JPH09136102A - α+β型チタン合金シート材の製造方法 - Google Patents
α+β型チタン合金シート材の製造方法Info
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- JPH09136102A JPH09136102A JP29554595A JP29554595A JPH09136102A JP H09136102 A JPH09136102 A JP H09136102A JP 29554595 A JP29554595 A JP 29554595A JP 29554595 A JP29554595 A JP 29554595A JP H09136102 A JPH09136102 A JP H09136102A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 強度の面内異方性が小さいことを前提にし
て、表面性状および外観に優れ、しかも歪みの小さいα
+β型チタン合金シート材シート材を製造する。 【解決手段】 真空パックされたインゴットまたは粗片
に熱間クロス圧延を施し、冷却後、封筒から取り出し、
酸洗処理を施すことにより剥離剤を除去し、酸洗処理の
終了後5分以内に水洗する。前記酸洗処理に先立って、
封筒からシート材を取りだすことなく熱処理を施す。ま
た、前記酸洗処理に先立って、封筒からシート材を取り
だすことなく熱間におけるクリープ矯正処理を施す。前
記3つの方法において、酸洗液として沸酸:1〜10w
t.%、硝酸:1〜20wt.%の混合液を使用し、シ
ート材を0.5〜20分間の範囲内で浸漬する。 【効果】 表面性状及び表面外観に優れ、歪みが小さ
く、且つ強度の面内異方性が小さく等方性に優れたα+
β型チタン合金シート材を製造することができる。
て、表面性状および外観に優れ、しかも歪みの小さいα
+β型チタン合金シート材シート材を製造する。 【解決手段】 真空パックされたインゴットまたは粗片
に熱間クロス圧延を施し、冷却後、封筒から取り出し、
酸洗処理を施すことにより剥離剤を除去し、酸洗処理の
終了後5分以内に水洗する。前記酸洗処理に先立って、
封筒からシート材を取りだすことなく熱処理を施す。ま
た、前記酸洗処理に先立って、封筒からシート材を取り
だすことなく熱間におけるクリープ矯正処理を施す。前
記3つの方法において、酸洗液として沸酸:1〜10w
t.%、硝酸:1〜20wt.%の混合液を使用し、シ
ート材を0.5〜20分間の範囲内で浸漬する。 【効果】 表面性状及び表面外観に優れ、歪みが小さ
く、且つ強度の面内異方性が小さく等方性に優れたα+
β型チタン合金シート材を製造することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、α+β型チタン
合金シート材の製造方法に関し、表面性状および表面外
観に優れ、ひずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の
小さいα+β型チタン合金シート材の製造方法に関する
ものである。
合金シート材の製造方法に関し、表面性状および表面外
観に優れ、ひずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の
小さいα+β型チタン合金シート材の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、α+β型チタン合金シート材は、
主に厚板圧延機によるパック圧延により製造されている
が、まれにはホットストリップミルによりコイルにも圧
延されている。パック圧延とは、インゴットまたは粗片
の表面に剥離剤を塗布後、少なくともその上下2面を他
の金属材で被覆し熱間圧延をする方法であり、α+β型
チタン合金のように加工性の悪い合金であっても、厚板
圧延機によりシート材の製造を可能とする圧延方法であ
る。また、上下面に更に4周面も被覆し、例えば、鋼板
等の材料で合わせ目を溶接して密閉被覆箱(以下、「封
筒」という)を製作し、その内部の空気を真空に引いて
密封し、封筒で被覆したまま当該インゴットまたは粗片
を圧延する方法もある。
主に厚板圧延機によるパック圧延により製造されている
が、まれにはホットストリップミルによりコイルにも圧
延されている。パック圧延とは、インゴットまたは粗片
の表面に剥離剤を塗布後、少なくともその上下2面を他
の金属材で被覆し熱間圧延をする方法であり、α+β型
チタン合金のように加工性の悪い合金であっても、厚板
圧延機によりシート材の製造を可能とする圧延方法であ
る。また、上下面に更に4周面も被覆し、例えば、鋼板
等の材料で合わせ目を溶接して密閉被覆箱(以下、「封
筒」という)を製作し、その内部の空気を真空に引いて
密封し、封筒で被覆したまま当該インゴットまたは粗片
を圧延する方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】α+β型チタン合金シ
ート材をホットストリップミルで圧延すると、1方向の
みの圧延となるので、材料強度の面内異方性が生じるの
で望ましくない。また、大気中での圧延でもあるため、
圧延後のシート材の表面には強固に固着して剥離困難な
酸化スケールが形成される。このスケールをショットブ
ラストがけして除去すると、ひずみが発生し、品質上望
ましくない。一方、厚板圧延機による、鋼板製封筒内部
を真空引きしたパック圧延であれば酸化スケールは形成
されないが、剥離剤の除去は別途行わなければならな
い。そして、次いで行なわれる剥離剤除去のための酸洗
処理を施した場合には、酸洗液によってシートが酸化さ
れてシート表面に斑が生じて、美観を損なうという問題
がある。
ート材をホットストリップミルで圧延すると、1方向の
みの圧延となるので、材料強度の面内異方性が生じるの
で望ましくない。また、大気中での圧延でもあるため、
圧延後のシート材の表面には強固に固着して剥離困難な
酸化スケールが形成される。このスケールをショットブ
ラストがけして除去すると、ひずみが発生し、品質上望
ましくない。一方、厚板圧延機による、鋼板製封筒内部
を真空引きしたパック圧延であれば酸化スケールは形成
されないが、剥離剤の除去は別途行わなければならな
い。そして、次いで行なわれる剥離剤除去のための酸洗
処理を施した場合には、酸洗液によってシートが酸化さ
れてシート表面に斑が生じて、美観を損なうという問題
がある。
【0004】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決することにより、表面性状および表面外観に優
れ、ひずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の小さい
α+β型チタン合金シート材の製造方法を提供すること
にある。
を解決することにより、表面性状および表面外観に優
れ、ひずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の小さい
α+β型チタン合金シート材の製造方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決して上述したα+β型チタン合金シート材を
効率よく製造する方法について詳細に検討を重ねた結
果、強固に固着したスケールの形成を抑制するために、
粗片の表面に剥離剤を塗布した後、内部を真空引きした
パック圧延を行ない、封筒から圧延材を取り出した後に
酸洗処理することにより剥離剤を除去し、酸洗処理後5
分以内に水洗をすることにより、所望のα+β型チタン
合金シート材を製造することが可能であるとの知見を得
た。
問題を解決して上述したα+β型チタン合金シート材を
効率よく製造する方法について詳細に検討を重ねた結
果、強固に固着したスケールの形成を抑制するために、
粗片の表面に剥離剤を塗布した後、内部を真空引きした
パック圧延を行ない、封筒から圧延材を取り出した後に
酸洗処理することにより剥離剤を除去し、酸洗処理後5
分以内に水洗をすることにより、所望のα+β型チタン
合金シート材を製造することが可能であるとの知見を得
た。
【0006】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明のα+β型チタン合金シー
ト材の製造方法は、α+β型チタン合金シート材の製造
に際して、前記α+β型チタン合金のインゴットまたは
粗片の表面に剥離剤を塗布した後、前記インゴットまた
は粗片の上下面および4周面を鋼板で被覆し、前記鋼板
の継ぎ目を接合して前記鋼板製の封筒を製作し、前記封
筒内を真空引きした後前記封筒を密封し、このようにし
て調製された、内部が真空に保持された前記封筒内部に
収納された前記インゴットまたは粗片に熱間クロス圧延
を施し、冷却後、前記封筒から熱間圧延されたα+β型
チタン合金シート材を取り出し、酸洗処理を施して前記
剥離剤を除去し、酸洗終了後5分以内に水洗することに
より、表面性状および外観に優れ、ひずみが小さく、且
つ、強度の面内異方性の小さいシート材を製造すること
に特徴を有するもの(以下、「第1発明」という)であ
る。
れたものであって、この発明のα+β型チタン合金シー
ト材の製造方法は、α+β型チタン合金シート材の製造
に際して、前記α+β型チタン合金のインゴットまたは
粗片の表面に剥離剤を塗布した後、前記インゴットまた
は粗片の上下面および4周面を鋼板で被覆し、前記鋼板
の継ぎ目を接合して前記鋼板製の封筒を製作し、前記封
筒内を真空引きした後前記封筒を密封し、このようにし
て調製された、内部が真空に保持された前記封筒内部に
収納された前記インゴットまたは粗片に熱間クロス圧延
を施し、冷却後、前記封筒から熱間圧延されたα+β型
チタン合金シート材を取り出し、酸洗処理を施して前記
剥離剤を除去し、酸洗終了後5分以内に水洗することに
より、表面性状および外観に優れ、ひずみが小さく、且
つ、強度の面内異方性の小さいシート材を製造すること
に特徴を有するもの(以下、「第1発明」という)であ
る。
【0007】この発明の第1の望ましいα+β型チタン
合金シート材の製造方法は、第1発明の製造方法に、更
に、熱間クロス圧延が終了した後であって、酸洗処理に
先立って、封筒の内部から熱間クロス圧延されたα+β
型チタン合金シート材を取り出すことなくα+β型チタ
ン合金シート材に熱処理を施すこと、を付加することに
特徴を有するもの(以下、「第2発明」という)であ
る。
合金シート材の製造方法は、第1発明の製造方法に、更
に、熱間クロス圧延が終了した後であって、酸洗処理に
先立って、封筒の内部から熱間クロス圧延されたα+β
型チタン合金シート材を取り出すことなくα+β型チタ
ン合金シート材に熱処理を施すこと、を付加することに
特徴を有するもの(以下、「第2発明」という)であ
る。
【0008】この発明の第2の望ましいα+β型チタン
合金シート材の製造方法は、第1発明の製造方法に、更
に、熱間クロス圧延が終了した後であって、酸洗処理に
先立って、封筒の内部から熱間クロス圧延されたα+β
型チタン合金シート材を取りだすことなくα+β型チタ
ン合金シート材に熱間におけるクリープ矯正処理を施す
こと、を付加することにより、表面性状および外観に優
れ、ひずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の小さい
シート材を製造することに特徴を有するもの(以下、
「第3発明」という)である。
合金シート材の製造方法は、第1発明の製造方法に、更
に、熱間クロス圧延が終了した後であって、酸洗処理に
先立って、封筒の内部から熱間クロス圧延されたα+β
型チタン合金シート材を取りだすことなくα+β型チタ
ン合金シート材に熱間におけるクリープ矯正処理を施す
こと、を付加することにより、表面性状および外観に優
れ、ひずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の小さい
シート材を製造することに特徴を有するもの(以下、
「第3発明」という)である。
【0009】この発明の第3の望ましいα+β型チタン
合金シート材の製造方法は、第1〜第3発明の製造方法
のいずれかにおいて、酸洗処理が、酸洗液として沸酸を
1〜10wt.%の範囲内、および、硝酸を1〜20w
t.%の範囲内で含有する混合液を使用し、熱間クロス
圧延されたα+β型チタン合金シート材を混合液中に、
0.5〜20分間の範囲内で浸漬するものであることに
特徴を有するもの(以下、「第4発明」という)であ
る。
合金シート材の製造方法は、第1〜第3発明の製造方法
のいずれかにおいて、酸洗処理が、酸洗液として沸酸を
1〜10wt.%の範囲内、および、硝酸を1〜20w
t.%の範囲内で含有する混合液を使用し、熱間クロス
圧延されたα+β型チタン合金シート材を混合液中に、
0.5〜20分間の範囲内で浸漬するものであることに
特徴を有するもの(以下、「第4発明」という)であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、上述した第1
〜第4発明のように構成した理由を説明する。 表面に剥離剤が塗布された所定のインゴットまたは
粗片の上下面および4周面を鋼板で被覆し、合わせ目を
溶接して封筒を製作し、内部を真空引きした後密封し、
このようにして調製されたパック体を熱間圧延する。こ
のようにする理由は、熱間圧延中に、強固な酸化スケー
ルがα+β型チタン合金圧延材の表面に形成するのを抑
制するためである。なお、封筒内部の真空引きは、上記
目的を達成するために、10-3torr以上の真空度にする
ことが望ましい。
〜第4発明のように構成した理由を説明する。 表面に剥離剤が塗布された所定のインゴットまたは
粗片の上下面および4周面を鋼板で被覆し、合わせ目を
溶接して封筒を製作し、内部を真空引きした後密封し、
このようにして調製されたパック体を熱間圧延する。こ
のようにする理由は、熱間圧延中に、強固な酸化スケー
ルがα+β型チタン合金圧延材の表面に形成するのを抑
制するためである。なお、封筒内部の真空引きは、上記
目的を達成するために、10-3torr以上の真空度にする
ことが望ましい。
【0011】 剥離剤除去のための酸洗処理後、5分
以内に水洗しなければならないのは、α+β型チタン合
金シート材の表面に残存する酸洗液によって表面が酸化
されて色斑が形成されるのを抑制するためである。 パック圧延終了後、封筒から圧延材を取り出さず、
そのまま熱処理をすることが望ましい。この理由は、封
筒内部は真空であるので、圧延材の表面に酸化スケール
が形成されるのが抑制されるからであり、また、焼鈍等
の熱処理により、組織の制御が行われ、強度と延性との
バランスが改善されるからである。
以内に水洗しなければならないのは、α+β型チタン合
金シート材の表面に残存する酸洗液によって表面が酸化
されて色斑が形成されるのを抑制するためである。 パック圧延終了後、封筒から圧延材を取り出さず、
そのまま熱処理をすることが望ましい。この理由は、封
筒内部は真空であるので、圧延材の表面に酸化スケール
が形成されるのが抑制されるからであり、また、焼鈍等
の熱処理により、組織の制御が行われ、強度と延性との
バランスが改善されるからである。
【0012】 パック圧延終了後、封筒から圧延材を
取り出さず、そのまま熱間でのクリープ矯正処理をする
ことが望ましい。この理由は、封筒内部は真空であるの
で、圧延材の表面に酸化スケールが形成されることなく
ひずみ除去が行なわれ、しかも、加熱によって組織を制
御することができ、強度と延性とのバランスが改善され
るからである。なお、熱処理および熱間クリープ矯正は
いずれも、処理温度を650℃以上でTβ−100℃以
下とし、且つ、処理時間を30分以上10時間以下とす
るのが望ましい。その理由は下記の通りである。処理温
度が650℃未満では、組織の等軸化が十分には進ま
ず、延性の改善効果が小さく、且つ、クリープ矯正時に
は十分には平坦化されない。一方、処理温度がTβ−1
00℃を超えると、組織が粗大化して延性の低下につな
がる。更に、処理時間が30分未満では、組織の等軸化
が十分には進まず、延性の改善効果が小さく、且つ、ク
リープ矯正時に十分には平坦化されない。一方、処理時
間が10時間を超えると、上述した効果が飽和するの
で、経済的に不利となる。
取り出さず、そのまま熱間でのクリープ矯正処理をする
ことが望ましい。この理由は、封筒内部は真空であるの
で、圧延材の表面に酸化スケールが形成されることなく
ひずみ除去が行なわれ、しかも、加熱によって組織を制
御することができ、強度と延性とのバランスが改善され
るからである。なお、熱処理および熱間クリープ矯正は
いずれも、処理温度を650℃以上でTβ−100℃以
下とし、且つ、処理時間を30分以上10時間以下とす
るのが望ましい。その理由は下記の通りである。処理温
度が650℃未満では、組織の等軸化が十分には進ま
ず、延性の改善効果が小さく、且つ、クリープ矯正時に
は十分には平坦化されない。一方、処理温度がTβ−1
00℃を超えると、組織が粗大化して延性の低下につな
がる。更に、処理時間が30分未満では、組織の等軸化
が十分には進まず、延性の改善効果が小さく、且つ、ク
リープ矯正時に十分には平坦化されない。一方、処理時
間が10時間を超えると、上述した効果が飽和するの
で、経済的に不利となる。
【0013】 酸洗処理に使用する酸洗液の化学成分
組成として、沸酸を1〜10wt.%および硝酸を1〜20
wt.%含む混合溶液中に、0.5〜20分間浸漬すること
により、沸酸によるチタン材の溶解作用により剥離剤を
除去するとともに、硝酸による酸化作用により過度のチ
タン材溶解および水素吸収を抑制する効果がある。かく
して、α+β型チタン合金シート材の表面を荒らすこと
なく剥離剤を除去し、且つ、延性低下をもたらす水素含
有量を低く抑制し、表面性状の優れたα+β型チタン合
金シート材の製造が容易になる。
組成として、沸酸を1〜10wt.%および硝酸を1〜20
wt.%含む混合溶液中に、0.5〜20分間浸漬すること
により、沸酸によるチタン材の溶解作用により剥離剤を
除去するとともに、硝酸による酸化作用により過度のチ
タン材溶解および水素吸収を抑制する効果がある。かく
して、α+β型チタン合金シート材の表面を荒らすこと
なく剥離剤を除去し、且つ、延性低下をもたらす水素含
有量を低く抑制し、表面性状の優れたα+β型チタン合
金シート材の製造が容易になる。
【0014】沸酸には上述した作用がある。しかしなが
ら、その濃度が1wt.%未満では、剥離剤を除去すること
ができず、一方、10wt.%を超えるとチタン材が過度に
溶解し、表面性状の劣化につながる。硝酸には、上述し
た作用がある。しかしながら、その濃度が0.5wt.%未
満ではその効果がなく、一方、20wt.%を超えるとその
効果が飽和するので、経済的理由から20wt.%以下であ
ることが望ましい。浸漬時間については、0.5分未満
では、剥離剤除去の効果が小さく、一方、20分を超え
ると、過度の溶解により表面性状の劣化および多量の水
素吸収が生じる。以上より、酸洗液および浸漬時間は上
述した条件で行なうのが望ましい。
ら、その濃度が1wt.%未満では、剥離剤を除去すること
ができず、一方、10wt.%を超えるとチタン材が過度に
溶解し、表面性状の劣化につながる。硝酸には、上述し
た作用がある。しかしながら、その濃度が0.5wt.%未
満ではその効果がなく、一方、20wt.%を超えるとその
効果が飽和するので、経済的理由から20wt.%以下であ
ることが望ましい。浸漬時間については、0.5分未満
では、剥離剤除去の効果が小さく、一方、20分を超え
ると、過度の溶解により表面性状の劣化および多量の水
素吸収が生じる。以上より、酸洗液および浸漬時間は上
述した条件で行なうのが望ましい。
【0015】
【実施例】次に、この発明のα+β型チタン合金材の製
造方法を実施例により、更に詳細に説明する。 〔実施例1〕α+β型チタン合金として、Ti−4.5
%Al−3%V−2%Mo−2%Fe合金を用いて、本
発明の範囲内の本発明法および本発明の範囲外の比較法
で試験を行った。表1に本発明法および比較法における
α+β型チタン合金板の製造条件を示す。
造方法を実施例により、更に詳細に説明する。 〔実施例1〕α+β型チタン合金として、Ti−4.5
%Al−3%V−2%Mo−2%Fe合金を用いて、本
発明の範囲内の本発明法および本発明の範囲外の比較法
で試験を行った。表1に本発明法および比較法における
α+β型チタン合金板の製造条件を示す。
【0016】
【表1】
【0017】Ti−4.5%Al−3%V−2%Mo−
2%Fe合金粗片を、表1に示すように、ホットストリ
ップミルにより、または、厚板圧延機によるパック圧延
により圧延した。No.A1〜A5は比較法であり、No.
A6〜A8は本発明法である。但し、No.A2〜5のパ
ック圧延は、上下面のみを鋼板で被覆し、真空の状態で
圧延されない場合(以下、「大気パック圧延」という)
であり、No.A6〜8のパック圧延は、上下面および全
側面を鋼板で被覆して封筒内部を真空引きした場合(以
下「真空パック圧延」という)である。なお、真空パッ
ク圧延における封筒内真空引き後の内部の圧力は、10
-4torrであった。また、実施例3の真空パック圧延にお
いても、上記圧力は同じである。
2%Fe合金粗片を、表1に示すように、ホットストリ
ップミルにより、または、厚板圧延機によるパック圧延
により圧延した。No.A1〜A5は比較法であり、No.
A6〜A8は本発明法である。但し、No.A2〜5のパ
ック圧延は、上下面のみを鋼板で被覆し、真空の状態で
圧延されない場合(以下、「大気パック圧延」という)
であり、No.A6〜8のパック圧延は、上下面および全
側面を鋼板で被覆して封筒内部を真空引きした場合(以
下「真空パック圧延」という)である。なお、真空パッ
ク圧延における封筒内真空引き後の内部の圧力は、10
-4torrであった。また、実施例3の真空パック圧延にお
いても、上記圧力は同じである。
【0018】ホットストリップミルでは、圧延加熱温度
850℃、仕上温度700℃で1方向のみの圧延を行な
って板厚1mmのシート材を、一方、厚板圧延機では、
すべての圧延において圧延加熱温度850℃、仕上温度
700℃で、クロス比1.1程度のクロス圧延を行っ
て、板厚1mmのシート材に圧延した。
850℃、仕上温度700℃で1方向のみの圧延を行な
って板厚1mmのシート材を、一方、厚板圧延機では、
すべての圧延において圧延加熱温度850℃、仕上温度
700℃で、クロス比1.1程度のクロス圧延を行っ
て、板厚1mmのシート材に圧延した。
【0019】次いで、同表に示す条件で、適宜、熱処理
および熱間におけるクリープ矯正を行なった後、適宜、
グラインダーまたはショットブラストによる表面手入れ
をした。そして、次いで、沸酸を3wt.%および硝酸を1
0wt.%含有する混合液中に10分間浸漬する酸洗処理に
より空気酸化スケールおよび剥離剤を除去した。
および熱間におけるクリープ矯正を行なった後、適宜、
グラインダーまたはショットブラストによる表面手入れ
をした。そして、次いで、沸酸を3wt.%および硝酸を1
0wt.%含有する混合液中に10分間浸漬する酸洗処理に
より空気酸化スケールおよび剥離剤を除去した。
【0020】このようにして各製造条件により得られた
シート材について、引張試験、ひずみ測定試験、表面粗
さ試験およびシートの表面観察を行なって品質特性を評
価し、その結果を表2に示した。試験方法は次の通りで
あり、以下の実施例においても同じである。 引張試験:L方向およびC方向の0.2%耐力および伸
びを測定した。 YS(L)は、圧延方向と平行方向の引張試験での0.
2%耐力 YS(C)は、圧延方向と垂直方向の引張試験での0.
2%耐力 EL(L)は、圧延方向と平行方向の引張試験での伸び EL(C)は、圧延方向と垂直方向の引張試験での伸び 表面粗さ試験:L方向およびC方向の最大粗さを測定し
た。 Rmax.(L)は、圧延方向と平行方向に測定した最大粗
さ Rmax.(C)は、圧延方向と直角方向に測定した最大粗
さ 表面観察:スケールおよび剥離剤の除去状態を観察し
た。 良好:スケールおよび剥離剤の除去が可能であった場合
シート材について、引張試験、ひずみ測定試験、表面粗
さ試験およびシートの表面観察を行なって品質特性を評
価し、その結果を表2に示した。試験方法は次の通りで
あり、以下の実施例においても同じである。 引張試験:L方向およびC方向の0.2%耐力および伸
びを測定した。 YS(L)は、圧延方向と平行方向の引張試験での0.
2%耐力 YS(C)は、圧延方向と垂直方向の引張試験での0.
2%耐力 EL(L)は、圧延方向と平行方向の引張試験での伸び EL(C)は、圧延方向と垂直方向の引張試験での伸び 表面粗さ試験:L方向およびC方向の最大粗さを測定し
た。 Rmax.(L)は、圧延方向と平行方向に測定した最大粗
さ Rmax.(C)は、圧延方向と直角方向に測定した最大粗
さ 表面観察:スケールおよび剥離剤の除去状態を観察し
た。 良好:スケールおよび剥離剤の除去が可能であった場合
【0021】
【表2】
【0022】強度の面内異方性について、No.A1とA
2とで比較する。ホットストリップミルで1方向のみの
圧延をしたNo.A1では、C方向に対するL方向の0.
2%耐力の比(YS(L)/YS(C))が、0.8未
満であり、強度の面内異方性が大きい。これに対して、
厚板圧延機ではクロス圧延が可能であり、大気パック圧
延により、クロス比約1.1で圧延をしたNo.A2で
は、0.2%耐力の比(YS(L)/YS(C))は1
に近く、強度の面内異方性は比較的小さい。このよう
に、等方的な強度特性を有するシート材の製造が可能で
ある。
2とで比較する。ホットストリップミルで1方向のみの
圧延をしたNo.A1では、C方向に対するL方向の0.
2%耐力の比(YS(L)/YS(C))が、0.8未
満であり、強度の面内異方性が大きい。これに対して、
厚板圧延機ではクロス圧延が可能であり、大気パック圧
延により、クロス比約1.1で圧延をしたNo.A2で
は、0.2%耐力の比(YS(L)/YS(C))は1
に近く、強度の面内異方性は比較的小さい。このよう
に、等方的な強度特性を有するシート材の製造が可能で
ある。
【0023】酸洗後の表面性状について、No.A2、A
4およびA6で比較する。No.A2およびA4は大気パ
ック圧延されたものであるため、No.A4のように、酸
洗処理のみでは脱スケールをすることはできず、No.A
2のように酸洗処理後にショットブラストをかけること
が必要である。これに対して、No.A6のように、真空
パック圧延をすれば、酸洗処理のみで十分に剥離剤の除
去をすることができ、良好な表面性状が得られた。
4およびA6で比較する。No.A2およびA4は大気パ
ック圧延されたものであるため、No.A4のように、酸
洗処理のみでは脱スケールをすることはできず、No.A
2のように酸洗処理後にショットブラストをかけること
が必要である。これに対して、No.A6のように、真空
パック圧延をすれば、酸洗処理のみで十分に剥離剤の除
去をすることができ、良好な表面性状が得られた。
【0024】ショットブラストがけの有無によるひずみ
発生の大きさについて、No.A4とA5で比較する。シ
ョットブラストをかけたNo.A5においてはひずみが大
きい。このように、シート材は薄く剛性が小さいので板
厚1mm程度の場合には、2〜5mm/mの大きなひず
みが生じショトブラスト処理は望ましくない。
発生の大きさについて、No.A4とA5で比較する。シ
ョットブラストをかけたNo.A5においてはひずみが大
きい。このように、シート材は薄く剛性が小さいので板
厚1mm程度の場合には、2〜5mm/mの大きなひず
みが生じショトブラスト処理は望ましくない。
【0025】表面性状に与えるグラインダー仕上げの効
果と、酸洗処理+ショットブラストがけの効果とについ
て、No.A3とA5で比較する。両者共にスケールおよ
び剥離剤の除去は良好であるが、グラインダー仕上げで
は、研磨目の方向(L方向)と直角方向(C方向)との
間の表面粗さの差があり、直角方向では表面粗さが劣化
していた。これに対して、No.A5ではそのような表面
粗さの差はなく、良好であった。
果と、酸洗処理+ショットブラストがけの効果とについ
て、No.A3とA5で比較する。両者共にスケールおよ
び剥離剤の除去は良好であるが、グラインダー仕上げで
は、研磨目の方向(L方向)と直角方向(C方向)との
間の表面粗さの差があり、直角方向では表面粗さが劣化
していた。これに対して、No.A5ではそのような表面
粗さの差はなく、良好であった。
【0026】熱処理の効果について、No.A6とA8と
で比較すると、熱処理を施したNo.A8では、伸びが2
0%に向上し延性が改善されている。
で比較すると、熱処理を施したNo.A8では、伸びが2
0%に向上し延性が改善されている。
【0027】熱間でのクリープ矯正効果について、No.
A6とA7とで比較すると、クリープ矯正材のNo.A7
では、ひずみが1mm/m以下に改善される共に、伸び
が20%以上となり延性も改善されている。
A6とA7とで比較すると、クリープ矯正材のNo.A7
では、ひずみが1mm/m以下に改善される共に、伸び
が20%以上となり延性も改善されている。
【0028】なお、No.A7およびA8はいずれも真空
パック圧延が行われたものであるから、真空中の封筒内
で熱処理または熱間でのクリープ矯正がなされたので、
最後の表面手入れも酸洗処理のみで十分となっている。
パック圧延が行われたものであるから、真空中の封筒内
で熱処理または熱間でのクリープ矯正がなされたので、
最後の表面手入れも酸洗処理のみで十分となっている。
【0029】上述した結果をまとめると、本発明法のN
o.A6〜8はいずれも、表面性状およよび表面外観に優
れ、ひずみおよび面内異方性が小さく優れている。これ
に対して、比較法のNo.A1〜5はいずれも、表面性
状、表面外観、ひずみおよび面内異方性のうち少なくと
も一つにおいて劣っている。
o.A6〜8はいずれも、表面性状およよび表面外観に優
れ、ひずみおよび面内異方性が小さく優れている。これ
に対して、比較法のNo.A1〜5はいずれも、表面性
状、表面外観、ひずみおよび面内異方性のうち少なくと
も一つにおいて劣っている。
【0030】表3に、酸洗処理後水洗開始までに経過し
た時間と、α+β型チタン合金シート材の表面状態との
関係についての結果を示す。
た時間と、α+β型チタン合金シート材の表面状態との
関係についての結果を示す。
【0031】
【表3】
【0032】酸洗と水洗との間隔が、5分以内であれ
ば、表面に色斑が発生することなく剥離剤の除去が可能
であった。これに対して、その間隔が5分を超える場合
には、シート材表面に残存した酸洗液によって表面の酸
化が進行し、色斑となって美観を損ねることとなった。
なお、上記のように、酸洗液の残存により色斑が発生し
た場合には、再度、酸洗液に0.5分以上浸漬した後5
分以内に水洗することによって改善をすることが可能で
あった。
ば、表面に色斑が発生することなく剥離剤の除去が可能
であった。これに対して、その間隔が5分を超える場合
には、シート材表面に残存した酸洗液によって表面の酸
化が進行し、色斑となって美観を損ねることとなった。
なお、上記のように、酸洗液の残存により色斑が発生し
た場合には、再度、酸洗液に0.5分以上浸漬した後5
分以内に水洗することによって改善をすることが可能で
あった。
【0033】〔実施例2〕実施例1のNo.A8(本発明
法)のα+β型チタン合金シートを用いて、本発明の範
囲内の酸洗処理を施した。表4に、その酸洗処理条件を
示す。
法)のα+β型チタン合金シートを用いて、本発明の範
囲内の酸洗処理を施した。表4に、その酸洗処理条件を
示す。
【0034】
【表4】
【0035】表4に示したように、酸洗液および浸漬時
間を種々変化させた。酸洗液は、沸酸を0〜30wt.%の
範囲内および硝酸を0〜40wt.%の範囲内で変化させた
混合液、並びに、沸酸を3wt.%および硫酸を5〜10w
t.%の範囲内で変化させた混合液を使用し、そして、浸
漬時間を0.1〜60分の範囲内で変化させて酸洗処理
をした。上記酸洗処理を施されたα+β型チタン合金シ
ート材について、表面性状および水素吸収量を試験し、
その結果を、前記表4に併記した。
間を種々変化させた。酸洗液は、沸酸を0〜30wt.%の
範囲内および硝酸を0〜40wt.%の範囲内で変化させた
混合液、並びに、沸酸を3wt.%および硫酸を5〜10w
t.%の範囲内で変化させた混合液を使用し、そして、浸
漬時間を0.1〜60分の範囲内で変化させて酸洗処理
をした。上記酸洗処理を施されたα+β型チタン合金シ
ート材について、表面性状および水素吸収量を試験し、
その結果を、前記表4に併記した。
【0036】表4から明らかなように、酸洗処理におい
て、本発明の範囲内であっても、特に、沸酸が1〜10
wt.%の範囲内で且つ硝酸が1〜20wt.%の範囲内にある
混合液中に、0.5〜20分浸漬することにより、剥離
剤の除去が容易になり、且つ、チタン材の延性低下原因
ともなる水素吸収を一層抑制できることがわかる。この
ようにして、表面性状に優れたα+β型チタン合金シー
トの製造が容易になる。なお、酸洗液として、沸酸+硫
酸を用いた場合には、沸酸+硫酸を用いた場合に比較し
て、表面性状が低下し、水素吸収量が多くなった。
て、本発明の範囲内であっても、特に、沸酸が1〜10
wt.%の範囲内で且つ硝酸が1〜20wt.%の範囲内にある
混合液中に、0.5〜20分浸漬することにより、剥離
剤の除去が容易になり、且つ、チタン材の延性低下原因
ともなる水素吸収を一層抑制できることがわかる。この
ようにして、表面性状に優れたα+β型チタン合金シー
トの製造が容易になる。なお、酸洗液として、沸酸+硫
酸を用いた場合には、沸酸+硫酸を用いた場合に比較し
て、表面性状が低下し、水素吸収量が多くなった。
【0037】〔実施例3〕Ti−6%Al−4%V合金
粗片を、表5のNo.D4(比較法)およびD8(本発明
法)に示すように、厚板圧延機によりそれぞれ、大気パ
ック圧延および真空パック圧延をした。各々の圧延にお
いて、圧延加熱温度950℃、仕上温度800℃で、ク
ロス比1.1程度のクロス圧延を行って、板厚1mmの
シート材に圧延した。次いで、720℃×1時間の熱処
理を施した。次いで、封筒から取り出した後、沸酸を3
wt.%および硝酸を10wt.%含有する混合液中に10分間
浸漬することにより酸洗処理をした。
粗片を、表5のNo.D4(比較法)およびD8(本発明
法)に示すように、厚板圧延機によりそれぞれ、大気パ
ック圧延および真空パック圧延をした。各々の圧延にお
いて、圧延加熱温度950℃、仕上温度800℃で、ク
ロス比1.1程度のクロス圧延を行って、板厚1mmの
シート材に圧延した。次いで、720℃×1時間の熱処
理を施した。次いで、封筒から取り出した後、沸酸を3
wt.%および硝酸を10wt.%含有する混合液中に10分間
浸漬することにより酸洗処理をした。
【0038】
【表5】
【0039】このようにして製造されたシート材につい
て、引張試験、ひずみ測定試験、表面粗さ試験および表
面観察を行なって品質特性を評価し、その結果を表6に
示した。なお、引張試験では、L方向およびC方向の
0.2%耐力および伸びを測定した。
て、引張試験、ひずみ測定試験、表面粗さ試験および表
面観察を行なって品質特性を評価し、その結果を表6に
示した。なお、引張試験では、L方向およびC方向の
0.2%耐力および伸びを測定した。
【0040】
【表6】
【0041】酸洗後の表面性状について、大気パック圧
延をしたNo.D4では、酸洗処理のみで脱スケールをす
ることは不可能であるが、これに対して、真空パック圧
延をしたNo.D8では、熱処理も真空雰囲気中で行なわ
れているので、酸洗処理のみで十分に剥離剤を除去する
ことができ、良好な表面性状が得られた。なお、No.D
4およびD8はいずれも、厚板圧延ではクロス圧延を行
なっているので、強度の面内異方性は小さく良好であ
り、更に、ショットブラストをかけていないので、ひず
みも小さく良好であった。
延をしたNo.D4では、酸洗処理のみで脱スケールをす
ることは不可能であるが、これに対して、真空パック圧
延をしたNo.D8では、熱処理も真空雰囲気中で行なわ
れているので、酸洗処理のみで十分に剥離剤を除去する
ことができ、良好な表面性状が得られた。なお、No.D
4およびD8はいずれも、厚板圧延ではクロス圧延を行
なっているので、強度の面内異方性は小さく良好であ
り、更に、ショットブラストをかけていないので、ひず
みも小さく良好であった。
【0042】〔実施例4〕実施例3のNo.D8(本発明
法)のα+β型チタン合金シートを用いて、本発明の範
囲内の酸洗処理を施した。表7に、その酸洗処理条件を
示す。
法)のα+β型チタン合金シートを用いて、本発明の範
囲内の酸洗処理を施した。表7に、その酸洗処理条件を
示す。
【0043】
【表7】
【0044】表7に示したように、酸洗液および浸漬時
間を種々変化させた。酸洗液は、沸酸を0〜30wt.%の
範囲内および硝酸を0〜40wt.%の範囲内で変化させた
混合液を使用し、そして、浸漬時間を0.1〜60分の
範囲内で変化させて酸洗処理をした。上記酸洗処理を施
されたα+β型チタン合金シート材について、表面性状
および水素吸収量を試験し、その結果を、前記表7に併
記した。
間を種々変化させた。酸洗液は、沸酸を0〜30wt.%の
範囲内および硝酸を0〜40wt.%の範囲内で変化させた
混合液を使用し、そして、浸漬時間を0.1〜60分の
範囲内で変化させて酸洗処理をした。上記酸洗処理を施
されたα+β型チタン合金シート材について、表面性状
および水素吸収量を試験し、その結果を、前記表7に併
記した。
【0045】表7から明らかなように、酸洗処理におい
て、本発明の範囲内であっても、特に、沸酸が1〜10
wt.%の範囲内で且つ硝酸が1〜20wt.%の範囲内にある
混合液中に、0.5〜20分浸漬することにより、剥離
剤の除去が容易になり、且つ、チタン材の延性低下原因
ともなる水素吸収を一層抑制できることがわかる。この
ようにして、表面性状に優れたα+β型チタン合金シー
トの製造が容易になる。
て、本発明の範囲内であっても、特に、沸酸が1〜10
wt.%の範囲内で且つ硝酸が1〜20wt.%の範囲内にある
混合液中に、0.5〜20分浸漬することにより、剥離
剤の除去が容易になり、且つ、チタン材の延性低下原因
ともなる水素吸収を一層抑制できることがわかる。この
ようにして、表面性状に優れたα+β型チタン合金シー
トの製造が容易になる。
【0046】上述した本発明法においては、α+β型チ
タン合金として、Ti−4.5%Al−3%V−2%M
o−2%Fe合金、および、Ti−6%Al−4%V合
金を用いたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、例えば、Ti−6%Al−2%Sn−4%Zr−6
%Mo等のα+β型チタン合金においても適用可能であ
る。
タン合金として、Ti−4.5%Al−3%V−2%M
o−2%Fe合金、および、Ti−6%Al−4%V合
金を用いたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、例えば、Ti−6%Al−2%Sn−4%Zr−6
%Mo等のα+β型チタン合金においても適用可能であ
る。
【0047】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成したの
で、表面性状および表面外観に優れ、ひずみが小さく、
且つ、強度の面内異方性が小さく等方性に優れた、α+
β型チタン合金シート材を効率よく製造すること方法を
提供することができ、工業上有用な効果がもたらされ
る。
で、表面性状および表面外観に優れ、ひずみが小さく、
且つ、強度の面内異方性が小さく等方性に優れた、α+
β型チタン合金シート材を効率よく製造すること方法を
提供することができ、工業上有用な効果がもたらされ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 α+β型チタン合金シート材の製造に際
して、前記α+β型チタン合金のインゴットまたは粗片
の表面に剥離剤を塗布した後、前記インゴットまたは粗
片の上下面および4周面を鋼板で被覆し、前記鋼板の継
ぎ目を接合して前記鋼板製の封筒を製作し、前記封筒内
を真空引きした後前記封筒を密封し、このようにして調
製された、内部が真空に保持された前記封筒内部に収納
された前記インゴットまたは粗片に熱間クロス圧延を施
し、冷却後、前記封筒から熱間圧延されたα+β型チタ
ン合金シート材を取り出し、酸洗処理を施すことにより
前記剥離剤を除去し、前記酸洗処理の終了後5分以内に
水洗することにより、表面性状および外観に優れ、ひず
みが小さく、且つ、強度の面内異方性の小さいシート材
を製造することを特徴とするα+β型チタン合金シート
材の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のα+β型チタン合金シー
ト材の製造方法に、更に、前記熱間クロス圧延が終了し
た後であって、前記酸洗処理に先立って、前記封筒の内
部から前記熱間クロス圧延された前記α+β型チタン合
金シート材を取りだすことなく前記α+β型チタン合金
シート材に熱処理を施すこと、を付加することにより、
表面性状および外観に優れ、ひずみが小さく、且つ、強
度の面内異方性の小さいシート材を製造することを特徴
とするα+β型チタン合金シート材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載のα+β型チタン合金シー
ト材の製造方法に、更に、前記熱間クロス圧延が終了し
た後であって、前記酸洗処理に先立って、前記封筒の内
部から前記熱間クロス圧延された前記α+β型チタン合
金シート材を取りだすことなく前記α+β型チタン合金
シート材に熱間におけるクリープ矯正処理を施すこと、
を付加することにより、表面性状および外観に優れ、ひ
ずみが小さく、且つ、強度の面内異方性の小さいシート
材を製造することを特徴とするα+β型チタン合金シー
ト材の製造方法。 - 【請求項4】 前記酸洗処理は、酸洗液として沸酸を1
〜10wt.%の範囲内、および、硝酸を1〜20w
t.%の範囲内で含有する混合液を使用し、前記熱間ク
ロス圧延された前記α+β型チタン合金シート材を前記
混合液中に、0.5〜20分間の範囲内で浸漬するもの
である、請求項1〜3記載の内いずれかのα+β型チタ
ン合金シート材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29554595A JPH09136102A (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | α+β型チタン合金シート材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29554595A JPH09136102A (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | α+β型チタン合金シート材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09136102A true JPH09136102A (ja) | 1997-05-27 |
Family
ID=17822041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29554595A Pending JPH09136102A (ja) | 1995-11-14 | 1995-11-14 | α+β型チタン合金シート材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09136102A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013508550A (ja) * | 2009-10-20 | 2013-03-07 | オベール エ デュヴァル | チタン合金部品の応力緩和熱処理 |
WO2016056607A1 (ja) * | 2014-10-08 | 2016-04-14 | 新日鐵住金株式会社 | チタン内包構造体およびチタン材 |
KR20180027572A (ko) | 2015-07-29 | 2018-03-14 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 티탄 복합재 및 열간 압연용 티탄재 |
US11066727B2 (en) | 2015-07-29 | 2021-07-20 | Nippon Steel Corporation | Titanium composite material and titanium material for hot working |
-
1995
- 1995-11-14 JP JP29554595A patent/JPH09136102A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013508550A (ja) * | 2009-10-20 | 2013-03-07 | オベール エ デュヴァル | チタン合金部品の応力緩和熱処理 |
WO2016056607A1 (ja) * | 2014-10-08 | 2016-04-14 | 新日鐵住金株式会社 | チタン内包構造体およびチタン材 |
JPWO2016056607A1 (ja) * | 2014-10-08 | 2017-08-03 | 新日鐵住金株式会社 | チタン素材およびチタン材 |
KR20190084359A (ko) | 2014-10-08 | 2019-07-16 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 티탄 내포 구조체 및 티탄재 |
EP3520914A1 (en) | 2014-10-08 | 2019-08-07 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Titanium encapsulation structure and titanium material |
US10988832B2 (en) | 2014-10-08 | 2021-04-27 | Nippon Steel Corporation | Titanium-containing structure and titanium product |
KR20210059005A (ko) | 2014-10-08 | 2021-05-24 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 티탄 봉재, 티탄판 및 그 제조 방법 |
KR20180027572A (ko) | 2015-07-29 | 2018-03-14 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 티탄 복합재 및 열간 압연용 티탄재 |
US10920300B2 (en) | 2015-07-29 | 2021-02-16 | Nippon Steel Corporation | Titanium composite material and titanium material for hot rolling |
US11066727B2 (en) | 2015-07-29 | 2021-07-20 | Nippon Steel Corporation | Titanium composite material and titanium material for hot working |
US11814703B2 (en) | 2015-07-29 | 2023-11-14 | Nippon Steel Corporation | Titanium material for hot working |
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