JPH09128735A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH09128735A
JPH09128735A JP7284186A JP28418695A JPH09128735A JP H09128735 A JPH09128735 A JP H09128735A JP 7284186 A JP7284186 A JP 7284186A JP 28418695 A JP28418695 A JP 28418695A JP H09128735 A JPH09128735 A JP H09128735A
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JP
Japan
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binder
magnetic
weight
ferromagnetic powder
amount
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JP7284186A
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English (en)
Inventor
Takahiro Miyazaki
孝弘 宮崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた電磁変換特性を確保しつつ、走行性及
び耐久性の向上を図る。 【構成】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを主
体とする磁性塗料を塗布して磁性層を形成する際に、上
記強磁性粉末の平均長軸長を0.2μm以下とするとと
もに、結合剤として特定のポリウレタンを使用し、且つ
上記強磁性粉末その他の無機顔料と結合剤との比率を無
機顔料/結合剤=5.75〜6.75(重量比)の範囲
内とし、更に潤滑剤として一定量の高級脂肪酸エステル
を添加する。上記磁性層の膜厚は、1.5μm以下とさ
れることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
強磁性粉末と結合剤から構成されてなる磁性層を有する
塗布型の磁気記録媒体に関し、特に電磁変換特性と走行
性、耐久性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】VTR(ビデオテープレコーダ)等の磁
気記録媒体において、高記録密度化、高画質化を図る目
的で電磁変換特性の向上に関する検討が盛んに行われて
いる。この電磁変換特性の向上に伴い、近年蒸着テープ
等の薄膜媒体が提案され既にHi−8ビデオ等の一部の
フォーマットにおいて実用化されてはいる。しかし、価
格などの点で従来の塗布型の磁気記録媒体は依然主流を
占めている。
【0003】また、この磁気記録媒体においては、走行
性及び耐久性が重要な特性であり、電磁変換特性の向上
を図りながら十分な走行性及び耐久性を確保することが
媒体の設計において重要な課題である。
【0004】これまで、電磁変換特性の向上を実現する
ためには、磁気特性の向上、テープ表面の鏡面化による
スペーシングロスの低減等が検討されている。例えば、
塗布型の磁気記録媒体において、テープ表面の鏡面化を
図る方法としては、支持体の表面性を向上させたり、磁
性粉末や研磨剤等の粒径を小さくしたり、これらをより
均一に分散させる等の工夫がなされている。また、テー
プ表面の鏡面化や磁性粉末の高充填を目的として、磁性
塗料を塗布し乾燥させた後にカレンダー処理が行われて
いる。
【0005】しかし、このようにして電磁変換特性の向
上を達成しようとした場合、走行性及び耐久性は低下し
てしまい、これを考慮すると実際には大幅な電磁変換特
性の向上を達成することができないのが実状である。
【0006】一方、走行性及び耐久性については、潤滑
剤や表面形状の工夫による摩擦の低減や、支持体や結合
剤の最適化及び架橋による機械強度の向上、潤滑剤の最
適化による油膜強度の向上、研磨剤の使用による研磨性
の付与等がなされている。
【0007】しかし、走行性及び耐久性といっても多種
多様であり、また多くの原材料からなるために挙動が複
雑であり、ある条件での走行耐久性を満足させるべく対
処しても、他の条件での特性が悪化してしまうことが多
く、複数の条件を同時に高い水準で満足させることは困
難である。
【0008】例えば、高速で摺動する部分の摩擦の低減
や耐久性の付与を図るために、従来より高級脂肪酸のエ
ステル化合物が用いられている。しかし、これをもちい
ることにより低速で摺動する部分の摩擦が上昇してしま
い走行性が悪化する。また、添加量が多いと、結合剤を
可塑化してしまい耐久性が悪化すると言った問題が生ず
る。更に、添加量が多い場合には、テープ表面の鏡面化
や磁性粉末の高充填を目的として行われるカレンダー処
理により潤滑剤が摺動面に有効に供給されるために必要
な空孔が縮小又は閉塞されてしまい有効に作用する潤滑
剤量がかえって減少して耐久性が悪化するといった問題
も起こる。
【0009】このような問題を解決するために、使用す
る強磁性金属粉末の比表面積と磁性層の表面粗さを規制
することで電磁変換特性を高め、更に用いる潤滑剤量を
規制し走行性及び耐久性を満足させながら電磁変換特性
を向上しようとする方法も提案されている(例えば特公
平4−40781号公報等参照。)。
【0010】しかし、更に電磁変換特性を向上させよう
として磁性層の表面粗さをより小さい値に規制しようと
した場合には、単に使用する潤滑剤量のみを規制するだ
けでは、有効に作用できる潤滑剤量を制御できず、走行
性と耐久性を両立させることは困難であった。
【0011】また、カレンダー処理を終えた磁性塗膜に
トップコートして耐久性に十分な量の高級脂肪酸のエス
テル化合物を磁性塗膜に付与する方法も提案されている
(例えば特開平4−3317号公報等参照。)。
【0012】ところが、磁性塗膜の乾燥後にトップコー
トして耐久性に十分な量の高級脂肪酸のエステル化合物
を磁性塗膜に付与する方法は、製造工程が増えてしまう
とともに、鏡面化された場合には、隙間が少ない表面に
多量の高級脂肪酸のエステル化合物が存在するために低
速で摺動する部分の摩擦が大幅に上昇してしまい走行性
が悪化するという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
のような実情に鑑みて提案されたものであって、電磁変
換特性の向上を図る場合でも、十分な走行性及び耐久性
を有する磁気記録媒体を提供する事を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、電磁変換特性を向
上せしめんと平均長軸長が0.2μm以下の強磁性粉末
を用いた場合、スルホン酸金属塩残基を所定量含有する
ポリウレタンを結合剤として使用することにより、良好
な電磁変換特性が得られ、またこの時強磁性粉末その他
の無機顔料と結合剤との比率を規定し、且つ潤滑剤とし
て一定量の高級脂肪酸エステルを添加することにより、
電磁変換特性の低下を最小限に抑えつつ、走行性及び耐
久性を大幅に向上することができることをみいだし、本
発明を完成するに至ったものである。
【0015】即ち、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性塗料の
塗膜からなる磁性層が形成されてなる磁気記録媒体にお
いて、上記磁性塗料中に含まれる強磁性粉末の平均長軸
長が0.2μm以下であるとともに、結合剤の70重量
%以上がスルホン酸金属塩残基を0.05〜0.25m
mol/g含有するポリウレタンであり、上記強磁性粉
末その他の無機顔料と上記結合剤との比率が重量比で無
機顔料/結合剤=5.75〜6.75であり、且つ潤滑
剤として磁性粉末100重量部に対して1.5重量部以
上3.0重量部以下の高級脂肪酸エステルが含まれるこ
とを特徴とするものである。
【0016】本発明は、非磁性支持体上に強磁性粉末と
結合剤とを主体とする磁性層が設けられてなる塗布型の
磁気記録媒体に適用される。
【0017】この磁気記録媒体において、本発明では、
強磁性粉末と結合剤の組み合わせを特性することで良好
な電磁変換特性を確保し、同時に結合剤に対する無機顔
料の配合割合を一定範囲内に調整することにより、磁性
粉の充填率や塗膜の機械的強度の低下が抑えられる範囲
で、潤滑剤を媒体の摺動面に供給するに十分な空孔や空
隙を確保する。この結果、潤滑剤が媒体の摺動面だけで
なく、上記空孔や空隙内にも散在するため、初めから摺
動面に存在する潤滑剤量が少なくても、摺動面に効率よ
く供給されるので、良好な走行性、耐久性を得ることが
できる。
【0018】耐久性を向上させる目的から使用される高
級脂肪酸のエステル化合物等の潤滑剤は、初めから媒体
の摺動面に多量に存在する場合には、低速での摩擦を大
きくしてしまう。これに対して、本発明では、潤滑剤は
媒体の摺動面だけでなく空孔や空隙にも散在することに
なるため、初めから摺動面に存在する量は少ない。この
ため、表面が鏡面化された媒体でも低速で摺動する部分
の摩擦を低く抑えることができる。このように、磁性塗
料中に含まれる無機顔料と結合剤との比率が本発明で規
制する範囲であると、初めから摺動面に存在する潤滑剤
の量が少なくても、摺動によりその量が減少した場合に
は、上記空孔や空隙を通して潤滑剤が摺動面に供給され
るため、良好な走行性が得られ、耐久性が向上する。従
って、本発明においては、電磁変換特性に優れ且つ良好
な走行性及び耐久性を有する磁気記録媒体が得られる。
【0019】また、本発明では、磁性層厚を薄くする。
これにより、ドロップアウトが減少する。通常、この種
の磁気記録媒体において、磁性層厚を薄くすると、電磁
変換特性が低下するが、本発明の磁気記録媒体では、電
磁変換特性の低下は認められず、低下してもその劣化量
は非常に小さい。このため、磁性層の膜厚を1.5μm
以下とすると、高い電磁変換特性と良好な走行性及び耐
久性を兼ね備えた上で、ドロップアウトも少ない媒体を
得ることができる。また、このように磁性層厚を薄くで
きれば、高価な強磁性粉末の使用量を減らすことができ
るので、低価格の実現も期待できる。
【0020】この磁性層の膜厚の下限は、用いられるシ
ステム、フォーマットの記録波長により異なるが、例え
ばハイエイトビデオシステムのMPポジションの場合に
は、カラー信号の記録を有効に行うために、0.5μm
程度以上の磁性層厚が必要である。また、短波長のみが
記録に用いられるシステムに用いられる媒体の場合に
は、さらに薄い磁性層でも構わない。
【0021】本発明においては、磁性塗料中に含まれる
強磁性粉末の平均長軸長を0.2μm以下とするととも
に、結合剤としてスルホン酸金属塩残基を所定量含有す
るポリウレタンを全結合剤量のうち70重量%以上の割
合となるように使用する。上記強磁性粉末の平均長軸長
が0.2μmを越えると、良好な電磁変換特性は望め
ず、また上記スルホン酸金属塩残基を所定量含有するポ
リウレタンの全結合剤中で占める割合が70重量%未満
であっても良好な電磁変換特性は望めない。
【0022】上記スルホン酸金属塩残基の含有量は、結
合剤1g当たり0.05〜0.25mmolであること
が好ましい。該スルホン酸金属塩残基の含有量が結合剤
1g当たり0.05mmolより少ないと、分散性に対
する効果が小さく、逆に0.25mmolより多い場合
には、吸湿性が高くなり耐候性が悪くなるばかりでなく
かえって分散性が悪化してしまう。
【0023】また、一般に、塗布型の磁気記録媒体のよ
うに無機顔料と高分子化合物である結合剤とからなる複
合材料の場合、結合剤に対する無機顔料の配合割合があ
る一定値を越えると空隙や空孔が生じ、これらは配合割
合が大きくなるほど多くなる傾向にある。初めから摺動
面に存在する潤滑剤量が摺動により減少した場合には、
上述の空隙や空孔を通して潤滑剤が摺動面に供給され耐
久性に有効に作用すると考えられている。
【0024】本発明では、上記磁性塗料中に含まれる強
磁性粉末その他の無機顔料と結合剤との比率を無機顔料
/結合剤=5.75〜6.75(重量比)とする。これ
により、カレンダー処理時に上記空隙や空孔が縮小又は
閉塞されることなく、強磁性粉末の充填率や塗膜の機械
強度の低下が抑えられた範囲で潤滑剤を摺動面に供給す
るに十分な空隙や空孔を確保することができる。このた
め、潤滑剤として用いられる高級脂肪酸エステルの添加
量を磁性粉末100重量部に対して1.5重量部以上
3.0重量部以下の範囲内とすれば、摺動面に供給され
る潤滑剤量が十分となり、良好な耐久性が得られる。ま
た、低速での摩擦を増大してしまう高級脂肪酸エステル
が初めから多量に摺動面に存在しないので、表面が鏡面
化された媒体でも低速で摺動する部分の摩擦を低く抑え
ることができる。
【0025】上記強磁性粉末その他の無機顔料と結合剤
との比率が重量比で無機顔料/結合剤比が5.75未
満、或いは上記高級脂肪酸エステルの添加量が磁性粉末
100重量部に対して1.5重量部未満では、摺動面に
潤滑剤を十分に供給することができなくなり、十分な耐
久性が確保できない。また、上記高級脂肪酸エステルの
添加量が磁性粉末100重量部に対して3.0重量部を
越える範囲では、該高級脂肪酸エステルが初めから多量
に摺動面に存在してしまうために、低速での摩擦が上昇
してしまう。更に、上記無機顔料/結合剤比が6.75
を越えると、結合剤の強磁性粉末への吸着量が減少して
塗料の段階での分散の安定性が悪化したり、生じる空隙
や空孔が多くなりすぎて初めから摺動面に存在する潤滑
剤量が少なくなり過ぎるばかりか、強磁性粉末の充填率
や塗膜の機械強度が大幅に低下し電磁変換特性及び耐久
性が低下する。
【0026】即ち、以上のように、磁性塗料中に含まれ
る強磁性粉末の平均長軸長を0.2μm以下とするとと
もに、結合剤の70重量%以上をスルホン酸金属塩残基
を所定量含有するポリウレタンとし、また上記磁性塗料
中に含まれる結合剤に対する無機顔料の配合割合を上記
範囲内に調整し、且つ潤滑剤として用いられる高級脂肪
酸エステルの添加量を規定するという条件が揃って、高
い電磁変換特性と良好な走行性及び耐久性を満足するこ
とができる。
【0027】本発明において、磁性塗料中に含まれる強
磁性粉末としては、鉄を、コバルトやニッケル等の金属
やこれらを含んだ合金からなる強磁性金属粉末が最も好
ましいが、これに限定されるものではなく、この他にも
例えばγ−酸化鉄、コバルト含有−γ酸化鉄、マグネタ
イト、コバルト含有−マグネタイト、CrO2 、バリウ
ムフェライト等がいずれも使用可能である。
【0028】上記その他の無機顔料としては、研磨剤や
カーボンブラック、二硫化モリブデンやグラファイト等
の固体潤滑剤等が挙げられる。
【0029】上記研磨剤としては、アルミナ、酸化クロ
ム、酸化チタン、α−酸化鉄、炭化ケイ素、コランダ
ム、(人造)ダイヤモンド等が挙げられる。
【0030】これらは、粉体状態で磁性塗料の混合・分
散の初期及び途中で添加しても良いし、強磁性粉末とは
別に分散したスラリー状態で磁性塗料の混合・分散の初
期や途中、又は終了時のいずれに添加しても良い。
【0031】また、本発明で結合剤として用いられるポ
リウレタンは、スルホン酸金属塩残基を結合剤1g当た
り0.05〜0.25mmol含有するものであれば、
ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエーテル系
のポリウレタンのいずれでも良い。
【0032】上記スルホン酸金属塩残基を形成する金属
としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等が
挙げられる。
【0033】該ポリウレタンの分子量は、数平均分子量
で5,000〜50,000程度が好ましい。このポリ
ウレタンの分子量が上記範囲より小さい場合には、機械
特性が低下したり、分散の安定性が低下してしまい、逆
に上記範囲より大きい場合には、塗料粘度が増大してし
まい取り扱いが困難になることに加え、分散性も低下す
る。
【0034】また、このポリウレタンにおいては、磁気
記録媒体としてのガラス転移点が好ましくは25℃以
上、より好ましくは50℃以上となる骨格のものが良
い。これを満足させるためには、該ポリウレタンがポリ
エステル系の場合には、ポリエステルのジカルボン酸成
分としてイソフタル酸やテレフタル酸を用いれば良い。
この場合、もちろんアジピン酸等その他のジカルボン酸
と併用しても構わない。磁気記録媒体としてのガラス転
移点が25℃未満となるように上記ポリウレタンを選定
すると、機械強度が不足したり、媒体表面が粘着性を帯
びて、走行性や保存特性が悪化する。
【0035】このポリウレタンは、単独でも、或いは骨
格や極性基量等が異なる複数の種類を組み合わせても良
い。
【0036】上記ポリウレタンの他の結合剤として、通
常の塗布型の磁気記録媒体に使用されるものとして従来
公知の材料がいずれも上記ポリウレタンと併用可能であ
る。
【0037】この場合、全結合剤量のうち、上記ポリウ
レタンの占める割合が70重量%以上となるようにする
必要がある。
【0038】上記従来公知の材料としては、例えばポリ
エステルやポリカーボネート又はポリエーテル系のポリ
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系共重合
体、セルロース誘導体、フェノキシ樹脂、アクリル酸エ
ステル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0039】ここで、良好な分散性を得るために、上記
ポリウレタンと組み合わせて用いられる結合剤の一部又
は全部に極性基が導入されても良い。
【0040】上記極性基としては、例えば−COOM、
−SO3 M、−O−SO3 M、−P=O(OM)2 、−
NR4 X,−NR2 、−SH(MはH,Li,Na,
K,−NR4 、Rはアルキル基又はH、Xはハロゲン原
子をそれぞれ表す。)等が挙げられる。これら極性基
は、1種類でも、2種類以上含まれても良い。
【0041】これら極性基の導入量は、結合剤1g当た
り0.03〜0.3mmolが好ましい。結合剤1g当
たり0.03mmolより少ないと分散性に対する効果
が小さく、逆に0.3mmolより多いと吸湿性が高く
なり、耐候性が悪くなるばかりか、かえって分散性が悪
化する虞れがある。
【0042】また、上記結合剤に架橋構造を形成するた
めには、架橋剤としてポリイソシアネートを添加しても
良い。
【0043】上記ポリイソシアネートとしては、例えば
トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート等のイソシアネート類及びこれらのイソシアネー
ト類とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの
付加体又はイソシアネート類の縮合生成物等が使用可能
である。
【0044】本発明において、潤滑剤として使用される
高級脂肪酸エステルとしては、例えば炭素数10以上2
4以下の一塩基性脂肪酸(分岐していても、不飽和結合
を含んでいても良い。)と炭素数1以上18以下の一価
のアルコール(分岐していても、不飽和結合を含んでい
ても良い。)やアルキレンオキサイドのモノアルキルエ
ーテルとからなるエステル化合物が好ましい。
【0045】具体的に例示するならばステアリン酸メチ
ル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステ
アリン酸ブチル、ステアリン酸sec−ブチル、ステア
リン酸tert−ブチル、ステアリン酸イソブチル、ス
テアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリ
ン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、パリミチ
ン酸ブチル、パルミチン酸ペンチル、パルミチン酸ヘプ
チル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソオクチ
ル、ミリスチン酸オクチル、オレイン酸オレイル等が挙
げられる。
【0046】その他、潤滑剤としては、従来公知の材料
を上記高級脂肪酸エステルと組み合わせて使用すること
も可能である。
【0047】この従来公知の材料としては、ミリスチン
酸やステアリン酸等の高級脂肪酸類及びそれらの金属や
アミンとの塩類、脂肪酸と多価アルコール類とのエステ
ル化合物、脂肪酸等で変性したものを含むシリコンオイ
ル、アルキル燐酸エステル(これらにはエチレンオキサ
イド等の付加によりエーテル結合等他の置換基が含まれ
ても良いし、一部フッ素が含まれても良い。)、またパ
フロロポリエーテル及びその変性物などが挙げられる。
【0048】これら潤滑剤は、磁性塗料の混合・分散の
初期、途中、終了時のいずれに添加しても良く、更に磁
性層が形成された後にトップコートしても良い。
【0049】本発明においては、その他の添加剤として
上述の研磨剤やカーボンブラック等の帯電防止効果や遮
光効果に摩擦低減効果等のあるものや、分散効果、架橋
促進効果、可塑効果等を目的として従来公知の各種材料
が使用されても良い。
【0050】これら各種磁性層構成材料を調製して得ら
れる磁性塗料の塗料化に使用される溶剤としては、例え
ばメチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン
類、メタノールやイソプロピルアルコール等のアルコー
ル類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼ
ンやトルエン等の芳香族炭化水素類、四塩化炭素やクロ
ロホルム等の塩素化炭化水素類、ジエチレングリコール
モノエチルエーテルやジオキサン等のエーテル類等が使
用可能である。
【0051】このような磁性塗料を塗布せしめる非磁性
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート等のポリエステル類、アラミド等の
ポリアミド又はポリイミド類、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン類、セルローストリアセテート等のセルロー
ス類やポリカーボネート等その他のプラスティックやア
ルミニウム等の金属、更にガラスやその他のセラミック
等が挙げられる。
【0052】本発明の磁気記録媒体において、上記非磁
性支持体上に上記磁性塗料の塗膜として形成される磁性
層は、単層膜であっても良く、2層以上の多層構造を有
するものであっても良い。
【0053】また、上記非磁性支持体上には、例えばα
−酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、アルミナ等の非磁性又は磁性の非常に小さい粉末
と結合剤とを主体とする下塗り層が設けられても良い。
【0054】以上が本発明にかかる磁気記録媒体の基本
的な構成であるが、磁気記録媒体の構成はこれに限るも
のではなく、例えば上記非磁性支持体の上記磁性層が形
成される側とは反対側の面に非磁性粉末又は磁性粉末と
結合剤を主体とするバックコート層が形成されても良
い。
【0055】この場合、上記バックコート層に用いる非
磁性粉末としては、カーボンブラックを主体とするもの
が一般的であるが、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チ
タン、α−酸化鉄等も使用可能である。
【0056】また、磁性粉末としては、磁性層に用いる
ものとして先に例示したものがいずれも使用可能であ
り、それらを単独で使用しても良く、組み合わせて使用
しても良い。
【0057】結合剤及びその他の添加剤としては、磁性
層に用いるものとして先に例示したものがいずれも使用
可能であり、特に限定されない。これらは、単独で又は
組み合わせて使用しても良い。
【0058】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。
【0059】<実験1>実施例1 先ず、下記の表1に示す組成にて各塗料材料をサンドミ
ルにより分散した後、架橋剤(日本ポリウレタン社製、
商品名;コロネートL)を3重量部添加し、これを厚み
8.7μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フ
ィルム上に塗布した。
【0060】
【表1】
【0061】その後、磁場配向処理を行い、乾燥させて
巻き取りを行った。
【0062】続いて、カレンダー処理を施し、温度60
℃、20時間の硬化処理を行って1.3μm厚の磁性層
を形成した。
【0063】そして、下記の表2に示す組成を有するバ
ックコート層を厚さ0.5μmとなるように形成した。
【0064】
【表2】
【0065】このようにして得られた幅広テープを8m
m幅にスリットしてサンプルテープとし、Hi−8ビデ
オカセットに組み込んだ。
【0066】実施例2 上記実施例1における磁性塗料の組成中、強磁性粉末a
を下記表3に示す強磁性粉末bに変え、その他は実施例
1と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビデ
オカセットに組み込んだ。
【0067】
【表3】
【0068】実施例3 上記実施例1における磁性塗料の組成中、強磁性粉末a
を強磁性粉末cに変え、その他は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組
み込んだ。
【0069】実施例4 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aを下
記表4に示す結合剤Cに変え、その他は実施例1と同様
にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセッ
トに組み込んだ。
【0070】
【表4】
【0071】実施例5 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aを結
合剤Dに変え、その他は実施例1と同様にしてサンプル
テープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込ん
だ。
【0072】実施例6 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aに加
えて結合剤Hを総量を変えずに組み合わせ、これら結合
剤Aと結合剤Hの配合比率を結合剤A:結合剤H=8
5:15(重量比)とし、その他は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに
組み込んだ。
【0073】実施例7 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aに加
えて結合剤Hを総量を変えずに組み合わせ、これら結合
剤Aと結合剤Hの配合比率を結合剤A:結合剤H=7
0:30(重量比)とし、その他は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに
組み込んだ。
【0074】実施例8 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aの添
加量を18.75重量部とし、その他は実施例1と同様
にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセッ
トに組み込んだ。
【0075】実施例9 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aの添
加量を16重量部とし、その他は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組
み込んだ。
【0076】実施例10 上記実施例1における磁性塗料の組成中、アルミナの添
加量を12重量部に変え、その他は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに
組み込んだ。
【0077】実施例11 上記実施例1における磁性塗料の組成中、ステアリン酸
ヘプチルの添加量を1.5重量部に変え、その他は実施
例1と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビ
デオカセットに組み込んだ。
【0078】実施例12 上記実施例1における磁性塗料の組成中、ステアリン酸
ヘプチルの添加量を3重量部に変え、その他は実施例1
と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオ
カセットに組み込んだ。
【0079】実施例13 上記実施例1における磁性塗料の組成中、ステアリン酸
ヘプチルをパルミチン酸イソオクチルに変え、その他は
実施例1と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−
8ビデオカセットに組み込んだ。
【0080】比較例1 上記実施例1における磁性塗料の組成中、強磁性粉末a
を強磁性粉末dに変え、その他は実施例1と同様にして
サンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組
み込んだ。
【0081】比較例2 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aを結
合剤Bに変え、その他は実施例1と同様にしてサンプル
テープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込ん
だ。
【0082】比較例3 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aを結
合剤Eに変え、その他は実施例1と同様にしてサンプル
テープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込ん
だ。
【0083】比較例4 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aを結
合剤Fに変え、その他は実施例1と同様にしてサンプル
テープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込ん
だ。
【0084】比較例5 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aを結
合剤Gに変え、その他は実施例1と同様にしてサンプル
テープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込ん
だ。
【0085】比較例6 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aに加
えて結合剤Hを総量を変えずに組み合わせ、これら結合
剤Aと結合剤Hの配合比率を結合剤A:結合剤H=6
0:40(重量比)とし、その他は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに
組み込んだ。
【0086】比較例7 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aの添
加量を20重量部に変え、その他は実施例1と同様にし
てサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに
組み込んだ。
【0087】比較例8 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aの添
加量を15.5重量部に変え、その他は実施例1と同様
にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビデオカセッ
トに組み込んだ。
【0088】比較例9 上記実施例1における磁性塗料の組成中、ステアリン酸
ヘプチルの添加量を1.0重量部に変え、その他は実施
例1と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビ
デオカセットに組み込んだ。
【0089】比較例10 上記実施例1における磁性塗料の組成中、ステアリン酸
ヘプチルの添加量を4.0重量部に変え、その他は実施
例1と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビ
デオカセットに組み込んだ。
【0090】そこで、得られた各サンプルテープ(各サ
ンプルテープの仕様を下記表5に示す。)について、電
磁変換特性としてY−C/N、摩擦係数及びスチル耐久
性を以下に示す方法でそれぞれ評価した。
【0091】
【表5】
【0092】<Y−C/N>Hi−8ビデオデッキを用
い、7MHzの信号を10分間記録した。そして、記録
部分を再生し、リミッター前に検出した7MHzでの出
力とそこから−1MHzのノイズとの比を求めてY−C
/Nとし、比較例1の結果を0dBとした時の相対値に
て表した。この結果を下記表6に示す。
【0093】
【表6】
【0094】<摩擦係数>磁性面と3mmΦのSUS3
04ガイドピンとの摩擦係数を以下の条件で測定し、3
0回走行後の値を表した。この結果を上記表6に併せて
記す。
【0095】 測定環境 ;温度40℃、相対湿度80%RH テープ速度 ;20mm/秒 荷重 ;20g 抱き角 ;90° <スチル耐久性>長時間スチルができるように改造した
Hi−8ビデオデッキを用いて、温度40℃、相対湿度
80%RHの環境下でRF出力が初期から3dB減衰す
るまでの時間を求めスチル時間として表した。この結果
を上記表6に併せて記す。
【0096】なお、360分以上経過してもRF出力が
初期から3dB減衰しないサンプルについては360分
にて測定を打ち切り、表5中には360分以上として記
載した。
【0097】表6に示すように、Y−C/Nが+1.0
dB以上のサンプルは電磁変換特性が良好であり、摩擦
係数が0.3以下のサンプルは走行性が良好であり、ス
チル時間が240分以上のサンプルは耐久性が良好であ
ると判断することができる。
【0098】また、本発明による実施例1〜13のサン
プルテープは、比較例1〜10に比べて、Y−C/Nが
高く、且つ摩擦係数が小さく、スチル時間が長く、優れ
た電磁変換特性と良好な摩擦係数、スチル耐久性を高い
水準で兼ね備えていることが判った。
【0099】このことから、磁性塗料中に含まれる強磁
性粉末として平均長軸長が0.2μm以下のものを用い
るとともに、結合剤としてスルホン酸金属塩残基を所定
量含有するポリウレタンを用い、上記強磁性粉末その他
の無機顔料と上記結合剤との比率を一定範囲内に規制
し、且つ潤滑剤として高級脂肪酸エステルを所定の配合
割合で添加することは、電磁変換特性を向上させた上
で、高い走行性及び耐久性をも確保するのに有効である
ことが判った。
【0100】ここで、更に詳細に検討するために、上記
磁性塗料中に含まれる強磁性粉末の平均長軸長につい
て、実施例1〜3及び比較例1で比較した。
【0101】上記強磁性粉末の平均長軸長を0.24μ
mとした比較例1のサンプルに対して、平均長軸長が
0.2μm以下のものを用いた実施例1〜3のサンプル
では、1.0dB以上優れたY−C/Nが得られ、摩擦
係数及びスチル耐久性においても問題のない値が得られ
た。
【0102】次に、用いる結合剤に含まれるスルホン酸
金属塩残基の量について、実施例1,4,5及び比較例
2,3で比較した。
【0103】実施例4と比較例2の比較から、上記スル
ホン酸金属塩残基の量を0.03mmmol/gから
0.07mmol/g(本発明の範囲内である0.05
mmol/g以上)にすることで、Y−C/Nが良好な
範囲に入ることが判った。
【0104】また、実施例5と比較例3の比較から、上
記スルホン酸金属塩残基の量を0.22mmmol/g
から0.27mmol/g(本発明の範囲である0.2
5mmol/gを越える範囲)に増やしても、Y−C/
Nは向上せず、むしろ低下する傾向が見られた。
【0105】実施例1,4,5のサンプルは、いずれも
摩擦係数及びスチル耐久性においても問題のない値が得
られた。
【0106】また、磁性塗料に含まれる全結合剤量に占
める上記スルホン酸金属塩残基を含有するポリウレタン
の割合について、実施例1,6,7及び比較例6で比較
した。
【0107】全結合剤量に占める上記スルホン酸金属塩
残基を含有するポリウレタンの割合が多いほど、良好な
Y−C/Nが得られた。
【0108】また、結合剤がポリウレタンでも、スルホ
ン酸金属塩残基以外の親水性官能基を含有するものを用
いた比較例4,5のサンプルでは、いずれも低いY−C
/Nしか得られなかった。
【0109】更に、磁性塗料中に含まれる強磁性粉末そ
の他の無機顔料と結合剤との比率について、実施例1,
8,9,10及び比較例7,8で比較した。
【0110】磁性塗料に含まれる強磁性粉末その他の無
機顔料と結合剤との比率が本発明の範囲内にある実施例
1,8,9,10のサンプルは、Y−C/Nが+1.0
dB以上と高く、且つ摩擦係数が0.3以下と低く、ス
チル時間も300分以上と良好であった。
【0111】これに対して、磁性塗料に含まれる強磁性
粉末その他の無機顔料と結合剤との比率が本発明の範囲
に満たない比較例7では、Y−C/Nは高いものの、ス
チル時間が非常に短く、摩擦係数も高い傾向にあった。
【0112】また、磁性塗料に含まれる強磁性粉末その
他の無機顔料と結合剤との比率が本発明の範囲を越える
比較例8では、摩擦係数は低いものの、Y−C/Nが低
く、スチル時間も短かった。
【0113】このことから、磁性塗料に含まれる強磁性
粉末その他の無機顔料と結合剤との比率を本発明の範囲
内、つまり重量比で無機顔料/結合剤=5.75〜6.
75に調整することで、電磁変換特性、走行性、耐久性
を高い水準で満足できることが判った。
【0114】また更に、潤滑剤として含まれる高級脂肪
酸エステルの量について、実施例1,11,12及び比
較例9,10で比較した。
【0115】潤滑剤として含まれる高級脂肪酸エステル
の量が本発明の下限(磁性粉末100重量部に対して
1.5重量部)である実施例11のサンプルは、それよ
り量の多い実施例1のサンプルと比較して、スチル時間
がやや短い傾向にあるものの、240分以上を示し、耐
久性として問題にならない水準が確保されていることが
判った。
【0116】潤滑剤として含まれる高級脂肪酸エステル
の量が本発明の上限(磁性粉末100重量部に対して
3.0重量部)である実施例12のサンプルは、それよ
り量の少ない実施例1,11のサンプルと比較して、摩
擦係数がやや高い傾向にあるものの、0.3以下を示
し、走行性として問題にならない水準にあることが判っ
た。
【0117】これに対して、潤滑剤として含まれる高級
脂肪酸エステルの量が本発明の範囲に満たない比較例9
のサンプルは、スチル時間が非常に短く、耐久性として
問題となる。
【0118】潤滑剤として含まれる高級脂肪酸エステル
の量が本発明の範囲を越えた比較例10のサンプルは、
摩擦係数が非常に大きく、はりつきを起こして走行不能
となる可能性がある。
【0119】以上の結果から、潤滑剤として含まれる高
級脂肪酸エステルの量を本発明の範囲内に調整すること
は、走行性と耐久性を両立させる上で効果があることが
判った。
【0120】また、実施例1〜12と異なる種類の高級
脂肪酸エステルを用いた実施例13のサンプルも、Y−
C/Nが高く、摩擦係数が低く、且つスチル時間も長
く、良好な電磁変換特性、走行性及び耐久性が得られ
た。
【0121】<実験2>実施例14 上記実施例1において磁性層厚を1.3μmとしたのを
下記表7に示すように2.4μmに変え、その他は実施
例1と同様にしてサンプルテープを作製し、Hi−8ビ
デオカセットに組み込んだ。
【0122】
【表7】
【0123】実施例15 上記実施例1において磁性層厚を1.3μmとしたのを
0.9μmに変え、その他は実施例1と同様にしてサン
プルテープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込
んだ。
【0124】比較例11 上記実施例1における磁性塗料の組成中、結合剤Aに加
えて結合剤Hを総量を変えずに組み合わせ、これら結合
剤Aと結合剤Hの配合比率を結合剤A:結合剤H=6
0:40(重量比)とするとともに、磁性層厚を2.4
μmに変え、その他は実施例1と同様にしてサンプルテ
ープを作製し、Hi−8ビデオカセットに組み込んだ。
【0125】そこで、得られた各サンプルテープについ
て、上述と同様の方法で電磁変換特性としてY−C/N
を測定し、また以下の方法によりドロップアウトも調べ
た。
【0126】<ドロップアウト>Hi−8ビデオデッキ
を用いて、7MHzの信号を9分間記録し、その中央の
3分間の部分についてドロップアウトを測定し、3分間
の平均値を求めた。なお、ドロップアウトのスレッシュ
ホールドは−16dB/10μ秒とした。
【0127】この結果を下記表8に示す。
【0128】
【表8】
【0129】表8に示すように、上述の条件を満足した
上に、更に磁性層厚を1.5μm以下とした実施例1
4,15のサンプルでは、実施例1のサンプルと比較し
て、ドロップアウトが少なく、Y−C/Nも良好であっ
た。
【0130】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、磁性塗料中に含まれる強磁性粉末と結合剤を特性
の組み合わせとしているので、良好な電磁変換特性が得
られるとともに、潤滑剤の存在状態が走行性及び耐久性
の双方にとって問題にならない範囲に制御されているの
で、電磁変換特性が高く、且つ走行性、耐久性に優れた
磁気記録媒体を得ることができる。
【0131】また、本発明では、磁性層厚を1.5μm
以下としているので、良好な電磁変換特性、走行性及び
耐久性に加え、優れたドロップアウト特性を兼ね備えた
磁気記録媒体を提供することが可能となる。
【0132】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/842 7303−5D G11B 5/842 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤と
    を主体とする磁性塗料の塗膜からなる磁性層が形成され
    てなる磁気記録媒体において、 上記磁性塗料中に含まれる強磁性粉末の平均長軸長が
    0.2μm以下であるとともに、結合剤の70重量%以
    上がスルホン酸金属塩残基を0.05〜0.25mmo
    l/g含有するポリウレタンであり、上記強磁性粉末そ
    の他の無機顔料と上記結合剤との比率が重量比で無機顔
    料/結合剤=5.75〜6.75であり、且つ潤滑剤と
    して磁性粉末100重量部に対して1.5重量部以上
    3.0重量部以下の高級脂肪酸エステルが含まれること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層の膜厚が1.5μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
JP7284186A 1995-10-31 1995-10-31 磁気記録媒体 Withdrawn JPH09128735A (ja)

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