JP3338278B2 - 薄い金属シート材の加熱装置 - Google Patents

薄い金属シート材の加熱装置

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JP3338278B2
JP3338278B2 JP05483596A JP5483596A JP3338278B2 JP 3338278 B2 JP3338278 B2 JP 3338278B2 JP 05483596 A JP05483596 A JP 05483596A JP 5483596 A JP5483596 A JP 5483596A JP 3338278 B2 JP3338278 B2 JP 3338278B2
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薫 沖永
圭介 松倉
智久 鈴木
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  • General Induction Heating (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として電池用電
極体の正,負極板のような薄い金属シート材を乾燥の目
的などで加熱するための加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ニカド電池などの電極体となる
正,負極板は、薄い帯状の金網状金属板からなるスポン
ジメタル極板に正,負極活物質をスラリ状にして塗布す
ることにより、この活物質をスポンジメタル極板の網目
内に浸透させて充填した構成になっている。このように
して形成された極板は、スラリ状とされた活物質が水分
を含んでいるため、乾燥するために加熱する必要があ
る。
【0003】従来から、乾燥のための一般的な加熱手段
として、熱風加熱方式および赤外線加熱方式が採用され
ている。熱風加熱方式は、シーズヒータなどを熱源と
し、乾燥ファンを設けて熱風を吹き付けるもので、温度
コントロールが容易であることから、めっきの乾燥など
に適している。しかし、この熱風加熱方式を電池の正,
負極板の乾燥のための加熱に用いると、スラリ状の活物
質が乾燥されて粉体となった時に熱風により飛散する不
都合が起こり、しかも、熱源が発生する熱を伝達する間
接加熱であるため、エネルギー効率上、優れた加熱方法
ではなく、乾燥に時間がかかって生産性が悪く、さら
に、その装置も大掛かりなものとなり、好ましいもので
はない。
【0004】一方、赤外線加熱方式は、急速加熱できる
ことから生産性を上げることができる利点を有するが、
電池の正,負極板の乾燥に用いた場合には、やはり間接
的な加熱であることから高品質な乾燥状態を得ることが
できず、しかも、消費電力が格段に大きい欠点がある。
さらに、始動時に相当の予熱時間を必要として立ち上が
りが遅く、また、機械が故障した場合や、被加熱物が無
くなって次の被加熱物に交換する場合には、加熱室内が
冷えるまで待たなければならず、メンテナンス性が悪い
欠点がある。また、加熱室を密閉状態にする必要がある
などの欠点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の熱風加熱方式お
よび赤外線加熱方式がそれぞれ有する欠点を一挙に解消
できる加熱方式として、塗料の焼き付け乾燥などに採用
されている高周波誘導加熱を利用することが考えられ
る。すなわち、この加熱方式では、正,負極板自体を発
熱させて直接加熱することができるから、比較的簡単な
構成で迅速に加熱でき、メンテナンスも容易である。そ
のような加熱装置は、図5に示すように、単一の導電性
線体を渦巻き状に巻回してなる電磁誘導用コイル2を有
する高周波誘導加熱装置1と、薄い金属シート材である
電池用極板3を電磁誘導用コイル2に対し近接した所定
の間隔で且つ平行に通過させながら連続的に移送させる
シート材供給手段(図示せず)とにより構成とすること
ができる。高周波誘導加熱装置1は、上記の電磁誘導用
コイル2と、この電磁誘導用コイル2に高周波電流を供
給するための高周波電流発生装置4と、ガラス繊維製の
コイル支持体7とを備えている。
【0006】コイル支持体7の表面に載置固定した電磁
誘導用コイル2に高周波電流発生装置4から高周波電流
を供給すると、この電磁誘導用コイル2に交番磁界が発
生し、連続的に移送される極板3における電磁誘導用コ
イル2に対面した部分では、電磁誘導により電圧が誘起
されて、誘導電流(渦電流)が流れて発熱する。
【0007】ところで、高周波誘導加熱装置1に電磁誘
導用として用いられるコイル2は、外周部分に高い磁束
密度を持ち、且つ中心部に向かうにしたがって磁束密度
が低くなっていく磁界を発生させるエッジ効果を有す
る。そのため、例えば厚い鉄板などを加熱する場合に
は、鉄の優れた熱伝導性によって全体がほぼ均等に加熱
されるが、電池の正,負極板3の乾燥に用いる場合に
は、この極板3が薄くて熱伝導性が極めて悪いスポンジ
メタル極板からなるために、極端な加熱ムラが生じる。
【0008】図5に示した加熱装置1により電池用極板
3を加熱した実験結果を以下に説明する。加熱装置を、
図5に示した電磁誘導用コイル2を矢印で示した被加熱
体の移送方向に沿って12個並べて構成した。これら電
磁誘導用コイル2の被加熱体の移送方向に沿った配列長
さは3mとなった。各電磁誘導用コイル2は周波数が1
3.8〜15kHzで電力が9〜10kVAの高周波電
力を高周波電力発生装置4から供給することにより駆動
した。一方、被加熱体として幅が110mmで厚さが2
mmの発砲状金属シートを100mm/secの走行速
度で連続的に移送させた。すなわち、被加熱体を30s
ecの時間だけコイル2により連続的に加熱した。その
加熱直後において、コイル2中央部のA点、中間部のB
点および周辺部のC点をそれぞれ通過した被加熱体の各
部位の温度を測定したところ、A点が55℃、B点が8
0℃、C点が130℃であった。
【0009】このように、被加熱体には、コイル2特有
のエッジ効果によって中央部から周辺部にかけて温度が
徐々に高くなる極端な温度ムラが生じた。そのため、電
池用正,負極板3の乾燥に用いた場合には、極板3の中
央部の乾燥が不十分であるとともに、その周辺部分では
電流が集中して流れることによって焦げるような状態と
なり、高品質な電極体を得られない問題が生じる。
【0010】そこで、複数個の電磁誘導用コイル2を、
エッジ効果を相殺して被加熱物に対して上述のような乾
燥ムラが生じないように組み合わせて配置することも考
えられる。しかし、そのように配置すると、各電磁誘導
用コイル2に高周波電流を供給するための発振回路が互
いに干渉しあって悪影響が発生するので、採用すること
ができない。もしも、この電磁誘導用コイル2のエッジ
効果による悪影響を除外して高周波誘導加熱により正,
負極板3の全体を均等に加熱できれば、従来の加熱方式
が有する種々の欠点を一挙に解消できる顕著な効果を得
られる筈である。
【0011】そこで本発明は、急速に乾燥しながらも高
品質な乾燥状態を得ることができるとともに、大幅な節
電を達成でき、しかも、メンテナンスが容易であるなど
の種々の利点を有する薄い金属シート材の加熱装置を提
供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の薄い金属シート材の加熱装置は、電池用電
極体の正,負極板などの薄い金属シート材を加熱する装
置において、単一の導電性線体を渦巻き状に巻回してな
る電磁誘導用コイルを有する高周波誘導加熱装置と、前
記金属シート材を前記電磁誘導用コイルに対し所定の位
置関係で対面する近接箇所を通過させながら連続的に移
送または前記近接位置に所定時間の間保持するシート材
供給手段とを備え、前記電磁誘導用コイルが、前記近接
位置に対面された前記金属シート材における全面に対し
均等な磁束密度を持つ磁界を発生させる形状に巻回され
ている 上記発明によれば、電磁誘導用コイルが、近接して所定
位置に対面された金属シート材における全面に対し均等
な磁束密度を持つ磁界を発生させるので、例えば、薄く
て熱伝導性の悪い電池用正,負極板の乾燥に用いた場
合、これら極板を、その全体にわたりほぼ均等に渦電流
を発生させて発熱させることができ、乾燥ムラが生じな
いよう高品質に乾燥させることができる。しかも、被加
熱物自体を発熱させて直接加熱するので、短時間で乾燥
させることができる。さらに、赤外線加熱方式に比較し
て、消費電力が大幅に減少して大きな節電効果を得ら
れ、メンテナンスが格段に容易となり、且つ即座に起動
させることができる等の種々の効果を得られる。
【0013】上記発明において、電磁誘導用コイルを、
単一の導電性線体が同一平面上に渦巻き状に巻回してな
り、且つその巻回密度が渦巻きの中央部から周辺部に向
けて徐々に低くなるよう設定されている形状とすること
ができる。
【0014】それにより、上記発明における電磁誘導用
コイル、つまり近接して位置する薄い金属シート材に対
しその全体にわたり均等な磁束密度を持つ磁界を発生さ
せることのできる電磁誘導用コイルを容易に得ることが
できる。すなわち、電磁誘導用コイルは、その中央部の
巻線の密度が高いことから、中央部に多くの渦電流が流
れ、周辺に向かって巻線の密度が徐々に低くなっていく
のにしたがって流れる電流量も減少していく。したがっ
て、電磁誘導用コイルの中央部から周辺部に向かって徐
々に減少する電流量の大小とコイル自体が有するエッジ
効果による磁束密度の疎密とが互いに打ち消しあう結
果、この電磁誘導用コイルは、近接して位置する金属シ
ート材における全面に対し均等な磁束密度を持つ磁界を
発生させることができる。
【0015】また、上記発明において、電磁誘導用コイ
ルを、平面上に渦巻き状に巻回されてなる巻数が互いに
異なる複数のコイルエレメント部が同心状の配置で、且
つ金属シート材に向かう方向に積層されると共に積層数
が中央部から周辺部に向けて順次少なくなる形状に単一
の導電性線体を巻回して形成することができる。
【0016】それによっても、上記発明における電磁誘
導用コイル、つまり近接して位置する薄い金属シート材
に対しその全体にわたり均等な磁束密度を持つ磁界を発
生させることのできる電磁誘導用コイルを容易に得るこ
とができる。すなわち、電磁誘導用コイルは、中央部が
最も多層になって巻線の密度が高いことから、中央部に
最も多くの渦電流が流れるとともに、周辺に向かって積
層数が減少して巻線の密度が徐々に低くなっていくの
で、周辺に向かうにしたがって流れる渦電流も減少して
いく。したがって、電磁誘導用コイルの中央部から周辺
部に向かって徐々に減少する電流量の大小とコイル自体
が有するエッジ効果による磁束密度の疎密とが互いに打
ち消しあう結果、この電磁誘導用コイルは、近接して位
置する金属シート材における全面に対し均等な磁束密度
を持つ磁界を発生させることができる。
【0017】また、上記発明において、電磁誘導用コイ
ルを、単一の導電性線体が一定間隔で渦巻き状に巻回さ
れてなり、且つ前記導電性線体が1周する巻きターン部
が渦巻きの中央部から周辺部にいくにしたがって金属シ
ート材から徐々に離間する方向の位置に配された形状に
形成することもできる。
【0018】それによっても、上記発明における電磁誘
導用コイル、つまり近接して位置する薄い金属シート材
に対しその全体にわたり均等な磁束密度を持つ磁界を発
生させることのできる電磁誘導用コイルを容易に得るこ
とができる。すなわち、電磁誘導用コイルの中央部に
は、その巻きターン部が最も金属シート材に近接して位
置することから、金属シート材に対し磁界が強く作用
し、周辺に向かうにしたがって巻きターン部が金属シー
ト材から徐々に離間する位置に配されるので、それらの
巻きターン部により発生する磁界が周辺にいくにしたが
って金属シート材へ作用する強度が低下していく。した
がって、電磁誘導用コイルの中央部から周辺部に向かっ
て徐々に減少する磁界の金属シート材に対する強度とコ
イル自体が有するエッジ効果による磁束密度の疎密が互
いに打ち消しあう結果、この電磁誘導用コイルは、近接
して位置する金属シート材における全面に対し均等な磁
束密度を持つ磁界を発生させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明
の一実施の形態に係る薄い金属シート材の加熱装置を示
す要部の斜視図、図2はその概略側面図である。図2に
は、被加熱物である薄い金属シート材としての電池用電
極体の正,または負の極板3を加熱して乾燥する工程に
適用した場合を例示してある。
【0020】上記加熱装置は、単一の導電性線体を渦巻
き状に巻回してなる電磁誘導用コイル11を有する高周
波誘導加熱装置10と、薄い金属シート材である電池用
極板3を電磁誘導用コイル11に対し近接した所定の間
隔で且つ平行に通過させながら連続的に移送させるシー
ト材供給手段12とを備えている。高周波誘導加熱装置
10は、上記の電磁誘導用コイル11と、この電磁誘導
用コイル11に高周波電流を供給するための高周波電流
発生装置4と、ガラス繊維製のコイル支持体7とを備え
ている。コイル支持体7の表面に電磁誘導用コイル11
を載置固定するとともに、このコイル支持体7の下方延
長部に形成された固定部8をボルトなどによって装置フ
レーム9に固定することにより、高周波誘導加熱装置1
0を電池用電極体の正,負極板3の乾燥工程に配置でき
るようになっている。なお、コイル支持体7にガラス繊
維を用いたのは電磁誘導用コイル11による交番磁界の
影響を殆ど受けることなく、その発熱を防止できるから
である。
【0021】電池用の極板3は、供給リール13に巻回
された薄い帯状の金網状金属板からなるスポンジメタル
極板14が巻き取りリール17の回転により繰り出され
るとともに、このスポンジメタル極板14に活物質充填
装置18によりスラリ状の正極または負極の活物質が塗
布されて形成される。活物質充填装置18は、活物質を
スポンジメタル極板14に対し吐出するディスペンサノ
ズル19と、供給リール13から繰り出されたスポンジ
メタル極板14をディスペンサノズル19の近接位置に
案内する塗布ローラ20と、スポンジメタル極板14を
塗布ローラ20に巻き付いて走行するように走行方向を
転換させる一対のガイドローラ21,22と、ディスペ
ンサノズル19からスポンジメタル極板14へ塗布され
た活物質を均一化する均等板23とにより構成されてい
る。スポンジメタル極板14が活物質充填装置18を通
過して形成された極板3は、活物質が水分を含んでいる
から、シート材移送手段12を構成する供給リール13
と巻き取りリール17とにより、張られた状態で電磁誘
導用コイル11に対し所定の間隔で近接し、且つ平行と
なる加熱位置を通過される。
【0022】本発明の要旨とする構成として、電磁誘導
用コイル11が、図1に明示するように、単一の導電性
線体を同一平面上において極板3の幅よりも僅かに大き
な幅を有する矩形形状の渦巻きに巻回するとともに、そ
の巻回密度が渦巻きの中央部から周辺部に向けて徐々に
低くなるよう設定されている。つまり、電磁誘導用コイ
ル11は、移送されて近接位置に対面される極板3の全
面に対し均等な磁束密度を持つ磁界を発生できるよう
に、巻回間隔が渦巻きの中央部から周辺部に向けて徐々
に大きくなるよう設定して巻回されている。
【0023】次に、上記加熱装置の作用について説明す
る。電磁誘導用コイル11に高周波電流発生装置4から
高周波電流を供給すると、この電磁誘導用コイル11に
交番磁界が極板3の移送方向に対し垂直な方向に発生す
る。連続的に移送される極板3における電磁誘導用コイ
ル11に対面した部分では、電磁誘導により電圧が誘起
されて、交番磁界の方向に直交する方向に誘導電流(渦
電流)が流れ、極板3の抵抗によって多量のジュール熱
が発生して発熱する。このジュール熱は渦電流によって
発生し、流れる渦電流は磁束密度に比例する。
【0024】ここで、電磁誘導用コイル11は、その中
央部に巻線の密度が高いことから多くの渦電流が流れ、
周辺に向かって巻線の密度が徐々に低くなっていくのに
したがって流れる渦電流も減少していく。したがって、
電磁誘導用コイル11の中央部から周辺部に向かって徐
々に減少する電流量の大小と電磁誘導用コイル2自体が
有するエッジ効果による磁束密度の疎密とが互いに打ち
消しあう。それにより、この電磁誘導用コイル11は、
極板3における近接して対面する部分の全面に対し均等
な磁束密度を持つ磁界を発生させることになる。
【0025】図5で説明したのと同一の実験条件におい
て、上記の加熱装置10により電池用極板3を加熱した
実験結果を以下に説明する。すなわち、電磁誘導用コイ
ル11を3mの距離内に28個並べて、これらの電磁誘
導用コイル11には周波数が13.8〜15kHzで電
力が9〜10kVAの高周波電力を供給し、被加熱体と
して幅が110mmで厚さが2mmの発砲状金属シート
を100mm/secの走行速度で連続的に移送させ
て、被加熱体を30secの時間だけコイル11により
連続的に加熱した。その加熱直後において、コイル11
中央部のA点、中間部のB点および周辺部のC点をそれ
ぞれ通過した被加熱体の各部位の温度を測定したとこ
ろ、A点が60℃、B点が70℃、C点が75℃であっ
た。
【0026】この実験結果から明らかなように、被加熱
体には、その全面にわたりほぼ均等な発熱が生じた。し
たがって、被加熱体として極板3を用いた場合にも、極
板3はその全体をほぼ均等に高周波誘導加熱されること
になる。この加熱により、活物質に含まれている水分
は、急激に加熱されて急沸騰し、その表面張力により球
状の水滴となって極板3の表面から弾かれるように自然
落下し、極板3から除外される。このため、極板3を、
その全体を乾燥ムラが生じないよう高品質に急速に乾燥
することができるとともに、高周波誘導加熱によって極
板3自体が発熱することから、熱風などによって間接的
に加熱するのに比較して熱効率が優れており、短短時間
で乾燥を終了させることができる。それに伴って、シー
ト材移送手段12による極板3の移送速度を高めること
ができ、電池用電極体の高速生産が可能となる。
【0027】また、従来の赤外線加熱では60kw程度
であるのに対して、この高周波誘導加熱方式では、10
kw程度であって、消費電力が赤外線加熱方式に比較し
て1/6程度に減少し、大きな節電効果を得ることがで
きる。しかも、赤外線乾燥方式に比較して、メンテナン
スが極めて容易となり、予熱などが不要であることから
即座に稼働することができ、さらに、極板3の加熱箇所
を密閉式の加熱室にする必要がない。また、活物質は乾
燥されても熱風乾燥方式のように飛散することがない等
の種々の効果を得られる。
【0028】なお、上記の実施の形態では、電磁誘導用
コイル11を、その巻き間隔が渦巻きの中央部から周辺
に向けて徐々に大きくなるよう巻回した場合について説
明したが、これに限らない。すなわち、電磁誘導用コイ
ル11は、要するに極板3における近接位置に対面され
た部分の全面に対し均等な磁束密度を持つ磁界を発生さ
せる形状に巻回すればよく、例えば、導電性線体を平面
上に互いに密接させながら渦巻き状に巻回するととも
に、所定本数毎に間隙を設けるようにし、その所定本数
を渦巻きの中央部から周辺に向けて徐々に少なくなるよ
う巻回した形状としても、上記と同等の効果を得ること
ができる。
【0029】さらに、異なる形状の電磁誘導用コイルを
用いることができる。すなわち、図3に示すように、電
磁誘導用コイル31を、平面上に渦巻き状に巻回されて
なる巻数が互いに異なる複数のコイルエレメント部31
aが同心状の配置で、且つ極板3に向かう方向に積層さ
れると共に積層数が中央部から周辺部に向けて順次少な
くなる形状に単一の導電性線体を巻回した形状に形成し
てもよい。この電磁誘導用コイル31は、中央部が最も
多層になって巻線の密度が高いことから、中央部に最も
多くの渦電流が流れるとともに、周辺に向かって積層数
が減少して巻線の密度が徐々に低くなっていくので、周
辺に向かうにしたがって流れる渦電流も減少していく。
したがって、この電磁誘導用コイル31を用いた高周波
誘導加熱装置30においても、上記の実施の形態のもの
と全く同様の効果を得ることができる。
【0030】さらに、図4に示すように、電磁誘導用コ
イル41を、単一の導電性線体を一定間隔で渦巻き状に
巻回してなり、且つ導電性線体が1周する巻きターン部
41aが渦巻きの中央部から周辺部にいくにしたがって
極板3から徐々に離間する方向に位置に配された形状に
形成してもよい。ここで、各巻きターン部41aはモー
ルド樹脂24により被覆されて保形されている。この電
磁誘導用コイル41の中央部に発生する磁界は、その巻
きターン部41aが最も極板3に近接して位置すること
から、極板3に対し最も強く作用し、周辺に向かうにし
たがって巻きターン部41aが極板3からから徐々に離
間する位置に配されるので、それらの巻きターン部41
aにより発生する磁界は、周辺へいくにしたがって極板
3へ作用する強度が低下していく。したがって、この電
磁誘導用コイル41を用いた高周波誘導加熱装置40
は、電磁誘導用コイル41の中央部から周辺部に向かっ
て徐々に減少する磁界の極板3対する作用力と電磁誘導
用コイル41自体が有するエッジ効果による磁束密度の
疎密とが互いに打ち消しあう。そのため、この電磁誘導
用コイル41も近接して位置する極板3における全面に
対し渦電流を均等に発生させることができ、上記の各実
施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】なお、上記の三つの各実施の形態の各々の
構成を全て或いは二つを適宜組み合わせた形状の電磁誘
導用コイルを設ければ、極板3における全面に対して磁
束密度がさらに精密に均等分布するような磁界を発生さ
せることができる。また、上記実施の形態では、薄い金
属シート材として電池用極板3を加熱する場合について
説明したが、他の薄くて熱伝導性の悪い金属シート材の
加熱にも適用することができる。
【0032】さらに、上記の各実施の形態では、薄い帯
状の金属シート材をシート材移送手段12により電磁誘
導用コイル11,31,41に対し連続的に移送する場
合について説明したが、単一の薄い金属シートを、間欠
的に電磁誘導用コイル11,31,41に供給して乾燥
するまで対面保持させるようにしてもよい。その場合の
電磁誘導用コイルは、上記実施の形態のように金属シー
ト材の幅に相当する幅を有する矩形状に巻回した形状と
する必要がなく、被加熱物の形状が例えば円形である場
合には、円形状に巻回した形状とできる。さらにまた、
上記実施の形態では、乾燥を目的とした加熱について説
明したが、他の目的のための加熱にも適用できるのは勿
論である。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明の薄い金属シート材
の加熱装置によれば、電磁誘導用コイルを、近接して所
定位置に対面された金属シート材における全面に対し均
等な磁束密度を持つ磁界を発生させる構成としたので、
薄くて熱伝導性の悪い金属板シートの全体にわたりほぼ
均等に渦電流を発生させて発熱させることができ例え
ば、金属シート材の乾燥を行う場合、金属シート材を乾
燥ムラが生じないように高品質に乾燥させることがで
き、しかも、被加熱物自体を発熱させて直接加熱するの
で、短時間で乾燥させることができ、大きな節電効果を
得られる。さらに、メンテナンスを容易に行えるととも
に、即座に稼働させることができる等の効果があり、従
来の温風加熱方式および赤外線加熱方式が有している欠
点を一挙に解消した加熱を行える。
【0034】また、近接して位置する薄い金属シート材
に対しその全体にわたり均等な磁束密度を持つ磁界を発
生させる電磁誘導用コイルは、以下のような構成とする
ことにより容易に得られる。
【0035】すなわち、電磁誘導用コイルを、単一の導
電性線体が同一平面上に渦巻き状に巻回してなり、且つ
その巻回密度が渦巻きの中央部から周辺部に向けて徐々
に低くなるよう設定されている形状とする。
【0036】または、電磁誘導用コイルを、平面上に渦
巻き状に巻回されてなる巻数が互いに異なる複数のコイ
ルエレメント部が同心状の配置で、且つ金属シート材に
向かう方向に積層されると共に積層数が中央部から周辺
部に向けて順次少なくなる形状に単一の導電性線体を巻
回して形成する。
【0037】或いは、電磁誘導用コイルを、単一の導電
性線体が一定間隔で渦巻き状に巻回されてなり、且つ前
記導電性線体が1周する巻きターン部が渦巻きの中央部
から周辺部にいくにしたがって金属シート材から徐々に
離間する方向に位置に配された形状に形成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る薄い金属シート材
の加熱装置を示す要部の斜視図。
【図2】同上の概略側面図。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る薄い金属シート
材の加熱装置を示す縦断面図。
【図4】本発明のさらに他の実施の形態に係る薄い金属
シート材の加熱装置を示す縦断面図。
【図5】従来の高周波誘導加熱を利用した加熱装置の斜
視図。
【符号の説明】
3 極板(薄い金属シート材) 10,30,40 高周波誘導加熱装置 11,31,41 電磁誘導用コイル 12 シート材移送手段 31a コイルエレメント部 41a 巻きターン部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖永 薫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 松倉 圭介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 鈴木 智久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 北川 賀津典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−221986(JP,A) 特開 昭55−154092(JP,A) 実開 昭62−43492(JP,U) 実開 昭62−43493(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/10 H05B 6/36 H01M 4/04 H05B 6/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池用電極体の正,負極板などの薄い金
    属シート材を加熱する装置において、 単一の導電性線体を渦巻き状に巻回してなる電磁誘導用
    コイルを有する高周波誘導加熱装置と、 前記金属シート材を前記電磁誘導用コイルに対し所定の
    位置関係で対面する近接箇所を通過させながら連続的に
    移送または前記近接位置に所定時間の間保持するシート
    材供給手段とを備え、 前記電磁誘導用コイルが、前記近接位置に対面された前
    記金属シート材における全面に対し均等な磁束密度を持
    つ磁界を発生させるため、単一の導電性線体を同一平面
    上に渦巻き状に巻回してなり、且つその巻回密度が渦巻
    きの中央部から周辺部に向けて徐々に低くなるよう設定
    されている薄い金属シート材の加熱装置。
  2. 【請求項2】 電池用電極体の正,負極板などの薄い金
    属シート材を加熱する装置において、 単一の導電性線体を渦巻き状に巻回してなる電磁誘導用
    コイルを有する高周波誘導加熱装置と、 前記金属シート材を前記電磁誘導用コイルに対し所定の
    位置関係で対面する近接箇所を通過させながら連続的に
    移送または前記近接位置に所定時間の間保持するシート
    材供給手段とを備え、 前記電磁誘導用コイルが、前記近接位置に対面された前
    記金属シート材における全面に対し均等な磁束密度を持
    つ磁界を発生させるため、 平面上に渦巻き状に巻回され
    てなる巻数が互いに異なる複数のコイルエレメント部が
    同心状の配置で、且つ金属シート材に向かう方向に積層
    されると共に積層数が中央部から周辺部に向けて順次少
    なくなる形状に単一の導電性線体を巻回して形成されて
    なる薄い金属シート材の加熱装置。
  3. 【請求項3】 電池用電極体の正,負極板などの薄い金
    属シート材を加熱する装置において、 単一の導電性線体を渦巻き状に巻回してなる電磁誘導用
    コイルを有する高周波 誘導加熱装置と、 前記金属シート材を前記電磁誘導用コイルに対し所定の
    位置関係で対面する近接箇所を通過させながら連続的に
    移送または前記近接位置に所定時間の間保持するシート
    材供給手段とを備え、 前記電磁誘導用コイルが、前記近接位置に対面された前
    記金属シート材における全面に対し均等な磁束密度を持
    つ磁界を発生させるため、 単一の導電性線体を一定間隔
    で渦巻き状に巻回してなり、且つ前記導電性線体が1周
    する巻きターン部が渦巻きの中央部から周辺部にいくに
    したがって金属シート材から徐々に離間する方向の位置
    に配された形状に形成されてなる薄い金属シート材の加
    熱装置。
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