JP2002298338A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2002298338A
JP2002298338A JP2001100759A JP2001100759A JP2002298338A JP 2002298338 A JP2002298338 A JP 2002298338A JP 2001100759 A JP2001100759 A JP 2001100759A JP 2001100759 A JP2001100759 A JP 2001100759A JP 2002298338 A JP2002298338 A JP 2002298338A
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JP2001100759A
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Katsuhiko Yamazaki
勝彦 山崎
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布性、表面性に優れ、しかも摩擦係数が小
さいバックコート層を有し、これによりテープのエラー
レートが低減化され、かつ耐久走行後のヘッド付着の少
ない磁気記録媒体の製造方法を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体の一方の面上に、非磁性層
と、該非磁性層上に磁性粉末を含む磁性層を設け、該支
持体の他方の面上に、カーボンブラックを主成分とする
無機顔料と、結合剤と、溶剤を含むバックコート層用塗
料を塗布、乾燥してバックコート層を設ける磁気記録媒
体の製造方法において、上記バックコート層用塗料とし
て、(i)塗料中の固形分濃度が15〜25重量%であ
り、(ii)結合剤に対する無機顔料の配合比が0.5〜
2.0(重量比)であり、かつ(iii)超音波処理され
ている塗料を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体の製造
方法に関する。さらに詳しくは、塗布性、表面性に優
れ、しかも摩擦係数の小さいバックコート層を有する、
高密度で塗布型の磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量の記録装置の普及に伴い、
磁気記録媒体の高密度化が要望されるようになり、磁性
層(上層磁性層、上層)の高充填化、薄層化、および平
滑化が求められている。しかしながら、磁性層の高充填
化、薄層化、平滑化は、他方で磁気記録媒体としての物
性の劣化をもたらすという問題がある。これに対して
は、種々方策が講じられている。
【0003】例えば、磁性層の下層として非磁性層(非
磁性下層、下層)を別途設け、該下層の特性を高めるこ
とによって上記不具合の防止を図ったり、さらに、走行
安定性の改善や磁性層の帯電防止向上等のために、支持
体の他方の面側にバックコート層を設けることが行われ
ている。
【0004】磁性層自体の改善策については、例えば特
開平8−138241号公報、特開平9−91697号
公報等において、磁性層形成に用いられる磁性塗料の磁
性粉末の分散性を向上させ、その再凝集を防いで、磁性
層の表面性を良好なものとするために、磁性塗料を超音
波処理し、該超音波処理された磁性塗料を支持体上に塗
設することによって磁気記録媒体の電磁変換特性の向上
を図る磁気記録媒体の製造方法が示されている。磁性塗
料はその固形分濃度(N/V)が15〜30重量%程
度、あるいはそれ以上の高濃度であることや、磁気エネ
ルギーをもつことから、磁性粉末が再凝集しやすいとい
う不具合があるため、上記処理により磁性塗料の分散性
を高めている。
【0005】ところで、バックコート層形成に用いられ
る塗料は、通常、カーボンブラックを主成分とする無機
顔料と、結合剤(バインダ)と、溶剤を含むが、バック
コート層では、帯電防止の点から電気抵抗を低減する必
要があり、また、テープ端を光透過率の変化で検出する
システムでは遮光性付与をする必要があるため、主顔料
としてカーボンブラックを多配合しており、さらに、特
に表面性を向上させる目的で、磁性層、非磁性層に比
べ、BET法による比表面積(BET値)(平均値)が
大きいカーボンブラックが用いられる。磁性層、非磁性
下層に用いられるカーボンブラックはいずれもBET値
の平均が150m2/g以下程度であるのに対し、バッ
クコート層に用いられるカーボンブラックはBET値の
平均が200m2/g以上である。
【0006】このようにBET値が大きいカーボンブラ
ックを多配合した場合、塗膜のレベリング性、塗布性の
向上を図るために、従来、バックコート層用塗料中の固
形分濃度(N/V)を8〜14重量%と低くし、さら
に、この固形分中における結合剤(バインダ)比率を高
くして、塗料の塗布適性を調整していた。実際、バック
コート層用塗料では、固形分中の結合剤(バインダ)に
対する顔料成分の配合比率は、磁性層塗料や非磁性層用
塗料の数分の1〜数十分の1程度と低い。上記特開平8
−138241号公報、特開平9−91697号公報で
示される磁性層用塗料や非磁性層用塗料中における顔料
成分/結合剤(重量比)は4〜20程度である。一方、
バックコート層用塗料中における顔料成分/結合剤(重
量比)は通常、1程度である。
【0007】このように、バックコート層用塗料は、磁
性層用塗料、非磁性層用塗料に比べ、固形分濃度が低
く、しかもバインダリッチであることから、これまでバ
ックコート層用塗料を超音波処理しても、塗布性や表面
性の点において明確な優位性はみられず、超音波処理の
効果は現れにくいと考えられていた。
【0008】このような状況下にあって、近年、自然環
境の保護、公害防止、廃棄物削減等といった環境問題に
関する観点から、使用溶剤量の削減が要請されており、
バックコート層用塗料においても、溶剤量を低減させ、
固形分濃度(N/V)を高くする必要が生じてきた。
【0009】しかしながら、現在の磁気記録媒体の製造
における高速塗布の現状にあっては、バックコート層用
塗料の固形分濃度(N/V)を15重量%程度以上に高
めた場合、塗膜のレベリング性の悪化や、スジの発生等
により、塗布性が悪化し、均一な塗膜が得られなくなる
という問題があった。
【0010】また、磁気記録媒体が高密度化するにした
がって、スペーシングロスによる出力低下がないよう、
磁性層表面粗さを小さく設計しなければならなくなり、
たとえ走行性を向上させるためのバックコート層であっ
ても、バックコート層の表面粗さが大きいと、磁性層お
よびバックコート層の熱硬化時にバックコート層の表面
粗さが磁性層面へ転写したり、テープ使用時における捲
き取り、捲き戻しの繰り返しで、磁性層表面にキズをつ
けてしまうという問題がある。特にバックコート層用塗
料の固形分濃度が高いと、レベリング不良で塗膜の表面
粗さが悪化し、問題となりやすい。また、バックコート
層の表面粗さの磁性層面への転写はエラーレート、ドロ
ップアウトの増加に影響を及ぼし、さらに、磁性層面に
キズが発生すると、エラーレート、ドロップアウトの増
加のみならず、テープ走行時、磁性層からの削れ物がヘ
ッドに付着するという不具合が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、塗布性、表面性に優れ、しかも摩
擦係数が小さいバックコート層を有し、これによりテー
プのエラーレートが低減化され、かつ耐久走行後のヘッ
ド付着の少ない磁気記録媒体の製造方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に下記の各発明が提供される。
【0013】(1)非磁性支持体の一方の面上に、非磁
性層と、該非磁性層上に磁性粉末を含む磁性層を設け、
該支持体の他方の面上に、カーボンブラックを主成分と
する無機顔料と、結合剤と、溶剤を含むバックコート層
用塗料を塗布、乾燥してバックコート層を設ける磁気記
録媒体の製造方法において、上記バックコート層用塗料
として、(i)塗料中の固形分濃度が15〜25重量%
であり、(ii)結合剤に対する無機顔料の配合比が0.
5〜2.0(重量比)であり、かつ(iii)超音波処理
されている塗料を用いることを特徴とする、磁気記録媒
体の製造方法。
【0014】(2)非磁性支持体の一方の面上に、ウェ
ット・オン・ドライ法により、非磁性層用塗料を塗布、
乾燥して非磁性層を設けた後、磁性層を設け、次いで、
非磁性支持体の他方の面上にバックコート層を設ける、
上記磁気記録媒体の製造方法。
【0015】(3)磁性層の厚さが0.25μm以下で
ある、上記磁気記録媒体の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0017】本発明に用いられるバックコート層用塗料
には、カーボンブラックを主成分とする無機顔料と、結
合剤(バインダ)と、溶剤が含まれる。
【0018】カーボンブラックは、バックコート層用塗
料全量中に4.0〜9.0重量%程度、特には5.0〜
7.0重量%程度含有されるのが好ましい。カーボンブ
ラックの含有量が少なすぎると帯電防止効果が低下する
傾向があり、さらに走行安定性が低下しやすくなる。ま
た、光透過率が高くなりやすいので、テープ端を光透過
率の変化で検出するシステムで用いられる場合、好まし
くない。一方、カーボンブラックの含有量が多すぎる
と、塗布時にスジが発生しやすくなったり、バックコー
ト層の強度が低下し、走行耐久性が悪化しやすくなる。
【0019】カーボンブラックとしては、通常使用され
るものであれば特に限定されるものでなく、例えばファ
ーネスカーボンブラック、サーマルカーボンブラック、
アセチレンブラック等が用いられ、「カーボンブラック
便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることが
できる。カーボンブラックは、潤滑剤、分散剤等で表面
処理したり、表面の一部をグラファイト化したもの等を
用いてもよい。
【0020】バックコート層用塗料で用いられるカーボ
ンブラックは、帯電防止、遮光性付与等のために、BE
T値200〜500m2/g程度、平均一次粒径10〜
25nm程度、DPB吸油量50〜200mL/100
g程度の、小粒径のものが好ましく用いられる。平均粒
径は、通常、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定す
る。
【0021】走行安定性の点から、上記小粒径のカーボ
ンブラックに、中〜大粒径のカーボンブラックを混在さ
せてもよい。これら中〜大粒径のカーボンブラックは、
BET値5〜300m2/g程度、平均粒径25〜40
0nm程度、DPB吸油量20〜100mL/100g
程度のものを用いるのが好ましい。中〜大粒径のカーボ
ンブラックを混在する場合、その配合量はカーボンブラ
ック全量に対し0.1〜30重量%程度とするのが好ま
しい。
【0022】なお、小粒径、中〜大粒径のカーボンブラ
ックを混在させる場合、カーボンブラック全体としての
BET値平均は、200m2/g程度以上とするのが好
ましい。
【0023】バックコート層用塗料中に含まれる顔料成
分(無機顔料)としては、カーボンブラック以外に、例
えば補強材としての非磁性無機粉末が含有される。
【0024】該非磁性無機粉末としては、α−Al
23、γ−Al23、θ−Al23、三酸化二クロム、
α−酸化鉄、SiO2、ZnO、TiO2、SiC、Ca
CO3、BaSO4、ゲーサイト(針鉄鉱)等が挙げられ
るが、これら例示に限定されるものでない。これら非磁
性粉末の粒子の形状、サイズ等は任意に設定し得る。粒
子形状は球状または多面体が好ましく、粒子サイズは好
ましくは0.01〜0.20μmで、媒体に要求される
耐久性とヘッド摩耗および最短記録波長における出力の
バランスから適宜選択すればよい。非磁性無機粉末は1
種、または2種以上を用いることができ、磁性層、非磁
性下層等の要求特性に合わせて適宜組み合わせて用いれ
ばよい。また、1種だけを用いて粒度分布等を選択する
こともできる。なお、塗料の分散性、バックコート層の
信頼性向上を図って、Al、Si、Tiなどの無機物
や、カップリング剤などの有機物により表面処理を行っ
てもよい。
【0025】バックコート層用塗料において、無機顔料
100重量部中におけるカーボンブラックの配合量は5
0〜100重量部程度と高配合するのが好ましい。残部
はカーボンブラック以外の無機顔料成分(上記した非磁
性無機粉末など)である。非磁性無機粉末の含有量が少
なすぎるとバックコート層の機械的強度が不十分となり
やすく、一方、配合量が過大であるとテープ摺接経路の
ガイド等の摩耗量が多くなりやすい。また、帯電もしや
すくなる。
【0026】結合剤(バインダ)としては、従来より公
知のものを用いることができる。バックコート層に用い
られる結合剤は、後述する磁性層に用いられる結合剤を
使用することができるが、特には、塩化ビニル系樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ニトロセルロー
ス、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂等が好ましく用
いられ、より好ましくはニトロセルロース、フェノキシ
系樹脂、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂等で
ある。中でもニトロセルロースは、硬度が高く、塗膜強
度を高めることができ、また、カーボンブラックの分散
性に優れる、ブロッキング(層間張り付き)がしにく
い、塗布性がよい、乾燥後の収縮が大きく、カッピング
(得られたテープが幅方向にカールして丸まってしま
う)を制御しやすい、等の利点があり、好ましい。この
ニトロセルロースは他の樹脂と組み合わせて用いるのが
好ましい。これらの組み合わせにさらにポリイソシアネ
ートを使用することがより好ましい。結合剤中に占める
ニトロセルロースの量は結合剤100重量部に対し40
〜90重量部程度とするのが好ましい。
【0027】本発明において、バックコート層用塗料中
における無機顔料(カーボンブラック、他)と結合剤の
配合割合は、結合剤に対する無機顔料の配合比が0.5
〜2.0(重量比)であり、好ましくは0.7〜1.
8、特に好ましくは0.8〜1.7である。無機顔料/
結合剤(重量比)が2.0超では、バックコート層の強
度が低下して走行耐久性が低下しやすくなる。一方、上
記配合比が0.5未満では、媒体摺接経路との摩擦が大
きくなりすぎて走行安定性が低下し、走行事故を起こし
やすくなる。さらに、磁性層とのブロッキング等の問題
が発生しやすくなり、また、電気抵抗が高くなり帯電し
やすくなる。
【0028】溶剤としては特に制限はないが、バインダ
の溶解性および相溶性等を考慮して適宜、選択される。
例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、
キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ギ酸
エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタ
ノール、エタノール、イソプロパロール、ブタノール等
のアルコール類;イソプロピルエーテル、エチルエーテ
ル、ジオキサン等のエーテル類;テトヒドロフラン、フ
ルフラール等のフラン類のほか、ジメチルホルムアミ
ド、ビニルピロリドンなどが用いられる。溶剤は1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0029】本発明において、バックコート層用塗料中
の固形分濃度は15〜25重量%であり、好ましくは1
5〜20重量%である。したがって溶剤の含有量は、固
形分濃度が上記範囲内となるよう、調節すればよい。従
来のバックコート層用塗料では、固形分濃度が8〜14
重量%であったのに対し、本発明では固形分濃度を上記
範囲に高めるために、溶剤の含有量が従来のバックコー
ト層用塗料に比べて低減される。
【0030】なお、バックコート層用塗料には、さら
に、必要に応じ、潤滑剤、架橋剤、分散剤、その他の各
種添加物を添加してもよい。
【0031】潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中
で、特に脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いる
のが好ましい。
【0032】脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素原子数8以
上の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素原子数11以上のア
ルキル基)等が挙げられ、中でもミリスチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノ
レン酸、ステアロール酸等が好ましい。
【0033】また、脂肪酸エステルとしては、炭素原子
数10〜22の飽和ないし不飽和の脂肪酸と炭素原子数
4〜22の飽和ないし不飽和のアルコールや、ソルビタ
ン等の環状若しくは多糖類還元アルコール等からなる脂
肪酸エステルが好ましく、例えばステアリン酸ブチル、
オレイン酸オレイル、ソルビタンモノステアレート、ソ
ルビタントリステアレート等が特に好適である。エステ
ルにおける脂肪酸および/またはアルコールの脂肪族鎖
は飽和でも不飽和であってもよく、n−体、i−体等種
々のものであってもよい。
【0034】その他の潤滑剤として、前記脂肪酸のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石鹸、シ
リコーンオイル、フッ素オイル、パラフィン、流動パラ
フィン等も用いることができる。
【0035】架橋剤としてはイソシアネート系化合物が
好ましく用いられる。
【0036】分散剤としては界面活性剤等が好ましく用
いられる。
【0037】本発明において、上記バックコート層用塗
料は、超音波処理されている必要がある。超音波処理は
公知の方法により行うことができ、例えば、特開平8−
138241号公報、特開平9−91697号公報等に
示される超音波処理装置を用いることができる。
【0038】具体的には、例えば、バックコート層用塗
料を、発振周波数10〜200kHz程度、超音波振幅
10〜100μm程度、超音波照射時間1〜10秒程度
の作動条件下で超音波処理槽内を通過させて超音波処理
することができるが、本発明効果を奏することができる
限りにおいて上記条件に限定されるものでない。
【0039】なお、バックコート層用塗料を、超音波処
理した後、非磁性支持体上に塗設するまでの待機時間
は、特に限定されるものでないが、好ましくは30分間
以内とするのがよい。待機時間が長すぎると、超音波処
理によりいったん低下した塗料粘性が上昇してもとの粘
性に復帰し、超音波処理効果が得られなくなるおそれが
ある。
【0040】このようにバックコート層用塗料を超音波
処理することにより、バックコート層用塗料の粘性を低
下させ、塗布性を向上させることができた。これによっ
て、これまで塗布が困難であった15重量%程度以上の
高固形分濃度塗料でも塗布が可能となり、スジ等の塗布
欠陥のない厚みが均一な塗膜を得ることができるように
なった。また、塗膜のレベリング性の向上を図ることが
でき、良好な表面性を得ることができた。さらに、塗料
の分散性を向上させることができ、バックコート層の表
面性の改善効果(表面粗さ(Ra)の低下)も同時に得
られた。このような表面性の向上により、テープのエラ
ーレートが低減化され、かつ耐久走行後のヘッド付着も
少ない優れた効果を有する磁気記録媒体が得られた。
【0041】バックコート層の厚さ(カレンダー加工
後)は、1.0μm以下、好ましくは0.3〜0.8μ
mである。バックコート層が厚すぎると、媒体摺接経路
との間の摩擦が大きくなりすぎて、走行安定性が低下す
る傾向にある。一方、バックコート層が薄すぎると、非
磁性支持体の表面性の影響でバックコート層の表面性が
低下する。このため、磁性層およびバックコート層を熱
硬化する際にバックコート層表面の粗さが磁性層表面に
転写され、高域出力、S/N、C/Nの低下を招く。ま
た、媒体の走行時にバックコート層の削れが発生する。
【0042】本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いら
れる磁性層用塗料、非磁性下層用塗料は、特に限定され
るものでなく、従来より公知のものを任意に使用するこ
とができる。
【0043】磁性層用塗料は、磁性粉末、結合剤、溶剤
等を含む。
【0044】上記磁性粉末としては、通常、磁気記録媒
体に用いられ得る磁性粉末であれば特に限定されるもの
でないが、強磁性粉末、強磁性合金粉末等が好適に用い
られ得る。特にFeを主体とした強磁性合金粉末は、近
年の大容量の磁気記録媒体に求められる特性を得るため
には、保磁力、飽和磁化量も大きく、好ましく用いられ
る。
【0045】強磁性粉末としては、γ−Fe23、Fe
34、γ−Fe23とFe34固溶体、Co化合物被着
型Fe23、Co化合物ドープ型γ−Fe23、Co化
合物被着型Fe34、Co化合物ドープ型Fe34、C
o化合物被着型γ−Fe23とCo化合物被着型Fe3
O4固溶体、Co化合物ドープ型γ−Fe23とCo化
合物ドープ型Fe34固溶体等が挙げられる。なお、こ
こでCo化合物とは、酸化コバルト、水酸化コバルト、
コバルトフェライト、コバルトイオン吸着物等のコバル
トの磁気異方性を保磁力向上に活用する化合物をいう。
【0046】また、α−Fe、Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性金
属元素を主成分とする強磁性合金粉末を用いる場合、金
属(Fe、Co、Ni等)または合金を70重量%以上
含むことが好ましく、さらに好ましくは75重量%以上
である。また、Feを主成分とし、さらに少なくともC
oを含有する強磁性合金磁性粉末において、そのFe原
子に対するCo原子の量は0〜40モル%、好ましくは
6〜35モル%である。さらに、Feおよび/またはC
oを主成分とする強磁性合金粉末においては、さらにY
を含む希土類元素を含有するものが好ましい。
【0047】Fe磁性粉末には、さらにAl、Si、C
r、Mn、Ni、Zn、Cu、Zr、Ti、Bi、A
g、Pt、B、C、P、N、S、Sc、V、Mo、R
h、Pd、Sn、Sb、Te、Ba、Ca、Ta、W、
Re、Au、Hg、Sr、Pb等の元素が含まれていて
もよい。
【0048】また、これらのFe磁性粉末には、Al、
Si、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったものでも、S
i、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面活性剤
等で表面処理したものでも、分散剤、潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤等で分散前にあらかじめ処理を行ったも
のでもよい。
【0049】本発明で用いられる磁性粉末は、好ましく
は針状形状をなす。ここでいう針状とは、金属磁性粉末
の長軸径が軸全長に亘ってほぼ同一径をなすもののみな
らず、長軸端部に向って徐々に径が狭まり長軸端部が比
較的に尖鋭になっているもの(一般に紡錘状と呼ばれ
る)から長軸端部が半球または平坦に近いものまでを含
む広い概念である。軸比(長軸長/短軸径の比)は3〜
10程度のものが好ましい。また、長軸長は平均で0.
05〜0.2μmであるのが好ましい。これらはTEM
写真等によって確認することができる。このような針状
磁性粉末形状とすることにより、流動特性をよりいっそ
う向上させることができる。
【0050】磁性粉末は、保磁力(Hc)が118.5
〜240.0kA/m、飽和磁化量(σs)が80〜1
60Am2/kg、BET法による比表面積(BET
値)が40〜80m2/g程度であるのが好ましい。
【0051】Fe磁性粉末を分散する結合剤としては一
般的に公知のものが使用できる。例えば熱可塑性樹脂、
熱硬化性ないし反応型樹脂、電子線感応型変性樹脂等が
用いられる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わ
せて用いられるが、その組み合わせは磁気記録媒体の特
性、工程条件に合わせて適宜選択使用される。
【0052】熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150
℃以下、平均分子量5,000〜50,000、重合度
100〜2,000程度のものが好ましい。
【0053】熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線感応型
変性樹脂等も、上記と同様の平均分子量、重合度のもの
が用いられ、塗布、乾燥、カレンダー加工後に加熱、お
よび/または電子線照射することにより、縮合、付加等
の反応により分子量は無限大のものとなる。
【0054】これらの樹脂の中で、樹脂が熱分解または
溶融しないものが好ましい。
【0055】上記樹脂の例としては塩化ビニル系共重合
体が挙げられる。具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアル
コール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール−プロ
ピオン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マ
レイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−末端OH側鎖アルキル共重合体等が挙げられる。
【0056】またウレタン化合物も好ましく用いられ
る。ウレタン化合物の例としては、ポリウレタンエラス
トマーおよびプレポリマーおよびテロマーがあり、ポリ
ウレタンの使用は、耐摩耗性およびPETフィルム等支
持体への接着性がよい点で特に有効である。ウレタンの
合成原料のイソシアネートとして、2,4−トルエンジ
イソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、
4−4’ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、1,3−または1,4−キシレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−または
p−フェニレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−
ジメチルビフェニレンジイソシアネート、4,4−ビフ
ェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、デスモジュールL、デスモジュールN
等の各種多価イソシアネートが挙げられる。
【0057】さらに、線状飽和ポリエステル(エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ペンタエリスリット、ソルビート
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール等の多価アルコールとフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸等の飽和多価塩基酸との縮重合物によるもの)、線状
飽和ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)
やカプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エステ
ル、ヒドロキシル含有メタクリル酸エステル等の各種ポ
リエステル類の縮重合によりなるポリウレタンエラスト
マー、プレポリマーが有効である。
【0058】このほかに、飽和ポリエステル樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ブチ
ラール樹脂、アセタール樹脂、ホルマール樹脂等のポリ
ビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ
系樹脂、繊維素誘導体、多官能ポリエステル樹脂、ポリ
エーテルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂およ
び誘導体(PVPオレフィン共重合体)、ポリエーテル
樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル
類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹
脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を含有するアクリル
エステルおよびメタクリルエステルを重合成分として少
なくとも1種含むアクリル系樹脂、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合エラストマー、ポリブタジエンエラス
トマー、塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴムおよ
びその他環化物、エポキシ変性ゴム、内部可塑性飽和線
状ポリエステル等のエラストマーも使用することができ
る。
【0059】熱硬化性樹脂としては、縮重合するフェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿
素樹脂、ブチラール樹脂、ポリマール樹脂、メラニン樹
脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応
樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽
和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙
げられる。
【0060】反応型樹脂としては、前記の縮重合系樹脂
とイソシアネート化合物等の架橋剤との混合物;高分子
量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混
合物;メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレ
ポリマーの混合物;ポリエステルポリオールとポリイソ
シアネートの混合物;低分子量多価アルコール/高分子
量多価アルコール/トリフェニルメタントリイソシアネ
ートの混合物等が挙げられる。また、塩化ビニル−酢酸
ビニル(カルボン酸含有も含む)、塩化ビニル−ビニル
アルコール−酢酸ビニル(カルボン酸含有も含む)、塩
化ビニル−塩化ビニリデン、塩化ビニル−アクリロニト
リル、ビニルブチラール、ビニリホルマール等のビニル
系共重合体樹脂と架橋剤との混合物;セルロースアセト
ブチレート等の繊維素系樹脂と架橋剤との混合物;ブタ
ジエン−アクリロニトリル等の合成ゴム系と架橋剤との
混合物等が挙げられる。これらの重合体は、単独あるい
は2種以上併用して用いられる。
【0061】また、上記共重合体は末端および/または
側鎖に水酸基を有するものがイソシアネートを使用した
架橋や電子線架橋等を容易に利用できるため好適であ
る。さらに、末端や側鎖に極性基として、−COOY、
−SO3Y、−OSO3Y、−OPO3Y、−PO3Y、−
PO2Y、−N+3Cl-、−NR2(ただし、YはHま
たはアルカリ金属、RはH、メチル基、エチル基)等を
はじめとする酸性極性基、塩基性極性基等を含有してい
てもよく、これらの含有は分散性の向上に好適である。
【0062】これらの共重合体をイソシアネートアダク
ト体を使用して架橋させる場合の硬化剤としては、イソ
シアネートとして、2,4−トルエンジイソシアネー
ト、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート等の各種多価イソシアネートとトリメチロー
ルプロパンのような多価アルコールとのアダクト体を使
用すればよい。具体的には、コロネートL、HL、30
41(以上、いずれも日本ポリウレタン(株)製)、2
4A−100、TPI−100(以上、いずれも旭化成
工業(株)製)、デスモジュールL、N(以上、いずれ
もB. F. Goodrich社製)等が挙げられ、上記重合体に対
して1〜50重量%添加して使用する。
【0063】一般にこのような反応性または熱硬化性樹
脂を硬化するには、加熱オーブン中で50〜80℃にて
6〜100時間加熱すればよい。
【0064】結合剤の配合量は、Fe磁性粉末100に
対して10から100(重量比)が好ましい。結合剤が
少なすぎるとFe磁性粉末の結合性が悪く、耐久走行で
粉落ちによる目詰まりが発生しやすい。一方、結合剤が
多すぎると高い電磁変換特性が得られない。
【0065】磁性層用塗料には上記磁性粉末の他、研磨
剤、カーボンブラック、潤滑剤等、他の添加成分が配合
されるが、これらはバックコート層用塗料での説明の中
で示したものが同様に使用できる。
【0066】ただし、磁性層用塗料に用いられるカーボ
ンブラックは、BET値が5〜150m2/g程度であ
るのが好ましい。またその平均一次粒径は10〜300
nm程度が好ましい。
【0067】磁性層の厚さ(カレンダー加工後)は、近
年の高密度記録化傾向により、厚み損失を減らし、非磁
性層からの潤滑剤を供給しやすくするために、好ましく
は0.25、μm以下、特には0.04〜0.20μm
が好ましい。特に本発明では、磁性層を0.25μm以
下の極薄塗膜としても、バックコート層の表面性の向上
を図り、さらにその摩擦係数の上昇防止を有効に図るこ
とができるので、テープのエラーレートが低減化され、
かつ耐久走行後のヘッド付着が少なくなる。
【0068】なお、本発明において磁性層塗料は、後述
する非磁性層用塗料を支持体上に塗布後、乾燥し、次い
でカレンダー加工、さらに硬化した後に、この上に塗布
するのが好ましい。なお、磁性層の硬化は、用いる結合
剤の種類等に応じて、熱硬化、電子線硬化等、任意の方
法が用いられる。
【0069】非磁性層用塗料中には、非磁性粉末、カー
ボンブラック、研磨剤等の無機顔料のほか、溶剤、潤滑
剤等が結合剤中に分散されている。
【0070】非磁性層中の結合剤は、特に限定されるも
のでないが、電子線硬化性樹脂を少なくとも含むもので
あるのが好ましい。かかる電子線硬化性樹脂としては、
塩化ビニル系樹脂とウレタン樹脂を少なくとも含有する
のが好ましい。中でも、イオウ(S)含有極性基を有す
る電子線硬化性の塩化ビニル系樹脂と、リン(P)含有
極性基を有する電子線硬化性ウレタン樹脂を少なくとも
含有するものが好ましく用いられる。
【0071】上記塩化ビニル系樹脂が含有するイオウ含
有極性基(「S含有極性基」)としては、特に硫酸基お
よび/またはスルホ基が望ましい。
【0072】硫酸基およびスルホ基としては、−SO4
Y、−SO3Y(YはHまたはアルカリ金属)におい
て、−SO4K、−SO3K(すなわちY=カリウム)の
ものが特に望ましい。これら硫酸基、スルホ基は、いず
れか一方を含有するものであっても、あるいは両者を含
有するものであってもよく、両者を含むときにはその比
は任意である。
【0073】これらS含有極性基は、S原子換算で分子
中に0.01〜10重量%、特には0.1〜5重量%含
まれていることが好ましい。
【0074】これらのS含有極性基が結合する樹脂骨格
は塩化ビニル系樹脂である。塩化ビニル系樹脂は、塩化
ビニル含有量が60〜100重量%、特には60〜95
重量%のものが好ましい。
【0075】このような塩化ビニル系樹脂としては、例
えば塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール−グリ
シジル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
中でも、塩化ビニルとエポキシ基を含有する単量体との
共重合体が特に好ましい。そして、その平均重合度は1
00〜900程度が好ましい。
【0076】また、この塩化ビニル系樹脂は、S含有極
性基に加え、不飽和二重結合を有するが、不飽和二重結
合としては、アクリル基CH2=CH−COO−、メタ
クリル基CH2=CHCH3COO−を含有するのが好ま
しい。これらの(メタ)アクリル基は、分子中に平均で
1〜20個、特には2〜10個程度存在することが好ま
しい。また、この(メタ)アクリル基は1つのウレタン
結合を介して塩化ビニル系樹脂骨格に結合するのが好ま
しい。
【0077】このようなS含有極性基を有する塩化ビニ
ル系樹脂を電子線硬化性のものとするためには、以下の
ようにするのが好ましい。
【0078】すなわち、まず、S含有極性基を有し、さ
らに水酸基を含有する原料塩化ビニル系樹脂を用意す
る。この原料塩化ビニル系樹脂の水酸基の数は1分子中
に3〜60個、好ましくは2〜30個である。極性基と
しては、S含有極性基のほかに必要に応じ、−OPO3
Y、−PO3Y、−COOY(Yは、Hまたはアルカリ
金属)、アミノ基(−NR3)、−NR3Cl(RはH、
メチル基、エチル基)、ホスファミン酸(−NHPOn
Y;nは2〜4の整数)等を含有させることもできる。
【0079】このような原料塩化ビニル系樹脂として
は、例えば、特開昭60−238371号公報、同60
−101161号公報、同60−235814号公報、
同60−238306号公報、同60−238309号
公報等に開示されたものが好適である。
【0080】これら原料塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニ
ル、エポキシ基を有する単量体、さらに必要に応じて、
これらと共重合可能な他の単量体を過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウム等のSを含む強酸根を有するラジカ
ル発生剤の存在下に重合して得ることができる。このラ
ジカル発生剤は、単量体に対して通常は0.3〜9.0
重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の割合で用い
られる。
【0081】なお、Sを含む強酸根を有するラジカル発
生剤は水溶性のものが多いので、乳化重合あるいはメタ
ノール等のアルコールを重合媒体とする懸濁重合やケト
ン類を溶媒とする溶液重合が好適である。
【0082】ここで、Sを含む強酸根を有するラジカル
発生剤に加えて、一般に塩化ビニルの重合に用いられる
ラジカル発生剤を用いてもよい。これらのラジカル発生
剤としては、例えばラウロイルペルオキシド、ベンゾイ
ルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイル
ペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネ
ト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネー
ト、t−ブチル−ペルオキシピパレート、t−ブチル−
ペルオキシネオデカノエート等の有機過酸化物;2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス−2,4−ジメチルパレロニトリル、4,4’−アゾ
ビス−4−シアノパレリン酸等のアゾ化合物等が挙げら
れる。また、強酸根を有するラジカル発生剤に、ホルム
アルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせて用い
てもよい。
【0083】上記の重合反応において用いられ得る懸濁
安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニルの部分ケン化物、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等
のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリアク
リルアミド、マレイン酸−スチレン共重合体、マレイン
酸−メチルビニルエーテル共重合体、マレイン酸−酢酸
ビニル共重合体等の合成高分子物質;デンプン、ゼラチ
ン等の天然高分子物質等が挙げられる。
【0084】また乳化剤としては、アルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニ
オン性乳化剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル
等の非イオン性乳化剤等が挙げられる。
【0085】また、必要に応じてトリクロルエチレン、
チオグリコール等の分子量調整剤を用いることもでき
る。
【0086】上記のエポキシ基を有する単量体として
は、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジル
エーテル等の不飽和アルコールのグリシジルエーテル
類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、グリシジル−P−ビニルベンゾエート、メチルグリ
シジルイタコネート、グリシジルエチルマレート、グリ
シジルビニルスルホネート、グリシジル(メタ)アリル
スルホネート等の不飽和酸のグリシジルエステル類;ブ
タジエンモノオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキ
シド、2−メチル−5,6−エポキシヘキセン等のエポ
キシドオレフィン類等が挙げられる。このエポキシ基を
有する単量体は、一般に共重合体中のエポキシ基の量が
0.5重量%以上となる範囲で使用される。
【0087】塩化ビニルとエポキシ基を有する単量体の
ほかに、必要に応じて用いることのできる単量体として
は、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボ
ン酸ビニルエステル;メチルビニルエーテル、イソブチ
ルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリ
デン;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ブチルベンジ
ル、マレイン酸ジ−2−ヒドロキシエチル、イタコン酸
ジメチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の不飽和カルボン
酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;
(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;スチレ
ン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン等の芳香
族ビニル等が挙げられる。
【0088】このようにして得られる原料塩化ビニル系
樹脂は、平均重合度が100〜900、特には200〜
500で、塩化ビニルの含有量が60重量%以上のもの
が好ましい。なお、このような原料塩化ビニル系樹脂
は、例えば「MR−110」(日本ゼオン(株)製)等
として市販されている。この原料塩化ビニル系樹脂は磁
性塗料の結合剤としても好ましく用いられる。
【0089】かかる原料塩化ビニル系樹脂は、非磁性層
塗料においては、その後、電子線変性を施されるのが好
ましい。
【0090】一般的に熱硬化型の塩化ビニル系樹脂を電
子線硬化型に変性する方法としては、水酸基やカルボン
酸基を有する樹脂に対し、(メタ)アクリル基とカルボ
ン酸無水物あるいはジカルボン酸を有する化合物を反応
させてエステル変性する方法と、トリレンジイソシアネ
ート(TDI)と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート(2−HEMA)との反応物(アダクト)とを反
応させてウレタン変性する方法がよく知られている。
【0091】しかし、エステル変性は一般に塗膜が脆く
なってしまうため、塩化ビニル系樹脂に適用するのは好
ましくない。また、従来からよく用いられている上記の
イソシアネートとアクリレートとのアダクト(TDI−
2−HEMA)は分子内にすでにウレタン結合を有する
ため、アクリル二重結合を末端にもつ分岐分子鎖中には
ウレタン結合が2個存在してしまう。そして、この2個
のウレタン結合の存在と、長い鎖長とが分散性を低下さ
せてしまうため、高分散性が必要な場合不適である。
【0092】上記のような理由から、電子線変性を行う
には、エチレン性不飽和二重結合を1個以上およびイソ
シアネート基1個を1分子中に有し、かつウレタン結合
を分子中にもたないモノマーを用いることが好ましい。
このようなモノマーとしては、2−イソシアネートエチ
ル(メタ)アクリレート等がある。イソシアネートエチ
ルアクリレートは分子内にウレタン結合をもたないの
で、電子線変性した塩化ビニルの分岐分子鎖中には1つ
のウレタン結合が存在するのみであり、分岐鎖も短いの
で、本来持っている骨格の塩化ビニルの分散性を低下さ
せない。しかも分子主鎖内にはウレタン結合が存在する
ので、塩化ビニル系樹脂の混合比率を高くしても塗膜が
脆くなることもない。
【0093】このように、水酸基およびS含有極性基を
有する原料塩化ビニル系樹脂とモノマーとの反応による
ウレタン結合によりエチレン性不飽和二重結合を導入す
るが、原料塩化ビニル系樹脂とモノマーのモル比によっ
て電子線硬化性を自由に設計することができる。しかし
ながら上述したようにウレタン結合濃度を高くしすぎる
と分散性の低下を生じる。そこで分散性と硬化性のバラ
ンスをとると、原料塩化ビニル系樹脂1分子あたり1〜
20個、好ましくは2〜10個のモノマーを反応させる
ことにより分散性、硬化性ともに優れた電子線硬化性塩
化ビニル系樹脂を得ることができる。
【0094】原料塩化ビニル系樹脂とモノマーとの反応
は、必要に応じて反応に関与しない公知の有機溶剤に水
酸基およびその他の極性基を有する塩化ビニル系共重合
体を溶解させ、公知のウレタン化反応触媒を用い、公知
のラジカル重合禁止剤、例えばハイドロキノンを用い、
反応温度60℃以下で行われる。
【0095】なお、このようなS含有極性基を有する電
子線硬化性塩化ビニル系樹脂は、例えば「TB−024
6」(東洋紡績(株)製)等として市販されている。
【0096】上記塩化ビニル系樹脂と併用されるウレタ
ン樹脂はリン含有極性基(「P含有極性基」)を含有す
るものが好ましく用いられる。
【0097】P含有極性基としては、ホスホン酸基=P
3Y、ホスフィン酸基=PO2Y、亜ホスフィン酸基=
POY(YはHまたはアルカリ金属)の中から選ばれる
いずれか1種以上が好ましい。Yとしては特にNaが好
ましい。これらの極性基のうち=PO3Naのみを含む
か、=PO3Naを主成分として含むものが好ましい。
これらのP含有極性基は、P原子換算で分子中に0.0
1〜10重量%、特には0.02〜3重量%含まれてい
ることが好ましい。これらは骨格樹脂の主鎖中に存在し
ても、分岐中に存在してもよい。
【0098】これらのP含有極性基を結合する樹脂骨格
は、好ましくは電子線硬化性のウレタン樹脂である。す
なわち、分子内にアクリル系二重結合を少なくとも1個
有し、後述のリン(P)化合物の少なくとも1種を反応
させたP含有電子線硬化性樹脂であって、アクリル系二
重結合含有化合物とウレタン結合を介して結合している
ポリウレタンアクリレート樹脂である。
【0099】ここでいうアクリル系二重結合とは、アク
リル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタ
クリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド
等の残基(アクリロイル基またはメタクリロイル基)を
いう。
【0100】アクリル系二重結合含有化合物としては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール等のグリコールのモノ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメ
チロールエタン等のトリオール化合物のモノ(メタ)ア
クリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール等の4価以上ポリ
オールのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリ
レート、トリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノア
リルエーテル、グリセリンジアリルエーテル等のヒドロ
キシ基含有アクリル系化合物等が好適である。
【0101】これらのアクリル系二重結合は樹脂分子内
に少なくとも1個以上、好ましくは2〜20個存在す
る。
【0102】ポリウレタンアクリレート樹脂は、一般に
ヒドロキシ基含有樹脂およびヒドロキシ基含有アクリル
系化合物とポリイソシアネート含有化合物との反応によ
り得られる。
【0103】ヒドロキシ基含有樹脂としては、ポリエチ
レングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等のポリアルキレングリコール、ビスフ
ェノールAのアルキレンオキシド付加物、各種のグリコ
ールおよびヒドロキシル基を分子鎖末端に有するポリエ
ステルポリオール等が挙げられる。
【0104】中でもポリエステルポリオールを1成分と
して得られるポリウレタンアクリレート樹脂が好まし
い。
【0105】ポリエステルポリオールのカルボン酸成分
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル
酸、1,5−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、p−
オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸
等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の
脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン
酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の
不飽和脂肪酸および脂環族ジカルボン酸、トリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリおよびテト
ラカルボン酸等を挙げることができる。
【0106】また、ポリエステルポリオールのグリコー
ル成分としては、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ビスフェノールA等のエチレンオキシ
ド付加物およびプロピレンオキシド付加物、水素化ビス
フェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキ
シド付加物、ポリエチレングリコール、ポプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ
る。
【0107】また、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
トリおよびテトラオールを併用してもよい。
【0108】ポリエステルポリオールとしてはほかに、
カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる
ラクトン系ポリエステルジオール類が挙げられる。
【0109】上記ポリイソシアネート含有化合物として
は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、ビフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
トキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、
2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
チル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイ
ソシアネート−ジフェニルエーテル、1,5’−ナフタ
レンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネー
ト、m−キシレンジイソシアネート、1,3−ジイソシ
アネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネ
ートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネー
トジシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシク
ロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等のイ
ソシアネート化合物、あるいは全イソシアネート基のう
ち7モル%以下の2,4−トリレンジイソシアネートの
三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体等の
トリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0110】上記ポリウレタンアクリレート樹脂製造に
用いられるリン(P)化合物としては、下記の一般式
(I)〜(V)で表される化合物が好ましいものとして例
示される。
【0111】
【化1】
【0112】
【化2】
【0113】
【化3】
【0114】
【化4】
【0115】
【化5】
【0116】上記一般式(I)〜(V)において、X1
2はエステル形成官能基を表す。R 1は炭素原子数8〜
10の8価の炭化水素基を表す。R2は炭素原子数1〜
12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ
基を表す。アリール基およびアリールオキシ基はハロゲ
ン原子、ヒドロキシ基、−OM’(M’はアルカリ金
属)またはアミノ基が結合したものでもよい。R3、R4
はそれぞれ独立に炭素原子数1〜12のアルキレン基、
シクロアルキレン基、アリーレン基、−(CH3OR5
mで表される基(ただし、R5は炭素原子数1〜12のア
ルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基を表
し;mは1〜4の整数である)を表す。Yはアルカリ金
属原子、水素、1価の炭化水素基、またはアミノ基を表
すが、特にNaが好ましい。
【0117】上記リン化合物の具体例としては、例えば
特開平6−131652号公報に記載のものが好適に挙
げられる。
【0118】これらのリン化合物は、ポリウレタンアク
リレート樹脂製造において種々の過程で導入させること
ができる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリアル
キレングリコールの原料樹脂を製造する際に、その1成
分として用いることができる。特に、ポリエステルポリ
オールを製造する際、上記のリン化合物をポリエステル
ポリオールの重合完結前の任意の段階で添加し、反応さ
せることができる。
【0119】また、これらのリン化合物は、ポリウレタ
ンアクリレート樹脂の原料の1成分として用いることが
できる。例えば、ヒドロキシ基を含有するリン化合物
は、直接イソシアネート化合物やポリエステルポリオー
ルやアクリレート化合物と反応させることにより、ポリ
ウレタンアクリレート樹脂を製造することができる。
【0120】P含有極性基を有する電子線硬化性のウレ
タン樹脂は、公知の方法により、アクリル系二重結合含
有化合物と特定のリン化合物および/また特定のリン化
合物と反応させた原料樹脂等を含む原料とを溶剤中、ま
たは無溶剤中で反応させることにより得られる。得られ
る樹脂の分子量は500〜100,000であることが
望ましい。なお、これらの製法は特開昭62−4383
0号公報、同61−77134号公報、同62−406
15号公報、同62−195720号公報等に記載され
ている。
【0121】なお、これらP含有極性基を有する電子線
硬化性のウレタン樹脂は、例えば「TB−0242」
(東洋紡績(株)製)等として市販されている。
【0122】これらS含有極性基を有する電子線硬化性
の塩化ビニル系樹脂とP含有極性基を有する電子線硬化
性のウレタン樹脂は、本発明の十分な効果を得るために
は、前者:後者の混合比が69:31〜10:90(重
量比)の範囲であるのが好ましく、より好ましくは6
0:40〜40:60である。なお、これらの樹脂に加
えて、非磁性層含有成分全体の20重量%以下の範囲で
公知の各種樹脂を含有してもよい。
【0123】なお、非磁性層中の結合剤には、ニトロセ
ルロース樹脂を含まないか、あるいは含有させる場合そ
の配合量が結合剤全量に対し20重量%程度以下に抑え
るのが好ましい。ニトロセルロース樹脂は剛性が高いた
め、その配合により、得られる磁気記録媒体の表面粗さ
が大きくなり、出力も低下し、電磁変換特性の低下を招
く。ただし、非磁性層中の結合剤の主成分が電子線硬化
性樹脂の場合、ニトロセルロース樹脂を混合させて電子
線を照射すると発煙(若しくは発火)するため、ニトロ
セルロース樹脂は用いられない。
【0124】非磁性層に含有される非磁性粉末として
は、酸化チタン、硫酸バリウム、ZnS、MgCO3
ZnO、CaO、γ−酸化鉄、二硫化タングステン、二
硫化モリブデン、窒化ホウ素、MgO、SnO2、Si
2、Cr23、α−Al23、SiC、酸化セリウ
ム、コランタム、人造ダイアモンド、α−酸化鉄、ザク
ロ石、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、
炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タング
ステン、チタンカーバイト、トリポリ、ケイソウ土、ド
ロマイト等が挙げられる。
【0125】これら非磁性層に用いられる非磁性粉末の
形状は、球状、粒状、針状等、通常用いられる形状であ
れば特に限定されるものでないが、球状、粒状等の形状
よりも、針状の形状の方が重層にした場合の平滑性が高
くなり好ましい。具体的には、非磁性粉末の形状が針状
のときは、平均長径80〜200nm、平均軸比3〜1
0程度程度が好ましく、より好ましくは平均長径80〜
150nm、平均軸比5〜10程度のである。平均長径
が大きすぎると下層の表面平滑性が劣化し、一方小さす
ぎると針状のメリットが見込めない。なお、粒状の場合
は、平均粒径は10〜70nm程度が好ましく、より好
ましくは10〜30nm程度である。
【0126】非磁性粉末としては、針状のα−酸化鉄が
特に好ましい。この針状α−酸化鉄を用いる場合は、シ
リカおよび/またはアルミで表面処理されているのが好
ましい。特に結晶制御剤としてシリカを使用し、表面処
理剤としてアルミを使用し、アルミが表層より5nm以
内に分布しているものが好ましい。
【0127】非磁性層にはさらにカーボンブラックが好
ましく含まれる。カーボンブラックは上記磁性層用塗料
で述べたものと同様のものを好ましく用いることができ
る。非磁性層用塗料中、カーボンブラックは、無機顔料
全量に対して5〜40重量%程度の範囲で用いられる
が、媒体の要求特性と塗料における分散特性、流動特性
とにより実験的に選定することが必要である。
【0128】また、非磁性層用塗料において、カーボン
ブラックを配合する場合、非磁性粉末とカーボンブラッ
クとの配合比(重量比)は、95:5〜60:40程度
とするのが好ましく、特には90:10〜70:30程
度である。
【0129】非磁性層中にはさらに、導電性物質として
磁気記録媒体に通常用いられ得るものを任意に配合する
ことができ、例えば、SnO2、TiO2、SnO2(S
bドープ)、黒色導電性酸化チタン(TiOx;1≦x
≦2)等が例示される。
【0130】また、研磨剤、潤滑剤、分散剤等を任意に
添加し得るが、これらはいずれもバックコート層用塗料
に配合し得るものと同様のものを用いることができる。
潤滑剤の量は、無機顔料100重量%に対して総計20
重量%以下、特には0.1〜15重量%が好ましい。
【0131】非磁性塗料に配合される溶剤としては、特
に制限はなく、バックコート層用塗料に配合し得る溶剤
を任意に用いることができる。溶剤はバインダに対して
10〜10000重量%、特には100〜5000重量
%の割合で用いるのが好ましい。
【0132】非磁性層は、好ましくは電子線硬化され
る。非磁性層塗膜の電子線硬化において、電子線照射量
は2〜10Mradが好ましく、特には3〜7Mrad
が好ましい。電子線照射量が低すぎると磁性層の塗布面
の安定性を得るのに十分でなく、一方、10Mradを
超える照射量で照射しても媒体物性に差が現れない。ま
た、その照射エネルギー(加速電圧)は100keV以
上が好ましく、特には200keV以上とするのが好ま
しい。
【0133】なお、非磁性層の塗膜への電子線の照射
は、非磁性支持体上に上記非磁性下層用塗料を塗布して
塗膜を形成した後であればいつでもよい。非磁性層をカ
レンダー加工した後に電子線硬化を行うのが、下層の表
面性が出やすく最も望ましいが、非磁性層のカレンダー
加工前や、磁性層用塗料の塗布、乾燥後に電子線を照射
してもよい。また、磁性層用塗料の塗布前、後に分け
て、それぞれ電子線を照射してもよい。
【0134】なお、無機顔料のpHは中性からやや酸性
(具体的にはpH5〜6程度)が、混練性に優れ、かつ
脂肪酸(潤滑剤)等の吸着量が少なく好ましい。酸性に
過ぎると活性点が少なく分散性に劣り、さらには上層磁
性層を酸化するおそれがある。一方、アルカリ性に偏る
と脂肪酸吸着量が増加し、遊離の脂肪酸をつくり出すの
が困難となる。
【0135】また、非磁性下層用塗料中の無機顔料の可
溶性イオン量は、分散性を損なわない範囲で少ないほう
が好ましい。可溶性イオン量は、無機顔料中の可溶性イ
オンとしてのアルカリ金属、アルカリ土類金属の量は1
00ppm以下、さらには、可溶性Naイオン量が50
ppm以下、可溶性Caイオン量が30ppm以下が好
ましい。可溶性イオンが多い状態で遊離の脂肪酸をふや
すと、保存でのドロップアウトやエラーレートの増加、
摩擦の上昇等の問題が生じる。非磁性粉末をシリカやア
ルミで表面処理することは、同時に水洗、ろ過工程を要
し、可溶性イオンの低減の点からも好ましい。
【0136】非磁性層の厚さは非磁性支持体の表面粗さ
や媒体の要求特性により適宜決めればよいが、一般的に
は0.5〜3.0μmである。さらに非磁性層のメリッ
トを引き出そうとすると、好ましくは0.8μm以上で
ある。
【0137】このような磁性層、非磁性層、バックコー
ト層が設けられる非磁性支持体としては、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)等のポリエステル類、ポリオレフィン類、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホ
ンセルローストリアセテート、ポリカーボネート等の公
知のフイルムを使用することができ、好ましくは、PE
T、PEN、芳香族ポリアミドであり、さらに好ましく
は、PETないしPENの2種ないし3種による多層共
押出しによる複合化フイルムまたは芳香族ポリアミドで
あり、これらのフィルムを使用すると電磁変換特性、耐
久性、摩擦特性、フィルム強度、生産性のバランスが得
やすい。
【0138】また、これらの非磁性支持体には、フィラ
ーとしてAl、Ca、Si、Ti等の酸化物や炭酸塩等
の無機化合物、アクリル樹脂系微粉末等の有機化合物等
を添加することが好ましく、これらの量と大きさにより
表面性を自由にコントロールすることが可能となり、電
磁変換特性、耐久性、摩擦特性等をコントロールするこ
とが可能である。
【0139】さらに、これら非磁性支持体には、あらか
じめコロナ放電処理、プラズマ放電および/または重合
処理、易接着剤塗布処理、除塵処理、熱および/または
調湿による緩和処理等を行ってもよい。
【0140】非磁性支持体の厚さは2〜10μm程度が
好ましい。
【0141】かかる非磁性支持体の一方の面上に非磁性
層、磁性層を設けた後、該非磁性支持体の他方の面上
に、上述したバックコート層用塗料を塗布、乾燥してバ
ックコート層を形成する。磁性層上に、磁性層の潤滑、
保護のために、潤滑剤、プラズマ重合膜、ダイヤモンド
ライクカーボン膜等の保護潤滑層を設けてもよい。
【0142】なお、非磁性支持体の一方の面上に、非磁
性用塗料を塗布し、これを乾燥させた後、磁性層を設け
るウェット・オン・ドライ法や、あるいは、上、下層と
も湿潤状態で重層されるウェット・オン・ウェット法の
いずれの方法も適用できるが、本発明では磁性層の厚み
の変動が小さく、電磁変換特性に優れる等の利点から、
ウェット・オン・ドライ法が好ましい。
【0143】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、具体
的には、例えば以下の方法が挙げられる。
【0144】まず、非磁性支持体に非磁性下層用塗料を
塗布する。塗布後、乾燥し、好ましくはカレンダー加工
処理を施した後、硬化するが、好ましくは電子線照射に
より硬化する。非磁性層は、硬化前にカレンダー加工し
たほうが、カレンダー加工処理の温度、加工圧等が低く
ても良好な非磁性層の表面が得られ好ましい。また、非
磁性層は磁性層用塗料を塗布する前にカレンダー加工し
たほうが好ましい。
【0145】カレンダー加工処理は、通常、エポキシ、
ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポ
リイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロール
(カーボン、金属やその他の無機化合物を練り込んであ
るものでもよい)と金属ロールの組合せ(3ないし7段
の組合せ)を用いて行われるが、金属ロールどうしを組
み合わせて行うこともできる。処理温度は、好ましくは
70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、その
線圧力は好ましくは2×103N/cm以上、さらに好
ましくは3×103N/cm以上であり、その速度は2
0〜700m/分の範囲である。
【0146】カレンダー加工処理すると次のような利点
がある。
【0147】(1)磁性層(上層)の塗布後の表面性が
良好になり、磁性層のカレンダー加工条件を低くでき、
物性面において有利な媒体を作りやすい。また磁性層と
非磁性層下層の界面変動を小さくすることができる。
【0148】(2)非磁性層をあらかじめカレンダー加
工、硬化しておくと、磁性層(上層)中の研磨剤が非磁
性層に潜ることが少ないため、磁性層厚が1.0μm以
下、さらには0.5μm以下の薄層の場合、現存する研
磨能が高い一般的な研磨剤の粒径0.1〜0.5μmと
磁性層膜厚とが一致し、研磨能の高い媒体を作りやす
い。すなわち、カレンダー加工しない非磁性層に上層を
塗布する場合に比べ、粒径の小さい研磨剤を少量配合す
ることで、同様の研磨能の媒体ができるため、電磁変換
特性を高くすることができる。
【0149】(3)先に非磁性層をカレンダー加工する
ことで、上層である磁性層はベースのフィラーの影響を
受けづらくなり、電磁変換特性に有利である。
【0150】(4)上層である磁性層用塗料の塗布時の
塗布ノズルの摩耗の程度を低下させることができる。
【0151】電子線照射量は、上述したように、2〜1
0Mradが好ましく、特には3〜7Mradである
が、電子線照射量の多寡は、上層磁性層の塗料塗布性や
カレンダー加工性、磁気記録媒体の特性に影響を与え
る。すなわち、上層磁性層の塗料塗布性には電子線照射
量が多いほうが、上層磁性層のカレンダー加工性には電
子線照射量の少ないほうが、磁気記録媒体物性としては
電子線照射量が多いほうが、それぞれ好ましい。そのた
め、磁性層の塗料塗布前後に分けて電子線を照射するの
が最もバランスをとりやすく、好ましい。
【0152】また、バックコート層用塗料塗布前に電子
線照射することで、バックコート層の接着性が向上する
ため、バックコート層用塗料塗布前に電子線照射するこ
とが好ましい。
【0153】このようにして非磁性層、磁性層を形成し
た後に、バックコート層用塗料を非磁性支持体の他方の
面上に塗布、乾燥して、バックコート層を形成する。
【0154】本発明ではバックコート層用塗料として、
上記したように、塗料中の固形分濃度が15〜25重量
%、結合剤に対する無機顔料の配合比が0.5〜2.0
(重量比)で、超音波処理された塗料を用いる点に特徴
がある。これにより、バックコート層用塗料の粘性を低
下させ、塗布性を向上させることができる。これによっ
て、これまで塗布が困難であった15重量%程度以上の
高固形分濃度塗料でも塗布が可能となり、スジ等の塗布
欠陥のない厚みが均一な塗膜を得ることができるように
なった。また、塗膜のレベリング性の向上を図ることが
でき、良好な表面性を得ることができた。さらに、塗料
の分散性を向上させることができ、バックコート層の表
面性の改善効果(表面粗さ(Ra)の低下)も同時に得
られた。このような表面性の向上により、テープのエラ
ーレートが低減化され、かつ耐久走行後のヘッド付着を
少なくすることが可能となった。
【0155】テープのエラーレートの低減化は、おも
に、バックコート層の表面性向上により、熱硬化時、磁
性層へのバック層の転写を低減することができたためと
考えられる。また、耐久走行後のヘッド付着の低減化
は、おもに、バックコート層の表面性の向上、並びに摩
擦係数の上昇を抑えることができたことから、テープの
繰り返し走行時の磁性層とバック層との接触(擦り合わ
せ)で発生する磁性層のキズや削れ(粉落ち)が減少し
たためと考えられる。
【0156】なお、上記バックコート層形成後、必要に
応じて表面平滑化処理として好ましくはカレンダー加工
を行う。カレンダー加工の方法は、上記非磁性層でのカ
レンダー加工で説明したのと同じように行うことができ
る。
【0157】バックコート層のカレンダー加工後、非磁
性層、磁性層、バックコート層の硬化を促進するため
に、40℃〜80℃の熱硬化処理および/または電子線
照射処理を施す。
【0158】次いで、スリッタまたはプレス機で所定の
テープあるいはディスク形状にし、さらに磁性層面およ
び/またはバックコート層面に研磨、クリーニング等の
二次加工を行い、本発明の磁気記録媒体を作製する。
【0159】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものでないことは
いうまでもない。
【0160】なお、本実施例における磁気記録媒体の特
性測定、評価は、下記方法、基準に従った。
【0161】[塗料粘性]超音波照射前・後のバックコー
ト層用塗料を、B型粘度計(回転数20rpm、20
℃)を用いてそれぞれ測定した。
【0162】[塗布性(光透過面評価)]6.2mm厚
の透明なポリエチレンテレフタレート支持体(東レフィ
ルム「6EN33」)の片面上に、バックコート用塗料
のみを、乾燥後膜厚が0.5μmとなるよう塗布し、塗
布面と反対側から光を照射し、この光透過面を目視によ
り観察し、下記評価基準により塗布性を評価した。 (評価) ◎: 均一な透過面 ○: 透過面に微小ムラあり △: 塗布スジあり ×: 塗布不可能
【0163】[バックコート層の光沢度(塗料分散性評
価)] 「GM−3D光沢計」(村上色彩技術研究所製)を用い
て、JIS−Z−8741に準じてバックコート層(カ
レンダー加工前)の光沢度を測定した。なお、測定角度
(入射角度)は60°であった。
【0164】[バックコート層の表面粗さ(Ra)] 「タリステップ」(ランク・テーラー・ホブソン社製)
を用い、JIS B0601に基づいてバックコート層
(カレンダー加工前)の表面粗さ(Ra)の測定を行っ
た。なお測定機の条件は、フィルター0.18〜9.0
0Hz、触針0.1×25μmスタイラス、触針圧2m
g、測定スピード0.0025mm/s、測定長さ50
0μmである。
【0165】[バックコート層の摩擦係数]径2.0m
m、粗さ0.2S(表面粗さRmax=0.2μmの仕上
げ)のSUS303のピンに対して、巻き付け角90
°、荷重50g、スピード8.3mm/sでサンプル長
50mm間を300回繰り返してバックコート層の摩擦
係数を測定し、その平均値を求めた。
【0166】[DLTドライブ実機評価] 「DLT7000」ドライブ(カンタム社製)を用い
て、テープのエラーレートおよび耐久走行後のヘッド付
着を評価した。
【0167】(エラーレート)上記のDLTドライブを
用いて、常温環境にて、記録容量1MBあたりのライト
エラーの個数を測定し、カートリッジ5巻あたりのエラ
ーレートの平均値を求めた。
【0168】(ヘッド付着)上記のDLTドライブを用
いて、40℃、湿度80%の環境下で、テープを48時
間連続走行させ、ヘッドへの付着物を光学顕微鏡にて確
認し、下記基準により評価した。 (基準) ◎: 付着物なし ○: 許容できる付着量 △: 付着物あり
【0169】(実施例1〜4、比較例1〜6、対照例1
〜2)下記組成の磁性層用塗料、非磁性層用塗料、およ
びバックコート層用塗料を調製した。
【0170】〈磁性層用塗料〉
【0171】 (i)バインダ溶液A調製 塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン社製「MR-110」) 10重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡社製「UR-8300」) 7重量部 メチルエチルケトン 21重量部 トルエン 21重量部 シクロヘキサノン 21重量部 上記各成分をハイパーミキサに投入し、混合・撹拌し、
バインダ溶液A(80重量部)を調製した。
【0172】(ii)混練
【0173】(ii-1)下記に示す各成分を加圧ニーダに
投入し、2時間混練を行ってスラリーとした。 α−Fe磁性粉末 100重量部 (Hc 130kA/m、δs 126Am2/kg、BET 57m2/g、平均長軸長 0.10μm、軸比6) α−Al23 12重量部 (住友化学工業社製「HIT-82」、平均粒径 0.13μm) α−Al23 3重量部 (住友化学工業社製「HIT-60A」、平均粒径 0.20μm) バインダ溶液A(1/2量) 40重量部
【0174】(ii-2)次に、上記混練上がりのスラリー
(155重量部)に、下記成分を投入して、分散処理に
最適な粘性に調整した。 バインダ溶液A(1/2量) 40重量部 メチルエチルケトン 15重量部 トルエン 15重量部 シクロヘキサノン 15重量部
【0175】(iii)分散上記粘度調整したスラリー
を、ジルコニアビーズ(東レ社製「トレセラム」、ビー
ズ径0.8mm)を75%充填した横型ピンミルにて分
散処理を行った。
【0176】(iv)粘度調整用溶液調製 下記各成分をハイパーミキサに投入し、1時間混合・撹
拌し、粘度調整用溶液とした。 ステアリン酸 0.5重量部 ミリスチン酸 0.5重量部 ステアリン酸ブチル 0.5重量部 メチルエチルケトン 210重量部 トルエン 210重量部 シクロヘキサノン 210重量部
【0177】(v)粘度調整 分散上がりスラリーに、上記粘度調整用溶液を混合・撹
拌した後、ジルコニアビーズ(東レ社製「トレセラ
ム」、ビーズ0.8mm)を75%充填した横型ピンミ
ルにて再度分散処理を行い、塗料とした。該塗料を絶対
ろ過精度1.0μmのデブスフィルタを用いて循環ろ過
を行った。
【0178】(vi)最終塗料 ろ過後の塗料100重量部にイソシアネート化合物(日
本ポリウレタン社製「コロネートL」)を0.8重量部
加えて混合・撹拌し、絶対ろ過精度1.0μmのデブス
フィルタを用いて循環ろ過を行い、磁性層用の最終塗料
とした。
【0179】該磁性層用の最終塗料の固形分濃度(N/
V)は15.3重量%、顔料成分/結合剤(重量比)は
5.9であった。
【0180】〈非磁性層用塗料〉
【0181】 (i)バインダ溶液B調製 電子線硬化型塩化ビニル系樹脂 10重量部 (塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体、平均重合度310、エポキシ 含有量3重量%、S含有量0.6重量%、アクリル含有量6個/1分子、Tg 60℃) 電子線硬化型ポリエステルポリウレタン樹脂 7重量部 (リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリウレタン、数平均分子量13 000、アクリル含有量6個/1分子、Tg 10℃) メチルエチルケトン 21重量部 トルエン 21重量部 シクロヘキサノン 21重量部 上記各成分をハイパーミキサに投入し、混合・撹拌し、
バインダ溶液B(80重量部)を調製した。
【0182】(ii)混練
【0183】(ii-1)下記に示す各成分を加圧ニーダに
投入し、2時間混練を行ってスラリーとした。 針状α−Fe23 70重量部 (戸田工業社製「DPN-250BW」、長軸長 0.15μm、BET 53m2/g、軸比6.5) カーボンブラック 30重量部 (コロンヒ゛アンカーホ゛ン社製「Raven 760B」、平均粒径 30nm、BET 70m2/g、 DPB吸油量 48mL/100g) バインダ溶液B(1/2量) 40重量部
【0184】(ii-2)次に、上記混練上がりのスラリー
(140重量部)に、下記成分を投入して、分散処理に
最適な粘性に調整した。 バインダ溶液B(1/2量) 40重量部 メチルエチルケトン 15重量部 トルエン 15重量部 シクロヘキサノン 15重量部
【0185】(iii)分散 上記粘度調整したスラリーを、ジルコニアビーズ(東レ
社製「トレセラム」、ビーズ径0.8mm)を75%充
填した横型ピンミルにて分散処理を行った。
【0186】(iv)粘度調整用溶液調製 下記各成分をハイパーミキサに投入し、1時間混合・撹
拌し、粘度調整用溶液とした。 ステアリン酸 0.5重量部 ミリスチン酸 0.5重量部 ステアリン酸ブチル 0.5重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0187】(v)粘度調整・最終塗料 分散上がりスラリーに、上記粘度調整用溶液を混合・撹
拌した後、ジルコニアビーズ(東レ社製「トレセラ
ム」、ビーズ径0.8mm)を75%充填した横型ピン
ミルにて再度分散処理を行い、塗料とした。該塗料を絶
対ろ過精度1.0μmのデブスフィルタを用いて循環ろ
過を行い、非磁性層用の最終塗料とした。
【0188】該非磁性層用の最終塗料の固形分濃度(N
/V)は22.5重量%、顔料成分/結合剤(重量比)
は5.9であった。
【0189】〈バックコート層用塗料〉
【0190】 (i)バインダ溶液C調製 ニトロセルロース樹脂 65重量部 (旭化成工業社製「セルノハ゛BTH-1/2」) ポリエステルポリウレタン樹脂 35重量部 (東洋紡社製「UR-8300」) メチルエチルケトン 150重量部 トルエン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 上記各成分をハイパーミキサに投入し、混合・撹拌し、
バインダ溶液C(550重量部)を調製した。
【0191】(ii)分散 下記に示す各成分をボールミルに投入し、24時間分散
を行った。 カーボンブラック 80重量部 (コロンヒ゛アンカーホ゛ン社製「Conductex SC」、平均粒径 20nm、BET 220m2/g) カーボンブラック 1重量部 (コロンヒ゛アンカーホ゛ン社製「Sevacarb MT」、平均粒径 350nm、BET 8m2/g) α−Fe23 1重量部 (戸田工業社製「TF100」、平均粒径 0.1μm) バインダ溶液C 550重量部
【0192】(iii)粘度調整用溶液調製 下記各成分をハイパーミキサに投入し、撹拌し、粘度調
整用溶液を調製した。 ステアリン酸 1重量部 ミリスチン酸 1重量部 ステアリン酸ブチル 2重量部 メチルエチルケトン (Y1重量部) トルエン (Y2重量部) シクロヘキサノン (Y3重量部) なお、上記において、メチルエチルケトン(Y1重量
部)、トルエン(Y2重量部)、シクロヘキサノン(Y
3重量部)は、Y1:Y2:Y3=1:1:1(重量
比)の配合割比率で、最終塗料中の固形分濃度を表1に
示す11.5重量%、15.0重量%、17.5重量
%、20.0重量%、25.0重量%、28.0重量%
とするよう、適宜、変更して配合した。
【0193】(iv)粘度調整 分散上がりスラリーに、上記粘度調整用溶液を混合・撹
拌した後、再度ボールミルにて分散処理を3時間行い、
塗料とした。該塗料を絶対ろ過精度3.0μmのデブス
フィルタを用いて循環ろ過を行った。
【0194】(v)最終塗料 ろ過後の上記塗料に、イソシアネート化合物(日本ポリ
ウレタン社製「コロネートL」)を、樹脂100重量部
に対して10重量部の比率で加えて混合・撹拌し、絶対
ろ過精度3.0μmのデブスフィルタを用いて循環ろ過
を行い、バックコート層用の最終塗料とした。
【0195】該バックコート層用の最終塗料の、顔料成
分/結合剤(重量比)は0.82であった。
【0196】(塗布)6.2μm厚のポリエチレンテレ
フタレート支持体(東レフィルム「6EN33」)を1
00m/minで走行させ、この一方の面上に、カレン
ダー加工後の厚みが2.0μmになるように非磁性下層
をノズルで塗布を行い、100℃で乾燥した。その後カ
レンダー加工を行い、さらに4.5Mradで電子線照
射を行った。このときこの下層の表面粗さ(Ra)は
4.5nmであった。
【0197】こうして形成した非磁性下層上に、上層磁
性層用塗料を、カレンダー加工後の厚みが0.20μm
になるようにノズルで塗布を行い、配向、110℃で乾
燥、カレンダー加工を行った。このとき上層の表面粗さ
(Ra)は4.0nmであった。
【0198】次いで、該支持体の他方の面上に、バック
コート乾燥厚0.5μmとなるようにバックコート層用
塗料をノズルで塗布し、110℃で乾燥した。なお、バ
ックコート層用塗料の超音波処理条件は以下のようにし
て行った。各例ごとの超音波照射時間、待機時間はそれ
ぞれ表1に示すとおりとした。なお表1中、超音波照射
時間および待機時間が各例(N/V)ごとに異なるの
は、塗布スピードと塗膜厚を一定としたため、塗料供給
量が異なることによる。
【0199】(超音波処理条件) 処理容積:3.0cm3×1連 発振周波数:25kHz 振幅:25μm 作動距離:4.0mm このようにして得られた塗布ロールを、オーブンの中で
60℃、24時間熱硬化を行い、さらに12.65mm
の幅に切断した。
【0200】上述のようにして作製した各テープを用い
て、バックコート層の表面粗さ(Ra)、摩擦係数、D
LTドライブ実機評価を行った。さらには、前述の非磁
性支持体にバックコート層用塗料のみを塗布した際の塗
布性(透過面状態)と、その塗料粘性の評価も行った。
結果を表1に示す。
【0201】
【表1】
【0202】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜4では、バックコート層用塗料に超音波処理を行った
ものは、固形分濃度を従来より用いられているものとほ
ぼ同等とした対照例1、2と同程度の低粘性、分散性を
得ることができ、これにより塗布性、表面性に優れたバ
ックコート層を得ることができた。また、表面性を向上
させても摩擦係数の上昇を抑えることができた。これら
により、エラーレートが低減化され、かつ耐久走行後の
ヘッド付着が少ない磁気記録媒体を得ることができた。
【0203】さらに、比較例5〜6に示すように、バッ
クコート層用塗料の固形分濃度(N/V)が25重量%
を超える場合、バックコート層用塗料の超音波処理を行
うと、塗布は可能であるが、超音波処理処理前の粘性が
高すぎるため、ろ過時のフィルタ、および配管圧力が過
大となり、実用上好ましくない。
【0204】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、バ
ックコート層用塗料の固形分濃度(N/V)を高めた場
合であっても、塗布性、表面性に優れ、しかも摩擦係数
が小さいバックコート層を有し、これによりテープのエ
ラーレートが低減化され、かつ耐久走行後のヘッド付着
の少ない磁気記録媒体の製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/738 G11B 5/738 Fターム(参考) 4J038 BA081 CD021 DB001 DD001 DF061 DG031 DG261 HA026 JA38 JA44 JA54 KA06 LA06 MA06 MA10 NA01 PA19 PB11 PC08 5D006 BA19 CC01 FA02 FA05 5D112 AA05 AA08 BB01 BD01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一方の面上に、非磁性層
    と、該非磁性層上に磁性粉末を含む磁性層を設け、該支
    持体の他方の面上に、カーボンブラックを主成分とする
    無機顔料と、結合剤と、溶剤を含むバックコート層用塗
    料を塗布、乾燥してバックコート層を設ける磁気記録媒
    体の製造方法において、 上記バックコート層用塗料として、(i)塗料中の固形
    分濃度が15〜25重量%であり、(ii)結合剤に対す
    る無機顔料の配合比が0.5〜2.0(重量比)であ
    り、かつ(iii)超音波処理されている塗料を用いるこ
    とを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体の一方の面上に、ウェット
    ・オン・ドライ法により、非磁性層用塗料を塗布、乾燥
    して非磁性層を設けた後、磁性層を設け、次いで、非磁
    性支持体の他方の面上にバックコート層を設ける、請求
    項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 磁性層の厚さが0.25μm以下であ
    る、請求項1または2記載の磁気記録媒体の製造方法。
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