JPH09129191A - 有底金属缶乾燥方法 - Google Patents

有底金属缶乾燥方法

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JPH09129191A JP7287574A JP28757495A JPH09129191A JP H09129191 A JPH09129191 A JP H09129191A JP 7287574 A JP7287574 A JP 7287574A JP 28757495 A JP28757495 A JP 28757495A JP H09129191 A JPH09129191 A JP H09129191A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池缶等の有底金属缶を洗浄後、その乾燥を
迅速かつ熱効率よく行う。 【解決手段】有底金属缶である電池缶1の開口部2を下
方に向け、高周波誘導加熱装置10内を通過またはその
装置内に保持させることによって、電池缶1を乾燥す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高周波誘導加熱装置
を用いた電池缶等の有底金属缶の乾燥方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、電池缶等に使用される有底金属缶
の製造方法においては、金属板を電池缶等の所定の有底
金属缶形状に加工した後、フロン洗浄を行う方法が一般
に採用されていた。また、フロン洗浄ではなく水洗浄も
試みられていたが、水洗浄を行った場合は有底金属缶に
付着した水分等により錆が発生するため,その錆の発
生、腐食を防止するための乾燥が必要である。
【0003】この乾燥方法として従来は、熱風乾燥が主
に考えられており、その他には、有底金属缶を対象とし
た乾燥方法ではないが、高周波誘導加熱を利用した乾燥
方法が塗料の焼付け乾燥方法の発明として特開平1−1
94972号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フロンによる
オゾン層の破壊が地球規模で問題となり、紫外線からの
人体への悪影響を避けるために、フロンの使用を全廃す
ることが要求されており従来から用いられていたフロン
洗浄は使用できなくなってきており、有底金属缶の製造
工程においてフロン洗浄にかわる代替の洗浄方法が必要
になってきた。
【0005】ところが、前記したように水洗浄を使用し
た場合には、その後の乾燥が必要であり、その手段とし
て従来はシーズヒーターまたはガス、重油等による間接
的な加熱による熱風乾燥が主に考えられていた。しか
し、電池缶のような深絞り加工をした有底金属缶の小部
品を熱風等で乾燥を行うためには、有底金属缶の内部の
乾燥が困難なことから大熱量、大風量が要求され、エネ
ルギ効率上、優れた方法ではなく、また乾燥には時間が
かかって生産性が悪く、さらにその装置も大がかりなも
のとなり好ましいものではなかった。
【0006】また、生産性を上げるための急速乾燥法と
して赤外線加熱も考えうるが、所定形状に加工後の電池
缶等の有底金属缶は鏡面状態にあり、赤外線を反射して
しまうことが多く、効率よく乾燥することは困難であ
り、結局この方法も有底金属缶の乾燥方法としては適し
てはいない。
【0007】さらに、高周波誘導加熱を利用した乾燥方
法が前記の特開平1−194972号公報に開示されて
おり、自動車車体に塗布された塗料を焼付け乾燥するす
る場合に使用されている。ところが、この乾燥方法は熱
風乾燥の持つ熱効率が低い等の欠点を解消しているもの
の、その乾燥過程は溶剤の揮発を促進するという点にお
いて熱風乾燥と本質的に変わりはない。従って、単にこ
の乾燥方法を電池缶等の深絞り加工をした有底金属缶の
乾燥方法として利用すると、電池缶に付着した水分を誘
導加熱により全て蒸発させることにより乾燥させること
となり、熱風乾燥とその乾燥過程に大差がないため、迅
速な乾燥が要求される有底金属缶の乾燥方法としては、
適切な方法ではない。また特開平1−194972号公
報に開示されている加熱コイルの形状は、自動車車体と
いう大物を対象としたものであるため、自動車のボディ
に則して平面的であるが、これではそこに生じる渦電流
も自動車のボディに則して略平面的であり、誘導加熱の
効率向上は望めず、一つのワークの乾燥に比較的時間が
かかり、多数の、有底金属缶でできた小部品を極短時間
の内に、流れ作業的に乾燥させる場合には適した加熱コ
イル形状とはいえない。
【0008】上述のとおり、従来は有底金属缶の最適な
乾燥方法がないという問題点があったために、フロン洗
浄の代替として、水洗浄を用いることは困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、有底金属缶の開口部を下方に向け、高周波誘
導加熱装置内を通過またはその装置内に保持させること
によって、有底金属缶を乾燥することを特徴とする。
【0010】この高周波誘導加熱装置は、有底金属缶の
周方向に電流を誘導するものであることを好ましい構成
とする。
【0011】また、この高周波誘導加熱装置は、有底金
属缶を連続的に搬送する搬送手段と、有底金属缶の搬送
路の両側に搬送方向に沿って延びる1対の並行コイル部
及び両並行コイル部を接続する1対の接続コイル部とを
備えた加熱コイル部とを有することを好ましい構成とす
る。
【0012】さらに、この高周波誘導加熱装置の並行コ
イル部は、複数のコイルエレメントからなり、このコイ
ルエレメントが搬送路に対し垂直方向に積層されてなる
ことを好ましい構成とする。
【0013】そして、上述の有底金属缶を電池缶とすれ
ば、電池缶の乾燥に最適である。
【0014】本発明によれば、有底金属缶の開口部が下
方を向いているために、有底金属缶の水洗浄または温水
洗浄の後、殆どの水分はその開口部から排出される。そ
して、有底金属缶が高周波誘導加熱装置に搬入され、こ
のときに高周波誘導加熱装置内の加熱コイルに交番電流
を流すことによって、交番磁界が発生し、その磁界内を
導電体である有底金属缶が通過またはその磁界内に保持
されることによって、電磁誘導によって導電体である有
底金属缶中に電圧が誘起され、その有底金属缶中に誘導
電流が流れる。この電流によって有底金属缶内にジュー
ル熱が発生し、有底金属缶自身が即座に効率よく発熱す
る。そして、この誘導電流は渦電流と呼ばれるが、この
渦電流は導電体である金属等の表面に集中して流れる性
質、つまり表皮効果があるため、本発明の場合、高周波
誘導加熱装置により有底金属缶の表面が集中的に発熱す
ることになる。
【0015】その結果、有底金属缶の表面に付着した水
分は急激に加熱され、部分的に急沸騰を生じ、有底金属
缶の表面に付着した水分は急沸騰部分において有底金属
缶表面から剥離され、表面張力により球状の水滴になり
有底金属缶の表面で弾かれるような現象がおこる。そし
て、この有底金属缶の表面の水滴はその自重により有底
金属缶の表面から自然に落下していき、有底金属缶の開
口部が下方に向いているためにその開口部からその水滴
を排出することができる。このように、有底金属缶の表
面に付着した水分のすべてが蒸発するのを待たずに、水
分の多くが水滴となって有底金属缶の開口部から排出さ
れるので、熱風による従来例のように多大な蒸発熱を前
記水分に与えてはじめて乾燥が完了するものに比較し、
有底金属缶の乾燥を効率よくできることになる。しか
も、有底金属缶自身が発熱するため、媒体となる空気等
を温める必要がなく、有底金属缶の乾燥に必要とする消
費電力の大きな低減が図れる。
【0016】また、前記渦電流の流れる方向を有底金属
缶の周方向とすることによって、有底金属缶の表面に閉
回路ができ、渦電流による加熱効率を向上させることが
できる。
【0017】また、有底金属缶の搬送手段を設け、この
搬送路の両側でその搬送方向に平行な加熱コイル部を設
けることにより、有底金属缶を搬送しながら複数個同時
にその乾燥が効率よくでき、生産性の向上を図ることが
できる。
【0018】そして、有底金属缶の搬送方向に延びたこ
の並行コイル部のコイルエレメントをその搬送路に対し
垂直方向に積層することによって、有底金属缶の全長に
わたり均一な発熱を生じさせることができ、より急速な
乾燥が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明を、有底金属缶である円筒
形の電池缶の乾燥に応用した実施の形態について図1〜
図4を参照して説明する。
【0020】ここで、図1は本実施形態の高周波誘導加
熱装置の概要及び電池缶が搬送されるようすを示す。図
2は高周波誘導加熱装置及び電池缶の縦断面図である。
図3は高周波誘導加熱装置内の加熱コイルの配設状況を
示す。図4は電池缶の洗浄から乾燥までの工程概略図で
ある。
【0021】図4に示すように、電池缶1は、ニッケル
メッキを施した鋼板が所定の形状に形成されてなり、電
池缶供給部分41からマグネットコンベア40aによっ
て洗浄部42に移動し、この洗浄部42で電池缶1に付
着した切削油、その他の汚れ等を熱湯により除去され、
そして電池缶1の予備乾燥工程43、乾燥工程44へと
移される。
【0022】電池缶1の乾燥は予備乾燥工程43と高周
波誘導加熱装置10を用いた乾燥工程44とで行われ
る。乾燥工程44に移行する前に予備乾燥工程43を設
けているのは、電池缶1の付近の雰囲気温度が急激に変
化するのを防止し、高周波誘導加熱装置10で効率よく
電池缶1を乾燥させるためである。なお、予備乾燥工程
43は温められた乾燥空気を電池缶1に送風している
が、この送風の経路には鉄製パイプ43bが使用され、
この鉄製パイプ43bには加熱コイル43aが巻かれて
おり、この鉄製パイプ43bを高周波誘導加熱により加
熱することにより、乾燥空気を間接的に加熱することに
より温風を作り出す工法が取られている。これにより、
熱効率が向上し、均一な温風を得ることができ、生産設
備のコンパクト化も図れる。
【0023】乾燥工程44にはマグネットコンベア40
bと高周波誘導加熱装置10とからなる。マグネットコ
ンベア40bは電池缶1を磁石によって固定しつつ搬送
するものであり、電池缶1の開口部2から出る水分を排
出できるように金網構造となっている。そして、電池缶
1はその開口部2が下方に向くようにそのマグネットコ
ンベア40bの上に載置されている。
【0024】高周波誘導加熱装置10は図1〜図3に示
すように、加熱コイル11とコイル支持体12と外装ケ
ース13と固定部14とからなる。加熱コイル11は図
3(A)のように導線からなるコイルエレメント11d
を中空同心楕円形状に複数積層し、その楕円の長軸を対
称軸として図3(B)のようにコの字型に折り曲げた形
状をしている。そして、1対の並行コイル部11aと、
これらを両端部で接続する1対の接続コイル部11bを
構成しており、交番電流を加熱コイル11に流すため
に、端子部11cを高周波電流発生装置に接続する。そ
して、横断面略コの字型をし、電池缶1を搬送させるた
めの搬送空間18を備えたガラス繊維製のコイル支持体
12の表面にこの加熱コイル11を図3(C)のように
巻着し、ガラス繊維製の外装ケース13をこの上から被
嵌する。そして、コイル支持体12の下方延長部に形成
された固定部14をボルト等によって装置フレーム19
に固定することにより、高周波誘導加熱装置10を電池
缶1の乾燥工程44に配置できることになる。ここでコ
イル支持体12と外装ケース13にガラス繊維を用いた
のは加熱コイル11による交番磁界の影響を殆ど受ける
ことがなく、その発熱を防止できるからである。
【0025】次に、この高周波誘導加熱装置10による
電池缶1の乾燥方法を図1及び図2を用いて詳述する。
【0026】高周波誘導加熱装置10に高周波交電流を
流すと1対の並行コイル部11a及び接続コイル部11
bに交番磁界が電池缶1の搬送方向に対し垂直な方向に
発生する。そして高周波誘導加熱装置10に電池缶1が
搬入されると、導電体である電池缶1がその交番磁界内
に入ることになり、電磁誘導により、電池缶1に電圧が
誘起され、交番磁界の方向に垂直な方向に、つまり図2
の矢印で示す方向に電池缶1の全長にわたり誘導電流が
流れる。そしてこの誘導電流が渦電流であり、本実施形
態のように電池缶1の搬送路40に並行コイル部11a
が延びているため、図2のようにその渦電流は電池缶1
の円周方向に閉回路を構成することになる。そこで最適
な周波数を選択して高周波電流を高周波誘導加熱装置1
0に流すと、その閉回路には強い渦電流が流れることに
なり電池缶1に多量のジュール熱が発生し、またその表
皮効果により電池缶1の表面付近が急速に発熱する。こ
のような高周波誘導加熱により電池缶1の表面に付着し
ていた水分を急激に加熱でき、水分は急沸騰しその表面
張力によって水分は球状の水滴となり電池缶1の表面か
ら弾かれるように自然落下していき、開口部2から排出
される。このため、電池缶1に付着していた水分を急速
に乾燥することができるようになる。この高周波誘導加
熱によると電池缶1自体が発熱するために、電池缶を熱
風等によって間接的に加熱するのに比較して熱効率が著
しく優れており、かつ短時間で乾燥を終了させることが
可能である。
【0027】本実施形態では、高周波誘導加熱装置10
の加熱コイル11における並行コイル部11aが電池缶
1の搬送方向に延びているため複数個の電池缶1を同時
にかつ均一に加熱することが可能であり、また電池缶1
を停止させることなくマグネットコンベア40bによっ
て搬送させながら連続的に乾燥させることが可能とな
る。これによって、生産性の向上が図れる。そして、図
4では高周波誘導加熱装置10が1機のみ設けてある
が、前記の形状により高周波誘導加熱装置10を数台直
列に連続して設けることも可能であり、これによって、
電池缶1を確実に乾燥させながら電池缶1の搬送速度を
上げることができるため、さらに生産性の向上を図るこ
とが出来る。
【0028】また高周波誘導加熱装置10の並行コイル
部11aは電池缶1の全長にわたってコイルエレメント
11cを積層してもよいが、図1のように電池缶1の一
部分であっても、磁界の性質からして交番磁界が発生し
ている範囲に電池缶1がある限り、電池缶1を十分乾燥
させることが可能である。このため、加熱コイル11中
の導線を節約でき設備のコスト削減も図ることができ
る。
【0029】また図1、図2に示すように電池缶1の開
口部2が真下を向くようにして電池缶1を乾燥させる場
合に限定されず、前記開口部2が斜下を向くようにし
て、電池缶1を乾燥させる場合も、本発明の範囲に含ま
れる。
【0030】さらに、以上は丸形の電池缶の乾燥方法に
ついて説明したが、他の有底金属缶の乾燥方法、例えば
角形の電池缶、有底金属缶でできたケース等の乾燥方法
にも利用できるものであることはいうまでもない。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、高周波誘導加熱装置に
よって有底金属缶自身を瞬時に発熱させることによっ
て、有底金属缶の表面に付着した水分の大部分を水滴化
して、開口部から排出することが容易となり、前記水分
を蒸発させることと併せて短時間の内に有底金属缶を乾
燥させることができる。
【0032】この乾燥方法によれば、従来の間接的な加
熱方法に比較して、熱効率が格段に向上し、省エネルギ
化を図ることができる。
【0033】特に、電池缶のように小さな有底金属缶の
乾燥方法として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である高周波誘導加熱装置の
斜視図である。
【図2】その高周波誘導加熱装置及びその中にある電池
缶の縦断面図である。
【図3】本発明の加熱コイルを示し、(A)は加熱コイ
ルの積層状態を示す平面図、(B)はその折り曲げ形状
を示す斜視図、(C)はコイル支持体にその加熱コイル
を巻着した状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態における電池缶の洗浄から乾燥まで
の工程を示す。
【符号の説明】
1 電池缶 2 開口部 10 高周波誘導加熱装置 11 加熱コイル 11a 並行コイル部 11b 接続コイル部 11d コイルエレメント
フロントページの続き (72)発明者 合田 佳生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底金属缶の開口部を下方に向け、高周
    波誘導加熱装置内を通過またはその装置内に保持させる
    ことによって、有底金属缶を乾燥することを特徴とする
    有底金属缶乾燥方法。
  2. 【請求項2】 高周波誘導加熱装置は、有底金属缶の周
    方向に電流を誘導するものである請求項1記載の有底金
    属缶乾燥方法。
  3. 【請求項3】 高周波誘導加熱装置は、有底金属缶を連
    続的に搬送する搬送手段と、有底金属缶の搬送路の両側
    に搬送方向に沿って延びる1対の並行コイル部及び両並
    行コイル部を接続する1対の接続コイル部とを備えた加
    熱コイル部とを有する請求項1または2記載の有底金属
    缶乾燥方法。
  4. 【請求項4】 高周波誘導加熱装置の並行コイル部は、
    複数のコイルエレメントからなり、このコイルエレメン
    トが搬送路に対し垂直方向に積層されてなる請求項3記
    載の有底金属缶乾燥方法。
  5. 【請求項5】 有底金属缶を電池缶とした請求項1から
    4のいずれかに記載の有底金属缶乾燥方法。
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