JP2008186589A - 金属板の誘導加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄い金属板であっても、磁性、非磁性を問わず加熱ができ、かつ板端部の過加熱を抑制できる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】周回する誘導コイルの内側を通過する金属板を誘導加熱する装置であって、金属板の表面側と裏面側の誘導コイルを構成する導体を、それぞれ前記金属板へ垂直投影した際の垂直投影像において、前記表面側と裏面側の導体同士が、前記金属板の長手方向に対して互いに重ならないように、前記導体同士をずらして配置するとともに、前記金属板の両端部とその両外側に位置する前記導体との間に、それぞれ磁性体コアを設けたことを特徴とする。
【選択図】図6(a)

Description

本発明は、鉄やアルミなどの鉄及び非鉄金属板の誘導加熱装置に関する。特に、金属板が薄板、厚板にかかわらず、非磁性状態でも金属板を効率よく加熱する誘導加熱装置において、特に金属板の端部の過加熱を抑制、又は温度を精度良く制御する誘導加熱装置に関する。
金属の高周波電流による誘導加熱は、焼き入れをはじめとして熱処理をするために広く使われている。鋼板やアルミ板などの鉄、非鉄の薄板も製造過程で材質を制御する目的で、加熱速度をあげて、生産性の向上や、生産量を自在に調整する目的などで、従来のガス加熱や電気加熱による間接加熱に代わる加熱方式として使用されてきている。
金属板を誘導加熱する場合には、大きく2つの方式がある。1つは、金属板の周囲を囲んだ誘導コイルに高周波電流を流し、発生した磁束が金属板の長手方向を貫通し、金属板の断面内に誘導電流を発生させ加熱するいわゆるLF(縦断磁束加熱)方式と呼ばれる誘導加熱方式と、金属板を1次コイルの巻かれたインダクターと呼ばれる磁性体の間に配置し、1次コイルに電流を通じ発生させた磁束をインダクターに通すことにより、インダクター間を流れる磁束を金属板が横切る様に通過することにより、金属板の平面に誘導電流が発生し誘導加熱するTF(横断加熱方式)方式である。
LF方式の誘導加熱は、温度分布の均一性が良いものの、発生する誘導電流は板断面内を循環するが、電流浸透深さの関係から、板厚が薄い場合には電源の周波数を高くしなければ誘導電流が発生せず、更に、非磁性材、あるいは磁性材でもキュリー点温度を超えたものは、電流の浸透深さが深くなるため板厚の薄いものは加熱ができないという課題がある。
一方、TF方式の誘導加熱は、磁束が金属板の平面を貫通するため、板厚や磁性、非磁性の区別無く加熱できるという特徴や、磁気抵抗の小さいインダクターを用いることにより漏れ磁束を少なくでき、金属板の表裏に対向するインダクター間に磁束を集中させることができるため加熱効率が高いという特徴がある。
その反面、温度分布の不均一が生じやすいという問題や、金属板が対向するインダクターの中心に無い場合、磁性材ではどちらかのインダクターに吸引され、より温度偏差がつきやすくなるという問題がある。
さらにTF方式の誘導加熱の場合、金属板の板幅変更や連続通板ラインでは蛇行した場合の対応が難しいという欠点がある。
これらの課題を解決するため、特許文献1では、帯板の進行方向の表面、裏面のシングルターンのコイルをずらして配置することが開示されている。
また、特許文献2では、被加熱材に面する誘導加熱コイルの長軸が湾曲するような菱形形状の誘導コイルが提案されている。
特許文献3は、本発明者による金属板を周回する誘導コイルを進行方向でシフトさせる誘導コイルを提案している。
特開2002−43042号公報 特開2002−151245号公報 特開2005−209608号公報
図1は、従来のLF方式の誘導加熱を示す模式図である。被加熱材である金属板1の周囲を高周波電源3に接続された誘導コイル2で囲み、1次電流5を通じることにより、金属板1の内部を磁束4が貫通し磁束4の周りに誘導電流が発生し、発生した誘導電流により金属板1を加熱する。図2は、誘導電流が金属板1の断面内に発生する様子を示す断面模式図を示す。
金属板1を貫通する磁束4により、金属板1の断面には誘導コイル2に流れる1次電流5と逆向きの方向に誘導電流6が流れる。この誘導電流6は、金属板1の表面から1式で示される電流浸透深さδの範囲に集中して流れる。
δ[mm]=5.03×10+5(ρ/μrf)0.5 ・・・ 1式
ここで、ρ:比抵抗[Ωm]、μr:比透磁率[−]、f:加熱周波数[Hz]
発生した誘導電流6は、図2に示す様に板断面の表裏で逆向きに流れるため、電流浸透深さδが深くなると、板表裏の誘導電流が互いに打ち消し合う結果、板断面内を電流が流れなくなってしまう。
金属は、温度の上昇に伴いρが上昇するため、δは温度上昇とともに深くなる。また、強磁性や常磁性の磁性材は、温度が上昇しキュリー点に近づくにつれμrが減少し、キュリー点を超えるとμrは1になる。
また、非磁性材もμrは1である。μrが小さくなると、1式より非磁性材、あるいは磁性材の場合はキュリー点直前からキュリー点を超える温度域では、電流浸透深さδが深くなり、薄い板厚の被加熱材では加熱ができなくなってしまう。
例えば、加熱周波数が10[KHz]の場合、常温で各種金属の電流浸透深さδは、非磁性のアルミで約1[mm]、SUS304で約4.4[mm]、磁性材の鋼では約0.2[mm]であるのに対し、磁性材である鋼がキュリー点を超えた750℃では電流浸透深さδは約5[mm]となる。
板内に発生する表裏電流が打ち消し合わないためには、板厚は最低でも、10[mm]以上必要であり、効率よくパワーを入れるためには、15[mm]程度の厚みが必要になる。
一般に、熱処理は、10数μmの箔のような薄板から100mmを超えるような厚板まで様々な厚みのものを対象としている。
例えば、使用量の多い金属板の代表的な素材である自動車や家電品に使用される鋼板は、通常冷間圧延の済んだ3[mm]前後より薄い板厚が多く、特に2[mm]以下の場合が多い。これらの材料をLF式で加熱するためには、加熱周波数を、数100[KHz]以上に上げる必要があるが、大容量で高い周波数の電源製作などにハード上の限界があり、工業規模で実現することは困難な場合が多い。
特許文献1の方法は、板の上下に誘導コイルを配置した1種のTF方式と考えられ、金属板の進行方向で発生する磁束は交互に逆向きに発生するが、上下コイルがずれているため、上下コイルで発生する磁束が打ち消し合う領域と磁束が帯板を斜めに横切る領域が交互にでき、磁束が集中するのを防ぐことが可能になっていると考えられる。
そのため、従来のTF方式ではエッジ部に磁束が集中し、エッジが過加熱するという問題を緩和する効果が発現すると考えられるが、磁束が打ち消し合う領域ができること、シングルターンであるため、帯板にパワーを入れ電界強度を上げるためにはコイルへ流す電流値を大きくしなければならず、コイルの銅損が増えることなどのため効率が低下しやすいという問題がある。
効率を上げるためには、同公報の実施例で開示されているように上下のシングルターンコイルを帯板に近接させる必要があるが、通板している帯板は形状が変形していたり振動したりするため、広幅で長い区間を通板しながら加熱するには困難がある。
また、特許文献2の方法は、金属の面と対向するように金属の搬送方向において、幅方向中央で最も広がった誘導加熱コイルを備え、金属材料の搬送方向に沿ったコイル幅の合計を、実質的に均一とする方法であるが、この方法は、金属材に向かい合わせた誘導コイルからの漏れ磁束により加熱を行う方法となるため、誘導コイルとの距離が離れると磁束が金属を貫通する保証はなく、金属と近接させないと加熱が起きにくく、また、金属の形状が悪く誘導コイルとの距離が変化する場合には大きな温度偏差が生じる。また、誘導コイルの幅を進行方向で実質同じ幅になるように菱形形状のコイルとしているが、この形状では板幅が変化したときには対応がつかない。回転機構を設けるようにしているが、回転させた場合には進行方向で加熱時間が同じにはならないため、均一温度にはなりにくいし、工業規模で大電流を流す加熱装置の回転機構を実現するのは、極めて困難が伴う。
両特許文献とも、誘導コイルが金属を囲んだ閉ループ内の加熱ではないため、磁束が確実に金属を貫通する保証は無く、誘導コイルとの距離の影響を受けやすいとともに、誘導コイルのターン数が変えられないため磁束密度を制御することが難しい。
それに対し、特許文献3は、上記加熱装置の欠点を解消するため、金属板を囲む誘導コイルを金属板の進行方向でずらすことにより、金属板表裏に面した誘導コイルの直下の金属板内に表裏誘導コイルで発生する誘導電流がお互いに干渉しないように独立した電流を発生させることで、電流の浸透深さ以下の板厚の金属板でも非磁性の金属板でも加熱することができることを示している。また、誘導コイルが金属板を閉じて周回することから、磁束は必ず金属板と鎖交するため誘導コイルと金属板が比較的離れていても容易に加熱することができるという実用上の大きな利点もある。
ところが、金属板中央で発生した誘導電流は金属板端部を流れる時に電流が集中し高電流密度になりやすいこと、表裏の誘導コイルを離したことにより、端部を流れる誘導電流の時間が長くなることから、板端部が過加熱になりやすく、温度偏差の小さな分布を得るための条件(表裏誘導コイルのズレ量、誘導コイルの幅等)が狭いという問題があった。
上記3方式とも、非磁性加熱を行うことはできるものの、加熱温度分布を精密に制御することは難しく、また、上記方式の誘導加熱装置を、輻射/対流加熱方式の既存炉(焼鈍炉等)の途中に設置する場合には、金属板の変形等による炉壁の断熱材との接触を防止する必要性があることから、金属板と誘導コイルとの間隔を狭くすることは難しい。また、金属板の板幅の変更や蛇行などへの対応も難しい。
本発明は、これら従来のLF方式やTF方式が抱える金属板の誘導加熱の課題を解決するもので、誘導コイルを用いて、(A)磁性材に限らず非磁性材や非磁性域においても、また、(B)板厚が10mm以下の薄い金属板でも、(C)金属板と誘導コイルとのギャップを十分に保ちながら、温度を自在に制御できる温度制御性に優れ、効率よく加熱できる誘導加熱装置を提供する。
本発明の要旨は下記の通りである。
(1)周回する誘導コイルの内側を通過する金属板を誘導加熱する装置であって、金属板の表面側と裏面側の誘導コイルを構成する導体を、それぞれ前記金属板へ垂直投影した際の垂直投影像において、前記表面側と裏面側の導体同士が、前記金属板の長手方向に対して互いに重ならないように、前記導体同士をずらして配置するとともに、前記金属板の両端部とその両外側に位置する前記導体との間に、それぞれ磁性体コアを設けたことを特徴とする誘導加熱装置。
(2)前記それぞれの磁性体コアが、前記金属板両端部の外側に位置する導体に沿って、当該導体と平行に配置されていることを特徴とする上記(1)記載の誘導加熱装置。
(3)前記それぞれの磁性体コアが、前記金属板両端部の外側に位置する導体の金属板側の面及び上下面を囲っていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の誘導加熱装置。
である。
本発明でいう「金属板の長手方向」とは、金属板の通過方向(搬送ラインと同一方向)のことである。
本発明による誘導加熱は、板厚の厚い材料や磁性域の薄板の加熱を可能とするだけではなく、従来の誘導加熱方式では不可能であった比抵抗が小さく非磁性のアルミや銅などの非鉄金属板の加熱、鉄などの磁性材におけるキュリー点以上の温度での非磁性域における加熱を可能とする。
更に、誘導コイルとともに用いる磁性コアの位置や表裏の磁性コアにより、金属板端部の過加熱を抑制又は防止をすることができる。 また、磁性コアの位置や表裏の磁性コアの金属板端部の重なり、あるいは金属板との距離を調整することにより、加熱温度分布を容易に制御できる。
また、本誘導加熱装置の前工程から持ち込まれる温度偏差の解消や後工程での温度特性を考慮した所望の温度分布をつけて加熱することなど、要求される冶金特性に合わせた加熱速度、温度分布で加熱することにより、高品質の製品を安定性して作りこめるとともに、操業変動による品質への影響解消することが可能となる。
更に、ガス加熱の炉で問題となる熱慣性の影響が無いため、板厚変更があっても加熱速度を自在に制御できることから、通板速度を変更する必要も無くなる。そのため、ガス加熱の炉では、通常、板厚変更時に炉が安定するまでの間必要とされる繋ぎ材が不要になるばかりではなく、通板速度を落とすことなく生産を続けられるため、生産性の低下を回避できる。
また、本発明の誘導加熱装置は、板厚・板幅の変更に対応できるだけではなく、蛇行などの変動要因にも柔軟に対応し、所望の温度分布が得られるばかりではなく、板幅に応じた誘導コイルのセットを複数持たずに済むことから、設備費も格安にすることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、説明を簡単にするため1T(ターン)の場合について図面を用いて説明するが、1Tに限定されるものでは無く、複数Tでも可能である。
図6(a)は、本発明の誘導加熱装置の1例を示す平面模式図であり、図6(b)と図6(c)は、その側面模式図の例である。本発明の誘導加熱装置は、金属板1の長手方向に誘導コイルを構成する導体2aと2bを重ならないようにずらして配置し、ずらした導体2aと2bとを導体9で接続し、反対側を導体7で電源8と接続し、1Tの誘導コイルを形成し、金属板1の端部と接続用導体7および9との間に磁性体コア10を設ける。ここで、電源8は、図示していないが、コンデンサや整合用のトランスなどを含む。
以下の本発明の説明で用いる誘導コイルとは、電気良導体で構成されるパイプや線材、板などで被加熱材を1周以上巻いた、導体により形成されるコイルの総称として用い、被加熱材を囲む形状は矩形でも円形でも特に規定するものではない。導体の材質は、銅やアルミ等の電気伝導良好な材質が好ましい。
本発明では、先ず、図3に示すように誘導コイルの内側を通過する金属板1の表面側と裏面側の誘導コイルを構成する導体2aおよび2bを、それぞれ該金属板へ垂直投影した際に、表面側と裏面側の該導体の垂直投影像が、金属板の長手方向に対して互いにずれるように該導体を配置する。
すると、図4の側断面図(図3のA−A断面)に示すように(簡単にするため2a導体のみで説明をする)、金属板1には斜めに磁束4が貫通し、その磁束により誘導電流6aが発生する。したがって、斜めに電流パスが広がることで生じた誘導電流6aの浸透深さδが板厚tよりも大きくても、渦電流は流れるようになる。
誘導コイル2aと2bとは金属板進行方向でずれて配置しているため、誘導コイル2aと2bとで発生した誘導電流6aと6bとは干渉することがないため、金属板1全体では、図5に示す様な環状電流が発生し、金属板1が非磁性材でも加熱することが可能になる。
ところが、金属板端部を流れる電流は、表裏の誘導コイル2aと2bとを結ぶ導体9、あるいは表裏の誘導コイル2aと2bと電源とを結ぶ導体7を流れる一次電流との間のリアクタンスを小さくしようとするため、板の端部に寄せられてしまうため電流路が狭くなってしまうこと、導体7及び導体9を流れる一次電流により発生する磁束が、距離の最も短い金属板端部を集中的に貫通してしまうこと、金属板端部は、中央部に比べ加熱時間がd3の距離分だけ多く加熱されてしまうこと等により、金属板端部は過加熱になりやすい。
そこで、本発明では図6(a)に示すように金属板1の端部(図の右端部)と導体7、金属板1の端部(図の左端部)と導体9との間に磁性体コア10を設置する。磁性体コアは、電磁鋼板やアモルファス金属、フェライトコアなどの透磁率の高い磁性材を用いればよく、磁束飽和が生じない様に十分な断面積を確保するともに、貫通する磁束により発熱が懸念される場合には、磁性コアに冷却銅板などの冷却装置を密着させる冷却構造あるいは外部ファンによる強制冷却装置等を設ければ良い。
図6(b)は、図6(a)の側面図で、電源と反対側の側面である。図6(b)では、磁性体コア10を導体9に沿って、導体9と平行に配置している。また、図6(b)では、導体2aと導体2bを接続する導体9は斜めに配置してあるが、導体2aあるいは2bと同一平面になるように金属板のパスラインと平行に配置し、その後接続先の導体2 bあるいは2 aに垂直になるように接続してもよく、接続形態を規定するものではない。磁性体コア10を金属板1の端部と導体7や導体9との間に設置することにより、導体9を流れる一次電流により発生した磁束は、金属板1の端部を貫通する前に磁気抵抗の小さな磁性体コア10を選択的に通って導体9の外側へ回るため、金属板1を貫通する磁束が減少し金属板端部に発生する誘導電流は小さくなる。また、導体との間に磁性体コアが入るため、環状電流が一次電流に引かれて板端部に寄ろうとする効果も小さくなる。その結果、金属板端部を流れる電流の電流密度は小さくなり、過加熱が抑制される。上記の内容は導体9と反対側の導体7も同様である。
ここで、磁性体コア10の配置は、図6(b)のように導体9と平行に配置する方法以外に、図6(c)のように金属板と垂直な方向でもよく、金属板端部と導体9との間にあれば磁束は選択的に磁気抵抗の小さな磁性体コアを通るため、上記のような効果が得られるが、導体9で発生する磁束は、導体の一次電流に垂直に発生することから、図6(b)のように発生した磁束が通りやすい方向に合わせて設置する方がより効果的である。磁性体コアの幅は、導体2aと2bを全てカバーする必要は無く、磁性体コアの透磁率などにも左右されることから適宜実験で最適な範囲を求めればよい。
あるいは、図7(a)に示す様に、両方の磁性体コア10それぞれが、金属板両端部の外側に位置する導体7や導体9の金属板側の面及び上下面を囲むように配置すると良い。すなわち、図7(b)の側面図、図7(c)のA-A断面図に示す様に、導体9を磁性体コア10が囲む様にすることにより、導体9で発生した磁束を金属板1に貫通させずに、強制的に磁性体コア10内を通すことにより、金属板端部の電流密度を下げて過加熱を防止することができる。
磁性体コアは、接続導体全てを囲う必要は無く、適宜温度分布を測定しながら最適な範囲を定めればよい。
以上説明したように、本加熱装置および加熱方法は、板厚によらず、また磁性・非磁性を問わず効果的に加熱することが可能となるため、例えば鉄鋼材料の様にキュリー点前後で冶金上の特性が大きく変化する材料であっても、パワーを落とすことなく磁性域から非磁性域まで自在にヒートパターンが実現できるため、さまざまな冶金特性を持つ材料を生産することが可能となる。また、鋼板やアルミ板などの薄板の熱処理において現在主流のラジアント式チューブ式の間接ガス加熱では、非加熱物の温度が高くなりラジアントチューブ表面温度との差が小さくなると加熱効率も下がり、昇温速度も遅くなるが、本加熱装置では、温度域によらず自在な加熱速度で高効率に実現することができる。更に、ガス間接加熱方式では被加熱材の板幅や板厚、種類により炉温変更する場合には、炉の熱慣性のため設定温度になるまでに時間がかかるため、設定炉温になるまでの間は温度が非定常状態になるため品質が確保できなくなるため、繋ぎ材を使うなど生産上の制約やスケジュール上のネックが発生するなどの問題があるが、本加熱装置ではそれらの制約がなくなり、自由に加熱ができるため操業上のメリットは多大である。
本加熱装置では、使用する加熱電源周波数は、特に制約は受けることがないため、扱いやすく電源の安価な比較的低い周波数を使うことができることから、高周波加熱で問題となるコイル電圧の高電圧化なども避けることが容易であり、ハード上の制約が大幅に緩和される。
本発明による誘導加熱装置は、サイズ、品種を選ばず1台の装置で広範囲に対応が可能で、かつ、加熱温度分布も、これまでの誘導加熱装置で問題となっていた板端部の過加熱を防止するだけではなく、金属板端部の温度をだけを低く加熱で切るなど、板幅全体にわたる自在な制御が可能で、温度分布を精密に狙った温度分布に制御できる従来には無い特徴を持つ優れた金属板の加熱装置である。
本発明の効果を確認するため、0.6mm厚×600mm幅の非磁性鋼であるSUS304を用い通板しながら加熱する実験を行った。
使用した電源は、10KHz、max100kWの高周波電源で、共振周波数を合わせるための整合用コンデンサ容量を増減し、整合をとるようにした。使用した誘導コイルは、幅200mm、板厚10mmの銅板に、外形10mm、内径8mmの水冷銅パイプを鋼板と反対側(外側)にロウ付けした水冷銅板製で、1Tの誘導コイルとして実験を行った。本実施例において導体は、銅板と銅パイプの両方を指す。磁性・非磁性加熱が可能なTF方式では、被加熱材と誘導コイルとのギャップは、通常100mm以下に近接させないと熱効率が著しく低下して加熱が困難になるが、本実施例では倍のギャップである200mmで実験を行った。
(実施例1)
実験は、図6(a)に示す誘導コイル間距離Lを300mmとし、試験材板端部から表裏誘導コイルをつなぐ導体9(水冷銅板と同じく幅200mm、板厚10mm)を300mm離して配置し、導体9と試験材板端部の中間に磁性体コアとして板状のフェライトコア(横150mm×縦150mm×厚20mm)を図6(b)の様に置いて、6mpmで走行しながら加熱した。
(実施例2)
導体9の周りを図7(c)のようにコの字形状のフェライトコア(横150mm×縦150mm×厚20mm、高さ50mm)を用いた以外は、実施例1と同様の条件にて加熱した。
(比較例)
フェライトコアを用いない以外は、実施例1と同様の条件にて加熱した。
上記3ケースで板端部と板中央部との温度偏差を比較した。測温位置を板端部と中央部のみとしたのは、この加熱の場合、最大昇温温度が板端部で最小昇温温度が板中央部になることが実験であらかじめわかっていたからである。比較は、昇温量が異なるため、試験鋼板幅方向中央と板端部から10mm点に溶着した熱電対の昇温後の温度偏差の比(温度偏差比=板端部温度Te÷板中央温度Tc)で行った。
結果を表1に示す。
Figure 2008186589
表1から明らかな様に、板端部と導体9の間に何も置かなかった比較例と比べ、板端部と導体との間にフェライトコアを置いた場合には、端部を流れる誘導電流密度が低下し21%に温度偏差比は減少し、導体をフェライトで囲った実施例2の場合には、更に温度偏差は小さくなり15%まで減少することが確認できた。また、比較例の場合には、温度偏差が大きく熱応力により板端部が波形状に変形したのに対し、本発明の実施例ではまったく変形することもなかった。
従来のLF式誘導加熱を示す模式図である。 従来のLF式誘導加熱の金属薄板の断面に流れる誘導電流を説明する断面模式図である。 誘導コイルを進行方向でずらした誘導加熱装置の平面模式図である。 図3のA-A断面での磁束と発生する誘導電流を説明する断面模式図である。 図3のコイル配置で誘導電流が流れる様子を示す平面模式図である。 本発明による誘導加熱装置の平面模式図である。 板端部と導体との間に設置する磁性体の配置例を示す側面模式図である。 板端部と導体との間に設置する磁性体の他の配置例を示す側面模式図である。 本発明による誘導加熱装置の平面模式図である。 図7(a)の側面模式図である。 図7(b)のA-A断面模式図である。
符号の説明
1 金属板
2 誘導コイル
2a、2b 誘導コイル導体
3 高周波電源
4 磁束
5 一次電流の方向
6a 誘導電流の流れる範囲
6a、6b 誘導電流の向き
7 導体
8 電源
9 導体
10 磁性体コア

Claims (3)

  1. 周回する誘導コイルの内側を通過する金属板を誘導加熱する装置であって、金属板の表面側と裏面側の誘導コイルを構成する導体を、それぞれ前記金属板へ垂直投影した際の垂直投影像において、前記表面側と裏面側の導体同士が、前記金属板の長手方向に対して互いに重ならないように、前記導体同士をずらして配置するとともに、前記金属板の両端部とその両外側に位置する前記導体との間に、それぞれ磁性体コアを設けたことを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記それぞれの磁性体コアが、前記金属板両端部の外側に位置する導体に沿って、当該導体と平行に配置されていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱装置。
  3. 前記それぞれの磁性体コアが、前記金属板両端部の外側に位置する導体の金属板側の面及び上下面を囲っていることを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱装置。
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