WO2024024670A1 - トランスバース方式の誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
1つのスロット(1121a、1121b、1221a、1221b)に、第1銅パイプ(1111a~1111f、1211a~1211f)と、第2銅パイプ(1111g、1111h、1211g、1211h)と、が配置される。1つのスロットにおける加熱長方向の各位置(各y座標)において、第1銅パイプは、最も導体板Mに近い位置にある。1つのスロットにおいて、第2銅パイプは、少なくとも1つの第1銅パイプより導体板Mから近い位置にある。1つのスロットには、第1銅パイプに電気的に直列に接続される第2銅パイプが少なくとも1つある。
Description
本発明は、トランスバース方式の誘導加熱装置に関する。本願は、2022年7月29日に日本に出願された特願2022-121529号に基づき優先権を主張し、その内容を全てここに援用する。
導体板を加熱する装置として誘導加熱装置がある。誘導加熱装置は、コイルを有する。誘導加熱装置のコイルから交番磁界(交流磁界)が発生する。当該交番磁界により導体板に渦電流が誘起される。当該渦電流に基づくジュール熱により当該導体板は加熱される。このような誘導加熱装置としてトランスバース方式の誘導加熱装置がある。トランスバース方式の誘導加熱装置は、導体板に交番磁界を略垂直(好ましくは垂直)に交差させることによって当該導体板に渦電流を誘起させる。
トランスバース方式の誘導加熱装置として、特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1には、上側のコイルおよび下側のコイルの幅が、それぞれ上側のコイルと下側のコイルとの間隔以上であるトランスバース方式の誘導加熱装置が開示されている。ここで、コイルの幅は、加熱対象の導体板の搬送方向におけるコイルの長さである。
特許文献1には、上側のコイルおよび下側のコイルの幅が、それぞれ上側のコイルと下側のコイルとの間隔以上であるトランスバース方式の誘導加熱装置が開示されている。ここで、コイルの幅は、加熱対象の導体板の搬送方向におけるコイルの長さである。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、誘導加熱装置の加熱能力を大きくするためにコイルのターン数(巻回数)を多くする場合、加熱対象の導体板の搬送方向にコイルを巻き回すことが記載されている。したがって、特許文献1に記載の技術では、誘導加熱装置の加熱能力を大きくする場合、加熱対象の導体板の搬送方向における誘導加熱装置の長さ(コイルの幅、スロットの幅)を長くする必要がある。よって、特許文献1に記載の技術では、加熱対象の導体板の熱容量が大容量になることで誘導加熱装置の加熱能力を大きくすることに比例して、加熱対象の導体板の搬送方向における誘導加熱装置の長さが長くなる(なお、加熱能力はコイルに流れる交流電流の2乗に比例するものであるとする)。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、導体板の搬送方向における長さが長くなることを抑制しつつ、導体板の加熱に必要な加熱能力を確保することができるトランスバース方式の誘導加熱装置を提供することを目的とする。
本発明のトランスバース方式の誘導加熱装置は、導体板を間に挟んで相互に対向するように配置された上側誘導器および下側誘導器を有し、前記導体板の板面に交番磁界を交差させることによって当該導体板を誘導加熱するトランスバース方式の誘導加熱装置であって、前記上側誘導器および前記下側誘導器のそれぞれは、コイルと、コアとを有し、前記コイルのターン数は、2以上であり、前記コアは、前記コイルが配置される空間であるスロットを有し、前記コイルは、相互に電気的に接続された複数の導体部を有し、前記導体部は、少なくとも1つの第1導体部と、少なくとも1つの第2導体部と、を有し、前記第1導体部は、1つの前記スロットにおける加熱長方向の各位置において最も前記導体板に近い位置にある前記導体部であり、前記第2導体部は、1つの前記スロットにおいて、少なくとも1つの前記第1導体部よりも前記導体板から遠い位置に配置される前記導体部であり、1つの前記スロットにおいて、少なくとも1つの前記第1導体部の加熱長方向の位置の少なくとも一部と、少なくとも1つの前記第2導体部の加熱長方向の位置の少なくとも一部と、は相互に重複し、前記加熱長方向は、前記導体板の搬送方向に平行な方向であり、1つの前記スロットには、前記第1導体部に電気的に直列に接続される前記第2導体部が少なくとも1つある。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
なお、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、各図において、説明および表記の都合上、説明に必要な部分のみを、必要に応じて簡略化して示す。また、各図において、x-y-z座標は、各図における向きの関係を示す。白丸(○)の中にクロスマーク(×)が付されている記号は、紙面の手前側から奥側に向かう方向が正の方向である軸であることを示す。また、本実施形態では、x-y平面が水平面であり、z軸方向が高さ方向である場合である場合を例示する。
なお、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、各図において、説明および表記の都合上、説明に必要な部分のみを、必要に応じて簡略化して示す。また、各図において、x-y-z座標は、各図における向きの関係を示す。白丸(○)の中にクロスマーク(×)が付されている記号は、紙面の手前側から奥側に向かう方向が正の方向である軸であることを示す。また、本実施形態では、x-y平面が水平面であり、z軸方向が高さ方向である場合である場合を例示する。
図1は、トランスバース方式の誘導加熱装置の第1の例を示す図である。図2は、トランスバース方式の誘導加熱装置の第2の例を示す図である。本実施形態では、導体板Mの搬送方向が、y軸の正の方向であり、導体板Mの幅方向が、x軸方向であり、導体板Mの板厚方向が、z軸方向である場合を例示する。ここで、導体板Mの搬送方向(y軸の正の方向)に平行な方向(すなわちy軸方向)を加熱長方向と称することとする。加熱長方向は、導体板Mの長手方向に対応する。図1および図2では、誘導加熱装置1000の重心位置を通るように導体板Mの幅方向(x軸方向)に対して垂直に切った場合のトランスバース方式の誘導加熱装置の断面(y-z断面)を示す。図1は、各コイルのターン数(巻回数)が偶数である場合のトランスバース方式の誘導加熱装置1000の一例を示す。図2は、各コイルのターン数(巻回数)が奇数である場合のトランスバース方式の誘導加熱装置2000の一例を示す。図1および図2に示すトランスバース方式の誘導加熱装置1000、2000は、コイルのターン数(巻回数)のみが異なる。
トランスバース方式の誘導加熱装置1000、2000は、搬送中の導体板Mの板面に交番磁界を略垂直(好ましくは垂直)に交差させることによって導体板Mを誘導加熱する。なお、導体板Mは、例えば、鋼板等の金属板である。以下の説明では、トランスバース方式の誘導加熱装置を、必要に応じて誘導加熱装置と略称する。以下に、誘導加熱装置1000、2000の構成の一例を説明する。なお、誘導加熱装置1000、2000の寸法(D1、D2、K1、K2等)については(設計方法)の欄で後述する。
(誘導加熱装置1000)
まず、図1に示す誘導加熱装置1000の構成を説明する。
誘導加熱装置1000は、上側誘導器1100と、下側誘導器1200と、を有する。上側誘導器1100および下側誘導器1200は、導体板Mを間に挟んで相互に対向するように導体板Mの板厚方向(z軸方向)において間隔を有する状態で配置される。このように導体板Mの板厚方向(z軸方向)は、上側誘導器1100および下側誘導器1200が対向する方向に対応する。図1に示す誘導加熱装置1000では、上側誘導器1100および下側誘導器1200が、仮想面SLを対称面とする面対称の関係にある場合を例示する。仮想面SLは、導体板Mの板厚方向(z軸方向)の中央の位置を通り、且つ、導体板Mの幅方向(x軸方向)および長手方向(y軸方向)に平行な面である。なお、仮想面SLは、実在する面ではない。
まず、図1に示す誘導加熱装置1000の構成を説明する。
誘導加熱装置1000は、上側誘導器1100と、下側誘導器1200と、を有する。上側誘導器1100および下側誘導器1200は、導体板Mを間に挟んで相互に対向するように導体板Mの板厚方向(z軸方向)において間隔を有する状態で配置される。このように導体板Mの板厚方向(z軸方向)は、上側誘導器1100および下側誘導器1200が対向する方向に対応する。図1に示す誘導加熱装置1000では、上側誘導器1100および下側誘導器1200が、仮想面SLを対称面とする面対称の関係にある場合を例示する。仮想面SLは、導体板Mの板厚方向(z軸方向)の中央の位置を通り、且つ、導体板Mの幅方向(x軸方向)および長手方向(y軸方向)に平行な面である。なお、仮想面SLは、実在する面ではない。
上側誘導器1100、下側誘導器1200は、それぞれ、コイル1110、1210と、コア1120、1220と、を有する。
コイル1110、1210は、それぞれ、例えば、当該コイル1110、1210の中心線が、導体板Mの板面と略直交(好ましくは直交)するように配置される。コイル1110、1210のターン数は、それぞれN(Nは2以上の整数)である。前述したように図1に示す誘導加熱装置1000が有するコイル1110、1210のそれぞれのターン数は偶数である。図1では、コイル1110、1210のターン数Nがそれぞれ4である場合を例示する。図3を参照しながら後述する例では、コイル1110、1210は電気的に直列に接続される。この場合、誘導加熱装置1000におけるコイル1110、1210全体のターン数は8(=2×4)になる。一方、コイル1110、1210が電気的に並列に接続される場合、誘導加熱装置1000におけるコイル1110、1210全体のターン数は4になる。なお、電気的に直列に接続されるとは、電気回路の分野において一般的に使用される直列接続と同じ意味である。また、電気的に並列に接続されるとは、電気回路の分野において一般的に使用される並列接続と同じ意味である。以下の説明では、電気的に直列に接続されることを、必要に応じて、単に直列に接続されると称する。また、電気的に並列に接続されることを、必要に応じて、単に並列に接続されると称する。
コイル1110、1210は、それぞれ、例えば、当該コイル1110、1210の中心線が、導体板Mの板面と略直交(好ましくは直交)するように配置される。コイル1110、1210のターン数は、それぞれN(Nは2以上の整数)である。前述したように図1に示す誘導加熱装置1000が有するコイル1110、1210のそれぞれのターン数は偶数である。図1では、コイル1110、1210のターン数Nがそれぞれ4である場合を例示する。図3を参照しながら後述する例では、コイル1110、1210は電気的に直列に接続される。この場合、誘導加熱装置1000におけるコイル1110、1210全体のターン数は8(=2×4)になる。一方、コイル1110、1210が電気的に並列に接続される場合、誘導加熱装置1000におけるコイル1110、1210全体のターン数は4になる。なお、電気的に直列に接続されるとは、電気回路の分野において一般的に使用される直列接続と同じ意味である。また、電気的に並列に接続されるとは、電気回路の分野において一般的に使用される並列接続と同じ意味である。以下の説明では、電気的に直列に接続されることを、必要に応じて、単に直列に接続されると称する。また、電気的に並列に接続されることを、必要に応じて、単に並列に接続されると称する。
図3は、コイル1110、1210の構成の一例を示す図である。
図3において、コイル1110、1210は、それぞれ、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hと、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212hと、を有する。図3では、誘導加熱装置1000が銅ブスバー1130を有する場合を例示する。また、図3では、銅ブスバー1130によりコイル1110、1210が直列に接続される場合を例示する。また、図3において、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212h、および銅ブスバー1130の内部に示す矢印線は、或る同一の時刻において各部に流れる交流電流の向きを示す。
図3において、コイル1110、1210は、それぞれ、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hと、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212hと、を有する。図3では、誘導加熱装置1000が銅ブスバー1130を有する場合を例示する。また、図3では、銅ブスバー1130によりコイル1110、1210が直列に接続される場合を例示する。また、図3において、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212h、および銅ブスバー1130の内部に示す矢印線は、或る同一の時刻において各部に流れる交流電流の向きを示す。
まず、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hと、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212hと、銅ブスバー1130と、の電気的な接続関係の一例を説明する。なお、他の部材と接続される部分を除いて、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212h、および銅ブスバー1130の電気的な絶縁は確保されているものとする(このことは後述する図5においても同じであるものとする)。
図3において、銅ブスバー1112aの一端は、交流電源3000の一端3001に電気的に接続される。銅ブスバー1112aの他端は、銅パイプ1111aの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112bの一端は、銅パイプ1111aの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112bの他端は、銅パイプ1111fの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112cの一端は、銅パイプ1111fの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅ブスバー1112a、銅パイプ1111a、銅ブスバー1112b、および銅パイプ1111fを用いることにより、コイル1110の1ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー1112cは、コイル1110の1ターン目と2ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー1112cの他端は、銅パイプ1111gの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112dの一端は、銅パイプ1111gの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112dの他端は、銅パイプ1111hの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112eの一端は、銅パイプ1111hの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ1111g、銅ブスバー1112d、および銅パイプ1111hを用いることにより、コイル1110の2ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー1112eは、コイル1110の2ターン目と3ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー1112eの他端は、銅パイプ1111bの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112fの一端は、銅パイプ1111bの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112fの他端は、銅パイプ1111eの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112gの一端は、銅パイプ1111eの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ1111b、銅ブスバー1112f、および銅パイプ1111eを用いることにより、コイル1110の3ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー1112gは、コイル1110の3ターン目と4ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー1112gの他端は、銅パイプ1111cの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112hの一端は、銅パイプ1111cの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1112hの他端は、銅パイプ1111dの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー1130の一端は、銅パイプ1111dの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ1111c、銅ブスバー1112h、および銅パイプ1111dを用いることにより、コイル1110の4ターン目(同一ターン)が構成される。前述したように銅ブスバー1130は、コイル1110、1210(コイル1110の4ターン目とコイル1210の1ターン目)を直列に接続するためのものである。銅ブスバー11130の他端は、コイル1210が有する銅パイプ1211aの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。
上側誘導器1100が有するコイル1110では、1ターン目の巻始め部分(銅ブスバー1112a)が交流電源3000の一端3001に電気的に接続される。これに対し、下側誘導器1200が有するコイル1210では、1ターン目の巻始め部分(銅パイプ1211a)が銅ブスバー1130に電気的に接続される。また、上側誘導器1100がコイル1110では、4ターン目の巻終わり部分(銅パイプ1111d)が銅ブスバー1130に電気的される。これに対し、下側誘導器1200が有するコイル1210では、4ターン目の巻終わり部分(銅ブスバー1212h)が交流電源3000の他端3002に電気的に接続される。
これらの点を除いて、下側誘導器1200が有するコイル1210の銅パイプ1211a~1211hおよび銅ブスバー1212a~1212hの電気的な接続関係は、上側誘導器1100が有するコイル1110の銅パイプ1111a~1111hおよび銅ブスバー1112a~1112hの電気的な接続関係と同様である。したがって、下側誘導器1200が有するコイル1210の説明として、各ターンを構成するために用いられる銅パイプ1211a~1211hおよび銅ブスバー1212a~1212hについての説明を行い、1ターン目から4ターン目を構成するために用いる銅パイプ1211a~1211hおよび銅ブスバー1212a~1212hの具体的な接続関係の説明を省略する。
まず、銅パイプ1211a、銅ブスバー1212a、および銅パイプ1211fを用いることにより、コイル1210の1ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー1212bは、コイル1210の1ターン目と2ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ1211g、銅ブスバー1212c、および銅パイプ1211hを用いることにより、コイル1210の2ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー1212dは、コイル1210の2ターン目と3ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ1211b、銅ブスバー1212e、および銅パイプ1211eを用いることにより、コイル1210の3ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー1212fは、コイル1210の3ターン目と4ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ1211c、銅ブスバー1212g、および銅パイプ1211dを用いることにより、コイル1210の4ターン目(同一ターン)が構成される。銅パイプ1211dの他端側(x軸の負の方向側)には銅ブスバー1212hの一端が電気的に接続される。銅ブスバー1212hの他端は交流電源3000の他端3002に電気的に接続される。
図1および図3では、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hの大きさおよび形状が同じである場合を例示する。銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hは、中空の直方体形状を有する。銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hの中空部分に冷却媒体(例えば冷却水)が供給される。
なお、図3では、コイル1110、1210が直列に接続されることにより、コイル1110、1210に流れる交流電流によってコイル1110、1210から発生する磁束の同時刻における向きを略同一(好ましくは同一)にすることと、導体板Mの板面に略垂直(好ましくは垂直)に交番磁界を交差させることと、が実現されることによって、導体板Mが誘導加熱される場合を例示する。
しかしながら、コイル1110、1210に流れる交流電流によってコイル1110、1210から発生する磁束の同時刻における向きを略同一(好ましくは同一)にすることと、導体板Mの板面に略垂直(好ましくは垂直)に交番磁界を交差させることと、が実現されていれば、コイル1110、1210は並列に接続されても良い。また、コイル1110、1210は電気的に接続されていなくても良い。この場合、コイル1110、1210に流れる交流電流は、別々の交流電源から供給される交流電流である。
コイル1110、1210が並列に接続される場合、例えば、銅ブスバー1130は不要になる。その代わりに、コイル1210が有する銅パイプ1211aの一端側(x軸の負の方向側)は、銅ブスバー1112a等を介して交流電源3000の一端3001に接続される。また、コイル1110が有する銅パイプ1111dの他端側(x軸の負の方向側)は、交流電源3000の他端3002に接続される。コイル1110が有する銅パイプ1111dの他端側(x軸の負の方向側)は、銅ブスバー1212h等を介して交流電源3000の他端3002に接続されても良い。コイル1110、1210が並列に接続される場合、誘導加熱装置1000におけるコイル1110、1210全体のターン数は4になる。
なお、コイルを構成する導体部の形状は、中空の直方体形状に限定されない。例えば、中空の円筒形状であっても良い。また、コイルを構成する導体部に、中空の領域はなくても良い。このようにコイルを構成する導体部が中空の領域を有していない場合、例えば、コイルを構成する導体部を囲むように、冷却媒体(例えば冷却水)が流れる経路となる管が配置されるようにしても良い。
図4は、コア1120、1220の構成の一例を示す図である。本実施形態では、コア1120、1220がいわゆるE形コアである場合を例示する。コア1120、1220は、軟磁性材料を用いて構成される。コア1120、1220は、それぞれ、コイル1110、1210が配置される空間であるスロット1121a~1121b、1221a~1221bを有する。図1および図3に示す例では、銅パイプ1111a~1111c、1111gがコア1120のスロット1121a内に配置される場合を例示する。また、図1および図3に示す例では、銅パイプ1111d~1111f、1111hがコア1120のスロット1121b内に配置される場合を例示する。同様に、図1および図3に示す例では、銅パイプ1211a~1211c、1211gがコア1220のスロット1221a内に配置される場合を例示する。また、図1および図3に示す例では、銅パイプ1211d~1211f、1211hがコア1220のスロット1221b内に配置される場合を例示する。
前述したように、コイル1110、1210をコア1120、1220に設置する際には、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hを、それぞれ、コア1120、1220のスロット1121a~1211b、1221a~1221b内に配置する必要がある。したがって、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212hは、それぞれ、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hの領域のうち、コア1120、1220に取り付けられる領域を避けて銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hに取り付けられる。例えば、図3において、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hの領域のうち、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212hが取り付けられている領域は、それぞれ、スロット1121a~1211b、1221a~1221bの外側に配置される。
コア1120、1220は、それぞれ、第1脚部1122、1222と、第2脚部1123、1223と、第3脚部1124、1224と、胴部1125、1225と、を有する。
図4には、コア1120に対して、第1脚部1122と胴部1125との境界線1126aと、第2脚部1123と胴部1125との境界線1126bと、第3脚部1124と胴部1125との境界線1126cと、をそれぞれ仮想線として示す。同様に、コア1220に対して、第1脚部1222と胴部1225との境界線1226aと、第2脚部1223と胴部1225との境界線1226bと、第3脚部1224と胴部1225との境界線1226cと、をそれぞれ仮想線として示す。なお、これらの仮想線は、実在する線ではない。
第1脚部1122、1222は、それぞれ、コア1120、1220の加熱長方向(y軸方向)の中央の位置に配置される。第2脚部1123、1223および第3脚部1124、1224は、それぞれ、第1脚部1122、1222に対し加熱長方向(y軸方向)の両側において第1脚部1122、1222と間隔を有する状態で配置される。具体的に図4では、第2脚部1123、1223が、それぞれ、y軸の負の方向側において第1脚部1122、1222と間隔を有する状態で配置される場合を例示する。同様に図4では、第3脚部1124、1224が、それぞれ、y軸の正の方向側において第1脚部1122、1222と間隔を有する状態で配置される場合を例示する。
図4では、第1脚部1122、1222、第2脚部1123、1223、第3脚部1124、1224、および胴部1125、1225が、直方体形状を有する場合を例示する。また、図4では、第1脚部1122、1222、第2脚部1123、1223、第3脚部1124、1224、および胴部1125、1225の、導体板Mの幅方向(x軸方向)の長さが同じである場合を例示する。また、図4では、第1脚部1122、1222、第2脚部1123、1223、および第3脚部1124、1224の、導体板Mの板厚方向(z軸方向)の長さが同じである場合を例示する。
また、図4では、第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124よりも、胴部1125が背面側に配置される場合を例示する。背面側とは、導体板Mが存在する側とは反対側(すなわち、導体板Mが存在しない側)である。具体的に図4では、第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124の基端面(導体板M側とは反対側の端面)が、胴部1125と切れ目なしに繋がる場合を例示する。なお、第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124の基端面は、z軸の正の方向側の端面である。したがって、第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124は、胴部1125と磁気的に接続される。第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124と、胴部1125とが磁気的に接続されるとは、第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124と、胴部1125とに同一の主磁束が流れることを指す。主磁束は、導体板Mの加熱に寄与する磁束である。例えば、主磁束は、上側誘導器1100が有するコア1120と、導体板Mと、下側誘導器1200が有するコア1220と、を通る閉路(磁路)を流れる。
また、図4では、第1脚部1122、第2脚部1123、および第3脚部1124の先端面が、導体板Mの板面(z軸の正の方向側の表面)と間隔を有する状態で対向する場合を例示する。
同様にコア1220について、第1脚部1222、第2脚部1223、および第3脚部1224よりも、胴部1225が背面側に配置される場合を例示する。具体的に図4では、第1脚部1222、第2脚部1223、および第3脚部1224の基端面が、胴部1225と切れ目なしに繋がる場合を例示する。なお、第1脚部1222、第2脚部1223、および第3脚部1224の基端面は、z軸の負の方向側の端面である。したがって、第1脚部1222、第2脚部1223、および第3脚部1224は、胴部1225と磁気的に接続される。
また、図4では、第1脚部1222、第2脚部1223、および第3脚部1224の先端面が、導体板Mの板面(z軸の負の方向側の表面)と間隔を有する状態で対向する場合を例示する。
また、図4では、コア1220の形状および大きさが、コア1120の形状および大きさと同じである場合を例示する。
また、図4では、コア1220の形状および大きさが、コア1120の形状および大きさと同じである場合を例示する。
なお、ここでは説明の都合上、コア1120、1220の構成を、それぞれ、第1脚部1122、1222、第2脚部1123、1223、第3脚部1124、1224、および胴部1125、1225と、に分けて説明した。しかしながら、第1脚部1122、1222、第2脚部1123、1223、第3脚部1124、1224、および胴部1125、1225はそれぞれ一体となっている。したがって、第1脚部1122、1222、第2脚部1123、1223、第3脚部1124、1224、および胴部1125、1225の境界には、境界線は存在しない(前述したように図4に示す二点鎖線は実在しない)。ただし、これらを別々の部分として製造して組み合わせることにより1つのコアを構成しても良い。例えば、第1脚部1122、第2脚部1123、第3脚部1124、および胴部1125のうちの少なくとも2つの部分は、相互に間隔を有する状態で配置されても良い。ただし、当該少なくとも2つの部分は、当該少なくとも2つの部分に同一の主磁束が流れるように構成および配置される。同様に、第1脚部1222、第2脚部1223、第3脚部1224、および胴部1225のうちの少なくとも2つの部分は、相互に間隔を有する状態で配置されても良い。ただし、当該少なくとも2つの部分は、当該少なくとも2つの部分に同一の主磁束が流れるように構成および配置される。
ここで、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の加熱能力を大きくするためには、コイルを構成する導体部の電流密度が当該導体部で許容される電流密度を上回らない範囲で、コイルのターン数を多くする必要がある。このような場合に、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)にのみコイルを配置すると、誘導加熱装置の加熱長方向の長さが長くなる。一方で、誘導加熱装置は、加熱長方向(y軸方向)に搬送中の導体板Mを誘導加熱する。したがって、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなると、例えば、加熱長方向(y軸方向)において他の設備の設置スペースが狭くなる虞がある。
そこで、本発明者らは、加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、導体板Mの加熱に必要な加熱能力を有するように誘導加熱装置を構成するために、例えば、図1に示すようにしてコイル1110、1210を構成するのが好ましいことを見出した。以下にこのようにするためのコイル1110、1210の構成の一例を説明する。
まず、コイル1110、1210が、相互に電気的に接続された複数の銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hを有するようにする。図1および図3に示す例では、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hが導体部の一例である。なお、導体部は、銅以外の導体で構成されても良い。また、導体部は、パイプでなくても良い。
そして、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hのうち、少なくとも2つの銅パイプを、それぞれ1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置する。
1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bには、以下の(A)に該当する銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fが少なくとも1つ配置されるようにする。以下の説明では、(A)に該当する銅パイプを、必要に応じて第1銅パイプと称する。
(A)第1銅パイプ1111a~1111c、1111d~1111f、1211a~1211c、1211d~1211fは、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおける加熱長方向(y軸方向)の各位置(各y座標)において、導体板Mに最も近い位置に配置される銅パイプである。
1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221b内の加熱長方向(y軸方向)の各位置(各y座標)において、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に複数の銅パイプ(例えば、銅パイプ1111b、1111g)が並んでいる場合、当該複数の銅パイプのうち、導体板Mに最も近い位置に配置される銅パイプ(例えば、銅パイプ1111b)が第1銅パイプである。
一方、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221b内の加熱長方向(y軸方向)の各位置(各y座標)において、当該スロット内に存在する銅パイプが1つである場合、当該銅パイプ(例えば、銅パイプ1111a、1111c)は、第1銅パイプである。
図1および図3では、銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fが第1銅パイプである場合を例示する。
図1および図3では、銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fが第1銅パイプである場合を例示する。
また、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bには、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fのうちの少なくとも1つの第1銅パイプ1111b、1111e、1211b、1211eよりも導体板Mから遠い位置に少なくとも1つの導体部が配置される。以下の説明では、このような銅パイプを、必要に応じて第2銅パイプと称する。図1および図3では、銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hが第2銅パイプである場合を例示する。
また、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、少なくとも1つの第1銅パイプ1111b、1111e、1211b、1211eの加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部と、少なくとも1つの第2銅パイプ1111g、1111h、1211g、1211hの加熱長方向の位置の少なくとも一部と、は相互に重複する。図1では、加熱長方向(y軸方向)の全ての位置(y座標)において、第1銅パイプ1111b、1111e、1211b、1211eの加熱長方向の位置と、第2銅パイプ1111g、1111h、1211g、1211hの加熱長方向の位置と、がそれぞれ重複する場合を例示する。
図1および図3に示す例では、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fが第1導体部の一例である。また、第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hが第2導体部の一例である。
そして、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fと、第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hと、がそれぞれコイル1110、1210において異なるターンを構成するようにする。コイルにおいて異なるターンであることは、コイルにおいて同一周回になっていないことを指す。
例えば、前述したように、第1銅パイプ1111b、1111eは、コイル1110の3ターン目であり、第2銅パイプ1111g、1111hは、コイル1110の2ターン目である。したがって、第1銅パイプ1111b、1111eと、第2銅パイプ1111g、1111hと、はそれぞれコイル1110において異なるターンを構成する。この場合、第1銅パイプ1111b、1111eと、第2銅パイプ1111g、1111hと、はそれぞれ直列に接続される。
同様に、第1銅パイプ1211b、1211eは、コイル1210の3ターン目であり、第2銅パイプ1211g、1211hは、コイル1210の2ターン目である。したがって、第1銅パイプ1211b、1211eと、第2銅パイプ1211g、1211hと、はそれぞれコイル1210において異なるターンを構成する。この場合、第1銅パイプ1211b、1211eと、第2銅パイプ1211g、1211hと、はそれぞれ直列に接続される。
このようにすれば、加熱長方向(y軸方向)のみに銅パイプを配置する場合よりも、加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、コイル1110、1210を構成する銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hの電流密度が当該銅パイプで許容される電流密度を上回らない範囲で、コイル1110、1210のターン数Nを多くすることができる。よって、誘導加熱装置1000の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、導体板Mの加熱に必要な加熱能力を有するように誘導加熱装置1000を構成することができる。
また、図1および図3に例示するように、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211f同士も、異なるターンを構成するのが好ましい。誘導加熱装置1000の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、コイル1110、1210のターン数Nをより多くすることができるからである。
また、このようにして誘導加熱装置1000を構成する際に、加熱長方向(y軸方向)に複数の銅パイプ1111a~1111c、1111d~1111f、1211a~1211c、1211d~1211fを配置するのが好ましい。コイル1110、1210のターン数をより多くすることができるからである。
また、磁束密度が過大な領域にコイル1110が存在すると、コイル1110、1210に流れる交流電流が、コイル1110、1210(銅パイプ)の表面に引き寄せられ易くなる。したがって、コイル1110、1210(銅パイプ)に流れる交流電流の電流密度が過大になり易くなる。この場合、銅パイプが局所的に過加熱される。そうすると、コイル1110、1210の品質が低下する虞がある。例えば、銅パイプの溶損が生じる虞がある。したがって、コイル1110、1210に流れる交流電流によりコア1120、1220が励磁されているときに1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221b内において最も磁束密度が高い領域に銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hが配置されないようにするのが好ましい。
本発明者らは、誘導加熱装置に対する電磁界解析の結果等に基づいて、コア1120、1220が図1および図4に示すいわゆるE形コアである場合、図1に示す高磁束密度領域HBにおいて磁束密度が高くなるという知見と、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221b内において最も磁束密度が高い領域が、高磁束密度領域HBに含まれるという知見と、を得た。なお、図1では、説明および表記の都合上、高磁束密度領域HBを単純化している(このことは図2においても同じである)。高磁束密度領域HBは、コア1120、1220のスロット1121a、1121b、1221a、1221bと、コア1120、1220の第1脚部1122、1222との、先端側(導体板Mに近い側)の境界付近の領域を含む。そこで、高磁束密度領域HBに、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hが配置されないようにするのが好ましい。ここで、高磁束密度領域HBは、絶縁性の領域であるのが好ましい。本実施形態では、高磁束密度領域HBが、空間(空気)である場合を例示する。ただし、高磁束密度領域HBに物体(好ましくは絶縁物)が配置されても良い。
銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hが高磁束密度領域HBに配置されないようにする場合、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、高密度領域HBよりも導体板Mから遠い位置に、高密度領域HBに対して加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が重複するように、第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dを配置するのが好ましい。このような位置に第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dを配置することにより、加熱長方向(y軸方向)に配置する銅パイプの数を少なくすることができる。したがって、誘導加熱装置の加熱長方向の長さを短くすることができる。
図1および図4に示すようにコア1120、1220がいわゆるE形コアである場合、高磁束密度領域HBに、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hが配置されないようにするために、コア1120、1220の1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置された銅パイプのうち、コア1120、1220の第1脚部1122、1222に最も近い位置に配置された第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dが、第1脚部1122、1222の先端面(導体板Mと間隔を有して対向する端面)よりも導体板Mから遠い位置に配置されるのが好ましい。
以下の説明では、高密度領域HBよりも導体板Mから遠い位置に、高密度領域HBに対して加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が重複するように配置される第1銅パイプを、必要に応じて、退避第1銅パイプと称する。図1および図3では、銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dが退避第1銅パイプである場合を例示する。
なお、図1、図3、および図4では、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、退避第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dよりも導体板Mに近い位置に第1銅パイプ1111a~1111b、1111e~1111f、1211a~1211b、1211e~1211fが存在する場合を例示する。
また、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211hが高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)に配置されないようにする場合、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、退避第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dが配置されるスペースが狭くなる場合がある。そこで、以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1つが実現されるのが好ましい。
(a) 1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、加熱長方向(y軸方向)において異なる(変化する)。
図1、図3、および図4に示す例では、1つのスロット1121aにおいて、相対的にy軸の正の方向側においてz軸方向に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、1である(第1銅パイプ1111cを参照)。また、1つのスロット1121aにおいて、相対的にy軸の中央寄りにおいてz軸方向に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、2である(第1銅パイプ1111bおよび第2銅パイプ1111gを参照)。また、1つのスロット1121aにおいて、相対的にy軸の負の方向側においてz軸方向に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、1である(第1銅パイプ1111aを参照)。
(b) 1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に並ぶ銅パイプの数は、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)が高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)と重複する位置において最小である。なお、加熱長方向(y軸方向)の位置が高磁束密度領域HBと重複する位置は、退避第1銅パイプが存在する位置である。
図1、図3、および図4に示す例では、1つのスロット1121aにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に並ぶ銅パイプの数は、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)が高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)と重複する位置において1(最小)である(第1銅パイプ1111cを参照)。
(c) 1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)と重複する位置にある第1銅パイプは、その他の第1銅パイプよりも導体板Mから遠い位置にある。なお、加熱長方向の位置が高磁束密度領域HBと重複する位置にある第1銅パイプは、退避第1銅パイプである。
図1、図3、および図4に示す例では、1つのスロット1121aにおいて、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)と重複する位置にある第1銅パイプ1111cは、その他の第1銅パイプ1111a、1111bよりも導体板Mから遠い位置にある。
(d) 導体板Mの幅方向(x軸方向)に対して垂直に誘導加熱装置1000を切った場合の断面(y-z断面)において、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bには、第1銅パイプおよび第2銅パイプが基準軸に対して非対称に配置される。基準軸は、導体板Mの幅方向(x軸方向)に対して垂直に切った場合の断面(y-z断面)に現れる1つのスロットの輪郭線により定められる図形の図心位置を通り、且つ、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に延びる直線である。換言すると、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221b内に配置される第1銅パイプおよび第2銅パイプは、当該基準軸を対称軸とする線対称の関係になるように配置されない。なお、導体板Mの幅方向(x軸方向)に対して垂直に誘導加熱装置1000を切った場合の断面(y-z断面)は、加熱長方向(y軸方向)および導体板Mの板厚方向(z軸方向)に平行に切った場合の断面に対応する。
図1、図3、および図4に示す例では、導体板Mの幅方向(x軸方向)に対して垂直に切った場合の断面(y-z断面)に現れる1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bの輪郭線により定められる図形は、それぞれ、長方形1127a、1127b、1227a、1127bである(図1を参照)。なお、表記の都合上、図1では、長方形1127a、1127b、1227a、1127bを表す仮想線を、それぞれ、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの実際の輪郭線よりも外側に示す(このことは後述する図2でも同様である)。なお、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの輪郭線のうち、導体板M側に開口している部分の輪郭線は実在しない(このことは後述する図2でも同様である)。また、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの輪郭線のうち、導体板M側に開口している部分の輪郭線は、例えば、当該スロットの開口部の両端を最短距離で結ぶ直線である。スロットの開口部の両端は、例えば、当該スロットを間に挟む位置にある2つの脚部(例えば、スロット1121aを間に挟む第2脚部1123および第3脚部1124)の端点のうち、金属板M側、且つ、当該スロット側に位置する端点である。
長方形1127a、1127b、1227a、1227bの図心位置1128a、1128b、1228a、1228bを通り、且つ、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に延びる直線1129a、1129b、1229a、1229bが、それぞれ、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおける対称軸になる。なお、直線1129a、1129b、1229a、1229bは、実在する線ではない。
例えば、1つのスロット1121aにおいて、第1銅パイプ1111a~1111cおよび第2銅パイプ1111gは、直線1129aを対称軸とする線対称の関係にならない。
また、誘導加熱装置1000は、導体板Mのエッジ部(幅方向の端部)の過加熱を防止するための不図示のシールド板を有していても良い。例えば、シールド板は、導体板Mのエッジ部と、コア1120、1220との間に、それぞれ配置される。また、シールド板は、導体板Mの幅および導体板Mの蛇行量(幅方向の移動量)に応じて移動する。なお、シールド板は、導体板Mのエッジ部を主磁束が通ることを抑制するためのものである。
(誘導加熱装置2000)
次に、図2に示す誘導加熱装置2000の構成を説明する。
誘導加熱装置2000は、上側誘導器2100と、下側誘導器2200と、を有する。上側誘導器2100および下側誘導器2200は、導体板Mを間に挟んで相互に対向するように導体板Mの板厚方向において間隔を有する状態で配置される。図1に示す誘導加熱装置1000と同様に、図2に示す誘導加熱装置2000でも、上側誘導器2100および下側誘導器2200が、仮想面SLを対称面とする面対称の関係にある場合を例示する。
次に、図2に示す誘導加熱装置2000の構成を説明する。
誘導加熱装置2000は、上側誘導器2100と、下側誘導器2200と、を有する。上側誘導器2100および下側誘導器2200は、導体板Mを間に挟んで相互に対向するように導体板Mの板厚方向において間隔を有する状態で配置される。図1に示す誘導加熱装置1000と同様に、図2に示す誘導加熱装置2000でも、上側誘導器2100および下側誘導器2200が、仮想面SLを対称面とする面対称の関係にある場合を例示する。
上側誘導器2100、下側誘導器2200は、それぞれ、コイル2110、2210と、コア1120、1220と、を有する。前述したように、図1に示す誘導加熱装置1000と、図2に示す誘導加熱装置2000と、はコイルのターン数(巻回数)のみが異なる。したがって、以下において誘導加熱装置2000の構成の一例を説明するが、図2に示す誘導加熱装置2000の構成も、前述した(誘導加熱装置1000)の欄の記載から類推されるため、当該構成を採用する理由や利点等の詳細な説明を省略する。
図3において、コイル2110、2210は、ターン数がN(Nは2以上の整数)である。前述したように図2に示す誘導加熱装置2000が有するコイル2110、2210のターン数は奇数である。図2では、コイル2110、2210のターン数Nがそれぞれ5である場合を例示する。図5を参照しながら後述する例では、コイル2110、2210は直列に接続される。この場合、誘導加熱装置2000におけるコイル2110、2210全体のターン数は10(=2×5)になる。一方、コイル2110、1210が並列に接続される場合、誘導加熱装置1000におけるコイル1110、1210全体のターン数は5になる。
図5は、コイル2110、2210の構成の一例を示す図である。
コイル2110、2210は、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jと、銅ブスバー2112a~2112j、2212a~2212jと、を有する。図5では、誘導加熱装置1000が銅ブスバー2130を有する場合を例示する。また、図5では、銅ブスバー2130によりコイル2110、2210が直列に接続される場合を例示する。また、図5においても図3と同様に、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211j、銅ブスバー2112a~2112j、2212a~2212j、および銅ブスバー2130の内部に示す矢印線は、或る同一の時刻において各部に流れる交流電流の向きを示す。
コイル2110、2210は、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jと、銅ブスバー2112a~2112j、2212a~2212jと、を有する。図5では、誘導加熱装置1000が銅ブスバー2130を有する場合を例示する。また、図5では、銅ブスバー2130によりコイル2110、2210が直列に接続される場合を例示する。また、図5においても図3と同様に、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211j、銅ブスバー2112a~2112j、2212a~2212j、および銅ブスバー2130の内部に示す矢印線は、或る同一の時刻において各部に流れる交流電流の向きを示す。
まず、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jと、銅ブスバー2112a~2112j、2212a~2212jと、銅ブスバー2130と、の電気的な接続関係の一例を説明する。
銅ブスバー2112aの一端は、交流電源5000の一端5001に電気的に接続される。銅ブスバー2112aの他端は、銅パイプ2111gの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112bの一端は、銅パイプ2111gの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112bの他端は、銅パイプ2111jの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112cの一端は、銅パイプ2111jの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅ブスバー2112a、銅パイプ2111g、銅ブスバー2112b、および銅パイプ2111jを用いることにより、コイル2110の1ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2112cは、コイル2110の1ターン目と2ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー2112cの他端は、銅パイプ2111aの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112dの一端は、銅パイプ2111aの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112dの他端は、銅パイプ2111fの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112eの一端は、銅パイプ2111fの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ2111a、銅ブスバー2112d、および銅パイプ2111fを用いることにより、コイル2110の2ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2112eは、コイル2110の2ターン目と3ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー2112eの他端は、銅パイプ2111hの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112fの一端は、銅パイプ2111hの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112fの他端は、銅パイプ2111iの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112gの一端は、銅パイプ2111iの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ2111h、銅ブスバー2112f、および銅パイプ2111iを用いることにより、コイル2110の3ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2112gは、コイル2110の3ターン目と4ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー2112gの他端は、銅パイプ2111bの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112hの一端は、銅パイプ2111bの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112hの他端は、銅パイプ2111eの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112iの一端は、銅パイプ2111eの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ2111b、銅ブスバー2112h、および銅パイプ2111eを用いることにより、コイル2110の4ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2112iは、コイル2110の4ターン目と5ターン目とを電気的に接続するためのものである。
銅ブスバー2112iの他端は、銅パイプ2111cの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112jの一端は、銅パイプ2111cの他端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2112jの他端は、銅パイプ2111dの一端側(x軸の正の方向側)に電気的に接続される。銅ブスバー2130の一端は、銅パイプ2111dの他端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。以上のように、銅パイプ2111c、銅ブスバー2112j、および銅パイプ2111dを用いることにより、コイル2110の5ターン目(同一ターン)が構成される。前述したように銅ブスバー2130は、コイル2110、2210(コイル1110の5ターン目とコイル2210の1ターン目)を直列に接続するためのものである。銅ブスバー2130の他端は、コイル2210が有する銅パイプ2221aの一端側(x軸の負の方向側)に電気的に接続される。
上側誘導器2100が有するコイル2110では、1ターン目の巻始め部分(銅ブスバー2112a)が交流電源5000の一端5001に電気的に接続される。これに対し、下側誘導器2200が有するコイル2210では、1ターン目の巻始め部分(銅パイプ2211a)が銅ブスバー2130に電気的に接続される。また、上側誘導器2100が有するコイル2110では、5ターン目の巻終わり部分(銅パイプ2111d)が銅ブスバー2130に電気的される。これに対し、下側誘導器2200が有するコイル2210では、5ターン目の巻終わり部分(銅ブスバー2212j)が交流電源5000の他端5002に電気的に接続される。
これらの点を除いて、下側誘導器2200が有するコイル2210の銅パイプ2211a~2211jおよび銅ブスバー2212a~2212jの電気的な接続関係は、上側誘導器2100が有するコイル2110の銅パイプ2111a~2111jおよび銅ブスバー2112a~2112jの電気的な接続関係と同様である。したがって、下側誘導器2200が有するコイル2210の説明として、各ターンを構成するために用いられる銅パイプ2211a~2211jおよび銅ブスバー2212a~2212jについての説明を行い、1ターン目から5ターン目を構成するために用いる銅パイプ2211a~2211jおよび銅ブスバー2212a~2212jの具体的な接続関係の説明を省略する。
まず、銅パイプ2211a、銅ブスバー2212a、および銅パイプ2211fを用いることにより、コイル2210の1ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2212bは、コイル2210の1ターン目と2ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ2211g、銅ブスバー2212c、および銅パイプ2211jを用いることにより、コイル2210の2ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2212dは、コイル2210の2ターン目と3ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ2211b、銅ブスバー2212e、および銅パイプ2211eを用いることにより、コイル2210の3ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2212fは、コイル2210の3ターン目と4ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ2211h、銅ブスバー2212g、および銅パイプ2211iを用いることにより、コイル2210の4ターン目(同一ターン)が構成される。銅ブスバー2212hは、コイル2210の4ターン目と5ターン目とを電気的に接続するためのものである。
また、銅パイプ2211c、銅ブスバー2212i、および銅パイプ2211dを用いることにより、コイル2210の5ターン目(同一ターン)が構成される。銅パイプ2211dの他端側(x軸の負の方向側)には銅ブスバー2212jの一端が電気的に接続される。銅ブスバー2212jの他端は交流電源5000の他端5002に電気的に接続される。
図2および図5では、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jの大きさおよび形状が同じである場合を例示する。銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jは、中空の直方体形状を有する。銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jの中空部分に冷却媒体(例えば冷却水)が供給される。
なお、図5でも、図3と同様に、コイル2110、2210が直列に接続されることにより、コイル2110、2210に流れる交流電流によってコイル2110、2210から発生する磁束の同時刻における向きを略同一(好ましくは同一)にすることと、導体板Mの板面に略垂直(好ましくは垂直)に交番磁界を交差させることと、が実現されることによって、導体板Mが誘導加熱される場合を例示する。
しかしながら、コイル2110、2210に流れる交流電流によってコイル2110、2210から発生する磁束の同時刻における向きを略同一(好ましくは同一)にすることと、導体板Mの板面に略垂直(好ましくは垂直)に交番磁界を交差させることと、が実現されていれば、コイル2110、2210は並列に接続されても良い。また、コイル2110、2210は電気的に接続されていなくても良い。この場合、コイル2110、2210に流れる交流電流は、別々の交流電源から供給される交流電流である。
コイル2110、2210が並列に接続される場合、例えば、銅ブスバー2130は不要になる。その代わりに、コイル2210が有する銅パイプ2211aの一端側(x軸の負の方向側)は、銅ブスバー2112a等を介して交流電源5000の一端5001に接続される。また、コイル1110が有する銅パイプ2111dの他端側(x軸の負の方向側)は、交流電源5000の他端5002に接続される。コイル1110が有する銅パイプ2111dの他端側(x軸の負の方向側)は、銅ブスバー2212j等を介して交流電源5000の他端5002に接続されても良い。コイル2110、2210が並列に接続される場合、誘導加熱装置2000におけるコイル2110、2210全体のターン数は5になる。
なお、図5では、表記の都合上、コイル2210において、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に並ぶ2つの銅パイプ2211aおよび2211g、2211eおよび2211iのうち、導体板Mに近い位置に配置された銅パイプ2211a、2211eの巻き順序を先にする場合を例示した。具体的に、銅パイプ2211aが1ターン目であるのに対し、銅パイプ2211gが2ターン目である場合を例示した。また、銅パイプ2211eが3ターン目であるのに対し、銅パイプ2211iが4ターン目である場合を例示した。しかしながら、コイル2110に流れる交流電流が流れる経路と、コイル2220に流れる交流電流が流れる経路と、が、仮想面SLを対称面とする面対称の関係となるようにしても良い。この場合、例えば、導体板Mから遠い位置に配置された銅パイプ2221g、2221jの巻き順序を、銅パイプ2211a、2221eの巻き順序よりも先にしても良い。
図2に示す誘導加熱装置2000のコア1120、1220は、図4を参照しながら説明した誘導加熱装置1000のコア1120、1220と同じである。なお、図3を参照しながら説明したように図5においても、銅ブスバー2112a~2112j、2212a~2212jは、それぞれ、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jの領域のうち、コア1120、1220に取り付けられる領域を避けて銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jに取り付けられる。
図1および図3を参照しながら説明した誘導加熱装置1000と同様に、図2および図5に示す誘導加熱装置2000でも、コイル2110、2210が、相互に電気的に接続された複数の銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jを有するようにする。図2および図5に示す例では、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jが導体部の一例である。そして、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jのうち、少なくとも2つの銅パイプを、それぞれ1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置する。
1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bには、少なくとも1つの第1銅パイプ2111a~2111f、2211a~2211c~2211fが配置されるようにする。
また、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bには、少なくとも1つの第2銅パイプ2111g~2111h、2111i~2111j、2211g~2211h、2211i~2211jが配置されるようにする。
図2および図5に示す例では、第1銅パイプ2111a~2111f、2211a~2211fが第1導体部の一例である。また、第2銅パイプ2111g~2111h、2111i~2111j、2211g~2211h、2211i~2211jが第2導体部の一例である。
そして、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第1銅パイプ2111a~2111f、2211a~2211fと、第2銅パイプ2111g~2111h、2111i~2111j、2211g~2211h、2211i~2211jと、がそれぞれコイル2110、2210において異なるターンを構成するようにする。
例えば、前述したように、第1銅パイプ2111a、2111fは、コイル2110の2ターン目であり、第2銅パイプ2111g、2111jは、コイル2110の1ターン目である。したがって、第1銅パイプ2111a、2111fと、第2銅パイプ2111g、2111jfと、はコイル2110において異なるターンを構成する。この場合、第1銅パイプ2111a、2111fと、第2銅パイプ2111g、2111jfと、はそれぞれ直列に接続される。また、第1銅パイプ2111b、2111eは、コイル2110の4ターン目であり、第2銅パイプ2111h、2111iは、コイル2110の3ターン目である。したがって、第1銅パイプ2111b、2111eと、第2銅パイプ2111h、2111iと、はそれぞれコイル2110において異なるターンを構成する。この場合、第1銅パイプ2111b、2111eと、第2銅パイプ2111h、2111iと、はそれぞれ直列に接続される。
同様に、第1銅パイプ2211a、2211fと、第2銅パイプ2211g、2211jと、は、コイル2210において異なるターンを構成する。この場合、第1銅パイプ2211a、2211fと、第2銅パイプ2211g、2211jと、はそれぞれ直列に接続される。また、第1銅パイプ2211b、2211eと、第2銅パイプ2211h、2211iと、はそれぞれコイル2210において異なるターンを構成する。この場合、第1銅パイプ2211b、2211eと、第2銅パイプ2211h、2211iと、はそれぞれ直列に接続される。
また、図2および図5に例示するように、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第1銅パイプ2111a~2111f、2211a~2211f同士も、異なるターンを構成するのが好ましい。また、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第2銅パイプ2111g~2111h、2111i~2111j、2211g~2211h、2211i~2211j同士も、異なるターンを構成するのが好ましい。
また、加熱長方向(y軸方向)に複数の銅パイプ2111a~2111c(および2111g、2111h、2111c)、2111d~2111f(および2111d、2111i、2111j)、2211a~2211c(および2211g、2211h、2211c)、2211d~2211f(および2111d、2111i、2211j)を配置するのが好ましい。
また、高磁束密度領域HBに銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jが配置されないようにするのが好ましい。銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jが高磁束密度領域HBに配置されないようにする場合、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、高磁束密度領域HBよりも導体板Mから遠い位置に、高密度領域HBに対し加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が重複するように退避第1銅パイプ2111c、2111d、2211c、2211dを配置するのが好ましい。
図2および図5に示すようにコア1120、1220がいわゆるE形コアである場合、高磁束密度領域HBに、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jが配置されないようにするために、コア1120、1220の1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置された銅パイプのうち、コア1120、1220の第1脚部1122、1222に最も近い位置に配置された退避第1銅パイプ2111c、2111d、2211c、2211dが、第1脚部1122、1222の先端面よりも導体板Mから遠い位置に配置されるのが好ましい。
なお、図2、図4、および図5では、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、退避第1銅パイプ2111c、2111d、2211c、2211dよりも導体板Mに近い位置の第1銅パイプ2111a~2111b、2111e~2111f、2211a~2211b、2211e~2211fが存在する場合を例示する。
また、銅パイプ2111a~2111j、2211a~2211jが高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)に配置されないようにする場合、前述した(a)~(d)のうちの少なくとも1つが実現されるのが好ましい。
前述した(a)について、図2、図4、および図5に示す例では、1つのスロット1121aにおいて、相対的にy軸の正の方向側においてz軸方向に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、1である(第1銅パイプ2111cを参照)。また、1つのスロット1121aにおいて、相対的にy軸の中央寄りにおいてz軸方向に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、2である(第1銅パイプ2111bおよび第2銅パイプ2111hを参照)。また、1つのスロット1121aにおいて、相対的にy軸の負の方向側においてz軸方向に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、2である(第1銅パイプ2111aおよび第2銅パイプ2111gを参照)。
前述した(b)について、図2、図4、および図5に示す例では、1つのスロット1121aにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に並ぶ第1銅パイプおよび第2銅パイプの数は、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)が高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)と重複する位置において1(最小)である(第1銅パイプ2111cを参照)。
前述した(c)について、図2、図4、および図5に示す例では、1つのスロット1121aにおいて、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)が高磁束密度領域HB(最も磁束密度が高い領域)と重複する位置にある第1銅パイプ2111cは、その他の第1銅パイプ2111a、2111bよりも導体板Mから遠い位置にある。
前述した(d)について、図2、図4、および図5に示す例では、導体板Mの幅方向(x軸方向)に対して垂直に切った場合の断面(y-z断面)に現れる1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bの輪郭線により定められる図形は、それぞれ、長方形2127a、2127b、2227a、2227bである(図2を参照)。
したがって、長方形2127a、2127b、2227a、2227bの図心位置2128a、2128b、2228a、2228bを通り、且つ、導体板Mの板厚方向(z軸方向)に延びる直線2129a、2129b、2229a、2229bが、それぞれ、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおける対称軸になる。なお、直線2129a、2129b、2229a、2229bは、実在する線ではない。
例えば、1つのスロット1121aにおいて、第1銅パイプ2111a~2111cおよび第2銅パイプ2111g~2111hは、直線2129aを対称軸とする線対称の関係にならない。
また、誘導加熱装置1000と同様に誘導加熱装置2000においても不図示のシールド板を有していても良い。
(設計方法)
次に、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、導体板Mの加熱に必要な加熱能力を有するように誘導加熱装置を構成するための銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jおよびコア1120、1220の設計手法の一例を説明する。ここでは説明を簡単にするために、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの形状および大きさが同じである場合を例示する。また、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212h、2112a~2112j、2212a~2212jに流すことができる交流電流の電流密度が、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jに流すことができる交流電流の電流密度以上であるものとする。
次に、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、導体板Mの加熱に必要な加熱能力を有するように誘導加熱装置を構成するための銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jおよびコア1120、1220の設計手法の一例を説明する。ここでは説明を簡単にするために、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの形状および大きさが同じである場合を例示する。また、銅ブスバー1112a~1112h、1212a~1212h、2112a~2112j、2212a~2212jに流すことができる交流電流の電流密度が、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jに流すことができる交流電流の電流密度以上であるものとする。
そうすると、以下の4つの点を考慮して、銅パイプを設計する必要がある。
・コイルに流すことができる交流電流の電流値(実効値)
・銅パイプの中空部分に流すことができる冷却媒体(例えば冷却水)の流速と、銅パイプの構造との関係
・銅パイプの構造と、コアのスロットの深さおよび幅(加熱長方向(y軸方向)の長さ)との関係
・コアのスロットの幅と上側誘導器のコイルと下側誘導器のコイルとの間隔との関係
・コイルに流すことができる交流電流の電流値(実効値)
・銅パイプの中空部分に流すことができる冷却媒体(例えば冷却水)の流速と、銅パイプの構造との関係
・銅パイプの構造と、コアのスロットの深さおよび幅(加熱長方向(y軸方向)の長さ)との関係
・コアのスロットの幅と上側誘導器のコイルと下側誘導器のコイルとの間隔との関係
ここで、図1および図2に示すように、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの幅(加熱長方向(y軸方向)の長さ)をD1(mm)とする。また、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの高さ(導体板Mの板厚方向(z軸方向)の長さ)をD2(mm)とする。また、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの幅をK1(mm)とする。また、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの深さをK2(mm)とする。
図6は、浸透深さδの一例を説明する図である。トランスバース方式の誘導加熱装置では、図6に示すように、コイル内で交流電流は一様に流れずに導体板M側に集中して流れる。図6においてグレーで示す領域が、交流電流が流れる領域であることを示す。浸透深さδ(mm)は、コイル(銅パイプ)の導体板M側の表面からの深さであり、以下の(1)式で表される。
δ=503.3×{ρ÷(μr×f)}0.5×103 ・・・(1)
ここで、ρは、コイルを構成する導体の抵抗率(×10-8Ω・m)である。μrは、コイルを構成する導体の比透磁率である。fは、コイルに流れる交流電流の周波数(Hz)である。
δ=503.3×{ρ÷(μr×f)}0.5×103 ・・・(1)
ここで、ρは、コイルを構成する導体の抵抗率(×10-8Ω・m)である。μrは、コイルを構成する導体の比透磁率である。fは、コイルに流れる交流電流の周波数(Hz)である。
コイルに流れる交流電流の電流値I1(A)は、コイル(銅パイプ)の断面積から定まる交流電流の電流密度I2(A/mm2)に、コイル(銅パイプ)に流れる交流電流の断面積を乗算した値になる。コイル(銅パイプ)の断面積から定まる交流電流の電流密度I2は、コイル(銅パイプ)の断面積(図6において実線で示す領域の面積)で、コイルに流れる交流電流の電流値I1を割ることにより得られる。また、コイル(銅パイプ)に流れる交流電流の断面積は、図6にグレーで示す領域の面積(=δ×D1)である。したがって、以下の(2)式が成り立ち、(2)式を変形すると以下の(3)式が得られる。
I1=D1×δ×I2 ・・・(2)
I2=I1÷(D1×δ) ・・・(3)
I1=D1×δ×I2 ・・・(2)
I2=I1÷(D1×δ) ・・・(3)
コイルを構成する導体部(銅パイプ)の断面積から定まる交流電流の電流密度I2として許容される電流密度がI2max(A/mm2)であるとすると、以下の(4)式を満たす必要がある。なお、以下の説明では、この電流密度を、必要に応じて許容電流密度と称する。
I2max≧I1÷(D1×δ) ・・・(4)
(3)式~(4)式から、以下の(5)式が成り立つ。
I1÷(I2max×δ)≦D1=I1÷(I2×δ) ・・・(5)
I2max≧I1÷(D1×δ) ・・・(4)
(3)式~(4)式から、以下の(5)式が成り立つ。
I1÷(I2max×δ)≦D1=I1÷(I2×δ) ・・・(5)
(5)式により、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの幅D1が決定される。なお、許容電流密度I2maxは、例えば、40A/mm2である。ただし、許容電流密度I2maxは、40A/mm2に限定されない。また、許容電流密度I2maxは、例えば、60A/mm2以下であるのが好ましい。
また、銅パイプの中空部分に流れる冷却媒体(例えば冷却水)の体積流量をL(l/min)とする。また、当該冷却媒体の流速として許容される流速がvmax(m/s)であるとする。そうすると、以下の(6)式を満たす必要がある。なお、冷却媒体の流速として許容される流速vmaxは、例えばキャビテーションが生じることにより冷却媒体による銅パイプの冷却性能が低下することに基づいて定められる。冷却媒体の流速として許容される流速vmaxは、例えば、5m/sである。ただし、冷却媒体の流速として許容される流速vmaxは、5m/sに限定されない。
D2≧L÷(vmax×60×D1×10-3) ・・・(6)
D2≧L÷(vmax×60×D1×10-3) ・・・(6)
(6)式において「L÷(vmax×60×10-3)」は、冷却媒体を流すために最低限確保しなければいけない銅パイプの中空部分の面積(図6に破線で示す領域の面積(mm2))である。(6)式により、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの高さD2が決定される。なお、図1および図2では、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの幅D1が、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの高さD2よりも長い場合を例示する。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。前者が後者よりも短くても良いし、前者と後者とが同じでも良い(すなわち、D1<D2でも良いし、D1=D2でも良い)。
(6)式を変形すると、以下の(7)式のようになる。
L÷(vmax×60×10-3)≦D1×D2 ・・・(7)
(6)式では、浸透深さδが小さいものとして(すなわち、図6に実線の斜線で示す中空矩形の領域の面積が0(零)であるものとして)、(7)式のように、冷却媒体を流すために最低限確保しなければいけない銅パイプの中空部分の面積(=L÷(vmax×60×10-3))が、図6に実線の斜線および破線の斜線で示す矩形の領域の面積(=D1×D2))以上であるとしている。しかしながら、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの高さD2をより正確に決定するために、(7)式の「D1×D2」に代えて、図6に破線の斜線で示す矩形の領域の面積(mm2)を採用しても良い。
L÷(vmax×60×10-3)≦D1×D2 ・・・(7)
(6)式では、浸透深さδが小さいものとして(すなわち、図6に実線の斜線で示す中空矩形の領域の面積が0(零)であるものとして)、(7)式のように、冷却媒体を流すために最低限確保しなければいけない銅パイプの中空部分の面積(=L÷(vmax×60×10-3))が、図6に実線の斜線および破線の斜線で示す矩形の領域の面積(=D1×D2))以上であるとしている。しかしながら、銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの高さD2をより正確に決定するために、(7)式の「D1×D2」に代えて、図6に破線の斜線で示す矩形の領域の面積(mm2)を採用しても良い。
誘導加熱装置の加熱能力Pは、以下の(8a)式または(8b)式で表される。
P=(2N×I1)2 ・・・(8a)
P=(N×I1)2 ・・・(8b)
(8a)式は、図3および図5に示したように、上側誘導器1100、2100が有するコイル1110、2110と、下側誘導器1200、2200が有するコイル1210、2210と、がそれぞれ直列に接続された場合の誘導加熱装置の加熱能力Pを示す。(8b)式は、図3および図5に対する変形例として前述したように、上側誘導器1100、2100が有するコイル1110、2110と、下側誘導器1200、2200が有するコイル1210、2210と、がそれぞれ並列に接続されていると仮定した場合の誘導加熱装置の加熱能力Pを示す。
P=(2N×I1)2 ・・・(8a)
P=(N×I1)2 ・・・(8b)
(8a)式は、図3および図5に示したように、上側誘導器1100、2100が有するコイル1110、2110と、下側誘導器1200、2200が有するコイル1210、2210と、がそれぞれ直列に接続された場合の誘導加熱装置の加熱能力Pを示す。(8b)式は、図3および図5に対する変形例として前述したように、上側誘導器1100、2100が有するコイル1110、2110と、下側誘導器1200、2200が有するコイル1210、2210と、がそれぞれ並列に接続されていると仮定した場合の誘導加熱装置の加熱能力Pを示す。
(8a)式および(8b)式に示すように、コイルのターン数Nを増加させることにより誘導加熱装置の加熱能力Pを大きくすることができる。そのために、銅パイプの幅D1を極端に短くすることが考えられる。しかしながら、銅パイプの幅D1を極端に短くすると、(5)式および(6)式を満足するように銅パイプの幅D1および高さD2を決定することができない虞がある。そこで、(誘導加熱装置1000)の欄および(誘導加熱装置2000)の欄で前述したように、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が第1銅パイプと重複するように、当該第1銅パイプよりも導体板Mから遠い位置に第2銅パイプを配置すれば、銅パイプの幅を拡大することなく、誘導加熱装置の加熱能力を拡大させることができる。具体的には、以下の(9)式を満たすように、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの深さK2を決定すれば、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が第1銅パイプと重複するように、当該第1銅パイプよりも導体板Mから遠い位置に少なくとも1つの第2銅パイプを配置することができる。
K2≧2×D2 ・・・(9)
(9)式により、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの深さK2が決定される。
K2≧2×D2 ・・・(9)
(9)式により、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの深さK2が決定される。
また、コイルのターン数Nが奇数(N≧3)である場合には、以下の(10a)式が成り立つ。また、コイルのターン数Nが偶数(N≧2)である場合には、以下の(10b)式が成り立つ。
K1≧D1×{0.5×(N+1)} ・・・(10a)
K1≧D1×(0.5×N+1) ・・・(10b)
(10a)式および(10b)式により、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの幅K1が決定される。
K1≧D1×{0.5×(N+1)} ・・・(10a)
K1≧D1×(0.5×N+1) ・・・(10b)
(10a)式および(10b)式により、スロット1121a、1121b、1221a、1221bの幅K1が決定される。
ここで、図1および図3では、コイル2110、2210のターン数Nがそれぞれ4である場合を例示した。また、図2および図5では、コイル2110、2210のターン数Nがそれぞれ5である場合を例示した。しかしながら、コイルのターン数Nは、2以上であれば良い。コイルのターン数Nは、例えば、導体板の加熱に必要な容量を得るための電圧および電流が、コイルに与えることができる範囲内でコイルに与えられるように定められる。
前述したように、図1および図2において、コア1120、1220の第1脚部1122、1222に最も近い位置に配置された銅パイプ1111c~1111d、1211c~1211d、2111c~2111d、2211c~2211dが、第1脚部1122、1222の先端面(導体板Mと間隔を有して対向する端面)よりも導体板Mから遠い位置に配置されるのが好ましい。本発明者らは、誘導加熱装置に対する電磁界解析の結果等から、以下の(11)式を満たすのがより一層好ましいという知見を得た。
d≧K2÷5 ・・・(11)
d≧K2÷5 ・・・(11)
d(mm)は、図1および図2に示すように、退避第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211d、2111c、2111d、2211c、2211dの導体板M側の表面と、コア1120、1220の第1脚部1122、1222の先端面と、の導体板Mの板厚方向(z軸方向)の距離である。本実施形態では、(11)式を満たすことにより、コアの第1脚部(例えば第1脚部1122)に最も近い位置に配置された第1導体部(例えば、退避第1銅パイプ1111c)と、当該第1脚部の先端面と、の導体板Mの板厚方向(z軸方向)の距離が、スロットの深さ(例えばスロット1121aの深さK2)の1/5倍以上であることが実現される。
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を説明する。
本実施形態では、図1および図2に示すように、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)における銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの並び数の最大値が2である場合を例示した。しかしながら、コアの1つのスロットにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)における銅パイプの並び数の最大値は3以上であっても良い。図7は、このようにする場合の誘導加熱装置7000の構成の一例を示す図である。図7は、図1および図2と同様に、導体板Mの幅方向(x軸方向)に垂直に切った断面を示す図である。図7において、誘導加熱装置7000は、上側誘導器7100と、下側誘導器7200と、を有する。上側誘導器7100、下側誘導器7200は、それぞれ、コイル7110、7210と、コア7120、7220と、を有する。図7では、コア7120、7220の1つのスロットにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)における銅パイプ7111a~7111p、7211a~7111pの並び数の最大値が3である場合を例示する。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
本実施形態では、図1および図2に示すように、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)における銅パイプ1111a~1111h、1211a~1211h、2111a~2111j、2211a~2211jの並び数の最大値が2である場合を例示した。しかしながら、コアの1つのスロットにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)における銅パイプの並び数の最大値は3以上であっても良い。図7は、このようにする場合の誘導加熱装置7000の構成の一例を示す図である。図7は、図1および図2と同様に、導体板Mの幅方向(x軸方向)に垂直に切った断面を示す図である。図7において、誘導加熱装置7000は、上側誘導器7100と、下側誘導器7200と、を有する。上側誘導器7100、下側誘導器7200は、それぞれ、コイル7110、7210と、コア7120、7220と、を有する。図7では、コア7120、7220の1つのスロットにおいて、導体板Mの板厚方向(z軸方向)における銅パイプ7111a~7111p、7211a~7111pの並び数の最大値が3である場合を例示する。
また、本実施形態では、図1および図2に示すように、1つのスロット(例えばスロット1121a)において、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211f、2111a~2111f、2211a~2211fに対して、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が重複するように当該第1銅パイプよりも導体板Mから遠い位置に配置される第2銅パイプの数の最大値が1である場合を例示した(第2銅パイプ1111g、1111h、1211g、1211h、2111g~2111h、2111i~2111j、2211g~2211h、2211i~2211jを参照)。しかしながら、このような第2銅パイプの数の最大値は2以上であっても良い。図7では、このような第2銅パイプの数の最大値が2である場合を例示する(第2銅パイプ7111g~7111h、7111i~7111j、7111m~7111n、7111o~7111p、7111g~7111h、7211i~7211j、7211m~7211n、7211o~7211pを参照)。
また、本実施形態では、退避第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211d、2111c、2111d、2211c、2211dに対して、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が重複するように当該退避第1銅パイプよりも導体板Mから遠い位置に配置される第2銅パイプがない場合を例示した。しかしながら、退避第1銅パイプに対して、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の少なくとも一部が重複するように当該退避第1銅パイプよりも導体板Mから遠い位置に配置される第2銅パイプが配置されても良い。図7では、第2銅パイプ7111k~7111l、7211k~7211lがこのような第2銅パイプである場合を例示する。
また、本実施形態では、1つの第1銅パイプ1111b、1111e、1211b、1211e、2111a~2211b、2111e~2111f、2211a~2211b、2211e~2211fに対して、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の全部が当該第1銅パイプと重複するように第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hを配置する場合を例示した。しかしながら、1つの第1銅パイプに対して、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の全部ではなく一部が当該第1銅パイプと重複するように第2銅パイプを配置しても良い。図8は、このようにする場合の誘導加熱装置8000の構成の一例を示す図である。図8は、図1および図2と同様に、導体板Mの幅方向(x軸方向)に垂直に切った断面を示す図である。図8において、誘導加熱装置8000は、上側誘導器8100と、下側誘導器8200と、を有する。上側誘導器8100、下側誘導器8200は、それぞれ、コイル8110、8210と、コア1120、1220と、を有する。図8に示す誘導加熱装置8000は、図1に示す誘導加熱装置1000の第2銅パイプ1111g、1111h、1211g、1221hの位置を変更したものである。図8では、1つの第1銅パイプ1111a~1111b、1111e~1111f、1211a~1211b、1211e~1211fに対して、加熱長方向(y軸方向)の位置(y座標)の一部が重複するように、第2銅パイプ1111g、1111h、1211g、1221hがそれぞれ配置される場合を例示する。
また、本実施形態では、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、退避第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1221d、2111c、2111d、2211c、2221dが、それぞれ、他の第1銅パイプ1111a~1111b、1111e~1111f、1211a~1211b、1211e~1211f、2111a~2111b、2111e~2111f、2211a~2211b、2211e~2211fよりも導体板Mから遠い位置にある場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。図9は、このようにする場合の誘導加熱装置9000の構成の一例を示す図である。図9は、図1および図2と同様に、導体板Mの幅方向(x軸方向)に垂直に切った断面を示す図である。図9において、誘導加熱装置9000は、上側誘導器9100と、下側誘導器9200と、を有する。上側誘導器9100、下側誘導器9200は、それぞれ、コイル9110、9210と、コア9120、9220と、を有する。図9に示す誘導加熱装置9000は、図1に示す誘導加熱装置1000に対し、第1銅パイプ1111a~1111b、1111e~1111f、1211a~1211b、1211e~1211fの位置と、第2銅パイプ1111g、1111h、1211g、1211hの位置と、を変更すると共に、コア9120、9220のスロットの深さを深くしたものである。図9では、退避第1銅パイプ1111c、1111d、1211c、1211dの導体板Mの板厚方向(z軸方向)の位置と、その他の第1銅パイプ1111a~1111b、1111e~1111f、1211a~1211b、1211e~1211fの導体板Mの板厚方向(z軸方向)の位置と、を、それぞれ同じにする場合を例示する。また、図9では、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fが、それぞれ、コア9120、9220の第1脚部の先端面(導体板Mと間隔を有して対向する端面)よりも導体板Mから遠い位置に配置される場合を例示する。
また、本実施形態では、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fおよび第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hがそれぞれ異なるターンを構成する場合を例示した。すなわち、本実施形態では、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置される全ての第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fが、当該スロットに配置される全ての第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hと異なるターンを構成する場合を例示した。この場合、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置される第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fの中に、当該スロットに配置される第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hと並列に接続される銅パイプはない。
このようにすれば、誘導加熱装置1000、2000の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、コイル1110、1210のターン数Nをより多くすることができるので好ましい。しかしながら、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに、コイル1110、1210、2110、2210において異なるターンを構成する第1銅パイプおよび第2銅パイプが少なくとも1つずつあれば、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bに配置される第1銅パイプの中に、当該スロットに配置される第2銅パイプと直列に接続される銅パイプが少なくとも1つあれば良い。このようにしない場合に比べて、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、コイルのターン数Nを多くすることができるからである。
また、本実施形態では、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、第1銅パイプ1111a~1111f、1211a~1211fおよび第2銅パイプ1111g~1111h、1211g~1211hの大きさおよび形状が同じである場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、1つのスロット1121a、1121b、1221a、1221bにおいて、退避第1銅パイプ以外の銅パイプの方が、退避第1銅パイプよりも、導体板Mの板厚方向(z軸方向)の長さが短くても良い。また、このようにした状態で、退避第1銅パイプの導体板M側の端面と、その他の第1銅パイプの導体板M側の端面と、の導体板Mの板厚方向(z軸方向)の位置を同じにしても良い。このようにすれば、例えば、図9に例示する場合よりも、コアのスロットの深さを浅くすることができる。
また、本実施形態では、コア1120、1220が有する脚部の数が3つである(いわゆるE形コア)である場合を例示した。しかしながら、コアが有する脚部の数は3つに限定されない。コアが有する脚部の数は2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。コアが有する複数の脚部にそれぞれ別のコイルが配置される場合、それらのコイルの全てが、前述したようにして定められる第1銅パイプおよび第2銅パイプを有するのが好ましい。このようにしない場合に比べ、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、コイルのターン数Nをより多くことを、全ての脚部に配置されたコイルについて実現することができるからである。しかしながら、それらのコイルのうち、導体板Mの板厚方向(z軸方向)において対向する位置にあるコイルのペアのうちの少なくとも1つのペアについて、前述したようにして定められる第1銅パイプおよび第2銅パイプを有していれば良い。このようにしない場合に比べて、誘導加熱装置の加熱長方向(y軸方向)の長さが長くなることを抑制しつつ、コイルのターン数Nを多くすることができるからである。
(その他の実施形態)
なお、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
なお、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、例えば、導体板を加熱することに利用することができる。
Claims (6)
- 導体板を間に挟んで相互に対向するように配置された上側誘導器および下側誘導器を有し、
前記導体板の板面に交番磁界を交差させることによって当該導体板を誘導加熱するトランスバース方式の誘導加熱装置であって、
前記上側誘導器および前記下側誘導器のそれぞれは、コイルと、コアとを有し、
前記コイルのターン数は、2以上であり、
前記コアは、前記コイルが配置される空間であるスロットを有し、
前記コイルは、相互に電気的に接続された複数の導体部を有し、
前記導体部は、少なくとも1つの第1導体部と、少なくとも1つの第2導体部と、を有し、
前記第1導体部は、1つの前記スロットにおける加熱長方向の各位置において最も前記導体板に近い位置にある前記導体部であり、
前記第2導体部は、1つの前記スロットにおいて、少なくとも1つの前記第1導体部よりも前記導体板から遠い位置に配置される前記導体部であり、
1つの前記スロットにおいて、少なくとも1つの前記第1導体部の加熱長方向の位置の少なくとも一部と、少なくとも1つの前記第2導体部の加熱長方向の位置の少なくとも一部と、は相互に重複し、
前記加熱長方向は、前記導体板の搬送方向に平行な方向であり、
1つの前記スロットには、前記第1導体部に電気的に直列に接続される前記第2導体部が少なくとも1つある、トランスバース方式の誘導加熱装置。 - 前記導体部は、前記コイルに流れる交流電流により前記コアが励磁されているときに当該導体部が配置される前記スロット内において最も磁束密度が高い領域に配置されていない、請求項1に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
- 前記最も磁束密度が高い領域よりも前記導体板から遠い位置に、当該最も磁束密度が高い領域に対して前記加熱長方向の位置の少なくとも一部が重複するように、前記第1導体部が配置されている、請求項2に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
- 前記コアは、第1脚部と、第2脚部と、第3脚部と、を有し、
前記第2脚部および前記第3脚部は、前記第1脚部に対して前記加熱長方向の両側において当該第1脚部と間隔を有する状態で配置され、
1つの前記スロットにおいて前記第1脚部に最も近い位置に配置されている前記第1導体部は、前記第1脚部の先端面よりも前記導体板から遠い位置に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。 - 1つの前記スロットにおいて前記第1脚部に最も近い位置に配置されている前記第1導体部と、当該第1脚部の先端面と、の前記導体板の板厚方向の距離は、前記スロットの深さの1/5倍以上である、請求項4に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
- 1つの前記スロットには、前記加熱長方向に複数の前記導体部が配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
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PCT/JP2023/026780 WO2024024670A1 (ja) | 2022-07-29 | 2023-07-21 | トランスバース方式の誘導加熱装置 |
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2023
- 2023-07-21 WO PCT/JP2023/026780 patent/WO2024024670A1/ja unknown
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