JPH09143283A - ポリアミド系樹脂フィルム - Google Patents

ポリアミド系樹脂フィルム

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JPH09143283A
JPH09143283A JP30926795A JP30926795A JPH09143283A JP H09143283 A JPH09143283 A JP H09143283A JP 30926795 A JP30926795 A JP 30926795A JP 30926795 A JP30926795 A JP 30926795A JP H09143283 A JPH09143283 A JP H09143283A
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fine particles
film
silica fine
polyamide resin
polyamide
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JP30926795A
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Akito Hamano
明人 濱野
Masanori Sugimoto
正規 杉本
Masumi Iwanishi
真純 巖西
Yuka Sakai
由花 坂井
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な滑り性を有し、特に湿度の高い環境下
においても作業性に優れ、且つ透明性が高いポリアミド
系樹脂フィルムを提供する。 【解決手段】 細孔容積が1.0〜1.5ml/gの範
囲であるシリカ微粒子を0.03〜0.30重量%含有
することを特徴とするポリアミド系樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なポリアミド系
樹脂フィルムに関し、特に滑り性が良好で高湿度環境下
においても優れた取扱い作業性を有し、且つ透明性も良
好で包装用途などに好適なポリアミド系樹脂フィルムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り1軸延伸もしくは2軸延伸さ
れたポリアミド系樹脂フィルムは、機械的特性や熱的特
性に優れると共に高いガスバリア性を有しているので、
包装用途、特に食品包装用途を主体にして広く活用され
ている。
【0003】ところで包装用途を主体に用いられるフィ
ルムには、滑り性が良好で、印刷、蒸着、ラミネート、
製袋などの作業性に優れたものであることが要求される
が、従来のポリアミド系樹脂フィルムは、高湿度環境下
で吸湿により軟化して滑り性が悪化するという難点があ
り、そのため、特に梅雨期においては取扱いもしくは加
工作業時に滑り性不足に起因する様々の問題を生じるこ
とが指摘されている。
【0004】そこで、ポリアミド系樹脂フィルムの滑り
性を改善するための手段として、(1)シリカやカオリ
ンなどの微粒子を樹脂に添加し、延伸処理によりこれら
の微粒子をフィルム表面に突出させて微細突起を形成し
フィルム同士の接触面積を減らす方法、(2)フィルム
に球晶を形成してフィルム同士の接触面積を減らす方
法、(3)高級脂肪酸のビスアミド化合物等の有機滑剤
をポリアミド樹脂に添加し、フィルム表面を疎水化する
と共に表面エネルギーを低くすることによって、フィル
ム同士の接触した部分の相互作用を減らす方法、(4)
コーティング、ラミネート、共押出しなどの方法により
フィルムを多層構造とし、最表面層に上記(1)〜
(3)の方法で得られる滑り性の改善された層を形成す
る方法等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記
(1),(2)の方法では、高湿度下で満足な作業性を
確保し得るに足る良好な滑り性を得るには、フィルム表
面に突起を形成するための微粒子や球晶の量をかなり多
くする必要があり、それに伴ってフィルムの透明性が低
下し、美麗な外観が求められる包装用途にとって致命的
な欠陥となる。これらに対し上記(3)の方法では、上
記(1)や(2)の方法に比べると比較的少ない透明性
の低下で滑り性を高めることができるが、十分な滑り性
を得るために有機滑剤の添加量を増やすと、フィルムを
他の材料と積層したりラミネートする際に、他の材料と
の接着性や濡れ性が悪くなり、印刷・蒸着・ラミネーシ
ョンなどの加工に悪影響を及ぼすことがある。
【0006】本発明者らは、この様な従来のポリアミド
系樹脂フィルムに指摘される欠点を克服し、湿度の高い
環境下でも優れた取扱い作業性確保できる様な滑り性を
有し、しかも優れた透明性も兼ね備えたポリアミド系樹
脂フィルムを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するこ
とのできた本発明に係るポリアミド系樹脂フィルムと
は、細孔容積が1.0〜1.5ml/gであるシリカ微
粒子を0.03〜0.30重量%含有し、1軸もしくは
2軸に延伸されたものであるところにその要旨が存在す
る。このポリアミド系樹脂フィルムは、曇価が5%以下
の透明性に優れたものであって、該フィルムを構成する
ポリアミドの主成分は、ナイロン6および/またはカプ
ラミド単位を主たる構成単位とする共重合ポリアミドが
最も好ましく、またシリカ微粒子は、ポリアミドを製造
する際の重合工程で添加することによって、ポリアミド
中により均一に分散させることができるので好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明では、ポリアミ
ド系樹脂フィルムに滑り性を与えるための手段として、
細孔容積の特定されたシリカ微粒子を特定量含有させる
ところに特徴を有している。
【0009】即ち本発明者等が、ポリアミド系樹脂フィ
ルムに対し透明性を損なうことなくその滑り性、殊に高
湿度環境下における滑り性を改善すべく種々研究を重ね
たところ、滑り性改善のための表面突起形成成分とし
て、細孔容積が1.0ml/g以上のシリカ微粒子をポ
リアミド系樹脂に適量含有させれば、透明性をあまり低
下させずに高湿度環境下での滑り性を大幅に改善し得る
ことを突き止めた。
【0010】一方、細孔容積が1.5ml/gを超える
シリカ微粒子を用いて滑り性を高めることも可能である
が、その様な細孔容積の大きいシリカ微粒子を用いて満
足のいく滑り性改善効果を得るにはその添加量をかなり
多くしなければならず、その結果、後述する如くポリア
ミド系樹脂の製造工程でシリカ微粒子を添加する方法を
採用したときに、該ポリアミド系樹脂中のモノマー成分
やオリゴマーの抽出除去工程で該シリカ微粒子の流出量
も多くなり、モノマーとオリゴマーを回収する工程で問
題が生じる。ところが、細孔容積が1.0〜1.5ml
/gの範囲のシリカ微粒子であれば、その流出量が減ら
せるため上記抽出工程で流出するシリカ微粒子の量が抑
えられ、滑り性の優れたポリアミド系樹脂フィルムを極
めて効率よく経済的に製造し得ることを知った。
【0011】本発明はこうした知見を元になされたもの
であって、細孔容積が1.0〜1.5ml/gの範囲で
あるシリカ微粒子を0.05〜0.3重量%含有させる
ことによって、抽出工程での流出量を抑えつつ、滑り性
の優れたポリアミド系樹脂フィルムを得ることに成功し
たものである。
【0012】本発明で使用されるポリアミド系樹脂と
は、分子鎖中にアミド基を有する高分子であり、具体例
としては、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナ
イロン12、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロンM
XD6、ナイロン6、ナイロン46などのポリアミド樹
脂およびそれらの共重合体およびブレンド物、更にはそ
れらのポリマーアロイが挙げられる。これらの中でも本
発明の特徴が最も有効に発揮されるのは、樹脂製造工程
でモノマーやオリゴマーの抽出処理を必要とするポリア
ミド樹脂であり、中でも最も一般的なのはナイロン6で
ある。
【0013】本発明で使用されるシリカ微粒子は、前述
の様な理由から細孔容積が1.0〜1.5ml/g、よ
り好ましくは1.1〜1.4ml/gの範囲である多孔
質のシリカ微粒子が選択される。このシリカ微粒子は、
一般には合成シリカを粉砕し分級することによって得ら
れるが、合成時に直接に球状微粒子として得られる多孔
質シリカ微粒子も含まれる。これらシリカ微粒子は一次
粒子が凝集してできた凝集体であり、一次粒子と一次粒
子の隙間が細孔を形成する。そして該シリカ微粒子の細
孔容積とは、一般にシリカ微粒子1g当たりに含まれる
細孔の容積(ml/g)で表わされる。
【0014】細孔容積の異なるシリカ微粒子は、合成条
件を変えることによって得ることができ、細孔容積の小
さいもの程少量で良好な滑り性を与える。しかしながら
細孔容積の小さいシリカ微粒子を使用すると、これを配
合したポリアミド系樹脂をフィルム状に成形した後、そ
れを1軸もしくは2軸延伸したときに多くのボイドを生
じ、フィルムの透明性が損なわれることがある。従って
こうした障害を回避し、包装用途として求められる曇価
5%以下の値を確保するには、シリカ微粒子として細孔
容積が1.0ml/g以上のものを選択することが必須
となる。また得られるフィルムの透明性は、延伸条件
(温度や倍率)あるいはその後の緩和処理条件(緩和率
や温度)によっても変わってくるので、これらの条件も
適正にコントロールすることが望ましい。
【0015】一方、細孔容積が1.5ml/gを超える
シリカ微粒子を使用した場合、添加量を増やすことによ
り高湿度条件下でも滑り性が良好で且つ透明性の良好な
フィルムを得ることができるが、その場合はフィルム中
の含有量を0.3重量%以上に高めなければならなくな
り、その結果、ポリアミド系樹脂への分散不良によって
フィルムにフィッシュアイ等の欠陥が生じ易くなるばか
りでなく、先に説明した様にポリアミド系樹脂中のモノ
マー成分やオリゴマー成分を抽出除去する際のシリカ微
粒子の流出量も軽視できなくなる。
【0016】尚、上記シリカ微粒子をポリアミド樹脂に
添加する方法としては、ポリアミド系樹脂を製造する際
の重合工程で添加する方法が好ましく、この方法を採用
すれば、ポリアミド系樹脂中にシリカ微粒子を簡単且つ
均一に分散させることができる。特に細孔容積が相対的
に大きいシリカ微粒子では、重合後のポリアミド系樹脂
に溶融混練等によって均一に分散させるのが難しく、こ
の分散方法によって得た延伸フィルムはフィッシュアイ
などの欠点が多くなるので、シリカ微粒子は重合反応時
に添加するのが望ましい。
【0017】またポリアミド樹脂、特にラクタムの開環
重合によって製造されるナイロン6などは、重合生成物
中に多量のモノマーやオリゴマーを含んでおり、これら
はフィルムの物性に悪影響を及ぼすので、重合反応終了
後に熱水などで抽出除去する必要があるが、重合反応時
にシリカ微粒子を添加した場合、該抽出工程でモノマー
やオリゴマーと共にシリカ微粒子も多量に流出する。そ
して流出したシリカ微粒子は、モノマーやオリゴマーを
回収する際の障害となり、また流出による損失も経済的
に軽視できなくなる。
【0018】しかるに、本発明で定める細孔容積が1.
0〜1.5ml/gのシリカ微粒子を使用すれば、添加
量が抑えられ、その結果抽出処理工程で失われるシリカ
微粒子の流出量が抑えられると共に、フィルム化後1軸
もしくは2軸延伸を行なうことによって、高湿度雰囲気
の下でも優れた滑り性を示し、且つ透明性も良好なポリ
アミド系樹脂フィルムを得ることが可能となる。
【0019】本発明で使用されるシリカ微粒子の好まし
い平均粒子径は、1〜10μm、より好ましくは1.5
〜3.0μmの範囲であり、平均粒子径が1μm未満の
ものでは、良好な滑り性を得るのに多量の添加量が必要
となり、一方10μmを超えるものでは、フィルムの表
面粗さが大きくなり過ぎて外観が悪くなる。
【0020】上記シリカ微粒子のポリアミド系樹脂フィ
ルム中に占める含有比率は0.03〜0.30重量%、
より好ましくは0.08〜0.30重量%の範囲とすべ
きであり、含有量が0.03重量%未満では、高湿度条
件下でのフィルムの滑り性が十分に改善されず、一方含
有量が0.30重量%を超えると、抽出工程での流出量
が問題となり、さらにフィルムの透明性が許容できない
ほど悪くなる。尚、ポリアミド系樹脂を製造する際の重
合反応工程でシリカ微粒子を添加する方法を採用した場
合、前述した好適細孔容積範囲のものであっても、モノ
マーやオリゴマーの抽出除去工程で5〜20重量%程度
の流出ロスが起こるので、シリカ微粒子の添加量は、該
流出ロスを考慮に入れて、最終的にフィルム中のシリカ
微粒子含有量が前記範囲となる様に添加することが必要
となる。
【0021】尚本発明に係るフィルムの曇価は、特に包
装用等としての適性を高める意味から5%以下であるこ
とが望ましいが、前述の細孔容積範囲に納まるシリカ微
粒子を上記の範囲で含有するポリアミド系樹脂フィルム
は、こうした要求特性も十分に満たすものであり、包装
用途を始めとして広汎の用途適性を有している。
【0022】前述の如く本発明のポリアミド系樹脂フィ
ルムは、ポリアミド系樹脂とシリカ微粒子を必須の成分
として含有するが、前記した特性を阻害しない範囲で他
の種々の添加剤、例えば滑剤、ブロッキング防止剤、熱
安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改
良剤などを含有させることも勿論可能である。特に表面
エネルギーを下げる効果を発揮する有機滑剤を、接着性
や濡れ性に問題が生じない程度に添加することは、フィ
ルムに一段と優れた滑り性と透明性を与えることができ
るので好ましい。
【0023】本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、前
述のポリアミド系樹脂とシリカ微粒子を含有する混合物
を使用し、これを溶融押出し等公知の方法で製膜した
後、1軸もしくは2軸延伸することによって製造され
る。具体的には、(1)Tダイより溶融押出しした未延
伸シートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テン
ター式延伸機で横方向に延伸する方法、(2)未延伸シ
ートをテンター式同時2軸延伸機で縦横同時に延伸する
方法、(3)チューブ状に溶融押出ししたシートを気体
の圧力でインフレーション式に延伸する方法、などによ
って製造される。このとき採用される溶融押出し時の好
ましいキャスト温度は240〜290℃、縦延伸条件は
40〜60℃で2.8〜4.0倍、横延伸条件は60〜
170℃で3.5〜4.5倍、延伸後に行なわれる緩和
処理条件は180〜220℃で3〜15%の範囲であ
る。尚用途によっては、縦横両方向への2軸延伸の他、
縦・横いずれかの1軸延伸とすることも可能である。こ
の延伸工程で、マトリックスを構成するポリアミド系樹
脂が引き伸ばされると共に、その中に分散されたシリカ
微粒子がフィルム表面に突出して微細凹凸が形成され、
滑り性が高められる。
【0024】尚本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、
基本的には単層構造のものであるが、フィルムに求めら
れる特性によっては、共押出し法や押出しラミネート
法、コーティング法等を採用して複層構造とすることも
可能である。その厚さも特に制限されないが、一般的な
食品包装に適用する場合は、10〜50μmのものが使
用される。
【0025】更に本発明のポリアミド系樹脂フィルム
は、用途によっては寸法安定性を良くするために熱処理
や調湿処理を施すことも有効であり、また用途によって
は、接着性や濡れ性を良くするためにコロナ処理やコー
ティング処理、火炎処理等を行なったり、更には印刷、
蒸着、ラミネートなどの加工を施すことも可能である。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらは全て本発明の技術的範囲に包含される。
尚、以下の実施例および比較例で採用した物性試験の評
価方法は下記の通りである。
【0027】(1)フィルムの高湿度条件下での滑り性 20℃、75RH%における動摩擦係数を、ASTM−
D1894に準じて測定。動摩擦係数が1.2以下のフ
ィルムは、高湿度下での滑り性が良好で、作業性に優れ
たものと評価できる。
【0028】(2)フィルムの透明性 曇価をJIS−K6714に準じ、日本電色(株)製の
ヘーズメータを用いて測定。曇価は小さい方が透明性良
好であり、曇価が5以下のフィルムは品質上問題ないレ
ベルである。 (3)フィルム中のシリカ微粒子の含有量 蛍光X線分析法によって定量した。
【0029】(4)抽出処理において流出するシリカ微
粒子の量 シリカ微粒子の添加系で重合して得たナイロン6のチッ
プを熱水で抽出処理しモノマーとオリゴマーを除去す
る。そして、抽出処理前後のチップのシリカ微粒子の含
有量を灰分から求め、抽出処理後のナイロン6に対し抽
出工程で失われたシリカ微粒子の量を重量%で表わし
た。シリカ微粒子の流出量が少ない方がよいことは勿論
であるが、特に0.1重量%以上の場合は、モノマーと
オリゴマーの回収工程で生じる障害やロスが軽視できな
くなる。
【0030】(5)シリカ微粒子の細孔容積 島津製作所製の高速比表面積/細孔分布測定装置「アサ
ップ2400」を使用し、窒素の吸着・脱離を利用した
BJH法により細孔径17〜3000Å間の細孔容積を
積算して求めた。詳細は島津評論第48巻第1号35〜
49頁参照。
【0031】(6)シリカ微粒子の平均粒径 高速撹拌機を使用し、イオン交換水を5000rpmで
撹拌しつつこれにシリカ微粒子を分散させ、イソトン
(生理食塩水)に加えて超音波分散機で分散した後コー
ルターカウンター法で測定し、重量累積分布の50%に
おける粒子径を平均粒径とした。
【0032】実施例1〜4、比較例1〜10 100リットルの回分式重合釜を用い、ε−カプロラク
タムの開環重合によって得たナイロン6をポリアミド系
樹脂として使用した。該ナイロン6のチップは、回分式
抽出釜を用いて熱水で抽出処理しモノマーとオリゴマー
の含有量を1重量%にまで低減した後、水分率が0.1
重量%となるまで乾燥して使用した。原料ナイロン6お
よび延伸フィルムの相対粘度は、96%濃硫酸溶液を用
いた20℃の測定値で約3.0であった。
【0033】また使用したシリカ微粒子は、ナイロン6
の原料となるε−カプロラクタムの水溶液中に高速撹拌
機で分散して重合釜に仕込み、重合工程でナイロン6内
に分散させた。ナイロン6チップには、さらにN,N’
−エチレンビス(ステアリルアミド)を0.15重量%
配合してからTダイより押出機で260℃で溶融押出し
し、30℃の冷却ロールに引き取って未延伸シートを得
た後、直ちにロール式延伸機で縦方向に50℃で3.2
倍延伸し、更にテンター式延伸機で横方向に150℃で
4倍延伸した。その後5%緩和させつつ220℃で熱固
定し、厚さ15μmの延伸フィルムを得た。該延伸フィ
ルムの製造に用いたシリカ微粒子の特性とフィルムの評
価結果を表1に一括して示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1からも明らかである様に、用いたシリ
カ微粒子の細孔容積および含有量が本発明の規定範囲を
満足する実施例1〜4は、滑り性を表わす動摩擦係数お
よび曇価のいずれにおいてもバランスの取れた良好な価
を示しているのに対し、いずれか一方もしくは両方が本
発明の規定要件を外れる比較例では、曇価が高くて透明
性が悪いか或は動摩擦係数が高くて滑り性に問題があ
る。また、シリカ微粒子の細孔容積が大き過ぎ、或はそ
の含有量が多過ぎるものでは、抽出処理工程での流出量
が多く、しかも滑り性改善効果も乏しくなることが確認
される。
【0036】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ポ
リアミド系樹脂フィルム中に、細孔容積の特定されたシ
リカ微粒子を特定量含有させることによって、下記の様
な効果を同時に達成できる。 (1)高い湿度条件下においても優れた滑り性を示し、
加工工程などでの作業性が良好なポリアミド系樹脂フィ
ルムを提供できる。 (2)透明性が良好で、美麗さの要求される包装用途な
どに好適なポリアミド系樹脂フィルムを提供できる。 (3)ポリアミド系樹脂を製造する際の重合工程でシリ
カ微粒子を配合したときでも、抽出工程でのシリカ微粒
子の流出量を抑えることができ、従って、モノマーとオ
リゴマーを回収する工程での問題を減らしポリアミド系
樹脂フィルムを効率よく提供できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 77:00 105:16 B29L 7:00 (72)発明者 坂井 由花 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔容積が1.0〜1.5ml/gであ
    るシリカ微粒子を0.03〜0.30重量%含有し、1
    軸もしくは2軸に延伸されたものであることを特徴とす
    るポリアミド系樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 曇価が5%以下である請求項1に記載の
    ポリアミド系樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 ナイロン6および/またはカプラミド単
    位を主たる構成単位とする共重合ポリアミドを主成分と
    するものである請求項1または2に記載のポリアミド系
    樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 シリカ微粒子が、ポリアミドを製造する
    際の重合工程で添加されたものである請求項1〜3のい
    ずれかに記載のポリアミド系樹脂フィルム。
JP30926795A 1995-11-28 1995-11-28 ポリアミド系樹脂フィルム Pending JPH09143283A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002001807A (ja) * 2000-06-19 2002-01-08 Unitika Ltd 透明蒸着用二軸延伸ポリアミドフィルム
WO2005108071A1 (ja) * 2004-05-11 2005-11-17 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha ポリアミド系樹脂積層フィルム
WO2014141871A1 (ja) * 2013-03-11 2014-09-18 東洋紡株式会社 ポリアミド系樹脂フィルム
US10081714B2 (en) 2011-12-05 2018-09-25 Toyobo Co., Ltd. Biaxially oriented polyamide-based resin film, and production method therefor

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