JPH09134113A - 波源像可視化方法及び装置 - Google Patents

波源像可視化方法及び装置

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JPH09134113A
JPH09134113A JP28984895A JP28984895A JPH09134113A JP H09134113 A JPH09134113 A JP H09134113A JP 28984895 A JP28984895 A JP 28984895A JP 28984895 A JP28984895 A JP 28984895A JP H09134113 A JPH09134113 A JP H09134113A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】音波や電波ホログラムの原理に従い、2次元干
渉測定を行って波源像の可視化を行う場合に、コヒーレ
ンシに関する事前の知識を必要とせず、部分コヒーレン
トな波源分布の評価が可能であって、スペクトルの速い
変化に追従できるようにする。 【解決手段】固定センサ14からの信号a(t)と走査セ
ンサ13からの信号b(t)をそれぞれフーリエ変換して
スペクトルSa(ω),Sa(ω)を得る。クロススペクトル
の平均値〈Sa *(ω)Sb(ω)〉や各パワースペクトルの
平方根の平均値〈|Sa(ω)|〉,〈|Sb(ω)|〉を算
出し、これらに基づいてコヒーレンス関数γ2(ω)を定
める。クロススペクトルを|Sa(ω)|で規格化し、さ
らにコヒーレンス関数γ2(ω)に応じて観測周波数帯域
で積分して相関値Cab(x,y)を求める。観測対象11
への距離zに応じて、波源像の再生処理の演算方法を変
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホログラフィの原
理に基づいて波源像を可視化する方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電波ホログラムや音波ホログラムを用い
て波源像を可視化する技術が実用化され、例えば不要電
磁波輻射の低減や騒音低減などのために使用されてい
る。観測対象の物体の電波ホログラムを得て解析するこ
とにより、その物体のどこからどの程度の不要輻射が生
じているかを知ることができ(輻射源分布の可視化)、
いわゆるEMI(Electromagnetic Interference)対策を
進める上で有効な情報を得ることができる。音波ホログ
ラフィによる音源分布の可視化については、例えば、上
羽 貞行、”音波ホログラフィと騒音源探査”、計測と
制御、第16巻第5号、427〜433頁、1977年
に記載がある。
【0003】図2は、2次元干渉観測を行って2次元複
素インタフェログラム(複素ホログラム)を求めこのイ
ンタフェログラムを再生することによって波源分布の表
示を行う従来の波源像可視化装置の構成を示すブロック
図であり、上述の参考文献に示されているものである。
【0004】観測対象51に対して距離z0だけ離れた
場所に走査観測面52を設定し、走査観測面52内を移
動する走査センサ53を用い、走査観測面52の各点に
おいて、観測対象51からの電磁波や音波を検出して信
号b(t)を得る。また、走査センサ53とは別に固定セ
ンサ54を設け、固定センサ54でも観測対象51から
の電磁波や音波を検出して信号a(t)を得る。なお、t
は時刻を表わし、x,yは走査観測面52内での2次元
座標を表わし、x',y'は観測対象51での2次元座標
を表わしている。
【0005】各センサ53,54からの信号b(t),a
(t)は、バンドパスフィルタ55,56で所定の周波数
帯域に制限され、信号b(t)はロックインアンプ58,
59に入力し、信号a(t)は位相シフタ57に入力す
る。位相シフタ57からは、位相遅れのない信号(0
°)が一方のロックインアンプ58の参照信号として出
力し、π/4だけ遅れた信号(90°)が他方のロック
インアンプ58,59の参照信号として出力する。した
がって、一方のロックインアンプ58から、走査観測面
52上の点(x,y)での相関値の実数成分JRe(x,y)が
出力され、他方のロックインアンプ59からは点(x,
y)での相関値の虚数成分JIm(x,y)が出力されること
になる。走査観測面52の各点での相関値を得ることに
より、2次元複素インタフェログラムが得られることに
なる。
【0006】このようにして得られた各点での相関値に
基づき波源像再生処理部60により波形像を再生し、こ
の波形像を表示部61に表示する。具体的には、観測対
象51上の点(x',y')における輻射の強度をI(x',
y')で表わすと、この強度I(x',y')は、以下のよう
に表わされる。jは虚数単位である。
【0007】
【数1】 波源像再生処理部60は式(1)に表わされる計算を実行
する。
【0008】ところで、式(1)の右辺は、波源がコヒー
レントである場合には振幅を表わすが、波源がインコヒ
ーレントである場合には振幅の平方を表わす。したがっ
て、表示部61において観測対象51における振幅分布
を表示させる場合、波源がコヒーレントである場合には
I(x',y')を表示部61に対して出力し、波源がイン
コヒーレントの場合には
【0009】
【外1】 を表示部61に対して出力する必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の波源像
可視化装置には、ロックインアンプの応答性の制限のた
めに、速いスペクトル変動に追従できないという問題点
がある。また、上述したように、波源がコヒーレントか
インコヒーレントであるかによって再生像の解釈が異な
り、事前にコヒーレント波源であるかインコヒーレント
波源であるかを知らないと、再生像の解釈を行うことが
できないこともある。電子装置からの不要輻射の可視化
の場合、時間、空間的に、コヒーレント、インコヒーレ
ント、部分コヒーレントな成分が混在し、しかも事前に
その割合等を予測することが困難なことが多いので、結
局、従来の装置によっては定量的な解釈を行うことが難
しい。さらに、従来の装置には、強度分布のみが求めら
れるので、波源状態の時間、空間的なコヒーレンシを評
価できないという問題点もある。
【0011】本発明の目的は、コヒーレンシに関する事
前の知識を必要とせず、部分コヒーレントな波源分布の
評価が可能であって、スペクトルの速い変化に追従でき
る波源可視化方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の波源可視化方法
は、観測対象からの放射波動に対して2次元干渉測定を
実施し、観測対象における波源像を可視化する方法であ
って、2次元干渉測定の観測面に対する基準となる位置
での放射波動を検出して第1の信号として出力する第1
のセンサと、観測面内の任意の位置での放射波動を検出
して第2の信号として出力する第2のセンサとを使用
し、第1の信号及び第2の信号をそれぞれフーリエ変換
して第1のスペクトル及び第2のスペクトルを獲得し、
第1のスペクトルのパワースペクトルと、第2のスペク
トルのパワースペクトルと、第1のスペクトルと第2の
スペクトルの間のクロススペクトルとを求め、クロスス
ペクトルの平均値と各パワースペクトルから算出された
平均値とに基づきコヒーレンス関数を決定し、観測面内
の点ごとに、クロススペクトルを得てこれを第1のスペ
クトルのパワースペクトルの平方根で規格化し、規格化
されたクロススペクトルに対して観測周波数帯域内でコ
ヒーレンス関数の値に応じた積分演算を実行して相関値
を算出し、観測対象と観測面との距離に応じて波源像の
再生のための演算処理方法を選択し、各点ごとの相関値
に基づいて波源像を再生する。
【0013】本発明において、放射波動としては、音波
や電波など、2次元干渉測定が可能な任意の波動を用い
ることができる。マイクロ波帯の電波の波源像を求める
場合には、いったん、受信信号を中間周波数帯の信号に
周波数変換してからフーリエ変換を行うことも可能であ
る。
【0014】本発明の方法において、相関値の算出に際
しては、例えば、コヒーレンス関数の値が所定のしきい
値を越えている周波数範囲内で積分演算を実行する。ま
た、波源像再生のための演算処理方法としては、例え
ば、波動干渉における近傍界領域に対応するもの、フレ
ネル領域に対応するもの、フラウンホーファー領域に対
応するものなどを用意する。さらに、本発明の方法にお
いては、再生された波源像の位相情報と振幅情報とを同
時に表示することができ、この場合には、異なるトリガ
条件で測定を実行して位相情報と振幅情報を比較するこ
とによって、時間的、空間的コヒーレンスを評価するこ
とが可能になる。
【0015】本発明の波源可視化装置は、観測対象から
の放射波動に対して2次元干渉測定を実施し、観測対象
における波源像を可視化する装置であって、2次元干渉
測定の観測面に対する基準となる位置での放射波動を検
出して第1の信号として出力する第1のセンサと、観測
面内の任意の位置での放射波動を検出して第2の信号と
して出力する第2のセンサと、第1の信号及び第2の信
号をそれぞれフーリエ変換して第1のスペクトル及び第
2のスペクトルを算出するフーリエ変換手段と、第1の
スペクトルのパワースペクトルの平均値と、第2のスペ
クトルのパワースペクトルの平均値と、第1のスペクト
ルと第2のスペクトルの間のクロススペクトルの平均値
とを求める平均値計算手段と、クロススペクトルの平均
値と各パワースペクトルから算出された平均値とに基づ
きコヒーレンス関数を決定するコヒーレンス関数計算手
段と、観測面内の点ごとに、クロススペクトルを得てこ
れを第1のスペクトルのパワースペクトルの平方根で規
格化し、規格化されたクロススペクトルに対して観測周
波数帯域内でコヒーレンス関数の値に応じた積分演算を
実行して相関値を算出する相関値算出手段と、観測対象
と観測面との距離に応じて波源像の再生のための演算処
理方法を選択し、各点ごとの相関値に基づいて波源像を
再生する波源像再生処理手段と、を有する。
【0016】本発明の装置においては、第1の信号を蓄
積してフーリエ変換手段に出力する第1のデータメモリ
と、第2の信号を蓄積してフーリエ変換手段に出力する
第2のデータメモリと、第1のデータメモリ及び第2の
データメモリに対してデータ蓄積のためのトリガ信号を
発生するトリガ回路とをさらに設けることができる。ま
た、波形像再生処理手段で再生された波源像について振
幅情報と位相情報とを同時に表示する表示手段をさらに
設けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の一
形態の波源像可視化装置の構成を示すブロック図であ
り、この波源像可視化装置は、本発明の方法に基づいて
可視化波源像を表示するものである。
【0018】複数の波源集合を有する観測対象11に対
して、距離zだけ離れた位置に走査観測面12を設け、
走査観測面12内を移動する走査センサ13を配置す
る。また、走査センサ13とは別に、移動しない固定セ
ンサ14を配置する。走査センサ13は第2のセンサに
対応し、固定センサ14は第1のセンサに対応する。走
査センサ13と固定センサ14は、観測波動が音波であ
るときには例えばマイクロホンであり、電波であるとき
にはアンテナである。以下の説明では、走査観測面12
での2次元座標をx,yで表わし、観測対象11での2
次元座標をx',y'で表わす。また本発明では、観測対
象11と走査センサ13や固定センサ14との距離r
が、可視化スペクトルの帯域幅Δω(観測周波数帯域の
角周波数表示による帯域幅)に比べて十分小さい、すな
わち、r≪v/Δω(vは波動の速度)であって、観測
波動を平均波長λ0で扱えることを前提とする。
【0019】走査センサ13及び固定センサ14の出力
側には、それぞれ、走査センサ13及び固定センサ14
からの観測信号b(t),a(t)のうちの所定の周波数帯
域の成分のみを帯域通過させて中間周波数IFの信号に
変換する前変換部15,16が設けられている。各前変
換部15,16には、基準周波数frefが供給されてい
る。前変換部15,16は、例えばRFスペクトラムア
ナライザをゼロスパンモードで基準周波数frefに位相
ロックさせることで実現できる。音波や比較的低い周波
数の電波を観測波動とするような場合には、デジタル信
号処理によって帯域制限や周波数変換処理を行う前変換
部を使用してもよい。前変換部15,16の出力側に
は、前変換部15,16の出力をサンプリングして記憶
するデータメモリ18,19が配置している。外部同期
入力あるいは前変換部15の出力に応じてトリガ信号を
発生するトリガ回路17が設けられており、各データメ
モリ18,19はトリガ信号に応じてデータのサンプリ
ングを開始するように構成されている。また、各データ
メモリ18,19にはサンプリング周波数fSが供給され
ている。
【0020】フーリエ変換部20は、サンプリングされ
てデータメモリ18,19に格納されたデータをそれぞ
れフーリエ変換してスペクトルSa(ω),Sb(ω)を算出
するためのものであり、フーリエ変換部20の出力側に
は、スペクトルSa(ω),Sb(ω)それぞれのパワースペ
クトルの平均値とこれらスペクトルSa(ω),Sb(ω)の
クロススペクトルの平均値を算出する平均値計算部21
が設けられている。ωは角周波数である。さらに、平均
値計算部21での算出結果に基づいてコヒーレンス関数
γ2(ω)を算出する第1の演算部22と、コヒーレンス
関数γ2(ω)から定まる積分操作関数f(ω)と平均値計
算部21での算出結果に基づいて相関値Cab(x,y)を
算出する第2の演算部23と、相関値Cabに基づいて波
形像を再生する波形像再生処理部24と、再生された波
形像を表示する表示部25とが設けられている。第1の
演算部22及び第2の演算部23は、それぞれ、コヒー
レンス関数計算手段、相関値算出手段に対応する。後述
するように、距離zと観測波動の波長λ0との関係によ
って波形像の再生方法が異なるため、波形像再生処理部
24には距離zも入力している。上述のトリガ回路1
7、各データメモリ18,19及びフーリエ変換部20
は、例えば、FFTスペクトラムアナライザ(デジタル
スペクトラムアナライザ)を用いて実現できる。
【0021】次に、この装置を用いた波源像の可視化に
ついて説明する。
【0022】走査センサ13を移動させることにより、
走査観測面12内の任意の点(x,y)において観測対象
11からの波動を受信して信号b(t)を取得し、同時
に、固定センサ14によっても波動を受信して信号a
(t)を取得する。そして、前変換部15,16により、
所定の周波数帯域に帯域制限してから、信号b(t),a
(t)を中間周波数IFの信号に周波数変換し、データメ
モリ18,19により、観測周波数帯域幅より十分に高
いサンプリングレートによって、T秒間にわたり、これ
らの信号をサンプリングする。そして、サンプリングさ
れたデータをフーリエ変換部20によってフーリエ変換
することにより、信号a(t)に対するスペクトルS
a(ω)と信号b(t)に対するスペクトルSb(ω)とを得
る。スペクトルSa(ω),Sb(ω)は平均値計算部21に
入力し、各スペクトルSa(ω),Sb(ω)のパワースペク
トルの平方根の平均値〈|Sa(ω)|〉,〈|Sb(ω)
|〉や、スペクトルSa(ω),Sb(ω)間のクロススペク
トルのパワースペクトル〈Sa *(ω)Sb(ω)〉が算出さ
れる。ここで、〈・〉はアンサンブル平均を示し、*は複
素共役を示している。
【0023】第1の演算部22では、平均値計算部21
での計算結果を利用して、下記式に基づき、所定の観測
周波数帯域におけるコヒーレンス関数γ2(ω)が計算さ
れる。
【0024】
【数2】 そして、このコヒーレンス関数関数γ2(ω)に対してし
きい値αを設定することにより、積分操作関数f(ω)が
得られる。
【0025】
【数3】 第2の演算部23では、下記式に基づき、走査観測面1
2上での走査センサ13の位置(x,y)ごとに、|S
a(ω)|で規格化された複素相関値Cab(x,y)が計算さ
れる。ω0は観測周波数帯域の中心角周波数である。
【0026】
【数4】 この相関値Cab(x,y)は、遅延時間τが0であるとき
の信号Sa(t)と信号Sb(t)との相互相関に相当する値
となる。このとき、積分操作関数f(ω)を得るために使
用するコヒーレンス関数γ2(ω)は、走査センサ13を
移動する度に新しい値に更新してもよいし、走査観測面
12上の代表する点(x0,y0)で得た値を共通値として
他の点で使用してもよい。また、相関値Cab(x,y)を
得るために使用されるクロススペクトルと固定センサ1
4の受信信号a(t)のパワースペクトルの平方根とは、
平均値操作を行わずに用いてもよい。これに対し、コヒ
ーレンス関数γ2(ω)の演算には、必ず、平均化された
クロススペクトルと平均化されたパワースペクトル平方
根を使用しなければならない。
【0027】走査観測面12上の各点について相関値C
ab(x,y)を求めたら、波形像再生処理部24におい
て、求めた相関値に基づき波形像を再生し、例えば鳥瞰
図表示によって表示部25に表示する。波形像の再生
は、観測対象11と走査観測面12との距離zに応じ
て、近傍界領域での観測、フレネル(Fresnel)領域での
観測、フラウンホーファー(Fraunhofer)領域での観測の
3通りの方法で実行される。
【0028】観測波動の平均波長λ0に対してzが著し
く小さい場合(z≪λ0)に代表される近傍界領域の観
測では、相関値Cab(x,y)をそのままで表示するよう
にする。
【0029】近傍界領域とフラウンホーファー領域の中
間の領域であるフレネル領域の観測では、 F-1[F[Cab(x,y)]・F[P(x,y;z)]] を表示するようにする。ここでF[・]はフーリエ変換、
-1[・]はフーリエ逆変換を示し、P(x,y;z)は下記
式で表わされる。
【0030】
【数5】 一方、z≫λ0に代表されるフラウンホーファー領域の
観測では、
【0031】
【外2】 で表わされる値に応じて表示が行われるようにする。こ
こでk0=2π/λ0であり、ξとηはそれぞれ走査観測
面12から見た方位角と仰角であって、ξ=x'/z、
η=y'/zである。
【0032】このように再生される振幅値は、波源の空
間コヒーレンシに関わりなく、ω0±(Δω/2)の範囲
での絶対平均振幅値を与える。実際には、観測対象11
の大きさと観測波動の平均波長λ0との関係に応じて、
距離zを定めるようにすることが望ましい。すなわち、
平均波長λ0が観測面積に対して大きい場合には、z<
λ0として近傍界領域で観測が行われるようにする。一
方、観測対象11の面積が走査観測面12の面積よりも
大きい場合には、z≫λ0としてフラウンホーファー領
域で観測が行われるようにし、これらの中間である場合
にはフレネル領域での観測が行われるようにする。
【0033】表示部25において各再生位置での振幅と
位相を同時に示すことで、空間・時間的な波源のコヒー
レンスを知ることができる。観測データを得るためのト
リガ条件を変えながら観測を行った場合、トリガ条件ご
との振幅の変化の様子は時間コヒーレンシを示し、位相
の変化の様子は空間コヒーレンシを示す。振幅と位相の
同時表示は、例えば鳥瞰図表示を行う場合には、山の高
さで振幅を表わし、色や明るさで位相を示すことによっ
て行える。あるいは、振幅を明るさ、位相を色として2
次元的に表現してもよいし、等高線図により振幅を等高
線で表わし位相を色または明るさで表現してもよい。
【0034】ここで、本実施の形態における波源像の可
視化に関する制約条件について説明する。観測周波数帯
域幅Δωについては、観測対象11と観測位置との距離
をrとして、この距離rにおいて帯域幅Δω内での周波
数変動に対して位相がほぼ一定に見えるように設定する
必要がある。また、コヒーレンス関数γ2(ω)での評価
を行うために、走査センサ13と固定センサ14で同じ
信号成分を受信し、走査センサ13側の遅延時間と固定
センサ14側の遅延時間の差に比べてサンプリング時間
Tが十分大きく、かつ、このサンプリング時間Tによっ
て定まる周波数分解能によって、走査センサ13からの
スペクトルSa(ω)と固定センサ14からのスペクトル
b(ω)とがスペクトル領域で識別できることが必要で
ある。
【0035】以上の観点からすると、サンプリング周波
数fSをできるだけ低く設定するためには、前変換部1
5,16での帯域制限の帯域幅と観測周波数帯域幅Δω
とを等しくすればよい。しかしながら、帯域制限にはア
ナログ回路によるバンドパスフィルタを使用するのが一
般的であり、前変換部15と前変換部16とでこのバン
ドパスフィルタの特性が異なる可能性がある。そこで、
バンドパスフィルタの帯域幅を観測周波数帯域幅Δωよ
りも大きくし、バンドパスフィルタの周波数特性が比較
的理想に近い部分で観測周波数帯域を設定するようにす
ればよい。
【0036】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明は走査観測面内を1個の走査センサを移動
させて測定を行うことに限定されるものではない。例え
ば、走査観測面内に2次元的に複数の固定したセンサを
配列し、これらセンサによって観測波動を同時に受信す
るようにしてもよい。この場合には、これら2次元的に
配列したセンサの1つを上述の固定センサとしてもよい
し、いくつかのセンサからの受信信号を加算して上述の
信号a(t)(固定センサからの信号に相当)を得るよう
にしてもよい。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、固定セン
サからの受信信号と走査センサからの受信信号のクロス
スペクトルやそれぞれのパワースペクトルを算出し、コ
ヒーレンスの度合を示すコヒーレンス関数を計算し、ク
ロススペクトルを得てこれを固定センサからの信号のパ
ワースペクトルの平方根で規格化し、規格化されたクロ
ススペクトルを所定の観測周波数帯域内でコヒーレンス
関数の値に応じて積分演算を実行して相関値を算出する
とともに、観測対象と走査観測面との距離に応じて波源
像の再生のための演算処理方法を選択し、各点ごとの相
関値に基づいて波源像を再生することにより、コヒーレ
ンシに関する事前の知識を必要とせず、部分コヒーレン
トな波源分布の評価が可能であって、スペクトルの速い
変化に追従できるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の波源可視化装置の構成
を示すブロック図である。
【図2】従来の波源可視化装置の構成を示すブロック図
である。
【符号の説明】
11 観測対象 12 走査観測面 13 走査センサ 14 固定センサ 15,16 前変換部 17 トリガ回路 18,19 データメモリ 20 フーリエ変換部 21 平均値計算部 22,23 演算部 24 波形像再生処理部 25 表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01S 15/89 G01S 15/89 B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 観測対象からの放射波動に対して2次元
    干渉測定を実施し、前記観測対象における波源像を可視
    化する方法であって、 前記2次元干渉測定の観測面に対する基準となる位置で
    の放射波動を検出して第1の信号として出力する第1の
    センサと、前記観測面内の任意の位置での放射波動を検
    出して第2の信号として出力する第2のセンサとを使用
    し、 前記第1の信号及び前記第2の信号をそれぞれフーリエ
    変換して第1のスペクトル及び第2のスペクトルを獲得
    し、 前記第1のスペクトルのパワースペクトルと、前記第2
    のスペクトルのパワースペクトルと、前記第1のスペク
    トルと前記第2のスペクトルの間のクロススペクトルと
    を求め、 前記クロススペクトルの平均値と前記各パワースペクト
    ルから算出された平均値とに基づきコヒーレンス関数を
    決定し、 前記観測面内の点ごとに、前記クロススペクトルを得て
    これを前記第1のスペクトルのパワースペクトルの平方
    根で規格化し、前記規格化されたクロススペクトルに対
    して観測周波数帯域内で前記コヒーレンス関数の値に応
    じた積分演算を実行して相関値を算出し、 前記観測対象と前記観測面との距離に応じて波源像の再
    生のための演算処理方法を選択し、前記各点ごとの相関
    値に基づいて波源像を再生する波源像可視化方法。
  2. 【請求項2】 前記相関値の算出に際し、前記コヒーレ
    ンス関数の値が所定のしきい値を越えている周波数範囲
    で前記積分演算を実行する請求項1に記載の波源像可視
    化方法。
  3. 【請求項3】 再生された波源像の位相情報と振幅情報
    とを同時に表示する請求項1または2に記載の波源像可
    視化方法。
  4. 【請求項4】 異なるトリガ条件で測定を実行して位相
    情報と振幅情報を比較し、時間的、空間的コヒーレンス
    を評価する請求項3に記載の波源像可視化方法。
  5. 【請求項5】 観測対象からの放射波動に対して2次元
    干渉測定を実施し、前記観測対象における波源像を可視
    化する装置であって、 前記2次元干渉測定の観測面に対する基準となる位置で
    の放射波動を検出して第1の信号として出力する第1の
    センサと、 前記観測面内の任意の位置での放射波動を検出して第2
    の信号として出力する第2のセンサと、 前記第1の信号及び前記第2の信号をそれぞれフーリエ
    変換して第1のスペクトル及び第2のスペクトルを算出
    するフーリエ変換手段と、 前記第1のスペクトルのパワースペクトルの平均値と、
    前記第2のスペクトルのパワースペクトルの平均値と、
    前記第1のスペクトルと前記第2のスペクトルの間のク
    ロススペクトルの平均値とを求める平均値計算手段と、 前記クロススペクトルの平均値と前記各パワースペクト
    ルから算出された平均値とに基づきコヒーレンス関数を
    決定するコヒーレンス関数計算手段と、 前記観測面内の点ごとに、前記クロススペクトルを得て
    これを前記第1のスペクトルのパワースペクトルの平方
    根で規格化し、前記規格化されたクロススペクトルに対
    して観測周波数帯域内で前記コヒーレンス関数の値に応
    じた積分演算を実行して相関値を算出する相関値算出手
    段と、 前記観測対象と前記観測面との距離に応じて波源像の再
    生のための演算処理を選択し、前記各点ごとの相関値に
    基づいて波源像を再生する波源像再生処理手段と、を有
    する波源像可視化方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の信号を蓄積して前記フーリエ
    変換手段に出力する第1のデータメモリと、前記第2の
    信号を蓄積して前記フーリエ変換手段に出力する第2の
    データメモリと、前記第1のデータメモリ及び前記第2
    のデータメモリに対してデータ蓄積のためのトリガ信号
    を発生するトリガ回路と、を有する請求項5に記載の波
    源像可視化装置。
  7. 【請求項7】 前記波形像再生処理手段で再生された波
    源像について振幅情報と位相情報とを同時に表示する表
    示手段をさらに有する請求項5または6に記載の波源像
    可視化装置。
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