JPH09132585A - 新規アミノ糖及びキトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖の製造方法 - Google Patents

新規アミノ糖及びキトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖の製造方法

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JPH09132585A
JPH09132585A JP7292336A JP29233695A JPH09132585A JP H09132585 A JPH09132585 A JP H09132585A JP 7292336 A JP7292336 A JP 7292336A JP 29233695 A JP29233695 A JP 29233695A JP H09132585 A JPH09132585 A JP H09132585A
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JP
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acetyl
methyl
oxazoline
mmol
dideoxy
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JP7292336A
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English (en)
Inventor
Shiro Kobayashi
四郎 小林
Shinichiro Shoda
晋一郎 正田
Shiyunji Kiyosada
俊次 清貞
Emiko Takada
江美子 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規アミノ糖及び該新規アミノ糖を含むアミ
ノ糖にキチナーゼを作用させる酵素触媒重付加反応を提
供する。 【解決手段】 下記一般式(1)または(2)で表され
るアミノ糖を開発し、さらに、該新規アミノ糖を含むア
ミノ糖を酵素触媒重付加反応することによって、キトオ
リゴ糖又はその類似オリゴ糖を得る。 【化1】 (1)において、R1 はH、β−グルコシル基又はβ−
ガラクトシル基を示し、(2)において、R2 はβ−グ
ルコシル基又はβ−ガラクトシル基を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規アミノ糖及びこの
新規アミノ糖の酵素触媒重付加反応を利用したキトオリ
ゴ糖又はその類似オリゴ糖の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、フッ化β−D−セロビオシル
(次の式中(IV)で示したもの)については、久保ら
(日本大学獣医学部学術研究報告書,41,9,198
4)により知られている。また、このフッ化β−D−セ
ロビオシルを出発原料として、これにセルラーゼを作用
させることにより、セルロースオリゴマーが得られるこ
とも知られている(特願平1−239611号)。
【0003】
【化4】
【0004】一方、キチンを加水分解して得られるキト
オリゴ糖は、安全性、生分解性、生体との親和性に優れ
ており、カプセル、多孔性ビーズ、医薬品(抗菌性、抗
カビ性)、DDS等の生医学材料分野及び化粧品分野へ
の応用が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、工業的に生産
されるキチンはカニやエビの殻を原料にしているため: 1)大量のカニやエビの殻から少量のキチンしか得るこ
とができない; 2)一定の品質を有するキチンを得るためには、同質の
原料、つまり同種のエビ又はカニを集める必要がある; 3)エビやカニは繁殖期があるので、漁獲量が周期的に
増減し、四季を通じて安定供給が望めない;等、主とし
て原料確保の面で問題が多い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく、鋭意検討した結果、下記構造式(I)
又は(II)で示される新規アミノ糖の合成に成功した。
さらに、該新規アミノ糖にキチナーゼを作用させること
によって、酵素触媒重付加反応を起こさせ結果として、
キトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖を得ることに成功し
た。
【0007】
【化5】 ここで、R1 はH、β−グルコシル基、又はβ−ガラク
トシル基を示し、MeはCH3 を示す。
【0008】
【化6】 ここで、R2 はβ−グルコシル基、又はβ−ガラクトシ
ル基を示し、MeはCH3 を示す。
【0009】すなわち、請求項1の発明は、新規アミノ
糖である2−メチル−{1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(上記構
造式(I)のうち、R1 がHであるもの)、2−メチル
−{3−O−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(上記構造式(I)のうち、R1 がβ−グルコシ
ル基であるもの)、2−メチル−{3−O−(β−ガラ
クトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラ
ノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(上記構造式
(I)のうち、R 1 がβ−ガラクトシル基であるも
の)、2−メチル−{4−O−(β−グルコピラノシ
ル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(上記構造式(II)のうち、
2 がβ−グルコシル基であるもの)、2−メチル−
{4−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(上記構造式(II)のうち、R 2 がβ−ガラクト
シル基であるもの)を提供するものである。
【0010】請求項2の発明は、キトオリゴ糖又はその
類似オリゴ糖の製造方法であって、緩衝液中で、請求項
1に記載のアミノ糖にキチナーゼを作用させ、該アミノ
糖の酵素重付加反応によってキトオリゴ糖又はその類似
オリゴ糖を得ることを特徴とする。
【0011】請求項3の発明は、請求項2のキトオリゴ
糖又はその類似オリゴ糖の製造方法において、アミノ糖
が下記構造式で示される新規アミノ糖(上記一般式
(I)のうち、R1 がHであるもの)であることを特徴
とする。
【0012】
【化7】 ここで、MeはCH3 を示す。
【0013】後に示す反応式A,B,C,D,Eを用い
て、それぞれ新規アミノ糖である2−メチル−{1,2
−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2
−オキサゾリン(上記構造式(I)のうち、R1 がHで
あるもの)、2−メチル−{3−O−(β−グルコピラ
ノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(上記構造式(I)
のうち、R1 がβ−グルコシル基であるもの)、2−メ
チル−{3−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−
ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−
オキサゾリン(上記構造式(I)のうち、R1 がβ−ガ
ラクトシル基であるもの)、2−メチル−{4−O−
(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グ
ルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(上記
構造式(II)のうち、R2 がβ−グルコシル基であるも
の)、2−メチル−{4−O−(β−ガラクトピラノシ
ル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(上記構造式(II)のうち、
2 がβ−ガラクトシル基であるもの)の製造方法を説
明する。以下の説明において、物質名の後にかっこ書き
で示した数字は、反応式A,B,C,D,Eにおいて示
した化学式の番号である。
【0014】新規アミノ糖である2−メチル−{1,2
−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2
−オキサゾリン(1)は、N−アセチルグルコサミン
(1a)を出発原料として、以下の反応式Aで示される
経路により、合成することができる。
【0015】
【化8】 ここで、AcはCH3 CO、MeはCH3 、Et4 +
Cl- は塩化テトラエチルアンモニウム、NaOMeは
ナトリウムメトキシドを示す。
【0016】N−アセチルグルコサミン(1a)を塩化
アセチルなどのアセチル化剤と反応させることを含む工
程によって、塩化3,4,6−トリ−O−アセチル−2
−アセトアミド−2−デオキシ−α−グルコピラノシル
(1b)を得ることができる。塩化3,4,6−トリ−
O−アセチル−2−アセトアミド−2−デオキシ−α−
グルコピラノシル(1b)をアセトニトリルなどの有機
溶媒に溶かした溶液を、塩化テトラエチルアンモニウム
及び炭酸水素ナトリウムと反応させることを含む工程に
よって、2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチ
ル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(1c)を得ることができ
る。
【0017】2−メチル−(3,4,6−トリ−O−ア
セチル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(1c)を無水メタ
ノールなどのアルコール系溶媒に溶解させ、さらにナト
リウムメトキシドなどのアルコキシドを加えて反応させ
ることを含む工程によって、2−メチル−{1,2−ジ
デオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オ
キサゾリン(1)を得ることができる。
【0018】新規アミノ糖である2−メチル−{3−O
−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−
グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン
(2)は、2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセ
チル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)〔2,
1−d〕−2−オキサゾリン(1c)及びグルコース
(2g)を出発原料として、反応式Bで示される経路に
より合成することができる。
【0019】
【化9】
【0020】ここで、AcはCH3 CO、TsOHはp
−トルエンスルホン酸、BnはC65 CH2 、PhC
2 (OMe)2 はα,α−ジメトキシトルエン、Py
はピリジン、NaOMeはナトリウムメトキシドを示
す。
【0021】2−メチル−(3,4,6−トリ−O−ア
セチル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(1c)をクロロホ
ルムなどの有機溶媒に溶解させ、さらにベンジルアルコ
ール及びp−トルエンスルホン酸を加えて反応させるこ
とを含む工程によって、ベンジルN−アセチル−3,
4,6−トリ−O−アセチル−β−グルコサミニド(2
d)を得ることができる。ベンジルN−アセチル−3,
4,6−トリ−O−アセチル−β−グルコサミニド(2
d)をメタノールなどのアルコール系溶媒に溶解させ、
さらにナトリウムメトキシドなどのアルコキシドを加え
て反応させることを含む工程によって、ベンジルN−ア
セチル−β−グルコサミニド(2e)を得ることができ
る。
【0022】ベンジルN−アセチル−β−グルコサミニ
ド(2e)をN,N−ジメチルホルムアミド(以下、
「DMF」と略す)及びテトラヒドロフラン(以下、
「THF」と略す)の混合溶液に溶解し、p−トルエン
スルホン酸及びα,α−ジメトキシトルエンを加えるこ
とを含む工程によって、ベンジルN−アセチル−4,6
−O−ベンジリデン−β−グルコサミニド(2f)を得
ることができる。
【0023】グルコース(2g)をピリジンなどの有機
溶媒に分散させ、無水酢酸などのアセチル化剤と反応さ
せることを含む工程によって、グルコースペンタアセテ
ート(2h)を得ることができる。グルコースペンタア
セテート(2h)をクロロホルムなどの有機溶媒に溶解
し、HBr酢酸溶液と反応させることを含む工程によっ
て、臭化2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−
グルコシル(2i)を得ることができる。
【0024】ベンジルN−アセチル−4,6−O−ベン
ジリデン−β−グルコサミニド(2f)を塩化メチレン
などの有機溶媒中で、トリフルオロメタンスルホン酸
銀、1,1,3,3−テトラ−メチル−尿素、及び臭化
2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−グルコシ
ル(2i)と反応させることを含む工程によって、ベン
ジルN−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−3−O
−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−グル
コピラノシル)−β−グルコサミニド(2j)を得るこ
とができる。
【0025】パラジウム−カーボンをメタノールなどの
アルコール系溶媒に懸濁し、水素置換を行った後、ベン
ジルN−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−3−O
−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−グル
コピラノシル)−β−グルコサミニド(2j)及びTH
Fを加えることを含む工程によって、N−アセチル−3
−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−
グルコピラノシル)−グルコサミン(2k)を得ること
ができる。
【0026】N−アセチル−3−O−(2,3,4,6
−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)−グ
ルコサミン(2k)を塩化アセチルと反応させることを
含む工程によって、塩化N−アセチル−4,6,2′,
3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−ラミナ
リビオサミシル(2l)を得ることができる。
【0027】塩化N−アセチル−4,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−ラミナリビオ
サミシル(2l)をアセトニトリルなどの有機溶媒に溶
解し、塩化テトラエチルアンモニウムと炭酸水素ナトリ
ウムと反応させることを含む工程によって、2−メチル
−{4,6−ジ−O−アセチル−3−O−(2,3,
4,6−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシ
ル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(2m)を得ることができ
る。
【0028】2−メチル−{4,6−ジ−O−アセチル
−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(2m)
をメタノールなどのアルコール系溶媒に溶解し、ナトリ
ウムメトキシドなどのアルコキシドと反応させることを
含む工程によって、2−メチル−{3−O−(β−グル
コピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラ
ノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(2)を得るこ
とができる。
【0029】新規アミノ糖である2−メチル−{3−O
−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α
−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン
(3)は、ベンジルN−アセチル−4,6−O−ベンジ
リデン−β−グルコサミニド(2f)及びガラクトース
(3a)を出発原料として、反応式Cで示される経路に
より合成することができる。
【0030】
【化10】 ここで、AcはCH3 CO、Pyはピリジン、Et4
+ Cl- は塩化テトラエチルアンモニウム、NaOMe
はナトリウムメトキシドを示す。
【0031】ガラクトース(3a)をピリジンに分散さ
せ、無水酢酸などのアセチル化剤と反応させることを含
む工程によって、ガラクトースペンタアセテート(3
b)を得ることができる。ガラクトースペンタアセテー
ト(3b)をクロロホルムなどの有機溶媒に溶解し、H
Br酢酸溶液と反応させることを含む工程によって、臭
化2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−ガラク
トシル(3c)を得ることができる。
【0032】ベンジルN−アセチル−4,6−O−ベン
ジリデン−β−グルコサミニド(2f)とトリフルオロ
メタンスルホン酸銀をアルゴン置換し、塩化メチレンを
加え、さらに、臭化2,3,4,6−テトラ−O−アセ
チル−α−ガラクトシル(3c)と反応させることを含
む工程によって、ベンジルN−アセチル−4,6−O−
ベンジリデン−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O
−アセチル−β−ガラクトピラノシル)−β−グルコサ
ミニド(3d)を得ることができる。
【0033】パラジウム−カーボンをメタノールなどの
有機溶媒に懸濁させ、水素置換を行った後、ベンジルN
−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−ガラク
トピラノシル)−β−グルコサミニド(3d)と反応さ
せることを含む工程によって、N−アセチル−3−O−
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−ガラク
トピラノシル)−グルコサミン(3e)を得ることがで
きる。
【0034】N−アセチル−3−O−(2,3,4,6
−テトラ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシル)−
グルコサミン(3e)を塩化アセチルなどのアセチル化
剤と反応させることを含む工程によって、塩化4,6,
2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−
ラクト−N−ビオシルI(3f)を得ることができる。
塩化4,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−ア
セチル−α−ラクト−N−ビオシルI(3f)をアセト
ニトリルなどの有機溶媒に溶解し、塩化テトラエチルア
ンモニウム及び炭酸水素ナトリウムと反応させることを
含む工程によって、2−メチル−{4,6−ジ−O−ア
セチル−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセ
チル−β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−
α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン
(3g)を得ることができる。
【0035】2−メチル−{4,6−ジ−O−アセチル
−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グ
ルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(3
g)をメタノールなどのアルコール系溶媒に溶解し、ナ
トリウムメトキシドなどのアルコキシドと反応させるこ
とを含む工程によって、2−メチル−{3−O−(β−
ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコ
ピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(3)を得
ることができる。
【0036】新規アミノ糖である2−メチル−{4−O
−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−
グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン
(4)は、セロビオースオクタアセテート(4a)を出
発原料として、反応式Dで示される経路により合成する
ことができる。
【0037】
【化11】 ここで、AcはCH3 CO、NaOMeはナトリウムメ
トキシド、Et4 +Cl- は塩化テトラエチルアンモ
ニウムを示す。
【0038】セロビオースオクタアセテート(4a)を
クロロホルムに溶解させ、HBr酢酸溶液を反応させる
ことを含む工程によって、臭化2,3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘプタ−O−アセチル−α−セロビ
オシル(4b)を得ることができる。酢酸ナトリウム1
水和物の酢酸溶液に粉末亜鉛を懸濁させた後、硫酸銅5
水和物と反応させ、さらに臭化2,3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘプタ−O−アセチル−α−セロビ
オシル(4b)と反応させることを含む工程によって、
3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチ
ル−D−セロビアール(4c)を得ることができる。
【0039】3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ
−O−アセチル−D−セロビアール(4c)の酢酸溶液
と亜硝酸イソペンチルの混合溶液と濃塩酸と酢酸の混合
溶液を反応させることを含む工程によって、塩化3,
6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−
2−デオキシ−2−ニトロシル−α−セロビオシル(4
d)を得ることができる。パラジウム−カーボンをTH
Fに懸濁させ、水素置換を行った後、塩化3,6,
2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−2−
デオキシ−2−ニトロシル−α−セロビオシル(4d)
の塩化メチレン溶液と反応させることを含む工程によっ
て、塩化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O
−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−セロビオ
シル(4e)を得ることができる。塩化3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−2−アミノ
−2−デオキシ−α−セロビオシル(4e)のピリジン
などの有機溶媒に溶解し、無水酢酸と反応させることを
含む工程によって、N−アセチルセロビオサミンヘプタ
アセテート(4f)を得ることができる。
【0040】N−アセチルセロビオサミンヘプタアセテ
ート(4f)をメタノールなどのアルコール系溶媒に溶
解し、ナトリウムメトキシドなどのアルコキシドと反応
させることを含む工程によって、N−アセチルセロビオ
サミン(4g)を得ることができる。N−アセチルセロ
ビオサミン(4g)を塩化アセチルと反応させることを
含む工程によって、塩化N−アセチル−3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−セロビ
オサミシル(4h)を得ることができる。
【0041】塩化N−アセチル−3,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−セロビオサミ
シル(4h)をアセトニトリルなどの有機溶媒に溶解
し、塩化テトラアンモニウム及び炭酸水素ナトリウムと
反応させることを含む工程によって、2−メチル−
{3,6−ジ−O−アセチル−4−O−(2,3,4,
6−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)
1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−
d〕−2−オキサゾリン(4i)を得ることができる。
【0042】2−メチル−{3,6−ジ−O−アセチル
−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(4i)
をメタノールなどのアルコール系溶媒に溶解し、ナトリ
ウムメトキシドなどのアルコキシドと反応させることを
含む工程によって、2−メチル−{4−O−(β−グル
コピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラ
ノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(4)を得るこ
とができる。
【0043】新規アミノ糖である2−メチル−{4−O
−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α
−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン
(5)は、ラクトース(5a)を出発原料として、反応
式Eで示される経路により合成することができる。
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】 ここで、AcはCH3 CO、Pyはピリジン、NaOM
eはナトリウムメトキシドを示す。
【0046】ラクトース(5a)をピリジンなどの有機
溶媒に分散させ、無水酢酸などのアセチル化剤と反応さ
せることを含む工程によって、ラクトースオクタアセテ
ート(5b)を得ることができる。ラクトースオクタア
セテート(5b)をクロロホルムなどの有機溶媒に溶解
し、HBr酢酸溶液と反応させることを含む工程によっ
て、臭化2,3,6,2′,3′,4′,6′−ヘプタ
−O−アセチル−α−ラクトシル(5c)を得ることが
できる。
【0047】酢酸ナトリウム1水和物の酢酸溶液に粉末
亜鉛を懸濁させた後、硫酸銅5水和物の水溶液を滴下
し、さらに、臭化2,3,6,2′,3′,4′,6′
−ヘプタ−O−アセチル−α−ラクトシル(5c)と反
応させることを含む工程によって、3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−D−ラクタ
ール(5d)を得ることができる。
【0048】3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ
−O−アセチル−D−ラクタール(5d)の酢酸と亜硝
酸イソペンチルの混合溶液に、濃塩酸と酢酸の混合溶液
を反応させることを含む工程によって、塩化3,6,
2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−2−
デオキシ−2−ニトロシル−α−ラクトシル(5e)を
得ることができる。
【0049】パラジウム−カーボンをアセトンなどの有
機溶媒に懸濁して水素置換を行った後、塩化3,6,
2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−2−
デオキシ−2−ニトロシル−α−ラクトシル(5e)の
クロロホルム溶液と反応させることを含む工程によっ
て、塩化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O
−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−ラクトシ
ル(5f)を得ることができる。
【0050】塩化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘ
キサ−O−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−
ラクトシル(5f)をピリジンなどの有機溶媒に溶解
し、無水酢酸などのアセチル化剤と反応させることを含
む工程によって、N−アセチルラクトサミンヘプタアセ
テート(5g)を得ることができる。N−アセチルラク
トサミンヘプタアセテート(5g)をメタノールなどの
アルコール系溶媒に溶解し、ナトリウムメトキシドなど
のアルコキシドと反応させることを含む工程によって、
N−アセチルラクトサミン誘導体(5h)を得ることが
できる。N−アセチルラクトサミン誘導体(5h)を塩
化アセチルと反応させることを含む工程によって、塩化
N−アセチル−3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキ
サ−O−アセチル−α−ラクトサミシル(5i)を得る
ことができる。
【0051】塩化N−アセチル−3,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−ラクトサミシ
ル(5i)をアセトニトリルなどの有機溶媒に溶解し、
塩化テトラアンモニウムと炭酸水素ナトリウムと反応さ
せることを含む工程によって、2−メチル−{3,6−
ジ−O−アセチル−4−O−(2,3,4,6−テトラ
−O−アセチル−β−ガラクトピラノシル)1,2−ジ
デオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オ
キサゾリン(5j)を得ることができる。
【0052】2−メチル−{3,6−ジ−O−アセチル
−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グ
ルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(5
j)をメタノールなどのアルコール系溶媒に溶解し、ナ
トリウムメトキシドなどのアルコキシドと反応させるこ
とを含む工程によって、2−メチル−{4−O−(β−
ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコ
ピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(5)を得
ることができる。
【0053】また、上記した新規アミノ糖の1つであ
り、下記構造式で示される2−メチル−{1,2−ジデ
オキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキ
サゾリン(1)を含む新規アミノ糖は、緩衝液中でキチ
ナーゼ等の酵素を作用させることにより酵素触媒重付加
反応しキトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖が生成する。
【0054】
【化14】 ここで、MeはCH3 を示す。
【0055】ここで、酵素触媒重付加反応は、全く新し
い重合反応形式であり、2−メチル−{1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(1)を例にとると、次のような反応機構で重合
が進むと考えられる。ただし、本発明の酵素触媒重付加
反応は、2−メチル−{1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(1)の
重合のみに限定されるものではない。
【0056】
【化15】 ここで、AcはCH3 CO、nは1以上の整数を示す。
【0057】すなわち、2−メチル−{1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(1)分子中のオキサゾリン環が触媒により開環
して、アミノ糖カチオン体(6)が生成し、さらにこの
アミノ糖カチオン体(6)が、2−メチル−{1,2−
ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−
オキサゾリン(1)が加水分解して生成したN−アセチ
ルグルコサミン(1a)の4位の水酸基と反応して、ア
ミノ二糖を生成し、さらに別のアミノ糖カチオン体
(6)が、このアミノ二糖の非還元末端4位の水酸基と
反応してアミノ三糖を生成する過程をくり返し、最終的
にオキサゾリン環が加水分解により開環してオリゴ糖を
生成する。なお、緩衝液としては、クエン酸緩衝溶液、
リン酸緩衝溶液等の当業者に公知の好適なもの、触媒と
しては、バチルス由来のキチナーゼ等を例示することが
できる。
【0058】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明を詳しく説明
する。
【0059】実施例1 上記反応式Aに従って、2−メチル−{1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(1)の製造方法を以下に示す。塩化3,4,6−トリ−O−アセチル−2−アセトアミ
ド−2−デオキシ−α−グルコピラノシル(1b)の製
5.0g(22.6mmol)のN−アセチルグルコサミン
(1a)に20mlの塩化アセチルを加えて攪拌し、室温
で3日間反応させた。薄層クロマトグラフィー(以下、
「TLC」と略す)により反応終了を確認した後、クロ
ロホルムで希釈し、冷水(×1)、飽和炭酸ナトリウム
水溶液(×2),更に冷水(×3)にてpHが中性にな
るまで分液操作を行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸
ナトリウムにより乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過に
より除去した。濾液をエバポレートにより濃縮し、更に
減圧乾燥することで5.9gの塩化3,4,6−トリ−
O−アセチル−2−アセトアミド−2−デオキシ−α−
グルコピラノシル(1b)(16.1mmol,71%)を
得た。
【0060】2−メチル−(3,4,6−トリ−O−ア
セチル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(1c)の製造 5.9g(16.1mmol)の塩化3,4,6−トリ−O
−アセチル−2−アセトアミド−2−デオキシ−α−グ
ルコピラノシル(1b)を40mlのアセトニトリルに溶
かした溶液を3.0g(18.1mmol/l)の塩化テト
ラエチルアンモニウムと3.0g(35.7mmol/l)
の炭酸水素ナトリウムに加えて1時間反応させた。TL
Cにて反応終了を確認した後、ガラスフィルターG4で
固体を除き、濾液を濃縮してクロロホルムに溶かして分
液を行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムに
より乾燥した。濾過により硫酸ナトリウムを除いた後、
溶液を濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフ(ゲル;M
erck社製Sirica gel 60,粒径 0.040-0.063mm: 展開溶
媒;酢酸エチル/ヘキサン=5/2)により精製し、
2.9gの2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセ
チル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)〔2,
1−d〕−2−オキサゾリン(1c)(8.8mmol,5
5%)を得た。
【0061】2−メチル−{1,2−ジデオキシ−α−
グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン
(1)の製造 2.0g(6.07mmol)の2−メチル−(3,4,6
−トリ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ)〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(1c)
を70mlの無水メタノールに溶解させた。さらに、2.
4ml(0.304M)のナトリウムメトキシドのメタノ
ール溶液を加えて、室温にて45分間反応させた。TL
Cにより反応終了を確認した後、溶媒をエバポレートに
より除去してエーテルを用いて再結晶を行い、結晶を集
めることで318mgの2−メチル−{1,2−ジデオキ
シ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾ
リン(1)(1.56mmol,25%)を得た。その 1
NMR及び13CNMRは次の通りであった。それぞれを
図1、図2に示す。
【0062】 1HNMR(250MHz,D2 O):δ
6.07{1H,d, J1,2 =7.28Hz, anomeric 1H(H
−1),α},4.12{1H, dd, H−2},3.9
6{1H, t,H−3},2.04{3H, s, methyl 1
H of oxazoline } 13CNMR(62.9MHz,D2 O) :δ168.9
{1C,2−13C ofoxazoline },101.3(C−
1),73.8(C−3),72.5(C−5),6
9.5(C−4),66.7(C−2),62.5(C
−6),13.8{1C, methyl13C of oxazoline }
【0063】実施例2 上記反応式Bに従って、2−メチル−{3−O−(β−
グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピ
ラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(2)の製造
方法を以下に示す。
【0064】ベンジルN−アセチル−3,4,6−トリ
−O−アセチル−β−グルコサミニド(2d)の製造 アルゴン雰囲気下、29.10g(7.935×101
mmol)の2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチ
ル−1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(1c)のクロロホルム溶液
(100ml)に150ml(1.450mol ,18.3e
q. )のベンジルアルコールと2.910g(1.69
0×101 mol ,0.21eq. )の無水p−トルエンス
ルホン酸を加えた。さらに、2.9g(10wt%)の
粉末モレキュラーシーブ3Aを分散させ、60℃で3時
間反応させた。セライト濾過によって粉末モレキュラー
シーブを除き、濾液をエバポレートした後、減圧蒸留に
よって濃縮した。残留物を過剰量のクロロホルムで希釈
し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行った。
集めた有機溶媒層は、無水硫酸ナトリウムによって乾燥
した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾液
をエバポレートによって濃縮した後、熱エタノールを用
いて再結晶を行った。濾別して得られた白色結晶を冷エ
タノールによって洗浄し、減圧乾燥することで、11.
516gのベンジルN−アセチル−3,4,6−トリ−
O−アセチル−β−グルコサミニド(2d)(2.63
3×10 1 mmol,33.18%)を得た。
【0065】ベンジルN−アセチル−β−グルコサミニ
ド(2e)の製造 11.516g(2.633×101 mmol)のベンジル
N−アセチル−3,4,6−トリ−O−アセチル−β−
グルコサミニド(2d)のメタノール溶液(250ml)
に3.2ml(0.787M)のナトリウムメトキシドの
メタノール溶液を加え、室温で2時間反応させた。TL
Cにより反応終了を確認した後、イオン交換樹脂Amberl
ite IR−120 (H+ )を加えて攪拌し、反応溶液が中性
になったのをpH試験紙で確認した後、濾過によりイオ
ン交換樹脂を取り除いた。濾液をエバポレートによって
濃縮し、さらに減圧乾燥することで、7.889gのベ
ンジルN−アセチル−β−グルコサミニド(2e)
(2.534×101 mmol,96.24%)を得た。
【0066】ベンジルN−アセチル−4,6−O−ベン
ジリデン−β−グルコサミニド(2f)の製造 アルゴン雰囲気下、7.889g(2.534×101
mmol)のベンジルN−アセチル−β−グルコサミニド
(2e)を100mlのDMFと300mlのTHFの混合
溶液に溶解させ、0.8g(4.646mmol,0.18
eq. )の無水p−トルエンスルホン酸と、10ml(6.
7×101 mmol,2.6eq. )のα,α−ジメトキシト
ルエンを加え、15時間反応させた。TLCにより反応
終了を確認した後、10mlのピリジンを加えることによ
り反応溶液を中和した後、エバポレートによって濃縮し
た。残留物を過剰量のクロロホルムで希釈し、pHが中
性になるまで冷水にて分液操作を行った。集めた有機溶
媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾燥した後、硫酸ナ
トリウムを濾過によって分離した。濾液をエバポレート
して、減圧蒸留によって濃縮した後、熱エタノールを用
いて再結晶を行った。濾別して得られた白色結晶を冷エ
タノールによって洗浄し、減圧乾燥することで、9.2
57gのベンジルN−アセチル−4,6−O−ベンジリ
デン−β−グルコサミニド(2f)(2.317×10
1 mmol,91.46%)を得た。
【0067】グルコースペンタアセテート(2h)の製
30.040g(1.667×102 mmol)のグルコー
ス(2g)を100mlのピリジンに分散させ、0℃にお
いて200mlの無水酢酸を滴下し、室温で24時間反応
させた。TLCにより反応終了を確認した後、反応溶液
をエバポレートによって約3分の1に濃縮して、大量の
氷水中に滴下し、白色沈澱を生成させた。グラスフィル
ターG4による濾別によって沈澱を収集し、減圧乾燥す
ることで59.557gのグルコースペンタアセテート
(2h)(1.526×102mmol ,91.53%)を
得た。
【0068】臭化2,3,4,6−テトラ−O−アセチ
ル−α−グルコシル(2i)の製造 20.302g(5.201×101mmol )のグルコー
スペンタアセテート(2h)のクロロホルム溶液(50
ml)に、40mlの30%HBr酢酸溶液を20mlのクロ
ロホルムで希釈した混合溶液を0℃において滴下し、3
時間反応させた。TLCにより反応終了を確認した後、
pHが中性になるまで冷水を用いて分液操作を行った。
集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾燥し
た後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾液を
エバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥すること
で、20.030gの臭化2,3,4,6−テトラ−O
−アセチル−α−グルコシル(2i)(4.871×1
1 mmol,93.66%)を得た。
【0069】ベンジルN−アセチル−4,6−O−ベン
ジリデン−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ア
セチル−β−グルコピラノシル)−β−グルコサミニド
(2j)の製造 暗所にて、3.070g(7.686mmol)のベンジル
N−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−β−グルコ
サミニド(2f)と9.3g(3.6×101mmol,
4.7eq. )のトリフルオロメタンスルホン酸銀と0.
93g(銀触媒に対し10wt%)の粉末モレキュラー
シーブ4Aを1時間脱気した。その後、アルゴン置換を
行い、400mlの塩化メチレンを加えて1時間攪拌し
た。6.5ml(5.4×101 mmol,7.0eq. )の
1,1,3,3−テトラ−メチル−尿素を加えた後、
9.302g(2.262×101 mmol,2.9eq. )
の臭化2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−グ
ルコシル(2i)の塩化メチレン溶液(50ml)を−7
8℃にて滴下し、室温にて40時間反応させた。TLC
により反応終了を確認した後、セライト濾過によって銀
触媒及び、粉末モレキュラーシーブを除き、濾液をエバ
ポレートによって濃縮した。残留物を過剰量のクロロホ
ルムで希釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作
を行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによ
って乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮した後、約80ml
の熱エタノールに溶解させ、還流中に約20mlのヘキサ
ンを加え再結晶を行った。濾別して得られた白色結晶を
冷エタノールによって洗浄し、減圧乾燥することで、
3.914gのベンジルN−アセチル−4,6−O−ベ
ンジリデン−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−
アセチル−β−グルコピラノシル)−β−グルコサミニ
ド(2j)(5.364mmol,69.79%)を得た。
【0070】N−アセチル−3−O−(2,3,4,6
−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)−グ
ルコサミン(2k)の製造 600mgのパラジウム−カーボン(10%)を10mlの
メタノールに懸濁させ、約30秒間脱気し水素置換を行
った。この作業を10回以上くり返した後、水素雰囲気
下、3.914g(5.364mmol)のベンジルN−ア
セチル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−(2,
3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノ
シル)−β−グルコサミニド(2j)のメタノール(3
0ml)とTHF(30ml)の混合溶液を加え、2日間反
応させた。TLCにより反応終了を確認した後、セライ
ト濾過によってパラジウム粉末を除き、濾液をエバポレ
ートによって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、2.
963gのN−アセチル−3−O−(2,3,4,6−
テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)−グル
コサミン(2k)(5.364mmol,quant.)を
得た。
【0071】塩化N−アセチル−4,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−ラミナリビオ
サミシル(2l)の製造 2.963g(5.364mmol)のN−アセチル−3−
O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−グ
ルコピラノシル)−グルコサミン(2k)に30mlの塩
化アセチルと10mlのクロロホルムを加え、室温で3日
間反応させた。TLCにより反応終了を確認した後、過
剰量のクロロホルムで希釈し、冷水(×1)、飽和炭酸
ナトリウム水溶液(×1)、さらにpHが中性になるま
で冷水にて分液操作を行った。集めた有機溶媒層は無水
硫酸ナトリウムによって乾燥した後、硫酸ナトリウムを
濾過によって分離した。濾液をエバポレートによって濃
縮し、さらに減圧乾燥することで、3.704gの塩化
N−アセチル−4,6,2′,3′,4′,6′−ヘキ
サ−O−アセチル−α−ラミナリビオサミシル(2l)
(5.364mmol,quant.)を得た。
【0072】2−メチル−{4,6−ジ−O−アセチル
−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(2m)
の製造 アルゴン雰囲気下、3.704g(5.364mmol)の
塩化N−アセチル−4,6,2′,3′,4′,6′−
ヘキサ−O−アセチル−α−ラミナリビオサミシル(2
l)のアセトニトリル溶液(25ml)に480mg(2.
886mmol,0.54eq. )の塩化テトラエチルアンモ
ニウムと485mg(5. 769mmol,1.1eq. )の炭
酸水素ナトリウムを加え、60℃にて30分間反応させ
た。TLCにより反応終了を確認した後、グラスフィル
ターG4による濾過で固形物を除き、濾液をエバポレー
トによって濃縮した。さらに、過剰量のクロロホルムで
希釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行っ
た。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾
燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾
液をエバポレートによって濃縮し、残留物をシリカゲル
フラッシュカラムクロマトグラフィー(ゲル:Merck社
製、Silica gel 60 、粒径 0.040-0.063mm、展開溶媒:
酢酸エチル/ヘキサン=13/2)にて単離精製し、展
開後の溶液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧
乾燥することで、2.232gの2−メチル−{4,6
−ジ−O−アセチル−3−O−(2,3,4,6−テト
ラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)1,2−ジ
デオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オ
キサゾリン(2m)(3.614mmol,67.58%)
を得た。
【0073】2−メチル−{3−O−(β−グルコピラ
ノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(2)の製造 2.232g(3.614mmol)の2−メチル−{4,
6−ジ−O−アセチル−3−O−(2,3,4,6−テ
トラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)1,2−
ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−
オキサゾリン(2m)のメタノール溶液(50ml)に
5.3ml(0.156M)のナトリウムメトキシドのメ
タノール溶液を加え、室温で4時間反応させた。TLC
により反応終了を確認した後、イオン交換樹脂Amberlit
e IR−120 (H+ )を加えて攪拌し、反応溶液が中性に
なったのをpH試験紙で確認した後、濾過によりイオン
交換樹脂を取り除いた。濾液をエバポレートによって濃
縮し、さらに減圧乾燥することで、1.413gの2−
メチル−{3−O−(β−グルコピラノシル)1,2−
ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−
オキサゾリン(2)(3.614mmol,quant.)
を得た。その 1HNMR及び13CNMRは次の通りであ
った。それぞれを図3、図4に示す。
【0074】 1HNMR(250MHz,D2 O):δ
6.12{1H,d,J1,2 =7.28Hz,anomeric
proton (H−1)},4.67{1H,d,
1 ,2′=7.95Hz,anomeric proton (H−
1′)},4. 33{1H,dd,H−2},4.17
{1H,t,H−3},2.08{3H,s,methyl p
roton ofoxazoline} 13CNMR(62.9MHz,D2 O) :δ101.1
(C−1),102.7(C−1′),64.8(C−
2),73.8(C−2′),80.0(C−3),7
6.4(C−3′),68.5(C−4),70.5
(C−4′),73.1(C−5),76.9(C−
5′),61.6(C−6),62.4(C−6′),
13.7{methyl13C of oxazoline },169.3
{2−13C ofoxazoline (O−C=N)}
【0075】実施例3 上記反応式Cに従って、2−メチル−{3−O−(β−
ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコ
ピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(3)の製
造方法を以下に示す。
【0076】ガラクトースペンタアセテート(3b)の
製造 8.030g(4.457×101 mmol)のガラクトー
ス(3a)を30mlのピリジンに分散させ、0℃におい
て60mlの無水酢酸を滴下し、室温で3日間反応させ
た。TLCにより反応終了を確認した後、反応溶液をエ
バポレートによって濃縮し、過剰量のクロロホルムで希
釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行っ
た。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾
燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾
液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥する
ことで、17.211gのガラクトースペンタアセテー
ト(3b)(4.409×101 mmol,98.93%)
を得た。
【0077】臭化2,3,4,6−テトラ−O−アセチ
ル−α−ガラクトシル(3c)の製造 17.211g(4.409×101 mmol)のガラクト
ースペンタアセテート(3b)のクロロホルム溶液(5
0ml)に、100mlの30%HBr酢酸溶液を0℃にお
いて滴下し、2時間反応させた。TLCにより反応終了
を確認した後、pHが中性になるまで冷水を用いて分液
操作を行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウム
によって乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分
離した。濾液をエバポレートによって濃縮し、さらに減
圧乾燥することで、17.874gの臭化2,3,4,
6−テトラ−O−アセチル−α−ガラクトシル(3c)
(4.347×101 mmol,98.59%)を得た。
【0078】ベンジルN−アセチル−4,6−O−ベン
ジリデン−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ア
セチル−β−ガラクトピラノシル)−β−グルコサミニ
ド(3d)の製法 暗所にて、2.261g(5.660mmol)のベンジル
N−アセチル−4,6−O−ベンジリデン−β−グルコ
サミニド(2f)と12.0g(4.7×10 1 mmol,
8.3eq. )のトリフルオロメタンスルホン酸銀を1時
間脱気した後、アルゴン置換を行い、350mlの塩化メ
チレンを加え1時間攪拌した。11.5ml(9.6×1
1 mmol,17.0eq. )の1,1,3,3−テトラ−
メチル−尿素を加えた後、11.986g(2.915
×101 mmol,5.2eq. )の臭化2,3,4,6−テ
トラ−O−アセチル−α−ガラクトシル(3c)の塩化
メチレン溶液(50ml)を−78℃にて滴下し、室温に
て40時間反応させた。TLCにより反応終了を確認し
た後、セライト濾過によって銀触媒を除き、濾液をエバ
ポレートによって濃縮した。残留物を過剰量のクロロホ
ルムで希釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作
を行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによ
って乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮した後、残留物を
シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー( ゲ
ル:Merck社製、Silica gel 60 、粒径 0.063-0.200mm、
展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/2)にて単離精
製し、展開後の溶液をエバポレートによって濃縮し、さ
らに減圧乾燥することで、2.278gのベンジルN−
アセチル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−(2,
3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−ガラクトピラ
ノシル)−β−グルコサミニド(3d)(3.122mm
ol,55.15%)を得た。
【0079】N−アセチル−3−O−(2,3,4,6
−テトラ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシル)−
グルコサミン(3e)の製造 500mgのパラジウム−カーボン(10%)を10mlの
メタノールに懸濁させ、約30秒間脱気し水素置換を行
った。これを10回以上くり返した後、水素雰囲気下、
2.278g(3.122mmol)のベンジルN−アセチ
ル−4,6−O−ベンジリデン−3−O−(2,3,
4,6−テトラ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシ
ル)−β−グルコサミニド(3d)のメタノール溶液
(30ml)を加え、2日間反応させた。TLCにより反
応終了を確認した後、セライト濾過によってパラジウム
粉末を除き、濾液をエバポレートによって濃縮し、さら
に減圧乾燥することで、1.697gのN−アセチル−
3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β
−ガラクトピラノシル)−グルコサミン(3e)(3.
077mmol,98.56%)を得た。
【0080】塩化4,6,2′,3′,4′,6′−ヘ
キサ−O−アセチル−α−ラクト−N−ビオシルI(3
f)の製造 1.658g(3.006mmol)のN−アセチル−3−
O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−ガ
ラクトピラノシル)−グルコサミン(3e)に13mlの
塩化アセチルを加え、室温で3日間反応させた。TLC
により反応終了を確認した後、過剰量のクロロホルムで
希釈し、冷水(×1)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(×
1)、さらにpHが中性になるまで冷水にて分液操作を
行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによっ
て乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾
燥することで、2.084gの塩化4,6,2′,
3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−ラクト
−N−ビオシルI(3f)(3.077mmol,quan
t.)を得た。
【0081】2−メチル−{4,6−ジ−O−アセチル
−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グ
ルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(3
g)の製法 アルゴン雰囲気下、2.084g(3.077mmol)の
塩化4,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−ア
セチル−α−ラクト−N−ビオシルI(3f)のアセト
ニトリル溶液(15ml)に280mg(1.692mmol,
0.55eq. )の塩化テトラエチルアンモニウムと28
4mg(3.385mmol,1.1eq. )の炭酸水素ナトリ
ウムを加え、60℃にて30分間反応させた。TLCに
より反応終了を確認した後、グラスフィルターG4によ
る濾過で固形物を除き、濾液をエバポレートによって濃
縮し、過剰量のクロロホルムで希釈し、pHが中性にな
るまで冷水にて分液操作を行った。集めた有機溶媒層は
無水硫酸ナトリウムによって乾燥した後、硫酸ナトリウ
ムを濾過によって分離した。濾液をエバポレートによっ
て濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマ
トグラフィー(ゲル:Merck社製、Silica gel 60 、粒径
0.040-0.063mm、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1
3/2)にて単離精製し、展開後の溶液をエバポレート
によって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、782mg
の2−メチル−{4,6−ジ−O−アセチル−3−O−
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−ガラク
トピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラ
ノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(3g)(1.
227mmol,39.86%)を得た。
【0082】2−メチル−{3−O−(β−ガラクトピ
ラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(3)の製法 748mg(1.173mmol) の2−メチル−{4,6−
ジ−O−アセチル−3−O−(2,3,4,6−テトラ
−O−アセチル−β−ガラクトピラノシル)1,2−ジ
デオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オ
キサゾリン(3g)のメタノール溶液(20ml)にナト
リウムメトキシドのメタノール溶液(0.161M,
2.0ml)を加え、室温で2時間反応させた。TLCに
より反応終了を確認した後、イオン交換樹脂Amberlite
IR−120 (H+ )を加え攪拌し、反応溶液が中性になっ
たのをpH試験紙で確認した後、濾過によりイオン交換
樹脂を取り除いた。濾液をエバポレートによって濃縮
し、さらに減圧乾燥することで、480mgの2−メチル
−{3−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデ
オキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキ
サゾリン(3)(1.173mmol, quant.)を得
た。その 1HNMR及び13CNMRは次の通りであっ
た。それぞれを図5、図6に示す。
【0083】 1HNMR(250MHz,D2 O):δ
6.10{1H,d,J1,2 =7.29Hz,anomeric
proton (H−1)},4.58{1H,d,
1,2′=8.10Hz,anomeric proton (H−
1′)},4.43{1H,dd,H−2},4.32
{1H,t,H−3},2.08{3H,s,methyl p
roton ofoxazoline} 13CNMR(62.9MHz,D2 O) :δ101.2
(C−1),103.3(C−1′),64.9(C−
2),73.1(C−2′),80.0(C−3),7
3.4(C−3′),68.6(C−4),69.5
(C−4′),71.5(C−5),76.2(C−
5′),61.9(C−6),62.4(C−6′),
13.9{methyl13C of oxazoline },169.5
{2−13C ofoxazoline (O−C=N)}
【0084】実施例4 上記反応式Dに従って、2−メチル−{4−O−(β−
グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピ
ラノ}〔2,1−d)−2−オキサゾリン(4)の製造
方法を以下に示す。
【0085】臭化2,3,6,2′,3′,4′,6′
−ヘプタ−O−アセチル−α−セロビオシル(4b)の
製造 49.65g(7.317×101mmol )のセロビオー
スオクタアセテート(4a)のクロロホルム溶液(25
0ml) に、75mlの30%HBr酢酸溶液を50mlのク
ロロホルムで希釈した混合溶液を0℃において滴下し、
3時間反応させた。TLCにより反応終了を確認した
後、pHが中性になるまで冷水を用いて分液操作を行っ
た。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾
燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾
液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥する
ことで、49.702gの臭化2,3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘプタ−O−アセチル−α−セロビ
オシル(4b)(7.106×101 mmol,97.12
%)を得た。
【0086】3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ
−O−アセチル−D−セロビアール(4c)の製造 70g(6.996×102 mmol,10.5eq. )の酢
酸ナトリウム1水和物の50%酢酸溶液(165ml)に
40g(6.117×102 mmol, 9.2eq.)の粉末
亜鉛を懸濁させ、5g(2.002×101 mmol, 0.
30eq.)の硫酸銅5水和物の水溶液(10ml)を−5
℃において滴下した。気体の発生が収まり始めた頃に、
37.302g(6.655×101 mmol)の臭化2,
3,6,2′,3′,4′,6′−ヘプタ−O−アセチ
ル−α−セロビオシル(4b)の酢酸溶液(350ml)
を滴下し、−5℃において3時間反応させた。セライト
濾過によって粉末亜鉛を除き、過剰量のクロロホルムで
希釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行っ
た。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾
燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾
液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥する
ことで、25.903gの3,6,2′,3′,4′,
6′−ヘキサ−O−アセチル−D−セロビアール(4
c)(4.621×101 mmol, 86.66%)を得
た。
【0087】塩化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘ
キサ−O−アセチル−2−デオキシ−2−ニトロシル−
α−セロビオシル(4d)の製造 5.00g(8.920mmol)の3,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−D−セロビアール
(4c)の酢酸溶液(20ml)と亜硝酸イソペンチル
(10ml)の混合溶液に5mlの濃塩酸(10N)と5ml
の酢酸の混合溶液を0℃において滴下し、15分間反応
させた。十分に結晶が析出したらグラスフィルターG4
による濾過によって収集し、十分にエーテルで洗浄した
後、結晶をクロロホルムで溶解してpHが中性になるま
で冷水にて分液操作を行った。集めた有機溶媒層は無水
硫酸ナトリウムによって乾燥した後、硫酸ナトリウムを
濾過によって分離した。濾液をエバポレートによって濃
縮し、さらに減圧乾燥することで、2.424gの塩化
3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチ
ル−2−デオキシ−2−ニトロシル−α−セロビオシル
(4d)(3.872mmol, 43.41%)を得た。
【0088】N−アセチルセロビオサミンヘプタアセテ
ート(4f)の製造 611mgのパラジウム−カーボン(10%)を10mlの
THFに懸濁させ、約30秒間脱気し水素置換を行っ
た。この手順を10回以上くり返した後、水素雰囲気
下、5.447g(8.702mmol)の塩化3,6,
2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−2−
デオキシ−2−ニトロシル−α−セロビオシル(4d)
の塩化メチレン溶液(80ml)を加え、1週間反応させ
た。TLCにより反応終了を確認した後、セライト濾過
によってパラジウム粉末を除き、濾液をエバポレートに
よって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、塩化3,
6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−
2−アミノ−2−デオキシ−α−セロビオシル(4e)
を得た。これはアノマー位が加水分解したものと混在し
ているので、このピリジン溶液(10ml)に0℃におい
て20mlの無水酢酸を滴下し、室温において15時間反
応させた。TLCにより反応終了を確認した後、エバポ
レートによって濃縮し、過剰量のクロロホルムで希釈
し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行った。
集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾燥し
た後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾液を
エバポレートによって濃縮し、残留物をシリカゲルフラ
ッシュカラムクロマトグラフィー(ゲル:Merck社製、Si
lica gel 60 、粒径 0.040-0.063mm、展開溶媒:酢酸エ
チル/ヘキサン=4/1)にて単離精製し、展開後の溶
液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥する
ことで、2.050gのN−アセチルセロビオサミンヘ
プタアセテート(4f)(3.080mmol, 35.39
%)を得た。
【0089】N−アセチルセロビオサミン(4g)の製
アルゴン雰囲気下、2.050g(3.080mmol)の
N−アセチルセロビオサミンヘプタアセテート(4f)
のメタノール溶液(100ml)にナトリウムメトキシド
のメタノール溶液(0.226M,4.63ml)を加
え、室温で2.5時間反応させた。TLCにより反応終
了を確認した後、イオン交換樹脂Amberlite IR−120(H
+ )を加え攪拌し、反応溶液が中性になったのをpH試
験紙で確認した後、濾過によりイオン交換樹脂を取り除
いた。濾液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧
乾燥することで1.078gのN−アセチルセロビオサ
ミン(4g)(2.797mmol, 90.82%)を得
た。
【0090】塩化N−アセチル−3,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−セロビオサミ
シル(4h)の製造 1.078g(2.797mmol)N−アセチルセロビオ
サミン(4g)に10mlの塩化アセチルと5mlのクロロ
ホルムを加え、室温で3日間反応させた。TLCにより
反応終了を確認した後、過剰量のクロロホルムで希釈
し、冷水(×1)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(×
1)、さらにpHが中性になるまで冷水にて分液操作を
行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによっ
て乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾
燥することで、1.764gの塩化N−アセチル−3,
6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−
α−セロビオサミシル(4h)(2.748mmol, 9
8.23%)を得た。
【0091】2−メチル−{3,6−ジ−O−アセチル
−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−グルコピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グル
コピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(4i)
の製造 アルゴン雰囲気下、1.015g(1.552mmol)の
塩化N−アセチル−3,6,2′,3′,4′,6′−
ヘキサ−O−アセチル−α−セロビオサミシル(4h)
のアセトニトリル溶液(7.5ml)に150mg(9.
052×10-1mmol, 0.58eq.)の塩化テトラエチ
ルアンモニウムと200mg(1.786mmol, 1.2
eq.)の炭酸水素ナトリウムを加え、60℃にて40分
間反応させた。TLCにより反応終了を確認した後、グ
ラスフィルターG4による濾過で固形物を除き、濾液を
エバポレートによって濃縮した後、過剰量のクロロホル
ムで希釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を
行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによっ
て乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮し、残留物をシリ
カゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ゲル:Mer
ck社製、Silica gel 60 、粒径 0.040-0.063mm、展開溶
媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1)にて単離精製し、
展開後の溶液をエバポレートによって濃縮し、さらに減
圧乾燥することで、153mgの2−メチル−{3,6
−ジ−O−アセチル−4−O−(2,3,4,6−テト
ラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)1,2−ジ
デオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オ
キサゾリン(4i)(2.473×10-1mmol, 15.
93%)を得た。
【0092】2−メチル−{4−O−(β−グルコピラ
ノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(4)の製造 153mg(2.473×10-1mmol)の2−メチル−
{3,6−ジ−O−アセチル−4−O−(2,3,4,
6−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)
1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−
d〕−2−オキサゾリン(4i)のメタノール溶液(1
0ml)にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.
478×10-1M,2.64ml)を加え、室温で2時間
反応させた。TLCにより反応終了を確認した後、イオ
ン交換樹脂Amberlite IR−120 (H+)を加えて攪拌
し、反応溶液が中性になったのをpH試験紙で確認した
後、濾過によりイオン交換樹脂を取り除いた。濾液をエ
バポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥すること
で、0.261gの2−メチル−{4−O−(β−グル
コピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラ
ノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(4)(6.5
58×10-1mmol, quant.)を得た。その 1HN
MR及び13CNMRは次の通りであった。それぞれを図
7、図8に示す。
【0093】 1HNMR(250MHz,D2 O):δ
6.09{1H,d,J1,2 =7.25Hz,anomeric
proton (H−1)},4.49{1H,d,J 1
, 2 ′=7.79Hz,anomeric proton (H−
1′)},4.20{1H,dd,H−2},4.39
{1H,t,H−3},2.07{3H,s,methyl p
rotonof oxazoline} 13CNMR(62.9MHz,D2 O) :δ100.7
(C−1),104.8(C−1′),66.2(C−
2),74.0(C−2′),71.8(C−3),7
6.5(C−3′),79.4(C−4),70.0
(C−4′),70.4(C−5),76.9(C−
5′),61.5(C−6),62.5(C−6′),
13.8{methyl13C of oxazoline },169.0
{2−13C ofoxazoline (O−C=N)}
【0094】実施例5 上記反応式Eに従って、2−メチル−{4−O−(β−
ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコ
ピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(5)の製
造方法を以下に示す。
【0095】ラクトースオクタアセテート(5b)の製
25.01g(7.306×101 mmol)のラクトース
(5a)を100mlのピリジンに分散させ、0℃におい
て200mlの無水酢酸を滴下し、室温で3日間反応させ
た。TLCにより反応終了を確認した後、反応溶液をエ
バポレートによって濃縮し、過剰量のクロロホルムで希
釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行っ
た。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾
燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾
液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥する
ことで、49.971gのラクトースオクタアセテート
(5b)(7.306×101 mmol, quant. )を
得た。
【0096】臭化2,3,6,2′,3′,4′,6′
−ヘプタ−O−アセチル−α−ラクトシル(5c)の製
25.097g(3.698×101 mmol)のラクトー
スオクタアセテート(5b)のクロロホルム溶液(12
0ml)に、40mlの30%HBr酢酸溶液を30mlのク
ロロホルムで希釈した混合溶液を0℃において滴下し、
3時間反応させた。TLCにより反応終了を確認した
後、pHが中性になるまで冷水を用いて分液操作を行っ
た。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾
燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾
液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥する
ことで、25.160gの臭化2,3,6,2′,
3′,4′,6′−ヘプタ−O−アセチル−α−ラクト
シル(5c)(3.597×10 1 mmol, 97.26
%)を得た。
【0097】3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ
−O−アセチル−D−ラクタール(5d)の製造 34g(3.398×102mmol,9.4eq.)の酢酸ナ
トリウム1水和物の50%酢酸溶液(83ml)に25g
(3.823×102mmol,10.6eq.)の粉末亜鉛を
懸濁させ、2.5g(1.001×101mmol,0.28
eq.)の硫酸銅5水和物の水溶液(8ml)を−5℃にお
いて滴下した。気体の発生が収まり始めた頃に、25.
160g(3.597×101 mmol)の臭化2,3,
6,2′,3′,4′,6′−ヘプタ−O−アセチル−
α−ラクトシル(5c)の酢酸溶液(100ml)を滴下
し、−5℃において3時間反応させた。セライト濾過に
よって粉末亜鉛を除き、過剰量のクロロホルムで希釈
し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を行った。
集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾燥し
た後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾液を
エバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥すること
で、20.161gの3,6,2′,3′,4′,6′
−ヘキサ−O−アセチル−D−ラクタール(5d)
(3.597×101mmol, quant. )を得た。
【0098】塩化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘ
キサ−O−アセチル−2−デオキシ−2−ニトロシル−
α−ラクトシル(5e)の製造 20.161g(3.597×101 mmol)の3,6,
2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−D−
ラクタール(5d)の酢酸溶液(100ml)と40mlの
亜硝酸イソペンチルの混合溶液に、20mlの濃塩酸(1
0N)と20mlの酢酸の混合溶液を0℃において滴下
し、15分間反応させた。十分に結晶が析出したら、グ
ラスフィルターG4による濾過によって収集し、十分に
エーテルで洗浄した後、結晶をクロロホルムで溶解しp
Hが中性になるまで冷水にて分液操作を行った。集めた
有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾燥した後、
硫酸ナトリウムを濾過によって分離した。濾液をエバポ
レートによって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、
9.366gの塩化3,6,2′,3′,4′,6′−
ヘキサ−O−アセチル−2−デオキシ−2−ニトロシル
−α−ラクトシル(5e)(1.496×101 mmol,
41.60%)を得た。
【0099】N−アセチルラクトサミンヘプタアセテー
ト(5g)の製造 1.503gのパラジウム−カーボン(10%)を10
0mlのアセトンに懸濁させ、約30秒間脱気し水素置換
を行った。この手順を10回以上くり返した後、水素雰
囲気下、9.166g(1.464×101 mmol)の塩
化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセ
チル−2−デオキシ−2−ニトロシル−α−ラクトシル
(5e)のクロロホルム溶液(300ml)を加え、1週
間反応させた。TLCにより反応終了を確認した後、セ
ライト濾過によってパラジウム粉末を除き、濾液をエバ
ポレートによって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、
塩化3,6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−ア
セチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−ラクトシル
(5f)を得た。これはアノマー位が加水分解したもの
と混在しているので、このピリジン溶液(25ml)に0
℃において50mlの無水酢酸を滴下し、室温において1
5時間反応させた。TLCにより反応終了を確認した
後、エバポレートによって濃縮し、過剰量のクロロホル
ムで希釈し、pHが中性になるまで冷水にて分液操作を
行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによっ
て乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮し、残留物をシリ
カゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ゲル:Mer
ck社製、Silica gel 60 、粒径 0.063-0.200mm、展開溶
媒:酢酸エチル/ヘキサン=13/2)にて単離精製
し、展開後の溶液をエバポレートによって濃縮し、さら
に減圧乾燥することで、1.578gのN−アセチルラ
クトサミンヘプタアセテート(5g)(2.483mmo
l, 16.60%)を得た。
【0100】塩化N−アセチル−3,6,2′,3′,
4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−α−ラクトサミシ
ル(5i)の製造 アルゴン雰囲気下、1.366g(2.089mmol)の
N−アセチルラクトサミンヘプタアセテート(5g)の
メタノール溶液(25ml)にナトリウムメトキシドのメ
タノール溶液(0.287M,0.9ml)を加え、0℃
で30分間反応させた。TLCによりアノマー位の脱ア
セチル化の終了を確認した後、イオン交換樹脂Amberlit
e IR−120 (H+ )を加えて攪拌し、反応溶液が中性に
なったのをpH試験紙で確認した後、濾過によりイオン
交換樹脂を取り除いた。濾液をエバポレートによって濃
縮し、さらに減圧乾燥することで、脱アセチル化がある
程度進行した1.264gのN−アセチルラクトサミン
誘導体(5h)を得た。このN−アセチルラクトサミン
誘導体(5h)に20mlの塩化アセチルと10mlのクロ
ロホルムを加え、室温で3日間反応させた。TLCによ
り反応終了を確認した後、過剰量のクロロホルムで希釈
し、冷水(×1)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(×
1)、さらにpHが中性になるまで冷水にて分液操作を
行った。集めた有機溶媒層は無水硫酸ナトリウムによっ
て乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾過によって分離し
た。濾液をエバポレートによって濃縮し、さらに減圧乾
燥することで、1.437gの塩化N−アセチル−3,
6,2′,3′,4′,6′−ヘキサ−O−アセチル−
α−ラクトサミシル(5i)(2.089mmol, qua
nt.)を得た。
【0101】2−メチル−{3,6−ジ−O−アセチル
−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グ
ルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(5
j)の製造 アルゴン雰囲気下、1.437g(2.089mmol)の
塩化N−アセチル−3,6,2′,3′,4′,6′−
ヘキサ−O−アセチル−α−ラクトサミシル(5i)の
アセトニトリル溶液(10ml)に200mg(1.207
mmol, 0.57eq. )の塩化テトラエチルアンモニウム
と200mg(2.381mmol, 1. 1eq.)の炭酸水素ナ
トリウムを加え、60℃にて30分間反応させた。TL
Cにより反応終了を確認した後、グラスフィルターG4
による濾過で固形物を除き、濾液をエバポレートによっ
て濃縮した後、過剰量のクロロホルムで希釈し、pHが
中性になるまで冷水にて分液操作を行った。集めた有機
溶媒層は無水硫酸ナトリウムによって乾燥した後、硫酸
ナトリウムを濾過によって分離した。濾液をエバポレー
トによって濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラ
ムクロマトグラフィー(ゲル:Merck社製、Silica gel 6
0 、粒径 0.040-0.063mm、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキ
サン=4/1)にて単離精製し、展開後の溶液をエバポ
レートによって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、4
05mgの2−メチル−{3,6−ジ−O−アセチル−4
−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−
ガラクトピラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコ
ピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(5j)
(6.558×10-1mmol, 29.85%)を得た。
【0102】2−メチル−{4−O−(β−ガラクトピ
ラノシル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ)
〔2,1−d〕−2−オキサゾリン(5)の製造 405mg(6.558×10-1mmol)の2−メチル−
{3,6−ジ−O−アセチル−4−O−(2,3,4,
6−テトラ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシル)
1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−
d〕−2−オキサゾリン(5j)のメタノール溶液(1
0ml)にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.
196M,0.54ml)を加え、室温で2時間反応させ
た。TLCにより反応終了を確認した後、イオン交換樹
脂Amberlite IR−120 (H+ )を加え攪拌し、反応溶液
が中性になったのをpH試験紙で確認した後、濾過によ
りイオン交換樹脂を取り除いた。濾液をエバポレートに
よって濃縮し、さらに減圧乾燥することで、0.261
gの2−メチル−{4−O−(β−ガラクトピラノシ
ル)1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(5)(6.558×10-1
mmol, quant. )を得た。その 1HNMR及び13
NMRは次の通りであった。それぞれを図9、図10に
示す。
【0103】 1HNMR(250MHz,D2 O):δ
6.09{1H,d, J1,2 =7.35Hz, anomericprot
on(H−1)},4.42{1H, d, J1 ,2′=8.
00Hz,anomericproton(H−1′)},4.18
{1H,dd, H−2},4.46{1H,t,H−
3},2.06{3H,s,methyl proton of oxazoli
ne} 13CNMR(62.9MHz,D2 O):δ10
0.3(C−1),105.1(C−1′),66.0
(C−2),71.8(C−2′),71.7(C−
3),73.4(C−3′),78.9(C−4),6
9.5(C−4′),70.3(C−5),76.1
(C−5′),62.1(C−6),62.4(C−
6′),13.9{methyl13C of oxazoline },16
9.0{2−13C ofoxazoline(O−C=N)}
【0104】実施例6 2.5mgのバチルス由来のキチナーゼを0.01Mのク
エン酸緩衝溶液に溶解したものに、実施例1で得た2
4.4mg(0.12mmol)の2−メチル−{1,2−ジ
デオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オ
キサゾリン(1)を0.01Mの上記緩衝溶液に溶解さ
せたものを加え、反応系における(1)の濃度を5.0
×10-2mol /lとして重合反応を開始した。クエン酸
緩衝溶液のpHは、pH6、pH7、pH8とし、反応
時間は、表1の通りとした。40℃で所定時間、反応を
行った後、反応液に過剰のTHFを加え、100℃で1
5分間、加熱することで酵素を失活させ、反応を停止さ
せた。反応溶液をエバポレートにより濃縮した後、さら
に減圧乾燥することで、有機溶媒を除いた。その後、高
性能液体クロマトグラフィーによる分取を行い、さらに
凍結乾燥することで、表1に示されるキトオリゴ糖を得
た。
【0105】
【表1】 ここで、下記構造式において、G1はn=0、G2はn
=1、G3はn=2、G4はn=3、G5はn=4のも
のを表す。
【0106】
【化16】
【0107】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、キトオリゴ糖を得るために好適な新規のアミノ
糖が提供され、さらに該アミノ糖を酵素触媒中付加反応
させることによって、品質の安定したキトオリゴ糖及び
その類似オリゴ糖が提供される。本発明を実施すること
によって得られるキトオリゴ糖及びその類似オリゴ糖
は、医薬品やDDS材料のような生医学材料分野、及び
多孔性ビーズや界面活性剤のような化粧品分野への応用
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によって得られた、2−メチル
−{1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(1)の 1HNMRの結果を
示すグラフである。
【図2】図2は、本発明によって得られた、2−メチル
−{1,2−ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1
−d〕−2−オキサゾリン(1)の13CNMRの結果を
示すグラフである。
【図3】図3は、本発明によって得られた、2−メチル
−{3−O−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(2)の 1HNMRの結果を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明によって得られた、2−メチル
−{3−O−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(2)の13CNMRの結果を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明によって得られた、2−メチル
−{3−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデ
オキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキ
サゾリン(3)の 1HNMRの結果を示すグラフであ
る。
【図6】図6は、本発明によって得られた、2−メチル
−{3−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデ
オキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキ
サゾリン(3)の13CNMRの結果を示すグラフであ
る。
【図7】図7は、本発明によって得られた、2−メチル
−{4−O−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(4)の 1HNMRの結果を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明によって得られた、2−メチル
−{4−O−(β−グルコピラノシル)1,2−ジデオ
キシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキサ
ゾリン(4)の13CNMRの結果を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明によって得られた、2−メチル
−{4−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−ジデ
オキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−オキ
サゾリン(5)の 1HNMRの結果を示すグラフであ
る。
【図10】図10は、本発明によって得られた、2−メ
チル−{4−O−(β−ガラクトピラノシル)1,2−
ジデオキシ−α−グルコピラノ}〔2,1−d〕−2−
オキサゾリン(5)の13CNMRの結果を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清貞 俊次 宮城県仙台市若林区若林2−6−4 レデ ィースミトミ406 (72)発明者 高田 江美子 神奈川県横浜市鶴見区尻手2−3−48 ひ まわりマンション302

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)又は(II)で示される
    新規アミノ糖。 【化1】 ここで、R1 はH、β−グルコシル基、又はβ−ガラク
    トシル基を示し、MeはCH3 を示す。 【化2】 ここで、R2 はβ−グルコシル基、又はβ−ガラクトシ
    ル基を示し、MeはCH3 を示す。
  2. 【請求項2】 緩衝液中で、請求項1に記載のアミノ糖
    にキチナーゼを作用させ、該アミノ糖の酵素重付加反応
    によってキトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖を得ること
    を特徴とするキトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 アミノ糖が下記構造式(III)で示される
    アミノ糖であることを特徴とする請求項2に記載のキト
    オリゴ糖の製造方法。 【化3】 ここで、MeはCH3 を示す。
JP7292336A 1995-11-10 1995-11-10 新規アミノ糖及びキトオリゴ糖又はその類似オリゴ糖の製造方法 Pending JPH09132585A (ja)

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