおよび歯8a1
・9a1 の歯先にかかる負担が小さくなる。
【0055】したがって、領域Sにおける両ラック8・
9の耐久性が向上するとともに、歯先の破損をより確実
に防止することができる。
【0056】なお、本実施例では、第1ラック8および
第2ラック9は、弾性を有するプラスチックから形成さ
れるものとしたが、これに限らず、プラスチック以外の
弾性を有する部材を用いてもよい。
【0057】また、本実施例では、領域Sを構成する弾
性部材は、両ラック8・9の延設部であり、両ラック8
・9と一体に成形されるものとしたが、これに限らず、
たとえば領域Sを構成する弾性部材を両ラック8・9と
は別体に設けて、両ラック8・9に取付ける構成として
もよい。
【0058】また、本実施例では、最終端の歯8a1
9a1 の高さのみが、他の歯の高さに比べて低く形成さ
れているものとしたが、これに限らず、両ラック8・9
がストッパ3bに当接しているとき、回転ギア7からの
駆動力を受ける歯8a・9aであれば、いずれのものが
低く形成されてもよい。
【0059】また、本実施例では、両ラック8・9の一
端部のみに、可撓性を有する領域Sを設ける構成とした
が、これに限らず、両ラック8・9の両端部に可撓性を
有する領域Sを設ける構成としてもよい。
【0060】また、本実施例では、CD再生装置のピッ
クアップ送り機構1に、本発明の駆動力伝達装置を適用
した例を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく
様々の適用が可能である。
【0061】
【発明の効果】請求項1の発明に係る駆動力伝達装置
は、以上のように、前記第1のラックおよび前記第2の
ラックが移動終端で当接するストッパを備えると共に、
前記第1のラックおよび前記第2のラックが前記ストッ
パに当接するとき、前記両ラックの前記回転ギアの歯と
噛合する領域が、前記回転ギアから伝達された駆動力に
よって、前記回転ギアの歯と噛合する位置から噛合しな
い位置へ変位可能なように、前記両ラックの領域が可撓
性を有している構成である。
【0062】これにより、両ラックが移動終端でストッ
パに当接するとき、両ラックの回転ギアの歯と噛合する
領域が、回転ギアの回転トルクの分力によって、回転ギ
アの法線方向に撓んで、回転ギアの歯と噛合する位置か
ら噛合しない位置へ変位することができる。前記領域
は、撓んだ後に再び回転ギアの歯と噛合する位置に復位
し、回転ギアの回転方向が維持されるあいだは、変位と
復位とを繰り返す。回転ギアの回転方向が変わると、回
転ギアの歯は両ラックの歯の間に噛合するが、前記領域
が変位と復位とを繰り返しているときに、両ラックの歯
の位相は常に一致しているので、回転ギアの歯は、両ラ
ックの歯の間に確実に入り込み、噛合することができ
る。
【0063】それゆえ、それぞれの歯が乗り上げて、歯
先の破損を引き起こすという事態を確実に回避すること
ができ、安価で耐久性に優れた、信頼性の高い駆動力伝
達装置を提供することができる。
【0064】また、上述のような構成で、回転ギアの歯
は、両ラックの歯の間に確実に入り込むことができるの
で、ストッパに弾性手段を設ける必要がなくなり、ま
た、ストッパを圧縮させるためのスペースを確保する必
要もなくなる。
【0065】それゆえ、より小型化した駆動力伝達装置
を提供することができる。
【0066】請求項2の発明に係る駆動力伝達装置は、
以上のように、上記請求項1の発明の構成において、前
記領域の、前記回転ギアから伝達された駆動力を受ける
前記第1のラックおよび前記第2のラックの歯の高さ
が、他の歯の高さより低く形成されている構成である。
【0067】これにより、前記領域が、駆動力を受けて
撓むことによって、回転ギアの歯と噛合する位置から噛
合しない位置へと変位するとき、より少ない撓み量で噛
合位置からはずれることができ、また、両ラックおよび
回転ギアの歯先にかかる負担が小さくなる。
【0068】それゆえ、前記領域の構成部材の耐久性が
向上するとともに、この領域での歯先の破損をより確実
に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の駆動力伝達装置の動作を説明
する説明図である。
【図2】本発明の実施例の駆動力伝達装置が用いられて
いるCD再生装置のピックアップ送り機構付近の斜視図
である。
【図3】第1ラックへの第2ラックの取付けを示す分解
斜視図である。
【図4】第1ラックに第2ラックを取付けた状態の平面
図である。
【図5】従来の駆動力伝達装置が用いられているCD再
生装置のピックアップ送り機構付近の斜視図である。
【図6】従来の駆動力伝達装置において、ラックに第2
のラックを取付けた状態の一部断面斜視図である。
【図7】従来の駆動力伝達装置において、ラックに第2
のラックを取付けた状態の斜視図である。
【図8】従来の駆動力伝達装置の動作を説明する説明図
である。
【図9】従来の駆動力伝達装置の動作を説明する説明図
である。
【符号の説明】
1 ピックアップ送り機構 3a ストッパ 3b ストッパ 4 ピックアップ機構 5 駆動モータ 6 回転ギア 7 回転ギア 7a ピニオン 8 第1ラック 8a 第1ラックの歯 9 第2ラック 9a 第2ラックの歯 10 ガイド棒 11 ターンテーブル 12 反転ばね

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動力を伝達する回転ギアと、 前記回転ギアから伝達された駆動力によって双方向に移
    動可能な第1のラックと、 弾性手段によって前記第1ラックと弾性的に係合し、第
    1のラックに従動する第2のラックとを含み、 前記回転ギアの歯が、前記第1のラックの歯と前記第2
    のラックの歯との間に噛合して、両歯に弾性的に挟持さ
    れる駆動力伝達装置において、 前記第1のラックおよび前記第2のラックが移動終端で
    当接するストッパを備えると共に、 前記第1のラックおよび前記第2のラックが前記ストッ
    パに当接するとき、前記両ラックの前記回転ギアの歯と
    噛合する領域が、前記回転ギアから伝達された駆動力に
    よって、前記回転ギアの歯と噛合する位置から噛合しな
    い位置へ変位可能なように、前記両ラックの領域が可撓
    性を有していることを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 【請求項2】前記領域において、前記回転ギアから伝達
    された駆動力を受ける前記第1のラックおよび前記第2
    のラックの歯の高さが、他の歯の高さより低く形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の駆動力伝達装
    置。
JP16412695A 1995-06-29 1995-06-29 駆動力伝達装置 Pending JPH0914375A (ja)

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