JP2008257927A - トランスバース方式誘導加熱コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にすることができるトランスバース方式誘導加熱コイル2を提供すること。
【解決手段】搬送される金属板材1の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Aと、もう片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Bを備え、双方のコイル導体に相互に反対方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、双方のコイル導体の平面形状はいずれも山部と谷部が交互に連続する波形状であり、双方のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように、双方のコイル導体を前記金属板材1を挟んで対向して配置したトランスバース方式誘導加熱コイル2。
【選択図】図1

Description

本発明は、搬送される金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルに関し、特に搬送される金属板材の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、金属板材のエッジ部(両側縁部)が過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできるトランスバース方式誘導加熱コイルに関する。
搬送される金属板材を誘導加熱する方式としては、ソレノイド方式とトランスバース方式が知られている。
ソレノイド方式は、巻回状に形成した誘導加熱コイルの中に金属板材を通過させて、誘導加熱コイル内に発生させた交番磁界を金属板材の長手方向に貫通させて、その磁界の作用で金属板材を加熱する方式である。
一方、トランスバース方式は、一般的には、金属板材を挟むように対向して配置した誘導加熱コイルの間に金属板材を通過させて、誘導加熱コイル内に発生させた交番磁束を金属板材の板厚方向に貫通させて、その磁界の作用で金属板材を加熱する方式である。
ところで、後者のトランスバース方式は板幅方向の温度分布の制御が難しいため、板幅方向に均一に加熱しようとしても、板幅方向の温度分布が不均一になる欠点がある。具体的には、誘導加熱コイルの長さUが金属板材の板幅Wより長い場合には、誘起された誘導電流が金属板材のエッジ部を集中して流れるため、金属板材のエッジ部が局部的に過熱されるオーバーヒートが発生する。反対に、誘導加熱コイルの長さUが金属板材の板幅Wより短い場合には、金属板材のエッジ部を流れる誘導電流が減少して、エッジ部の温度が板中央部よりも低くなる。すなわち、トランスバース方式は、誘導加熱コイルの長さUを適当に設定しないと、板幅方向に均一に加熱しようとしても板幅方向の温度分布を均一にできない欠点がある。
このような理由から、搬送される金属板材の板幅寸法が変化して板幅寸法の異なる金属板材を誘導加熱する場合には、その都度金属板材の板幅寸法に適合した誘導加熱コイルに調整・交換しなければならなかった。そして、当該誘導加熱コイルの調整や交換作業は大変な労力や時間を伴って生産性が著しく阻害されるため、この問題を解決するために、従来から種々の誘導加熱装置または誘導加熱方法が提案されてきた(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、誘導加熱コイル(インダクタ)と金属板材のエッジ部との間に、金属板材との重ね幅が調整可能な非磁性遮蔽板を備えて、当該非磁性遮蔽板によって遮られたエッジ部以外の部分を誘導加熱コイルによって加熱した後、今度は搬送方向後段となる下流側に設置されたエッジヒータによって、エッジ部のみを加熱する誘導加熱装置と誘導加熱方法が開示されている。
当該装置または方法の原理については、非磁性遮蔽板をエッジ部に重ねて遮蔽することによってエッジ部の温度を板中央部よりも確実に低温にした後、今度はエッジ部のみをエッジヒータによって加熱することから、エッジ部が過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を確実に均一にできるというものである。また、非磁性遮蔽板は金属板材との重ね幅を調整できるので、搬送される金属板材の板幅寸法が変化したとしても、誘導加熱コイルを交換することなく、非磁性遮蔽板の重ね幅を調整するのみで対応できるというものである。
しかしながら、当該装置または方法においては、金属板材との重ね幅が調整可能な非磁性遮蔽板およびエッジヒータの設置が必要となるから設備構成が複雑となり、さらに、板中央部を加熱した後にエッジ部を加熱するという段階的な加熱を行うことから制御も複雑となった。また、当該段階的な加熱は、金属板材の反りや形状変化の要因となった。
特許文献2には、金属板材の長手方向に延設された一対の補助導体と、その上流側および下流側の板幅方向に延設された一対の主導体によって誘導加熱コイルを形成した誘導加熱装置が開示されている。
当該装置の原理については、補助導体の配置を調整することによって誘起された誘導電流を分散して流すことができるので、すなわち、誘導電流がエッジ部に集中して流れることを回避できるので、エッジ部のオーバーヒートを防止できるとともに板幅方向の温度分布を均一にできるというものである。また、補助導体は自在に移動できるので、搬送される金属板材の板幅寸法が変化したとしても、主導体および補助導体を交換することなく、補助導体の設置位置を調整するのみで対応できるというものである。
しかしながら、当該装置においては補助導体の配置を調整することによって誘導電流の流れ自体を制御するので、補助導体をどの位置に配置すべきかの決定が難しく、板幅方向の温度分布が均一となる位置に補助導体を配置できるようになるには多くの経験と熟練を要した。
特許文献3には、金属板材の板幅方向に沿って配置される誘導加熱コイルを少なくともエッジ側加熱コイルと中央側加熱コイルとに分割して構成し、当該分割された複数の加熱コイルの周波数・電流位相を同期させた個別の電力制御を行い、これにより板幅方向の温度分布を均一にする誘導加熱装置が開示されている。
当該装置の原理については、誘導加熱コイルを板幅方向に分割して構成することによって、当該複数の加熱コイルの周波数・電流位相を個別に電力制御することができるので、分割された各加熱コイル毎にパワー分配することが可能となり、これにより搬送される金属板材の板幅寸法が変化したとしても、板幅方向の温度分布を均一にできるというものである。
しかしながら、当該装置においては少なくともエッジ側加熱コイルと中央側加熱コイルとに分割して誘導加熱コイルを構成するので装置構成が複雑となるとともに、当該分割された複数の誘導加熱コイルの周波数・電流位相を同期させる必要があるので制御も複雑となった。
特許文献4には、金属板材を挟むように対向して配置した誘導加熱コイルの間であって、金属板材のエッジ部近傍に磁性体を配置した誘導加熱装置が開示されている。
当該装置の原理については、誘導加熱コイル内に発生させた交番磁束は、金属板材のエッジ部近傍に配置した磁性体を集中的に通過するため、エッジ部を貫通する交番磁束が減少し、誘起された誘導電流がエッジ部に集中して流れることを回避できるので、エッジ部のオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるというものである。また、前記磁性体は自在に移動できることから、搬送される金属板材の板幅寸法が変化したとしても、前記磁性体の配置を調整するのみで対応できるというものである。
しかしながら、当該装置においては磁性体の配置を調整することによってエッジ部を貫通する交番磁束の磁束密度自体を制御するので、磁性体をエッジ部近傍のどの位置に配置すべきかの決定が難しく、板幅方向の温度分布が均一となる位置に磁性体を配置できるようになるには多くの経験と熟練を要した。
以上のようにトランスバース方式の欠点を改善して板幅方向に均一な加熱を実現すべく、従来から種々の誘導加熱装置または誘導加熱方法が提案されてきた。
しかしながら、搬送される金属板材の板幅寸法が変化して板幅寸法の異なる金属板材を誘導加熱する場合には、上記いずれの誘導加熱装置または誘導加熱方法においても、エッジ部近傍に配置した非磁性遮蔽板、補助導体、磁性体等の配置を調整するか、あるいは、分割されたコイル毎の電力調整が必要であり、しかも当該磁性体等の配置調整や電力調整は複雑なものであった。
すなわち、現段階においては、金属板材の板幅寸法の変化に対して自動的に対応することのできる誘導加熱装置、誘導加熱方法、および誘導加熱コイルは皆無である。
特開昭63−133484号公報 特開平2−46684号公報 特開2002−313547号公報 特開2006−294396号公報
本発明の解決すべき課題は、搬送される金属板材の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にすることができるトランスバース方式誘導加熱コイルを提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく様々な実験的検討および理論的検討を重ねた結果、以下の技術的知見を得た。
(A)第1の技術的知見
平面形状が山部と谷部が交互に連続する波形状のコイル導体を2本用意し、図1に示すように、一方のコイル導体Aを金属板材1の片面側の板幅方向に、他方のコイル導体Bを金属板材のもう片面側の板幅方向に延設する。この際に、双方のコイル導体A、Bは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材1を挟んで対向して配置する。そして、双方のコイル導体に相互に反対方向の交番電流iを流す。
そうすると、図2に示すように、コイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部で囲まれた領域3には、当該領域3に沿って誘導電流iが循環する誘導電流路4が生成され、コイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部で囲まれた領域3´には、当該領域3´に沿って循環する、領域3とは誘導電流iの循環する向きが反対方向の誘導電流路4´が生成される。
当該生成された誘導電流路4と誘導電流路4´は、図2に示すように金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合うが、誘起された誘導電流iの循環する向きが相互に反対方向であるので、相互に独立したものとなる。このため、誘導電流路4を生成するコイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部、および誘導電流路4´を生成するコイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部のそれぞれの部分は、独立した誘導加熱コイルということができる。
したがって、金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合う、各々が独立した誘導電流路4、4´を生成する、金属板材を挟んで対向して配置されたコイル導体Aとコイル導体Bを備える当該誘導加熱コイルは、金属板材の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成して、金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
すなわち、本発明者が得た第1の技術的知見は、このような波形状のコイル導体を金属板材1を挟んで対向して配置したトランスバース方式誘導加熱コイル2は、前記したように金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできるということである。
さらには、図3に示すように、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、形成された各々の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるということである。
(B)第2の技術的知見
平面形状が山部と谷部が交互に連続する波形状のコイル導体を2本用意し、図4に示すように、一方のコイル導体Aを金属板材1の片面側の板幅方向に、他方のコイル導体Bを金属板材の同一面側、すなわち、コイル導体Aと同じ面側の板幅方向に延設する。この際に、双方のコイル導体A、Bは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材1の片面側に重ねて配置する。そして、双方のコイル導体A、Bに相互に反対方向の交番電流iを流す。
そうすると、図5に示すように、コイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部で囲まれた領域3には、当該領域3に沿って誘導電流iが循環する誘導電流路4が生成され、コイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部で囲まれた領域3´には、当該領域3´に沿って循環する、領域3とは誘導電流iの循環する向きが反対方向の誘導電流路4´が生成される。
当該生成された誘導電流路4と誘導電流路4´は、図5に示すように金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合うが、誘起された誘導電流iの循環する向きが相互に反対方向であるので、相互に独立したものとなる。このため、誘導電流路4を生成するコイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部、および誘導電流路4´を生成するコイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部のそれぞれの部分は、独立した誘導加熱コイルということができる。
したがって、金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合う、各々が独立した誘導電流路4、4´を生成する、金属板材の片面側に重ねて配置されたコイル導体Aとコイル導体Bを備える当該誘導加熱コイルは、金属板材の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成して、金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
すなわち、本発明者が得た第2の技術的知見は、このような波形状のコイル導体を金属板材1の片面側に重ねて配置したトランスバース方式誘導加熱コイル2は、前記したように金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできるということである。
さらには、図6に示すように、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、形成された各々の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるということである。
(C)第3の技術的知見
平面形状が山部と谷部が交互に連続する波形状のコイル導体を2本用意し、図7に示すように、一方のコイル導体Aを金属板材1の片面側の板幅方向に、他方のコイル導体Bを金属板材の同一面側、すなわち、コイル導体Aと同じ面側の板幅方向に延設する。この際に、双方のコイル導体A、Bは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材の片面側に重ねて配置する。
さらに、平面形状が山部と谷部が交互に連続する波形状のコイル導体を2本用意し、一方のコイル導体Cを金属板材のもう片面側の板幅方向に、他方のコイル導体Dを金属板材の同一面側、すなわち、コイル導体Cと同じ面側の板幅方向に延設する。この際に、コイル導体Cについては、コイル導体Aの波の中心線と重なるように、かつ、波の位相が一致するように金属板材を挟んで対向して配置する。コイル導体Dについては、コイル導体Bの波の中心線と重なるように、かつ、波の位相が一致するように金属板材を挟んで対向して配置する。
そして、コイル導体Aとコイル導体Bには相互に反対方向の、コイル導体Cにはコイル導体Aと同一方向の、コイル導体Dにはコイル導体Bと同一方向の交番電流iを流す。
そうすると、図8に示すように、コイル導体A、Cの山部とコイル導体B、Dの谷部で囲まれた領域3には、当該領域3に沿って誘導電流iが循環する誘導電流路4が生成され、コイル導体A、Cの谷部とコイル導体B、Dの山部で囲まれた領域3´には、当該領域3´に沿って循環する、領域3とは誘導電流iの循環する向きが反対方向の誘導電流路4´が生成される。
当該生成された誘導電流路4と誘導電流路4´は、図8に示すように金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合うが、誘起された誘導電流iの循環する向きが相互に反対方向であるので、相互に独立したものとなる。このため、誘導電流路4を生成するコイル導体A、Cの山部とコイル導体B、Dの谷部、および誘導電流路4´を生成するコイル導体A、Cの谷部とコイル導体B、Dの山部のそれぞれの部分は、独立した誘導加熱コイルということができる。
したがって、金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合う、各々が独立した誘導電流路4、4´を生成する、コイル導体A、コイル導体B、コイル導体C、およびコイル導体Dを備える当該誘導加熱コイルは、金属板材の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成して、金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
すなわち、本発明者が得た第3の技術的知見は、このような波形状のコイル導体4本を備えるトランスバース方式誘導加熱コイル2は、前記したように金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできるということである。
さらには、図9に示すように、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、形成された各々独立の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるということである。
上記の知見に基づき、本発明者は、搬送される金属板材の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にすることができるトランスバース方式誘導加熱コイルに想到した。その要旨とするところは以下の通りである。
(1)搬送される金属板材の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体と、もう片面側の板幅方向に延設されたコイル導体を備え、双方のコイル導体に相互に反対方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、双方のコイル導体の平面形状はいずれも山部と谷部が交互に連続する波形状であり、双方のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように、双方のコイル導体を前記金属板材を挟んで対向して配置したトランスバース方式誘導加熱コイル。
(2)搬送される金属板材の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体と、同一面側の板幅方向に延設されたコイル導体を備え、双方のコイル導体に相互に反対方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、双方のコイル導体の平面形状はいずれも山部と谷部が交互に連続する波形状であり、双方のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように、双方のコイル導体を前記金属板材の片面側に重ねて配置したトランスバース方式誘導加熱コイル。
(3)金属板材の片面側に重ねて配置した前記(2)に記載のコイル導体を前記金属板材の片面側ともう片面側に備え、片面側ともう片面側のコイル導体に同一方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、片面側ともう片面側のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、片面側ともう片面側のコイル導体の波の位相が一致するように、片面側ともう片面側のコイル導体を前記金属板材を挟んで対向して配置した前記(2)に記載のトランスバース方式誘導加熱コイル。
(イ)本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルは、金属板材の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にすることができる。
(ロ)本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルは、形成された各々の誘導加熱コイルが相互に独立した誘導電流路を生成するので、搬送される金属板材の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にすることができる。
以下、図1〜図12を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第1の形態を示す模式図であり、(a)は金属板材の反対側を透視した平面図、(b)は(a)図のX1−X1線断面図である。
図1に示すように、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、平面形状が山部と谷部が交互に連続する波形状のコイル導体を少なくとも2本備え、一方のコイル導体Aは金属板材1の片面側の板幅方向に、そして他方のコイル導体Bは金属板材のもう片面側の板幅方向に延設される。また、双方のコイル導体A、Bは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材1を挟んで対向して配置される。ここで、波の位相が反転するとは、前記波の中心線を軸としてコイル導体Aを反転させたときにコイル導体Bの位相と一致することをいう。
すなわち、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第1の形態は、本発明者が得た第1の技術的知見に基づいて完成されたものであり、その形態としては、前記波形状のコイル導体を金属板材1を挟んで対向して配置したトランスバース方式誘導加熱コイル2に関するものである。
ここで、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、コイル導体の平面形状が波形状であることだが、当該波形(なみがた)には、図1(a)に示すような台形とこれを反転したものが交互に連続する波形状のほか、矩形波、三角波、正弦波を含む。
双方のコイル導体は接続導体7によって交番電源8に接続され、コイル導体Aとコイル導体Bは接続導体7によって接続される。図1(a)に記載の矢印は、ある瞬間における交番電流iの流れる方向を図示したものであり、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2においては、当該図に示すように双方のコイル導体に相互に反対方向となる交番電流iを流す。
なお、図1(b)に記載の記号○の中の小さな●は、コイル導体内を流れる交番電流iが紙面の裏面側から表面側に向かって流れることを、記号○の中の×は、コイル導体内を流れる交番電流iが紙面の表面側から裏面側に向かって流れることを示している。
図2は、双方のコイル導体に相互に反対方向となる交番電流iを流すことによって、金属板材1内に誘起された誘導電流iの循環する位置と循環する方向を示す模式図である。図2に示すようにコイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部で囲まれた領域3には、当該領域3に沿って誘導電流iが循環する誘導電流路4が生成され、コイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部で囲まれた領域3´には、当該領域3´に沿って循環する、誘導電流iの循環する向きが領域3とは反対方向の誘導電流路4´が生成される。
当該生成された誘導電流路4と誘導電流路4´は、図2に示すように金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合うが、金属板材1内に誘起された誘導電流iの循環する向きが相互に反対方向であるので、相互に独立したものとなる。
このため、誘導電流路4を生成するコイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部、および誘導電流路4´を生成するコイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部のそれぞれの部分は、金属板材1の板厚方向に交番磁界を貫通させて、金属板材1を誘導加熱する独立した誘導加熱コイルということができる。
したがって、金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合う、各々が独立した誘導電流路4、4´を生成する、金属板材1を挟んで対向して配置されたコイル導体Aとコイル導体Bを備える当該誘導加熱コイル2は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成して、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
例えば、図1〜図2に例示した本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを4つ形成して、当該形成された各々独立の4つの誘導加熱コイルが、金属板材1の板厚方向に各々独立の交番磁界を貫通させて、金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
すなわち、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、金属板材1内に誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて当該エッジ部が過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできることであるが、これは、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導電流路を生成するので、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるのである。
また、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできることであるが、これについても、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、図3に示すように当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導電流路を生成するので、従来技術に係る誘導加熱装置や誘導加熱方法とはまったく異なり、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるのである。
図1〜図3に例示した本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、前記平面形状が波形状のコイル導体を2本備えたものであるが、コイル導体の数はこれに限定されるものではない。図10は、金属板材1の片面側の板幅方向にコイル導体Aを2本延設し、金属板材のもう片面側の板幅方向にコイル導体Bを2本延設した本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の例である。
このように1本のコイル導体Aと1本のコイル導体Bからなるコイル導体の組11を2組延設する場合においては、図10(a)に示すように、上流側のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路と、下流側のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路が千鳥に配置されるように、上流側のコイル導体の組11と下流側のコイル導体の組11を配置することが望ましい。図10(a)は、上流側のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路4と誘導電流路4´の間に、下流側のコイル導体の組11による誘導電流路4が生成されるように、上流側のコイル導体の組11と下流側のコイル導体の組11を配置した例である。上流側のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路4と誘導電流路4´は相互に独立であるため、誘導電流路4と誘導電流路4´の間に位置する部位の誘導加熱温度は誘導電流路4、4´が生成される領域よりも若干低くなるが、このように上流側のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路4と誘導電流路4´の間に、下流側のコイル導体の組11によって誘導電流路4が生成されるようにすると、板幅方向の温度分布をより均一にすることができる。
図11は、金属板材1の片面側の板幅方向にコイル導体Aを6本延設し、金属板材のもう片面側の板幅方向にコイル導体Bを6本延設した、すなわち、1本のコイル導体Aと1本のコイル導体Bからなるコイル導体の組11を6組延設した本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の例である。この例においては、最上流側のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路4と誘導電流路4´の間に、次段のコイル導体の組11による誘導電流路4が生成されるように、また、当該コイル導体の組11によって生成される誘導電流路4と誘導電流路4´の間に、さらに次段のコイル導体の組11による誘導電流路4が生成されるように6組のコイル導体の組11を配置し、板幅方向の温度分布をより均一にできるようにしている。このように上流側から下流側に向かってコイル導体の組11を複数段配置すると、金属板材の温度上昇速度を細かく設定することができるので、焼鈍設備、メッキ層の合金化処理設備、乾燥設備等、厳しい温度管理が要求される設備に適用した場合の効果は甚大である。
なお、図11においては、ある段におけるコイル導体の組11によって生成される誘導電流路4と誘導電流路4´の間に、次段のコイル導体の組11によって生成される誘導電流路4の中心、より具体的には、当該誘導電流が循環する領域の中心が配置されるようにコイル導体の組11を配置しているが、当該コイル導体の組11の配置はこれに限定されるものではない。
また、図11においては、上流側から初段、三段および五段目に配置されるコイル導体の板幅方向の位相が一致するように、同様に、上流側から二段、四段および六段目に配置されるコイル導体の板幅方向の位相が一致するようにコイル導体の組11を配置しているが、当該コイル導体の組11の配置はこれに限定されるものではなく、例えば、初段〜六段目に配置されるコイル導体の板幅方向の位相がすべての段において異なるように、各段に配置されるコイル導体の板幅方向の位相をシフトしてもよい。
次に、本発明者が得た第2の技術的知見に基づいて完成された、別の形態の本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2について説明する。
図4は本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第2の形態を示す模式図であり、(a)は金属板材の反対側を透視した平面図、(b)は(a)図のX2−X2線断面図である。
すなわち、上記説明した本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第1の形態(以下、第1の形態と表記する。)が、前記波形状のコイル導体を金属板材1を挟んで対向して配置するのに対し、これから説明する本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第2の形態(以下、第2の形態と表記する。)は、前記波形状のコイル導体を金属板材1の片面側に重ねて配置するものである。
より具体的には、第2の形態は、図4に示すように前記波形状のコイル導体を少なくとも2本備え、一方のコイル導体Aは金属板材1の片面側の板幅方向に、そして他方のコイル導体Bは金属板材の同一面側、すなわち、コイル導体Aと同じ面側の板幅方向に延設される。また、双方のコイル導体A、Bは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材1の片面側に重ねて配置される。
ここで、金属板材1の片面側に重ねて配置するとは、コイル導体Aとコイル導体Bの間に間隙を設けてコイル導体Aとコイル導体Bが接しないように重ねて配置する場合と、前記間隙を設けないで双方のコイル導体が接するように重ねて配置する場合の双方を含み、いずれの配置であってもよい。また、コイル導体Aとコイル導体Bが交差する波の中心線上の部分を鞍状に形成して、当該鞍状部分において一方のコイル導体が他方のコイル導体を跨ぐようにしてもよい。
第2の形態においても第1の形態と同様に、双方のコイル導体A、Bに相互に反対方向の交番電流iを流す。図5は、双方のコイル導体に相互に反対方向となる交番電流iを流すことによって、金属板材1内に誘起された誘導電流iの循環する位置と循環する方向を示す模式図である。
図5に示すようにコイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部で囲まれた領域3には、当該領域3に沿って誘導電流iが循環する誘導電流路4が生成され、コイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部で囲まれた領域3´には、当該領域3´に沿って循環する、誘導電流iの循環する向きが領域3とは反対方向の誘導電流路4´が生成される。
当該生成された誘導電流路4と誘導電流路4´は、図5に示すように金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合うが、金属板材1内に誘起された誘導電流iの循環する向きが相互に反対方向であるので、相互に独立したものとなる。
このため、誘導電流路4を生成するコイル導体Aの山部とコイル導体Bの谷部、および誘導電流路4´を生成するコイル導体Aの谷部とコイル導体Bの山部のそれぞれの部分は、金属板材1の板厚方向に交番磁界を貫通させて、金属板材1を誘導加熱する独立した誘導加熱コイルということができる。
したがって、金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合う、各々が独立した誘導電流路4、4´を生成する、金属板材1の片面側に重ねて配置されたコイル導体Aとコイル導体Bを備える第2の形態は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成して、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
例えば、図4〜図5に例示した第2の形態は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを4つ形成して、当該形成された各々独立の4つの誘導加熱コイルが、金属板材1の板厚方向に各々独立の交番磁界を貫通させて、金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
すなわち、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、金属板材1内に誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて当該エッジ部が過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできることであるが、これは、第2の形態においても、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導電流路を生成するので、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるのである。
また、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできることであるが、これは、第2の形態においても、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、図6に示すように当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導電流路を生成するので、従来技術に係る誘導加熱装置や誘導加熱方法とはまったく異なり、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるのである。
図4〜図6に例示した第2の形態は、前記平面形状が波形状のコイル導体を2本備えたものであるが、コイル導体の数はこれに限定されるものではない。
第1の形態におけるコイル導体の組11が、金属板材1の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Aと、もう片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Bからなるコイル導体の組11を指すのに対して、第2の形態におけるコイル導体の組11が、金属板材1の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Aと、同一面側の板幅方向に延設されたコイル導体Bからなるコイル導体の組11を指す点において両者は異なる。
しかし、第2の形態においても第1の形態と同様に、1本のコイル導体Aと1本のコイル導体Bからなるコイル導体の組11を金属板材1の上流側から下流側に向かって2段配置することにより、板幅方向の温度分布をより均一にすることができる。また、第2の形態においても第1の形態と同様に、コイル導体の組11を金属板材1の上流側から下流側に向かって複数段配置することにより、金属板材の温度上昇速度を細かく設定することができる。
次に、本発明者が得た第3の技術的知見に基づいて完成された、さらに別の形態の本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2について説明する。
図7は本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第3の形態を示す模式図であり、(a)は金属板材の反対側を透視した平面図、(b)は(a)図のX3−X3線断面図である。
図7に示すように、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の第3の形態(以下、第3の形態と表記する。)は、前記波形状のコイル導体を少なくとも4本備えた形態である。そして、4本のコイル導体のうちのコイル導体Aは金属板材1の片面側の板幅方向に、コイル導体Bは金属板材の同一面側、すなわち、コイル導体Aと同じ面側の板幅方向に延設される。この際に、双方のコイル導体A、Bは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材の片面側に重ねて配置される。
さらに、コイル導体Cは金属板材のもう片面側の板幅方向に、コイル導体Dは金属板材の同一面側、すなわち、コイル導体Cと同じ面側の板幅方向に延設させる。この際に、コイル導体Cについては、コイル導体Aの波の中心線と重なるように、かつ、波の位相が一致するように金属板材1を挟んで対向して配置される。コイル導体Dについては、コイル導体Bの波の中心線と重なるように、かつ、波の位相が一致するように金属板材を挟んで対向して配置される。換言すると、コイル導体C、Dは、波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように金属板材1のもう片面側に重ねて配置される。
ここで、金属板材1のもう片面側に重ねて配置するとは、コイル導体Cとコイル導体Dの間に間隙を設けてコイル導体Cとコイル導体Dが接しないように重ねて配置する場合と、前記間隙を設けないで双方のコイル導体が接するように重ねて配置する場合の双方を含み、いずれの配置であってもよい。また、コイル導体Cとコイル導体Dが交差する波の中心線上の部分を鞍状に形成して、当該鞍状部分において一方のコイル導体が他方のコイル導体を跨ぐようにしてもよい。
なお、金属板材の反対側を透視した平面図である図7(a)、図8、および図9においては、コイル導体Cがコイル導体Aと重なるので、また、コイル導体Dがコイル導体Bと重なるので、コイル導体Cとコイル導体Dの図示を省略している。
第3の形態においては、図7(b)に示すようにコイル導体Aとコイル導体Bには相互に反対方向の、コイル導体Cにはコイル導体Aと同一方向の、コイル導体Dにはコイル導体Bと同一方向の交番電流iを流す。図8は、コイル導体A〜Dに対して前記方向の交番電流iを流すことによって、金属板材1内に誘起された誘導電流iの循環する位置と循環する方向を示す模式図である。
図8に示すようにコイル導体A、Cの山部とコイル導体B、Dの谷部で囲まれた領域3には、当該領域3に沿って誘導電流iが循環する誘導電流路4が生成され、コイル導体A、Cの谷部とコイル導体B、Dの山部で囲まれた領域3´には、当該領域3´に沿って循環する、誘導電流iの循環する向きが領域3とは反対方向の誘導電流路4´が生成される。
当該生成された誘導電流路4と誘導電流路4´は、図8に示すように金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合うが、金属板材1内に誘起された誘導電流iの循環する向きが相互に反対方向であるので、相互に独立したものとなる。
このため、誘導電流路4を生成するコイル導体A、Cの山部とコイル導体B、Dの谷部、および誘導電流路4´を生成するコイル導体A、Cの谷部とコイル導体B、Dの山部のそれぞれの部分は、金属板材1の板厚方向に交番磁界を貫通させて、金属板材1を誘導加熱する独立した誘導加熱コイルということができる。
したがって、金属板材1の板幅方向に交互に連続して隣り合う、各々が独立した誘導電流路4、4´を生成する、コイル導体A、コイル導体B、コイル導体C、およびコイル導体Dを備える第3の形態は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成して、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
例えば、図7〜図8に例示した第3の形態は、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを4つ形成して、当該形成された各々独立の4つの誘導加熱コイルが、金属板材1の板厚方向に各々独立の交番磁界を貫通させて、金属板材1を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイル2ということができる。
すなわち、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、金属板材1内に誘起された誘導電流iが金属板材のエッジ部を集中して流れて当該エッジ部が過熱するオーバーヒートを生じることなく、板幅方向の温度分布を均一にできることであるが、これは、第3の形態においても、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導電流路を生成するので、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるのである。
また、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の技術的特徴の一つは、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできることであるが、これは、第3の形態においても、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導加熱コイルを複数形成し、図9に示すように当該形成された各々独立の誘導加熱コイルが、金属板材1の板幅方向に相互に独立した誘導電流路を生成するので、従来技術に係る誘導加熱装置や誘導加熱方法とはまったく異なり、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にできるのである。
図7〜図9に例示した第3の形態は、前記平面形状が波形状のコイル導体を4本備えたものであるが、コイル導体の数はこれに限定されるものではない。
第1の形態におけるコイル導体の組11が、金属板材1の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Aと、もう片面側の板幅方向に延設されたコイル導体Bからなるコイル導体の組11を指すのに対して、第3の形態におけるコイル導体の組11が、金属板材1の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体A、Bと、もう片面側の板幅方向に延設されたコイル導体C、Dからなるコイル導体の組11を指す点において両者は異なる。
しかし、第3の形態においても第1の形態と同様に、4本のコイル導体A〜Dからなるコイル導体の組11を金属板材1の上流側から下流側に向かって2段配置することにより、板幅方向の温度分布をより均一にすることができる。また、第3の形態においても第1の形態と同様に、コイル導体の組11を金属板材1の上流側から下流側に向かって複数段配置することにより、金属板材の温度上昇速度を細かく設定することができる。
本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2を構成する前記波形状のコイル導体については、各々が絶縁処理された複数本の銅製コイル素線を絶縁テープ、ガラス繊維を撚り合わせた紐等で結束して、平面形状が波形状になるように形成し、これを絶縁ワニスで接着して、表面が絶縁処理された1本のコイル導体に形成するのが望ましい。
当該波形状のコイル導体の背面には、図12(a)に示すように鉄心5を固定するのが望ましい。鉄心5を背面に固定することで誘導加熱コイル2の磁気抵抗が減少し、これにより金属板材1への作用磁束を増加させることができる。すなわち、誘導加熱コイル2の加熱効率を増加させることができる。また、図12(b)に示すようにコイル導体と金属板材1との間隔が狭い場合には、誘導加熱コイル2の加熱効率をさらに増加させるために、コイル導体を囲むように鉄心5を固定することが望ましい。
コイル導体に固定する鉄心としては、電磁鋼板を積層した積層鉄心、アモルファスコア、フェライトコア等を用いることができ、絶縁ワニス等の接着剤によってコイル導体に固定するのが望ましい。また、ボルト等の機械的な手段によってコイル導体に固定することもできる。
コイル導体と交番電源8とを、およびコイル導体とコイル導体とを接続する接続導体7としては、コイル導体と同様に、各々が絶縁処理された複数本の銅製コイル素線を絶縁テープ、ガラス繊維を撚り合わせた紐等で結束し、これを絶縁ワニスで接着した表面が絶縁処理された接続導体7を用いることが望ましい。なお、コイル導体との接続部においては捻回を施すのが望ましい。捻回を施すことにより、コイル導体内を流れる交番電流iの電流分布を均一にすることができ、当該電流分布の均一化は、コイル導体内に大電流・高周波電流を流す場合に特に効果を発揮する。
以上説明したように、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、搬送される金属板材1の板幅寸法が変化しても、何らの調整を施すことなく、エッジ部にオーバーヒートを生じることなく板幅方向の温度分布を均一にすることができるので、鉄および鉄を主成分とする鋼、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン等の非鉄金属を誘導加熱する、焼鈍設備、メッキ層の合金化処理設備、乾燥設備のほか、前記金属板材を熱処理・メッキ・圧延に適した温度に誘導加熱する設備等、広範な範囲に亘って適用することができる。
また、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2は、金属板材1が水平方向に搬送される設備のほか、金属板材1が鉛直方向、斜め方向に搬送される設備においても上記効果を発揮するので、本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイル2の産業上利用性は極めて甚大である。
本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルの第1の形態を示す模式図であり、(a)は透視平面図、(b)は(a)のX1−X1線断面図である。 誘導電流iの循環位置と循環方向を示す模式図である。 金属板材の板幅寸法が変化したときの誘導電流iの循環位置と循環方向を示す模式図である。 本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルの第2の形態を示す模式図であり、(a)は透視平面図、(b)は(a)のX2−X2線断面図である。 誘導電流iの循環位置と循環方向を示す模式図である。 金属板材の板幅寸法が変化したときの誘導電流iの循環位置と循環方向を示す模式図である。 本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルの第3の形態を示す模式図であり、(a)は透視平面図、(b)は(a)のX3−X3線断面図である。 誘導電流iの循環位置と循環方向を示す模式図である。 金属板材の板幅寸法が変化したときの誘導電流iの循環位置と循環方向を示す模式図である。 本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルの一例を示す模式図であり、(a)は透視平面図、(b)は(a)のX4−X4線断面図である。 本発明に係るトランスバース方式誘導加熱コイルの一例を示す模式図である。 コイル導体に固定する鉄心の形態を示す模式図であり、(a)は鉄心の一形態を示す図、(b)は鉄心の別の形態を示す図である。
符号の説明
1 金属板材 2 誘導加熱コイル
3、3´ 領域 4、4´ 誘導電流路
5 鉄心 7 接続導体
8 交番電源 10 搬送用ロール
11 コイル導体の組
A、B、C、D コイル導体
交番電流 i 誘導電流
S 金属板材の搬送方向
U 誘導加熱コイルの長さ W 金属板材の板幅

Claims (3)

  1. 搬送される金属板材の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体と、
    もう片面側の板幅方向に延設されたコイル導体を備え、
    双方のコイル導体に相互に反対方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、
    双方のコイル導体の平面形状はいずれも山部と谷部が交互に連続する波形状であり、
    双方のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように、双方のコイル導体を前記金属板材を挟んで対向して配置したトランスバース方式誘導加熱コイル。
  2. 搬送される金属板材の片面側の板幅方向に延設されたコイル導体と、
    同一面側の板幅方向に延設されたコイル導体を備え、
    双方のコイル導体に相互に反対方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、
    双方のコイル導体の平面形状はいずれも山部と谷部が交互に連続する波形状であり、
    双方のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、双方のコイル導体の波の位相が反転するように、双方のコイル導体を前記金属板材の片面側に重ねて配置したトランスバース方式誘導加熱コイル。
  3. 金属板材の片面側に重ねて配置した請求項2に記載のコイル導体を前記金属板材の片面側ともう片面側に備え、
    片面側ともう片面側のコイル導体に同一方向の交番電流を流して、前記金属板材の板厚方向に交番磁界を貫通させて、前記金属板材を誘導加熱するトランスバース方式誘導加熱コイルであって、
    片面側ともう片面側のコイル導体の波の中心線が重なるように、かつ、片面側ともう片面側のコイル導体の波の位相が一致するように、片面側ともう片面側のコイル導体を前記金属板材を挟んで対向して配置した請求項2に記載のトランスバース方式誘導加熱コイル。
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