JPH09143104A - 2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法 - Google Patents

2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法

Info

Publication number
JPH09143104A
JPH09143104A JP29874595A JP29874595A JPH09143104A JP H09143104 A JPH09143104 A JP H09143104A JP 29874595 A JP29874595 A JP 29874595A JP 29874595 A JP29874595 A JP 29874595A JP H09143104 A JPH09143104 A JP H09143104A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dimethylnaphthalene
methylphenyl
acid
methyl
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29874595A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruhiko Takeya
晴彦 竹矢
Hiroaki Otsuka
宏明 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by COSMO SOGO KENKYUSHO KK, Cosmo Oil Co Ltd filed Critical COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Priority to JP29874595A priority Critical patent/JPH09143104A/ja
Publication of JPH09143104A publication Critical patent/JPH09143104A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2,6−および2,7−ジメチルナフタレン
の製造を、多数の異性体の分離というわずらわしさを避
けて、工業的に有利に実施する方法を提供すること。 【解決手段】 トルエンと無水メチルコハク酸とのフリ
ーデル・クラフツ反応を行ない、高い選択性をもって2
種の4位アシル化物を得、それらを再結晶により分離し
たのち、環化・水素化および脱水素を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染料や医薬、高分
子材料の合成原料として重要な2,6−ジメチルナフタ
レンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法に関
し、それらを製造するための中間体の製造方法にも関す
る。
【0002】
【従来の技術】2,6−および2,7−ジメチルナフタ
レンは、医薬や高分子材料の原料である2,6−および
2,7−ナフタレンジカルボン酸の原料として有用な化
合物であって、多くの製造法が提案されている(たとえ
ば特開昭62−187416、特開昭63−24304
4、特開平1−168628)。
【0003】これらの製造法はいずれも混合ジメチルナ
フタレンの異性体分離に依存しており、10種にのぼる
ジメチルナフタレン異性体から所望の化合物を分離する
ことの困難さから、実用的な方法とはいえない。
【0004】置換ナフタレン核の選択的合成法として、
本発明者らは、o−キシレンと無水コハク酸とを原料に
して、5工程で2,3−ジメチルナフタレンを得る方法
を提案している(特願平5−48412)。 その方法
は、2箇のメチル基が、生成するナフタレン環の一方に
だけ存在するため、基本的にフリーデル・クラフツ反応
の選択性によって異性体の副生を防止することが可能で
はあるが、これを、トルエンとメチルコハク酸との反応
に応用するには、コハク酸に由来するメチル基の位置を
制御するか、2種の生成物を高効率で分離するか、どち
らかの方策が必要であり、この2,3−ジメチルナフタ
レン製造技術を2,6−または2,7−ジメチルナフタ
レンの製造に応用することは困難であった。
【0005】このような技術の現状の下で、本発明者ら
は2,6−および2,7−ジメチルナフタレンの製造法
について検討を重ねた結果、無水メチルコハク酸による
トルエンのアシル化反応が極めて高い選択性をもって4
位アシル化物を与えること、および、そこで得られる2
種の異性体すなわち、4−(4−メチルフェニル)−2
−メチル−4−オキソブタン酸および4−(4−メチル
フェニル)−3−メチル−4−オキソブタン酸が、再結
晶法によって容易に分離できることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、発明者らが得た上記の新知見を活用し、医薬や高分
子材料の原料として有用な2,6−および2,7−ジメ
チルナフタレンを選択的に製造する方法を提供すること
にある。 それらを製造するための中間体の製造方法を
提供することも、本発明の目的に含まれる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の方法を、まず中
間体の製造方法から説明すれば、2,6−ジメチルナフ
タレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造の中間
体の製造方法は、トルエンと無水メチルコハク酸とをル
イス酸触媒の存在下に反応させることにより4−(4−
メチルフェニル)−2−メチル−4−オキソブタン酸お
よび4−(4−メチルフェニル)−3−メチル−4−オ
キソブタン酸を得、それらの混合物を溶媒から再結晶さ
せることにより、4−(4−メチルフェニル)−2−メ
チル−4−オキソブタン酸を結晶として得、4−(4−
メチルフェニル)−3−メチル−4−オキソブタン酸を
溶液として得ることからなる。
【0008】本発明の2,6−ジメチルナフタレンおよ
び2,7−ジメチルナフタレンの製造方法は、上記の中
間体の製造方法を第一工程としてとり入れたものであっ
て、下記の諸工程からなる。 (第一工程)トルエンと無水メチルコハク酸とをルイス
酸触媒の存在下に反応させ、得られた4−(4−メチル
フェニル)−2−メチル−4−オキソブタン酸と4−
(4−メチルフェニル)−3−メチル−4−オキソブタ
ン酸とを、それらの混合物から再結晶法により分離し、 (第二工程)各々を触媒の存在下に水素化して4−(4
−メチルフェニル)−2−メチルブタン酸または4−
(4−メチルフェニル)−3−メチルブタン酸とした
後、 (第三工程)強酸中で加熱して1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−1−オキソ−2,7−ジメチルナフタレンまた
は1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−3,7
−ジメチルナフタレンとし、 (第四工程)次いで、触媒の存在下に水素化して1,
2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ジメチルナフタレ
ンまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−2,6−ジメ
チルナフタレンとした後、 (第五工程)脱水素反応により2,6−ジメチルナフタ
レンまたは2,7−ジメチルナフタレンとする。
【0009】上記のプロセスは、下記の反応スキームに
よってあらわされる。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】第一工程 トルエンと無水メチルコハク酸のフリーデル・クラフツ
反応は、既知のルイス酸触媒からえらんだ任意のものが
使用でき、具体的にはAlCl3,SnCl3,FeCl
3,BF3等が用いられる。 触媒の使用量は無水メチル
コハク酸に対して1当量以上で実施が可能であるが、少
なすぎると収率が低下して低効率となるため、好ましく
は1.5当量以上、さらに好ましくは1.8〜3当量と
する。
【0014】反応溶媒は、必要に応じて用いてもよい
が、必須ではなく、また無水メチルコハク酸に対して過
剰量のトルエンを用いることによって、反応剤のひとつ
であるトルエンに溶媒の役割を兼ねさせることもでき
る。
【0015】無水メチルコハク酸に対するトルエンの量
は、モル比1が当量であるが、3当量以上使用すること
で溶媒を兼ねさせてもよく、好適な範囲は、溶媒を用い
ない場合、副生成物の生成を抑制したり反応の暴走を防
止したりする意味から、少なくとも3当量以上、好まし
くは3〜20当量、より好ましくは5〜10当量とす
る。 溶媒を用いる場合には、トルエンが0.5当量以
上あれば実施可能であるが、反応促進のためには1当量
以上、好ましくは1〜1.2当量使用する。
【0016】溶媒としては、脂肪族炭化水素、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等が
使用できる。 溶媒の量は上記と同様の理由から、用い
る無水メチルコハク酸1重量部に対し2〜20重量部と
する。 溶媒の使用は、場合によっては反応時間を短縮
する利益をもたらす。
【0017】反応温度は、0℃以上であれば実施可能で
あるが、反応速度や経済性を考慮に入れると、10〜7
0℃の範囲が好適である。 反応時間は1〜5時間が好
ましい。
【0018】反応後は揮発成分を留去し、水洗等により
触媒を分離すれば、4−(4−メチルフェニル)−2−
メチル−4−オキソブタン酸と4−(4−メチルフェニ
ル)−3−メチル−4−オキソブタン酸との混合物が得
られる。
【0019】得られた混合物は、酢酸エステル−低級飽
和脂肪族炭化水素を混合溶媒として再結晶を行なうと、
4−(4−メチルフェニル)−2−メチル−4−オキソブ
タン酸が白色結晶として、また、4−(4−メチルフェ
ニル)−3−メチル−4−オキソブタン酸が溶液の形で
得られる。 その生成比は、約2:3である。 酢酸エ
ステルとしては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル
が使用でき、低級飽和脂肪族炭化水素としては、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルが使用できる。
再結晶に用いる溶媒は、低級飽和脂肪族炭化水素が5
〜50容量%、残りが酢酸エステルである混合溶媒を用
い、溶媒の構成比と溶媒使用量とを調節して、最適の条
件を設定する。 低級飽和脂肪族炭化水素の濃度が下限
に近いときは、溶媒の量は原料1g当り5〜10mlが適
当であり、上限に近いときは、原料1g当り20〜10
0mlが適切である。 低級飽和脂肪族炭化水素が少なす
ぎると酢酸エステルの量が相対的に多くなるため、溶解
度が高くなりすぎて、再結晶ができなくなる。 多すぎ
ると溶解度が低くなるため、溶質を溶解するための溶媒
量を増やさなければならなくなるとともに、純度の高い
結晶が得られない。また、溶媒が少なすぎると溶質が溶
解しきれず、製品純度が下がる。 多すぎると溶解量が
大きくなりすぎて、再結晶ができなくなる。
【0020】再結晶は、加圧下、常圧下どちらでも行な
えるが、通常は常圧下、溶媒の沸点付近まで加熱するこ
とにより溶質を完全に溶解した後、放置して30℃以
下、好ましくは20℃以下まで冷却することによって行
なう。
【0021】酢酸エステルは再結晶時に混合溶媒の構成
成分として使用すればよいが、前述した水洗操作の段階
から酢酸エステル溶液の形で使用することもできる。
【0022】第二工程 上記のようにして得られた4−(4−メチルフェニル)−
2−メチル−4−オキソブタン酸または4−(4−メチ
ルフェニル)−3−メチル−4−オキソブタン酸を水素
化するための触媒としては、VIII族金属またはVIII族金
属を適宜の担体に担持させたものが使用できる。 好ま
しい金属としては、白金、パラジウム、ニッケル、担体
としては、活性炭、硫酸バリウム、アルミナ等が使用で
きるが、中でも、パラジウムを活性炭に担持させた触媒
がとくに好ましい。
【0023】反応は、たとえばパラジウム活性炭を用い
た場合、圧力0.1〜1MPa、好ましくは0.1〜0.5M
Paの水素雰囲気下で、メタノール、エタノール、酢酸等
の溶媒中、温度10〜100℃、好ましくは50〜10
0℃の範囲で行なう。 反応時間は、触媒量、反応温
度、溶媒等の条件によって異なるが、通常1〜10時間
で反応が終了する。
【0024】反応終了後は濾過によって触媒を除去し、
溶媒を留去すれば、原料の還元体である4−(4−メチ
ルフェニル)−2−メチルブタン酸または4−(4−メ
チルフェニル)−3−メチルブタン酸が得られる。
【0025】第三工程 次の工程は、4−(4−メチルフェニル)−2−メチル
ブタン酸または4−(4−メチルフェニル)−3−メチ
ルブタン酸の閉環反応である。 反応は強酸の存在下に
行なわれ、用いる強酸はとくに制限されないが、ポリリ
ン酸、濃硫酸等が好ましい。
【0026】具体的には、たとえば85%リン酸に五酸
化リンを溶解して得られるポリリン酸1gに対し、上記
原料0.1〜10mmol、好ましくは0.5〜1mmolを温
度70〜120℃、好ましくは90〜100℃で加えれ
ば、20〜30分間で反応は終了する。
【0027】反応終了後は冷水で希釈することにより生
成物が油状に分離するので、これを分取して水洗すれ
ば、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−2,
7−ジメチルナフタレンまたは1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−1−オキソ−3,7−ジメチルナフタレンが得
られる。
【0028】第四工程 この工程は、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキ
ソ−2,7−ジメチルナフタレンまたは1,2,3,4
−テトラヒドロ−1−オキソ−3,7−ジメチルナフタ
レンを、貴金属触媒の存在下において水素化し、1,
2,3,4−テトラヒドロ−2,6−ジメチルナフタレ
ンまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ジメ
チルナフタレンを合成する工程であり、前記第二工程と
同様の操作で実施できる。
【0029】第五工程 最後の工程は、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,6
−ジメチルナフタレンまたは1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−2,7−ジメチルナフタレンの脱水素による、
2,6−ジメチルナフタレンまたは、2,7−ジメチル
ナフタレンの合成である。
【0030】この脱水素反応は、生成するジメチルナフ
タレンが異性化しないような方法で実施する。 具体的
には、パラジウム、白金等の貴金属触媒の存在下、10
0〜200℃で、3〜10時間反応を行なうか、イオウ
のような化学酸化剤を用いて100℃以上、好ましくは
100〜200℃で反応を行なうことで達成される。
【0031】反応温度が100℃以下では反応が進行せ
ず、200℃以上では生成するジメチルナフタレンの異
性化が起る。 またイオウを用いる場合、温度を200
℃以上とすると生成したジメチルナフタレンがH2 Sと
ともに蒸発してしまい、回収や分離が必要となってしま
う。
【0032】反応生成物は、触媒または固体のイオウを
濾過することで、2,6−ジメチルナフタレンまたは
2,7−ジメチルナフタレンの白色結晶が得られる。
また、蒸留による回収も可能である。
【0033】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明する。
【0034】〔実施例1〕 (第一工程)還流冷却器および温度計を備えた200ml
フラスコに無水メチルコハク酸20.0gとトルエン1
00mlとを入れ、撹拌下に、50gの無水塩化アルミニ
ウムを、氷冷下、15分間で連続的に加えた。 液温は
50℃まで上昇した。
【0035】さらに室温で1時間撹拌した後、オイルバ
スを用いて50℃に加熱して、30分間撹拌を続けた。
次に、反応液を冷水500mlに加えて塩化アルミニウ
ムを分解し、酢酸エチル300mlで酸性物質を抽出し
た。 水洗によって酢酸エチル中の塩化水素を除いた
後、無水硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧下に酢酸
エチルとトルエンとを留去して、白色結晶29.3gを
得た。
【0036】この結晶を酢酸エチル30mlに溶解し、加
熱還流下にn−ヘキサンを加え、白濁が消失しなくなっ
た時点で酢酸エチル1mlを加えて溶解し、加熱を止め
て、1時間で0℃まで冷却した。 生成した白色の結晶
を濾過によって分離し、さらに酢酸エチル−n−ヘキサ
ン混合溶媒(容積比1:5)5mlで洗浄し、乾燥して4
−(4−メチルフェニル)−4−オキソ−2−メチルブ
タン酸(式 IIIa)9.8gを得た(収率27%)。
【0037】この結晶にジアゾメタンを作用させてメチ
ルエステル(下記式 IIIaMe)とし、ガスクロマトグ
ラフ法により分析した結果、純度は99%であった。
【0038】
【化4】
【0039】一方、再結晶の母液を減圧下に濃縮する
と、無色油状の生成物19.4gが得られた。 この油
状物に対して再度、前述した再結晶操作を行なったとこ
ろ、結晶1.5gと油状物17.7gが得られた。 こ
れらをジアゾメタンでメチルエステルとし、ガスクロマ
トグラフ法で分析した結果、純度はそれぞれ87%と9
5%であった。
【0040】4−(4−メチルフェニル)−4−オキソ
−2−メチルブタン酸メチルエステル(式 IIIaMe)
のNMRおよびIRのデータを下に示す:1 H−NMRδ(ppm) 1.27,3H,d(J=6.3Hz) 2.40,3H,S 3.71,3H,S 2.7〜3.51,3H,m 7.25,2H,d(J=8.1Hz) 7.8H,2H,d(J=8.1Hz) IR(cm-1) 1735,1670,1600,830,800,765。
【0041】(第二工程)第一工程で得られた4−(4
−メチルフェニル)−4−オキソ−2−メチルブタン酸
の一次結晶(純度99%)9gを酢酸250mlに溶解
し、5%パラジウム活性炭触媒1gとともに、1リット
ルのフラスコ中、水素雰囲気下、90℃で5時間撹拌し
た。
【0042】室温まで冷却した後、濾過により触媒を分
離し、酢酸を留去したところ、無色油状の4−(4−メ
チルフェニル)−2−メチルブタン酸(前記式IVa)
7.9gが得られた(収率94%)。
【0043】1 H−NMRδ(ppm) 1.22,3H,d(J=7.0Hz) 2.32,3H,S 1.50〜2.75,5H,m 7.08,4H,S 11.89,1H,br−S IR(cm-1) 1700,800,640。
【0044】(第三工程)第二工程で得られた4−(4
−メチルフェニル)−2−メチルブタン酸7gを、85
%リン酸15mlと五酸化リン19gとを混合して調製し
たポリリン酸中へ90℃で加えて、3分間撹拌した。
続いて、85%リン酸7mlと五酸化リン9gとを混合し
て調製したポリリン酸を加え、90〜95℃でさらに2
0分間撹拌した。
【0045】40gの氷水中に上記の反応混合物を注
ぎ、50mlのエーテルを用いて2回抽出した。 抽出液
を100mlの水で洗浄し、エーテルを留去して淡赤色の
液体6mlを得た。
【0046】得られた液体からシリカゲルを用いたカラ
ムクロマトグラフ法で着色成分を除き、1,2,3,4
−テトラヒドロ−1−オキソ−2,7−ジメチルナフタ
レン(前記式Va)を、無色油状の生成物として5.7
7g得た(収率91%、GC純度99%)。
【0047】1 H−NMRδ(ppm) 1.27,3H,d(J=7.0Hz) 2.37,3H,S 1.60〜3.10,5H,m 7.00〜7.40,3H,m 7.86,1H,br−S IR(cm-1) 1680,805,760,520,480。
【0048】(第四工程)第三工程で得られた1,2,
3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−2,7−ジメチル
ナフタレン5gを酢酸120mlに溶解し、500mlフラ
スコ中で5%パラジウム活性炭0.5gを加えて、1気
圧の水素雰囲気下、80℃で5時間撹拌した。 室温ま
で放冷後、濾過によりパラジウム活性炭を除去し、酢酸
を留去して、無色油状の1,2,3,4−テトラヒドロ
−2,7−ジメチルナフタレン(前記式VIa)4.41
gを得た(収率96%)。
【0049】(第五工程)第四工程で得られた1,2,
3,4−テトラヒドロ−2,7−ジメチルナフタレン1
gを、冷却トラップを備えたフラスコ中、窒素気流下、
50mgの5%パラジウム活性炭とともに230℃に加熱
して、5時間撹拌した。
【0050】室温まで冷却した後、n−ヘキサン10ml
を加えて有機物を溶解させ、濾過を行なって5%パラジ
ウム活性炭を除去し、次いでヘキサンを留去して、白色
結晶の2,7−ジメチルナフタレン(前記式 VIIa)0.
97gを得た(収率98%)。
【0051】ガスクロマトグラフ分析の結果、このジメ
チルナフタレンの純度は99%で、不純物は2,6−ジ
メチルナフタレン(前記式 VIIb)であった。 また、
1%未満の未反応原料が確認された。
【0052】〔実施例2〕 (第一工程)実施例1に同じ。
【0053】(第二工程)4−(4−メチルフェニル)−
4−オキソ−2−ブタン酸に代えて、無色油状の4−
(4−メチルフェニル)−4−オキソ−3−ブタン酸(前
記式 IIIb)10g(純度95%)を用いた以外、実施
例1の第二工程と同様に実施した。
【0054】使用した式 IIIbの化合物を実施例1と同
様にメチルエステル(下記式 IIIbMe)としたもの
は、
【0055】
【化5】
【0056】下記の物性を示した:1 H−NMRδ(ppm) 1.21,3H,d(J=6.3Hz) 2.40,3H,S 3.65,3H,S 2.70〜3.15,2H,m 3.75〜4.10,1H,m 7.25,2H,d(J=8.1Hz) 7.89,2H,d(J=8.1Hz) IR(cm-1) 1730,1675,1600,820,740。
【0057】無色油状の4−(4−メチルフェニル)−
3−メチルブタン酸(前記式IVb)8.9gが得られた
(収率95%)。 式IVbの化合物の物性はつぎのとお
り:
【0058】(第三工程)4−(4−メチルフェニル)
−2−メチルブタン酸に代えて、第二工程で得られた4
−(4−メチルフェニル)−3−メチルブタン酸7gを
用いた以外、実施例1の第三工程と同様に実施したとこ
ろ、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−3,
7−ジメチルナフタレン(前記式Vb)が無色油状の生
成物として5.78g得られた(収率91%、GC純度
96%)。
【0059】1 H−NMRδ(ppm) 1.12,3H,d(J=6.3Hz) 2.37,3H,S 2.00〜3.10,5H,m 6.90〜7.40,3H,m 7.85,1H,br−S IR(cm-1) 1680,805,580,530,500。
【0060】(第四工程)1,2,3,4−テトラヒド
ロ−1−オキソ−2,7−ジメチルナフタレンに代え
て、第三工程で得られた1,2,3,4−テトラヒドロ
−1−オキソ−3,7−ジメチルナフタレン5.0gを
用いた以外、実施例1の第四工程と同様に実施したとこ
ろ、無色油状の1,2,3,4−テトラヒドロ−2,6
−ジメチルナフタレン(前記式VIb)4.46gが得ら
れた(収率97%)。
【0061】(第五工程)1,2,3,4−テトラヒド
ロ−2,6−ジメチルナフタレンに代えて、第四工程で
得られた1,2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ジメ
チルナフタレンを用いた以外、実施例1の第五工程と同
様に実施した。 得られた白色結晶は2,7−ジメチル
ナフタレンを不純物として含む2,6−ジメチルナフタ
レン(前記式 VIIb)で、収量0.95g、収率97%
(2,7−ジメチルナフタレンを含めて)、ガスクロマ
トグラフ分析の結果、純度96%であった。
【0062】
【発明の効果】本発明の方法によれば、トルエンと無水
メチルコハク酸を原料として、高純度の2,6−ジメチ
ルナフタレンまたは2,7−ジメチルナフタレンを、選
択的かつ安価に製造できる。 この製造方法のうち、水
素化、脱水素の工程はすべて、パラジウム系触媒のよう
な貴金属触媒を用いて実施できるため、工程管理が容易
で、設備の共通化も図れ、工業的に有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 51/43 C07C 51/43 59/84 2115−4H 59/84

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルエンと無水メチルコハク酸とをルイ
    ス酸触媒の存在下に反応させることにより4−(4−メ
    チルフェニル)−2−メチル−4−オキソブタン酸およ
    び4−(4−メチルフェニル)−3−メチル−4−オキ
    ソブタン酸を得、それらの混合物を溶媒から再結晶させ
    ることにより、4−(4−メチルフェニル)−2−メチ
    ル−4−オキソブタン酸を結晶として得、4−(4−メ
    チルフェニル)−3−メチル−4−オキソブタン酸を溶
    液として得ることからなる2,6−ジメチルナフタレン
    および2,7−ジメチルナフタレン製造の中間体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 下記の諸工程からなる2,6−ジメチル
    ナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方
    法: (第一工程)トルエンと無水メチルコハク酸とをルイス
    酸触媒の存在下に反応させ、得られた4−(4−メチル
    フェニル)−2−メチル−4−オキソブタン酸と4−
    (4−メチルフェニル)−3−メチル−4−オキソブタ
    ン酸とを、それらの混合物から再結晶法により分離し、 (第二工程)各々を触媒の存在下に水素化して4−(4
    −メチルフェニル)−2−メチルブタン酸または4−
    (4−メチルフェニル)−3−メチルブタン酸とした
    後、 (第三工程)強酸中で加熱して1,2,3,4−テトラ
    ヒドロ−1−オキソ−2,7−ジメチルナフタレンまた
    は1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−3,7
    −ジメチルナフタレンとし、 (第四工程)次いで、触媒の存在下に水素化して1,
    2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ジメチルナフタレ
    ンまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−2,6−ジメ
    チルナフタレンとした後、 (第五工程)脱水素反応により2,6−ジメチルナフタ
    レンまたは2,7−ジメチルナフタレンとする。
  3. 【請求項3】 4−(4−メチルフェニル)−2−メチ
    ル−4−オキソブタン酸と4−(4−メチルフェニル)
    −3−メチル−4−オキソブタン酸との分離に際し、酢
    酸エステルと低級飽和脂肪族炭化水素とからなる溶媒を
    再結晶溶媒として使用する請求項1または2に記載の製
    造方法。
JP29874595A 1995-11-16 1995-11-16 2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法 Pending JPH09143104A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29874595A JPH09143104A (ja) 1995-11-16 1995-11-16 2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29874595A JPH09143104A (ja) 1995-11-16 1995-11-16 2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09143104A true JPH09143104A (ja) 1997-06-03

Family

ID=17863702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29874595A Pending JPH09143104A (ja) 1995-11-16 1995-11-16 2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09143104A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006009346A3 (en) * 2004-07-21 2007-04-05 Seoul Nat Univ Ind Foundation Novel process for preparation of 2,6-dialkyltetralin
CN110818551A (zh) * 2019-11-19 2020-02-21 常州市阳光药业有限公司 3,3`,4,4`-联苯四甲酸的合成方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006009346A3 (en) * 2004-07-21 2007-04-05 Seoul Nat Univ Ind Foundation Novel process for preparation of 2,6-dialkyltetralin
CN110818551A (zh) * 2019-11-19 2020-02-21 常州市阳光药业有限公司 3,3`,4,4`-联苯四甲酸的合成方法
CN110818551B (zh) * 2019-11-19 2022-06-24 常州市阳光药业有限公司 3,3`,4,4`-联苯四甲酸的合成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Konieczny et al. Efficient reduction of polycyclic quinones, hydroquinones, and phenols with hydriodic acid
JP4079505B2 (ja) 2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールの新規な製造法
RU2109004C1 (ru) Способ получения замещенных инданонов
JPH09143104A (ja) 2,6−ジメチルナフタレンおよび2,7−ジメチルナフタレンの製造方法、ならびにそれらの中間体の製造方法
JP4418048B2 (ja) 13−シス−レチノイン酸の製造方法
JP2801648B2 (ja) 6―フルオロ―4―クロマノン―2―カルボン酸アミド又はエステルの製造法
US5012007A (en) Method for producing 1-indanone derivatives
JPH06184007A (ja) 2,3−ジメチルナフタレンの製造法
JP3869530B2 (ja) ビフェニル誘導体の製造法
JPH05201881A (ja) 環状化合物の転移方法
JP4517650B2 (ja) テトラヒドロナフタレン及びナフタレン誘導体の製造方法及び製造中間体
JPH03190837A (ja) 第3級ブチルベンズアルデヒド異性体混合物の製造方法
Wash et al. Normal and Abnormal Alkylation of 2-Methylcyclopentyl Methyl Ketone
JPH03236336A (ja) 直接脱水素法によるシメノールの製造
JPH0524913B2 (ja)
JPH08268957A (ja) トランス−4−フェニルシクロヘキサン系化合物の製造方法
JP4178345B2 (ja) スチレンオリゴマー分析用1−フェニル−4−(1−フェニルエチル)テトラリン類の標準品
JPS6332778B2 (ja)
JP2784203B2 (ja) 6―フルオロ―4―クロマノン―2―カルボン酸の製造法
JP3336657B2 (ja) クマリン類の製造方法
JPH07133270A (ja) クロマン誘導体およびその製法
EP0502387A1 (en) Process for producing 3,3',4,4'-tetramethyldiphenylmethane
JPH0674219B2 (ja) トランス−1−アルキル−4−(p−置換フエニル)シクロヘキサンの製造方法
JP3500794B2 (ja) 2−シアノビフェニル類の製造方法
JP2521984B2 (ja) 2,3,6−ナフタレントリカルボン酸の製造方法