JPH09133650A - ガスセンサ素子 - Google Patents

ガスセンサ素子

Info

Publication number
JPH09133650A
JPH09133650A JP7294241A JP29424195A JPH09133650A JP H09133650 A JPH09133650 A JP H09133650A JP 7294241 A JP7294241 A JP 7294241A JP 29424195 A JP29424195 A JP 29424195A JP H09133650 A JPH09133650 A JP H09133650A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensor element
gas sensor
solid electrolyte
heater
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7294241A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3518706B2 (ja
Inventor
Kazunari Kaneyasu
一成 兼安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP29424195A priority Critical patent/JP3518706B2/ja
Publication of JPH09133650A publication Critical patent/JPH09133650A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3518706B2 publication Critical patent/JP3518706B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒーター電圧印加後の起電力の安定化時間を短
縮し、構成部材の小型化及び製造工程の簡略化が可能な
ガスセンサ素子を提供する。 【構成】固体電解質層7の一面と、一方の面にヒーター
2を形成したセラミックス板3のヒーター2が形成され
てない面とが、電子伝導性物質と接着材とを主成分とす
る接着性導電ペーストを用いて形成した参照電極または
作用電極を介して直接接合されてなるガスセンサ素子。
さらには、接合に用いる電極が参照電極である場合、固
体電解質層7とセラミックス板3の間に生じた間隙を気
体不透過層11で封止したガスセンサ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、作用電極、固体電
解質層、参照電極(以上3つを備えたものを以下、単に
「ガス検知部」とも言う)、ヒーターを形成したセラミ
ックス板(以下、単に「ヒーター基板」とも言う)より
なる新規な構造のガスセンサ素子に関する。詳しくは、
参照電極または作用電極を介してヒーター基板と固体電
解質層とを接合した構造のガスセンサ素子に関する。ま
た接合に用いる電極が参照電極の場合において、上記の
ように接合した際にヒーター基板と固体電解質層の間に
生じる間隙が気体不透過性物質で封止されたガスセンサ
素子に関する。
【従来の技術】従来より、様々な分野における雰囲気中
の二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの無機ガス
濃度の測定は、燃焼制御や環境計測などのデータに利用
されてきた。かかる無機ガスの測定には、赤外線吸収
式、紫外線吸収式あるいは化学発光式など種々の分析手
法が主に採用されてきたが、装置が大型、高価でメンテ
ナンスが必要であるといった問題点が指摘されていた。
これらの装置に対して、小型、簡便で安価なガスセンサ
素子として、固体電解質の起電力変化を利用した固体電
解質型ガスセンサ素子が提案されている。該センサ素子
は、一般に、イオン伝導性の固体電解質層、電子伝導性
物質よりなる参照電極、被検出ガスと解離平衡を有する
金属塩(以下、単に「金属塩」とも言う)と電子伝導性
物質よりなる作用電極から構成される。図2は従来の代
表的なガスセンサ素子の断面図である。このガスセンサ
素子は、陽イオン伝導体である固体電解質層7の両面に
一対の電極6、8を形成し、その一方の電極8上に被検
出ガスとの間で解離平衡を有する金属塩9を設けた構造
である。被検出ガス濃度が変化すると、固体電解質層7
の両面に形成した電極6、8の間に発生する起電力に変
化が生じるため、その起電力変化を電圧計5によって測
定し、予め作成しておいた起電力と被検出ガス濃度との
相関を示す検量線を用いて被検出ガスの濃度を知ろうと
するものである。ガスセンサ素子は、固体電解質層7が
ある一定以上のイオン伝導度を示すために必要な温度で
ある300〜700℃に加熱して使用される。このため
の加熱は、センサ素子外部からの傍熱によって行っても
よいが、ガスセンサ素子の小型化を考慮した場合、自己
発熱可能なヒーター基板を取り付けることが必要であっ
た。
【発明が解決しようとする課題】ところが、ガス検知部
にヒーター基板を取り付けるためには、無機接着剤等を
用いた接着層4を必要とするため、ヒーター基板からガ
ス検知部への熱伝導が阻害されてヒーター電圧印加直後
のガスセンサ素子の初期起電力の安定化時間が長くな
る、あるいは製造工程が煩雑であるといった問題を有し
ていた。更に、接着層4を設けることで、加熱と非加熱
を繰り返して行った場合に、使用している材料の熱膨張
率の違いにより剥離等の問題が生じる惧れがあった。従
って、ヒーター基板からガス検知部への熱伝導に優れた
構造を有するヒーター基板一体型ガスセンサ素子で、部
品の小型化や工程の簡素化が可能なガスセンサ素子の開
発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる問題
を解決し、熱伝導に優れ、製造工程の簡素化が可能なガ
スセンサ素子について研究を重ねた。その結果、接着層
4を排除し電極6でヒーター基板と固体電解質層7を直
接接合することにより、ヒーター基板からガス検知部へ
の熱伝導が効率的になり、その結果として初期起電力の
安定化時間が短縮され、さらに製造工程の簡素化が図れ
ることが可能となり本発明を提案するに至った。即ち、
本発明は、固体電解質層の一面と、一方の面にヒーター
を形成したセラミックス板のヒーターが形成されてない
面とが、参照電極または作用電極を介して接合されてな
るガスセンサ素子である。また、固体電解質層の一面
と、一方の面にヒーターを形成したセラミックス板のヒ
ーターが形成されてない面とが、参照電極を介して接合
されてなり、さらに、固体電解質層とセラミックス板と
の間隙が気体不透過性物質で封止されてなるガスセンサ
素子である。
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に従って
詳細に説明するが、本発明はこれらの添付図面に特に制
限されるものではない。図1は、本発明のガスセンサ素
子の代表的な態様を示す断面図である。本発明のガスセ
ンサ素子は、固体電解質層7の両面に電子伝導性物質よ
りなる電極6、8が形成され、さらに電極8上には被検
出ガスと解離平衡を有する金属塩9が形成されている。
固体電解質7の一面に形成された電極8と金属塩9とは
作用電極を構成し、他方の面に形成された電極6は参照
電極を構成している。そして、固体電解質7の一面と、
セラミックス板3上にヒーター2を形成してなるヒータ
ー基板のヒーターが形成されていない面とは、作用電極
または参照電極を介して直接接合されている。本発明に
おいて、固体電解質層7を構成する固体電解質物質とし
ては、イオン伝導性を有し、使用条件下で固体である物
質が一般に使用される。例えば、ナトリウム、リチウム
等のイオン伝導性を有するNa1+XZr2SiX3-X12
(但し、0≦x≦3である)(以下、ナシコン(NAS
ICON)ともいう)、β-Al23、β-Ga23、L
16-2yZny(GeO44(但し、0≦y<8である)
(以下、リシコン(LISICON)ともいう)、Li
4GeO4・Li3VO4などが好適に使用される。固体電
解質層7の厚みは特に制限されないが、一般には0.2
〜1.5mmの範囲から採用される。本発明における電
極6、8を構成する電子伝導性物質は、公知の材料が特
に制限なく使用される。例えば、白金、金、銀、パラジ
ウム、ロジウム等の貴金属類及びそれらの酸化物、一般
式La1-zSrzBO3(但し、BはCo、Cu、Fe及
びNiより選ばれた元素を示し、zは0.01〜0.5
の数を示す)で表されるペロブスカイト型酸化物、上記
貴金属または貴金属酸化物とペロブスカイト型酸化物を
混合した複合組成物が挙げられる。そのうち、白金、
金、銀、パラジウム、ロジウムなどの貴金属が、特に、
白金及び金が好適に用いられる。電極6、8の厚みは特
に制限されないが、一般には2〜20μmの範囲から採
用される。本発明において、金属塩9は被検出ガスと解
離平衡を有するものであれば何等制限なく使用できる。
特にNa、Li、K等のアルカリ金属やCa、Mg、B
a等のアルカリ土類金属の炭酸塩、Bi、Ag、La、
Cuの炭酸塩、あるいはNa、Li、K等のアルカリ金
属やCa、Mg、Ba等のアルカリ土類金属の硫酸塩、
硝酸塩などが使用できる。これらの金属塩は、被検出ガ
スの種類に応じて選択できる。例えば、被検出ガスが二
酸化炭素の場合は炭酸塩が、硫黄酸化物の場合には硫酸
塩が、窒素酸化物の場合には硝酸塩が使用される。本発
明においては、固体電解層7の一面に形成された電極8
と金属塩9とは作用電極を構成し、他方の面に形成され
た電極6は参照電極を構成している。作用極を構成する
電極8と金属塩9とは、図1に示すように、別々の層と
して存在していても良いし、また、後述する図3のよう
に、金属塩を電極中に分散させ、一層よりなる混合作用
電極10としてもよい。ヒーター基板は従来より使用さ
れているものが何等制限なく使用できる。一般には、セ
ミックス板3上に金属あるいは金属酸化物ペーストを塗
布し、焼成したヒーター2を設け、該ヒーターに電源よ
り直流あるいは交流を印加するように構成したものが好
適に使用される。セラミックス板3としては、従来より
公知のものが制限なく使用されるが、一般にはアルミ
ナ、ムライト、窒化アルミニウム、ガラス等のセラミッ
クス板が好適に用いられる。また、ヒーター材料として
は従来より公知の抵抗体が制限なく使用されるが、一般
には白金、金、ロジウム、パラジウム等の金属、あるい
は酸化ルテニウム等の金属酸化物が好適に用いられる。
セラミック板3は、ヒーターの熱を固体電解質層に効率
的に電導するために、厚さのあまり厚くないものである
ことが好適であり、一般には0.2〜1.0mmの範囲
のものが使用される。本発明のガスセンサ素子は、固体
電解質7の一面と、セラミックス基板3上にヒーター2
を形成してなるヒーター基板のヒーターが形成されてい
ない面とは、作用電極または参照電極を介して直接接合
されている。したがって、固体電解質層とヒーター基板
の接合に使用される作用電極または参照電極は、電子伝
導性と接着性を兼ね備えているものである必要がある。
この場合、形成された作用電極または参照電極そのもの
が接着性を有していてもよく、また、作用電極または参
照電極の形成時に接着性を発揮するものであってもよ
い。一般には、接着性と導電性を共に有する接着性導電
ペーストを用いて電極を形成することが好ましい。接着
性導電ペーストとしては、前記した電子伝導性物質、接
着材、有機高分子化合物および有機溶剤よりなる組成物
を好適に使用できる。接着材としては、ガラスフリット
や金属酸化物が好適に使用される。ガラスフリットとし
ては、公知のものを何等制限なく使用でき、例えば、ホ
ウケイ酸ガラス、バリウムガラス、ケイ酸ガラス、鉛ガ
ラス、ケイ酸アルカリガラス等が好適である。また、金
属酸化物としては、Al23,Bi23,PbO,Cd
O,ZnO,BaO,CaO等が好適に用いられる。有
機高分子化合物としては、公知のものを何等制限なく使
用可能であるが、一般には、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリビニルブチラ
ール等のブチラール樹脂、エチルセルロース、アセチル
セルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体を
挙げることができる。また、有機溶剤としては、上記の
有機高分子化合物を溶解する有機溶剤を何等制限なく使
用可能であり、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン等
の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類;メチルアルコール、シクロヘキシアルコール
類のアルコール類;エチレングリコール、プロピレング
リコール等のグリコール類;シクロヘキサノン、イソホ
ロン等のケトン類;テルピネオール、ブチルカルビトー
ルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル
等のグリコール誘導体類;酢酸エステル、酢酸イソプロ
ピル等のエステル類等を挙げることができる。接着材の
配合量は、電子伝導性物質100重量部に対して3〜2
0重量部の範囲であることが好ましい。有機高分子化合
物の配合量は、電子伝導性物質100重量部に対して1
〜10重量部の範囲、有機溶剤は電子伝導性物質100
重量部に対して5〜30重量部の範囲であることが好ま
しい。接着性導電ペーストは、固体電解質層またはセラ
ミックス板に塗布される。塗布方法は公知の方法を採用
することができ、例えば、筆塗り、ディスペンサーある
いは各種印刷法を挙げることができる。このなかでも、
スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷方法を採
用することが、精度よく電極を形成できるために好適で
ある。接着性導電ペーストの塗布後、焼成することによ
り、電極が形成される。図1、3では、固体電解質層7
とセラミックス板3とが、参照電極となりうる電極6を
介して接合される態様を示したが、前述したように作用
電極として混合作用電極10を形成させるような場合に
おいては、固体電解質層7とセラミックス板3とが、混
合作用電極10を介して接合される態様のガスセンサ素
子も可能である。本発明において、参照電極を介して固
体電解質層7とセラミックス板3とを接合した場合、図
3に示したように、固体電解質層7とセラミックス板3
との間隙の参照電極が外気と接触しないように、固体電
解質層7とセラミックス板3との間隙を気体不透過性物
質で封止して気体不透過層11を形成した態様のガスセ
ンサ素子が好適である。気体不透過性物質は、被検出ガ
スや水蒸気等の雑ガスを通さないものであれば従来より
公知のものが何等制限なく使用できる。一般にはガラ
ス、セラミックス、金属等が挙げられるが、好ましくは
ガラス、セラミックスが、更に好ましくは操作性の点で
ガラスが好適である。本発明のガスセンサ素子を使用す
る場合、被検出ガス中に含まれる雑ガス、例えば、トル
エン、酢酸エチル、エタノール等の有機ガスの影響によ
る誤動作を防止するために、有機ガスを除去するための
フィルターを用いてもよい。該フィルターとしては公知
のものが何等制限なく使用できる。本発明のガスセンサ
素子はどのような方法で製造されてもよいが、以下の製
造方法が好適に採用される。まず、固体電解質層7は、
公知の方法によって製造できる。代表的な製造方法を例
示すれば、固体電解質物質の粉末、該粉末に成型助剤を
添加したもの、さらには該粉末に結合剤を添加して造粒
したものを成型後、1000〜1300℃で5〜30時
間焼結させる方法、固体電解質物質の粉末を有機高分子
化合物よりなる結合剤、可塑剤及び溶媒と混練しペース
ト化した後、ドクターブレード法等によりグリーンシー
トを作製し、これを1000〜1300℃で5〜30時
間焼結する方法、固体電解質物質を真空蒸着、スパッタ
リング法などの薄膜形成手法を用いて基板上に積層する
方法などが好適に用いられる。上記した成型助剤、結合
剤、可塑剤および溶媒としては公知のものが何等制限な
く使用できる。一般的には、成型助剤としてポリビニル
アルコール、ポリエチレングリコール、エチルセルロー
ス、ポリビニルメチルエーテル、ヒドロキシプロピルセ
ルロース等が、結合剤としてはエチルセルロース、ポリ
ビニルブチラール、アビエチン酸レジン、ポリビニルア
ルコール等が、可塑剤としてはポリエチレングリコー
ル、ポリアルキレングリコール、フタール酸エステル等
が、溶媒としてはトルエン、メチルエチルケトン等が使
用される。固体電解質層の一面への電極の形成は、以下
の方法を好適に使用することができる。接着性導電ペー
ストあるいは接着性導電ペーストと金属塩の混合物を、
固体電解質層7の一面に、筆塗り、ディスペンサーある
いは印刷等の手法で塗布する。次いで、ペーストを10
0〜200℃で0.5〜1時間乾燥し、500〜100
0℃で0.5〜2時間焼成する。ヒーター基板と固体電
解質層7との接合は、接着性導電ペーストあるいは接着
性導電ペーストと金属塩の混合物を、固体電解質層7の
一面またはセラミックス板3のヒーター2が形成されて
いない面に塗布した後、固体電解質層7とヒーター基板
を張り合わせ、その後は上記と同様に行えばよい。金属
塩9の層を電極層とは別の層として形成する場合は、図
1に示したように、電極8の上に金属塩の溶液あるいは
懸濁液を滴下して含浸させる方法、または、接着性導電
ペーストの調製で使用される有機高分子化合物や有機溶
媒を金属塩と混合したペーストを、スクリーン印刷や筆
塗り等の方法によって電極上に塗布した後に、金属塩が
分解しない温度以下で、望ましくは溶融温度以上で焼成
する方法等が一般的に使用される。気体不透過層11の
形成方法は、特に制限されるものではないが、一般には
既述の気体不透過性物質の粉末を有機高分子化合物を溶
解させた有機溶剤に分散させてペースト化し、固体電解
質層7とセラミックス板3の間隙に流し込んで500〜
800℃で0.5〜2時間焼成する方法等が好適に用い
られる。さらに、固体電解質層とヒーター基板の接合に
用いる参照電極の接着性導電ペーストを塗布した後、そ
の周囲にドーナツ状に気体不透過性物質ペーストを塗布
して固体電解質層とヒーター基板を接合した後に、上述
した条件で焼成する方法等も好適である。
【発明の効果】本発明のガスセンサ素子は、従来のヒー
ター基板とガス検知部を接合するために用いられていた
接着層を用いることなく、電極用として形成されていた
電子伝導物質を接着層を兼ねて使用しようとするもので
あるため、ヒーター基板からガス検知部への熱伝導の効
率化が図られることになり、ヒーター電圧印加直後のガ
スセンサ素子の初期起電力の安定化時間を短縮すること
が可能となる。また、該ガスセンサ素子の製造方法は、
構成部品の小型化と工程の簡素化が可能であり、工業的
な意義は大きい。なお、従来使用していた接着層を取り
除くことにより、加熱と非加熱を繰り返した場合、使用
している部材の熱膨張率の違いにより起こる剥離といっ
た問題発生の低減も期待できる。更に、ヒーター基板と
固体電解質層の間に生じる間隙を気体不透過性物質で封
止することにより、ガスセンサ素子が高湿度雰囲気ある
いは高濃度の雑ガスに曝された場合においても、長期間
にわたり安定した起電力を示す。
【作用】加熱を必要とするガスセンサ素子において、ヒ
ーター基板からガス検知部への熱伝導の効率がそのまま
ヒーター消費電力に直結するため、効果的な熱伝導が低
消費電力化には重要な要素となる。これを実現するため
には、熱伝導性に優れる物質による接合、ヒーター基板
とガス検知部の距離の短縮等が考えられるが、本発明の
ガスセンサ素子では接着層を除去することで距離の短縮
を図り、熱伝導性に優れる電極で直接接合することで有
効な熱伝導が可能となったと考えられる。一般に、固体
電解質型ガスセンサ素子の初期起電力の安定化時間は、
ヒーター電圧印加後のガスセンサ素子の熱安定化時間に
依存すると考えられており、本発明のガスセンサ素子は
ヒーター基板からガス検知部への効率的な熱伝導により
このガスセンサ素子の熱安定化時間が短縮され、従って
初期起電力の安定化時間も短縮されたものと思われる。
なお、ヒーター基板と固体電解質層の間に生じる間隙を
気体不透過層で封止する態様は、熱伝導性の最も悪い空
気を排除することで、上述した作用をより効果的にした
ものと考えられる。
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下の実施
例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 実施例1、比較例1 図1に示すような構造の二酸化炭素センサを実施例1
で、図2に示すような二酸化炭素センサを比較例1で作
製した。固体電解質層7は、5重量%のポリビニルアル
コールを結合剤として添加してスプレードライヤーで造
粒したNASICON粉末を一軸成型後、1200℃で
12時間焼結することで直径4mm、厚さ0.5mmの
円盤状のチップを作製した。また、ヒーター基板は、ア
ルミナよりなるセラミックス板3(厚み0.6mm)上
に、市販の白金ペーストを波型にスクリーン印刷し、1
00℃で1時間乾燥後、1000℃で1時間焼成するこ
とで形成した。実施例1の場合、前述した固体電解質層
の片面に、市販の金ペーストをスクリーン印刷し、10
0℃で1時間乾燥して電極8を形成し、さらにこの上
に、炭酸リチウム粉末を5重量%含む、エチルセルロー
スを溶解させたテルピネオールによってペースト化した
ものをスクリーン印刷し、100℃で1時間乾燥するこ
とで金属塩9の層を形成した。その後、固体電解質層の
電極8を形成していない側の面に、金粉末100重量部
に対して9重量部のホウケイ酸ガラスを混合したもの
を、6重量部のエチルセルロースを10重量部のテルピ
ネオールに溶解したものでペースト化し、これを印刷
し、該ペーストが乾燥しないうちにセラミックス板3の
ヒーター2が形成されていない面を張り合わせ、100
℃で1時間乾燥することで電極6を形成した。最後に、
650℃で1時間焼成することによってガスセンサ素子
を作製した。比較例1の場合、前記固体電解質層の両面
に、市販の金ペーストをスクリーン印刷し、100℃で
1時間乾燥の工程を片面づつ繰り返すことで、電極6、
8を形成した。電極8の上には、実施例1で使用した炭
酸リチウムのペーストをスクリーン印刷し、100℃で
1時間乾燥することで金属塩9の層を形成した。最後
に、650℃で1時間焼成することでガス検知部を作製
した。その後、接着層4として市販のガラスペーストを
電極6上にスクリーン印刷し、該ペーストが乾燥しない
うちにセラミックス板3のヒーター2が形成されていな
い面を張り合わせ、100℃で1時間乾燥、650℃で
30分焼成することでガスセンサ素子を作製した。ヒー
ター2には電源1より直流電圧を印加することで、ガス
センサ素子を450℃に加熱した。なお、電極6、8か
らは白金線が取り出されており、両電極間に発生する起
電力を電圧計5で測定した。二酸化炭素ガス感度の評価
は、ガスセンサ素子を大気中の二酸化炭素濃度とほぼ等
しい350ppm中に加熱放置し、その後雰囲気の二酸
化炭素濃度を700,1000,2000ppmに変更
した場合の起電力変化を測定することで行った。結果を
表1に示したが、実施例1によって作製したガスセンサ
素子は、比較例1によって作製された従来のガスセンサ
素子と比較して、起電力値、感度共ほとんど変化なく良
好であることがわかった。
【表1】 初期起電力安定化の評価は、実施例1と比較例1のガス
センサ素子を二酸化炭素濃度350ppm中に放置し、
同時にヒーター電圧を印加した後、センサ素子の起電力
が最終安定値の3%以内に達するまでの時間を測定する
ことで行った。その結果を表2に示したが、比較例1の
ガスセンサ素子は53分を要したのに対して、実施例1
のガスセンサ素子は25分で安定な起電力を示した。以
上より本発明のガスセンサ素子が従来のガスセンサ素子
に比べて、初期起電力安定性に優れていることが明らか
となった。
【表2】 さらに、実施例1と比較例1のガスセンサ素子をそれぞ
れ100個ずつ製造した結果、実施例1のガスセンサ素
子を製造するための時間は比較例1のガスセンサ素子を
作製するための時間の約8割であったことより、実施例
1のガスセンサ素子の製造方法は従来の製造方法に比べ
て工程の簡素化が図られていることがわかった。 実施例2 図3に示すような二酸化炭素センサ素子を作製した。固
体電解質層7とヒーター基板は実施例1と同様のものを
用いた。固体電解質層の片面に、市販の金ペーストに5
0重量%の炭酸リチウムを添加、混合し、シンナーで粘
度調整をしてペースト化したものをスクリーン印刷し、
100℃で1時間乾燥することで混合作用電極10を形
成した。もう一方の面には、金粉末100重量部に対し
て8重量部のホウケイ酸ガラスと4重量部のZnOを混
合したものを、6重量部のエチルセルロースを15重量
部のテルピネオールに溶解したものでペースト化し、こ
れをスクリーン印刷し、該ペーストが乾燥しないうちに
セラミックス板3のヒーター2が形成されていない面を
張り合わせ、100℃で1時間乾燥することで電極6を
形成した。その後、650℃で1時間焼成を行った。さ
らに、ガラス粉末を3重量%のエチルセルロースを溶解
したテルピネオールでペースト化し、該ペーストが固体
電解質層7とセラミックス板3の間に生じた間隙に浸入
するように、側面から筆塗りで塗布して100℃で1時
間乾燥し、650℃で30分焼成することで気体不透過
層11を形成してなるガスセンサ素子を作製した。ガス
センサ素子の評価は、実施例1と同様の方法で行い、結
果を表1に併せて示した。実施例2によって作製したガ
スセンサ素子は、比較例1によって作製された従来のガ
スセンサ素子と比較して、起電力値、感度共ほとんど変
化なく良好であることがわかった。さらに、実施例1と
同様の方法で初期起電力安定化の評価を行い、結果を表
2に併せて示した。実施例2のガスセンサ素子の起電力
安定化時間は23分であり十分に早かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサ素子の代表的な態様を示す
断面図である。
【図2】従来の代表的なガスセンサ素子の断面図であ
る。
【図3】本発明のガスセンサ素子の他の態様を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 電源 2 ヒーター 3 セラミックス板 4 接着層 5 電圧計 6、8 電極 7 固体電解質層 9 金属塩 10 混合作用電極 11 気体不透過層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体電解質層の一面と、一方の面にヒータ
    ーを形成したセラミックス板のヒーターが形成されてな
    い面とが、参照電極または作用電極を介して接合されて
    なるガスセンサ素子。
  2. 【請求項2】固体電解質層の一面と、一方の面にヒータ
    ーを形成したセラミックス板のヒーターが形成されてな
    い面とが、参照電極を介して接合されてなり、さらに、
    固体電解質層とセラミックス板との間隙が気体不透過性
    物質で封止されてなるガスセンサ素子。
JP29424195A 1995-11-13 1995-11-13 ガスセンサ素子の製造方法 Expired - Lifetime JP3518706B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29424195A JP3518706B2 (ja) 1995-11-13 1995-11-13 ガスセンサ素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29424195A JP3518706B2 (ja) 1995-11-13 1995-11-13 ガスセンサ素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09133650A true JPH09133650A (ja) 1997-05-20
JP3518706B2 JP3518706B2 (ja) 2004-04-12

Family

ID=17805182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29424195A Expired - Lifetime JP3518706B2 (ja) 1995-11-13 1995-11-13 ガスセンサ素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3518706B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000235017A (ja) * 1999-02-15 2000-08-29 Tokuyama Corp 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
US10605764B2 (en) * 2016-06-14 2020-03-31 Hyundai Motor Company Solid electrolyte carbon dioxide sensor and manufacturing method thereof
CN115950941A (zh) * 2023-03-13 2023-04-11 华北理工大学 锂离子导体固体电解质型低温传感器及其制备方法与应用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000235017A (ja) * 1999-02-15 2000-08-29 Tokuyama Corp 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
US10605764B2 (en) * 2016-06-14 2020-03-31 Hyundai Motor Company Solid electrolyte carbon dioxide sensor and manufacturing method thereof
CN115950941A (zh) * 2023-03-13 2023-04-11 华北理工大学 锂离子导体固体电解质型低温传感器及其制备方法与应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP3518706B2 (ja) 2004-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100432662C (zh) 二氧化碳传感器
JPH03130657A (ja) 酸素センサ
JP3518706B2 (ja) ガスセンサ素子の製造方法
JP3461413B2 (ja) ガスセンサ素子
US20030127326A1 (en) Ceramic part having an insulating layer affixed thereto and method for making same
JP3268252B2 (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2927766B2 (ja) ガスセンサ素子の製造方法
JP3619669B2 (ja) 固体電解質基材の接合方法
JP2834680B2 (ja) 炭酸ガスセンサ素子
JP2004170230A (ja) Co2センサとその製造方法
JP3268039B2 (ja) 固体電解質型二酸化炭素センサ素子
JP2834679B2 (ja) 固体電解質型ガスセンサ素子
JPH09170999A (ja) 酸素センサの製造方法
JPH07248307A (ja) 炭酸ガスセンサとその製造方法
JP3312781B2 (ja) ガス濃度の測定法
JPH06317558A (ja) 炭酸ガスセンサとその製造方法
JP3236254B2 (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2002357586A (ja) 固体電解質成形体
JP3256618B2 (ja) 固体電解質型ガスセンサ素子
JPH0371056A (ja) 電気化学的素子の製造方法
JP2003279529A (ja) 酸素センサ素子
JPS5842965A (ja) 酸素センサ素子
JP2003254937A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
KR100242792B1 (ko) 센싱 특성이 안정화된 반도체식 가스 센서 및 그의 제조방법
JP2002296225A (ja) ヒータ一体型酸素センサ素子

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040122

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130206

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130206

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160206

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term