JP4155474B2 - 磁性塗料の製造方法及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁性塗料の製造方法及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁変換特性に優れ、かつ生産性に優れる塗布型の磁気記録媒体の磁性塗料および磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量の記憶装置の普及に伴い、磁気記録媒体の高密度化が要望されるようになり、磁性層の高充填化、薄層化、および平滑化が必要になってきた。
特に電磁変換特性の高周波領域の特性改善のために、磁性粉としては長軸長が100nm以下で短軸長が20nm以下のものが使われ、かつ磁性層の厚みも100nm付近の超薄層になったため、磁性塗料の中で平均粒径が150〜200nmの研磨材の使い方が非常に重要になってきている。
研磨剤を分散含有させた磁性塗料の製造或いは、それを用いた磁気記録媒体、例えば「親水性官能基を有する結合剤樹脂及び希釈用溶剤とともに混合分散することによって得られた研磨剤、帯電防止剤の分散処理液を用いることを特徴とする磁性塗料の製造方法。」(特開昭62−16244号公報)、「強磁性粉末、研磨材および結合剤を含む磁性塗料を製造する方法であって、研磨材と結合剤とを含む研磨材分散液を予め調製したのち、該分散液と強磁性粉末とを混合することを特徴とする磁性塗料の製造方法。」(特開昭62−134827号公報)、「非磁性支持体上に強磁性金属粉末と結合剤樹脂とを主体とする磁性層を有する磁気記録媒体において、該強磁性金属粉末は、鉄を主成分とし、且つFe原子に対してアルミニウムを1〜25原子%含有するものであり、該磁性層中はモース硬度が6以上の研磨剤粒子を該強磁性金属粉末100重量部当り4〜18重量部含有し、且つ電子顕微鏡で観察される該磁性層表面の0.3μm以上の大きさの研磨剤露出単位が、3.5個/100μm2以下であることを特徴とする磁気記録媒体。」(特開平9−35251号公報)、及び「非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体の製造方法において、上記磁性粉末と研磨材とを別々に分散させた磁性粉末分散塗料と研磨材別分散塗料とをそれぞれ調製する工程と、上記磁性粉末分散塗料と研磨材別分散塗料とを混合分散して上記磁性層の塗料を得る工程と、該塗料を上記非磁性支持体上に塗布する工程とをとることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。」(特開平8−287462号公報)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開昭62−016244号公報には、親水性官能基を持つ塩ビまたはニトロセルロースを用いた研磨材や帯電防止剤の分散液を使う磁性塗料の製造方法が開示されている。この方法により磁性粉と研磨材、帯電防止剤はおのおのの最適条件で効率よく分散できるようになった。しかしながら塩ビの研磨材分散液は塩ビの種類によっては分散が不十分であったり、また一部の塩ビでは研磨材分散液の塗料安定性が悪くゲル化してしまう問題があった。またニトロセルロースの研磨材分散液は分散が不十分であり、かつ塩ビ/ウレタン系の磁性分散液にニトロセルロース系の研磨材分散液を添加すると、分散液間の相性が悪くボタが発生してしまう問題点があった。前記特開昭62−134827号公報には、塩ビ/酢ビ系共重合体を中心にウレタン樹脂を用いた研磨材の分散液を使う磁性塗料の製造方法が示されている。この方法でも各材料にあった樹脂でそれぞれ分散することで電特および耐久性の高い磁気記録媒体が得られている。しかしながら本願でも指摘しているように研磨材は塩ビとの相性はよいが、ウレタンとの相性は悪く、分散性のよい塩ビを選定してもその分散性は分散の悪いウレタンで決まってしまい決してよい研磨材分散液は得られないため、現在のように超高周波領域の特性が必要な磁気記録媒体には不十分である。又前記特開平09−035251号公報には、研磨材分散液を使うことにより、磁性層表面の0.3μm以上の研磨材の個数を低下させ、ヘッド摩耗が少なく、電磁変換特性が高い磁気記録媒体を得ている。しかしながらこの発明では研磨材の分散度合い、研磨材の粒径、アルミナ種類が交絡しており研磨材の分散性そのもの改善についてはなにも示唆を与えていない。さらに前記特開平08−287462号公報には、研磨材の分散時のP/Bを検討し、その分散度を上げ、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる技術を開示している。しかしながら最適P/Bは研磨材のBET値、表面性や樹脂の種類によって大きく異なるため、使う材料によっては満足いく分散性が必ずしも得られるわけではなく、超高周波領域の特性が必要な磁気記録媒体には必ずしも適しているとは言えない。
したがって、高域の電磁変換特性に優れ、ヘッド摩耗と耐久性に優れた磁気記録媒体及びそのための磁性塗料が提供されることが望まれているところである。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、特定の研磨材塗料と特定の磁性塗料とを予め調整し、特定の条件でこれらを混合分散することによって得られた塗料を用いて得られた磁気記録媒体が前記の課題を解決し得るものであることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち本発明は、(1)強磁性粉末、研磨材および結合剤を含む磁性塗料を製造する方法であって、研磨材と極性基を有するポリウレタンとを含む研磨材塗料を予め調整し、前記研磨材塗料の光沢が50%を越えた後、該研磨材塗料と強磁性粉末を含む磁性塗料とを混合分散処理をすることを特徴とする磁性塗料の製造方法、(2)前記研磨材塗料に含まれるポリウレタンが芳香族ポリエステルポリオールを主成分とし、かつスルホン酸ナトリウム基を0.02mmol/g以上含むことを特徴とする(1)項記載の磁性塗料の製造方法。(3)前記研磨材塗料に含まれる研磨材がアルミナであり、かつそのアルミナのα化率が30%以上60%以下あることを特徴とする(1)項記載の磁性塗料の製造方法、(4)強磁性粉末、研磨材および結合剤を含む磁性塗料であって、研磨材と極性基を有するポリウレタンとを含む研磨材塗料を予め調整し、前記研磨材塗料の光沢が50%以上になった後、該研磨材塗料と強磁性粉末を含む磁性塗料とを混合分散処理して得られた磁性塗料、(5)前記研磨材塗料に含まれるポリウレタンが芳香族ポリエステルポリオールを主成分とし、かつスルホン酸ナトリウム基を0.02mmol/g以上含むものである(4)項記載の磁性塗料、(6)前記研磨材塗料に含まれる研磨材がアルミナであり、かつそのアルミナのα化率が30%以上60%以下のものである(4)項記載の磁性塗料、(7)非磁性支持体上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体であって、磁性層が(4)乃至(6)のいずれかの磁性塗料を塗布して設けたことを特徴とする磁気記録媒体、(8)(4)乃至(6)のいずれかの磁性塗料を、非磁性支持体上にすでに塗布、乾燥、加工、硬化させてある非磁性下層上に設けることを特徴とする磁気記録媒体、に関する。
種類の異なる顔料を別々に最適な条件で分散し、最終的に混合する方法は塗料業界では周知の事実である。磁気塗料分野では、磁性粉に対してその他の顔料の比率が極端に少ないことや、磁性粉が大きく(長軸長0.3μm以上)、磁性層が3μmと厚く、またそれ程高周波領域の電磁変換特性を必要としない場合が多く、研磨材等の補助顔料は磁性粉と混合し同時に分散する場合が多かった。しかし最近記録密度の向上のために磁気記録媒体に高表面性が要求されるようになり、かつ磁性粉が微粒子になったため逆に研磨材の量も多く必要になり、研磨材塗料の別分散の必要性がでてきた。近年磁気記録媒体関係で研磨材の別分散に関する出願が多く見られるのはこのためである。
また、本発明者らが高記録密度媒体の製造方法として開発中のウエット オン ドライ製法にて、超薄層重層媒体を作製すると、今までの単層媒体やウエット オン ウエット製法で作製した超薄層媒体に比べ格段に研磨能の高いテープができてしまうことが判明した。
そのため超薄層媒体をウエット オン ドライ製法にて作製する場合は、研磨材の投入方法について更なる検討をする必要が出てきた。
本発明者らは様々な検討結果より、研磨材単独での研磨能が研磨材の硬さ、形状以外に研摩材塗料の分散度合いに依存することを突き止め、それをテープ上にて実現できるように検討を続け、以下の3項目を行うことにより高記録密度に対応し、かつ耐久性に優れ、スチル特性が高く、ヘッド摩耗が少なく、ヘッド焼き付きの少ない磁気記録媒体を得ることができたのである。
即ち、(1)芳香族系ポリエステルポリオールを主成分とし、かつスルホン酸ナトリウム基を0.02mmol/g以上含むポリウレタン樹脂のみで光沢50%以上の研磨材分散塗料を作製すること、
(2)使用する研磨材は粉砕法にて作製したものでないこと及び
(3)研磨材の種類がアルミナであり、α化率が30%以上60%以下であることである。 これらについて、更に詳しく述べると、(1)については、極性基の効果を効率よく発現させるには、極性基が樹脂の中に囲まれることなく外側に向いている必要がある。しかしポリウレタンは一般的には柔らかい骨格をもっており、そのため極性基を導入しても樹脂の骨格部分が包み込んでしまい効果がでない場合が多い。そのため研磨材については塩化ビニルで分散液を調製する場合が多い。しかし芳香族系のポリエステルポリオールを主成分とするポリウレタンの場合は樹脂の骨格が固いため極性基の効果が発現し易い。このウレタンを磁性層そのものに使うと、固くなりすぎて低温の耐久性に問題が出てしまうが、研磨材分散液として使う分には問題は発生しない。
(2)(3)については、研磨材の粒径分布が広いと研磨材塗料の分散が悪くなる。特に粉砕により粒径が決められた研磨材には微細粉が含まれ、分散性を劣化させ、かつ凝集体を作り易くテープの研磨能を上げてしまう。そのため合成により粒径が決まる方法により作製された研磨材が好ましい。また、その製法で最もポピュラーな研磨材は有機アルミ法により作られたアルミナであり、粒径分布がシャープでありテープ化した時に凝集体による研磨能上昇が少なくなり好ましい。単層やウエット オン ウエット製法での重層媒体は一般的に研磨能が低くなる傾向にあり、粒径分布が広い研磨材を使ったり、粒径の異なる研磨材を混合してわざわざ研磨能を上げて使用している場合がある。しかしウエット オン ドライ製法で使う研磨材は粒径をよりシャープにすることが必要である。
またアルミナのα化率を60%以下にすると研磨材そのものの研磨能が低下するばかりでなく、原因は明らかではないがα化率を落とすことで樹脂との相性がよくなり、研磨材塗料の分散性が高くなり、磁性塗料に添加しテープ化した時に研磨能がより下がる傾向にある。そのため特にウエット オン ドライ製法で作製した超薄層磁性層媒体には、α化率が60%以下のアルミナを使った研磨材塗料を添加しなければ、研磨能が高すぎてヘッド摩耗およびヘッド焼き付きの良好な媒体を作れない。
さらに、α化率が60%以上のアルミナとα化率60%以下のアルミナを別々に分散後、混合して用いても構わない。特にα化率が低いアルミナの平均粒径を30%程度α化率の高いアルミナに比べ大きくすると、ヘッド摩耗が少なく、スチル特性が良好な媒体が得られるのである。
そして、本発明の磁性塗料は、塗布した場合の光沢が180%を超えるものであって高く、研磨材塗料を添加した後に所定の光沢度まで速やかに回復し、更に濾過フィルターの耐用時間の長い生産性に優れた磁性塗料である。
【0005】
本発明の研磨材として用いる非磁性粉末としては、α−Al23、β−Al23、γ−Al23、θ−Al23、Cr23、SiC、酸化チタン、硫酸バリウム、ZnS、MgCO3、ZnO、CaO、γ酸化鉄、二硫化W、二硫化Mo、窒化ホウ素、MgO、SnO2、SiO2、酸化セリウム、コランタム、人造ダイアモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、チタンカーバイト、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等を用いることができる。
このうち各種Al23、Cr23が研磨材として好ましいが、特に有機アルミ法で作られたアルミナは粉砕を行わないために粒径分布がシャープで好ましい。
研磨材を分散するポリウレタンとしてはポリエステルポリオールを主成分として得られるポリウレタンである。
ポリエステルポリオールのカルボン酸成分としては、骨格を固くし極性基の効果を発現させ易いテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸などを使う必要がある。
また、ポリエステルポリオールのグリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−プタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがある。
また、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのトリおよびテトラオールを併用してもよい。
使用されるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートビフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニレンジイソシアネート、4,4′−ジイソシアネート−ジフェニルエーテル、1,5′−ナフタレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物。
あるいは全イソシアネート基のうち7モル%以下の2,4−トリレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体等のトリイソシアネート化合物が挙げられる。
このポリウレタン中に含まれる極性基としては、−SO3Naが0.02mmol/g以上必要である。しかしその他のリン酸含有極性基や−OH基、−COOH基−NR4、−NHR3等の極性基を同時に含ませても構わない。
極性基の量は−SO3Naとして0.02mmol/g以上、さらには0.05mmol/g以上が好ましい。このようなポリウレタン樹脂は公知の方法により、特定の極性基含有化合物および/または特定の極性基と反応させた原料樹脂等を含む原料とを溶剤中または無溶剤中で反応させることにより得られる。得られる樹脂の分子量は500〜100,000であることが望ましい。
ポリウレタンの添加量は研磨材の比表面積が10m2/g程度と磁性粉の1/5なので研磨材100に対して10%から30%の範囲で添加すればよいが、分散性よりも添加される磁性塗料の最終組成との関係で決定すればよい。また下記に示した混練、分散、希釈工程でポリウレタン添加量を変化させても構わない。
研磨材塗料の作製方法としては磁性層と同様の製造方法が使われる。例えば混練工程、分散工程、希釈工程に代表される工程を経ることが好ましいが、さらに細分化しても構わない。混練工程としては加圧ニーダー、連続式ニーダー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ディゾルバー等が好ましい。特に研磨材塗料は磁性塗料ほど強い混練は必要でないためプラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ディゾルバーで十分である。分散工程としてはアルミナビーズが使用できるように横型のピンミルを使用するのが好ましい。さらにはベッセルの内壁がアルミナコーテイングされていればさらに好ましい。
研磨材塗料に使用される溶剤としては、磁性層に使われるものの中から選択した方が、磁性層に添加した時にトラブル少なく好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の磁気記録媒体について更に詳しく説明する。
磁性層
(磁性粉末)
本発明で使用する磁性粉末は鉄(Fe)を主成分とし以下の組成のものを使うのが好ましい。
Co :18〜40wt%
Al :5〜15wt%
Y、および希土類元素:1〜10at%
Fe磁性粉末に含まれるCo量は18〜40wt%である。18wt%未満となると磁気エネルギーの向上が期待できず、40wt%超となると磁性粉の特性が均一になりにくい。さらにAlが含まれない場合には、Fe磁性粉末が焼結したり、強度が低下し、保存特性が劣化したり、また塗料分散性、塗料安定性にも悪影響を及ぼす。Yまたは希土類元素が含まれない場合には、Alと同様にFe磁性粉末が焼結し、形状が崩れSFDの低下を招くおそれがある。
また、さらにこのFe磁性粉末にはSi、Cr、Mn、Ni、Zn、Cu、Zr、Ti、Bi、Ag、Pt、B、C、P、N、S、Sc、V、Mo、Rh、Pd、Sn、Sb、Te、Ba、Ca、Ta、W、Re、Au、Hg、Sr、Pb等の元素が含まれていてもかまわない。
またこれらのFe磁性粉末にはAl、Si、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったものでも、Si、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面活性剤等で表面処理した物でも良い。
Fe磁性粉末に含まれるNa、K、Ca等の可溶性の無機イオンの量は、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。
Fe磁性粉末の含水量は0.1〜2%であればよいが、結合剤の種類等により最適化させるのが好ましい。
Fe磁性粉末のpHは用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましく、その範囲は7〜11であり、さらに好ましくは8〜10である。
Fe磁性粉末のBET法による比表面積で表せば25〜70m2/gであり、さらに好ましくは35〜60m2/gである。
Fe磁性粉末の飽和磁化量は130emu/g以上が好ましく、さらには140emu/g以上(170emu/g以下)であることが好ましい。
長軸長は0.2μm以下であることが好ましく、さらには0.15μm以下(0.05μm以上)であることが好ましい。
結晶子サイズ(Dx)は200Å以下が好ましく、さらには180Å以下(90Å以上)が好ましい。
(バインダー)
Fe磁性粉末を分散するバインダーとしては、一般的に公知のものが使用できる。例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、放射線感応型変性樹脂等が用いられ、その組み合わせは特性に合わせて適宜選択使用される。
本発明に使用される樹脂の例としては、塩化ビニール系共重合体が挙げられる。
詳しくは、塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール共重合体、塩化ビニール−ビニールアルコール共重合体、塩化ビニール−ビニールアルコール−プロピオン酸ビニール共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−マレイン酸共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール−マレイン酸共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−末端OH側鎖アルキル共重合体等がある。
また、塩化ビニル系共重合体はポリウレタン樹脂との併用するのが好ましい。
ポリウレタン樹脂の使用は耐摩耗性、および支持体、例えばPETフィルムへの接着性が良い点で特に有効である。これらのポリウレタン樹脂とは、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール等のヒドロキシ基含有樹脂とポリイソシアナート含有化合物との反応により得られる樹脂の総称であって、以下に詳述する合成原料を数平均分子量で5,000〜200,000程度に重合したもので、そのQ値(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜4程度である。
合成原料のイソシアネートとしては、24−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−または1,4−キシレンジイソシアネート、15−ナフタレンジイソシアネート、m−またはp−フェニレンジイソシアネート3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、4,4−ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、デスモジュールL、デスモジュールN等の各種多価イソシアネートが挙げられる。
ポリエステルポリオール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリット、ソルビートル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの様な多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸テレフタル酸、コハク酸、アジビン酸、セバシン酸の様な飽和多価塩基酸との縮重合によるものが挙げられる。
ポリエーテルポリオール成分としては(ポリエチレングルコール、ポリプリピレングリコール、ポリテトレメンチレングリコール)やカプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エステル、ヒドロキシル含有メタクリル酸エステル等の各種ポリエステル類の縮重合物により成るポリウレタンエラストマー、プレポリマーが挙げられる。
これらの樹脂の末端や側鎖に極性基として−COOH、−SO3M、−OSO3M、−OPO3X、−PO3X、−PO2X、−N+3Cl-、−NR2等をはじめとする酸性極性基、塩基性極性基等を含有していてもよく、これらの含有は分散性の向上に好適である。
これらの共重合体をイソシアナートアダクト体を使用して架橋させる場合の硬化剤としては、イソシアネートとして、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の各種多価イソシアネートと、トリメチロールプロパンの様な多価アルコールとのアダクト体を使用すればよい。
具体的には日本ポリウレタン株式会社製のコロネートL、HL、3041、旭化成株式会社製の24A−100、TPI−100、BFGoodrich社製のデスモジュールL、N等があげられ、上記重合体に対して1〜50wt%添加して使用する。
また一般にこのような、反応性または熱硬化性樹脂を硬化するには、一般に加熱オーブン中で50〜80℃にて6〜100時間加熱すればよい。
Fe磁性粉末に対する結合剤の量は、Fe磁性粉末100に対して10から100が好ましい。結合剤が少なすぎるとFe磁性粉末の結合性が悪く、走行耐久で粉落ちによる目詰まりが発生し易い。また結合剤が多すぎると、高い電磁変換特性が得られない。結合剤の量はハード側の要求する特性に合うように、電特と物性のバランスを考慮し、決めることが好ましい。
(溶剤)
磁性層に使用する溶剤としては特に制限はないが、バインダーの溶解性および相溶性等を考慮して適宜選択され、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロパロール、ブタノール等のアルコール類、イソプロピルエーテル、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、テトヒドロフラン、フルフラール等のフラン類等、ジメチルフォルムアミド、ビニルピロリドン等の希釈剤ないし溶剤を単一溶剤またはこれらの混合溶剤として用いる。
これらの溶剤はバインダーに対して10〜10000wt%、特に100〜5000wt%の割合で用いる。
(添加剤)
磁性層には研磨材の他にカーボンブラック、グラファイト、SnO2、TiO2・SnO2等を添加しても構わない。とくにカーボンブラックは粒径、構造性により磁性層に導電性を持たせたり、摩擦を低下させることもできるため好ましい。
磁性層に用いる潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中で、特に脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数8以上の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素数11以上のアルキル基)であり、なかでもミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の脂肪酸が好適である。
また、脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜22の飽和ないし不飽和の脂肪酸と炭素数4〜22の飽和ないし不飽和のアルコールや、ソルビタン等の環状もしくは多糖類還元アルコール等からなる脂肪酸エステルであり、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が特に好適である。
エステルにおける脂肪酸および/またはアルコールの脂肪族鎖は飽和でも不飽和であってもよく、n−体、i−体等種々のものであってよい。なお、これらは2種類以上、併用してもよい。
その他の潤滑剤として、前記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石鹸、シリコーンオイル、フッ素オイル、パラフィン、流動パラフィン界面活性剤等も使用可能である。
用いる潤滑剤量は、磁性粉100重量部に対して総計20重量部以下、特に0.1〜15重量部とするのが好ましい。
磁性層の厚みは、厚み損失を減らし、磁性層の塗布性を高め、非磁性層からの潤滑剤の供給し易さ等のために極力薄いほうが好ましく、0.5μm以下である。
バックコート層
本発明では非磁性支持体の磁性層と反対側の面にバックコート層を設けることができる。このバックコート層は通常磁気記録媒体で使用されるものを用いることができる。例えば顔料としてはカーボンブラック、無機酸化物、有機質粉末等が使用でき、これらの顔料を組み合わせたり、異なる粒径のものを組み合わせることも、目的に応じて可能である。結合剤としては磁性層で示したものが同様に使えるが、特に塩化ビニル、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂が挙げられ、これを単独もしくは組み合わせて使用できる。
非磁性支持体
本発明で使用する非磁性支持体は通常磁気記録媒体で使用されるものを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリアセテート、ポリカーボネート等の公知のフィルムを使用することができ、好ましくはPET、PEN、芳香族ポリアミドである。さらに好ましくは、PEN、PENの2種ないし3種による多層共押し出しによる複合化フィルムまたは芳香族ポリアミドであり、これらのフィルムを使用すると電磁変換特性、耐久性、磨耗特性、フィルム特性、生産性のバランスが得やすい。
製造工程
磁性層が単層の場合はリバースコーターで所定の厚みになるように非磁性支持体上に磁性層を塗布する。その後配向、乾燥、カレンダー加工を行い、さらに逆面にバックコートをグラビアシリンダーで塗布を行い、熱硬化させてサンプルとする。
重層の場合は非磁性支持体にまず非磁性下層を塗布する。非磁性下層の厚みは非磁性支持体の表面粗さや媒体の要求特性により適宜決めればよいが、一般的には0.5〜3.0μmである。さらに非磁性下層のメリットを引き出そうとすると好ましくは、0.8μm以上である。非磁性下層塗布後、乾燥し、カレンダー加工し、EB照射し、上層磁性層を塗布するのが好ましい。EB照射する前に非磁性下層をカレンダー加工した方が、カレンダーの温度、加工圧等が低くても、良好な非磁性下層の表面性が得られて好ましい。
また、非磁性下層は上層塗布前にカレンダー加工した方が好ましい。
また、上層磁性層塗布前にEB照射しないと、非磁性下層が上層磁性層の溶剤でやられ上層磁性層は塗布できない。
またEB照射量は1〜10Mradが良く、さらには3〜10Mradが好ましい。3Mrad未満だと上層磁性層の塗布面の安定性に欠き、10Mrad超照射しても媒体物性に差がでなくなるので必要ない。
上層磁性層の塗布性には照射量が多い方が、上層磁性層の加工性には照射量の少ない方が、媒体物性としては照射量の多い方が、それぞれ好ましい。そのため、上層磁性層塗布前後に分けてEBを照射するのが、最もバランスをとりやすく好ましい。
また非磁性層塗布から加工、EB照射、巻き取りまで1工程ですることが好ましい。特にベース厚が7μm以下になると走行による帯電の影響で巻き取りが乱れ、生産性が低下してしまうが、巻き取り前にEB照射することで帯電量が減少し、巻き取りを良好に行える。同様に上層磁性層塗布、加工、EB照射、巻き取りも1工程で行った方が、巻き取りを良好に行えて好ましい。
上層磁性層塗布後は一般的な磁気媒体の製造方法に準じ、乾燥、カレンダー加工、バックコート塗布、乾燥、熱硬化を行う。
また上層磁性層やバックコート層の結合剤種によっては複数回EB照射できない場合もあるので注意が必要である。特にバックコート層の結合剤がニトロセルロース系樹脂を含む場合は、EB照射により発火する恐れがあるため、バックコート層塗布前にEB照射は終わらせておくべきである。
またバックコート層塗布前にEB照射することで、バックコート層の接着性が向上するため、バックコート塗布前にEB照射する事は好ましい。
【0007】
【実施例】
以下に本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
(実施例10シリーズ及び比較例10シリーズ)
比較例14(当初の実施例11、以下同様に当初の実施例番号を括弧書きで示す。
(研磨材塗料)
研磨材 α化率67%のアルミナ 100重量部
平均粒径0.2μm 有機アルミ法
(HIT60A 住友化学工業)
ウレタンA Mn=3万のポリエステルポリウレタン 20
芳香族系ポリエステルポリオール100%
スルホン酸ナトリウム基0.07mmol/g
MEK 40
トルエン 40
シクロヘキサノン 40
研磨材およびポリエステルポリウレタンを全量と溶剤の一部をヘンシェルミキサーにて攪拌混合後、アルミナビーズを投入した横型のピンミルにて分散した。分散時間は滞留時間で150分とした。滞留時間は下記式で定義されるものである。
(分散機空容量/分散塗料量(l))×分散時間=滞留時間
最終的に溶剤を全量入れ研摩材塗料とした。
【0008】
(磁性層)
磁性粉 Fe磁性粉末 100.0
Co/Al/Y:30wt%/6.2wt%/6.1at%
Hc:2375Oe
σs:143emu/g
BET値:51m2/g
長軸長:0.10μm
結晶子サイズ:165Å
pH:9.4
(同和鉱業 HB−167)
樹脂 塩化ビニル 塩化ビニル共重合体 7.7
塩ビ/2HEMA/AGE/分子末端OSO3K:
84.5/4.5/7.4/0.36
(日本ゼオン MR110)
ポリウレタン ポリエステルポリウレタン 7.7
SO3Na基含有
Mn:2万
(東洋紡 UR8200)
分散剤 有機リン酸化合物 3.0
(東邦化学 RE610)
カーボン ファーネスカーボン 0.2
粒径:84nm
BET値:28m2/g
吸油量:84ml/100g
(三菱化学 #10)
潤滑剤 脂肪酸 1.2
(日本油脂 NAA180)
脂肪酸エステル 1.0
(日光ケミカルズ NIKKOL BS)
硬化剤 トリレンジイソシアネート/酢酸ブチル 3.1
(日本ポリウレタン C−2030)
NV=30%
溶剤比 MEK/トルエン/シクロヘキサノン:1/1/1
上記材料のすべて、または一部をニーダーで混練後、横型のピンミルにて分散し、光沢が180%以上になった後、研摩材塗料を研磨材分が磁性粉に対して12%になるように添加し、光沢が180%以上に戻るまで分散した。最後に溶剤にて粘度調節を行い、絶対精度3.0μmのフィルターを流量1.5l/minで通過させて凝集物を取り除いた。
(バックコート層)
カーボン ファーネスブラック 100.0
一次粒径:25nm
BET値:180m2/g
吸油量:114ml/100g
(三菱化学 #3170B)
サーマルカーボン 1.2
粒径:350nm
BET値:7m2/g
(コロンビアン セバカーブMT)
研磨材 α酸化鉄 0.8
平均粒径0.2μm
(戸田工業 TF100)
樹脂 塩化ビニル 塩化ビニル共重合体(塩ビ/酢ビ/ビニルアルコール)
66.7
平均重合度 420
(日信化学 MPR−TA)
塩化ビニル共重合体(塩ビ/酢ビ/ビニルアルコール)
20.0
平均重合度340
N原子含有量390ppm
(日信化学 MPR−ANO)
ポリウレタン ポリエステルポリウレタン 46.6
SO3Na基含有
Mn:4万
(東洋紡 TS9555)
硬化剤 トリメチロールプロパンのTDIの3分子アダクト体
20.0
(日本ポリウレタン C−3041)
NV=10%
溶剤比 MEK/トルエン/シクロヘキサノン:2/2/1
上記材料のすべて、または一部を高速ディスパーにて攪拌後、縦型のピンミルにて分散し、最後に溶剤で粘度調節を行った。
(塗布)
8.2μmのポリエチレンテレフタレート支持体(帝人PETフィルムM6R)上に、カレンダー加工後の厚みが2.0μmになるように、磁性層をリバースコーターで塗布した。その後カレンダー加工を行た。表面粗さ(Ra)は3.0nmであった。さらにバックコートをグラビアシリンダーで塗布し、乾燥した。
こうして作製したテープ原反を60℃で48時間熱硬化を行った後、8mm幅に切断しHi8用テープを作製した。
[実施例13〜14、比較例11〜13,15(実12),16(実15)
比較例14(当初の実施例11)の研磨材塗料の研磨材種を表1のように変更させた以外は比較例14(当初の実施例11)と同様にテープを作製した。但し、研磨材塗料の分散時間は比較例14(当初の実施例11)と同一とした。
比15(実12) 実13 実14 比16 比11
研磨材名 HIT50 HIT82 HIT100 U-1 GC5A
種類 アルミナ アルミナ アルミナ 酸化クロム SiC
メーカー 住友化学 住友化学 住友化学 日本化学 不二見研磨
粒径(μm) 0.25 0.10 0.06 0.20 0.30
α化率 69% 60% 55% − −
比較例12
比較例14(当初の実施例11)において研磨材塗料を用いず、磁性層作製時に磁性層の光沢が180%以上になった後直接HIT60Aを12重量部粉体のまま添加して分散した。
比較例13
HIT60Aの代わりにU−1を同量直接投入した以外は比較例16(当初の実施例15)と同様にした。
【0009】
(比較例20シリーズ)
[比較例27〜29、比較例21〜26]
研磨材は比較例14(当初の実施例11)と同様住友化学製HIT60Aを用い、研磨材塗料に使用する樹脂を下記の樹脂に変更した。但し、研磨材塗料の分散時間は比較例14(当初の実施例11)と同一とした。
その他はすべて比較例14(当初の実施例11)と同様にしてHi8テープを作製した。
比27(実21) 比28(実22) 比29(実23)
樹脂種 ウレタンB ウレタンC ウレタンD
ポリエステル 脂肪族 50 50 100
ポリオール 芳香族 50 50
極性基濃度 0.05 0.03 0.02

比21 比22 比23
樹脂種 ウレタンE ウレタンF ウレタンG
ポリエステル 脂肪族 50 0 50
ポリオール 芳香族 50 100 50
極性基濃度 0.02 0 0
比24 比25 比26
樹脂種 塩ビ 塩ビ Nc
品名 MR110 エスレックA 1/2S
(実施例30シリーズ、比較例30シリーズ)
[実施例31、33、34 比較例31〜39,39’
研磨材および研磨材塗料に使用する樹脂を下記に示すように変更し、比較例14(当初の実施例11)と同様な方法で研磨材塗料を作製した。但し、研磨材塗料の分散時間は比較例14(当初の実施例11)と同一とした。
比31 比32、実31 比33 比34、比39’( 実32)
研磨材 HIT60A HIT82 HIT60A HIT82
粒径 0.20 0.10 0.20 0.10
α化率 67% 56% 67% 56%
樹脂 ウレタンA ウレタンA ウレタンD ウレタンD
比35、36 比37 比38 実33
研磨材 HIT60A HIT82 U−1 HIT102
粒径 0.20 0.10 0.2 0.06
α化率 67% 56% − 50%
樹脂 ウレタンG ウレタンG ウレタンA ウレタンA
比39 実34
研磨材 AKP50E E700
粒径 0.20 0.15
α化率 76% 30%
樹脂 ウレタンA ウレタンA
(非磁性下層)
顔料 α酸化鉄 紡錘状α酸化鉄 75.0
Al/Si:1.0/0.7
BET値:49m2/g
脂肪酸吸着量:86mg/g
可溶性イオン量:5ppm以下
(KDK T−50α)
カーボン 一次粒径30nm BET表面積70m2/g 25.0
吸油量48
(コロンビアン R760)
樹脂 塩化ビニル 塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体 9.6
平均重合度:310
エポキシ含有量:3wt%
過硫酸カリ使用S含有量:0.6wt%
2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を使用
して、日本ゼオン社製MR110をアクリル変性したもの
アクリル含有量:6モル/1モル
(東洋紡 TB0246)
ポリウレタン樹脂 ヒドロキシ含有アクリル化合物− 9.6
ホスホン酸基含有リン化合物−
ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール
平均分子量:23,000
P含有量:0.2wt%
アクリル含有量:8モル/1モル
(東洋紡 TB0242)
分散剤 有機リン酸化合物 3.0
(東邦化学 RE610)
研磨剤 αアルミナ 8.0
平均粒径 0.20μm
(住友化学 HIT50)
潤滑剤 脂肪酸 1.0
日本油脂 NAA180
脂肪酸エステル 1.0
(日光ケミカルズ NIKKOL BS)
NV=34%
溶剤比 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1
上記の材料のすべて、または一部をニーダーで混練後、横型のピンミルにて分散し、最後に溶剤で粘度調整を行った。
(磁性層)
磁性粉1 Fe磁性粉末 100.0
Co/Al/Y:30wt%/6.2wt%/6.1at%
Hc:2375Oe
σs:143emu/g
BET値:51m2/g
長軸長:0.10μm
結晶子サイズ:165Å
pH:9.4
(同和鉱業 HB−167)
樹脂 塩化ビニル 塩化ビニル共重合体 7.7
塩ビ/2HEMA/AGE/分子末端OSO3K:
84.5/4.5/7.4/0.36
(日本ゼオン MR110)
ポリウレタン ポリエステルポリウレタン 7.7
SO3Na基含有
Mn:2万
(東洋紡 UR8200)
分散剤 有機リン酸化合物
(東邦化学 RE610)
潤滑剤 脂肪酸 1.2
(日本油脂 NAA180)
脂肪酸エステル 1.0
(日光ケミカルズ NIKKOL BS)
硬化剤 トリレンジイソシアネート/酢酸ブチル 3.1
(日本ポリウレタン C−2030)
NV=15%
溶剤比 MEK/トルエン/シクロヘキサノン:1/1/2
上記材料のすべて、または一部をニーダーで混練後、横型のピンミルにて分散し、光沢が180%以上になったところで上記に示した研磨材塗料を研磨材分が磁性粉に対して3%になるように添加し、さらに分散を続け光沢および面が復帰したら、最後に粘度調節(NV=15%)を行った。
(塗布W/D)
5.2μmのポリエチレンナフタレート支持体(帝人PENフィルムQ11)上に、カレンダー加工後の厚みが1.4μmになるように、非磁性下層をリバースコーターで塗布した。その後カレンダー加工を行い、さらに3MradでEB照射を行った。この時下層の表面粗さ(Ra)は3.0nmであった。こうして形成した非磁性下層上に、上層磁性層を加工後厚みが0.12μmになるようにノズルで塗布を行い、配向、乾燥、カレンダー加工、再EB照射(4Mrad)を行った。さらに比較例14(当初の実施例11)と同様のバックコートをグラビアシリンダーで塗布し、乾燥した。
こうして作製したテープ原反を60℃で48時間熱硬化を行った後、6.35mm幅に切断しDVC用テープを作製した
(塗布W/W)
5.2μmのポリエチレンナフタレート支持体(帝人PENフィルムQ11)上に、カレンダー加工後の厚みが1.4μmになるように、非磁性下層をリバースコーターで塗布し、非磁性下層が湿潤状態の内に、上層磁性層を加工後厚みが0.12μmになるようにノズルで塗布を行い、配向、乾燥、カレンダー加工、EB照射(5Mrad)を行った。さらに比較例14(当初の実施例11)と同様のバックコートをグラビアシリンダーで塗布し、乾燥した。
こうして作製したテープ原反を60℃で48時間熱硬化を行った後、6.35mm幅に切断しDVC用テープを作製した。
【0010】
評価方法
(研磨材塗料光沢)
アプリケーターを用い、厚み17μm、表面粗さ(Ra)15nmのPETベース上に乾燥厚3〜5μmになるように研磨材塗料をコーティングする。村上色材研究所製光沢度計でこの塗膜の反射角60°の時の反射率を測定し光沢とした。
(Y−OUT)
ソニー製Hi8デッキ(EV−S900)にて7MHzの波長の記録信号再生出力を測定した。
0dBはTDK Hi8MEP−Refテープである。
(スチル)
0℃の環境でソニー製Hi8デッキ(EV−S9000)を使いスチルを測定した。測定回数は5で、その平均の値を示した。60分以上もった場合はそこで測定を中止した。
(DO)
ソニー製Hi8デッキ(EV−S900)にて3μs/10dBの大きさのDOを測定した。n=5を20分間測定しその平均値を示す。
(1/2Tb−OUT)
松下製DVC−PROデッキを用い、1/2Tbの出力を測定した。0dBはTDK DVC−PRO−refテープである。
(ヘッド摩耗、焼き付き、目詰まり)
松下製DVC−PROデッキを用い、40℃10%の環境で250時間の繰り返し再生による耐久走行を行った。その時のヘッド摩耗量を測定した。250時間で1μm以下が好ましい。また同時に光学顕微鏡で焼き付きを観察した。
アモルファス部分に変化がないものを○、うっすら色が付いているものを△、変色がはっきり判るものを×とした。
また耐久走行時にRF出力をチャート上に描かせ、その出力変化を測定した。
ここで(1)3dB以上で1分以上の出力劣化が1回以上
(2)2dB以上で1分以内の出力低下が60分内に3回以上
(3)2dB以上で10秒以内の出力低下が60分間に5回以上の場合を目詰まりとした。
(磁性塗料塗布上がり光沢)
各実施例において塗布上がりのテープの光沢度を測定し、磁性塗料光沢とした。(光沢回復分散時間)
研磨材塗料(もしくは研磨剤)を投入後、投入前の磁性塗料の光沢(目安180%)に復起するまでの時間を測定した。実分散時間より下記の式より滞留時間を求めた。
【0011】
(分散機空容量(l)/塗料量(l))×実分散時間(分)=滞留時間(分)
(フィルター耐用時間)
撹拌機の付いたタンクにて磁性塗料(10kg)を絶対精度3.0μmフィルター(ロキエクノ HT−20)にて循環濾過し、凝集物を取り除いた。
【0012】
その際、フィルターの圧力が5kg/cm2になるまでの時間をフィルター耐用時間とした。
【0013】
(研磨材塗料光透過率)
研磨材塗料を塗膜厚4μmとなるようにアプリケーターにて手引きを行ない塗膜を形成した。そのサンプルを用い、島津製作所(MPS2000)自記分光高度にて成長は660nmの光透過を測定した。
【0014】
Figure 0004155474
【0015】
Figure 0004155474
【0016】
Figure 0004155474
【0017】
【発明の効果】
研磨材塗料を使用すると、電磁変換特性のみならず、スチル特性やドロップアウトの点でも良好になる。特に分散状態をポリウレタン樹脂の組成により光沢50%以上まで上げたものは、その効果が顕著である。
また研磨能が高くなりがちなW/D方式の超薄層重層媒体においては、ヘッド摩耗、ヘッド焼き付き、目詰まりを良好にするために、研磨材はα化率が60%以下のアルミナで、かつその分散塗料をポリウレタン樹脂の組成により光沢50%以上まで分散したものを用いることにより、上記の効果を達成することができる。
さらにはα化率30〜60%のものを組み合わせることにより、よりヘッド摩耗が少なく、耐久性に優れる超薄層媒体をつくることが可能である。

Claims (3)

  1. 強磁性粉末、研磨材および結合剤を含む磁性塗料を製造する方法であって、該研磨材がアルミナであって、かつそのアルミナのα化率が30%以上60%以下である研磨材と、極性基を有する芳香族ポリエステルポリオールを主成分とし、該極性基がスルホン酸ナトリウム基であり、かつ該スルホン酸ナトリウム基を0.02mmol/g以上含むポリウレタンとを含む研磨材塗料を予め調製し、前記研磨材塗料の光沢が50%を越えた後、該研磨材塗料と強磁性粉末を含む塩化ビニル樹脂含有磁性塗料とを混合分散処理をすることを特徴とする磁性塗料の製造方法。
  2. 非磁性支持体上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体の製造方法であって、請求項1の製造方法によって得られた磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を設けたことを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法
  3. 非磁性支持体上にすでに塗布、乾燥、加工、硬化させてある非磁性下層上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体の製造方法であって、請求項1の製造方法によって得られた磁性塗料を非磁性下層上に塗布して磁性層を設けたことを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法
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