JP2014001420A - 導体の軟化装置および軟化方法、ならびに絶縁電線の製造装置および製造方法 - Google Patents

導体の軟化装置および軟化方法、ならびに絶縁電線の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化装置および軟化方法、ならびに当該導体の軟化装置を備える絶縁電線の製造装置および当該導体の軟化方法が実施される絶縁電線の製造方法を提供する。
【解決手段】軟化装置1Aは、軸方向に沿って導体10を搬送するための中空部2Aが形成されたガラス管2と、中空部2Aにおいて搬送される導体10を誘導加熱により加熱するためのコイル3と、導体10を搬送する方向においてガラス管2から見て下流側に配置され、加熱された導体10を冷却するための冷却水Rを保持する空間部4Aが形成された水槽4とを備えている。ガラス管2および水槽4は、導体10を冷却することにより気化した冷却水Rが中空部2A内に侵入することが可能に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、導体の軟化装置および軟化方法、ならびに絶縁電線の製造装置および製造方法に関するものであり、より特定的には、導体を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化装置および軟化方法、ならびに当該導体の軟化装置を備える絶縁電線の製造装置および当該導体の軟化方法が実施される絶縁電線の製造方法に関するものである。
導体上に絶縁塗料を被覆したエナメル線が知られている。エナメル線は、たとえば各種電気機器の配線、モータあるいは変圧器などの巻線として広く利用されている。一般に、エナメル線は、導体の伸縮、軟化、絶縁塗料の塗布および焼付けなどの工程を順に実施することにより製造されている。ここで、導体の軟化工程において使用される軟化装置としては、たとえばパイプ内に導体を通過させつつ、電気ヒータやガスバーナーにより装置全体を加熱することによりパイプ内の温度を上昇させて導体を軟化させるものがある(たとえば、特許文献1参照)。また、この軟化装置では、導体を加熱する際の酸化を防止するためにパイプ内に窒素ガスなどの酸化防止ガスを供給することが可能となっている。
特開平2−301521号公報
特許文献1の軟化装置では、装置全体を加熱することによりパイプ内の温度を上昇させて導体を軟化させるため、導体の加熱効率が低くなっている。このため、導体を十分に軟化させるために長大なパイプを採用する必要があり、その結果装置が大型化するという問題がある。また、加熱効率を向上させるために導体をパイプの内面と接触させる場合には、導体の表面が損傷を受けるという問題もある。
また、特許文献1の軟化装置では、導体の酸化を防止するためにパイプ内に窒素ガスなどを導入するための構造を別途設ける必要があり、より容易に導体の酸化を防止することが可能な構造を有する軟化装置が要求される。また、パイプ内に窒素ガスなどを導入する場合には装置を密閉式にする必要があり、装置のメンテナンス性が悪いという問題もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化装置および軟化方法、ならびに当該導体の軟化装置を備える絶縁電線の製造装置および当該導体の軟化方法が実施される絶縁電線の製造方法を提供することである。
本発明の導体の軟化装置は、導体を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化装置であって、以下の構成を備えている。本発明の導体の軟化装置は、軸方向に沿って導体を搬送するための中空部が形成された管部材と、搬送される導体を上記中空部において誘導加熱により加熱するためのコイルと、導体を搬送する方向において管部材から見て下流側に配置され、コイルにより加熱された導体を冷却するための液体を保持する空間部が形成された液体保持部材とを備えている。管部材および液体保持部材は、導体を冷却することにより気化した液体が上記中空部内に侵入することが可能に配置されている。
本発明の導体の軟化装置では、導体を誘導加熱により加熱することが可能であるため、装置全体を加熱することにより導体を加熱する軟化装置に比べて、加熱効率をより向上させることができる。また、本発明の導体の軟化装置では、導体を冷却する際に気化した液体(蒸気)が、導体が加熱されつつ搬送される管部材の中空部内に侵入可能となっている。また、上記中空部内に侵入した蒸気は、導体の酸化を抑制するためのガスとして機能する。そのため、本発明の導体の軟化装置では、管部材の中空部内に酸化防止ガスを導入するための構造を別途設けることなく、容易に導体の酸化を抑制することができる。このように、本発明の導体の軟化装置によれば、導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化装置を提供することができる。
上記導体の軟化装置において、管部材は、軸方向の両端に開口部を有していてもよい。そして、管部材および液体保持部材は、管部材の一の開口部が液体保持部材の空間部内に位置するように配置されていてもよい。
これにより、導体を冷却することにより気化した液体をより容易に管部材の中空部内に侵入させることができる。その結果、導体の酸化をさらに容易に抑制することができる。
上記導体の軟化装置において、管部材は、管部材の軸方向が液体保持部に保持されるべき液体の水面に対して垂直な方向に沿うように配置されていてもよい。
これにより、導体を冷却することにより気化した液体をさらに容易に管部材の中空部内に侵入させることができる。その結果、導体の酸化を一層容易に抑制することができる。
上記導体の軟化装置は、導体を搬送する方向において液体保持部材から見て下流側に配置され、冷却された導体に気体を吹き付けるための噴出部材をさらに備えていてもよい。
これにより、液体保持部に保持される液体により冷却する際に濡れた導体の表面を容易に乾燥させることができる。
本発明の導体の軟化方法は、導体を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化方法であって、以下の工程を備えている。本発明の導体の軟化方法は、管部材の軸方向に沿って形成された中空部において導体を搬送しつつ誘導加熱により加熱する工程と、加熱された導体を、導体を搬送する方向において管部材から見て下流側に配置された液体保持部材により保持される液体により冷却する工程とを備えている。導体を冷却することにより気化した液体は、上記中空部内に侵入する。
本発明の導体の軟化方法では、導体が誘導加熱により加熱されるため、装置全体を加熱することにより導体を加熱する軟化方法に比べて、加熱効率をより向上させることができる。また、本発明の導体の軟化方法では、導体を冷却する際に気化した液体(蒸気)が、導体が加熱されつつ搬送される管部材の中空部内に侵入する。また、上記中空部内に侵入した蒸気は、導体の酸化を抑制するためのガスとして機能する。そのため、本発明の導体の軟化方法では、管部材の中空部内に酸化防止ガスを別途導入することなく、容易に導体の酸化を抑制することができる。このように、本発明の導体の軟化方法によれば、導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化方法を提供することができる。
本発明の絶縁電線の製造装置は、導体に絶縁塗料を塗布し焼付けて絶縁層を形成する絶縁電線の製造装置であって、以下の構成を備えている。本発明の絶縁電線の製造装置は、導体を加熱して軟化させるための上記本発明の導体の軟化装置と、軟化させた導体上に絶縁塗料を塗布するための塗布装置と、導体上に塗布された絶縁塗料を焼付けて絶縁層を形成するための焼付装置とを備えている。
本発明の絶縁電線の製造装置によれば、導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化装置を備える絶縁電線の製造装置を提供することができる。
本発明の絶縁電線の製造方法は、導体に絶縁塗料を塗布し焼付けて絶縁層を形成するための絶縁電線の製造方法であって、以下の工程を備えている。本発明の絶縁電線の製造方法は、上記本発明の導体の軟化方法を実施することにより導体を加熱して軟化させる工程と、軟化させた導体上に絶縁塗料を塗布する工程と、導体上に塗布された絶縁塗料を焼付けて絶縁層を形成する工程とを備えている。
本発明の絶縁電線の製造方法によれば、導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化方法が実施される絶縁電線の製造方法を提供することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の導体の軟化装置および軟化方法、ならびに絶縁電線の製造装置および製造方法によれば、導体の加熱効率が向上し、かつより容易に導体の酸化を抑制することが可能な導体の軟化装置および軟化方法、ならびに当該軟化装置を備える絶縁電線の製造装置および当該軟化方法が実施される絶縁電線の製造方法を提供することができる。
導体の軟化装置の構成を示す概略図である。 導体の軟化装置の構成を拡大して示す概略図である。 塗布装置および焼付装置の構成を示す概略図である。 絶縁電線の製造方法を概略的に示すフローチャートである。 導体の軟化方法を概略的に示すフローチャートである。 変形例の導体の軟化装置の構成を示す概略図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
はじめに、本発明の一実施の形態の絶縁電線の製造装置の構成について説明する。図1〜図3を参照して、本実施の形態の絶縁電線の製造装置は、導体に絶縁塗料を塗布し焼付けて絶縁層を形成する絶縁電線の製造装置であって、導体の軟化装置1A(図1および図2参照)と、塗布装置1Bおよび焼付装置1C(図3参照)とを主に備えている。軟化装置1Aは、以下に説明する本発明の一実施の形態の導体の軟化装置である。
まず、軟化装置1Aの構成について説明する。図1を参照して、軟化装置1Aは、導体10を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化装置であって、管部材としてのガラス管2と、コイル3と、液体保持部としての水槽4と、噴出部材としてのエアブロー5とを主に備えている。
ガラス管2には、軸方向に沿って導体10を搬送するための経路となる中空部2Aが形成されている。ガラス管2は、軸方向の両端において開口部を有し、当該開口部は、それぞれ導体10のガラス管2への搬入口およびガラス管2からの搬出口となっている。ガラス管2の長さは特に限定されるものではなく、たとえば0cm以上30cm以下となっている。また、ガラス管2の直径は、導体10の外径以上コイル3の内径以下となっている。また、本実施の形態では、管部材としてガラス管2を採用しているが、本発明の導体の軟化装置はこれに限定されるものではない。すなわち、管部材は、非磁性および非導電性の材料からなるものであればよく、たとえば樹脂管などであってもよい。
コイル3は、たとえば銅などの金属からなり、搬送される導体10をガラス管2の中空部2Aにおいて誘導加熱により加熱する。コイル3は、ガラス管2の外周面に沿って巻き付けられたヘリカル型のコイルである。コイル3の内部は冷却水が循環可能となっており、これによりコイル3に交流電流を供給した際の抵抗熱によりコイル3自体が溶けることを防止するとともに、廃熱の利用も可能となっている。また、コイル3の長さは特に限定されるものではなく、必要な加熱条件に合わせて適宜設定される。
水槽4は、導体10を搬送する方向(図中矢印に示す方向)において、ガラス管2から見て下流側に配置されている。水槽4は、ガラス管2側に開口し、空間部4Aを含んでいる。水槽4は、空間部4Aにおいてコイル3により加熱された導体10を冷却するための冷却水Rを保持する。
図2を参照して、ガラス管2および水槽4は、導体10を冷却することにより気化した冷却水R(水蒸気)が、図中破線矢印に示すようにガラス管2の中空部2Aの内部に侵入することが可能に配置されている。より具体的には、ガラス管2および水槽4は、ガラス管2の水槽4側の開口部が水槽4の空間部4A内に位置するように配置されており、またガラス管2は、ガラス管2の軸方向が水槽4に保持される冷却水Rの水面に対して垂直な方向に沿うように配置されている。
図1を参照して、エアブロー5は、導体10を搬送する方向において、水槽4から見て下流側に配置されている。エアブロー5は、冷却水Rにより冷却された導体10に空気などを吹き付ける。これにより、水槽4に保持される冷却水Rにより冷却する際に濡れた導体10の表面を容易に乾燥させることができる。
次に、塗布装置1Bの構成について説明する。図3を参照して、塗布装置1Bは、軟化装置1Aにより軟化させた導体10上に絶縁塗料を塗布するためのものであって、塗布槽6と、ダイス装置7とを主に備えている。
塗布槽6は、たとえばポリアミドイミド樹脂ワニスやポリイミド樹脂ワニスなどの絶縁塗料が充填されるものであり、導体10が塗布槽6内において搬送されることにより、導体10の外周面に絶縁塗料を塗布することが可能に構成されている。ダイス装置7は、導体10がダイス装置7内において搬送されることにより、導体10の外周面に塗布される絶縁塗料の厚みを一定に制御することが可能に構成されている。
次に、焼付装置1Cの構成について説明する。図3を参照して、焼付装置1Cは、導体10の外周面に塗布された絶縁塗料を焼付けて絶縁層を形成するためのものであり、乾燥用加熱装置8と、回収管8Aと、硬化用加熱装置9とを主に備えている。
乾燥用加熱装置8は、導体10の外周面上に塗布された絶縁塗料を主に乾燥させるために導体10および当該絶縁塗料を加熱するためのものである。ここで、絶縁塗料の乾燥とは、絶縁塗料に含まれる溶剤を気化させる温度での熱処理であって、絶縁塗料が硬化しない温度での熱処理を意味する。乾燥用加熱装置8は、たとえば誘導加熱コイルである。
回収管8Aは、導体10に塗布された絶縁塗料を乾燥させる際に気化する溶剤を凝縮により液化させて回収するためのものである。回収管8Aは、気化した溶剤を凝縮させて回収管8Aの内周面に液滴として付着させ、別途に設けられた回収容器(図示しない)中に当該液滴を滴下させることにより溶剤を回収することが可能に構成されている。
硬化用加熱装置9は、導体10の外周面上に塗布された絶縁塗料を主に硬化させるために導体10および当該絶縁塗料を加熱するためのものである。ここで、絶縁塗料の硬化とは、絶縁塗料を硬化させる温度以上での熱処理を意味する。硬化用加熱装置9は、乾燥用加熱装置8と同様に、たとえば誘導加熱コイルである。
次に、本実施の形態の絶縁電線の製造方法について説明する。本実施の形態の絶縁電線の製造方法は、導体に絶縁塗料を塗布し焼付けて絶縁層を形成するための絶縁電線の製造方法であって、以下に説明する工程により実施される。図4を参照して、まず、工程(S10)として、軟化工程が実施される。この工程(S10)では、以下に説明する本実施の形態の導体の軟化方法が実施される。
以下、本実施の形態の導体の軟化方法について説明する。本実施の形態の導体の軟化方法は、導体を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化方法であって、上記本実施の形態の導体の軟化装置1Aを用いて以下の工程により実施される。図5を参照して、まず、工程(S11)として、加熱工程が実施される。この工程(S11)では、図1を参照して、ガラス管2の中空部2Aにおいて導体10を搬送しつつ、コイル3を用いて導体10を誘導加熱により加熱する。より具体的には、コイル3に交流電流を供給することによりコイル3の周囲に変化する磁力線が発生し、当該磁力線の変化により導体10に渦電流が流れる。そして、渦電流が流れることにより抵抗熱が発生して導体10が加熱される。
導体10としては、たとえば銅線、銅合金線、錫めっき線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、鋼心アルミニウム線、カッパーフライ線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線、あるいは銅覆アルミニウム線などを採用することができる。また、導体10の形状は特に限定されるものではなく、たとえば丸線や平角線であってもよい。
次に、工程(S12)として、冷却工程が実施される。この工程(S12)では、上記工程(S11)において加熱された導体10が、水槽4において保持される冷却水Rにより冷却される。より具体的には、ガラス管2の水槽4側の開口部が冷却水R中に浸された状態を維持しつつ、導体10を冷却水Rに浸すことにより導体10が冷却される。そして、導体10が冷却されることにより冷却水Rが気化して水蒸気が発生し、当該水蒸気は、図2に示すようにガラス管2の中空部2Aの内部に侵入する。これにより、導体10を加熱しつつ搬送するための領域である中空部2A内が水蒸気により充満された状態となる。
次に、工程(S13)として、乾燥工程が実施される。この工程(S13)では、図1を参照して、エアブロー5を用いて導体10に空気などを吹き付けることにより、導体10の表面が乾燥状態となる。以上の工程(S11)〜(S13)を実施することにより本実施の形態の導体の軟化方法が完了し、本実施の形態の絶縁電線の製造方法における工程(S10)が完了する。
図4を参照して、次に、工程(S20)として、塗布工程が実施される。この工程(S20)では、図3を参照して、まず、導体10が塗布槽6内において搬送されることにより、導体10の外周面に絶縁塗料が塗布される。そして、絶縁塗料が塗布された導体10がダイス装置7内において搬送されることにより、絶縁塗料の厚みが一定に制御される。
絶縁塗料としては、たとえばエナメル被覆の構成樹脂を溶剤により溶解したものを採用することができる。この構成樹脂は、絶縁性および耐熱性が高い樹脂であればよく、たとえばポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂などを好適に採用することができる。また、溶剤としては、たとえばN−メチル−2−ピロリドンやクレゾールなどを採用することができる。
次に、工程(S30)として、焼付工程が実施される。この工程(S30)では、以下に説明するようにして導体10上に塗布された絶縁塗料を焼付けることにより絶縁層が形成される。まず、絶縁塗料が塗布された導体10が乾燥用加熱装置8において加熱される。これにより、絶縁塗料中の溶剤が気化して当該絶縁塗料が乾燥する。次に、導体10が硬化用加熱装置9においてさらに加熱される。これにより、絶縁塗料が硬化し、導体10の外周面に当該絶縁塗料が焼付けられた絶縁層が形成される。以上の工程(S10)〜(S30)が実施されることにより導体10の外周面に絶縁層が形成された絶縁電線が製造され、本実施の形態の絶縁電線の製造方法が完了する。
以上のように、本実施の形態の軟化装置1Aでは、導体10を誘導加熱により加熱することが可能であるため、装置全体を加熱することにより導体10を加熱する軟化装置に比べて加熱効率をより向上させることができる。これにより、装置全体をより小型化することが可能となり、また導体10をガラス管2の内面に接触させる必要がないため、導体10の損傷を抑制することもできる。また、軟化装置1Aでは、導体10を冷却する際に気化した冷却水R(水蒸気)が、導体10が加熱されつつ搬送されるガラス管2の中空部2A内に侵入可能となっている。また、中空部2A内に侵入した水蒸気は、導体10の酸化を抑制するためのガスとして機能する。そのため、軟化装置1Aでは、ガラス管2の中空部2A内に酸化防止ガスを導入するための構造を別途設けることなく、容易に導体10の酸化を抑制することが可能となり、また装置を密閉式とする必要がないため装置の分解清掃などが容易になる。このように、本実施の形態の軟化装置1Aによれば、導体の加熱効率を向上させ、かつ導体の酸化をより容易に抑制することができる。
また、上述のように、軟化装置1Aでは、ガラス管2は、軸方向の両端に開口部を有していてもよい。そして、ガラス管2および水槽4は、ガラス管2の水槽4側の開口部が水槽4の空間部4A内に位置するように配置されていてもよい。
これにより、導体10を冷却することにより気化した冷却水R(水蒸気)をより容易にガラス管2の中空部2A内に侵入させることができる。その結果、導体10の酸化をさらに容易に抑制することができる。
また、上述のように、軟化装置1Aでは、ガラス管2は、ガラス管2の軸方向が水槽4に保持されるべき冷却水Rの水面に対して垂直な方向に沿うように配置されていてもよい。
これにより、導体10を冷却することにより気化した冷却水R(水蒸気)をさらに容易にガラス管2の中空部2A内に侵入させることができる。その結果、導体10の酸化を一層容易に抑制することができる。
次に、本実施の形態の変形例の導体の軟化装置の構成について説明する。本変形例の導体の軟化装置は、基本的には上記本実施の形態の軟化装置1Aと同様の構成を備え、かつ同様の効果を奏する。しかし、本変形例の軟化装置は、水槽4およびエアブロー5の配置において上記本実施の形態の軟化装置1Aとは異なっている。
図6を参照して、本変形例の軟化装置1Dでは、軟化装置1Aとは異なり、水槽4がエアブロー5から見て下方側に配置されている。これにより、たとえば水槽4の空間部4Aから漏れた冷却水Rがエアブロー5上に降りかかることを抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の導体の軟化装置および軟化方法、ならびに絶縁電線の製造装置および製造方法は、導体の加熱効率を向上させ、かつより容易に導体の酸化を抑制することが要求される導体の軟化装置および軟化方法、ならびに当該軟化装置を備える絶縁電線の製造装置および当該軟化方法において、特に有利に適用され得る。
1A,1D 軟化装置、1B 塗布装置、1C 焼付装置、2 ガラス管、2A 中空部、2B,2C 開口部、3 コイル、4 水槽、4A 空間部、5 エアブロー、6 塗布槽、7 ダイス装置、8 乾燥用加熱装置、8A 回収管、9 硬化用加熱装置、10 導体、R 冷却水。

Claims (7)

  1. 導体を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化装置であって、
    軸方向に沿って前記導体を搬送するための中空部が形成された管部材と、
    搬送される前記導体を前記中空部において誘導加熱により加熱するためのコイルと、
    前記導体を搬送する方向において前記管部材から見て下流側に配置され、前記コイルにより加熱された前記導体を冷却するための液体を保持する空間部が形成された液体保持部材とを備え、
    前記管部材および前記液体保持部材は、前記導体を冷却することにより気化した前記液体が前記中空部内に侵入することが可能に配置されている、導体の軟化装置。
  2. 前記管部材は、軸方向の両端に開口部を有し、
    前記管部材および前記液体保持部材は、前記管部材の一の前記開口部が前記液体保持部材の前記空間部内に位置するように配置されている、請求項1に記載の導体の軟化装置。
  3. 前記管部材は、前記管部材の軸方向が前記液体保持部に保持されるべき前記液体の水面に対して垂直な方向に沿うように配置されている、請求項1または2に記載の導体の軟化装置。
  4. 前記導体を搬送する方向において前記液体保持部材から見て下流側に配置され、冷却された前記導体に気体を吹き付けるための噴出部材をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導体の軟化装置。
  5. 導体を搬送しつつ加熱して軟化させるための導体の軟化方法であって、
    管部材の軸方向に沿って形成された中空部において前記導体を搬送しつつ誘導加熱により加熱する工程と、
    加熱された前記導体を、前記導体を搬送する方向において前記管部材から見て下流側に配置された液体保持部材により保持される液体により冷却する工程とを備え、
    前記導体を冷却することにより気化した前記液体は、前記中空部内に侵入する、導体の軟化方法。
  6. 導体に絶縁塗料を塗布し焼付けて絶縁層を形成するための絶縁電線の製造装置であって、
    前記導体を加熱して軟化させるための請求項1〜4のいずれか1項に記載の導体の軟化装置と、
    軟化させた前記導体上に前記絶縁塗料を塗布するための塗布装置と、
    前記導体上に塗布された前記絶縁塗料を焼付けて前記絶縁層を形成するための焼付装置とを備える、絶縁電線の製造装置。
  7. 導体に絶縁塗料を塗布し焼付けて絶縁層を形成するための絶縁電線の製造方法であって、
    請求項5に記載の導体の軟化方法を実施することにより前記導体を加熱して軟化させる工程と、
    軟化させた前記導体上に前記絶縁塗料を塗布する工程と、
    前記導体上に塗布された前記絶縁塗料を焼付けて前記絶縁層を形成する工程とを備える、絶縁電線の製造方法。
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