JPH09142774A - コンテナクレーンの吊荷の振れ止め方法およびその装置 - Google Patents

コンテナクレーンの吊荷の振れ止め方法およびその装置

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JPH09142774A
JPH09142774A JP30305195A JP30305195A JPH09142774A JP H09142774 A JPH09142774 A JP H09142774A JP 30305195 A JP30305195 A JP 30305195A JP 30305195 A JP30305195 A JP 30305195A JP H09142774 A JPH09142774 A JP H09142774A
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順治 飯坂
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勇 福井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷振れを短時間で抑制し、また、コンテナ停
止位置決め精度を向上して、荷役効率を向上する。 【解決手段】 前後2系統のワイヤロープ9A,9Bお
よび9C,9Dを、巻上ドラム12Aからガーダ5後端
の滑車17A,17B,17C,17Dを経由し、概V
字状となるようにトロリ7〜吊具8〜トロリ7を経て、
ブーム6先端の固定部材102A,102Bに掛け渡
す。各滑車17A,17Bは、および各滑車17C,1
7Dは、各バランスチェーン29,30で相対運動可能
にそれぞれ連結されており、各動力装置31,32によ
って各バランスチェーン29,30が巻き掛けられるチ
ェーンスプロケット27,28が回転駆動されると、各
滑車17A,17Bが、および17C,17Dが相対運
動し、前後2系統のワイヤロープ9A,9Bおよび9
C,9Dに各々交互に張力を与えて、コンテナ10に発
生する荷振れに逆らう前後方向の荷振れ起振力を与え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンテナクレーン
の荷役中に発生する吊荷の振れを軽減し、荷役効率を向
上させるために好適に実施することができる吊荷の振れ
止め方法および振れ止め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】港湾に設置されるコンテナクレーンは、
岸壁近くの陸側に該岸壁に沿って平行に設けられる一対
のレール上を走行する。コンテナクレーンは、構造フレ
ーム上部に設けられ、走行直角方向に水平に配置された
クレーンガーダと、このクレーンガーダの海側端部に連
結されて水平から上向きの起伏動作可能に海側に張り出
して設けられるブームと、ガーダおよびブームに沿って
走行直角方向に横行移動するトロリと、トロリから、昇
降自在に吊下げられるスプレッダと呼ばれるコンテナ用
吊具(以下、吊具と略記する)とを備えている。コンテ
ナクレーンは、吊具でコンテナ等の吊荷を掴み外しし、
巻上・横行・走行することによって、船と岸壁間で陸揚
げまたは船積みできるようになっている。
【0003】コンテナクレーンの荷役時は、吊荷を吊下
げた状態または吊具のみの状態で、横行および走行する
ときに、トロリと吊具の間で相対的な荷振れが発生す
る。また、トロリが静止状態でも風などの外乱によって
も荷振れが発生する。この荷振れに対しては、一般的に
はクレーンの運転者が、吊荷および吊具の動きを監視
し、トロリの横行および走行の加減速を操作して荷振れ
を少なくするようにしている。
【0004】一方、荷振れを少なくする手段として、従
来から、荷振れに対してダンパー装置などの減衰系を付
加した機械減衰式振れ止め装置によるものと、吊荷およ
び吊具の荷振れの量をトロリの加減速で制御する電気的
振れ止め制御装置とがある。
【0005】前者の先行技術としては、たとえば実開平
1−137986号公報には、主巻用ロープが巻き掛け
られるツイントロリ上に伸縮可能に設けられた各対の主
巻シーブをそれぞれ取り付けた各L字形レバーの一端に
はそれぞれシリンダーが取り付けられており、コンテナ
が揺れることによる主巻用ロープの張力をシリンダーで
受けるようにし、各対のシリンダーの区画室を油圧パイ
プで連通して、さらに、コンテナの振れにより、各L字
形レバーにかかる荷重の大きさがアンバランスになる状
態で大きな圧の方から小さな圧の方に油圧が流れるよう
になっており、この油圧パイプには減衰手段が設けら
れ、緩衝装置として機能を持たせているとともに、小揺
れをなくすためのツイントロリと、ヘッドブロットとの
間に垂直に掛けられる揺れ止めロープと、主巻用ロープ
との間の張力分担比率が一定に保たれるように補正機構
を備えた振れ止め装置が開示されている。
【0006】また、たとえば実公昭62−18619号
公報には、吊具四隅部の各シーブが吊具長手方向に指向
され同方向に回転自在に設けられるとともに、吊具同側
の各一対のシーブブロックを共通軸で一体的に連結し、
この共通軸と吊具間に振れ止め用ダンパーを連結して、
このダンパーにより振れを減衰させる振れ止め装置が開
示されている。
【0007】後者の先行技術としては、たとえば特開平
5−178576号公報には、電動機の回動速度を速度
制御する速度制御器をファジイ推論に基づいて、制御す
るためのファジイ制御部に対し、検出乃至算出可能な振
れ角信号および振れ角速度信号のうち、一方を横軸に取
ると共に、他方を縦軸に取ってマトリクスを構成し、こ
のマトリクスの一区画毎に振れ止め用の加速度要素に関
するファジイ集合の適合度を割り当て、このマトリクス
の一区画単位で第1の加速度要素信号を出力する振れ止
め用ファジイ推論器と、目標位置設定器で設定される速
度指令信号と電動機の回動速度信号のうち、一方を横軸
に取ると共に、他方を縦軸に取ってマトリクスを構成
し、このマトリクスの一区画毎に位置決め用の加速度要
素に関するファジイ集合の適合度を割り当て、このマト
リクスの一区画単位で第2の加速度要素信号を出力する
振れ止め用ファジイ推論器とを設け、ファジイ制御部に
備えられたクリスプ化演算器は2つの加速度要素信号を
入力し、重心法や菅野の簡易法等のクリスプ化手法によ
って、各ファジイ集合推論値の出力加速度を協調させ、
クリスプ化された荷振れの防止に最適な加速度信号を発
生し、積分されて速度指令信号として速度制御器に与え
られる振れ止め装置が開示されている。
【0008】また、たとえば特開昭58−144090
号公報には、移動可能なトロリから下方に向けて出射し
たレーザビームを吊具に取付けた反射板で反射させる一
方、この反射光をハーフミラーで受光して位置検出器に
入力し、この位置検出器への入力位置に応じて横行用モ
ータや走行用モータを駆動して、コンテナの荷振れを防
止する振れ止め装置が開示されている。
【0009】さらに、たとえば特開昭61−20678
8号公報には、搬送先の座標値を入力することで、搬送
移動時の搬送駆動装置の加減速度率が設定され、さらに
この加減速度率に応じた加減速度信号が搬送駆動装置に
出力され、コンテナを略直線状の軌跡で搬送可能に制御
する振れ止め装置が開示されている。
【0010】さらに、たとえば実開平1−96488号
公報には、吊荷の搬送時に、横行用モータを所定の加減
速運転パターンで駆動制御する一方、検出した初期荷振
れ角度に応じて加減速駆動信号を補正して、荷振れを防
止する振れ止め装置が開示されている。
【0011】さらに、たとえば特開昭60−77089
号公報、特開平5−85698号公報、特開平5−28
6691号公報にも、吊荷の搬送時に、横行用モータ等
を所定の速度パターンで制御して運転し振れ止めする振
れ止め方法または振れ止め装置が開示されている。
【0012】さらに、たとえば特開平5−319780
号公報には、目標速度と現在の設定速度との偏差の正負
に応じて減速度により、振れ止め加減速調整量を補正
し、この加減速調整量を現在の設定速度または速度検出
値に付加することにより高速振れ止めパターンにおける
速度指令値を算出するようにして、目標速度に達成可能
に振れ止めする振れ止め方法が開示されている。
【0013】さらに、たとえば特開平5−270786
号公報には、コンテナの巻上、巻下に関するワイヤロー
プ長(トロリと吊具との間の長さ)の平均値に基づいて
求められたコンテナの振れ周期に関連してクレーンの加
減速度パターンを求めて、速度制御し振れ止めする振れ
止め装置が開示されている。
【0014】さらに、たとえば特開昭52−47254
号公報には、トロリの駆動制御信号として吊荷の振れ角
に応じた振れ止め制御信号を、トロリ速度の減少開始後
一定時間だけ負帰還させて振れ止めするトロリの制御方
式が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】機械減衰式の振れ止め
手段は、荷振れが発生すると前後2系統のワイヤロープ
に張力差が生じるので、これを利用してダンパなどの荷
振れ減衰系を作動させるようにしたものや、各ワイヤロ
ープが巻掛けられるシーブを備えるシーブブロックと吊
具との角変位を減衰系で減衰させるものである。このよ
うな機械減衰式振れ止め手段はダンパ装置の減衰作用に
よっているために吊荷の振れが減衰し完全に静止するま
でにある程度時間がかかり、作業能率が低いという問題
点がある。また、減衰系による減衰作用を効果的に引き
出すためにトロリと吊具との間のV字形状の開きを大き
くする必要があり、トロリが大型化しコンテナクレーン
自体の荷重負担が大きくなる等の問題がある。
【0016】一方、電気式の振れ止め手段は、一般に運
転者が搭乗しているトロリを荷振れに合わせて加減速す
る追従運転方式が多いため、機械式が持つ上記問題点に
は対応させているが、運転者の意志とは異なるトロリの
動きとなるため、操作上の違和感による使いにくさ、あ
るいは停止位置のずれが生じる等の問題がある。また、
運転者の意図とは異なった加減速運転を行うため、場合
によっては運転者の船酔い、すなわち乗物酔い現象が生
じることもあり、著しく作業効率を低下させる不都合が
あった。
【0017】さらに、従来の振れ止め手段では、吊荷の
重心位置が左右でずれた場合、左右のワイヤロープの伸
び等の差が発生し、これによって荷振れの周期が左右で
異なる事象が発生する。このことは、平面的に吊荷をみ
た場合、鉛直軸を中心とした旋回振動となって荷振れを
発生する不都合があった。この運動は運転者の横行加減
速操作で止めることが出来ないため、一度発生すると収
まらないことになり、荷役作業上大きな障害となってい
る。
【0018】本発明の目的は、発生する荷振れを減衰さ
せる従来の方式とは異なり、吊荷の荷振れに対し、これ
と対抗する荷振れと逆方向の荷振れ起振力を与えること
によって、トロリ部が大型化することなく、運転操作の
容易化、コンテナ停止位置決め精度の向上、トロリの運
動に違和感のない制御、吊荷の旋回動作の防止ならびに
トロリ停止位置での荷振れ抑制を可能とする荷役作業の
高能率化を図ることができる吊荷の振れ止め方法および
その装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、一端が固定され、他端が巻上ドラムに巻き付けられ
るワイヤロープを、移動するトロリ部で方向を変え、吊
具部で折り返して使用される、ロープトロリ式のコンテ
ナクレーンにおいて、片側2系統のワイヤロープを前後
に概V字状に配置し、左右一対のワイヤロープで吊下げ
た状態で、前後の概V字状に配置されたワイヤロープの
各々交互に張力を与えることによって、吊荷の荷振れの
量を制御することを特徴とするコンテナクレーンの吊荷
の振れ止め方法である。請求項1記載の本発明に従え
ば、前後の概V字に配置された前後2系統ワイヤロープ
の各々交互に張力を与えることによって、吊荷の荷振れ
の量が制御される。これによって、前後2系統のワイヤ
ロープによる吊荷への引張力に差を生じさせ、吊荷に人
為的な荷振れ起振力与えて、荷役作業に付随して、ある
いは風などの外乱によって発生する荷振れを相殺する1
80°位相のずれた振れが発生するように荷振れ起振力
を与えることによって、荷振れを抑制することができ
る。したがって、吊荷の振れを抑えるようなトロリの加
減速によるトロリの追従運転荷振れ制御が不要になるた
め、トロリ(運転室)の乗り心地が大きく改善されると
もに、トロリを運転者の意志どおりに移動させることが
できる。
【0020】請求項2記載の本発明は、吊荷の荷振れの
量を検出して荷振れ量に応じた有効な張力を与えられる
フィードバック制御を行うことを特徴とする。請求項2
記載の本発明に従えば、荷振れ量に応じた有効な張力を
与えられるフィードバック制御を行なうことができる。
これによって、たとえば突風や異物の接触などの突発的
要因によって加振されるような場合に、新たな張力を与
えて、目標とする荷振れの量と実際の荷振れの量との誤
差を補正して確実に吊荷の振れを抑制することができ
る。
【0021】請求項3記載の本発明は、吊荷の左右の振
れ量の差によって発生する旋回動作に対して、左右の振
れ量の制御を独立して行うことによって吊荷の旋回動作
を制御することを特徴とする。請求項3記載の本発明に
従えば、吊荷の左右の振れ量の制御を独立して行うこと
ができる。これによって吊荷の左右の振れ量の差によっ
て発生する旋回動作を制御することができる。
【0022】請求項4記載の本発明は、トロリ部が静止
状態において吊荷の振れ量を制御することを特徴とす
る。請求項4記載の本発明に従えば、トロリ部が静止し
た状態においても風等により発生する吊荷の振れを制御
することができる。これによって、コンテナ停止位置が
所定位置からずれることなしに、吊荷を陸揚げまたは船
積みすることができる。
【0023】請求項5記載の本発明は、一端が固定さ
れ、他端が巻上ドラムに巻き付けられるワイヤロープ
を、移動するトロリ部で方向を変え、吊具部で折り返し
て使用される、ロープトロリ式のコンテナクレーンにお
いて、前後2系統のワイヤロープを、トロリ部から巻上
ドラムへ至る間で滑車にそれぞれ巻き掛けて折り返し、
その折り返した各滑車の動きが相対運動するよう、バラ
ンス装置で連結配置し、このバランス装置に荷振れ制御
用の動力手段を連結したことを特徴とするコンテナクレ
ーンの吊荷の振れ止め装置である。請求項5記載の本発
明に従えば、前後2系統のワイヤロープ張力変動が相対
的になるよう、前後2系統のワイヤロープをトロリ部か
ら巻上ドラムへ至る間でそれぞれ折り返す各滑車を、バ
ランス装置で連結配置し、このバランス装置に荷振れ制
御用の動力手段が連結される。これによって、荷振れ制
御用の動力手段によってバランス装置を駆動し、各滑車
を相対運動させて前後2系統のワイヤロープ張力を相対
的に変動させ、吊荷に荷振れ起振力を与えることができ
る。荷役作業に付随して、あるいは風などの外乱によっ
て発生する荷振れを相殺する180°位相のずれた振れ
が発生するように荷振れ起振力を与えることによって、
荷振れを抑制することができる。このように前後2系統
のワイヤロープ張力変動が相対的になるよう、バランス
装置で連結配置し、このバランス装置に荷振れ制御用の
動力手段を連結することによって、少ない動力で荷振れ
の制御ができる。しかも従来と異なり、吊荷の振れを抑
えるようなトロリの加減速によるトロリの追従運転荷振
れ制御が不要になるために、トロリ(運転室)の乗り心
地が大きく改善されるともに、トロリを運転者の意志ど
おりに移動させることができる。また、追従運転荷振れ
制御が不要となることによって、トロリ部が静止した状
態においても荷振れを抑制することができ、吊荷の位置
決め精度を向上することができる。
【0024】請求項6記載の本発明は、一端が固定さ
れ、他端が巻上ドラムに巻き付けられるワイヤロープ
を、移動するトロリ部で方向を変え、吊具部で折り返し
て使用される、ロープトロリ式のコンテナクレーンにお
いて、前後2系統のワイヤロープの各固定端部を、バラ
ンス装置で連結配置し、このバランス装置に荷振れ制御
用の動力手段を連結したことを特徴とするコンテナクレ
ーンの吊荷の振れ止め装置である。請求項6記載の本発
明に従えば、前後2系統のワイヤロープ張力変動が相対
的になるよう、前後2系統のワイヤロープの各固定端部
を、バランス装置で連結配置し、このバランス装置に荷
振れ制御用の動力手段が連結される。これによって、荷
振れ制御用の動力手段によってバランス装置を駆動し、
各固定端部を相対運動させて前後2系統のワイヤロープ
張力を相対的に変動させ、吊荷に荷振れ起振力を与える
ことができる。荷役作業に付随して、あるいは風などの
外乱によって発生する荷振れを相殺する180°位相の
ずれた振れが発生するように荷振れ起振力を与えること
によって、荷振れを抑制することができる。このように
前後2系統のワイヤロープ張力変動が相対的になるよ
う、バランス装置で連結配置し、このバランス装置に荷
振れ制御用の動力手段を連結することによって、少ない
動力で荷振れの制御ができる。しかも従来と異なり、吊
荷の振れを抑えるようなトロリの加減速によるトロリの
追従運転荷振れ制御が不要になるために、トロリ(運転
室)の乗り心地が大きく改善されるともに、トロリを運
転者の意志どおりに移動させることができる。また、追
従運転荷振れ制御が不要となることによって、トロリ部
が静止した状態においても荷振れを抑制することがで
き、吊荷の位置決め精度を向上することができる。さら
に、本発明の制御システムに、荷振れ予測データを付加
した制御システム(フィードフォワード制御)を組合わ
せるとより高性能な振れ止め制御が期待できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の一形態
の吊荷の振れ止め装置100を簡略化して示す斜視図で
あり、図2は吊荷の振れ止め装置100を備えるコンテ
ナクレーン1の全体概略構造を簡略化して示す正面図で
ある。コンテナクレーン1は、図2に示すように、港湾
の岸壁2近くに設置される。コンテナクレーン1は、岸
壁2に平行、すなわち図2の紙面に対して垂直に延び
て、陸地上に敷設される一対のレール3,3に案内され
て走行するように設けられる。
【0026】コンテナクレーン1は、2本の海脚および
2本の陸脚から成る構造フレーム4と、構造フレーム4
の頂部に取付けられてレール3,3を直角に横断する方
向の陸側に延設されるガーダ5と、ガーダ5の海側端部
に連結されて水平に海側に延出し、図示しないコンテナ
船が下方を通過するときには、前記連結個所を支点とし
て水平から上向きの仰動方向に起伏動作することができ
るブーム6と、ガーダ5およびブーム6に案内されて前
記コンテナクレーン1の走行方向に直角な方向に横行す
るトロリ7と、トロリ7から2系統×左右2(合計4系
統)のワイヤロープ9A,9B,9C,9Dによって水
平に保持して吊下げられるコンテナ用吊具(以下吊具と
記述する)8と、トロリ7を横行駆動する図示しない横
行駆動装置と、各ワイヤロープ9A,9B,9C,9D
を巻き上げるための巻上装置101とを備える。前記吊
具8は、スプレッダと呼ばれている。
【0027】コンテナクレーン1は、図2に示されるよ
うに、ブーム6を水平に海上に突き出した状態で走行し
て図示しないコンテナ船のコンテナ積み付け位置を合わ
せ、トロリ7を横行させ、後述の巻上装置101により
吊具8を巻上下し、コンテナの掴み外しによって、岸壁
2とコンテナ船との間で陸揚げまたは船積みすることが
可能である。
【0028】吊具8を吊り、昇降するための巻上機構の
構造概要が図1に示される。ガーダ5およびブーム6に
沿ってU字状に折り返して延ばされる2系統×左右のワ
イヤロープ9A,9B,9C,9Dは、各一端をブーム
6の自由端部に固定部材102で固定し、トロリ7を経
由し吊具8からトロリ7へ戻り、巻上ドラム11Aで固
定装着される。
【0029】ガーダ5の中間部にトロリ7と吊具8とを
配置し、吊具8の横行過程において、巻上、巻下するた
めに、吊具8の上面に装着される4個の滑車13A,1
3B,13C,13Dに巻掛けられる。それらの滑車1
3A,13B,13C,13Dは長方形の厚板状に形成
される吊具8の上面4カ所に水平自軸を中心として回転
自在に装着される。すなわち、各ワイヤロープ9A,9
B,9C,9Dは、吊具8の上面に長方形状に配置され
る各滑車13A,13B,13C,13Dにそれぞれ巻
き掛けられ、各ワイヤロープ9A,9B,9C,9Dを
巻上ドラム11Aによって、巻き取り、繰り出しして、
トロリ7の横行過程、およびトロリ7の静止状態におい
て、吊具8を巻上、巻下することができる。
【0030】ワイヤロープ9Aは、他端が巻上げドラム
11Aに数回巻き付けられて固定され、ガーダ5の後部
の滑車15Aを介し、ガーダ5の後端方向に延長され、
滑車17Aで折り返し、トロリ7に取り付けられる滑車
18Aから吊具8上の滑車13A、トロリ7上の滑車1
9Aを経て、前記一端がブーム6の先端部102で固定
される。同様にワイヤロープ9Bは、他端が巻上げドラ
ム11Aに数回巻き付けられ、ガーダ5後部の滑車15
Bを介し、ガーダ5の後端方向に延長され、滑車17B
で折り返し、トロリ7に取り付けられる滑車18Bから
吊具8上の滑車13B、トロリ7上の滑車19Bを経
て、前記一端がブーム6の先端部102で固定される。
ワイヤロープ9C,9Dについても同様に、各他端から
各一端にわたって巻上ドラム11Aからトロリ7〜吊具
8〜トロリ7を経由し、ブーム6の先端部102で固定
される。
【0031】各ワイヤロープ9A,9Bは、ガーダ5お
よびブーム6が延びる方向であって、トロリ7が横行す
る方向にそれぞれ延び、ガーダ5およびブーム6の幅方
向一端部である右方X2側に配置されている。ワイヤロ
ープ9D,9Cはガーダ5およびブーム6の幅方向他端
部である左方X1側でワイヤロープ9A,9Bと同様に
配置されるので、対応する部分に添字Aに代えて添字D
を付し、また添字Bに代えて添字Cを付して説明は省略
する。各滑車17A,17B,17C,17Dは、請求
項5記載の滑車に相当する。
【0032】ここで、トロリ7上の滑車18Aと19A
とは同一のブロックとし、滑車18B,19Bを同一の
ブロックとする。滑車ブロック(18A,19A)と滑
車ブロック(18B,19B)との前後の間隔は、吊具
8上の滑車13A,13Bの前後間隔より広くし、トロ
リ7と吊具8との間のワイヤロープ9A,9Bを側面よ
りみると、概V字状となるように配置されている。同様
に、滑車ブロック(18D,19D)と滑車ブロック
(18C,19C)と、吊具8上の滑車13C,13D
についても概V字形状に配置されている。
【0033】このようにトロリ7と吊具8との間で概V
字状を形成するワイヤロープ9A,9B,9C,9Dに
よって、トロリ7に吊具8が吊り下げられる。また、巻
上ドラム11Aと同軸にモータなどによって実現される
巻上駆動装置11Bが設けられ、この巻上駆動装置11
Bによって、巻上ドラム11Aが回転駆動される。巻上
ドラム11Aおよび巻上駆動装置11Bによって巻上装
置101が構成される。
【0034】巻上ドラム11Aは、本発明の実施のこの
形態では、単一ドラム構造としているが、そのほかに同
期運転の同一径になる双ドラム構造のものであってもよ
い。
【0035】この巻上ドラム11Aの回転方向をワイヤ
ロープ9A,9B,9C,9Dの巻取方向とすると、ト
ロリ7と吊具8との間の間隔が短くなり、吊具8は上方
に持ち上げられる。また、巻上ドラム11Aの回転方向
をワイヤロープ9A,9B,9C,9Dの繰り出し方向
とすると、トロリ7と吊具8との間隔が長くなり、吊具
8が下方に下降される。
【0036】巻上ドラム11Aを回転しない場合には、
トロリ7が横行範囲のいずれの位置にあっても、各ワイ
ヤロープ9A,9B,9C,9Dの長さは変わらないた
め、吊具8の高さは変わらない。
【0037】各ワイヤロープ9A,9Bの後端部は、滑
車17A,17Bで折り返している。この滑車17A,
17B間はチェーンスプロケット27で折り返したバラ
ンスチェーン29で連結し、チェーンスプロケット27
には、回転駆動用の動力装置31を取り付け、この動力
装置31の駆動によって、滑車17A,17Bが前後方
向に相対運動ができる。この動作によって、トロリ7か
ら吊具8の間のワイヤロープ9A,9Bの長さが変化
し、トロリ7と吊具8との間に概V字状に配置した効果
と相まって、吊具8の右側は、前後方向に移動する。同
様にワイヤロープ9C,9Dの後端部は滑車17C,1
7Dで折り返している。この滑車17C,17D間は、
チェーンスプロケット28で折り返したバランスチェー
ン30で連結し、チェーンスプロケット28には、回転
駆動用の動力装置32を取り付け、この動力装置32の
駆動によって、滑車17C,17Dが前後方向に相対運
動ができる。この動作によって、吊具8の左側は右側と
同様に、前後方向に移動する。すなわち、滑車17A,
17Bと17C,17Dの動力装置31,32の動作に
よって、吊具8を横行方向に振ること、すなわち加振す
ることができる。ここで、前後方向と横行方向とは同一
の方向であり、以下場合に応じて適宜記す。
【0038】さらに詳しく述べると、各ワイヤロープ9
A,9Bは、ガーダ5の後端部において、各滑車17
A,17Bに巻き掛けられて折り返されており、各滑車
17A,17Bは、バランスチェーン29によって連結
さている。このバランスチェーン29は、ガーダ5の各
滑車17A,17Bよりも後端側に設けられるチェーン
スプロケット27に巻き掛けられて概U字状に折り返さ
れている。チェーンスプロケット27には、このチェー
ンスプロケット27を回転駆動するための荷振れ制御用
の動力装置31が連結されており、この動力装置31に
よってチェーンスプロケット27を回転駆動することに
よって、各滑車17A,17Bを前後方向に相対的に変
位させることができる。これによって、トロリ7から吊
具8の間のワイヤロープ9A,9Bの長さが変化するこ
とにより、各ワイヤロープ9A,9Bに張力差が生じ
る。また、トロリ7と吊具8との間が概V字状に配置さ
れているので、前記張力差による吊具8への引張力の差
が生じ、吊具8の右側は、前後方向に移動する。
【0039】また、前記各ワイヤロープ9C,9Dは、
ガーダ5の後端部において、各滑車17C,17Dに巻
き掛けられて折り返されており、各滑車17C,17D
は、バランスチェーン30によって連結さている。この
バランスチェーン30は、ガーダ5の各滑車17C,1
7Dよりも後端側に設けられるチェーンスプロケット2
8に巻き掛けられて概U字状に折り返されている。チェ
ーンスプロケット28には、このチェーンスプロケット
28を回転駆動するための動力装置32が連結されてお
り、この動力装置32によってチェーンスプロケット2
8を回転駆動することによって、各滑車17C,17D
を前記前後方向に相対的に変位させることができる。こ
れによって、トロリ7から吊具8の間のワイヤロープ9
C,9Dの長さが変化することにより、各ワイヤロープ
9C,9Dに張力差が生じる。また、トロリ7と吊具8
との間が概V字状に配置されているので、前記張力差に
よる吊具8への引張力の差が生じ、吊具8の左側は、前
後方向に移動する。ここで、バランスチェーン29とチ
ューンスプロケット27とによってバランス装置が構成
され、またバランスチェーン30とチューンスプロケッ
ト28とによってバランス装置が構成される。
【0040】このようにして、各動力装置31,32に
よって各チェーンスプロケット27,28を回転駆動
し、各滑車17Aと17Bとを、および各滑車17Cと
17Dとを相対的に変位させて、吊具8をトロリ7の横
行方向に人為的に振る、すなわち加振することができる
ように構成される。各ワイヤロープ9A,9B,9C,
9D、各滑車13A,13B,13C,13D;18
A,18B,18C,18D;19A,19B,19
C,19D;17A,17B,17C,17D、チェー
ンスプロケット27,28、バランスチェーン29,3
0および動力装置31,32を含んで、振れ止め装置1
00が構成される。また、動力装置31,32は、たと
えばトルクモータなどによって実現される。
【0041】コンテナクレーン1の荷役は、概略次のよ
うな方法による。図2に示されるように、ブーム6を水
平に海上に突き出した状態で走行して、図示しないコン
テナ船のコンテナ積み付け位置を合わせる。この状態で
トロリ7を横行させ、巻上装置101により、吊具8を
巻上下し、コンテナ10の掴み外しによって、岸壁2と
コンテナ船との間で陸揚げまたは船積みを行う。
【0042】通常は、吊荷の巻上と横行動作とを組み合
わせて荷役を行う。このとき、吊荷は横行・巻上する過
程で、トロリ7とコンテナ10(吊具8)との間で常に
荷振れが発生する。
【0043】特に振れ止め対策をしていないクレーンに
おける荷振れの模式図を図3に示す。コンテナ10の動
きについてトロリ7の横行加速時には、コンテナ10に
慣性があるためにトロリ7の動きに遅れた位置になる。
そのときのコンテナ10が受ける荷重は、最大その加速
度とコンテナ10の質量に見合った水平力となる。その
後定速運動に入ると加速度から発生する水平力が取り除
かれるため、トロリ7とコンテナ10とは相対的に振り
子運動を始める。トロリ7の減速時には、その運動加速
度(減速度)とコンテナ10の質量に見合った、吊荷が
先行するような力が働くが、定速走行時の振り子運動の
影響が残り、トロリ7停止後もコンテナ10は振り子運
動を継続する。
【0044】さらに詳しく述べると、図3(a)はトロ
リ7が図3の右方に移動した場合の荷振れを模式的に示
す図であって、図中の(1)はトロリ7を横行させる前
の静止時を示し、(2)はその後の加速移動時を示し、
(3)はその後の定速移動時を示し、(4)はその後の
減速移動時を示し、(5)はその後の静止時を示す。図
3(b)は、トロリ7の横行速度の変化の一例を示すタ
イムチャートであって、横軸は時間Tを示し、縦軸はト
ロリ7の横行速度Vを示す。なお、理解を容易にするた
めに、図3(a)にはコンテナ10だけの質量Mが各ワ
イヤロープ9A,9B,9C,9Dに作用するものと
し、各ワイヤロープ9A,9B,9C,9D自身の質量
は無視する。また、図3(b)に示すように、トロリ7
は、時刻T0から静止状態にあり、時刻T1から加速度
a1で加速しながら移動し、時刻T2で速度V1に達し
た後、その時刻T2から一定速度V1で移動し、時刻T
3から加速度a2で減速しながら移動し、時刻T4で速
度V=0に達して停止した後、その時刻T4から以降は
静止状態にあるものとする。
【0045】このようにトロリ7を運転して移動させた
場合、トロリ7が時刻T0からの静止状態にあるときに
は、コンテナ10に作用する力は重力W=M×gだけで
あり、図3(a)の(1)に示すように、トロリ7とコ
ンテナ10とは一定の位置関係にある。ここで、Mはコ
ンテナ10の質量であり、gは重力加速度である。トロ
リ7が時刻T1から加速度a1で加速しながら移動する
ときには、コンテナ10に水平力である慣性力F1=M
×a1が作用するために、図3(a)の(2)に示すよ
うにコンテナ10がトロリ7から遅れた位置、すなわち
図3の左方に位置する。トロリ7が時刻T2から一定速
度V1で移動するときには、コンテナ10に慣性力が作
用しないため、加速移動時に慣性力F1=M×a1によ
ってコンテナ10に与えられたエネルギーによって、図
3(a)の(3)に示すように、コンテナ10がトロリ
7に対して振り子運動を始める。その後トロリ7が時刻
T3から加速度a2で減速しながら移動するときには、
前記慣性力F1とは反対向きの慣性力F2=M×a2が
コンテナ10に作用し、一定速度V1での横行時の振り
子運動と相まって、図3(a)の(4)に示すようにコ
ンテナ10がトロリ7に対して概先行する領域、すなわ
ち図3の右寄りの領域で、振り子運動を継続する。トロ
リ7が時刻T4以降の静止状態にいたり、前記慣性力F
2が作用しなくなったときにも、前記振り子運動の影響
および慣性力F2によるエネルギーによって、図3
(a)の(5)に示すように、コンテナ10がトロリ7
に対して振り子運動を継続する。たとえばこのようなコ
ンテナ10の振れを抑制するために本発明の振れ止め装
置100が備えられる。
【0046】次に、本発明における荷振れを防止する方
法について図1および図4を参照しながら説明する。コ
ンテナ10が後方Y2に振れた場合、ワイヤロープ9A
はトロリ7上の滑車18A,19Aと吊具8上の滑車1
3Aとの間隔が長くなり、一方ワイヤロープ9Bはトロ
リ7上の滑車18B,19Bと吊具8上の滑車13Bと
の間隔が短くなる。トロリ7と吊具8との相対振れは振
れセンサ35Aでその量を検出する。このとき、各ワイ
ヤロープ9A,9Bに伸びがないと仮定すれば、各ワイ
ヤロープ9A,9Bの総長は変わらないため、その長さ
の差はガーダ5後端の滑車17Aと17Bとの相対位置
の差ΔLになって現れる。実際には、各ワイヤロープ9
A,9Bに大きな伸びが起こるため、滑車17Aと17
Bとを固定して考えると、伸ばされる側のワイヤロープ
は、張力の増加とロープ総長の増加が起こる。一方、戻
される側のワイヤロープは、張力の減少によるロープの
縮みが発生する。この相対位置の差(ロープの長さの
差)が現れないように各滑車17A,17Bの動きを、
荷振れに逆らうように、すなわち張り側はワイヤロープ
の伸びを吸収するように、さらにロープ張力を増加する
(ロープを張る)方向へ動力装置31を制御すれば、荷
振れの量を押さえ込むような動きが可能となる。つま
り、従来の機械式振れ止め装置が、発生した荷振れに対
し振れの減衰を期待したもの(パッシブダンパー)に対
し、荷振れと逆らう方向の力を加える方式(アクティブ
ダンパー)とし、より短時間での荷振れを減衰させる方
式としたことにより、より高性能な振れ止め装置を提供
することができる。
【0047】もう少し詳しく述べると、図4に示すよう
にたとえばコンテナ10が中立位置103から図4の左
方である後方Y2に距離ΔDだけ振れた場合、ワイヤロ
ープ9Aはトロリ7に取り付けられた各滑車18A,1
9Aと吊具8に取り付けれた滑車13Aとの間隔が、た
とえば各滑車18A,13A間の間隔がL1となり、中
立位置にあるときの間隔L2と比較して長くなり、ワイ
ヤロープ9Bはトロリ7に取り付けられた各滑車18
B,19Bと吊具8に取り付けられた滑車13Bとの間
隔が、たとえば各滑車18A,13A間の間隔がL3と
なり、中立位置にあるときの間隔L4と比較して短くな
る。このとき、各滑車17A,17Bを固定していると
仮定すると、張り側のワイヤロープ9Aは、張力の増加
とロープの伸びが起こり、戻される側のワイヤロープ9
Bは、張力の減少とロープの縮みが発生する。
【0048】これに対して図4に示す位置と反対側にコ
ンテナ10が振れるように、荷振れを相殺する位相が1
80°ずれた人為的な振れが発生するように各ワイヤロ
ープ9A,9Bに張力を与え、すなわちワイヤロープ9
Aの伸びを吸収するようにさらにロープを張る方向、す
なわちロープ張力を増加させる方向に動力装置31を制
御することによって、荷振れを抑制することが可能とな
る。このような制御を荷振れに応じて交互に、すなわ
ち、ワイヤロープ9Aが緊張されるときには、ワイヤロ
ープ9Aをさらに張るように、逆にワイヤロープ9Bが
緊張されるときには、ワイヤロープ9Bをさらに張るよ
うに動力装置を制御して荷振れを抑制することができ
る。ここでは、各ワイヤ9A,9Bについてだけ説明し
たけれども、各ワイヤロープ9C,9Dについても同様
に制御される。
【0049】また、このような構成によって、従来のト
ロリ7の横行動作を制御して振れ止めする振れ止め方法
および振れ止め装置と異なり、トロリ7の横行動作に依
存することなく独立して動作してコンテナ10を振れ止
めすることができるので、トロリ7が静止状態にあると
きにも、たとえば風等の外乱による荷振れに対して振れ
止めすることが可能であり、コンテナ10の位置決め精
度を向上することができる。
【0050】図5に示すように、コンテナ10の重心位
置がずれた場合、左右のワイヤロープの長さに伸びの差
が発生する。この状態で、荷振れが発生した場合、図6
に示すように左右で振り子の周期が異なった吊荷の荷振
れが発生する。本発明はこの荷振れに対し、左右それぞ
れの振れ量に対しての制御が可能なシステムになってい
るため、吊荷の旋回振れに対しても有効な振れ止め装置
となる。
【0051】図5はコンテナ10の重心Gが、コンテナ
10の中心Cからずれた位置に存在する状態を示す模式
図である。また、図6はその場合のコンテナ10の左右
における振れを示すタイムチャートであって、横軸は時
間Tを示し、縦軸は振幅Aを示す。図5に示すように、
コンテナ10の重心Gの位置が中心Cから右方X2にず
れている場合、左右のワイヤロープ9Bおよび9C間に
は伸びの差が生じ、ワイヤロープ9Bの伸びがワイヤロ
ープ9Cの伸びよりも大きくなり、コンテナ10は、重
心Gと中心Cとが一致している場合の位置104に対し
て、右側が下方となるように右下がりに傾斜した状態と
なる。
【0052】これによって、トロリ7に取付けられた各
滑車18B,19Bあるいは18A,19Aと吊具8に
取付けられた滑車13Bあるいは13Aとの鉛直方向の
距離H1は、前記重心Gと中心Cとが一致している場合
の距離H0よりもΔH1だけ長くなる。また逆にトロリ
7に取付けられた各滑車18C,19Cあるいは18
D,19Dと吊具8に取付けられた滑車13Cあるいは
13Dとの鉛直方向の距離H2は、前記重心Gと中心C
とが一致している場合の距離H0よりもΔH2だけ短く
なる。なお、図5には、各滑車13B;13C:18
B,19B;18C,19Cだけを図示している。
【0053】このようにコンテナ10の重心位置が左右
でずれた場合、左右のワイヤロープの伸び等の差が発生
し、これによって、荷振れの周期はワイヤロープ9A,
9B,9C,9Dの長さに影響されるので、図6に示す
ように、時刻T0で横行が開始されると、振れ中心をA
0として、振幅A1をそれぞれ有し、かつコンテナ10
の左端部の振れ105と、右端部の振れ106とで、周
期が異なる非対称振れが発生する。これによって、コン
テナ10に鉛直軸線まわりの旋回振れ、すなわち旋回運
動が生じる。
【0054】本形態によれば、バランスチェーン29、
チェーンスプロケット27および動力装置31、ならび
にバランスチェーン30、チェーンスプロケット28お
よび動力装置32が、左右に個別に設けられているの
で、右側の各ワイヤロープ9A,9B間および左側の各
ワイヤロープ9C,9D間に、振れが抑制される張力差
が生ずるように各ワイヤロープ9A,9Bおよび9C,
9Dに張力を左右独立してそれぞれ与えることができ
る。したがって、コンテナ10の左右において、前後方
向の振れを独立して抑制することができ、前述の旋回運
動を抑制することができる。
【0055】振れ止めの制御回路の模式図を図7に示
す。その制御回路は、前述の振れ量計測のための振れセ
ンサ35A,35B、吊荷の高さを計測する揚程計3
8、コンテナ10の重量とワイヤロープ9A,9B,9
C,9Dに加わる張力の変化を計測監視する荷重計36
A,36B,36C,36Dと、振れ止め装置滑車位置
センサ37A,37Bからの信号を集め、振れ止め装置
の制御値を決定する制御装置本体107ならびに、動力
装置31,32より構成される。
【0056】さらに詳しく述べると、コンテナクレーン
1には、コンテナ10の振れを検出するための振れセン
サ35A,35Bと、コンテナ10の高さ、換言すれ
ば、コンテナ10の鉛直方向の位置、すなわち吊具8の
トロリ7からの距離を検出する揚程計38と、コンテナ
10の重量および各ワイヤロープ9A,9B,9C,9
Dにかかる張力の変化を計測監視する荷重計36A,3
6B,36C,36Dと、各滑車17A,17B,17
C,17Dの位置を検出する振れ止め装置滑車位置セン
サ37A,37Bと、これらの検出手段35A,35
B;36A,36B,36C,36D;37A,37
B;38から与えられる信号によって制御値を演算し、
その制御値を表す信号を動力装置31,32に与える制
御装置本体107とを有し、さらに制御装置本体107
を操作するための操作パネル108を有する。
【0057】各振れセンサー35A,35Bは、トロリ
7に設けられるセンサー本体35A1,35B1と、吊
具8に設けられるターゲット35A2,35B2とをそ
れぞれ有し、各センサー本体35A1,35B1が、各
センサー本体35A1,35B1に対する各ターゲット
35A2,35B2の位置を検出することによって、吊
具8、すなわちコンテナ10のトロリ7に対する荷振れ
を検出する。揚程計38は、巻上げドラム11Aに設け
られ、その回転位置を検出することによって、コンテナ
10の高さを検出する。この揚程計38は、たとえばロ
ータリエンコーダ等によって実現される。各荷重計36
A,36B,36C,36Dは、各滑車17A,17
B,17C,17Dに設けられ、各ワイヤロープ9A,
9B,9C,9Dにかかる張力を検出する。これによっ
て、コンテナ10の荷重を検出することが可能となる。
これらの各荷重計36A,36B,36C,36Dは、
たとえばロードセルによって実現される。各振れ止め装
置滑車位置センサ37A,37Bは、各動力装置31,
32に設けられ、各動力装置31,32によって回転駆
動される各チェーンスプロケット27,28の回転位置
を検出して、各滑車17A,17B,17C,17Dの
位置を検出する。これらの各振れ止め装置滑車位置セン
サ37A,37Bは、たとえばロータリエンコーダによ
って実現される。
【0058】このようにして、各検出手段35A,35
B;36A,36B,36C,36D;37A,37
B;38によって検出された各検出値を表す信号が制御
装置本体107に与えられる。運転者による操作パネル
108からの制御指令および各検出値を表す信号に基づ
いて、制御装置本体107は、制御値である各ワイヤロ
ープ9A,9B,9C,9Dの張力を演算し、各ワイヤ
ロープ9A,9B,9C,9Dの張力がその演算された
張力となるように各動力装置31,32に駆動信号を与
える。この駆動信号にしたがって、各動力装置31,3
2が各チェーンスプロケット27,28を回転駆動す
る。これによって、各ワイヤロープ9A,9B,9C,
9Dの張力が、各ワイヤロープ9Aおよび9B間、なら
びに9Cおよび9D間に前述の張力差が生ずるように制
御される。このようにして、コンテナ10(吊具8)の
振れが抑制される。
【0059】また、本発明の実施の他の形態として、さ
らにフィードバック制御系統を付加するようにしてもよ
い。このフィードバック制御系統は、前記振れセンサ3
5A,35Bによって検出された吊具8の荷振れの量が
入力されると、この荷振れの量が最少になるように、前
述の制御によって、抑制された後の荷振れの量と目標と
する荷振れの量との誤差を補正する補正信号を出力す
る。このフィードバック制御系統は補完的に設けられる
システムであって、たとえば、風や他物からの衝撃など
による予測し得ない突発的要因によって加振された荷振
れの量を補正するための誤差補正用として動作され、確
実にコンテナ10の振れを抑制することができる。
【0060】図8は、本発明の実施の他の形態の吊荷の
振れ止め装置110を簡略化して示す斜視図である。図
1〜図7に示す振れ止め装置100のバランス装置等の
設置位置は、ガーダ5後端のワイヤロープの折り返し点
としているが、先端部のワイヤロープエンド部に配置し
ても同様の効果がある。その形態について、図8に示
す。ワイヤロープ9A,9B,9C,9Dは巻上ドラム
11Aから、ガーダ5後端に配置した滑車17A,17
B,17C,17Dを経由しトロリ7〜吊具8〜トロリ
7を経て、ブーム6先端部に掛け渡される。ブーム6先
端部のワイヤロープ9A,9B,9C,9D固定端をバ
ランスチェーン29,30等のバランス装置で連結し、
バランスチェーン29,30のチェーンスプロケット2
7,28には、動力装置31,32を取り付ける。この
動力装置31,32の動力制御を行うことによって、図
1〜図7に示す実施の形態と同じ効果が期待できる。
【0061】図8に示す本形態において、バランスチェ
ーン29は、各ワイヤロープ9A,9Bの各固定端部を
相対的に変位可能に連結し、バランスチェーン30は、
各ワイヤロープ9C,9Dの各固定端部を相対的に変位
可能に連結する。その他の前述の形態と同様の構成を有
する部分については、同一の参照符号を付し、説明は省
略する。
【0062】図9は、本発明の実施のさらに他の形態の
吊荷の振れ止め装置120を簡略化して示す斜視図であ
る。図8に示す形態において、バランス装置は、バラン
スチェーン29,30とチェーンスプロケット27,2
8とによって構成されたけれども、本形態のバランス装
置は、各ワイヤロープ9Aと9Bとの、および9Cと9
Dとの各固定端部を連結するワイヤロープ122A,1
22Bと、このワイヤロープ122A,122Bが数回
巻回された状態で巻き掛けられるドラム27A,28A
とによって構成される。さらに詳しく述べると、ワイヤ
ロープ9A,9Bは、それぞれの固定端部がワイヤロー
プ122Aによって連結され、このワイヤロープ122
Aは、ドラム27Aに数回巻き掛けられる。ドラム27
Aには、動力装置31が連結されている。この動力装置
31によってドラム27Aを回転駆動して、各ワイヤロ
ープ9A,9Bの固定端部を相対的に変位させることが
できる。ワイヤロープ9C,9Dは、それぞれの固定端
部がワイヤロープ122Bによって連結され、このワイ
ヤロープ122Bは、ドラム28Aに数回巻き掛けられ
る。ドラム28Aには、動力装置32が連結されてい
る。この動力装置32によってドラム28Aを回転駆動
して、各ワイヤロープ9C,9Dの固定端部を相対的に
変位させることができる。これによって、上述の形態と
同様の効果を得て荷振れを抑制することができる。
【0063】各ワイヤロープ9Aと9Bとを、9Cと9
Dとを連結するワイヤロープ122A,122Bは、別
対に構成されてもよく、各ワイヤロープ9Aと9Bと
を、9Cと9Dとを一本のワイヤロープによって構成
し、その途中部分をローラ27A,27Bに巻き掛ける
ようにしてもよい。
【0064】図10は、本発明の実施のさらに他の形態
の吊荷の振れ止め装置130を簡略化して示す斜視図で
ある。ブーム6先端に傾動装置12A,12Bを設置し
たコンテナクレーン1の場合の例について、図10に示
す。傾動装置12A,12Bは、吊具8(コンテナ1
0)の姿勢を傾斜させる装置である。以下その動作につ
いて説明する。滑車20Aから延長されるワイヤロープ
9A1ならびに、滑車20Cから延ばされるワイヤロー
プ9C1は傾動装置のドラム12Aに巻き付ける。同様
に、ワイヤロープ9B1ならびにワイヤロープ9D1は
ドラム12Bに巻き付ける。このとき、ワイヤロープ9
A1,9B1を巻取方向(時計回り)とすれば、ワイヤ
ロープ9C1,9D1は繰出方向(反時計回り)と正反
対に巻き付ける。傾動ドラム12A,12Bの動作を、
ワイヤロープ9A1,9B1を巻取方向にすれば、吊具
8の滑車13A,13B側が持ち上げられ、滑車13
C,13D側が下がるため吊具8は右上がりに長手方向
が傾斜する。また、傾動ドラム12A,12Bの動作
を、ワイヤロープ9A1を巻取方向、ワイヤロープ9B
1を繰出方向にすれば、吊具8の滑車13A,13D側
が持ち上げられ、滑車13B,13C側が下がるため吊
具8は前上がりに短手方向が傾斜し、吊具8は前方Y1
へ移動する。本発明の振止動力装置をこの傾動装置のコ
ンテナ10の短手駆動を利用すれば、別途に振れ止め装
置を設けることなく既存設備の改良で振止効果が期待で
きる。
【0065】このようにコンテナ10を前上がり、また
は前下がりに傾動させる短手駆動運転は、図1〜図7に
示す形態において、各動力装置31,32によって、各
滑車17Aと17Bとを、および各滑車17Cと17D
とを相対的にそれぞれ変位させる動作、および図8また
は図9に示す各形態において、各動力装置31,32に
よって、各ワイヤロープ9Aと9Bとの各固定端部、お
よび各ワイヤロープ9Cと9Dとの各固定端部を相対的
に変位させる動作と同様に作用し、コンテナ10を前方
Y1または後方Y2に変位させることができる。すなわ
ち図1〜図9に示す形態と同様のコンテナ10の振れ止
め効果を期待することができる。このとき、傾動ドラム
12Aおよび各ワイヤロープ9A1,9C1、また、傾
動ドラム12Bおよび各ワイヤロープ9B1,9D1
が、バランス装置としてそれぞれ機能している。
【0066】したがって、本発明の実施の他の形態とし
て、図11に示すように吊荷の振れ止め装置140に、
各滑車17Aと17Bとを、および17Cと17Dとを
相対的に変位させるための各バランスチェーン29,3
0、各チェーンスプロケット27,28および各動力装
置31,32を備えずに、傾動ドラム12Aおよび各ワ
イヤロープ9A1,9C1、また、傾動ドラム12Bお
よび各ワイヤロープ9B1,9D1によってそれぞれ構
成されるバランス装置だけを備えるようにしてもよい。
このように構成しても図1〜図10に示す形態と同様の
コンテナ10の振れ止め効果を期待することができる。
【0067】さらに、上述の各形態において、コンテナ
10の振れをシミュレーションによって予測したデータ
等を利用したトロリ7の振れ止め運転モードによるトロ
リ7の加減速を制御する電気式振れ止め装置と組み合わ
で、本発明の振れ止め装置を利用する場合、大きな荷振
れは電気的振れ止め装置で行い、位置決めで制御しにく
い微小位置合わせ用として本発明の振れ止め制御(振れ
止め装置100,110,130,140)を使用する
と、コンパクトでより高性能な振れ止め装置を実現する
ことができる。
【0068】
【発明の効果】この振れ止め装置によれば、トロリ部の
横行時に発生する荷振れの防止(減少)効果の他に次の
ような優れた効果がある。 図5に示すように、吊荷の重心位置がずれた場合、左
右のワイヤロープの長さに伸びの差が発生する。この状
態で、荷振れが発生した場合、図6に示すように左右で
振り子の周期が異なった吊荷の振れが発生する。本発明
はこの荷振れに対し、左右それぞれの荷振れ量に対して
制御が可能なシステムとなっているため、吊荷の旋回振
れに対しても有効な振れ止め装置となる。 トロリ部が横行停止した後、風等の外乱によって吊荷
が振れ始めた場合においても、荷振れの量を検出して、
振れ止め装置にフィードバック制御を掛けることにより
振れ止め装置を有効に動作させることができるため、安
定した吊荷の位置を確保でき、効率的な荷役が可能にな
る。 さらに、吊荷の振れをシミュレーションによって予測
したデータ等を利用したトロリ部の振止運転モードによ
るトロリ部の加減速を制御する電気式振れ止め装置との
組み合わせで、本発明の振れ止め装置を使用する場合、
大きな荷振れは電気式振れ止め装置で行い、位置決めで
制御しにくい微小位置合わせ用として本発明の振れ止め
制御を使用すると、コンパクトでより高性能な振れ止め
制御を実現することができる。
【0069】すなわち請求項1記載の本発明によれば、
前後の概V字に配置された前後2系統のワイヤロープ各
々交互に張力が与えられるので、前後2系統のワイヤロ
ープによる吊荷への前後方向の引張力に差を生じさせ、
吊荷に前後方向の荷振れ起振力を与えることができる。
このようにして、吊荷に人為的な振れを発生させること
ができ、荷役作業に付随して、あるいは風などの外乱に
よって自然発生する振れを相殺する180°位相のずれ
た人為的な振れを発生させるように前後2系統のワイヤ
ロープに張力を与えることによって、前記自然発生する
振れを抑制することができ、従来に比べ短時間で振れを
抑え、荷役効率を向上することができる。また、荷振れ
は、クレーン操作、すなわちトロリ部の運転に依存しな
いので、経験の浅い者でも簡単かつ確実な操作が可能で
ある。
【0070】請求項2記載の本発明によれば、荷振れの
量に応じた有効な張力を与えられるフィードバック制御
を行うことができるので、抑制された後の吊荷の荷振れ
の量が目標とする荷振れの量と異なった場合、たとえば
突風や異物の接触など突発的要因によって加振されるよ
うな場合に、結果に基づいて新たな張力を与えて、目標
とする荷振れの量と実際の荷振れの量との誤差を補正し
て確実に吊荷の振れを抑制することができる。
【0071】請求項3記載の本発明によれば、吊荷の左
右の振れ量の制御を独立して行うことができるので、吊
荷の左右の振れ量の差によって生ずる旋回動作を抑制す
ることができる。
【0072】請求項4記載の本発明によれば、トロリ部
が静止した状態においても吊荷の振れを制御することが
できるので、トロリ部を停止させた後に、吊荷の振れを
抑制することができ、また、トロリが静止状態にあると
きに風などの外乱によって発生する吊荷の振れをも抑制
することができる。したがって、所定位置からずれるこ
となしに、吊荷を陸揚げまたは船積みすることができ、
位置決め精度が向上される。位置決めに手間を要するこ
とがないので、荷役効率を向上することができる。
【0073】請求項5記載の本発明によれば、前後2系
統のワイヤロープはトロリ部と巻上ドラムとの間で滑車
にそれぞれ巻き掛けられる。各滑車は、バランス装置に
よって連結されており、バランス装置に連結される振れ
止め用動力手段によってバランス装置を駆動することに
よって、相対運動させることができる。この相対運動に
よって、前後2系統のワイヤロープに各々交互に張力を
与えることができ、吊荷に前後2系統のワイヤロープ間
の張力差による引張力の差によって前後方向の起振力を
与えることができる。この起振力によって、吊荷を人為
的に振れさせ、この人為的な振れが荷役作業に付随して
自然発生する振れと相殺される位相の180°ずれた振
れとなるように各ワイヤロープに張力を与えて、前記自
然発生する振れを抑制することができ、従来に比べ短時
間で振れを抑え、荷役効率を向上することができる。さ
らに、吊荷の左右における振れを、それぞれ独立して抑
制することができ、吊荷の鉛直軸線回りの旋回動作につ
いても抑制することができる。しかも、従来と異なり、
トロリ部の横行動作に依存することなく独立して吊荷の
振れ止めを行うことができ、トロリ部が静止状態にある
ときにも振れ止めをすることができるので、吊荷の位置
決め精度を向上することができ、位置決めに手間を要す
ることがなく、荷役効率を向上することができるととも
に、荷振れが生じないようにクレーン操作ができるの
で、経験の浅い者でも簡単かつ確実に操作が可能であ
る。
【0074】請求項6記載の本発明によれば、前後2系
統のワイヤロープの固定端部は、バランス装置によって
連結されており、バランス装置に連結される振れ止め用
動力手段によってバランス装置を駆動することによっ
て、相対運動させることができる。この相対運動によっ
て、前後2系統のワイヤロープに各々交互に張力を与え
ることができ、吊荷に前後2系統のワイヤロープ間の張
力差による引張力の差によって前後方向の起振力を与え
ることができる。この起振力によって、吊荷を人為的に
振れさせ、この人為的な振れが荷役作業に付随して自然
発生する振れと相殺される位相の180°ずれた振れと
なるように各ワイヤロープに張力を与えて、前記自然発
生する振れを抑制することができ、従来に比べ短時間で
振れを抑え、荷役効率を向上することができる。さら
に、吊荷の左右における振れを、それぞれ独立して抑制
することができ、吊荷の鉛直軸線回りの旋回動作につい
ても抑制することができる。しかも、従来と異なり、ト
ロリ部の横行動作に依存することなく独立して吊荷の振
れ止めを行うことができ、トロリ部が静止状態にあると
きにも振れ止めをすることができるので、吊荷の位置決
め精度を向上することができ、位置決めに手間を要する
ことがなく、荷役効率を向上することができるととも
に、荷振れが生じないようにクレーン操作ができるの
で、経験の浅い者でも簡単かつ確実に操作が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の吊荷の振れ止め装置1
00を簡略化して示す斜視図である。
【図2】吊荷の振れ止め装置100を備えるコンテナク
レーン1の全体概略構造を簡略化して示す正面図であ
る。
【図3】振れ止め対策をしていないクレーンにおける荷
振れを示す模式図である。
【図4】コンテナ10の振れ止め方法を説明するための
模式図である。
【図5】コンテナ10の重心Gが中心Cからずれている
場合のコンテナ10を簡略化して示す模式図である。
【図6】図5に示す状態のコンテナ10の荷振れの状態
を示すタイムチャートである。
【図7】コンテナクレーン1に備えられる制御回路を示
す模式図である。
【図8】本発明の実施の他の形態の吊荷の振れ止め装置
110を簡略化して示す斜視図である。
【図9】本発明の実施のさらに他の形態の吊荷の振れ止
め装置120を簡略化して示す斜視図である。
【図10】本発明の実施のさらに他の形態の吊荷の振れ
止め装置130を簡略化して示す斜視図である。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態の吊荷の振れ
止め装置140を簡略化して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンテナクレーン 7 トロリ 8 吊具 9A,9B,9C,9D;9A1,9B1,9C1,9
D1 ワイヤロープ 10 コンテナ 11A, 巻上げドラム 12A,12B 傾動ドラム 17A,17B,17C,17D 転向滑車 27,28 チェーンスプロケット 27A 転向ドラム 29,30 バランスチェーン 31,32 動力装置 35A,35B 振れセンサー 100,110,120,130,140 振れ止め装
置 101 巻上げ装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が固定され、他端が巻上ドラムに巻
    き付けられるワイヤロープを、移動するトロリ部で方向
    を変え、吊具部で折り返して使用される、ロープトロリ
    式のコンテナクレーンにおいて、 片側2系統のワイヤロープを前後に概V字状に配置し、
    左右一対のワイヤロープで吊下げた状態で、前後の概V
    字状に配置されたワイヤロープの各々交互に張力を与え
    ることによって、吊荷の荷振れの量を制御することを特
    徴とするコンテナクレーンの吊荷の振れ止め方法。
  2. 【請求項2】 吊荷の荷振れの量を検出して荷振れの量
    に応じた有効な張力を与えられるフィードバック制御を
    行うことを特徴とする請求項1記載のコンテナクレーン
    の吊荷の振れ止め方法。
  3. 【請求項3】 吊荷の左右の振れ量の差によって発生す
    る旋回動作に対して、左右の振れ量の制御を独立して行
    うことによって吊荷の旋回動作を制御することを特徴と
    する請求項1または2記載のコンテナクレーンの吊荷の
    振れ止め方法。
  4. 【請求項4】 トロリ部が静止状態において吊荷の振れ
    量を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のコンテナクレーンの吊荷の振れ止め方法。
  5. 【請求項5】 一端が固定され、他端が巻上ドラムに巻
    き付けられるワイヤロープを、移動するトロリ部で方向
    を変え、吊具部で折り返して使用される、ロープトロリ
    式のコンテナクレーンにおいて、 前後2系統のワイヤロープを、トロリ部から巻上ドラム
    へ至る間で滑車にそれぞれ巻き掛けて折り返し、その折
    り返した各滑車の動きが相対運動するよう、バランス装
    置で連結配置し、このバランス装置に荷振れ制御用の動
    力手段を連結したことを特徴とするコンテナクレーンの
    吊荷の振れ止め装置。
  6. 【請求項6】 一端が固定され、他端が巻上ドラムに巻
    き付けられるワイヤロープを、移動するトロリ部で方向
    を変え、吊具部で折り返して使用される、ロープトロリ
    式のコンテナクレーンにおいて、 前後2系統のワイヤロープの各固定端部を、バランス装
    置で連結配置し、このバランス装置に荷振れ制御用の動
    力手段を連結したことを特徴とするコンテナクレーンの
    吊荷の振れ止め装置。
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