JP2001297428A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2001297428A
JP2001297428A JP2001033203A JP2001033203A JP2001297428A JP 2001297428 A JP2001297428 A JP 2001297428A JP 2001033203 A JP2001033203 A JP 2001033203A JP 2001033203 A JP2001033203 A JP 2001033203A JP 2001297428 A JP2001297428 A JP 2001297428A
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JP2001033203A
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Akira Saito
彰 斉藤
Tatsunori Sato
達典 佐藤
Akimasa Kaizu
明政 海津
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性、非磁性層の分散性、電磁変換特
性、耐久走行性、低湿環境下での出力劣化の改善性に優
れる磁気記録媒体とその製造方法を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体の少なくとも一方の面上
に、無機顔料を結合剤中に分散してなる非磁性層と、該
非磁性層上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体であっ
て、(i)非磁性層中にP含有有機化合物と塩基性末端
基を有する有機色素化合物を含有させ、(ii)結合剤が
塩化ビニル系樹脂とウレタン樹脂を含有させ、および
(iii)無機顔料が少なくとも非磁性粉末とカーボンブ
ラックを含有させて磁気記録媒体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体および
その製造方法に関する。さらに詳しくは、表面平滑性に
優れるとともに、非磁性層(非磁性下層、下層)の分散
性に優れ、高周波領域の電磁変換特性、耐久走行性に優
れ、特に低湿環境下での出力劣化の改善性に優れた塗布
型の磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量の記憶装置の普及に伴い、
磁気記録媒体の高密度化が要望されるようになり、磁性
層の高充填化、薄層化、および平滑化が求められてい
る。しかしながら、磁性層の高充填化、薄層化、平滑化
は、他方で磁気記録媒体としての物性の劣化をもたらす
という問題がある。これに対する方策として、磁性層の
下層として非磁性層を別途設け、上記不具合を防止しよ
うとすることが一般に行われている。
【0003】例えば特開昭59−207027号公報で
は、放射線感応硬化樹脂と充填剤を含有したものを放射
線により硬化させた下層を用いることにより、層間粘着
を防止し、磁性層の高充填化、耐摩耗性向上、媒体の表
面性の向上を図ろうとする技術が開示されている。しか
しながら該公報のものは、下層の分散性、表面性が十分
でなく、また、上・下層の塗膜の物性についても、高温
から低温までの環境で十分に高い信頼性が得られない。
【0004】特開平11−213379号公報では、極
性基をもつ二種類の電子線(EB)硬化樹脂を組み合わ
せて下層に用いること、および上・下層の塗膜のガラス
転移温度(Tg)を規定することにより、下層でのカー
ボンブラック等の無機顔料の分散性向上、上層での電磁
変換特性の向上、エラーレートの低下を図った高信頼性
の磁気記録媒体を得る技術が開示されている。しかし、
今日のさらなる高分散性、高表面性を要求される磁気記
録媒体においては、より一層の分散性の向上、高表面性
への対応が求められている。
【0005】特開平5−182177号公報では、非磁
性下層に用いる無機質粉末を酸化物で表面処理すること
により分散性を高め、かつ塗料物性を安定化させること
で高電磁変換特性と高信頼性の磁気記録媒体を得る技術
が開示されている。しかしながら該公報の技術では、無
機質粉末の粒径(針状粉末では短軸長)が30nm程度
以下の微小粉末(例えば、短軸長30nm以下程度の針
状α−酸化鉄)を用いた場合、無機物の表面処理だけで
は十分な効果が得られないことが多い。
【0006】特開平8−306032号公報では、非磁
性下層の分散剤としてリン含有の有機化合物を用いて下
層の分散性を上げ、電磁変換特性を向上させ、かつ遊離
の脂肪酸の量をふやして磁気記録媒体の物性の向上を図
った技術が開示されている。しかしながら、電気抵抗を
得るために必須の成分であるカーボンブラックは、他の
無機顔料と分散性が異なる場合が多い。該公報ではこれ
ら分散性の違いについての考慮はなされておらず、用い
るカーボンブラックの種類によっては下層の分散性が劣
ってしまう場合がある。
【0007】特許第2602273号公報では、塩基性
末端基を有する有機色素を分散剤として用い、該分散剤
とカーボンブラックを結合剤中に含むカーボンブラック
分散体を、バック層または中間層として設けた磁気記録
媒体が開示されている。そして同公報に具体的に示され
る中間層は、カーボンブラックの単独配合で他の非磁性
粉末を含まない構成をなし、結合剤としてニトロセルロ
ース樹脂を含むものである。しかしながら、カーボンブ
ラックの単独配合で他の非磁性粉末を含まない中間層
(下層)は、それ自体の表面粗さは良好でも、その上に
重層される磁性層の加工性が劣り、磁気記録媒体特性に
とって特に重要な磁性層の表面粗さに劣ったり、媒体の
ヤング率(媒体のコシ)が低くなってしまうなど十分な
電磁変換特性や物性が得られない。また、中間層に結合
剤としてニトロセルロース樹脂を配合した場合、中間層
塗料の分散性が十分とはいえず、近年の高密度磁気記録
媒体に求められるレベルの表面平滑性を得ることは困難
である。
【0008】このように、支持体上に下層を設けるこ
と、および該下層に含まれる物質を検討することにより
磁気記録媒体の特性向上を図るという方策においては、
種々の方法が提示されているが、近年の磁気記録媒体の
高密度化の要望に応えるべく、非磁性下層の分散性をさ
らに上げることにより、電磁変換特性を向上させ高記録
密度化を図り、かつ走行耐久性に優れる磁気記録媒体の
開発が望まれている。
【0009】また、上記の中でも特に、例えば特開平5
−182177号、同8−306032号公報に示され
るように、非磁性下層と磁性上層を湿潤状態で同時に塗
布するウェット・オン・ウェット製法の場合において
は、磁性上層に粒径の大きい塗料成分を使用できるた
め、非磁性下層の分散性が多少悪くとも磁性上層の物性
にまで影響を及ぼさない場合が多かった。これに対し、
非磁性下層を塗布後、乾燥させた後に磁性上層を塗布す
るウェット・オン・ドライ製法においては、磁性上層の
塗料成分として粒径の小さいものしか使えず、非磁性下
層の分散性は、磁性上層の平滑化による電磁変換特性の
向上だけでなく、目詰まりやスチル耐久性、ヘッド付着
などの物性に大きく影響する。したがって、非磁性下層
の分散性が劣り、非磁性下層表面が粗いと、磁性上層の
表面性が悪くなり、細かい塗料成分の突起が表面に出に
くくなるため、磁性上層の物性が大幅に低下するという
問題がある。ウェット・オン・ドライ法は、ウェット・
オン・ウェット法と異なり磁性上層塗料との間で塗料粘
度等のマッチングを行う必要がないため、ウェット・オ
ン・ウェット法に比して非磁性下層の設計自由度が大き
く、非磁性下層中のカーボンブラックの比率を自由に変
化させることができるという利点がある。そのため、ウ
ェット・オン・ドライ法を用いた場合において、非磁性
下層のカーボンブラック等の無機顔料の種類、配合比率
に依存されることなく表面性に優れる磁気記録媒体が望
まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、表面平滑性に優れるとともに、非
磁性層(下層)の分散性に優れ、高周波領域の電磁変換
特性、耐久走行性に優れ、さらに低湿環境下での出力劣
化の改善性にも優れ、特にウェット・オン・ドライ法を
用いた場合においても表面性に優れる磁気記録媒体、お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、非磁性層中に特定の結合剤と分散剤とを
組み合わせ配合し、さらに、非磁性層中含まれる無機顔
料として非磁性粉末とカーボンブラックの2種を併用す
ることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0012】すなわち上記課題を解決するために下記の
各発明が提供される。
【0013】(1)非磁性支持体の少なくとも一方の面
上に、無機顔料を結合剤中に分散してなる非磁性層と、
該非磁性層上に鉄(Fe)を主成分とする磁性粉末を含
む磁性層を設けてなる磁気記録媒体であって、(i)前
記非磁性層中に、分散剤として、リン(P)を含有する
有機化合物と塩基性末端基を有する有機色素化合物を含
有し、(ii)前記結合剤が塩化ビニル系樹脂とウレタン
樹脂を含有し、および(iii)該結合剤中に分散される
無機顔料が少なくとも非磁性粉末とカーボンブラックを
含有することを特徴とする磁気記録媒体。
【0014】(2)リンを含有する有機化合物と、塩基
性末端基を有する有機色素化合物を、20:1〜2:1
(重量比)の割合で含有する、上記の磁気記録媒体。
【0015】(3)前記結合剤中の塩化ビニル系樹脂が
イオウ(S)含有極性基を有する塩化ビニル系樹脂であ
る、上記磁気記録媒体。
【0016】(4)前記結合剤中のウレタン樹脂がリン
(P)含有極性基を有するウレタン樹脂である、上記磁
気記録媒体。
【0017】(5)前記塩化ビニル系樹脂とウレタン樹
脂が電子線硬化性樹脂である、上記磁気記録媒体。
【0018】(6)無機顔料として、非磁性粉末とカー
ボンブラックを、90:10〜60:40(重量比)の
割合で含有する、上記磁気記録媒体。
【0019】(7)非磁性支持体上に、ウェット・オン
・ドライ法により非磁性層を塗布、乾燥後に磁性層を設
けてなる、上記磁気記録媒体。
【0020】(8)上記の磁気記録媒体の製造方法であ
って、(I)非磁性支持体の少なくとも一方の面上に非
磁性層塗料を塗布、乾燥して非磁性層を設ける工程と、
(II)該非磁性層上に磁性層を設ける工程を含み、上記
(I)工程において、非磁性粉末を結合剤中に分散した
非磁性層塗料1と、カーボンブラックを結合剤中に分散
した非磁性層塗料2とをそれぞれ独立につくり、これら
塗料1と塗料2を混合して調製した非磁性層塗料を用い
ることを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の
少なくとも一方の面上に、無機顔料を結合剤中に分散し
てなる非磁性層(下層)と、該非磁性層上に鉄(Fe)
を主成分とする磁性粉末を含む磁性層(上層)を設けて
いる。そして、(i)前記非磁性層中に、分散剤とし
て、リン(P)を含有する有機化合物と塩基性末端基を
有する有機色素化合物を含有し、(ii)前記結合剤が塩
化ビニル系樹脂とウレタン樹脂を含有し、および(ii
i)該結合剤中に分散される無機顔料が少なくとも非磁
性粉末とカーボンブラックを含有する。
【0023】[上記(i)について]リン(P)を含有
する有機化合物(「P含有有機化合物」)としては、一
般的なリン(P)含有分散剤を用いることができる。例
えば下記化1〜3で示す化合物が用いられる。
【0024】
【化1】(RO)nPO(OM)3-n
【0025】
【化2】(RO)nP(OM)3-n
【0026】
【化3】(R)nPO(OM)3-n
【0027】上記化1〜3中、Rは脂肪族または芳香族
の炭化水素基を示し;Mは水素原子またはアルカリ金属
を示し;nは1〜3の整数を示す。
【0028】本発明に用いられるP含有有機化合物は、
一般に分散剤として要求される特性を満たす必要があ
る。このような特性として、例えば高固形分濃度での
混練が可能であること、および、分散工程後半で投入
される潤滑剤等の添加剤、例えばステアリン酸やミリス
チン酸等の高級脂肪酸より無機顔料への吸着能が高く、
吸着スピードが早いこと、等が挙げられる。
【0029】上記を満足するには、上記式中、Rが脂
肪族炭化水素基の場合、炭素数13以上のものが好まし
い。またRが芳香族炭化水素基の場合、ベンゼン環を有
していれば混練助剤となり得る。しかし上記を満足す
るには、分子量がステアリン酸やミリスチン酸の高級脂
肪酸より小さいことや、pKa(酸解離定数)がこれら
高級脂肪酸より低いことが必要である。
【0030】上記を満たすP含有化合物としては、具
体的には、化1に示す化合物であって、ROがポリオキ
シエチレンアルキルフェニル、Mが水素原子で、n=1
と2の混合物である「GAFAC」シリーズ(東邦化学
(株)製)等が市販されており、好ましく用いられる。
【0031】上記を満たすP含有化合物としては、具
体的には、化1に示す化合物であって、Rがメチル基、
Mが水素原子で、n=1と2の混合物である「AP−
1」(大八化学(株)製)、化1に示す化合物であっ
て、Rがブチル基、Mが水素原子で、n=1の「MP−
4」(大八化学(株)製)、化1に示す化合物であっ
て、Rがブチル基、Mが水素原子で、n=2の「DP−
4」(大八化学(株)製)、化2に示す化合物であっ
て、Rがフェニル基で、n=3の「TP−1」(大八化
学(株)製)、化3に示す化合物であって、Rがフェニ
ル基、Mが水素原子で、n=1の「フェニルホスホン
酸」(日産化学(株)製)、化3に示す化合物であっ
て、Rがフェニル基、Mが水素原子で、n=2の「DP
A」(日産化学(株)製)等が市販されており、好まし
く用いられる。
【0032】塩基性末端基を有する有機色素化合物とし
ては、塩基性の極性基を末端に有する有機色素化合物で
あれば特に限定されることなく、任意に用いることがで
きる。
【0033】有機色素化合物の原料となる有機色素とし
ては、一般に使用されている染料または顔料を使用する
ことができる。例えばアントラキノン系色素、アゾ系色
素、フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素などで
ある。
【0034】塩基性末端基を有する有機色素化合物は、
例えば特許第2602273号公報に示されるものなど
を用いることができ、具体的には下記一般式(I)、一
般式(II)で示すものが好ましいものとして例示され
る。
【0035】[一般式(I)で表される有機色素化合
物]
【0036】
【化4】
【0037】上記一般式(I)中、各符号は以下の意味
を示す。
【0038】Q:有機色素残基 X:直接結合、−CONH−Y2−、−SO2NH−Y2
−、または−CH2NHCOCH2NH−Y2−(ただし
2は置換基を有してもよいアルキレン基またはアリー
レン基) Y1:−NH−または−O− Z:水酸基、アルコキシ基、または下記化5で示す基
(化5の式中、Y3は−NH−または−O−)、あるい
はn=1の場合Q−X−NH−であってもよい
【0039】
【化5】
【0040】R1、R2:それぞれ独立に置換若しくは非
置換のアルキル基、またはR1とR2とで少なくともヘテ
ロ環を形成してもよい m:1〜6の整数 n:1〜4の整数 [一般式(II)で表される有機色素化合物]
【0041】
【化6】
【0042】上記一般式(II)中、各符号は以下の意味
を示す。
【0043】Q:有機色素残基 X:直接結合、−CONH−Y2−、−SO2NH−Y2
−、または−CH2NHCOCH2NH−Y2−(ただし
2は置換基を有してもよいアルキレン基またはアリー
レン基) Y:下記化7で示す基(化7の式中、R1、R2:それぞ
れ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、またはR1
とR2とで少なくともヘテロ環を形成してもよい。mは
1〜6の整数)
【0044】
【化7】
【0045】n:1〜4の整数 上記一般式(I)、(II)中、Qはそれぞれ用いる有機
色素によって異なるが、本発明ではアゾ系色素、フタロ
シアニン系色素等が特に好ましい。
【0046】上記において、好ましい塩基性末端基の具
体例として、以下の化8〜10で示す基が例示的に挙げ
られる。
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】本発明に用いられる塩基性末端基を有する
有機色素化合物の代表例としては、下記の化11で示す
化合物(アゾ系有機色素化合物)や、化12で示す化合
物(フタロシアニン系有機色素化合物)等が例示され
る。
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】なお、塩基性末端基を有する有機色素化合
物はカーボンブラックとのなじみ性が高いパイ電子を多
くもつ有機色素系顔料や染料を骨格にもつものが好まし
い。この場合、パイ電子により該有機色素化合物がカー
ボンブラック間に進入し、続いて塩基性極性基により分
散に寄与することとなる。
【0054】上記のP含有有機化合物と塩基性末端基を
有する有機色素化合物は、非磁性層に含まれる非磁性粉
末、カーボンブラックや、研磨剤等の無機顔料の分散性
向上のために非磁性層中に配合されるが、その目的達成
のためには、P含有有機化合物と、塩基性末端基を有す
る有機色素化合物を、20:1〜2:1(重量比)、特
には5:1〜2:1(重量比)の割合で非磁性層中に配
合するのが好ましい。
【0055】[上記(ii)について]本発明では結合剤
(バインダー樹脂)として、少なくとも塩化ビニル系樹
脂とウレタン樹脂を含有する。
【0056】塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂として
は、ともに公知のものを用いることができ、また、リン
(P)、イオウ(S)等の元素やカルボキシル基(CO
OH)等を含有する極性基を有するものも用いることが
できる。
【0057】本発明では特に、イオウ(S)含有極性基
を有する塩化ビニル系樹脂と、リン(P)含有極性基を
有するウレタン樹脂とを含有するのが好ましい。さらに
は、これらイオウ(S)含有極性基を有する塩化ビニル
系樹脂と、リン(P)含有極性基を有するウレタン樹脂
とが電子線硬化性樹脂であるのがより好ましい。
【0058】上記塩化ビニル系樹脂が含有するイオウ含
有極性基(「S含有極性基」)としては、特に硫酸基お
よび/またはスルホ基が望ましい。
【0059】硫酸基およびスルホ基としては、−SO4
Y、−SO3Y(YはHまたはアルカリ金属)におい
て、−SO4K、−SO3K(すなわちY=カリウム)の
ものが特に望ましい。これら硫酸基、スルホ基は、いず
れか一方を含有するものであっても、あるいは両者を含
有するものであってもよく、両者を含むときにはその比
は任意である。
【0060】これらS含有極性基は、S原子換算で分子
中に0.01〜10重量%、特には0.1〜5重量%含
まれていることが好ましい。
【0061】これらのS含有極性基が結合する樹脂骨格
は塩化ビニル系樹脂である。塩化ビニル系樹脂は、塩化
ビニル含有量が60〜100重量%、特には60〜95
重量%のものが好ましい。
【0062】このような塩化ビニル系樹脂としては、例
えば塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール−グリ
シジル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
中でも、塩化ビニルとエポキシ基を含有する単量体との
共重合体が特に好ましい。そして、その平均重合度は1
00〜900程度が好ましい。
【0063】また、この塩化ビニル系樹脂は、S含有極
性基に加え、不飽和二重結合を有するが、不飽和二重結
合としては、アクリル基CH2=CH−COO−、メタ
クリル基CH2=CHCH3COO−を含有するのが好ま
しい。これらの(メタ)アクリル基は、分子中に平均で
1〜20個、特には2〜10個程度存在することが好ま
しい。また、この(メタ)アクリル基は1つのウレタン
結合を介して塩化ビニル系樹脂骨格に結合するのが好ま
しい。
【0064】このようなS含有極性基を有する塩化ビニ
ル系樹脂を電子線硬化性のものとするためには、以下の
ようにするのが好ましい。
【0065】すなわち、まず、S含有極性基を有し、さ
らに水酸基を含有する原料塩化ビニル系樹脂を用意す
る。この原料塩化ビニル系樹脂の水酸基の数は1分子中
に3〜60個、好ましくは2〜30個である。極性基と
しては、S含有極性基のほかに必要に応じ、−OPO3
Y、−PO3Y、−COOY(Yは、Hまたはアルカリ
金属)、アミノ基(−NR3)、−N+3Cl-(Rは
H、メチル基、エチル基)等を含有させることもでき
る。
【0066】このような原料塩化ビニル系樹脂として
は、例えば、特開昭60−238371号公報、同60
−101161号公報、同60−235814号公報、
同60−238306号公報、同60−238309号
公報等に開示されたものが好適である。
【0067】これら原料塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニ
ル、エポキシ基を有する単量体、さらに必要に応じて、
これらと共重合可能な他の単量体を過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウム等のSを含む強酸根を有するラジカ
ル発生剤の存在下に重合して得ることができる。このラ
ジカル発生剤は、単量体に対して通常は0.3〜9.0
重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の割合で用い
られる。
【0068】なお、Sを含む強酸根を有するラジカル発
生剤は水溶性のものが多いので、乳化重合あるいはメタ
ノール等のアルコールを重合媒体とする懸濁重合やケト
ン類を溶媒とする溶液重合が好適である。
【0069】ここで、Sを含む強酸根を有するラジカル
発生剤に加えて、一般に塩化ビニルの重合に用いられる
ラジカル発生剤を用いてもよい。これらのラジカル発生
剤としては、例えばラウロイルペルオキシド、ベンゾイ
ルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイル
ペルオキシド、ジイソプロピルぺルオキシジカーボネ
ト、ジ−2−エチルヘキシルぺルオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エトキシエチルぺルオキシジカーボネー
ト、t−ブチル−ぺルオキシピパレート、t−ブチル−
ぺルオキシネオデカノエート等の有機過酸化物;2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス−2,4−ジメチルパレロニトリル、4,4’−アゾ
ビス−4−シアノパレリン酸等のアゾ化合物等が挙げら
れる。また、強酸根を有するラジカル発生剤に、ホルム
アルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせて用い
てもよい。
【0070】上記の重合反応において用いられ得る懸濁
安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニルの部分ケン化物、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等
のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリアク
リルアミド、マレイン酸−スチレン共重合体、マレイン
酸−メチルビニルエーテル共重合体、マレイン酸−酢酸
ビニル共重合体等の合成高分子物質;デンプン、ゼラチ
ン等の天然高分子物質等が挙げられる。
【0071】また乳化剤としては、アルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニ
オン性乳化剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル
等の非イオン性乳化剤等が挙げられる。
【0072】また、必要に応じてトリクロルエチレン、
チオグリコール等の分子量調整剤を用いることもでき
る。
【0073】上記のエポキシ基を有する単量体として
は、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジル
エーテル等の不飽和アルコールのグリシジルエーテル
類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、グリシジル−P−ビニルベンゾエート、メチルグリ
シジルイタコネート、グリシジルエチルマレート、グリ
シジルビニルスルホネート、グリシジル(メタ)アリル
スルホネート等の不飽和酸のグリシジルエステル類;ブ
タジエンモノオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキ
シド、2−メチル−5,6−エポキシヘキセン等のエポ
キシドオレフィン類等が挙げられる。このエポキシ基を
有する単量体は、一般に共重合体中のエポキシ基の量が
0.5重量%以上となる範囲で使用される。
【0074】塩化ビニルとエポキシ基を有する単量体の
ほかに、必要に応じて用いることのできる単量体として
は、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボ
ン酸ビニルエステル;メチルビニルエーテル、イソブチ
ルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリ
デン;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ブチルベンジ
ル、マレイン酸ジ−2−ヒドロキシエチル、イタコン酸
ジメチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の不飽和カルボン
酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;
(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;スチレ
ン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン等の芳香
族ビニル等が挙げられる。
【0075】このようにして得られる原料塩化ビニル系
樹脂は、平均重合度が100〜900、特には200〜
500で、塩化ビニルの含有量が60重量%以上のもの
が好ましい。なお、このような原料塩化ビニル系樹脂
は、例えば「MR−110」(日本ゼオン(株)製)等
として市販されている。
【0076】かかる原料塩化ビニル系樹脂は、その後、
好ましくは電子線変性を施される。
【0077】一般的に熱硬化型の塩化ビニル系樹脂を電
子線硬化型に変性する方法としては、水酸基やカルボン
酸基を有する樹脂に対し、(メタ)アクリル基とカルボ
ン酸無水物あるいはジカルボン酸を有する化合物を反応
させてエステル変性する方法と、トリレンジイソシアネ
ート(TDI)と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート(2−HEMA)との反応物(アダクト)とを反
応させてウレタン変性する方法がよく知られている。
【0078】しかし、エステル変性は一般に塗膜が脆く
なってしまうため、塩化ビニル系樹脂に適用するのは好
ましくない。また、従来からよく用いられている上記の
イソシアネートとアクリレートとのアダクト(TDI−
2−HEMA)は分子内にすでにウレタン結合を有する
ため、アクリル二重結合を末端にもつ分岐分子鎖中には
ウレタン結合が2個存在してしまう。そして、この2個
のウレタン結合の存在と、長い鎖長とが分散性を低下さ
せてしまうため、高分散性が必要な場合不適である。
【0079】上記のような理由から、本発明において電
子線変性を行うには、エチレン性不飽和二重結合を1個
以上およびイソシアネート基1個を1分子中に有し、か
つウレタン結合を分子中にもたないモノマーを用いるこ
とが好ましい。このようなモノマーとしては、2−イソ
シアネートエチル(メタ)アクリレート等がある。イソ
シアネートエチルアクリレートは分子内にウレタン結合
をもたないので、電子線変性した塩化ビニルの分岐分子
鎖中には1つのウレタン結合が存在するのみであり、分
岐鎖も短いので、本来持っている骨格の塩化ビニルの分
散性を低下させない。しかも分子主鎖内にはウレタン結
合が存在するので、塩化ビニル系樹脂の混合比率を上げ
ても塗膜が脆くなることもない。
【0080】このように、水酸基およびS含有極性基を
有する原料塩化ビニル系樹脂とモノマーとの反応による
ウレタン結合によりエチレン性不飽和二重結合を導入す
るが、原料塩化ビニル系樹脂とモノマーのモル比によっ
て電子線硬化性を自由に設計することができる。しかし
ながら上述したようにウレタン結合濃度を上げすぎると
分散性の低下を生じる。そこで分散性と硬化性のバラン
スをとると、原料塩化ビニル系樹脂1分子あたり1〜2
0個、好ましくは2〜10個のモノマーを反応させるこ
とにより分散性、硬化性ともに優れた電子線硬化性塩化
ビニル系樹脂を得ることができる。
【0081】原料塩化ビニル系樹脂とモノマーとの反応
は、必要に応じて反応に関与しない公知の有機溶剤に水
酸基およびその他の極性基を有する塩化ビニル系共重合
体を溶解させ、公知のウレタン化反応触媒を用い、公知
のラジカル重合禁止剤、例えばハイドロキノンを用い、
反応温度60℃以下で行われる。
【0082】なお、このようなS含有極性基を有する電
子線硬化性塩化ビニル系樹脂は、例えば「TB−024
6」(東洋紡績(株)製)等として市販されている。
【0083】上記塩化ビニル系樹脂と併用されるウレタ
ン樹脂はリン含有極性基(「P含有極性基」)を含有す
るものが好ましく用いられる。
【0084】P含有極性基としては、ホスホン酸基=P
3Y、ホスフィン酸基=PO2Y、亜ホスフィン酸基=
POY(YはHまたはアルカリ金属)の中から選ばれる
いずれか1種以上が好ましい。Yとしては特にNaが好
ましい。これらの極性基のうち=PO3Naのみを含む
か、=PO3Naを主成分として含むものが好ましい。
これらのP含有極性基は、P原子換算で分子中に0.0
1〜10重量%、特には0.02〜3重量%含まれてい
ることが好ましい。これらは骨格樹脂の主鎖中に存在し
ても、分岐中に存在してもよい。
【0085】これらのP含有極性基を結合する樹脂骨格
は、好ましくは電子線硬化性のウレタン樹脂である。す
なわち、分子内にアクリル系二重結合を少なくとも1個
有し、後述のリン(P)化合物の少なくとも1種を反応
させたP含有電子線硬化性樹脂であって、アクリル系二
重結合含有化合物とウレタン結合を介して結合している
ポリウレタンアクリレート樹脂である。
【0086】ここでいうアクリル系二重結合とは、アク
リル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタ
クリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド
等の残基(アクリロイル基またはメタクリロイル基)を
いう。
【0087】アクリル系二重結合含有化合物としては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール等のグリコールのモノ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメ
チロールエタン等のトリオール化合物のモノ(メタ)ア
クリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール等の4価以上ポリ
オールのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリ
レート、トリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノア
リルエーテル、グリセリンジアリルエーテル等のヒドロ
キシ基含有アクリル系化合物等が好適である。
【0088】これらのアクリル系二重結合は樹脂分子内
に少なくとも1個以上、好ましくは2〜20個存在す
る。
【0089】ポリウレタンアクリレート樹脂は、一般に
ヒドロキシ基含有樹脂およびヒドロキシ基含有アクリル
系化合物とポリイソシアネート含有化合物との反応によ
り得られる。
【0090】ヒドロキシ基含有樹脂としては、ポリエチ
レングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等のポリアルキレングリコール、ビスフ
ェノールAのアルキレンオキシド付加物、各種のグリコ
ールおよびヒドロキシル基を分子鎖末端に有するポリエ
ステルポリオール等が挙げられる。
【0091】中でもポリエステルポリオールを1成分と
して得られるポリウレタンアクリレート樹脂が好まし
い。
【0092】ポリエステルポリオールのカルボン酸成分
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル
酸、1,5−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、p−
オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸
等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の
脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン
酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の
不飽和脂肪酸および脂環族ジカルボン酸、トリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリおよびテト
ラカルボン酸等を挙げることができる。
【0093】また、ポリエステルポリオールのグリコー
ル成分としては、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ビスフェノールA等のエチレンオキシ
ド付加物およびプロピレンオキシド付加物、水素化ビス
フェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキ
シド付加物、ポリエチレングリコール、ポプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ
る。
【0094】また、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
トリおよびテトラオールを併用してもよい。
【0095】ポリエステルポリオールとしてはほかに、
カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる
ラクトン系ポリエステルジオール類が挙げられる。
【0096】上記ポリイソシアネート含有化合物として
は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、ビフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
トキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、
2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
チル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイ
ソシアネート−ジフェニルエーテル、1,5’−ナフタ
レンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネー
ト、m−キシレンジイソシアネート、1,3−ジイソシ
アネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネ
ートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネー
トジシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシク
ロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等のイ
ソシアネート化合物、あるいは全イソシアネート基のう
ち7モル%以下の2,4−トリレンジイソシアネートの
三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体等の
トリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0097】上記ポリウレタンアクリレート樹脂製造に
用いられるリン(P)化合物としては、下記の一般式
(III)〜(VII)で表される化合物が好ましいものとし
て例示される。
【0098】
【化13】
【0099】
【化14】
【0100】
【化15】
【0101】
【化16】
【0102】
【化17】
【0103】上記一般式(III)〜(VII)において、X
1、X2はエステル形成官能基を表す。R3は炭素原子数
8〜10の8価の炭化水素基を表す。R4は炭素原子数
1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリール
オキシ基を表す。アリール基およびアリールオキシ基は
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、−OM’(M’はアルカ
リ金属)またはアミノ基が結合したものでもよい。
5、R6はそれぞれ独立に炭素原子数1〜12のアルキ
レン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−(CH
3OR7mで表される基(ただし、R7は炭素原子数1〜
12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン
基を表し;mは1〜4の整数である)を表す。Y4はア
ルカリ金属原子、水素、1価の炭化水素基、またはアミ
ノ基を表すが、特にNaが好ましい。
【0104】上記リン化合物の具体例としては、例えば
特開平6−131652号公報に記載のものが好適に挙
げられる。
【0105】これらのリン化合物は、ポリウレタンアク
リレート樹脂製造において種々の過程で導入させること
ができる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリアル
キレングリコールの原料樹脂を製造する際に、その1成
分として用いることができる。特に、ポリエステルポリ
オールを製造する際、上記のリン化合物をポリエステル
ポリオールの重合完結前の任意の段階で添加し、反応さ
せることができる。
【0106】また、これらのリン化合物は、ポリウレタ
ンアクリレート樹脂の原料の1成分として用いることが
できる。例えば、ヒドロキシ基を含有するリン化合物
は、直接イソシアネート化合物やポリエステルポリオー
ルやアクリレート化合物と反応させることにより、ポリ
ウレタンアクリレート樹脂を製造することができる。
【0107】P含有極性基を有する電子線硬化性のウレ
タン樹脂は、公知の方法により、アクリル系二重結合含
有化合物と特定のリン化合物および/また特定のリン化
合物と反応させた原料樹脂等を含む原料とを溶剤中、ま
たは無溶剤中で反応させることにより得られる。得られ
る樹脂の分子量は500〜100,000であることが
望ましい。なお、これらの製法は特開昭62−4383
0号公報、同61−77134号公報、同62−406
15号公報、同62−195720号公報等に記載され
ている。
【0108】なお、これらP含有極性基を有する電子線
硬化性のウレタン樹脂は、例えば「TB−0242」
(東洋紡績(株)製)等として市販されている。
【0109】これらS含有極性基を有する電子線硬化性
の塩化ビニル系樹脂とP含有極性基を有する電子線硬化
性のウレタン樹脂は、本発明の十分な効果を得るために
は、前者:後者の混合比が69:31〜10:90(重
量比)の範囲であるのが好ましく、より好ましくは6
0:40〜40:60である。なお、これらの樹脂に加
えて、非磁性層含有成分全体の20重量%以下の範囲で
公知の各種樹脂を含有してもよい。
【0110】なお、本発明において、非磁性層中の結合
剤にニトロセルロース樹脂を含まないか、あるいは含有
させる場合その配合量が結合剤全量に対し20重量%程
度以下に抑えるのが好ましい。ニトロセルロース樹脂は
剛性が高いため、その配合により、得られる磁気記録媒
体の表面粗さが大きくなり、出力も低下し、電磁変換特
性の低下を招く。ただし、非磁性層中の結合剤の主成分
が電子線硬化性樹脂の場合、ニトロセルロース樹脂を混
合させて電子線を照射すると発煙(若しくは発火)する
ため、ニトロセルロース樹脂は用いられない。
【0111】[上記(iii)について]上記結合剤中に
は、非磁性粉末、カーボンブラック、研磨剤等の無機顔
料のほか、分散剤、潤滑剤等が溶剤とともに分散されて
いる。
【0112】本発明では上記無機顔料として、特に非磁
性粉末とカーボンブラックを必須成分として含有する。
【0113】上記非磁性粉末としては、酸化チタン、硫
酸バリウム、ZnS、MgCO3、ZnO、CaO、γ
−酸化鉄、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒
化ホウ素、MgO、SnO2 、SiO2、Cr23、α
−Al23、SiC、酸化セリウム、コランタム、人造
ダイアモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、ガーネット、ケ
イ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化モリ
ブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、チタンカーバ
イト、トリポリ、ケイソウ土、ドロマイト等が挙げられ
る。
【0114】これら非磁性層に用いられる非磁性粉末の
形状は、球状、粒状、針状等、通常用いられる形状であ
れば特に限定されるものでないが、球状、粒状等の形状
よりも、針状の形状の方が重層にした場合の平滑性が高
くなり好ましい。具体的には、非磁性粉末の形状が針状
のときは、平均長径80〜200nm、平均軸比3〜1
0程度程度が好ましく、より好ましくは平均長径80〜
150nm、平均軸比5〜10程度のである。平均長径
が大きすぎると下層の表面平滑性が劣化し、一方小さす
ぎると針状のメリットが見込めない。なお、粒状の場合
は、平均粒径は10〜70nm程度が好ましく、より好
ましくは10〜30nm程度である。
【0115】非磁性粉末としては、針状のα−酸化鉄が
特に好ましい。この針状α−酸化鉄を用いる場合は、シ
リカおよび/またはアルミで表面処理されているのが好
ましい。特に結晶制御剤としてシリカを使用し、表面処
理剤としてアルミを使用し、アルミが表層より5nm以
内に分布しているものが好ましい。
【0116】非磁性層にはさらにカーボンブラックが含
まれる。本発明では分散剤として上記したP含有有機化
合物と塩基性末端基を有する有機色素化合物を用いるこ
とにより、カーボンブラックと非磁性粉末との併用系に
おいて、カーボンブラックを高配合しても分散性を良好
に保つことができ、導電性と表面性の両者を満足させる
ことができる。
【0117】本発明では、カーボンブラックは、上述し
た分散剤の効果をより引き出すために、分散剤の吸着サ
イトの多いBET法による比表面積100〜250m2
/g程度のものが好ましい。また非磁性下層の表面性を
良好なものとするには、二次粒径が大きくならないよう
に平均一次粒径10〜25nm程度のものが好ましい。
DBP吸油量は50〜100ml/100g程度が好ま
しい。なお、平均粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)観
察によって求められる。
【0118】カーボンブラックは、無機顔料全量に対し
て5〜50重量%、特には10〜30重量%の範囲で用
いるのが好ましいが、媒体の要求特性と塗料における分
散特性、流動特性とにより実験的に選定することが必要
である。
【0119】また、非磁性粉末とカーボンブラックの配
合比(重量比)は、90:10〜60:40とするのが
好ましく、特には90:10〜70:30が好ましい。
【0120】本発明で使用できるカーボンブラックは、
例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協
会編)を参考にすることができる。具体的には、BP8
00、BP900(いずれもキャボット社製)、#90
0、#950、#960、#970、#980、#45
B、#47B(いずれも三菱化学社製)、Raven 2000、
Raven 1500(いずれもコロンビアン社製)等が市販され
ており、好ましく用いられる。
【0121】本発明では、非磁性層中にさらに、導電性
物質として磁気記録媒体に通常用いられ得るものを任意
に配合することができ、例えば、SnO2、TiO2、S
nO 2(Sbドープ)、黒色導電性酸化チタン(Ti
x;1≦x≦2)等が例示される。
【0122】研磨剤としては、一般的な無機化合物が使
用できるが、モース硬度6以上のCr23、α−Al2
3、SiC等の材料が好ましい。また、粒径は0.0
5〜0.5μm程度のものを使用することが好ましい。
【0123】溶剤としては特に制限はないが、バインダ
ーの溶解性および相溶性等を考慮して適宜、選択され
る。例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエ
ステル類、メタノール、エタノール、イソプロパロー
ル、ブタノール等のアルコール類、イソプロピルエーテ
ル、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、テト
ヒドロフラン、フルフラール等のフラン類等、ジメチル
ホルムアミド、ビニルピロリドン等の希釈剤ないし溶剤
を、単一またはこれらの混合溶剤として用いる。これら
の溶剤は、バインダーに対して10〜10000重量
%、特には100〜5000重量%の割合で用いるのが
好ましい。
【0124】潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中
で、特に脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いる
のが好ましい。
【0125】脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素原子数8以
上の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素原子数11以上のア
ルキル基)等が挙げられ、中でもミリスチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノ
レン酸、ステアロール酸等が好ましい。
【0126】また、脂肪酸エステルとしては、炭素原子
数10〜22の飽和ないし不飽和の脂肪酸と炭素原子数
4〜22の飽和ないし不飽和のアルコールや、ソルビタ
ン等の環状若しくは多糖類還元アルコール等からなる脂
肪酸エステルが好ましく、例えばステアリン酸ブチル、
オレイン酸オレイル、ソルビタンモノステアレート、ソ
ルビタントリステアレート等が特に好適である。エステ
ルにおける脂肪酸および/またはアルコールの脂肪族鎖
は飽和でも不飽和であってもよく、n−体、i−体等種
々のものであってもよい。
【0127】その他の潤滑剤として、前記脂肪酸のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石鹸、シ
リコーンオイル、フッ素オイル、パラフィン、流動パラ
フィン、界面活性剤等も用いることができる。
【0128】用いる潤滑剤の量は、無機顔料100重量
%に対して総計20重量%以下、特には0.1〜15重
量%が好ましい。
【0129】非磁性層は、好ましくは電子線硬化され
る。非磁性層塗膜の電子線硬化において、電子線の照射
量は1〜10Mradが好ましく、特には3〜7Mra
dが好ましい。またその照射エネルギー(加速電圧)は
100kV以上とするのがよい。
【0130】なお、非磁性層の塗膜への電子線の照射
は、非磁性支持体上に上記分散剤、結合剤、非磁性粉
末、カーボンブラック等の配合成分を含む非磁性下層塗
料を塗布して塗膜を形成した後であればいつでもよい。
非磁性層を加工した後に電子線硬化を行うのが、下層の
表面性が出やすく最も望ましいが、非磁性層の加工前や
磁性層の塗布、乾燥後に電子線照射してもよい。また、
磁性層塗布前、後に分けてそれぞれ電子線を照射しても
よい。
【0131】なお、非磁性下層塗料の調製は、非磁性層
成分に含有される上記分散剤、非磁性粉末、カーボンブ
ラックのほか、他添加成分を一度に結合剤中で混合、分
散(同時分散)して塗料を調製してもよく、あるいは、
カーボンブラックと非磁性粉末とを別々に結合剤中で分
散(別分散)させた後、これらを混合、分散して調製し
てもよい。別分散により得られる非磁性下層塗料を用い
て非磁性層を形成した場合、得られる磁気記録媒体の表
面平滑性、電磁変換特性、走行耐久性、低湿劣化の改善
の点においていずれも特に優れた効果が得られるので好
ましい。
【0132】別分散の場合、特に好ましくは、結合剤と
してS含有極性基を有する塩化ビニル系樹脂を用い、該
塩化ビニル系樹脂中に非磁性粉末(例えばα−酸化鉄)
をP含有有機化合物を分散剤として用いて分散させたも
の(非磁性下層塗料1)と、結合剤としてP含有極性基
を有するウレタン樹脂を用い、該ウレタン樹脂中にカー
ボンブラックを塩基性末端基を有する有機色素化合物を
分散剤として用いて分散させたもの(非磁性下層塗料
2)とをつくり、これら非磁性下層塗料1、2を混合、
分散させて非磁性下層塗料とするのが好ましい。
【0133】また、非磁性塗料中の無機顔料の可溶性イ
オン量は、分散性を損なわない範囲で少ないほうが好ま
しい。可溶性イオン量は、無機顔料において、可溶性イ
オンとしてのアルカリ金属、アルカリ土類金属の量は1
00ppm以下、さらには、可溶性Naイオン量が50
ppm以下、可溶性Caイオン量が30ppm以下が好
ましい。可溶性イオンが多い状態で遊離の脂肪酸をふや
すと、保存でのDO劣化やエラーレート増加、摩擦の上
昇等の問題が生じる。非磁性粉末をシリカやアルミで表
面処理することは、同時に水洗、ろ過工程を要し、可溶
性イオンの低減の点からも好ましい。
【0134】上層である磁性層は、鉄(Fe)を主成分
とする磁性粉末を含有する。
【0135】本発明で用いる磁性粉末は鉄(Fe)を主
成分とし、以下の組成のものを用いるのが好ましい。
【0136】 Fe :100重量% Co :18〜40重量% Al :5〜15重量% Yおよび希土類元素:10〜30重量%
【0137】Fe磁性粉末に含まれるCo量は、18重
量%未満では磁気エネルギーの向上が期待できず、一
方、40重量%超では磁性粉末の特性が均一になりにく
い。さらに、Alが含まれない場合には、Fe磁性粉末
が焼結したり、強度が低下し保存特性が劣化したり、ま
た塗料分散性、塗料安定性にも悪影響を及ぼす。Yまた
は希土類元素が含まれない場合には、Alと同様にFe
磁性粉末が焼結し、形状が崩れSFD(Switching Fiel
d Distribution;反転磁界分布)の低下を招くおそれが
ある。
【0138】このFe磁性粉末には、さらにSi、C
r、Mn、Ni、Zn、Cu、Zr、Ti、Bi、A
g、Pt、B、C、P、N、S、Sc、V、Mo、R
h、Pd、Sn、Sb、Te、Ba、Ca、Ta、W、
Re、Au、Hg、Sr、Pb等の元素が含まれていて
もよい。
【0139】また、これらのFe磁性粉末には、Al、
Si、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったものでも、S
i、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面活性剤
等で表面処理したものでも、分散剤、潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤等で分散前にあらかじめ処理を行ったも
のでもよい。
【0140】Fe磁性粉末に含まれるNa、K、Ca等
の可溶性の無機イオンの量は、好ましくは500ppm
以下、より好ましくは100ppm以下である。
【0141】Fe磁性粉末の含水量は0.1〜2%であ
ればよいが、結合剤の種類等により最適化させるのが好
ましい。
【0142】Fe磁性粉末のpHは用いる結合剤との組
み合わせにより最適化することが好ましく、その範囲は
7〜11であり、さらに好ましくは8〜10である。
【0143】Fe磁性粉末は、BET法による比表面積
で25〜70m2/gであるのが好ましく、より好まし
くは35〜60m2/gである。
【0144】Fe磁性粉末の飽和磁化量は130Am2
/kg以上が好ましく、さらには140〜170Am2
/kgであることが好ましい。長軸長は200nm以下
であることが好ましく、さらには50〜150nmであ
ることが好ましい。結晶サイズ(Dx)は20nm以下
が好ましく、さらには9〜18nmが好ましい。
【0145】Fe磁性粉末を分散する結合剤としては一
般的に公知のものが使用できる。例えば熱可塑性樹脂、
熱硬化性ないし反応型樹脂、電子線感応型変性樹脂等が
用いられる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わ
せて用いられるが、その組み合わせは磁気記録媒体の特
性、工程条件に合わせて適宜選択使用される。
【0146】熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150
℃以下、平均分子量5,000〜20,000、重合度
100〜2,000程度のものが好ましい。
【0147】熱硬化性樹脂、反応型樹脂等も、上記と同
様の平均分子量、重合度のものが用いられ、塗布、乾
燥、カレンダー加工後に加熱、および/または電子線照
射することにより、縮合、付加等の反応により分子量は
無限大のものとなる。
【0148】これらの樹脂の中で、樹脂が熱分解または
溶融しないものが好ましい。
【0149】上記樹脂の例としては塩化ビニル系共重合
体が挙げられる。具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアル
コール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール−プロ
ピオン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マ
レイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−末端OH側鎖アルキル共重合体等が挙げられる。
【0150】またウレタン化合物も好ましく用いられ
る。ウレタン化合物の例としては、ポリウレタンエラス
トマーおよびプレポリマーおよびテロマーがあり、ポリ
ウレタンの使用は、耐摩耗性およびPETフィルム等支
持体への接着性がよい点で特に有効である。ウレタンの
合成原料のイソシアネートとして、2,4−トルエンジ
イソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、
4−4’ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、1,3−または1,4−キシレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−または
p−フェニレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−
ジメチルビフェニレンジイソシアネート、4,4−ビフ
ェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、デスモジュールL、デスモジュールN
等の各種多価イソシアネートが挙げられる。
【0151】さらに、線状飽和ポリエステル(エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ペンタエリスリット、ソルビート
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール等の多価アルコールとフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸等の飽和多価塩基酸との縮重合物によるもの)、線状
飽和ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)
やカプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エステ
ル、ヒドロキシル含有メタクリル酸エステル等の各種ポ
リエステル類の縮重合によりなるポリウレタンエラスト
マー、プレポリマーが有効である。
【0152】このほかに、飽和ポリエステル樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ブチ
ラール樹脂、アセタール樹脂、ホルマール樹脂等のポリ
ビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ
系樹脂、繊維素誘導体、多官能ポリエステル樹脂、ポリ
エーテルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂およ
び誘導体(PVPオレフィン共重合体)、ポリエーテル
樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル
類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹
脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を含有するアクリル
エステルおよびメタクリルエステルを重合成分として少
なくとも1種含むアクリル系樹脂、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合エラストマー、ポリブタジエンエラス
トマー、塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴムおよ
びその他環化物、エポキシ変性ゴム、内部可塑性飽和線
状ポリエステル等のエラストマーも使用することができ
る。
【0153】熱硬化性樹脂としては、縮重合するフェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿
素樹脂、ブチラール樹脂、ポリマール樹脂、メラニン樹
脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応
樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽
和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙
げられる。
【0154】反応型樹脂としては、前記の縮重合系樹脂
とイソシアネート化合物等の架橋剤との混合物;高分子
量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混
合物;メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレ
ポリマーの混合物;ポリエステルポリオールとポリイソ
シアネートの混合物;低分子量多価アルコール/高分子
量多価アルコール/トリフェニルメタントリイソシアネ
ートの混合物等が挙げられる。また、塩化ビニル−酢酸
ビニル(カルボン酸含有も含む)、塩化ビニル−ビニル
アルコール−酢酸ビニル(カルボン酸含有も含む)、塩
化ビニル−塩化ビニリデン、塩化ビニル−アクリロニト
リル、ビニルブチラール、ビニリホルマール等のビニル
系共重合体樹脂と架橋剤との混合物;セルロースアセト
ブチレート等の繊維素系樹脂と架橋剤との混合物;ブタ
ジエン−アクリロニトリル等の合成ゴム系と架橋剤との
混合物等が挙げられる。これらの重合体は、単独あるい
は2種以上併用して用いられる。
【0155】また、上記共重合体は末端および/または
側鎖に水酸基を有するものがイソシアナートを使用した
架橋や電子線架橋等を容易に利用できるため好適であ
る。さらに、末端や側鎖に極性基として、−COOY、
−SO3Y、−OSO3Y、−OPO3Y、−PO3Y、−
PO2Y、−N+3Cl-、−NR2(ただし、YはHま
たはアルカリ金属、RはH、メチル基、エチル基)等を
はじめとする酸性極性基、塩基性極性基等を含有してい
てもよく、これらの含有は分散性の向上に好適である。
【0156】これらの共重合体をイソシネートアダクト
体を使用して架橋させる場合の硬化剤としては、イソシ
ネートとして、2,4−トルエンジイソシアネート、
2,6−トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート等の各種多価イソシアネートとトリメチロールプ
ロパンのような多価アルコールとのアダクト体を使用す
ればよい。具体的には、コロネートL、HL、3041
(以上、いずれも日本ポリウレタン(株)製)、24A
−100、TPI−100(以上、いずれも旭化成工業
(株)製)、デスモジュールL、N(以上、いずれもB.
F. Goodrich社製)等が挙げられ、上記重合体に対して
1〜50重量%添加して使用する。
【0157】一般にこのような反応性または熱硬化性樹
脂を硬化するには、加熱オーブン中で50〜80℃にて
6〜100時間加熱すればよい。
【0158】Fe磁性粉末に対する結合剤の量は、Fe
磁性粉末100に対して10から100(重量比)が好
ましい。結合剤が少なすぎるとFe磁性粉末の結合性が
悪く、走行耐久で粉落ちによる目詰まりが発生しやす
い。一方、結合剤が多すぎると高い電磁変換特性が得ら
れない。結合剤の量はハード側の要求する特性に合うよ
うに、電磁変換特性と物性のバランスを考慮し、決める
ことが好ましい。
【0159】磁性層には上記磁性粉末の他、研磨剤、カ
ーボンブラック、潤滑剤等、他の添加成分が配合される
が、これらは非磁性層での説明の中で示したものが同様
に使用できる。
【0160】磁性層の厚さは、厚み損失を減らし、磁性
層の塗布性を高め、非磁性層からの潤滑剤の供給しやす
さ等のために、極力薄い方が好ましく、1μm以下が好
ましく、0.5μm以下が特に好ましい。
【0161】なお、本発明において磁性層塗料は、非磁
性層を支持体上に塗布後、乾燥し、次いでカレンダー加
工、さらに硬化した後に、この上に塗布するのが好まし
い。なお、磁性層の硬化は、用いる結合剤の種類等に応
じて、熱硬化、電子線硬化等、任意の方法が用いられ得
る。
【0162】このような非磁性層、磁性層が設けられる
非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の
ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリアミド、ポリ
イミド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルロースト
リアセテート、ポリカーボネート等の公知のフイルムを
使用することができ、好ましくは、PET、PEN、芳
香族ポリアミドであり、さらに好ましくは、PETない
しPENの2種ないし3種による多層共押出しによる複
合化フイルムまたは芳香族ポリアミドであり、これらの
フィルムを使用すると電磁変換特性、耐久性、摩擦特
性、フィルム強度、生産性のバランスが得やすい。
【0163】また、これらの非磁性支持体には、フィラ
ーとしてAl、Ca、Si、Ti等の酸化物や炭酸塩等
の無機化合物、アクリル樹脂系微粉末等の有機化合物等
を添加することが好ましく、これらの量と大きさにより
表面性を自由にコントロールすることが可能となり、電
磁変換特性、耐久性、摩擦特性等をコントロールするこ
とが可能である。
【0164】さらに、これら非磁性支持体には、あらか
じめコロナ放電処理、プラズマ放電および/または重合
処理、易接着剤塗布処理、除塵処理、熱および/または
調湿による緩和処理等を行ってもよい。
【0165】本願における非磁性層、磁性層は、支持体
の片面に設けられても、両面に設けられてもよく、また
磁性層を複数層設けるものであってもよく、特に磁性層
を片面のみに設けるときには、磁性層とは反対の面にバ
ックコート層を設けることが好ましく、磁性層上に、磁
性層の潤滑、保護のために、潤滑剤、プラズマ重合膜、
ダイヤモンドライクカーボン膜等の保護潤滑層を設けて
もよい。
【0166】バックコート層は、30〜80重量%のカ
ーボンブラックを含有すること好ましい。カーボンブラ
ックの含有量が少なすぎると帯電防止効果が低下する傾
向があり、さらに走行安定性が低下しやすくなる。一
方、カーボンブラックの含有量が多すぎるとバックコー
ト層の強度が低下し、走行耐久性が悪化しやすくなる。
カーボンブラックは、通常使用されるものであればどの
ようなものであってもよく、その平均粒径は、5〜50
0nm程度が好ましい。平均粒径は、通常、透過型電子
顕微鏡により測定する。
【0167】バックコート層には、前記カーボンブラッ
ク以外に、機械的強度を高めるために、非磁性層の説明
において挙げた各種研磨剤、非磁性粉末等の無機顔料を
含有させてもよい。
【0168】この他、必要に応じ、界面活性剤等の分散
剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の
潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
【0169】バックコート層に用いる結合剤、架橋剤、
溶剤等は前述した非磁性層、磁性層に用いるものと同様
のものでよい。結合剤としては、特に塩化ビニル、ポリ
ウレタン樹脂、ニトロセルロース、エポキシ系樹脂、フ
ェノキシ系樹脂等が挙げられる。結合剤の含有量は、固
形分(無機顔料)の合計100重量部に対し、好ましく
は15〜200重量部、より好ましくは50〜180重
量部である。結合剤の含有量が多すぎると、媒体摺接経
路との摩擦が大きくなりすぎて走行安定性が低下し、走
行事故を起こしやすくなる。また、磁性層とのブロッキ
ング等の問題が発生する。結合剤の含有量が少なすぎる
と、バックコート層の強度が低下して走行耐久性が低下
しやすくなる。
【0170】バックコート層の厚さ(カレンダー加工
後)は、1.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μ
m、より好ましくは0.2〜0.8μmである。バック
コート層が厚すぎると、媒体摺接経路との間の摩擦が大
きくなりすぎて、走行安定性が低下する傾向にある。一
方、薄すぎると、非磁性支持体の表面性の影響でバック
コート層の表面性が低下する。このため、バックコート
を熱硬化する際にバックコート層表面の粗さが磁性層表
面に転写され、高域出力、S/N、C/Nの低下を招
く。また、バックコート層が薄すぎると、媒体の走行時
にバックコート層の削れが発生する。
【0171】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の
少なくとも一方の面上に、非磁性層塗布後、乾燥させた
後、磁性層を設けるウェット・オン・ドライ法により得
られるものが好ましい。このようにウェット・オン・ド
ライ法により得られる磁気記録媒体は、上、下層とも湿
潤状態で重層されるウェット・オン・ウェット法で得ら
れる磁気記録媒体に比べ、下層による上層への影響がよ
り少なくて済み、下層の設計自由度が高くなる。したが
って、非磁性層中の非磁性粉末やカーボンブラックの種
類や量をより自由に選択することができる。ウェット・
オン・ドライ法では、一般にウェット・オン・ウェット
法に比べ良好な表面特性の磁気記録媒体を得るのが難し
いが、本発明では分散剤としてP含有有機化合物と塩基
性末端基含有有機色素化合物を組み合わせて配合するこ
とにより、これら不具合の発生を防御することができ
る。
【0172】また、本発明ではこのように非磁性下層の
分散性を向上させることができるようになったことか
ら、非磁性下層の表面平均粗さ(Ra)5nm程度以下
の実現も可能となった。またこれにより磁気記録媒体の
表面粗さ(Ra)が上記非磁性下層の表面粗さと同程
度、さらにはそれよりも低く4nm程度のものが得られ
るようになり、表面特性に優れる磁気記録媒体の実現が
可能となった。
【0173】本発明の磁気記録媒体は、具体的には、例
えば以下の方法により製造する。
【0174】まず、非磁性支持体に非磁性下層塗料を塗
布する。本発明では、上述したように、非磁性下層塗料
として、非磁性粉末を結合剤中に分散した非磁性下層塗
料1と、カーボンブラックを結合剤中に分散した非磁性
下層塗料2とをあらかじめ別々につくっておき、これら
塗料1と塗料2とを混合して調製した非磁性下層塗料
(別分散下層塗料)を用いるのが好ましい。別分散した
ものを混合して調製した塗料を用いた場合、磁気記録媒
体の表面平滑性、電磁変換特性(出力、C/N)、走行
耐久性、低湿劣化防止のいずれの効果も極めて優れる。
【0175】非磁性層の厚さは非磁性支持体の表面粗さ
や媒体の要求特性により適宜決めればよいが、一般的に
は0.5〜3.0μmである。さらに非磁性層のメリッ
トを引き出そうとすると、好ましくは0.8μm以上で
ある。非磁性下層塗料を塗布後、乾燥し、好ましくはカ
レンダー加工処理を施した後、好ましくは電子線照射に
より硬化する。非磁性層は、硬化前にカレンダー加工し
た方がカレンダーの温度、加工圧等が低くても良好な非
磁性層の表面が得られ好ましい。また、非磁性層は磁性
層塗布前にカレンダー加工した方が好ましい。
【0176】カレンダー加工ロールとしてはエポキシ、
ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポ
リイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロール
(カーボン、金属やその他の無機化合物を練り込んであ
るものでもよい)と金属ロールの組合せ(3ないし7段
の組合せ)、または金属ロールどうしで処理することも
できる。処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好
ましくは80℃以上であり、その線圧力は好ましくは2
×103N/cm以上、さらに好ましくは3×103N/
cm以上であり、その速度は20〜700m/分の範囲
である。
【0177】カレンダー加工すると次のような利点があ
る。
【0178】(1)磁性層の塗布後の表面性が良好にな
り、磁性層の加工条件を低くでき、物性に有利な媒体を
作りやすい。
【0179】(2)非磁性層をあらかじめカレンダー加
工、硬化しておくと、磁性層中の研磨剤が非磁性層に潜
ることが少ないため、磁性層厚が1.0μm以下、さら
には0.5μm以下の場合、現在存在する研磨能が高い
一般的な研磨剤の粒径0.1〜0.5μmと膜厚とが一
致し、研磨能の高い媒体を作りやすい。すなわち、カレ
ンダー加工しない非磁性層に上層を塗布する場合に比
べ、研磨剤の粒径は小さく、かつ少量で同様の研磨能の
媒体ができるため、電磁変換特性を高くすることができ
る。
【0180】(3)先に非磁性層をカレンダー加工する
ことで、上層である磁性層はベースのフィラーの影響を
受けづらくなり、電磁変換特性に有利である。
【0181】(4)上層である磁性層塗布時の塗布ノズ
ルの摩耗の程度を低下させることができる。
【0182】また、非磁性層を電子線硬化する場合、磁
性層塗布前に電子線照射等により硬化させないと、非磁
性層が磁性層の溶剤の影響を受け、上層である磁性層の
塗布が難しい。
【0183】電子線照射量は1〜10Mradが好まし
く、特には3〜10Mradが好ましい。3Mrad未
満では磁性層の塗布面の安定性を得るのに十分でなく、
一方、10Mradを超える照射量で照射しても媒体物
性に差が現れない。
【0184】磁性層の塗布性には電子線照射量が多い方
が、磁性層のカレンダー加工性には電子線照射量の少な
い方が、磁気記録媒体物性としては電子線照射量の多い
方が、それぞれ好ましい。そのため、磁性層塗布前後に
分けて電子線を照射するのが最もバランスをとりやす
く、好ましい。
【0185】また、非磁性層に従来用いられている熱硬
化性樹脂を用いた場合、熱硬化性の硬化剤が必要となる
が、これは一般にTgが高く、上層磁性層のカレンダー
加工性が上がりにくくなるのに対し、電子線硬化性樹脂
を用い、これを電子線で硬化させた場合にはこのような
傾向がなく、磁性層の塗布性とカレンダー加工性のバラ
ンスをとりやすい。
【0186】また、非磁性層塗布からカレンダー加工、
電子線照射、巻き取りまで1工程ですることが好まし
い。特にベース厚が7μm以下になると、走行による帯
電の影響で巻き取りが乱れ、生産性が低下してしまう
が、巻き取り前に電子線照射することで帯電量が減少
し、巻き取りを良好に行うことができる。同様に、磁性
層塗布、カレンダー加工、電子線照射、巻取りも1工程
で行った方が巻き取りを良好に行うことができ好まし
い。
【0187】次いで、この電子線硬化後の非磁性層上
に、磁性層塗料を塗布する。
【0188】磁性層塗布後は一般的な磁気媒体の製造方
法に準じ、乾燥、カレンダー加工、バックコート塗布、
乾燥、熱硬化を行う。また、磁性層やバックコート層の
結合剤種によっては複数回電子線照射できない場合もあ
るので注意が必要である。
【0189】特にバックコート層の結合剤がニトロセル
ロース系樹脂を含む場合には、電子線照射により発火す
るおそれがあるため、バックコート層塗布前に電子線照
射を終らせておくべきである。
【0190】また、バックコート層塗布前に電子線照射
することで、バックコート層の接着性が向上するため、
バックコート塗布前に電子線照射することが好ましい。
【0191】このようにして非磁性層、磁性層を形成し
た後に、必要に応じて表面平滑化処理として好ましくは
カレンダー加工を行う。カレンダー加工の方法は、上記
非磁性層での加工で説明したのと同じように行うことが
できる。
【0192】カレンダー加工後、非磁性層、磁性層、バ
ックコート層の硬化を促進するために、40℃〜80℃
の熱硬化処理および/または電子線照射処理を施す。
【0193】次いで、スリッタまたはプレス機で所定の
テープあるいはディスク形状にし、さらに磁性面および
/またはバックコート面に研磨、クリーニング等の二次
加工を行い、本発明の磁気記録媒体を作製する。
【0194】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものでないことは
いうまでもない。
【0195】なお、本実施例における磁気記録媒体の特
性評価は、下記基準に従った。
【0196】[塗料安定性]非磁性下層塗料(後述の非
磁性下層塗料−1と塗料−2の混合後)の混合直後の塗
料と、それを24時間静置後、ディソルバーで30分間
撹拌した塗料を用意し、それぞれアプリケーターを用い
て約4μmの塗膜を形成し、光沢度計にて光沢を測定し
た。24時間静置前後で光沢の落ちが10%以上ある場
合を塗料安定性NGとした。
【0197】[テープ表面粗さ(中心線平均粗さ:R
a)]「TALYSTEPシステム」(テーラーホブソ
ン社製)を用い、JIS B0601に基づいてRaの
測定を行った。なお測定機の条件は、フィルター0.1
8〜9Hz、触針0.1×2.5μmスタイラス、触針
圧2mg、測定スピード0.03mm/sec、測定長
さ500μmである。
【0198】[電磁変換特性(出力、C/N)]松下D
VC−PROデッキAJD−750にて20.96MH
z(1/2Tb)の信号を記録し、この信号を再生した
ときの出力、およびその信号と19.96MHz再生信
号の比をC/Nとして測定した。このときテープポジシ
ョンはMPモードで、0dBはTDK DVC−ref
テープである。
【0199】[ヘッド摩耗]20℃、湿度75%の環境
で松下DVC−PROデッキAJD−650を用いて、
記録時間60分のサンプルテープ全長を繰り返し250
時間走行させ、その前後でのヘッドの突出し量の差を求
めた。REC、PB、FEの各チャンネル計6ヘッドの
平均値をヘッド摩耗量として記した。
【0200】[付着、焼付き]20℃、湿度60%の環
境に松下DVC−PROデッキAJD−650を3台設
置し、記録時間60分テープ全長を繰り返し再生、24
時間走行させ、ヘッドの付着、焼付き状態の程度を調
べ、小〜中〜大で示した。
【0201】[低湿劣化]40℃、湿度8%の環境に松
下DVC−PROカメラAJD−700を設置し、記録
時間60分のテープを24時間再生を行い、走行中のR
F出力をモニターし、1パス目の初期の出力を0dBと
したとき、最も出力の低下したときの出力をdBで示し
た。
【0202】 (実施例1) (非磁性下層塗料−1) 非磁性粉末 α−酸化鉄 戸田工業 DPN250BW 100.0重量部 針状α−酸化鉄 Al/SiO2=0.16/0.23重量% BET値:53m2/g pH:5.5 可溶性Na量:24ppm 可溶性Ca量:9ppm 嵩密度:0.7g/ml 長軸長:0.15μm 短軸長:0.03μm 分散剤 P含有化合物 東邦化学 GAFAC RE610 5.0重量部 ホ゜リオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸(上記化1に示す式の n=1と2の混合物、Mは水素原子) 結合剤 塩化ビニル 東洋紡績 TB−0246 12.5重量部 塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体 (EBCVC(S)) 平均重合度:310 エポキシ含有量:3重量% 過硫酸カリ使用S含有量:0.6重量% 2−イソシアネートエチルメタクリレート(MO I)を使用して日本ゼオン社製MR110をアクリ ル変性したもの アクリル含有量:6モル/1モル 研磨剤 α−アルミナ 住友化学 HIT60A 5.0重量部 平均粒径:0.22μm 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1 最終固形分濃度:35% 上記の材料の全部と溶剤の一部を、ニーダーで混練後縦
型のピンミル(メディアは結晶ガラス)にて滞留時間3
0分間で分散し、最後に溶剤で粘度調整を行った。
【0203】 (非磁性下層塗料−2) カーボンブラック キャボット製 BP800 60.0重量部 比表面積:210m2/g 一次粒径:17nm DBP吸油量:68ml/100g 分散剤 アゾ系有機色素化合物(化11に示す式のもの) 2.5重量部 結合剤 ホ゜リエステルホ゜リウレタン 東洋紡 TB−0242 40.0重量部 ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リン 化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール (EBCU(P)) 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1 最終固形分濃度:19% まずポリエステルポリウレタンと分散剤とを、ハイパー
ミキサーにて10分間撹拌後、カーボンブラックを添加
した。3時間撹拌後横型のピンミル(メディアはアルミ
ナビーズ)にて滞留時間120分間で分散し、最後に溶
剤で粘度調節を行った。
【0204】次にバスケットミル(メディアはジルコニ
アビーズ)にて、非磁性下層塗料−1と非磁性下層塗料
−2とを以下の配合比で混合した。 非磁性下層塗料−1 100重量部 非磁性下層塗料−2 63重量部 潤滑剤 脂肪酸 日本油脂 NAA180 0.3重量部 脂肪酸エステル 日光ケミカルズ NIKKOL BS 0.4重量部 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1 最終固形分濃度:22% (磁性層) 磁性粉末 同和工業 HB−167 100.0重量部 Fe/Co/Al/Y=54.1/30/6.2/9.7(重量%) Hc:1.87×105A/m δs:143Am2/kg BET値:51m2/g 長軸長:0.10μm 結晶サイズ:16.5nm pH:9.4 結合剤 塩化ビニル 日本ゼオン MR−110 7.7重量部 塩化ビニル共重合体 塩ヒ゛/2HEMA/AGE/分子末端OSO3K=84.5/4.5/7.4/0.36 ポリウレタン 東洋紡 UR−8200 7.7重量部 ポリエステルポリウレタン SO3Na基含有 分子量:2万 分散剤 P含有化合物 東邦化学 GAFAC RE610 3.0重量部 研磨剤 α−アルミナ 住友化学 HIT82 3.5重量部 平均粒径:0.09μm ファーネスカーボン コロンビアン Scカーボン 1.0重量部 一次粒径:20nm BET値:220m2/g 吸油量:115ml/100g 潤滑剤 脂肪酸 日本油脂 NAA180 1.2重量部 脂肪酸エステル 日光ケミカルズ NIKKOL BS 1.0重量部 硬化剤 トリレンジイソシアネート 3.1重量部 日本ポリウレタン C−2030 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/2 最終固形分濃度:15% 上記の材料全部と溶剤の一部をニーダーで混練後、横型
のピンミルにて分散し、最後に溶剤で粘度調整を行っ
た。
【0205】 (バックコート層) カーボン ファーネスブラック 三菱化学 #3170B 100.0重量部 一次粒径:25nm BET値:180m2/g 吸油量:114ml/100g サーマルカーボン コロンビアン セバーブMT 1.2重量部 粒径:350nm BET値:7m2/g 研磨剤 α−酸化鉄 戸田工業 TF100 0.8重量部 平均粒径:0.2μm 結合剤 塩化ビニル 日信化学 MPR−TA 66.7重量部 塩化ビニル共重合体(塩ビ/酢ビ/ビニルアルコール) 平均重合度:420 塩化ビニル 日信化学 MPR−ANO 20.0重量部 塩化ビニル共重合体(塩ビ/酢ビ/ビニルアルコール) 平均重合度:340 N原子含有量:390ppm ポリウレタン 東洋紡 TS−9555 46.6重量部 ポリエステルポリウレタン SO3Na基含有 分子量:4万 硬化剤 日本ポリウレタン C−3041 20.0重量部 トリメチロールプロパンのTDIの3分子アダクト体 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1 最終固形分濃度:10% 上記材料の全部と溶剤の一部を高速ディスパーにて撹拌
後、縦型のピンミルにて分散し、最後に溶剤で粘度調整
を行った。
【0206】(塗布)6.3μm厚のポリエチレンテレ
フタレート支持体〔東レフィルム7AN23Ra:3〜
4nm、裏面Ra:10nm、ヤング率(長手方向/幅
方向):5880/5880 N/mm2〕上に、カレン
ダー加工後の厚みが1.4μmになるように非磁性下層
をリバースコーターで塗布した。その後カレンダー加工
を行い、さらに3MradでEB照射を行った。このと
き下層の表面粗さ(Ra)は3.5nmであった。
【0207】こうして形成した非磁性下層上に、上層磁
性層を加工後の厚みが0.21μmになるようにノズル
で塗布を行い、配向、乾燥、カレンダー加工、再EB照
射(4Mrad)を行った。さらにバックコート乾燥厚
0.5μmとなるようにグラビアシリンダーで塗布し、
乾燥した。
【0208】こうして作製したテープ原反を60℃で4
8時間熱硬化を行った後、6.35mm幅に切断し、D
VC−PRO用テープを作製した。
【0209】(実施例2)実施例1において、非磁性下
層塗料−1の分散剤として「GAFAC RE610」
(東邦化学)5.0重量部の代わりに「フェニルホスホ
ン酸」(日産化学)6.0重量部を用いた以外は、実施
例1と同様にしてテープを作製した。
【0210】(比較例1)実施例1において、非磁性下
層塗料−2の分散剤としてアゾ系有機色素化合物(化1
1に示す化合物)2.5重量部の代わりに「GAFAC
RE610」(東邦化学)2.5重量部を用いた以外
は、実施例1と同様にしてテープを作製した。
【0211】(比較例2)実施例1において、非磁性下
層塗料−1の分散剤として「GAFAC RE610」
(東邦化学)5.0重量部の代わりにアゾ系有機色素化
合物(化11に示す化合物)5.0重量部を用いた以外
は、実施例1と同様にしてテープを作製した。
【0212】(比較例3)実施例1において、非磁性下
層塗料−1の分散剤として「GAFAC RE610」
(東邦化学)5.0重量部の代わりに「ミリスチン酸
(MA)」(日本油脂)2.0重量部を用いた以外は、
実施例1と同様にしてテープを作製した。
【0213】(比較例4)実施例1において、非磁性下
層塗料−2の分散剤としてアゾ系有機色素化合物(化1
1に示す化合物)2.5重量部の代わりに「トリデシル
アミン」(和光純薬工業)2.5重量部を用いた以外
は、実施例1と同様にしてテープを作製した。
【0214】 (比較例5) 非磁性粉末 α−酸化鉄 戸田工業 DPN250BW 80.0重量部 針状α−酸化鉄 Al/Si=0.16/0.28重量% BET値:53m2/g pH:5.5 可溶性Na量:24ppm 可溶性Ca量:9ppm 嵩密度:0.7g/ml 長軸長:0.15μm 短軸長:0.03μm カーボンブラック キャボット製 BP800 20.0重量部 比表面積:210m2/g 一次粒径:17nm DBP吸油量:68ml/100g 分散剤 P含有化合物 東邦化学 GAFAC RE610 3.0重量部 結合剤 塩化ビニル 東洋紡 TB−0246 10.0重量部 塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体 平均重合度:310 エポキシ含有量:3重量% 過硫酸カリ使用S含有量:0.6重量% アクリル含有量:6モル/1モル 2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI) を使用して、日本ゼオン製MR110をアクリル変性 したもの ホ゜リエステルホ゜リウレタン 東洋紡 TB−0242 10.0重量部 ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リ ン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール (EBCU(P)) 研磨剤 α−アルミナ 住友化学 HIT60A 5.0重量部 平均粒径:0.22μm 潤滑剤 脂肪酸 日本油脂 NAA180 0.8重量部 脂肪酸エステル 日光ケミカルズ NIKKOL BS 1.0重量部 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1 最終固形分濃度:22% 上記材料を、加圧ニーダーで混練後横型ピンミル(メデ
ィアはジルコニアビーズ)にて滞留時間120分間で分
散した。
【0215】 (実施例3) 非磁性粉末 α−酸化鉄 戸田工業 DPN250BW 80.0重量部 針状α酸化鉄 Al/Si=0.16/0.28重量% BET値:53m2/g pH:5.5 可溶性Na量:24ppm 可溶性Ca量:9ppm 嵩密度:0.7g/ml 長軸長:0.15μm 短軸長:0.03μm カーボンブラック キャボット製 BP800 20.0重量部 比表面積:210m2/g 一次粒径:17nm DBP吸油量:68ml/100g 分散剤 P含有化合物 東邦化学 GAFAC RE610 2.4重量部 アゾ系有機色素化合物(上記化11に示す式のもの) 0.8重量部 結合剤 塩化ビニル 東洋紡 TB−0246 10.0重量部 塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体 平均重合度:310 エポキシ含有量:3重量% 過硫酸カリ使用S含有量:0.6重量% 2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI) を使用して日本ゼオン製MR110をアクリル変性し たもの アクリル含有量:6モル/1モル ホ゜リエステルホ゜リウレタン 東洋紡 TB−0242 10.0重量部 ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リ ン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール (EBCU(P)) 研磨剤 α−アルミナ 住友化学 HIT60A 5.0重量部 平均粒径:0.22μm 潤滑剤 脂肪酸 日本油脂 NAA180 0.8重量部 脂肪酸エステル 日光ケミカルズ NIKKOL BS 1.0重量部 溶剤 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1 最終固形分濃度:22% 上記材料を加圧ニーダーで混練後、横型ピンミル(メデ
ィアはジルコニアビーズ)にて滞留時間120分間で分
散した。
【0216】(実施例4)実施例1において、非磁性下
層塗料−2の分散剤として、アゾ系有機色素化合物(化
11に示す化合物)2.5重量部の代わりフタロシアニ
ン系有機色素化合物(化12に示す化合物)2.5重量
部を用いた以外は、実施例1と同様にしてテープを作製
した。
【0217】(実施例5)実施例1において、非磁性下
層塗料−2のウレタン樹脂の極性基をスルホベタイン基
に代えた以外は、実施例1と同様にしてテープを作製し
た。
【0218】(比較例6)比較例5において、非磁性下
層塗料の分散剤として、「GAFAC RE610」
(東邦化学)3.0重量部の代わりに「フェニルホスホ
ン酸」(日産化学)3.0重量部を用いた以外は、比較
例5と同様にしてテープを作製した。
【0219】(比較例7)実施例2において、非磁性下
層塗料−2の分散剤として、アゾ系有機色素化合物(化
11に示す化合物)2.5重量部の代わりに「フェニル
ホスホン酸」(日産化学)2.5重量部を用いた以外
は、実施例2と同様にしてテープを作製した。
【0220】(実施例6)実施例2において、非磁性下
層塗料−1の非磁性粉末を「DPN550RX」(α−
酸化鉄)(戸田工業)100.0重量部に代え、かつ、
「フェニルホスホン酸」(日産化学)6.0重量部から
8.0重量部に代えた以外は、実施例2と同様にしてテ
ープを作製した。
【0221】α−酸化鉄 戸田工業 DPN550RX 針状α−酸化鉄 Al/Si=1.20/0.23重量% BET値:53m2/g pH:9.4 可溶性Na量:18ppm 可溶性Ca量:13ppm 嵩密度:0.7g/ml 長軸長:0.15μm 短軸長:0.03μm
【0222】(実施例7)実施例1において、非磁性下
層塗料−1の結合剤として「TB−0246」(EBC
VC(S))12.5重量部の代わりにCOOH基含有
塩化ビニル系樹脂(EBCVC(COOH))12.5
重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてテープを
作製した。
【0223】(実施例8)実施例1において、非磁性下
層塗料−2の結合剤として「TB−0242」(EBC
U(P))40.0重量部の代わりにCOOH基含有ポ
リエステルポリウレタン樹脂(EBCU(COOH))
40.0重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして
テープを作製した。
【0224】(実施例9)実施例1において、非磁性下
層塗料−2の結合剤として「TB−0242」(EBC
U(P))40.0重量部の代わりにS含有ポリエステ
ルポリウレタン樹脂(EBCU(S))40.0重量部
を用いた以外は、実施例1と同様にしてテープを作製し
た。
【0225】(比較例8)実施例1において、非磁性下
層塗料−1の結合剤として「TB−0246」(EBC
VC(S))12.5重量部の代わりにニトロセルロー
ス樹脂12.5重量部を用い、かつ、非磁性下層塗料−
2の結合剤として「TB−0242」(EBCU
(P))40.0重量部の代わりにニトロセルロース樹
脂40.0重量部を用いた。また、非磁性下層塗料−1
と非磁性下層塗料−2との配合において、イソシアネー
ト系硬化剤「C−3041」(日本ポリウレタン)1.
7重量部をさらに追加した。また、非磁性下層形成時の
EB照射は行わず、代わりに60℃で24時間熱硬化処
理を行った。これらの変更点以外は、実施例1と同様に
してテープを作製した。
【0226】(比較例9)実施例1において、非磁性下
層塗料−1を用いず、非磁性下層塗料−2のみを用いた
以外は、実施例1と同様にしてテープを作製した。
【0227】(比較例10)比較例5において、非磁性
下層塗料の分散剤として「GAFAC RE610」
(東邦化学)3.0重量部の代わりに「フェニルホスホ
ン酸」(日産化学)2.1重量部を用い、結合剤(2
種)のうち「TB−0242」(EBCU(P))1
0.0重量の代わりにS含有極性基を有するウレタン樹
脂(EBCU(S))5.0重量部を用いた以外は、比
較例5と同様にしてテープを作製した。
【0228】上記実施例1〜9、比較例1〜10で作製
した各テープを用いて、塗料安定性、テープ表面粗さ
(Ra)、電磁変換特性(出力、C/N)、耐久性(ヘ
ッド摩耗、付着、焼付き)、低湿劣化の評価を行った。
結果を表1〜4に示す。
【0229】なお、表1〜4中、αはα−酸化鉄を示
し;Phホスホンはフェニルホスホン酸を示し;Azo
NR2は化11に示す化合物を示し;P1はPO(O
H)2とPO(OH)の混合物を示し;P2はPO(O
H)2を示し;CuPcNR2は化12に示す化合物を示
し;NCはニトロセルロース樹脂を、それぞれ示す。
【0230】
【表1】
【0231】
【表2】
【0232】
【表3】
【0233】
【表4】
【0234】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、非
磁性層中に特定の結合剤と分散剤とを組み合わせ配合
し、さらに、非磁性層中含まれる無機顔料として非磁性
粉末とカーボンブラックの2種を併用することにより、
表面平滑性に優れ、無機顔料としてのカーボンを混入し
たときにも高分散性を保ち、電磁変換特性が高く、付着
・焼付き、低湿劣化の少ない磁気記録媒体を提供するこ
とができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の少なくとも一方の面上
    に、無機顔料を結合剤中に分散してなる非磁性層と、該
    非磁性層上に鉄(Fe)を主成分とする磁性粉末を含む
    磁性層を設けてなる磁気記録媒体であって、(i)前記
    非磁性層中に、分散剤として、リン(P)を含有する有
    機化合物と塩基性末端基を有する有機色素化合物を含有
    し、(ii)前記結合剤が塩化ビニル系樹脂とウレタン樹
    脂を含有し、および(iii)該結合剤中に分散される無
    機顔料が少なくとも非磁性粉末とカーボンブラックを含
    有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 リンを含有する有機化合物と、塩基性末
    端基を有する有機色素化合物を、20:1〜2:1(重
    量比)の割合で含有する、請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記結合剤中の塩化ビニル系樹脂がイオ
    ウ(S)含有極性基を有する塩化ビニル系樹脂である、
    請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記結合剤中のウレタン樹脂がリン
    (P)含有極性基を有するウレタン樹脂である、請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記塩化ビニル系樹脂とウレタン樹脂が
    電子線硬化性樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 無機顔料として、非磁性粉末とカーボン
    ブラックを、90:10〜60:40(重量比)の割合
    で含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気
    記録媒体。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体上に、ウェット・オン・ド
    ライ法により非磁性層を塗布、乾燥後に磁性層を設けて
    なる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁
    気記録媒体の製造方法であって、(I)非磁性支持体の
    少なくとも一方の面上に非磁性層塗料を塗布、乾燥して
    非磁性層を設ける工程と、(II)該非磁性層上に磁性層
    を設ける工程を含み、上記(I)工程において、非磁性
    粉末を結合剤中に分散した非磁性層塗料1と、カーボン
    ブラックを結合剤中に分散した非磁性層塗料2とをそれ
    ぞれ独立につくり、これら塗料1と塗料2を混合して調
    製した非磁性層塗料を用いることを特徴とする、磁気記
    録媒体の製造方法。
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