JPH11259850A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH11259850A
JPH11259850A JP36688898A JP36688898A JPH11259850A JP H11259850 A JPH11259850 A JP H11259850A JP 36688898 A JP36688898 A JP 36688898A JP 36688898 A JP36688898 A JP 36688898A JP H11259850 A JPH11259850 A JP H11259850A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyurethane
magnetic
recording medium
magnetic recording
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP36688898A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Hashimoto
博司 橋本
Katsuhiko Meguro
克彦 目黒
Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP36688898A priority Critical patent/JPH11259850A/ja
Publication of JPH11259850A publication Critical patent/JPH11259850A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強磁性粉末の分散性が高く、電磁変換特性、
走行性、高温下での保存安定性、スチル耐久性に優れた
磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体上に、下層を介して又は下
層を介さずに少なくとも一層の強磁性粉末と結合剤を分
散した磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性
層および前記下層の少なくともいずれか一層はポリエス
テルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートから
得られたウレタンを結合剤として含み、前記強磁性粉末
は、コバルト含有の鉄を主成分とする強磁性粉末であ
り、前記ポリウレタンは、そのポリエステルポリオール
中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分の
70モル%以上が炭素数2以上のアルキル分岐側鎖を有
するジオール成分からなるポリウレタンであることを特
徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
磁性微粉末または非磁性粉末の少なくともいずれか一方
と結合剤とを分散させてなる下層の上に強磁性粉末と結
合剤とを分散させてなる少なくとも一層以上の磁性層を
設けた磁気記録媒体において、優れた電磁変換特性及び
耐久性をもつ磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用い
られている。磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤中に
分散された磁性層を非磁性支持体上に積層している。磁
気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および走行性
能などの諸特性において高いレベルにあることが必要と
される。すなわち、音楽録音再生用のオーディオテープ
においては、より高度の原音再生能力が要求されてい
る。また、ビデオテープについては、原画再生能力が優
れているなど電磁変換特性が優れていることが要求され
ている。
【0003】このような優れた電磁変換特性を有すると
同時に、磁気記録媒体は前述のように良好な走行耐久性
を持つことが要求されている。耐久性および電磁変換特
性を向上させるためには、磁性層の主成分の一つである
結合剤も重要な働きを担っている。従来から用いられて
いる塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、
アクリル樹脂等では、磁性層の耐摩耗性が劣り、磁気テ
ープの走行系部材を汚染するという問題があった。
【0004】磁気ヘッド汚れは電磁変換特性の劣化の原
因となっている。とくに、高密度記録用の機器では、磁
気ヘッド回転数が上昇しており、デジタルビデオテープ
レコーダでは、磁気ヘッドの回転数が9600回転/分
と、アナログビデオテープレコーダの民生用の1800
回転/分、業務用の5000回転/分に比べて格段に高
速回転数であり、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの摺動す
る速度が大きくなり、また磁気ヘッドも薄膜ヘッド等の
ように小型のものが用いられており、磁気記録媒体から
生じる成分による磁気ヘッド汚れの改善が求められてい
る。このような問題を改善する方法として、耐久性の大
きく硬い結合剤を用いて磁性層の硬度を上げる方法が行
われている。
【0005】例えば、特開平6−259746号公報に
は、結合剤として、分岐状グリコールまたは脂環族グリ
コールからなるポリエステルジオール、芳香族二塩基酸
および脂環族二塩基酸を用いたポリウレタンを用いた磁
気記録媒体が記載されている。ところが、合成例に挙げ
られているポリエステル樹脂は、Tgが8〜30℃のも
のであり、塗膜全体が柔らかくなるので耐久性が低下す
る。ポリエステルの酸成分として、芳香族二塩基酸と脂
環族二塩基酸を用いているので溶剤溶解性が低下し、分
散性が低下し、不充分なものであった。また、特開平6
−96437号公報には、ウレタン基濃度2.5mmo
l/g以上のポリエステルポリウレタンとポリビニルア
セタール樹脂を用いた磁気記録媒体が記載されており、
また特開平7−50010号公報には、ウレタン中に0
〜5モル%のポリオールを含むポリウレタン中であって
ウレタン基濃度が高いものが示されているが、何れも分
散性が不充分であり、特定の強磁性粉末との組み合わせ
によって効果が得られることについては記載されていな
い。
【0006】また、長い分岐を持たないポリウレタン中
のウレタン基濃度を高くすると、極性が高くなりすぎ溶
剤溶解性が低下し、磁性体の分散性が不十分となり、塗
布液粘度が高くなるので、塗膜の表面粗さが粗くなり、
高い電磁変換特性は得られないものであった。
【0007】また、特開平3−88119号公報には、
下層に脂肪族ウレタン、上層に芳香族ウレタンを含有し
た磁気記録媒体が記載されている。また、特開平6−7
6265号公報には、分岐を有する多価アルコールを用
いたポリエステルジオールからなるポリウレタンが記載
されており、特開平6−314424号公報には、3−
メチル−1,5−ペンタンジオールと脂肪族ジカルボン
酸を用いたポリエステルポリオールからなるポリウレタ
ンが記載されている。 しかしながら、これらは、いず
れのポリウレタンもTgが低いので塗膜全体や塗膜表面
が柔らかくなり、ビデオテープに用いた場合には、回転
ヘッドとの摺動により塗膜が流動しやすくなり走行耐久
性が低下する欠点がある。また、高温環境で保存すると
塗膜表面が柔らかくなり摩擦係数が高くなり走行不良を
発生する欠点がある。
【0008】また、特開平8−127632号公報に
は、分岐脂肪族グリコールを用いたポリエステルポリオ
ールと3級アミノ基含有鎖延長剤からなる、Tgが30
℃以上のウレタンが記載されているが、ポリエステルポ
リオールに芳香環を有する化合物を用いているので、溶
剤への溶解性が不充分であり、分散性が不充分であっ
た。また、テープを高温高湿下で保存しビデオテープレ
コーダで走行すると、塗膜強度が低下し、走行不良を起
こしやすいという問題点があった。
【0009】また、特開平9−69222号公報には、
ポリエーテルポリオールを10〜50重量%とともに環
状構造を有する短鎖ジオールを含有したポリウレタンを
用いることが記載されているが、ポリエーテル系ウレタ
ンを下層に用いているが、ポリエステル系ウレタンを上
層に用いた重層テープでは塗膜表面が粗面であり電磁変
換特性が不十分であった。
【0010】また、特開平3−83221号公報には、
下層にポリエーテルウレタンを、上層にポリエステルウ
レタンを用いた磁気記録媒体が記載されているが、上層
に用いているポリエステルウレタンはポリエステルポリ
オールに芳香族を多く含んでいるので溶剤への溶解性が
低く分散性が不十分である。また、下層に用いているポ
リエーテルウレタンはTgが室温以下の低いものである
ので、塗膜全体が柔らかくなるので耐久性も不十分であ
るという問題点があった。
【0011】また、特開平7−176042号公報に
は、最上層に脂肪族ポリエステルウレタンを用いるとと
もに、最上層以外の磁性層にはビスフェノールAポリプ
ロピレンオキサイドを主鎖に持つウレタンを用いること
が記載されているが、上層に用いている脂肪族ポリエス
テルポリウレタンはTgが低く塗膜強度が低いので耐久
性が不十分であるとともに、下層に用いているウレタン
は溶剤への溶解性が低く下層粉体への分散性が不十分で
ある。また、鎖延長剤に関する記載はなく、実施例は分
岐炭素数2のネオペンチルグリコールを用いているので
分散性が不十分である。
【0012】また、特開平9−44840号公報には、
テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸と2−メチ
ル−1,3−プロパンジオールを用いたポリエステルポ
リオールからなるウレタン樹脂を結合剤に用いた磁気記
録媒体が記載されているが、ポリエステルのジカルボン
酸成分として芳香環やナフタレンを用いているので溶剤
への溶解性が低く、分散性が不十分となり、磁気テープ
を高温保存すると摩擦係数が高くなるという問題点があ
った。
【0013】また、イットリウムを含有した強磁性粉末
を含む磁気記録媒体は、特開平7−210856号公
報、特開平7−272253号公報が記載されている
が、特開平7−272253号公報には、ポリウレタン
を用いることを記載しているものの、一般的な結合剤を
用いることを記載したのみであり、強磁性粉末粒子間の
磁気的エネルギーが大きいので強磁性粉末を分散しにく
いという問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、強磁性粉末
の分散性が高く優れた電磁変換特性を持つとともに塗膜
表面の強度が高く、走行耐久性にも優れた磁気記録媒体
を提供することを課題とするものである。また、塗膜の
平滑性が高く極めて高い電磁変換特性をもつ磁気記録媒
体を提供することを課題とするものであり、分散性、分
散安定性に優れ、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を
提供することを課題とするものであり、さらに、走行性
および高温下での保存安定性に優れた磁気記録媒体を提
供することを課題とするものである。さらに本発明は、
スチル耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することを課
題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性支持体
上に、下層を介して又は下層を介さずに、少なくとも一
層の強磁性粉末と結合剤を分散した磁性層を有する磁気
記録媒体において、前記磁性層、および下層の少なくと
もいずれか一層がポリエステルポリオールと鎖延長剤と
有機ジイソシアネートから得られたウレタンを結合剤と
して含み、前記強磁性粉末は、コバルト含有の鉄を主成
分とする強磁性粉末であり、前記ポリウレタンは、その
ポリエステルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸
を含み、ジオール成分の70モル%以上が炭素数2以上
のアルキル分岐側鎖を有するジオール成分からなるポリ
ウレタン(PA0)である磁気記録媒体である。前記強
磁性粉末は、さらにアルミニウムを含有する鉄を主成分
とする強磁性粉末である前記の磁気記録媒体である。前
記強磁性粉末は長軸長が0.05〜0.25μmの前記
の磁気記録媒体である。前記強磁性粉末は結晶子サイズ
が12〜25nmの前記の磁気記録媒体である。
【0016】前記ポリウレタンは、そのポリエステルポ
リオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオー
ル成分の70モル%以上が環状構造を持たない炭素数2
以上のアルキル分岐側鎖を有するジオール成分からなる
ポリウレタン(PA1)、またはポリエステルポリオー
ル中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分
の70モル%以上が1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が
2以上のアルキル分岐脂肪族ジオールからなるポリエス
テルポリオールと1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が3
以上のアルキル分岐脂肪族ジオールを含む鎖延長剤から
なるポリウレタン(PA2)である前記の磁気記録媒体
である。前記ポリウレタンが下群より選ばれる少なくと
も一種の極性基を有するポリウレタンである前記の磁気
記録媒体である。 SO3M、SO4M、PO32、OPO32、−NR2 (Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アン
モニウム、Rは、炭素数1〜12のアルキル基を示
す。) 前記磁性層の乾燥厚みが0.2μm以下であり、前記下
層の乾燥厚みが1μm以上である前記の磁気記録媒体で
ある。前記磁性層および前記下層の少なくともいずれか
一層は、更に下式(1)〜(3)から選ばれる有機リン
化合物を含む前記の磁気記録媒体である。
【0017】
【化6】
【0018】ただし、Rは、置換又は未置換のアルキル
基、アルケニル基、又はアリ−ル基を表し、n=1又は
2である。前記ポリウレタン(PA1)および(PA
2)のウレタン基濃度が3.0meq/g〜4.0me
q/gである前記の磁気記録媒体である。前記磁性層の
結合剤がポリエステルポリオール、鎖延長剤、および有
機ジイソシアネートを含む原料を反応させて得られたポ
リウレタンを含み、該ポリウレタンは、そのポリエステ
ルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジ
オール成分の70モル%以上がアルキル分岐側鎖を有す
る環状構造を持たない脂肪族ジオール成分からなり、鎖
延長剤が分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分
岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなるポリウレタン(P
A3)であり、且つ前記下層の結合剤がポリウレタン中
に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポ
リオール10〜50重量%と環状構造を有するジオール
からなる鎖延長剤15〜50重量%と有機ジイソシアネ
ートからなるポリウレタン(PB1)である前記の磁気
記録媒体である。
【0019】前記磁性層の結合剤がポリウレタン中に
1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポリ
オール10〜50重量%と環状構造を有するジオールか
らなる鎖延長剤15〜50重量%と有機ジイソシアネー
トからなるポリウレタン(PB1)であり、且つ前記下
層の結合剤がポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機
ジイソシアネートを含む原料を反応させて得られたポリ
ウレタンを含み、該ポリウレタンは、そのポリエステル
ポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオ
ール成分の70モル%以上がアルキル分岐側鎖を有する
環状構造を持たない脂肪族ジオール成分からなり、鎖延
長剤が分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分岐
側鎖をもつ脂肪族ジオールからなるポリウレタン(PA
3)である前記の磁気記録媒体である。前記ポリウレタ
ン(PA3)は、ウレタン基濃度2.5〜4.5mmo
l/gである前記の磁気記録媒体である。前記ポリウレ
タン(PB1)は、ポリウレタン中に1.0〜6.0m
mol/gのエーテル基を有する下式で示されるポリオ
ールからなる前記の磁気記録媒体である。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n、m=4〜40
【0020】
【化7】
【0021】前記ポリウレタン(PB1)は、下式で示
される環状構造を有するジオールの鎖延長剤からなる前
記の磁気記録媒体である。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n,m=0〜3
【0022】
【化8】
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、強磁性粉末粒子間の磁
気的エネルギーが強く分散しにくい強磁性粉末であるコ
バルト含有の鉄を主成分とする強磁性粉末、あるいはさ
らにイットリウムを含有する強磁性粉末を、分散性に優
れた特定の化学構造を有するポリウレタンからなる結合
剤を用いて分散することによって、電磁変換特性、走行
耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることを見いだしたも
のである。
【0024】すなわち、テープを高温環境で保存すると
ポリウレタン分子中の比較的低分子量であり、且つ柔ら
かい成分が塗膜表面に析出しやすい欠点を、強磁性粉末
と炭素数2以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオー
ルを導入したポリエステルポリオールから誘導されるポ
リウレタンを用いることで改良することを見いだした。
更に、本発明のポリウレタンは通常よりも高いウレタン
基濃度を有することによりTgが高く、耐久性が向上す
るが、高いウレタン基濃度のために溶剤への溶解性が低
下しやすくなる。そのような問題を持たず、かつ炭素数
が2以上の分岐側鎖を持つジオールを用いることによっ
て溶剤への溶解性を改良したもので、高い分散性を維持
しながら、耐久性を向上したものである。これによりテ
ープを高温保存しても摩擦係数の上昇がなくなり、ビデ
オテープレコーダでの走行不良が改善するに至った。
【0025】また、ポリウレタン(PA3)は、ポリエ
ステルポリオールが脂肪族系の二塩基酸とアルキル分岐
側鎖をもつ脂肪族系ジオールからなるものを用いている
ので芳香環やシクロヘキサン環などの溶剤への溶解性に
不利に働く環状構造をポリオールに含まず、ジオールに
分岐側鎖を持つのでウレタン結合やエステル結合同士の
会合を立体障害的に防止することで分子間相互作用を小
さくすることにより溶剤への溶解性が向上でき、特に磁
気的エネルギーで凝集しやすい磁性体の分散性を向上す
ることができるものと考えられる。また、一般的にポリ
エーテル系に比べて熱分解しにくい特徴もあり、特にビ
デオテープレコーダのヘッドと接触する最上層の磁性層
に用いるとヘッドとテープ表面の摺動熱による塗膜強度
の低下を防止できる特徴をもつものである。
【0026】さらに、ポリウレタン(PB1)は適正量
のエーテル基を有するので下層粉体の分散性に優れる。
これはエーテル基が粉体に吸着しやすいためと考えられ
る。更に環状構造を有する短鎖ジオールも有するので塗
膜強度が向上でき耐久性にも優れる。特にポリウレタン
(PA3)のような炭素数の合計が3以上の長鎖アルキ
ル分岐側鎖をもつジオールを鎖延長剤として用いたポリ
エステルウレタンを上層に用いた磁気記録媒体において
ポリウレタン(PB1)を下層に設けると10nm以上
の突起を低減させることを見いだした。そしてこれによ
り特に記録波長の短いデジタル系システムでのスペーシ
ングロスが減るので電磁変換特性が向上できるという特
徴を有している。これは同時重層塗布した際の下層バイ
ンダーが上層に拡散しにくいために上下層間の塗膜界面
が乱れるという現象が生じにくく塗膜表面が平滑にでき
るためと考えられる。
【0027】更にポリウレタン(PA3)は一般的に知
られているエステル系潤滑剤が相溶しにくいので乾燥工
程等で塗膜表面に潤滑剤が出現しやすくなる効果もあり
ポリウレタン(PB1)を用いた分散性の高い磁性層と
組み合わせると高い電磁変換特性とより高い走行耐久性
を両立させることができる。特にスチル耐久性に優れ
る。
【0028】以下に、本発明に用いるポリウレタンにつ
いて説明する。本発明においてポリウレタン(PA
0)、ポリウレタン(PA1)、ポリウレタン(PA
2)に用いることができる分岐側鎖を持つ脂肪族ジオー
ル、ポリウレタン(PA3)のポリエステルポリオール
に用いることのできる分岐脂肪族ジオールとしては、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3
−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−
3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル
−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチ
ル−3−ブチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジ
エチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル
−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル
−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピ
ル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロ
ピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プ
ロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタ
ンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロ
パンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペ
ンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、2−プロピル1,3−プロパンジオール、2−ブチ
ル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−
ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジ
オール、3ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オ
クチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−
1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−
ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオ
ール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−
ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,
9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジ
オール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げ
ることができる。
【0029】なかでもポリウレタン(PA1)に用いら
れる環状構造をもたない炭素数2以上のアルキル分岐側
鎖を有するジオールとして好ましいものは、2−エチル
1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,3−プロ
パンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジ
オールを挙げることができる。
【0030】ポリウレタン(PA2)に用いられる1分
子中の分岐側鎖の炭素数合計が2以上のアルキル分岐側
鎖ジオールとして好ましいものは、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5
−ペンタンジオールを挙げることができる。なかでもポ
リウレタン(PA3)にに用いられる1分子中の分岐側
鎖の炭素数合計が2以上のアルキル分岐側鎖ジオールと
して好ましいものは、2,2−ジメチル−1,3−プロ
パンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロ
パンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジ
オールを挙げることができる。ポリエステルポリオール
に用いるジオール中の分岐側鎖を有するジオールの含有
量は、80〜100モル%が好ましい。更に好ましくは
90〜100モル%である。
【0031】また、ポリウレタン(PA2)に用いるこ
とのできる分子中の分岐側鎖炭素数合計が3以上の分岐
脂肪族ジオールとしては、2−メチル−2−エチル−
1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−
1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル
−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピ
ル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチ
ル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチ
ル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5
−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3
−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5
−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,
3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−
1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3
−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペン
タンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパン
ジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジ
オール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタン
ジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2
−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペン
タンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオー
ル、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オク
チル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−
1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−
ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオ
ール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−
ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,
9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジ
オール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げ
ることができる。これらのなかでも好ましいものは、2
−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを挙げる
ことができる。
【0032】ポリエステルポリオールに用いることので
きる脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピ
メリン酸、スベリン酸等を挙げることができる。これら
のなかでも好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸である。
【0033】ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分
のうち脂肪族二塩基酸の含量が70モル%以上が好まし
い。70モル%よりも少ない実質的に芳香族二塩基酸な
どの環状構造を有する二塩基酸成分が増えるので溶剤溶
解性が低下し、分散性が低下する。
【0034】また、ポリウレタン(PB1)に用いるこ
とのできる環状構造を有する短鎖ジオールとしては、以
下に示すように、ビスフェノールA、水素化ビスフェノ
ールA、ビスフェノールS、水素化ビスフェノールS、
ビスフェノールP、水素化ビスフェノールP及びこれら
のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物を
挙げることができる。また、これらのなかでも、好まし
くは水素化ビスフェノールA及び水素化ビスフェノール
Aのプロピレンオキサイド付加物である。そして、環状
構造を有する短鎖ジオール含有量は20〜40重量%が
好ましい。20重量%以下では力学強度が低下し、耐久
性が低下する。40重量%以上では溶剤への溶解性が低
下し、分散性が低下する。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n,m=0〜3
【0035】
【化9】
【0036】ポリウレタン(PB1)に用いることので
きるエーテル基を含有するポリオールとしては、以下に
示すように、ビスフェノールA、水素化ビスフェノール
A、ビスフェノールS、水素化ビスフェノールS、ビス
フェノールP、水素化ビスフェノールP及びこれらのポ
リエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド付加
物が挙げられ、好ましくは水素化ビスフェノールA及び
水素化ビスフェノールAのポリプロピレンオキサイド付
加物を挙げることができる。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n、m=4〜40
【0037】
【化10】
【0038】エーテル基を含有するポリオールの含量は
20重量%〜45重量%が好ましい。20重量%以下で
は粉体への吸着がしにくくなり分散性が低下する。45
重量%以上では塗膜強度が低下するので耐久性が低下す
る。
【0039】また、有機ジイソシアネートには、2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キ
シレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエー
テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4.
4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパ
ン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニ
ルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレ
ン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−
ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−
4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添
化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタン
ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げ
ることができる。好ましくは芳香族ジイソシアネートで
あり、さらにこのましくは4,4−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、2,2−トリレンジイソシアネート、
p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネートである。
【0040】本発明のポリウレタンポリウレタンの分子
量は、重量平均分子量(Mw)が30000〜7000
0が好ましい。さらに好ましくは40000〜6000
0である。30000未満であると、塗膜強度が低下
し、耐久性が低下する。70000以上であると、溶剤
への溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0041】本発明のポリウレタンのガラス転移温度
(Tg)は、50℃〜150℃であることが好ましく、
より好ましくは70℃〜120℃であり、更に好ましく
は80℃〜100℃である。50℃未満では、高温での
塗膜強度が低下するので耐久性、保存性が低下する。1
50℃以上ではカレンダー成型性が低下し、電磁変換特
性が低下することとなる。
【0042】本発明のポリウレタンの極性基としては、
−SO3M、−OSO3M、−PO32、−COOMが好
ましい。 更に好ましくは−SO3M、−OSO3Mであ
る。極性基の含有量は、1×10-5eq/g〜2×10
-4eq/gであることが好ましく、1×10-5未満であ
ると磁性体への吸着が不十分となるので分散性が低下す
る。2×10-4以上であると溶剤への溶解性が低下する
ので分散性が低下する。
【0043】また、本発明のポリウレタンのウレタン基
濃度は、ポリウレタン(PA1)および(PA2)にあ
っては、ウレタン基濃度が3.0meq/g〜4.0m
eq/gであることが好ましく、より好ましくは3.3
mmol/g〜3.7mmol/gである。3.0mm
ol/gよりも少ないと塗膜のガラス転移温度(Tg)
が低下し、耐久性が低下する。4.0mmol/gより
も多いと溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下すると
ともに、必然的にポリオールを含有できなくなるために
分子量の調整を行うことが困難となる等の合成上の不都
合が生じやすい。
【0044】また、ポリウレタン(PA3)は、2.5
mmol/g〜4.5mmol/gであることが好まし
く、更に好ましくは3.0mmol/g〜4.0mmo
l/gである。2.5mmol/gよりも少ないと塗膜
のTgが低下し、耐久性が低下する。4.5mmol/
gよりも多いと溶剤溶解性が低下し、分散性が低下する
とともに、必然的にポリオールを含有できなくなるため
に分子量の調製が困難となる等の合成上の不都合が生じ
やすい。
【0045】本発明のポリウレタン中のOH基含有量
は、1分子当たり2個〜20個であることが好ましく、
更に好ましくは1分子当たり3個〜15個である。1分
子当たり3個未満では、イソシアネート硬化剤との反応
性が低下するために塗膜強度が低下し、耐久性が低下す
る。一方、1分子当たり15個以上では、溶剤への溶解
性が低下するので分散性が低下する。また、本発明の磁
気記録媒体の結合剤中には、下記の有機リン化合物を含
有していても良い。
【0046】
【化11】
【0047】ただし、Rは、置換又は未置換のアルキル
基、アルケニル基、又はアリ−ル基を表し、n=1又は
2である。有機リン化合物は、具体的には、(Ph−
O)PO(OH)2、(Ph−O)2PO(OH)、(P
h−O)P(OH)2 、(Ph−O)2PO(OH)、
Ph−PO(OH)2、(Ph−O)2PO(OH)、C
613OPO(OH)2、(C613O)2PO(O
H)、C613OP(OH)2、(C613O)2P(O
H)、C613PO(OH)2、(C6132PO(O
H)、C817OPO(OH)2、 C1021OPO(O
H)2、C1225OPO(OH)2、C1429OPO(O
H)2、C1633OPO(OH)2、C1837OPO(O
H)2、C817PO(OH)2、C1021PO(O
H)2、C1225PO(OH)2、C1429PO(OH)
2、C1633PO(OH)2、C1837PO(OH)2
を挙げることができる。ただし、Phは、フェニル基を
示す。
【0048】これらのなかでも、(Ph−O)PO(O
H)2、(Ph−O)P(OH)2、Ph−PO(OH)
2、 C1021OPO(OH)2、C1225OPO(O
H)2、C1429OPO(OH)2、 C1633OPO
(OH)2、C1837OPO(OH)2、C1021PO
(OH)2、C1225PO(OH)2、C1429PO(O
H)2、 C1633PO(OH)2、C1837PO(O
H)2 が好ましい。
【0049】本発明の結合剤を磁性層に用いる場合に
は、本発明のポリウレタンに塩化ビニル系の合成樹脂を
併用しても良い。併用することができる塩化ビニル系樹
脂の重合度は200〜600が好ましく、250〜45
0が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビニル系モノマ
ー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリ
デン、アクリロニトリルなどを共重合させたものでもよ
い。
【0050】本発明のポリウレタンおよび塩化ビニル系
樹脂の他に、各磁性層の形成には各種の合成樹脂を用い
ることができる。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合
体、ニトロセルロース樹脂などのセルロース誘導体、ア
クリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブ
チラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂である。
これらは、単独でも組み合わせでも使用することができ
る。
【0051】他の合成樹脂を併用する場合には、磁性層
に含まれるポリウレタンは、結合剤中に10〜90重量
%を含有されていることが好ましく、さらに好ましくは
20〜80重量%の量である。特に好ましくは25〜6
0重量%の量である。また塩化ビニル系樹脂は、結合剤
中に10〜80重量%含有されていることが好ましく、
さらに好ましくは20〜70重量%の量である。特に好
ましくは30〜60重量%の量である。
【0052】また、本発明の結合剤とともに、ポリイソ
シアネート化合物等の硬化剤を使用することができる。
ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイ
ソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルと
の反応性生物(例、デスモジュールL−75(バイエル
社製))、キシリレンジイソシアネートあるいはヘキサ
メチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート3モ
ルとトリメチロールプロパン1モルとの反応生成物、ヘ
キサメチレンジイソシアネート3モルとのビューレット
付加化合物、トリレンジイソシアネート5モルのイソシ
アヌレート化合物、トリレンジイソシアネート3モルと
ヘキサメチレンジイソシアネート2モルのイソシアヌレ
ート付加化合物、イソホロンジイソシアネートおよびジ
フェニルメタンジイソシアネートのポリマーを挙げるこ
とができる。
【0053】磁性層に含まれるポリイソシアネート化合
物は、結合剤中に10〜50重量%の範囲で含有されて
いることが好ましく、さらに好ましくは20〜40重量
%の範囲である。また、電子線照射による硬化処理を行
う場合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二
重結合を有する化合物を使用することができる。
【0054】樹脂成分と硬化剤との合計(すなわち結合
剤)の重量は、強磁性粉末100重量部に対して、通常
15〜40重量部の範囲内にあることが好ましく、さら
に好ましくは20〜30重量部である。
【0055】本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性
粉末は、コバルト含有強磁性酸化鉄又はコバルト含有強
磁性合金粉末でSBET 比表面積が40〜80m2 /g、
好ましくは50〜70m2 /gである。結晶子サイズは
12〜25nm、好ましくは13〜22nmであり、特
に好ましくは14〜20nmである。長軸長は0.05
〜0.25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μ
mであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmであ
る。強磁性粉末としては、コバルトを含有する鉄、Co
−Ni−Feが挙げられ、さらにこれらにイットリウム
を含むものでも良い。強磁性粉末中のイットリウム含有
量は、鉄原子に対してイットリウム原子の比、Y/Fe
が0.5原子%〜20原子%が好ましく、更に好ましく
は、5〜10原子%である。0.5原子%よりも少ない
と強磁性粉末の高σS化できないために磁気特性が低下
し、電磁変換特性が低下する。20原子%よりも大きい
と鉄の含有量が少なくなるので磁気特性が低下し、電磁
変換特性が低下する。さらに、鉄100原子%に対して
20原子%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫
黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マン
ガン、銅、亜鉛、モリブデン、ロジウム、パラジウム、
金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タ
ングステン、レニウム、鉛、リン、ランタン、セリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含
むことができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水
酸化物または酸化物を含むものなどであってもよい。
【0056】本発明の、コバルト、イットリウムを導入
した鉄を主成分とする強磁性粉末の製造方法の一例を示
す。第一鉄塩とアルカリを混合した水性懸濁液に、酸化
性気体を吹き込むことによって得られるオキシ水酸化鉄
を出発原料とする例を挙げることができる。
【0057】このオキシ水酸化鉄の種類としては、α一
FeOOHが好ましく、その製法としては、第一鉄塩を
水酸化アルカリで中和してFe(OH)2 の水性懸濁液
とし、この懸濁液に酸化性ガスを吹き込んで針状のα一
FeOOHとする第一の製法がある。一方、第一鉄塩を
炭酸アルカリで中和してFeCO3 の水性懸濁液とし、
この懸濁液に酸化性気体を吹き込んで紡錘状のα一Fe
OOHとする第二の製法がある。このようなオキシ水酸
化鉄は第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させて
水酸化第一鉄を含有する水溶液を得て、これを空気酸化
等により酸化して得られたものであることが好ましい。
この際、第一鉄塩水溶液にNi塩や、Ca塩、Ba塩、
Sr塩等のアルカリ土類元素の塩、Cr塩、Zn塩など
を共存させても良く、このような塩を適宣選択して用い
ることによって粒子形状(軸比)などを調製することが
できる。
【0058】第一鉄塩としては、塩化第一鉄、硫酸第一
鉄等が好ましい。またアルカリとしては水酸化ナトリウ
ム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム
等が好ましい。また、共存させることができる塩として
は、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩
化ストロンチウム、塩化クロム、塩化亜鉛等の塩化物が
好ましい。
【0059】次いで、硫酸コバルト、塩化コバルト等の
コバルト化合物の水溶液を前記のオキシ水酸化鉄のスラ
リーに攪拌混合してコバルトを導入する。コバルトを含
有するオキシ水酸化鉄のスラリーを調製した後、このス
ラリーにイットリウムの化合物を含有する水溶液を添加
し、攪拌混合することによって導入することができる。
【0060】本発明の強磁性粉末には、イットリウム以
外にもネオジム、サマリウム、プラセオジウム、ランタ
ン等を導入することができる。これらは、塩化イットリ
ウム、塩化ネオジム、塩化サマリウム、塩化プラセオジ
ウム、塩化ランタン等の塩化物、硝酸ネオジム、硝酸ガ
ドリニウム等の硝酸塩などを用いて導入することがで
き、これらは、二種以上を併用しても良い。
【0061】強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通
常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のもの
などが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用する
ことが好ましい。
【0062】上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末
を、通常磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエ
チルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチ
ル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。
【0063】なお、磁性塗料中には、上記成分以外に、
α−Al23 、Cr23 等の研磨材、カーボンブラッ
ク等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコー
ンオイル等の潤滑剤、分散材など通常使用されている添
加剤あるいは充填剤を含むものであってもよい。
【0064】次に本発明が多層構成の場合における下層
非磁性層または下層磁性層について説明する。本発明の
下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を
問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属
炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫
化物、等の無機質化合物から選択することができる。無
機化合物としては例えばα化率90〜100%のα−ア
ルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸
化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒
化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、
酸化すず、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化
ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン
などが単独または組合せで使用される。特に好ましいの
は二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであ
り、更に好ましいのは二酸化チタンである。これら非磁
性粉末の平均粒径は0.005〜2μmが好ましいが、
必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせ
たり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の
効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非
磁性粉末の平均粒径は0.01μm〜0.2μmであ
る。非磁性粉末のpHは6〜9の間が特に好ましい。非
磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好ましくは
5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gであ
る。非磁性粉末の結晶子サイス゛は0.01μm〜2μmが
好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/10
0g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは
20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好まし
くは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状
のいずれでも良い。
【0065】これらの非磁性粉末の表面には、表面処理
によってAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2O3,ZnO
が存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのは
Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、であるが、更に好ましいの
はAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使
用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目
的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先
ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する
方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、
表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わない
が、均質で密である方が一般には好ましい。
【0066】下層にカ−ボンブラックを混合させて公知
の効果であるRsを下げることができるとともに、所望
のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。このため
にはゴム用ファ−ネスブラック、ゴム用サ−マルブラッ
ク、カラ−用カーボンブラック、アセチレンブラック等
を用いることができる。
【0067】カ−ボンブラックの比表面積は100〜5
00m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DB
P吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜2
00ml/100gである。カ−ボンブラックの平均粒径は5
mμ〜80mμ、好ましく10〜50mμ、さらに好ま
しくは10〜40mμである。カ−ボンブラックのpH
は2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は
0.1〜1g/ml、が好ましい。本発明に用いられるカ
−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、
BLACKPEARLS 2000、1300、100
0、900、800,880,700、VULCAN
XC−72、三菱化成工業社製、#3050B,315
0B,3250B、#3750B、#3950B、#9
50、#650B,#970B、#850B、MA−6
00、コロンビアカ−ボン社製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 8800,8000,7000,5750,5250,3500,21
00,2000,1800,1500,1255,1250、アクゾー社製ケッチェ
ンブラックECなどが挙げられる。
【0068】本発明の下層にはまた、磁性粉末を用いる
こともできる。磁性粉末としては、γ−Fe23、Co
変性γ−Fe23、α−Feを主成分とする合金、Cr
2等が用いられる。特に、Co変性γ−Fe23が好
ましい。本発明の下層に用いられる強磁性粉末は上層磁
性層に用いられる強磁性粉末と同様な組成、性能が好ま
しい。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させ
ることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を
向上させるためには、下層磁性層のHcは上層磁性層の
それより低く設定することが望ましく、また、下層磁性
層のBrを上層磁性層のそれより高くする事が有効であ
る。それ以外にも、公知の重層構成を採る事による利点
を付与させることができる。
【0069】下層磁性層または下層非磁性層のバインダ
ー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は
磁性層のそれが適用できる。特に、バインダー量、種
類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に
関する公知技術が適用できる。
【0070】以上の材料により調製した磁性塗料を非磁
性支持体上に塗布して磁性層を形成する。
【0071】本発明に用いることのできる非磁性支持体
としては二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズ
オキシダゾール等の公知のものが使用できる。好ましく
はポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドであ
る。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プ
ラズマ処理、易接着処理、熱処理、などを行っても良
い。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は中
心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて
0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲とい
う優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。ま
た、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さ
いだけでなく1μ以上の粗大突起がないことがこのまし
い。
【0072】本発明の磁気記録媒体の製造方法は例え
ば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を
好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が0.05〜3.0μ
mの範囲内、より好ましくは0.07〜1.0μmにな
るように塗布する。ここで複数の磁性塗料を逐次あるい
は同時に重層塗布してもよい。
【0073】上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート、スピンコート等が利用でき
る。 これらについては例えば株式会社総合技術センタ
ー発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月3
1日)を参考にできる。
【0074】本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に
適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のも
のを提案できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
より、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに
特公平1-46186号公報、特開昭60-238179
号公報、特開平2-265672号公報等に開示されて
いるような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、上層を塗布する。 (2)特開昭63-88080号公報、特開平2-179
71号公報、特開平2-265672号公報に開示され
ているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗
布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
【0075】(3)特開平2-174965号公報に開
示されているようなバックアップロール付きのエクスト
ルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布す
る。
【0076】本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が
塗布されていない面にバック層(バッキング層)が設け
られていてもよい。通常バック層は、非磁性支持体の磁
性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤な
どの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック層
形成塗料を塗布して設けられた層である。なお、非磁性
支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布
面に接着剤層が設けられいてもよい。
【0077】塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料
の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施し
た後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布
層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たと
えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面
平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によ
って生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率
が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得
ることができる。
【0078】カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、
ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性
プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理
することもできる。
【0079】本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平
均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜
4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れ
た平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法
として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合
剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施す
ことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カ
レンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好まし
くは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜10
0℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cm2
の範囲であり、好ましくは200〜450kg/cm2
の範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/c
2 の範囲の条件で作動させることによって行われるこ
とが好ましい。このようにして硬化処理された積層体を
次に所望の形状に裁断を行う。
【0080】以上のように、本発明のポリウレタンは、
ポリオール成分として、脂肪族の二塩基酸と従来よりも
分岐脂肪族ジオールを多く含有しているので溶剤への溶
解性が高く、強磁性粉末の分散性にも優れる。更にウレ
タン基濃度が高いので従来の脂肪族系ウレタンに比べて
高Tgが得られるので走行耐久性にも優れる。
【0081】また、水素結合成分であるウレタン基濃度
を増加させることは、乾燥塗膜中での分子間相互作用の
向上によりにTgなどの塗膜強度が向上する一方、溶剤
溶解性が低下し塗布液粘度が増加する為に分散性が低下
してしまうが、本発明のポリウレタンはウレタン基濃度
が大であるとともにポリエステルポリオール成分として
脂肪族の二塩基酸と分岐脂肪族ジオールを用いているの
で溶剤溶解性が低下しない特徴を併せ持つ。これは分岐
をもつことで塗布液中でのポリウレタン分子間の会合を
防止できているためと考えられる。
【0082】実施例 以下に、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に
説明する。以下に記載の「部」は「重量部」を示し、%
は重量%を示す。 (ポリウレタンの合成例1)還流式冷却器、攪拌機を具
備し、予め窒素置換した容器に表1に示したポリエステ
ルポリオールと、表2に示した鎖延長剤のジオールとD
EIS(スルホイソフタル酸ジメチルエステル)をシク
ロヘキサノン中にて窒素気流下で60℃で溶解した。表
1において、配合量はモル%で示す。また分子量は水酸
基価で求めた。 次いで、触媒として、ジ−n−ジブチ
ルスズジラウレート60ppmを加え15分間溶解し
た。さらに表2に示した量の4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート(MDI)を加え90℃にて6時間
加熱反応し、ポリウレタン溶液を得た。表2に得られた
ポリウレタンPA1の重量平均分子量、ガラス転移温度
を示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】実施例1−1 強磁性合金粉末(組成:Co/Fe5原子%、Y/Fe
6原子% Hc2000Oe,結晶子サイズ15nm、
BET比表面積59m2/g 、長軸径0.12μm、針
状比7、σs150emu/g)100部をオープンニ
ーダーで10分間粉砕し、次いでポリウレタン1A 2
0部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混
練し、次いで 研磨剤(Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部 カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート 5部 (日本ポリウレタン製 コロネート3041) (固形分) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を
調製した。次いで、接着層としてスルホン酸含有ポリエ
ステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコ
イルバーを用いて厚さ10μmのポリエチレンナフタレ
ート支持体の表面に塗布した。
【0086】次に、得られた非磁性塗料を2.0μm
に、さらにその直後に上層用磁性塗料を乾燥後の厚さが
0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時
重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁
性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配
向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロール−
金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金
属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度10
0m/分、線圧300kg/cm、温度90℃)で行な
った後、6.35mm幅に裁断し、磁気テープを製造し
た。
【0087】実施例1−2〜1−7及び比較例1−1〜
1−8 ポリウレタン1Aを表3に示したポリウレタンに変更し
て、実施例1−1と同様の方法で実施例1−2〜1−7
及び比較例1−1〜1−8の磁気テープを作製した。
【0088】実施例1−8 強磁性合金粉末の組成を、Y/Fe0.5原子%、Co
/Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様に磁気
テープを作製した。
【0089】実施例1−9 強磁性合金粉末の組成を、Y/Fe20原子%、Co/
Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様に磁気テ
ープを作製した。
【0090】実施例1−10〜1−14 上層用磁性液…実施例1−1の磁性塗布液 (下層用非磁性液の調整)α−Fe23(平均粒径0.
15μm、BET比表面積52m2/g 、表面処理によ
りAl23、SiO2が存在、pH6.5〜8.0)8
5部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩
化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=8
6/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネート
ナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×10
-5eq/g、 エポキシ=10-3eq/g、Mw 30,
000)を7.5部及び、表3に記載のスルホン酸含有
ポリウレタン 10部(固形分)、シクロヘキサノン6
0部で60分間混練し、次いで メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用非磁
性塗料を調製した。
【0091】次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエ
ステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコ
イルバーを用いて厚さ10μmのポリエチレンナフタレ
ート支持体の表面に塗布した。得られた非磁性塗料を
2.0μmに、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後の厚
さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて
同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体
を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で
磁場配向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロ
ール−金属ロール−金属ロール−金属 ロール−金属ロ
ール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を
(速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90
℃)で行なった後、6.35mm幅に裁断してビデオテ
ープを作製した。
【0092】比較例1−9 強磁性合金粉末の組成を、Co/Fe5原子%とした以
外は実施例1−1と同様にビデオテープを作製した。
【0093】比較例1−10 強磁性合金粉末の組成を、Y/Fe25原子%、Co/
Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様にビデオ
テープを作製した。
【0094】比較例1−11 ポリウレタン1Aをポリウレタン1Hとした以外は実施
例1−10と同様にビデオテープを作製した。
【0095】比較例1−12 ポリウレタン1Aをポリウレタン1Tとした以外は実施
例1−10と同様にビデオテープを作製した。
【0096】次いで、実施例および比較例のビデオテー
プの特性を以下の測定方法Aによって測定し、測定結果
を表3に示す。
【0097】測定方法A a)電磁変換特性:試料テープにデジタルビデオテープ
レコーダ(松下電器製:NV−BJ1)を用いて記録波
長0.5μmの信号を記録し、再生した。基準テープ
(比較例1−1)に記録した再生出力を0dBとしたと
きのテープの相対的な再生出力を測定した。 b)SQ:振動試料型磁束計(東英工業製)を用いてH
m:5kOeで測定した。c)繰り返し走行性:60分
長のテープをのVTRを用いて40℃80%RH環境
下で100回連続繰り返し走行させ、ビデオヘッドの汚
れを観察し、またビデオ出力を連続して記録し、1回目
の出力を0dBとして出力低下を測定した。 ビデオヘッド汚れ 優秀…汚れが観察されなかったもの 不良…汚れが目視で観察されたもの
【0098】d)ドロップアウト増加 a)の電磁変換特性の測定に用いたデジタルビデオテー
プレコーダを用いて23℃10%RH環境において、5
分間走行を1000パス繰り返した後に15μ秒以上、
−10dBよりも大きく出力が低下したドロップアウト
個数を調べた。e)高温保存による摩擦係数変化6.3
5mm幅テ−プとステンレス(SUS420J)製の直
径4mmの棒とを20g(T1)の張力で巻き付け角1
80度で接触させて、テープを14mm/秒の速度で1
00mmの長さを100パス走行させたときの張力(T
2)を測定し、下式で摩擦係数を求めた。 摩擦係数=1/π・ln(T2/T1) また、リール状態の60分長テープをシリカゲルを入れ
た密閉容器に入れて60℃のオーブン内で1週間保存し
たのちの摩擦係数を測定し、保存前の摩擦係数を100
とした割合で求めた。
【0099】
【表3】
【0100】(ポリウレタンの合成例2)還流式冷却
器、攪拌機を具備し、予め窒素置換した容器に表1に示
したポリエステルポリオールと、表4に示した鎖延長剤
をシクロヘキサノン中にて窒素気流下で60℃で溶解し
た。次いで、触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウ
レート60ppmを加え15分間溶解した。さらに表2
に示した量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポ
リウレタン溶液を得た。表4に、得られたポリウレタン
の重量平均分子量、ガラス転移温度を示す。
【0101】
【表4】
【0102】実施例2−1〜2−15および比較例2−
1〜2−9 (上層用磁性液の調整)強磁性合金粉末(組成:Fe8
9原子%、Co5原子%、Al6原子%、Hc2000
Oe、結晶子サイズ15nm、BET比表面積59m2
/g、長軸径0.12μm、針状比7、σs150em
u/g)100部をオープンニーダーで10分間粉砕
し、次いで、表4のポリウレタン 20部(固形分)、
シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで 研磨剤(Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部 カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート 5部 (日本ポリウレタン製 コロネート3041) (固形分) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を
調製した。
【0103】(下層用非磁性液の調整)α−Fe2
3(平均粒径0.15μm、BET比表面積52m2/g
、表面処理Al23、SiO2、pH6.5〜8.0)
85部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで
塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=
86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネー
トナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×1
-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、Mw 3
0,000)を7.5部及び表4のポリウレタン10部
(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練
し、次いで メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用非磁
性塗料を調製した。
【0104】次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエ
ステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコ
イルバーを用いて厚さ10μmのポリエチレンナフタレ
ート支持体の表面に塗布した。次いで得られた非磁性塗
料を2.0μmに、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後
の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用
いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持
体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石
で磁場配向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属
ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロ
ール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を
(速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90
℃)で行なった後、6.35mm幅に裁断してビデオテ
ープを作製した。次いで、実施例2−1ないし2−15
および比較例2−1ないし2−9のビデオテープの特性
を以下の測定方法Bによって測定し、測定結果を表5に
示す。
【0105】測定方法B a)表面粗さRa:デジタルオプチカルプロフィメータ
ー(WYKO製)による光干渉法により、カットオフ
0.25mmの条件で中心線平均粗さRaとして求め
た。 b)電磁変換特性:試料テープにデジタルビデオテープ
レコーダ(松下電器製:NV−BJ1)を用いて記録波
長0.5μmの信号を記録し、再生した。基準テープ
(比較例2−2)に記録した再生出力を0dBとしたと
きのテープの相対的な再生出力を測定した。 c)SQ:振動試料型磁束計(東英工業製)を用いてH
m:5kOeで測定した。
【0106】d)高温保存による摩擦係数変化 6.35mm幅テ−プとステンレス(SUS420J)
製の直径4mmの棒とを20g(T1)の張力で巻き付
け角180度で接触させて、テープを14mm/秒の速
度で100mmの長さを100パス走行させたときの張
力(T2)を測定し、下式で摩擦係数を求めた。 摩擦係数=1/π・ln(T2/T1) e)保存後の摩擦係数 テープをリールに巻き付けた状態で60分長テープを6
0℃の乾燥環境に1週間保存したのちの摩擦係数を測定
した。
【0107】
【表5】
【0108】表においてPhは、フェニル基を示す。
【0109】(ポリウレタンの合成例3)表6に示した
組成のポリエステルポリオールA及びポリエステルポリ
オールIと2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパン
ジオールを還流式冷却器、攪拌機を具備し、予め窒素置
換した容器に表7に示した組成比でシクロヘキサノン3
0%溶液に窒素気流下60℃で溶解した。次いで触媒と
して、ジ−n−ジブチルスズジラウレート60ppmを
加え更に15分間溶解した。更に表7あるいは表8に示
した量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウ
レタン樹脂溶液を得た。表7に、得られたポリウレタン
(PA3)の重量平均分子量を示し、表8に得られたポ
リウレタン(PB1)の重量平均分子量を示す。
【0110】
【表6】
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】ただし、表8において、以下を意味する。 HBpA:水素化ビスフェノールA 化合物A:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物
(分子量600) 化合物B:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物
(分子量1000) MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート 実施例3−1 (上層用磁性塗料の調製)強磁性合金粉末(組成:F
e:89原子%、Co:5原子%、Y:6原子%、H
c:2000(Oe)、結晶子サイズ:15nm、BE
T比表面積: 59m2/g、長軸径:0.12μm、針
状比:7、σs:150emu/g)100部をオープ
ンニーダーで10分間粉砕し、次いで ポリウレタン3A 20部(固形分) シクロヘキサノン 60部 で60分間混練し、次いで 研磨剤 (Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部 カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部 (固形分) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性
塗料を調製した。
【0114】(下層用塗料の調製)α−Fe23(平均
粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al2
3、SiO2 、pH6.5〜8.0)85部をオープ
ンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル/酢酸
ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共
重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を
付加した化合物( SO3Na=6×10-5eq/g、エ
ポキシ=10-3eq/g、重量平均分子量30,00
0)を7.5部及びポリウレタン4B 10部(固形
分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次い
で メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料
を調製した。
【0115】(磁気テープの作製)次いで、厚さ10μ
mのポリエチレンナフタレート支持体の表面に接着層と
してスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが
0.1μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
次いで下層用塗料を1.5μmに、さらにその直後に上
層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、
リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗
布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3
000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、塗布したもの
を金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−
金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによる
カレンダー処理を、速度100m/分、線圧300kg
/cm、温度90℃の条件で行なった後3.8mm幅に
裁断して磁気テープとした。作製した磁気テープの特性
を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表9に示
す。
【0116】実施例3−2〜3−7及び比較例3−1〜
3−12 上層磁性層用ポリウレタン3A及び下層用ポリウレタン
4Bを表9に示したポリウレタンに変更した点を除き、
実施例3−1と同様の方法で実施例3−2〜3−7、比
較例3−1〜3−12の磁気テープを作製した。作製し
た磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、
測定結果を表9に示す。
【0117】実施例3−8 下層液のα−Fe23(平均粒径0.15μm、SBET
52m2/g、表面処理Al23、SiO2、pH6.5
〜8.0)を酸化チタン(平均粒径0.035μm、結
晶型ルチル、TiO2 含有量90%以上、表面処理層ア
ルミナ、 SBET35〜42m2/g 、真比重4.1、p
H6.5〜8.0)とした以外は実施例3−2の方法と
同様に実施例3−8の磁気テープを作製した。作製した
磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測
定結果を表9に示す。
【0118】比較例3−13、3−14 上層ポリウレタン及び下層用ポリウレタンを表9に示し
たポリウレタンに変更した点を除き実施例3−8と同様
の方法で比較例3−13、3−14の磁気テープを作製
した。 作製した磁気テープの特性を以下の測定方法C
によって測定し、測定結果を表9に示す。
【0119】測定方法C a)表面粗さ:Ra デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を
用いたMIRAU法によりカットオフ0.25mmの条
件で中心線平均粗さをRaとしてnmで示した。b)1
0nm以上の突起の個数 デジタルインスツルメント社製ナノスコープIIを用い、
トンネル電流10nA、バイアス電流400mVで30
μm×30μmの範囲を走査して求めた比較例3−1を
100としたときの相対値で示した。
【0120】c)電磁変換特性 DDS3ドライブ(HP社製 Model C153
7)にて4.7MHzの単一周波数信号を最適記録電流
で記録し、その再生出力を測定した。比較例3−1の再
生出力を100とした相対値で示した。 d)高温高湿保存後の耐久性 60℃90%RH環境下に1週間保存したテープを40
℃80%RH環境下で磁性層面をDDS3ドライブに使
用されているガイドポールに接触させて荷重10g(T
1)を加え、8mm/秒になるように張力(T2)を加
えて引っ張りT2/T1よりガイドポールに対する磁性
面の摩擦係数を下記式により求めた。測定は繰り返し5
00パスまで行い、1パス目と500パス目の摩擦係数
を求めた。 摩擦係数=1/π・ln(T2/T1) 測定後のガイドポールの汚れを微分干渉光学顕微鏡で観
察し、以下の評価基準で評価した。 優秀:汚れが全くみられない。 良好:汚れが見られるが、汚れのない部分の方が多い。 不良:汚れがない部分よりも汚れがある部分の方が多
い。
【0121】
【表9】
【0122】実施例4−1 (上層用磁性塗料の調製)強磁性合金粉末(組成:F
e:89原子%、Co:5原子%、Y:6原子%、H
c:2000(Oe)、結晶子サイズ:15nm、BE
T比表面積:59m2/g 、長軸径:0.12μm、針
状比:7、σs:150emu/g)100部をオープ
ンニーダーで10分間粉砕し、次いで表8に記載の ポリウレタン4A 20部(固形分) シクロヘキサノン 60部 で60分間混練し、次いで 研磨剤 (Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部 カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部 (固形分) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性
塗料を調製した。
【0123】(下層用塗料の調製)α−Fe23(平均
粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al2
3、SiO2 、pH6.5〜8.0)85部をオープ
ンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル/酢酸
ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共
重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を
付加した化合物( SO3Na=6×10-5eq/g、エ
ポキシ=10-3eq/g、重量平均分子量 30,00
0)を7.5部及び表7に記載のポリウレタン3Bを1
0部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混
練し、次いで メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料
を調製した。
【0124】(磁気テープの作製)次いで、厚さ10μ
mのポリエチレンナフタレート支持体の表面に接着層と
してスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが
0.1μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
【0125】次いで下層用塗料を1.5μmに、さらに
その直後に上層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmに
なるように、リバースロールを用いて同時重層塗布し
た。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未
乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行な
い、塗布したものを金属ロール−金属ロール−金属ロー
ル−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール
の組み合せによるカレンダー処理を、速度100m/
分、線圧300kg/cm、温度90℃の条件で行なっ
た後3.8mm幅に裁断して磁気テープとした。作製し
た磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、
測定結果を表10に示す。
【0126】実施例4−2〜4−7及び比較例4−1〜
4−12 上層磁性層用ポリウレタン4A及び下層用ポリウレタン
3Bを表10に示したポリウレタンに変更した点を除
き、実施例4−1と同様の方法で実施例4−2〜4−
7、比較例4−1〜4−12の磁気テープを作製した。
【0127】作製した磁気テープの特性を以下の評価方
法によって測定し、測定結果を表10に示す。
【0128】実施例4−8 下層液のα−Fe23(平均粒径0.15μm、SBET
52m2/g、表面処理Al23、SiO2、pH6.5
〜8.0)を酸化チタン(平均粒径0.035μm、結
晶型ルチル、TiO2 含有量90%以上、表面処理層ア
ルミナ、 SBET35〜42m2/g 、真比重4.1、p
H6.5〜8.0)とした以外は実施例4−2の方法と
同様に実施例4−8の磁気テープを作製した。作製した
磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測
定結果を表10に示す。
【0129】比較例4−13、4−14 上層ポリウレタン及び下層用ポリウレタンを表10に示
したポリウレタンに変更した点を除き実施例4−8と同
様の方法で比較例4−13、4−14の磁気テープを作
製した。 作製した磁気テープの特性を以下の測定方法
Dによって測定し、測定結果を表10に示す。
【0130】測定方法D a)表面粗さ:Ra デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を
用いたMIRAU法によりカットオフ0.25mmの条
件で中心線平均粗さをRaとしてnmで示した。b)電
磁変換特性 試料テープにドラムテスター(交野製作所製)を用いて
記録波長0.5μm、ヘッド速度10m/秒で記録し再
生し、その再生出力を測定した。比較例4−1の再生出
力を100とした相対値で示した。
【0131】c)高温高湿保存後の耐久性 (1)出力低下とビデオヘッド汚れ 60℃90%RH環境下に1週間保存した60分長テー
プを40℃80%RH環境下でデジタルビデオテープレ
コーダ(松下電器製 NV−BJ1)を用いて、100
回繰り返し走行させ、ビデオヘッドの汚れを観察し、1
回目の再生出力を0dBとして出力を測定して出力低下
とし、またビデオヘッドに汚れが目視で観察されなかっ
たものを優秀とし、また汚れが観察されたものを不良と
して示した。(2)スチル耐久性 40℃80%RH環境下でデジタルビデオテープレコー
ダ(松下電器製 NV−BJ1)を用いてスチル状態に
し、再生出力が50%になるまでの時間を測定して、ス
チル耐久性として示した。
【0132】
【表10】
【0133】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、高温保存によ
る摩擦係数の上昇がなくなり、また、磁性粉体の分散性
が向上し電磁変換特性が向上した。さらに、磁性層の表
面強度が高く、繰り返し走行でのヘッド汚れ、出力低下
が改良された。また、予期せぬ効果として、テープ型の
媒体においてはテープエッジクラックが減ったのでドロ
ップアウト増加が少なくなり、高耐久性の電磁変換特性
に優れたものが得られた。また、塗膜の平滑性が高く走
行耐久性が向上し、分散性も向上し磁性体の配向性が向
上した。さらに、磁性層表面が平滑であるにもかかわら
ず、摩擦係数が小さくなり、電磁変換特性に優れ、高温
下での保存安定性が向上し、安定した走行性を維持する
ことができた。さらに、下層用の結合剤として分散性が
高く平滑な表面が得られ、積層した場合には、界面への
泳動量が少ないポリウレタン樹脂を用いるたので、上層
磁性層を積層した場合にも積層界面が乱れず、磁性層表
面の平滑性が高く、しかも磁性層の耐熱性が大きく高
温、高湿環境での耐久性が大きな磁気記録媒体が得られ
た。また、磁性層表面の平滑性を高めることができたの
で、電磁変換特性が良好であり、しかも磁性層の耐熱性
が大きく高温、高湿環境でのスチル耐久性が向上した磁
気記録媒体が得られた。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、下層を介して又は下
    層を介さずに少なくとも一層の強磁性粉末と結合剤を分
    散した磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性
    層および前記下層の少なくともいずれか一層がポリエス
    テルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートから
    得られたウレタンを結合剤として含み、前記強磁性粉末
    は、コバルト含有の鉄を主成分とする強磁性粉末であ
    り、前記ポリウレタンは、そのポリエステルポリオール
    中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分の
    70モル%以上が炭素数2以上のアルキル分岐側鎖を有
    するジオール成分からなるポリウレタン(PA0)であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記強磁性粉末は、さらにアルミニウム
    を含有する鉄を主成分とする強磁性粉末であることを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記強磁性粉末は長軸長が0.05〜
    0.25μmであることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記強磁性粉末は結晶子サイズが12〜
    25nmであることを特徴とする請求項1記載の磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 前記ポリウレタンは、そのポリエステル
    ポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオ
    ール成分の70モル%以上が環状構造を持たない炭素数
    2以上のアルキル分岐側鎖を有するジオール成分からな
    るポリウレタン(PA1)、またはポリエステルポリオ
    ール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成
    分の70モル%以上が1分子中の分岐側鎖炭素数の合計
    が2以上のアルキル分岐脂肪族ジオールからなるポリエ
    ステルポリオールと1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が
    3以上のアルキル分岐脂肪族ジオールを含む鎖延長剤か
    らなるポリウレタン(PA2)であることを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記ポリウレタンが下群より選ばれる少
    なくとも一種の極性基を有するポリウレタンであること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。 SO3M、SO4M、PO32、OPO32、−NR2 (Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アン
    モニウム、Rは、炭素数1〜12のアルキル基を示
    す。)
  7. 【請求項7】 前記磁性層の乾燥厚みが0.2μm以下
    であり、前記下層の乾燥厚みが1μm以上であることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記磁性層および下層の少なくともいず
    れか一層が、更に下式(1)〜(3)から選ばれる有機
    リン化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし7記
    載の磁気記録媒体。 【化1】 ただし、Rは、置換又は未置換のアルキル基、アルケニ
    ル基、又はアリ−ル基を表し、n=1又は2である。
  9. 【請求項9】 前記ポリウレタン(PA1)および(P
    A2)のウレタン基濃度が3.0meq/g〜4.0m
    eq/gであることを特徴とする請求項8記載の磁気記
    録媒体。
  10. 【請求項10】 前記磁性層の結合剤がポリエステルポ
    リオール、鎖延長剤、および有機ジイソシアネートを含
    む原料を反応させて得られたポリウレタンを含み、該ポ
    リウレタンは、そのポリエステルポリオール中の二塩基
    酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分の70モル%
    以上がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂
    肪族ジオール成分からなり、鎖延長剤が分岐側鎖の炭素
    数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオ
    ールからなるポリウレタン(PA3)であり、且つ前記
    下層の結合剤がポリウレタン中に1.0〜6.0mmo
    l/gのエーテル基を有するポリオール10〜50重量
    %と環状構造を有するジオールからなる鎖延長剤15〜
    50重量%と有機ジイソシアネートからなるポリウレタ
    ン(PB1)であることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  11. 【請求項11】 ポリウレタン(PA3)は、ウレタン
    基濃度2.5〜4.5mmol/gであることを特徴と
    する請求項10記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記ポリウレタン(PB1)は、下式
    で示されるポリウレタン中に1.0〜6.0mmol/
    gのエーテル基を有するポリオールからなることを特徴
    とする請求項10記載の磁気記録媒体。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n、m=4〜40 【化2】
  13. 【請求項13】 前記ポリウレタン(PB1)は、下式
    で示される環状構造を有するジオールの鎖延長剤からな
    ることを特徴とする請求項10記載の磁気記録媒体。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n,m=0〜3 【化3】
  14. 【請求項14】 前記磁性層の結合剤がポリウレタン中
    に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポ
    リオール10〜50重量%と環状構造を有するジオール
    からなる鎖延長剤15〜50重量%と有機ジイソシアネ
    ートからなるポリウレタン(PB1)であり、且つ前記
    下層の結合剤がポリエステルポリオールと鎖延長剤と有
    機ジイソシアネートを含む原料を反応させて得られたポ
    リウレタンを含み、該ポリウレタンは、そのポリエステ
    ルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジ
    オール成分の70モル%以上がアルキル分岐側鎖を有す
    る環状構造を持たない脂肪族ジオール成分からなり、鎖
    延長剤が分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分
    岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなるポリウレタン(P
    A3)であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  15. 【請求項15】 前記ポリウレタン(PA3)は、ウレ
    タン基濃度2.5〜4.5mmol/gであることを特
    徴とする請求項14記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 前記ポリウレタン(PB1)は、ポリ
    ウレタン中に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基
    を有する下式で示されるポリオールからなることを特徴
    とする請求項14ないし15記載の磁気記録媒体。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n、m=4〜40 【化4】
  17. 【請求項17】 前記ポリウレタン(PB1)は、下式
    で示される環状構造を有するジオールの鎖延長剤からな
    ることを特徴とする請求項14ないし15記載の磁気記
    録媒体。 HO(R1n−X−(R2mOH ただし、n,m=0〜3 【化5】
JP36688898A 1997-12-25 1998-12-24 磁気記録媒体 Abandoned JPH11259850A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36688898A JPH11259850A (ja) 1997-12-25 1998-12-24 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35761897 1997-12-25
JP9-357618 1997-12-25
JP36688898A JPH11259850A (ja) 1997-12-25 1998-12-24 磁気記録媒体

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006225609A Division JP2007026650A (ja) 1997-12-25 2006-08-22 磁気記録媒体
JP2006225610A Division JP2007042268A (ja) 1997-12-25 2006-08-22 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11259850A true JPH11259850A (ja) 1999-09-24

Family

ID=26580630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36688898A Abandoned JPH11259850A (ja) 1997-12-25 1998-12-24 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11259850A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002025035A (ja) * 2000-07-12 2002-01-25 Sony Corp 磁気記録媒体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002025035A (ja) * 2000-07-12 2002-01-25 Sony Corp 磁気記録媒体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3922664B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH08293115A (ja) 磁気記録媒体用結合剤および磁気記録媒体
JP4046367B2 (ja) 磁気記録媒体
WO2000005714A1 (fr) Support magnetique d'enregistrement
US6815055B2 (en) Magnetic recording medium
US6221468B1 (en) Magnetic recording medium
US7005203B2 (en) Magnetic recording medium
JPH09305953A (ja) 磁気記録媒体
JPH11259850A (ja) 磁気記録媒体
JP2004362714A (ja) 磁気記録媒体
JPH09204639A (ja) 磁気記録媒体
JPH1196539A (ja) 磁気記録媒体
JP3824282B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3841367B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3862386B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3638379B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2007026650A (ja) 磁気記録媒体
JP2007042268A (ja) 磁気記録媒体
JP2003123222A (ja) 磁気記録媒体
JPH11283238A (ja) 磁気記録媒体
JPH10198946A (ja) 磁気記録媒体用結合剤および磁気記録媒体
JPH0817035A (ja) 磁気記録媒体
JPH0817036A (ja) 磁気記録媒体
JP2003123224A (ja) 磁気記録媒体
JPH11283239A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060822

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060915

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20061114

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070111

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20070111