JPH08208182A - 物体の振止め制御装置 - Google Patents

物体の振止め制御装置

Info

Publication number
JPH08208182A
JPH08208182A JP28271295A JP28271295A JPH08208182A JP H08208182 A JPH08208182 A JP H08208182A JP 28271295 A JP28271295 A JP 28271295A JP 28271295 A JP28271295 A JP 28271295A JP H08208182 A JPH08208182 A JP H08208182A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curve
moving
ascending
movement
natural frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP28271295A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2957117B2 (ja
Inventor
Motomitsu Suzuki
基光 鈴木
Toshiyuki Okada
利幸 岡田
Yoshihiro Ikogi
好博 井漕
Hiroshi Isshiki
浩 一色
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Zosen Corp
Original Assignee
Hitachi Zosen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Zosen Corp filed Critical Hitachi Zosen Corp
Priority to JP28271295A priority Critical patent/JP2957117B2/ja
Publication of JPH08208182A publication Critical patent/JPH08208182A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2957117B2 publication Critical patent/JP2957117B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control And Safety Of Cranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成でかつ迅速に荷物の振れを抑制し
得る物体の振止め制御装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 荷物を走行台車2に設けられた巻上装置
3により吊り下げて移動させる際の制御装置であって、
移動指令により7次関数の移動曲線、および昇降指令に
より5次関数の昇降曲線をそれぞれ生成する移動、昇降
曲線生成部14,15と、上記昇降曲線に基づき、荷物の固
有振動数を求める固有振動数演算部21と、移動曲線およ
び固有振動数演算部21で求められた固有振動数を入力し
て、移動曲線の2階微分値を求めるとともにこの2階微
分値を固有振動数の2剰で割った値を、移動曲線に加算
して走行台車の最適軌道を生成する最適軌道生成部23と
から構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体の移動時にお
ける振れ止め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば荷物をロープを介して吊持
した状態で、所定場所に搬送(移動の一例)させる場
合、その荷物の振れを抑制するために、下記のような制
御が採用されていた。 搬送時において、荷物に取り付けられたセンサによ
り、その速度、加速度などを検出し、その検出量に応じ
て、フィードバック制御により、搬送装置を制御してい
た。 搬送装置側に、機械式の振止め装置を取り付けてお
き、この機械式の振止め装置により、荷物の振れを制御
していた。 荷物または搬送装置の振れ量、速度および加速度をセ
ンサにより検出し、その振れ量が少なくなるように、繰
り返し学習を行わせるニューロまたはファジィによる制
御が行われていた。 搬送装置側に、荷物の振れ量が抑制されるような駆動
動作を与えるパターン制御が行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した制御は、それ
ぞれ下記のような欠点があった。 フィードバック制御の場合には、振れが起こってか
ら、それを検出して制御を行うため、制御に時間がかか
ってしまうという欠点があった。 機械式の振止め装置による場合には、搬送装置自体に
他の付加装置を必要とし、全体的に構成が複雑になると
ともに振れ止めに時間がかかるという欠点があった。 学習的制御による場合には、何度か同じ動作を行い、
徐々に最適化して行くための繰り返しによる学習動作と
学習時間を必要とし、全体の作業効率が低下するという
欠点があった。 パターン制御の場合には、搬送装置の移動距離や移動
時間、荷物や搬送装置の質量また荷物の吊持装置の姿勢
に応じたパターンを数多く準備しなければならないとい
う欠点があり、またこのパターンは、固有振動数(振れ
周期)に依存しており、移動の際に、荷物の質量や吊持
装置の姿勢が変化して、固有振動数が変化した場合に
は、対応できないという欠点があった。
【0004】そこで、本発明は上記問題を解消し得る物
体の移動時における振止め装置を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第1の手段は、物体を保持装置により保持
するとともにこの保持装置を所定距離移動させる移動装
置を制御することにより、物体の振れ止めを行う振止め
制御装置であって、物体の移動距離、移動時間などの移
動指令を入力する移動指令入力部と、物体の昇降距離、
昇降時間などの昇降指令を入力する昇降指令入力部と、
上記移動指令入力部からの移動指令を入力して7次の移
動曲線を生成する移動曲線生成部と、上記昇降指令入力
部からの昇降指令を入力して5次の昇降曲線を生成する
昇降曲線生成部と、この昇降曲線生成部で求められた昇
降曲線に基づき、物体と移動装置との間または物体自身
の固有振動数を求める固有振動数演算部と、上記移動曲
線生成部で求められた移動曲線および上記固有振動数演
算部で求められた固有振動数を入力して、移動曲線の2
階微分値を求めるとともにこの2階微分値を固有振動数
の2剰で割った値を、上記移動曲線に加算して移動装置
の加速度を補償した最適軌道を生成する最適軌道生成部
とから構成した物体の振止め制御装置である。
【0006】また、本発明の第2の手段は、物体を保持
装置により保持するとともにこの保持装置を所定距離移
動させる移動装置を制御することにより、物体の振れ止
めを行う振止め制御装置であって、物体の移動距離、移
動時間などの移動指令を入力する移動指令入力部と、物
体の昇降距離、昇降時間などの昇降指令を入力する昇降
指令入力部と、上記移動指令入力部からの移動指令を入
力して7次の移動曲線を生成する移動曲線生成部と、上
記昇降指令入力部からの昇降指令を入力して5次の昇降
曲線を生成する昇降曲線生成部と、この昇降曲線生成部
で求められた昇降曲線に基づき、物体の固有振動数を求
める固有振動数演算部と、上記昇降曲線生成部で求めら
れた昇降曲線に基づき、物体および保持装置に作用する
粘性抵抗係数を求める粘性抵抗係数演算部と、上記移動
曲線生成部で求められた移動曲線および上記固有振動数
演算部並びに上記粘性抵抗係数演算部で求められた固有
振動数および粘性抵抗係数を入力して、移動曲線の1階
微分値および2階微分値を求めるとともに、この2階微
分値を上記固有振動数の2剰で割った値および1階微分
値に下記に示す式を掛けた値を、上記移動曲線に加算
して移動装置の加速度および速度を補償した最適軌道を
生成する最適軌道生成部とから構成した物体の振止め制
御装置である。
【0007】ch /(m・ω2 )・・・ 但し、式中、 ch :粘性抵抗係数 ω :固有振動数 m :物体と保持装置の合計質量 を表す。
【0008】また、本発明の第3の手段は、物体を保持
装置により保持するとともにこの保持装置を所定距離移
動させる移動装置を制御することにより、物体の振れ止
めを行う振止め制御装置であって、物体の移動距離、移
動時間などの移動指令を入力する移動指令入力部と、物
体の昇降距離、昇降時間などの昇降指令を入力する昇降
指令入力部と、上記移動指令入力部からの移動指令を入
力して9次の移動曲線を生成する移動曲線生成部と、上
記昇降指令入力部からの昇降指令を入力して5次の昇降
曲線を生成する昇降曲線生成部と、この昇降曲線生成部
で求められた昇降曲線に基づき、物体の固有振動数を求
める固有振動数演算部と、上記昇降曲線生成部で求めら
れた昇降曲線に基づき、物体および保持装置に作用する
粘性抵抗係数を求める粘性抵抗係数演算部と、上記昇降
曲線生成部で求められた昇降曲線に基づき、物体および
保持装置と移動装置間の減衰係数を求める減衰係数演算
部と、上記移動曲線生成部で求められた移動曲線および
上記固有振動数演算部で求められた固有振動数並びに上
記粘性抵抗係数演算部で求められた粘性抵抗係数を入力
して、移動曲線の1階微分値および2階微分値並びにn
階微分値を求めるとともに、この2階微分値を上記固有
振動数の2剰で割った値および1階微分値に下記に示す
式を掛けた値並びにn階微分値に下記に示す式を掛
けた値を、上記移動曲線に加算して移動装置の加速度お
よび速度並びに加速度以上の高次微分値を補償した最適
軌道を生成する最適軌道生成部とから構成した物体の振
止め制御装置である。
【0009】 ch /(m・ω2 )・・・ (−1)n ・{(m/c)・ω }2・{(c/m)/ω2n・・・ (n≧3) 上記および式において、 ch :粘性抵抗係数 c :減衰係数 ω :固有振動数 m :物体と保持装置の合計質量 を表す。
【0010】上記の構成によると、物体を移動させる際
に、その移動軌道を、7次,9次などの高次関数の曲線
で表すとともにその昇降軌道を5次関数の曲線で表し、
この移動曲線に、上記昇降曲線に基づく物体の固有振動
数および/または粘性抵抗係数さらには減衰係数を考慮
した値並びに移動曲線の微分値を加算して最適な移動軌
道を生成させ、この最適軌道に基づき移動装置および保
持装置を制御するようにしたので、簡単な制御構成でか
つ物体の振れを迅速に抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図1〜図4に基づき説明する。本実施の形態では、図
1および図2に示すように、ガーダ1上を走行する走行
台車(移動装置の一例)2に載置された巻上装置(保持
装置の一例)3により荷物(物体の一例)Aをワイヤ
ー、ロープなどの索体4および吊り具5を介して吊持
し、この状態で、走行台車2を走行させて、所定の場所
に、移動(または搬送)させる際の荷物Aの振れ止めに
ついて説明する。
【0012】なお、図1中、6は走行台車2を走行駆動
させる走行用モータ(駆動用モータ)であり、7は巻上
装置3の巻取ドラム8を駆動する巻上用モータであり、
また図2に示すように、これらのモータ6,7の駆動を
制御するための制御装置11が具備されている。
【0013】この制御装置11は、走行台車2の移動距
離、移動時間、最高速度などの走行指令(移動指令)を
入力する走行指令入力部(移動指令入力部)12と、巻
上距離(または巻下距離)、巻上時間(または巻下時
間)、最高速度などの巻上指令(昇降指令)を入力する
巻上指令入力部(昇降指令入力部)13と、上記移動指
令入力部12からの移動指令を入力して7次関数の移動
曲線を生成する移動曲線生成部14と、上記巻上指令入
力部13からの巻上指令を入力して5次関数の昇降曲線
を生成する昇降曲線生成部15と、この昇降曲線生成部
15で生成された昇降曲線を入力して巻上用モータ7に
巻上制御信号をその駆動部である巻上用モータドライブ
17に出力する巻上用モータ制御部16と、上記巻上高
さすなわち索体4の長さにより変化する荷振れの固有振
動数を求める固有振動数演算部21、およびそのときの
粘性抵抗係数(空気抵抗に起因する)を求める粘性抵抗
係数演算部22と、上記移動曲線生成部14、昇降曲線
生成部15、固有振動数演算部21および粘性抵抗係数
演算部22から各曲線、固有振動数および粘性抵抗係数
を入力して走行台車2の最適軌道を求める最適軌道生成
部23と、この最適軌道生成部23で求められた最適軌
道を入力して走行用モータ6を制御する走行用モータド
ライブ25に制御信号を出力する走行用モータ制御部2
4とから構成されている。
【0014】また、例えば上記吊り具5側には、荷物A
の重量を検出する重量検出センサ(図示せず)および荷
物Aの位置、すなわち吊り高さ(またはロープ長)を検
出する位置検出センサ(図示せず)が設けられ、これら
の各検出センサで検出された検出値が、上記固有振動数
演算部21および粘性抵抗係数演算部22に入力され
て、荷物Aの質量の変化、索体4の長さの変化が求めら
れ、この変化量が考慮された固有振動数および粘性抵抗
係数が、最適軌道生成部23に入力されるようにしてい
る。
【0015】上記構成において、走行台車2の巻上装置
3に索体4を介して、吊持された荷物Aの振れ止め制御
方法を、図1〜図4に基づき説明する。まず、走行指令
入力部12から、移動指令として、走行台車2の移動距
離、移動位置、移動時間、最高速度などを入力する。
【0016】そして、移動曲線生成部14に上記移動指
令が入力されると、一次関数以上の曲線を単独または組
み合わせて、その始点と終点とで、1,2,3階微分値
がゼロとなり4階微分値が有限である下記の(1) 式にて
示すような7次関数で表される走行軌道が生成される。
【0017】
【数1】
【0018】但し、(1) 式中、tは時間、X*(t)は走行
軌道、Lx は移動距離、Tx は移動時間を表す。一方、
巻上指令入力部13からは、巻上指令として、巻上装置
3における荷物Aの巻上距離(または巻下距離)、巻上
位置(または巻下位置)、最高速度などが入力される。
【0019】そして、昇降曲線生成部15に、上記巻上
指令が入力されると、一次関数以上の曲線を単独または
組み合わせて、その始点と終点とで、1,2階微分値が
ゼロとなり3階微分値が有限である下記の(2) 〜(4) 式
にて示すような昇降曲線(5次曲線)の巻上軌道が生成
される。
【0020】但し、(2) 式中、Y* は巻上軌道、Lya
ybは巻上距離(または巻下距離)を示すロープ長(荷
物の昇降量に相当する)、Ty は巻上時間(または巻下
時間)を表す。
【0021】
【数2】
【0022】また、上記昇降曲線生成部15からの昇降
曲線が、固有振動数演算部21および粘性抵抗係数演算
部22に入力され、この昇降曲線に基づき、巻上高さに
より変化する荷振れの固有振動数(下記の(5) 式に示
す)および粘性抵抗係数(下記の(6) 式に示す)が求
められる。
【0023】ω(t) ={g/Y*(t)}1/2 ・・・・(5) ch (t) =f{Y*(t)} ・・・・(6) 勿論、荷物Aの質量、走行台車2の姿勢が変化する場合
には、その既知の変化量または検出センサで得られた変
化量が、それぞれの演算部21,22に入力され、ここ
でその変化量に応じた固有振動数および粘性抵抗係数が
求められ、これら修正された値が最適軌道生成部23に
入力される。
【0024】そして、最適軌道生成部23では、移動曲
線生成部14で求められた走行軌道(1) に対し、走行軌
道の2階微分値を、入力された固有振動数ω(t) の2剰
で割ることにより求められた値(関数)と、走行軌道の
1階微分値に、入力された粘性抵抗係数ch (t) と荷物
Aと吊り具5の合計質量および固有振動数からなる速度
補償係数{ch /(m・ω2 )}を掛け合わせることに
より求められた値(関数)を足し合わせることで、下記
の(7) 式に示す最適走行軌道[X(t) ]が生成される。
【0025】
【数3】
【0026】なお、上記(7) 式中、{d /dt[X
*(t)]}および{d2/dt2 [X*(t)]}は、それぞれ
*(t)の1階微分と2階微分を表す。このようにして求
められた最適走行軌道が走行用モータ制御部24に入力
される。そして、ここで検出センサからの検出信号が入
力されて、走行用モータ6の位置および速度、すなわち
走行台車2の位置および速度が検出され、この検出値と
上記最適走行軌道である目標値との偏差にゲインを掛け
合わせた値が速度指令として、走行用モータドライバ2
5に出力される。また、上記巻上用モータ7からのフィ
ードバック信号が巻上用モータ制御部16に入力され、
走行台車2と同様に、巻上位置についてもフィードバッ
ク制御が行われている。
【0027】このようにして、上記の最適走行軌道に基
づき、走行台車2が走行されるため、荷物Aを振らすこ
となく、所定の距離を移動させることができる。ここ
で、上述した本発明の制御を使用しない場合の荷物の振
れの状態と、本発明の制御を使用した場合の荷物振れの
状態とを、図3および図4のグラフに示し、その比較を
行う。
【0028】図3は、本発明の制御方法を使用しない場
合で、63ton の走行台車に、53tonの荷物を吊持させて
走行させた場合を示している。この場合、走行台車の走
行軌道として、カムなどでよく使用される、下記の(8)
式にて表される5次曲線(7次曲線を与えてもよいが、
その結果はあまり変わらない)を与えた。
【0029】
【数4】
【0030】また、移動距離Lx は20m、移動時間Tx
は39秒である。このときの、X*(t)のグラフを、図3
(a)に示す。図3(a)中のX(t) は走行台車の動
き、Xt(t)は荷物の動きを示し、またXc(t)は、その停
止時における振れ量を拡大した動きを示す。
【0031】この図3(a)から、走行台車の動きXt
(t)は、フィードバック制御の効果により、少し遅れて
走行軌道X*(t)に沿って停止しているが、走行台車側に
吊持されている荷物の位置は、Xc(t)の曲線にて示すよ
うに、大きく±100mm 以上の振れが残っていることを示
している。
【0032】図3(b)は、巻き上げ動作の曲線Y(t)
を示し、起動と同時に吊り高さ25mから15mまで、10秒
で5次曲線による巻上軌道で巻き上げ、停止10秒前から
吊り高さ15mから25mまで、10秒で巻き下げていること
を示している。
【0033】また、図3(c)は、そのときの荷物すな
わち索体の振れ角と、必要なモータトルクとを示してい
る。図4は、本発明の制御を適用した場合を示してい
る。
【0034】なお、駆動条件、巻上げ動作、各部の重
量、駆動部であるモータのフィードバック制御の性能
は、図3に示した場合と同様である。本発明の制御にお
いては、走行軌道に、上述した7次曲線を使用するとと
もに、固有振動数による振れの補償が行われている。
【0035】図4(a)に示す荷物の振れの状態を示す
曲線Xc(t)を見ると、±8mmの振れしか発生していない
ことが分かる。なお、巻上げ速度は、図4(b)に示す
ように、図3の場合と同様であり、また図4(c)に示
すように、荷物の振れ角、および走行用のモータトルク
についても、滑らかに変動しており、無理なく駆動し得
ることが分かる。
【0036】また、図4を参照して、本発明に係る制御
について説明したように、粘性抵抗係数を考慮しない場
合でも、荷物の振れを抑えた状態で、荷物の移動すなわ
ち搬送を行うことができる。勿論、粘性抵抗係数を考慮
すれば、荷物の振れをより抑制することができる。
【0037】上記実施の形態の構成によると、荷物を移
動させる際に、その移動軌道を、7次関数の曲線で表す
とともにその昇降軌道を5次関数の曲線で表し、この移
動曲線に、上記昇降曲線に基づく荷物の固有振動数およ
び粘性抵抗係数を考慮した値並びに移動曲線の微分値を
加算して最適な移動軌道を生成させ、この最適軌道に基
づき走行台車および巻上装置を制御するようにしたの
で、例えばフィードバック制御のように制御に時間がか
かるということがなく、また機械式のように付加装置も
必要とせず、また学習動作を必要としなく、したがって
簡単な構成でかつ物体の振れを迅速に抑制することがで
きる。
【0038】また、上記実施の形態の構成によると、荷
物の振れ周期(固有振動数)に対し、簡単にかつ柔軟
に、その補償を行うため、移動の際に走行台車の姿勢や
荷物などの質量が変化して周期が変化した場合にも、十
分に対応することができる。
【0039】さらに、最適軌道については、高次関数の
組み合わせにより生成しているため、従来のようパター
ン制御のように、必要な動作に応じたパターンを予め用
意する必要がない。
【0040】次に、本発明の第2の実施の形態を、図5
および図6に基づき説明する。上記第1の実施の形態に
おいては、荷物をクレーンにて、所定場所に移動させる
場合について説明したが、本第2の実施の形態では、荷
物のハンドリング装置に適用した場合について説明す
る。
【0041】すなわち、図5および図6に示すように、
このハンドリング装置31は、一対の走行レール32上
を走行用モータ34により走行自在にされた走行台車
(移動装置の一例)33と、この走行台車33の走行方
向(以下、Y方向という)と直交する方向(以下、X方
向という)で左右の走行台車33間に横架された案内体
35と、この案内体35に移動用モータ(例えばラック
・ピニオン機構を介して駆動するもの)37を介して移
動自在に案内された移動体36と、この移動体36の側
部に設けられるとともに昇降用モータ39により昇降軸
体40をZ方向で駆動(例えばボールネジ機構などが使
用されたもの)させる昇降装置38と、この昇降軸体4
0の下端部に取り付けられた荷物Aの把持具(保持装置
の一例)41と、上記各モータ34,37,39を制御
する制御装置42とから構成されている。
【0042】なお、上記第1の実施の形態では、移動方
向が一方の水平方向と巻上げ方向との2方向であったの
に対して、本第2の実施の形態では、X,Y,Zの三方
向についての軌道制御を行うようにしたものであり、し
たがって第2の実施の形態の制御内容は、第1の実施の
形態の制御内容に、別な水平方向の制御を追加しただけ
であり、実質的な制御内容はほぼ同じであるため、制御
装置42についての説明を、簡単に行う。
【0043】すなわち、この制御装置42は、X,Y,
Z方向における移動距離、移動位置、移動時間、最高速
度などの移動指令を入力するX,Y,Z方向移動指令入
力部51,52,53と、荷物Aの質量を入力する質量
入力部54と、上記X,Y方向移動指令入力部51,5
2からの移動指令を入力して9次関数の移動曲線を生成
するX,Y方向移動曲線生成部55,56と、上記Z方
向移動指令入力部53からの移動指令すなわち昇降指令
を入力して5次関数の移動曲線(以下、昇降曲線とい
う)を生成するZ方向移動曲線生成部57と、このZ方
向移動曲線生成部57で生成された昇降曲線を入力して
昇降用モータ39に制御信号をその駆動部である昇降用
モータドライブ59に出力する昇降用モータ制御部58
と、上記X,Y,Z方向移動曲線生成部55,56,5
7で生成された移動曲線および昇降曲線並びに質量入力
部54からの荷物Aの質量を入力して、移動量および昇
降量に基づき変化する荷振れの固有振動数(例えば、案
内体35、昇降軸体40などの剛性に起因するもの)を
求める固有振動数演算部60、およびそのときの粘性抵
抗係数(荷物Aまたは移動体36などの空気抵抗に起因
するもの)を求める粘性抵抗係数演算部61、並びに減
衰係数(例えば、案内体35,昇降軸体40などの材料
の減衰)を求める減衰係数演算部62と、上記X方向移
動曲線生成部55、固有振動数演算部60、粘性抵抗係
数演算部61および減衰係数演算部62から曲線軌道、
固有振動数、粘性抵抗係数および減衰係数を入力して移
動体36の最適軌道を求めるX方向最適軌道生成部63
と、このX方向最適軌道生成部63で求められた最適軌
道を入力して移動用モータ37を制御する移動用モータ
ドライブ65に制御信号を出力する移動用モータ制御部
64と、上記Y方向移動曲線生成部56、固有振動数演
算部60、粘性抵抗係数演算部61および減衰係数演算
部62から曲線軌道、固有振動数、粘性抵抗係数および
減衰係数を入力して走行台車33の最適軌道を求めるY
方向最適軌道生成部66と、このY方向最適軌道生成部
66で求められた最適軌道を入力して走行用モータ34
を制御する走行用モータドライブ68に制御信号を出力
する走行用モータ制御部67とから構成されている。
【0044】上記構成において、走行台車33、移動体
36および昇降装置38に昇降される昇降軸体40を介
して、吊持された荷物Aの振れ止め制御方法について説
明する。
【0045】まず、X,Y,Z方向移動指令入力部5
1,52,53から、移動指令として、走行台車33、
移動体36および昇降装置38に、移動距離、移動位
置、移動時間および最高速度などをそれぞれ入力する。
【0046】そして、各移動曲線生成部55,56,5
7に、上記移動指令が入力されると、一次関数以上の曲
線を単独または組み合わせて、下記の(11)および(12)式
にて示すような9次関数で表される移動軌道が生成され
る。
【0047】
【数5】
【0048】但し、(11),(12)式中、tは時間、X*(t)
およびY*(t)は移動軌道(走行軌道)、Lx およびLy
は移動距離、Tx およびTy は移動時間を表す。一方、
Z方向移動指令入力部57からは、移動指令(昇降指
令)として、昇降装置38における荷物Aの昇降距離、
昇降位置、最高速度などが入力される。
【0049】そして、Z方向移動曲線生成部57に、上
記移動指令が入力されると、一次関数以上の曲線を単独
または組み合わせて、下記の(13)〜(15)式にて示すよう
な5次関数で表される昇降軌道が生成される。
【0050】但し、(13)〜(15)式中、Z* は昇降軌道、
za,Lzbは昇降距離(昇降量)、Tz は昇降時間を表
す。
【0051】
【数6】
【0052】また、上記Z方向曲線生成部57からの演
算値が、固有振動数演算部60、粘性抵抗係数演算部6
1および減衰係数演算部62に入力され、ここで昇降量
により変化する荷振れの固有振動数[下記の(16),(17)
式に示す]、粘性抵抗係数[下記の(18),(19)式に示
す]および減衰係数[下記の(20),(21)式に示す]が求
められる。
【0053】
【数7】
【0054】上記(16)〜(19)式中、ωx(t)およびωy(t)
はX,Y方向の固有振動数、chx(t)およびchy(t) は
粘性抵抗係数、cx(t)およびcy(t)は減衰係数、kx
{ }およびky { }はバネ定数を求める関数、fx
{ }およびfy { }は粘性抵抗係数を求める関数、
x′{ }およびfy′{ }は減衰係数を求める関
数、m(t) は荷物Aの質量をそれぞれ表す。
【0055】そして、X方向およびY方向最適軌道生成
部63,66では、それぞれ求められた移動曲線(11),
(12)に対し、その2階微分値を、上記固有振動数ωx
(t) ,ωy (t) の2剰で割ることにより求められた値
と、1階微分値に上記粘性抵抗係数chx(t) ,chy(t)
、固有振動数ωx (t) ,ωy (t) および質量m(t) か
らなる速度補償係数と、3階微分値に減衰係数chx(t)
,chy(t) 、固有振動数ωx(t) ,ωy (t) および質量
m(t) からなる高次微分補償係数を掛けた値とを足し合
わせることで、下記の(22),(23)式に示す最適移動軌道
[X(t) ],[Y(t)]が生成される。
【0056】
【数8】
【0057】上記(22)および(23)式中、{d /dt[X
*(t)]},{d /dt[Y*(t)]}および{d2/dt2
[X*(t)]},{d2/dt2 [Y*(t)]}並びに{d3/
dt 3 [X*(t)]},{d3/dt3 [Y*(t)]}は、そ
れぞれX*(t),Y*(t)の1階微分、2階微分、3階微分
を表す。
【0058】なお、3次以上の高次(n次)微分値を補
償する場合には、n階微分値に下記の係数が掛けられた
ものが順次加算される。 (−1)n・{(m/c)・ω}2・{(c/m)/
ω2n (n≧3)
【0059】このようにして求められた昇降軌道および
最適移動軌道が昇降用、移動用および走行用モータ制御
部58,64,67に入力されるとともに、ここで各モ
ータ39,37,34の位置および速度を検出し、上記
最適な軌道である目標値との偏差にゲインを掛け合わせ
た値を速度指令として、各モータドライバ59,65,
68に出力される。すなわち、最適軌道による制御に合
わせてフィードバック制御も行われている。
【0060】このような構成により、上述した最適軌道
に基づき、走行台車33、移動体36および昇降軸体4
0が移動させられるため、荷物Aを振らすことなく、精
度良くハンドリングを行うことができる。
【0061】ここで、最適軌道として、7次関数を採用
した理由について説明する。まず、図7に示すように、
駆動部101 により、搬送部102 を移動させるモデルにつ
いて考える。
【0062】なお、このモデルにおいて、駆動部101 と
搬送部102 との間の接続部を、バネ系(K)で表し、ま
た駆動指令に対して、駆動部101 が遅れなく追従すると
考えると、駆動部101 の質量(または慣性モーメント)
を無視できる。
【0063】このモデルの運動方程式は下記(31)式で表
される。 Mm ・xm′′(t)+K・{xm(t)−x(t) }=0・・・・(31) そのときの固有振動数ωm は下記(32)式で表される。
【0064】ωm 2=K/Mm ・・・・(32) 上記(31)および(32)式をまとめると、下記(33)式とな
る。 (1/ωm 2)・xm′′(t)+xm(t)=x(t) ・・・・(33) ここで、搬送部102 をある関数曲線fn(t)で駆動したい
場合、そのときに駆動部101 に指令する駆動曲線を求め
てみる。
【0065】 xm(t)=fn(t) ・・・・(34) x(t) =fn(t)+(1/ωm 2)・fn′′(t)・・・・(35) つまり、図7のような系の場合、搬送部102 をある関数
曲線fn(t)で駆動したい場合、駆動部101 に与える指令
として、fn(t)にfn(t)の2階微分を固有振動数の2剰
で割った値を足し合わせた曲線を与えればよいことが分
かる(加速度補償制御)。
【0066】次に、加速度補償を行う場合の関数fn(t)
の必要条件について説明する。駆動指令(変位)とし
て、(35)式のx(t) を与えるが、そのときの変位、速
度、加速度は、下記(36)〜(38)式にて表される。
【0067】
【数9】
【0068】ここで、注目することは、変位の項に関数
n(t)の2階微分が含まれているため、速度では3階
の、加速度では4階の関数fn(t)の微分項が含まれるこ
とである。
【0069】移動・搬送装置の動作パターンは、主にA
点からB点への移動であるが、滑らかな起動・停止を行
うためには、駆動指令関数は、 開始時間(t=0) :a(t) =有限値,v(t) =0 終了時間(t= TEND):a(t) =有限値,v(t) =0 を満たす必要がある。
【0070】今、加速度の項に関数fn(t)の4階微分が
含まれるため、加速度a(t) が有限値を持つためには、
関数fn(t)は、4階以上の微分が有限である必要があ
り、さらに速度v(t) が開始時間および終了時間でゼロ
となるために、関数fn(t)は3階以下の微分において、
定数項を持ってはならない。
【0071】関数fn(t)が、仮に高次の時間関数であっ
たとすると、上記の条件を満たす一般式は、以下の(39)
〜(41)式にて表される。
【0072】
【数10】
【0073】次に、A点からB点までの移動時の駆動指
令関数を具体的に求めてみる。例えば、(加速度補償)
または(加速度補償+速度補償)を行う場合、駆動指令
関数をつくる関数fn(t)は、4階以上の微分が有限であ
る必要があり、3階以下の微分において定数項を持って
はならないことは、上述した通りである。
【0074】関数fn(t)が仮に高次の時間関数であり、
A点からB点までの移動(距離L,移動時間TEND )で
あるとすれば、上記の条件を満たす一般式は、以下の(4
2)および(43)式にて表される。
【0075】
【数11】
【0076】t=0で、上記(42)の各式がゼロになるの
は明白であり、全てのAn について成立するので、関数
を決定する条件から除外することができる。また、4階
微分の値は、t=0,t=TEND において、任意の値で
あるからこれも除外することができる。
【0077】つまり、t=TEND 時における3階微分ま
での4個の式の条件を満たせばよいことから、An(n=3+
(1〜4))=A4 ,A5 ,A6 ,A7 であれば、解を求める
ことができるので、fn(t)は7次またはそれ以上の高次
関数であればよいことが分かる。ここでは、もっとも次
数の低い7次関数の場合について解くことにする。
【0078】
【数12】
【0079】上記の各式を解くと、A7 =−20L/T
END 7,A6 =70L/TEND 6,A5 =−84L/TEND 5,A
4 =35L/TEND 4が得られる。これら各値を上記の(39)
式に代入すると、fn(t)は下記の(44)式で表される。
【0080】
【数13】
【0081】ここで、最適軌道として、9次関数を採用
した理由について説明する。まず、図8に示すように、
図7と同様に、駆動部101 により、搬送部102 を移動さ
せるモデルについて考える。この場合は、駆動部と搬送
部間に減衰がある場合に適用される。例えば、クレーン
に機械的、電気制御的減衰装置を付けた場合や、搬送装
置の減衰が無視できない場合があてはまる。
【0082】なお、このモデルにおいて、駆動部101 と
搬送部102 との間の接続部を、バネ系(K)で表し、ま
た駆動部101 の質量(または慣性モーメント)を無視
し、駆動部101 に作用する粘性抵抗力は無視するか、若
しくは作用していたとしてもその粘性抵抗力に打ち勝っ
て駆動指令通りに動くものとする。
【0083】このモデルの運動方程式は下記(51)式で表
される。
【0084】
【数14】
【0085】そのときの固有振動数ωm は下記(32)式で
表される。 ωm 2=K/Mm ・・・・(52) また、減衰比ζは下記(53)式で表される。
【0086】 ζ=C/Cc =C/{2(Mm ・K)0.5 }・・・(53) 上記(51)〜(53)式をまとめると、下記(54)式となる。
【0087】
【数15】
【0088】上記(54)式を整理すると、下記の(55)式の
ようになる。
【0089】
【数16】
【0090】(55)式が減衰付き一質点モデルの補償式の
一般式である。級数的に表現されるため、完全な補償に
は無限の微分項が必要となり、事実上解は存在しない。
そのため、3階までの微分を有効とする近似を行うと、
下記の(57)式のようになる。
【0091】
【数17】
【0092】次に、減衰付き−質点モデルの加速度補償
制御について説明する。ここで搬送部をある関数曲線fn
(t) で駆動したい場合、そのときに駆動部に指令する駆
動曲線x(t)を求めてみる。fn(t)、fn′(t)、fn′′(t)、
fn′′′(t) の初期値が0であり、さらに高次の微分値
は係数(-2・ζ/ωm)nが級数的に小さくなること(ζ<<ω
m の場合)から無視できると考えると、駆動曲線x(t)
は、下記の(59)式にて表される。
【0093】
【数18】
【0094】つまり、図8のような系の場合、搬送部を
ある関数曲線fn(t) で駆動したい場合、駆動部に与える
指令として、fn(t) に、fn(t) の2階微分、3階微分に
(59)式に示す係数を掛けた値を足し合わせた曲線を与え
ればよいことがわかる(高次微分補償)。
【0095】次に、減衰付き一質点モデルの最適軌道制
御について説明する。まず、加速度補償を行う場合の関
数fn(t) の必要条件を述べる。駆動指令(変位)として
(59)式を与えるが、そのときの変位、速度、加速度の各
式は以下の通りとなる。
【0096】
【数19】
【0097】ここで注目するのは、変位の項に関数f
n(t) の2および3階微分が含まれるため、速度では3
および4階の、加速度では4および5階の関数fn(t) の
微分項が含まれる点である。
【0098】移動・搬送装置の動作パターンは、主にA
点からB点への移動であるが、滑らかな起動・停止を行
うためには、駆動指令関数は、 開始時間(t=0) ; a(t) = 有限値 v(t) = 0 終了時間(t=Tend) ; a(t) = 有限値 v(t) = 0 の条件を満たす必要がある。
【0099】今、加速度の項に関数fn(t) の5階微分が
含まれるため、加速度a(t)が有限値を持つためには、関
数fn(t) は5階以上の微分が有限である必要があり、さ
らに速度v(t)が開始時間および終了時間でゼロとなるた
めに、関数fn(t) は4階以下の微分において定数項を持
ってはいけない必要がある。
【0100】関数fn(t) が高次の時間関数であるとする
と、上記条件を満たす一般式は下記の(63)式のようにな
る。
【0101】
【数20】
【0102】また、(55)および(56)式での付近において
N階までを有効と考えた場合、変位の項に関数fn(t) の
2,3・・・・N階微分が含まれるため、速度では3,4・・
・・N+1階の、加速度では4,5・・・・N+2階の関数fn
(t) の微分項が含まれる。つまり、加速度の項に関数fn
(t) のN+2階微分が含まれるため、加速度a(t)が有限
値を持つためには、関数fn(t) はN+2階以上の微分が
有限である必要があり、さらに速度v(t)が開始時間およ
び終了時間でゼロとなるために、関数fn(t) はN+1階
以下の微分において定数項を持ってはいけない必要があ
る。
【0103】関数fn(t) が高次の時間関数であったとす
ると上記条件を満たす一般式は下記の(64)式のようにな
る。
【0104】
【数21】
【0105】次に、A点からB点までの移動時の駆動指
令関数を具体的に求めてみる。例えば、N次の高次微分
補償制御を行う場合、駆動指令関数をつくる関数fn(t)
は、N+2階以上の微分が有限である必要があり、N+
1階以下の微分において定数項を持ってはいけないこと
は、上述した通りである。
【0106】関数fn(t) が高次の時間関数であり、A点
からB点までの移動(距離L 、移動時間Tend)であると
すれば、上記条件を満たす一般式は、以下の(65)および
(66)式にて表される。
【0107】
【数22】
【0108】t=0 で(65)の各式がゼロになるのは明白で
あり、すべてのAnについて成立するので関数を決定する
条件からは除外できる。N+2階微分の値はt=0、t=Tend
において、任意の値であるからこれも除外することがで
きる。
【0109】つまり、t=Tend時におけるN+1階微分ま
での4個の式の条件を満たせばよいことから、An(n=N+1
+(1〜N+2))=AN+2、・・・、A2N+3であれば解を求めることが
できるので、fn(t) は2N+3次あるいはそれ以上の高
次関数であればよいことがわかる。ここでは、3階まで
の微分が有効とする近似を行ったとして、9次関数の場
合について解くことにする。
【0110】
【数23】
【0111】上記の各式を解くと、
【0112】
【数24】
【0113】これら各値を上記の(65)式に代入すると、
fn(t) は下記の(68)式にて表される。
【0114】
【数25】
【0115】また、A点から一定速度までの駆動指令関
数を求めてみる。A点からB点までの移動のほかに、ク
レーンやその他の搬送装置ではよく、Aからある加速時
間で一定速度まで加速し、しばらく一定速度で移動した
後、ある減速時間で減速しB点に停止するという駆動方
法が用いられる。
【0116】ここでは、A点から時間Tup 、距離L で、
速度Voまで滑らかに加速し一定速度になる駆動曲線を考
える。条件式は式(67)を変形して、
【0117】
【数26】
【0118】上記の(69)式を解くと、
【0119】
【数27】
【0120】これら各値を、上記のfn(t) に代入する
と、下記の(70)式のようになる。
【0121】
【数28】
【0122】
【発明の効果】以上のように本発明の構成によると、物
体を移動させる際に、その移動軌道を、7次関数の曲線
で表すとともにその昇降軌道を5次関数の曲線で表し、
この移動曲線に、上記昇降曲線に基づく物体の固有振動
数および/またはを粘性抵抗係数さらに減衰係数を考慮
した値並びに移動曲線の微分値を加算して最適な移動軌
道を生成させ、この最適軌道に基づき移動装置および保
持装置を制御するようにしたので、例えばフィードバッ
ク制御のように制御に時間がかかるということがなく、
また機械式のように付加装置も必要とせず、また学習動
作を必要としなく、したがって簡単な構成でかつ物体の
振れを迅速に抑制することができる。
【0123】また、本発明の構成においては、物体また
は保持装置の振れ周期(固有振動数)に対し、簡単にか
つ柔軟に、その補償を行うため、移動の際に装置の姿勢
や物体などの質量が変化して周期が変化した場合にも、
十分に対応することができる。
【0124】さらに、最適軌道については、高次関数の
組み合わせで生成しているため、従来のようパターン制
御のように、必要な動作に応じたパターンを予め用意す
る必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における振止め制御
装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】同第1の実施の形態における振止め制御装置の
制御ブロック図である。
【図3】振止め制御装置を使用しない場合の各部の走行
方向変移、巻上方向変移、振れ角を示すグラフである。
【図4】振止め制御装置を使用した場合の各部の走行方
向変移、巻上方向変移、振れ角を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態における振止め制御
装置の概略構成を示す斜視図である。
【図6】同第2の実施の形態における振止め制御装置の
制御ブロック図である。
【図7】本発明の制御原理を説明するモデル図である。
【図8】本発明の制御原理を説明するモデル図である。
【符号の説明】
A 荷物 2 走行台車 3 巻上装置 4 索体 5 吊り具 6 走行用モータ 7 巻上用モータ 8 巻取ドラム 11 制御装置 12 走行指令入力部 13 巻上指令入力部 14 移動曲線生成部 15 昇降曲線生成部 16 巻上用モータ制御部 17 巻上用モータドライブ 21 固有振動数演算部 22 減衰係数演算部 23 最適軌道生成部 24 走行用モータ制御部 25 走行用モータドライブ 31 ハンドリング装置 32 走行レール 33 走行台車 34 走行用モータ 35 案内体 36 移動体 37 移動用モータ 38 昇降装置 39 昇降用モータ 40 昇降軸体 41 把持具 42 制御装置 51 X方向移動指令入力部 52 Y方向移動指令入力部 53 Z方向移動指令入力部 54 質量入力部 55 X方向移動曲線生成部 56 Y方向移動曲線生成部 57 Z方向移動曲線生成部 58 昇降用モータ制御部 59 昇降用モータドライブ 60 固有振動数演算部 61 粘性抵抗係数演算部 62 減衰係数演算部 63 X方向最適軌道生成部 64 移動用モータ制御部 65 移動用モータドライブ 66 Y方向最適軌道生成部 67 走行用モータ制御部 68 走行用モータドライブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一色 浩 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物体を保持装置により保持するとともにこ
    の保持装置を所定距離移動させる移動装置を制御するこ
    とにより、物体の振れ止めを行う振止め制御装置であっ
    て、物体の移動距離、移動時間などの移動指令を入力す
    る移動指令入力部と、物体の昇降距離、昇降時間などの
    昇降指令を入力する昇降指令入力部と、上記移動指令入
    力部からの移動指令を入力して移動曲線を生成する移動
    曲線生成部と、上記昇降指令入力部からの昇降指令を入
    力して昇降曲線を生成する昇降曲線生成部と、この昇降
    曲線生成部で求められた昇降曲線に基づき、物体と移動
    装置との間または物体自身の固有振動数を求める固有振
    動数演算部と、上記移動曲線生成部で求められた移動曲
    線および上記固有振動数演算部で求められた固有振動数
    を入力して、移動曲線の2階微分値を求めるとともにこ
    の2階微分値を固有振動数の2剰で割った値を、上記移
    動曲線に加算して移動装置の加速度を補償した最適軌道
    を生成する最適軌道生成部とから構成したことを特徴と
    する物体の振止め制御装置。
  2. 【請求項2】物体を保持装置により保持するとともにこ
    の保持装置を所定距離移動させる移動装置を制御するこ
    とにより、物体の振れ止めを行う振止め制御装置であっ
    て、物体の移動距離、移動時間などの移動指令を入力す
    る移動指令入力部と、物体の昇降距離、昇降時間などの
    昇降指令を入力する昇降指令入力部と、上記移動指令入
    力部からの移動指令を入力して移動曲線を生成する移動
    曲線生成部と、上記昇降指令入力部からの昇降指令を入
    力して昇降曲線を生成する昇降曲線生成部と、この昇降
    曲線生成部で求められた昇降曲線に基づき、物体の固有
    振動数を求める固有振動数演算部と、上記昇降曲線生成
    部で求められた昇降曲線に基づき、物体および保持装置
    に作用する粘性抵抗係数を求める粘性抵抗係数演算部
    と、上記移動曲線生成部で求められた移動曲線および上
    記固有振動数演算部並びに上記粘性抵抗係数演算部で求
    められた固有振動数および粘性抵抗係数を入力して、移
    動曲線の1階微分値および2階微分値を求めるととも
    に、この2階微分値を上記固有振動数の2剰で割った値
    および1階微分値に下記に示す式を掛けた値を、上記
    移動曲線に加算して移動装置の加速度および速度を補償
    した最適軌道を生成する最適軌道生成部とから構成した
    ことを特徴とする物体の振止め制御装置。 ch /(m・ω2 )・・・ 但し、式中、 ch :粘性抵抗係数 ω :固有振動数 m :物体と保持装置の合計質量 を表す。
  3. 【請求項3】物体を保持装置により保持するとともにこ
    の保持装置を所定距離移動させる移動装置を制御するこ
    とにより、物体の振れ止めを行う振止め制御装置であっ
    て、物体の移動距離、移動時間などの移動指令を入力す
    る移動指令入力部と、物体の昇降距離、昇降時間などの
    昇降指令を入力する昇降指令入力部と、上記移動指令入
    力部からの移動指令を入力して移動曲線を生成する移動
    曲線生成部と、上記昇降指令入力部からの昇降指令を入
    力して昇降曲線を生成する昇降曲線生成部と、この昇降
    曲線生成部で求められた昇降曲線に基づき、物体の固有
    振動数を求める固有振動数演算部と、上記昇降曲線生成
    部で求められた昇降曲線に基づき、物体および保持装置
    に作用する粘性抵抗係数を求める粘性抵抗係数演算部
    と、上記昇降曲線生成部で求められた昇降曲線に基づ
    き、物体および保持装置と移動装置間の減衰係数を求め
    る減衰係数演算部と、上記移動曲線生成部で求められた
    移動曲線および上記固有振動数演算部で求められた固有
    振動数並びに上記粘性抵抗係数演算部で求められた粘性
    抵抗係数を入力して、移動曲線の1階微分値および2階
    微分値並びにn階微分値を求めるとともに、この2階微
    分値を上記固有振動数の2剰で割った値および1階微分
    値に下記に示す式を掛けた値並びにn階微分値に下記
    に示す式を掛けた値を、上記移動曲線に加算して移動
    装置の加速度および速度並びに加速度以上の高次微分値
    を補償した最適軌道を生成する最適軌道生成部とから構
    成したことを特徴とする物体の振止め制御装置。 ch /(m・ω2 )・・・ (−1)n ・{(m/c)・ω }2・{(c/m)/ω2n・・・ (n≧3) 上記および式において、 ch :粘性抵抗係数 c :減衰係数 ω :固有振動数 m :物体と保持装置の合計質量 を表す。
  4. 【請求項4】物体または保持装置の質量または位置の変
    化により、固有振動数が変化する場合、固有振動数演算
    部でその変化量を考慮した固有振動数を求め、この固有
    振動数を最適軌道生成部に入力するように構成したこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の物体
    の振止め制御装置。
  5. 【請求項5】物体または保持装置の質量または位置の変
    化を検出する検出器を具備し、この検出器で検出された
    変化量を固有振動数演算部に入力させるとともに、この
    変化量を考慮した固有振動数を求め、この固有振動数を
    最適軌道生成部に入力するように構成したことを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれかに記載の物体の振止め
    制御装置。
  6. 【請求項6】物体または保持装置の質量または位置の変
    化により、粘性抵抗係数が変化する場合、粘性抵抗係数
    演算部でその変化量を考慮した粘性抵抗係数を求め、こ
    の粘性抵抗係数を最適軌道生成部に入力するように構成
    したことを特徴とする請求項2または3記載の物体の振
    止め制御装置。
  7. 【請求項7】物体または保持装置の質量または位置の変
    化を検出する検出器を具備し、この検出器で検出された
    変化量を粘性抵抗係数演算部に入力させるとともに、こ
    の変化量を考慮した粘性抵抗係数を求め、この粘性抵抗
    係数を最適軌道生成部に入力するように構成したことを
    特徴とする請求項2または3記載の物体の振止め制御装
    置。
  8. 【請求項8】物体または保持装置の質量または位置の変
    化により、減衰係数が変化する場合、減衰係数演算部で
    その変化量を考慮した減衰係数を求め、この減衰係数を
    最適軌道生成部に入力するように構成したことを特徴と
    する請求項3記載の物体の振止め制御装置。
  9. 【請求項9】物体または保持装置の質量または位置の変
    化を検出する検出器を具備し、この検出器で検出された
    変化量を減衰係数演算部に入力させるとともに、その変
    化量を考慮した減衰係数を求め、この減衰係数を最適軌
    道生成部に入力するように構成したことを特徴とする請
    求項3記載の物体の振止め制御装置。
  10. 【請求項10】移動曲線生成部または昇降曲線生成部で
    生成された曲線に、その曲線の始点と終点とで、n(自
    然数)階微分値がゼロとなり、(n+1)階微分値が有
    限である(2n+1)次曲線を使用したことを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の物体の振止め制
    御装置。
  11. 【請求項11】移動曲線生成部または昇降曲線生成部で
    生成された曲線として、その曲線の始点と終点とで、n
    (自然数)階微分値がゼロとなり、(n+1)階微分値
    が有限でかつ任意時間後において1階微分値が任意の値
    を持ち、2,3,・・・,n階微分値が有限である(2
    n+1)次曲線を使用するとともに、これを組み合わせ
    ることによりその曲線に一定速度区間を有せしめたこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の物体
    の振止め制御装置。
  12. 【請求項12】nが2,3および4のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項10記載の物体の振止め制御装
    置。
  13. 【請求項13】nが2,3および4のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項11記載の物体の振止め制御装
    置。
  14. 【請求項14】移動装置の位置または速度を検出すると
    ともに、この検出された位置または速度を移動装置の駆
    動用モータの制御部にフィードバックさせるように構成
    したことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに
    記載の物体の振止め制御装置。
JP28271295A 1994-10-31 1995-10-31 物体の振止め制御装置 Expired - Fee Related JP2957117B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28271295A JP2957117B2 (ja) 1994-10-31 1995-10-31 物体の振止め制御装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-265905 1994-10-31
JP26590594 1994-10-31
JP28271295A JP2957117B2 (ja) 1994-10-31 1995-10-31 物体の振止め制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08208182A true JPH08208182A (ja) 1996-08-13
JP2957117B2 JP2957117B2 (ja) 1999-10-04

Family

ID=26547212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28271295A Expired - Fee Related JP2957117B2 (ja) 1994-10-31 1995-10-31 物体の振止め制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2957117B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017124885A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 株式会社ダイフク 物品搬送装置
CN107826978A (zh) * 2017-03-15 2018-03-23 南京工业大学 一种双摆桥式起重机的速度轨迹规划消摆方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017124885A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 株式会社ダイフク 物品搬送装置
CN107055325A (zh) * 2016-01-12 2017-08-18 株式会社大福 物品输送装置
CN107055325B (zh) * 2016-01-12 2019-11-05 株式会社大福 物品输送装置
CN107826978A (zh) * 2017-03-15 2018-03-23 南京工业大学 一种双摆桥式起重机的速度轨迹规划消摆方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2957117B2 (ja) 1999-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100220202B1 (ko) 크레인의 로프 흔들림 방지 제어방법 및 장치
JPH08290892A (ja) 吊荷の振れ止め装置
KR970003508B1 (ko) 크레인의 진동방지를 위한 속도 제어 방법
WO2007094190A1 (ja) 吊荷振れ止め装置
JP4883272B2 (ja) クレーンの振れ止め制御方法
JP3140953B2 (ja) コンテナクレーンの吊荷の振れ止め方法およびその装置
JP3355616B2 (ja) クレーンの振れ止め制御方法
JPS62259986A (ja) 懸垂式クレーンにおける振れ止め制御装置
JP2957117B2 (ja) 物体の振止め制御装置
JPS6138118B2 (ja)
JP2925966B2 (ja) 物体の振止め制御装置
JP3237557B2 (ja) クレーン吊り荷の振れ止め制御方法
KR100293185B1 (ko) 흔들림방지기능을구비한무인천정크레인제어장치
JP7384025B2 (ja) 懸架式クレーンの制御装置及びインバータ装置
JP3376772B2 (ja) クレーンの振れ止め・位置決め装置
JP3019661B2 (ja) クレーン運転制御方法
JP4183316B2 (ja) 吊荷の振れ止め制御装置
JP4155785B2 (ja) 吊り荷の振れ止め制御方法
JP2890393B2 (ja) クレーンの振れ止め制御方法
JP2837314B2 (ja) クレーンの振れ止め制御装置
KR20040057720A (ko) 천정 크레인의 고성능 무 진동 제어 방법
JP2000313586A (ja) 吊荷の振れ止め制御装置
JP2000168914A (ja) 速度制御装置
JPH09272605A (ja) スタッカクレーンの走行制御装置
JPH07267576A (ja) 吊荷の振れ止め制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080723

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080723

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090723

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090723

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100723

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees